犯罪人類学と犯罪学の父と呼ばれているチェーザレ・ロンブローゾ。現在、彼の理論の多くは科学的に否定されている。ロンブローゾは、「生まれつきの犯罪者は、救済の可能性がない。こうした犯罪者は全体の3分の1を占めていて、最も残虐な犯罪は彼らの犯行である。しかし、有罪と裁くことはできない。というのも彼らの犯罪的気質は、彼らの生物学的性質によって決定づけられているからだ」と唱えていた。彼の肖像に迫る。
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頭が小さいけれど、頬骨が張っている。また鼻が少し曲がっていて、目はいつもキョロキョロ動いていて周りの様子をうかがっている。そして、額が生え際に向かって傾斜している。もしあなたの顔つきがこのようであれば、あなたは生まれつきの犯罪者だ。
犯罪人類学と犯罪学の父、チェーザレ・ロンブローゾ(1835〜1909)はあなたをこう分類しただろう。しかし、このイタリア人医師は、亡くなる少し前の時期には、最終的な診断を下す前に、すでにあなたの出自の環境や精神疾患の有無も考慮に入れていたはずだ。
ロンブローゾによれば、生まれつきの犯罪者は、救済の可能性がないという。こうした犯罪者は犯罪者全体の3分の1を占めていて、最も残虐な犯罪は彼らの犯行である。しかし、有罪と裁くことはできない。というのも彼らの犯罪的気質は、彼らの生物学的性質によって決定づけられているからだ。これは、厳密な身体的特徴から明らかになる。従って彼らに加えられる刑罰は、彼らを罰するためではなく、社会を保護するための措置と見なされるべきである(そしてこの場合、ロンブローゾは死刑を軽蔑していなかった)。
しかし、すべての犯罪者がこのカテゴリーに属するわけではない。このイタリア人医師は、ほかにも理性を失った犯罪者、偶然の激情に駆られた犯罪者、習慣的犯罪者といった3つのカテゴリーを割り出していた。
例えば最初のカテゴリーには、犯罪を犯す可能性のある狂人と、病気の症状によって犯罪を犯す犯罪者が分類される。つまり精神疾患、もしくはペラグラ病(ナイアシン欠乏によって生じる病気で、20世紀初頭にイタリア北部で流行した)やクレチン病のような病気が原因で、そのような状態になった犯罪者のことである。
2つ目のカテゴリーに属する人々は滅多に犯罪を繰り返すことがないが、3つ目のカテゴリーに属する人々は弱さのために罪を犯し、そのため過ちを繰り返すことになる。しかしこうした人々はそれぞれ、身体的特徴を元に見分けることが可能だった。こうした特徴の多くは、人間の進化の前段階において固有のものだった。
チャールズ・ダーウィンの研究と科学的実証主義、骨相学にインスピレーションを得て、ロンブローゾは医師・大学教員の全キャリアを通じて、犯罪行動の生物学的起源を主張した。
2012年11月5日
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