産経新聞社員「発行部数水増し、原発賛成はカネになるから!?」
朝刊発行部数は、大手全国紙5紙の中で最下位となる160万部であり、たびたび経営不振がささやかれ、業績不振で2009年には大規模なリストラも行われた産経新聞(以下、産経)。産経は、フジテレビなどを傘下に持つフジサンケイグループに所属する新聞社であり、「モノを言う新聞」というキャッチフレーズを掲げ、堂々と「原発推進」「閣僚の靖国参拝賛成」を唱えるなど、いわゆる“保守派メディア”として大手紙の中でも“ユニーク”な面が目立つ。「産経新聞社HP」より
そんな産経新聞元社員・A氏に、大手紙最下位の悲しい社内事情、発行部数の水増し疑惑、そして保守路線をとる本当の理由について聞いた。
――どうして産経新聞は、原発推進に賛成するなど、いわゆる保守路線なのでしょうか?
A氏 ウチの大部分の社員は、他の新聞社に落ちたから入社しているわけで、保守的思想を持っている人間など、ほとんどいません。要はお金が欲しいから(笑)。部数はまったく伸びないし、160万部なんて大ウソじゃないでしょうか。長らく200万部と言っていましたが、その当時からウソだった。夕刊を廃止したのも、単に売れないから。
大阪本社の話ですが、販売店が押し紙(部数水増しのため、実際には販売されないが販売店に押し付ける新聞)を、本社前にどかんと積み上げたこともありました。産経は、そのときどきの財界のテーマやお困りごとについて、支援するようなシリーズ記事をぶち上げ、ちょうちん記事を書いて財界からお金を集めているのです。
「愛国」「保守」を標榜しつつ、今上天皇のお名前を誤記
――それが原発推進だったりするわけですね。
A氏 そうです。原子力キャンペーンなどは、よくやっていましたよ。社長に嘱望されながら、子会社の日本工業新聞社の社長に飛ばされた人物が、よく「オレだって朝日みたいにカッコよくやりたいけど、二番煎じでは売れない」と言っていました。しかし、読売にナベツネが登場して以来、産経の保守路線なんて問題外。良し悪しは別にして、ナベツネには志があって、社内の指揮命令系統にも規律がある。憲法改正試案みたいなマスコミとしてはタブーなことも平気でやる。産経には、そこまでの勇気と覚悟がありません。
今年2月の「正論」のある記事中に、「昭仁皇太子の婚約をめぐる『皇室ブーム』は」と書いてありました。天皇陛下の名前「明仁」を「昭仁」と誤記しているのです。保守メディアとしては切腹ものです(笑)。産経の保守路線なんて、その程度のものなんです。
保守路線は商売
――そうすると、多くの場合、記者が自らの思想で記事を書いているのではなく、商売として会社ぐるみでやっているということですね。
A氏 昔、竹下内閣が消費税を導入するとき、個人的に消費税はまちがいだと思っていました。そこで私は、消費税反対の旗を振っていた旭化成の宮崎輝会長ほか、反対派の論調をどんどん紹介するようにしました。対談のような形をとって、あまり露骨にならないようにしてたのですが、そのうち企画を出しても通らなくなり、消費税のテーマは私の手から離れました。