娘の幼稚園で「こびとづかん」が大流行中。
幼児の心をうまくつかんでいると思う。
どこがいいのかさっぱりわからなかったが、我が子が好きなものを自分まで好きになってしまうから不思議だ。
想像力を掻き立てられるし、自然に目を向けるようになるのもいい。
うちの子は実際に外でこびと探しをするようになった。
もう立派なフィールドワーク笑。家の中でまで、こびとを探している苦笑。
読むだけで終わらないところが良い。
読むだけで終わらせるのはもったいない。
絵本としては、少々亜種というか邪道な気もするが、
観察ガイドなども発売され、なんとなくアカデミックな雰囲気で楽しめるのも魅力。
ぜひ、身近な場所でもいいので、親子でこびと探しをして欲しい。
宮崎駿監督が「虫眼とアニ眼」という養老孟司先生との対談本で、こう述べている。
『親から、「うちの子どもはトトロが大好きで、もう100回くらい見てます」なんて手紙が来ると、そのたびにこれはヤバイなあと、心底思うんですね。誕生日に一回見せればいいのにって(笑)。結局、子どもたちのことについて、なにも考えてない。だって結果として、養老さんが言うところの脳化社会にぴったり適応するような脳みそ人間だけを育てようとしてるでしょう。トトロの映画を一回見ただけだったら、ドングリでも拾いに行きたくなるけど、ずっと見続けたらドングリ拾いに行かないですよ。なんで、そこがわからないんだろうと思うんだけど。』
このお二人は、子どもたちが、直線的・一律的で整然とした都会で育つことで、「ディテールを感知する能力」といった「感性」を失いつつあることを危惧している。
子どもというのは、自然の中で、虫や動植物なんかに興味を持ち、五感をフルに使って、それらと遊びながら、鋭い感性とか勘、手先の器用さとか、危険察知能力とか、とにかくいろんな能力を鍛えていく。
それが生きる力のベースにもなる。
平坦な校庭、きれいに並べて植えられた花、檻に入れられた動物、そういうのばかり相手にするよりは、海や山に行く方が理想的ではある。
行かずとも、道端の雑草や虫、空模様などに目を向け、「感性」を鍛えて欲しい。字が書けるとか、ピアノが弾けるとか、そういうことは後回しでも構わない。
我が子が満月や夕陽を見て、「わぁ、きれい!」と言っているのを聞くと、少しほっとする。そういう自然の美しさに感じ入ることができる感性があるな、と。
こびと探しは、子どもの感性を鍛える良いきっかけになると思う。