特集ワイド:脈打つ沖縄「独立論」 小学校のすぐ隣…オスプレイの列 無視される抗議、日本に見切りを

毎日新聞 2012年11月01日 東京夕刊

嘉数高台公園から普天間飛行場を指さす比嘉康文さん=沖縄県宜野湾市で
嘉数高台公園から普天間飛行場を指さす比嘉康文さん=沖縄県宜野湾市で

 「ところが、どうです」と海勢頭さんは苦渋の表情を浮かべた。「基地問題の解決どころか、日本は憲法を変えると言い始めました」。海勢頭さんも近年、独立論に傾いているという。

 沖縄の諸問題を論じる季刊誌「けーし風」の編集委員、岡本由希子さん(45)は、民主党政権になっても基地政策が変わらないことが多くの人の心を折ったと見る。「もう日本の政治に期待しようがない。そういう状況に追い込まれたのです」

 若い世代はどうか? 那覇市議の平良識子(たいらさとこ)さん(33)は「独立も選択肢の一つですが、自分たちが幸福になれる社会を沖縄に実現させることを優先したいという思いが、40、50代以下には強い」と話す。

 国連の人権機関などに辺野古への基地押しつけを含む沖縄の人権侵害状況を訴える活動をしてきた。その結果、日本政府は国際人権法に基づく報告を余儀なくされた。平良さんは「国際世論の応援を得て、沖縄の自主性を高めていきたい。その先に自己決定権の回復がありますが、その形が独立か自治かはこれから考えればいい」と語った。

 那覇市内では「チバリヨー(頑張れよ)、東日本」とのステッカーを張った車を何台も見かけた。本土からの観光客を迎える沖縄の人々が笑顔を絶やさないことにも、胸が痛む。その心の奥にわだかまっている問題に、本土側はいつまで知らぬ顔を決め込み続けるのか。

 ◇沖縄独立論

 1879(明治12)年まで「琉球王国」として存在してきただけに、沖縄には長く独立論がある。1972年の日本復帰前は、在沖縄米軍基地が残ることなどがわかり、無条件に復帰すべきでないという「反復帰論」が唱えられた。論客として新川明(あらかわあきら)氏(元沖縄タイムス社長)らが知られ、復帰後の自治・自立論にも大きな影響を与えた。95年、米兵による少女暴行事件、大田昌秀知事(当時)の米軍用地の強制使用に関する代理署名拒否などがあり再び議論が活発化したが、97年には新崎盛暉(あらさきもりてる)氏(元沖縄大学学長)が当時の独立論を「居酒屋談議の域を出ない」と批判し、論争となった。現在も沖縄では、地元雑誌などで独立や自立について活発に論じられている。

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