米海兵隊の垂直離着陸輸送機MV22オスプレイが普天間飛行場に強行配備されて以降、那覇市や浦添市などの市街地上空を回転翼を上に向けたヘリモードで飛行する様子が頻繁に目撃されている。
9月の日米合意でヘリモード飛行は、「運用上必要となる場合」を除き、原則として基地内に限定している。合意に反した飛行が常態化しているのは明白であり、多くの県民が証人と言える。
それにもかかわらず、森本敏防衛相は26日の閣議後会見で「日米で合意した内容に沿って訓練を実施している」と述べ、合意違反はないとの見解を示した。
日米合意では「地域住民の安全に最大限の配慮がなされる」と強調していたが、騒音や墜落の不安にさいなまれる県民への思いや配慮はみじんも感じられず、その厚かましさにはあきれるほかない。
飛行するたびに繰り返される市街地上でのヘリモード飛行について、森本氏が「運用上必要」と強弁するのならば、安全確保策をうたう日米合意などなきも同然だ。
原則が守られない合意では、安全確保策など担保されるはずもないからだ。具体的検証もなしに、ただ違反に目をつぶるのは、日米合意が国民の目を欺くための空手形にすぎなかったと自ら認めるようなものだ。県民や国民に対する悪質な詐欺行為であり強行配備に続く二重の裏切りにほかならない。
オスプレイ配備後、23日には初の夜間飛行訓練が実施されたほか、ブロックをつり下げた訓練も伊江村の集落上空などで目撃されている。ヘリモードと併せ、安全性が疑問視される回転翼を斜めに傾けた転換モードへの切り替えも市街地上空で頻繁に行われている。
そもそも日米合意は「必要最小限に制限」「飛行時間を可能な限り短く」など、米軍の裁量に任されているのが実態で、当初から実効性が疑問視されていた。
強行配備から約1カ月。米軍がオスプレイの運用をエスカレートさせているのは紛れもない事実であり、このままでは合意事項をはるかに逸脱するのは火を見るより明らかだ。
防衛省が「合意違反はない」と黙認するのは、日米合意に反する実態を歪曲(わいきょく)する悪質な情報操作にとどまらない。墜落の危険を知りながら放置する「未必の故意」そのものだ。日米両政府は即刻、オスプレイ配備を撤回するしかない。
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