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【河北省懐来県=奥寺淳】中国河北省張家口市懐来県にある世界遺産「万里の長城」で、日本人観光客4人と中国人ガイドの計5人が3日夜、強風と大雪のため遭難した事故で、新華社通信によると、このうち渡辺邦子さん(68)と62歳の女性が死亡した。ツアーを主催した日本の旅行会社によると、3人が死亡したとの情報もある。
新華社によると、柳井俊一郎さん(76)が行方不明となっている。59歳の女性と中国人ガイドは無事だった。北京の日本大使館も5日未明、4人のうち、2人の遺体が確認され、1人の安否は確認中で、1人は救出された、と中国側から連絡があったことを明らかにした。
ツアーを組んだ東京都内の旅行会社、アミューズトラベル社によると、遭難した観光客のうち、渡辺さんは埼玉県、柳井さんは福岡県在住。女性(62)は東京都の小川陽子さんとみられる。
中国の通信社、中国新聞社によると、5人は北京市西部から登山し、長城付近で、遭難した。中国人ガイドが自力で下山し、警察に通報した。
アミューズトラベルによると、一行は10月28日から9日間、万里の長城を計100キロ歩くツアーに参加。毎日14〜16キロを5〜8時間かけて歩く予定で、遭難したのは7日目だった。
現場は北京市との境界に近い山地で、整備され観光地として有名な八達嶺から西南に約20キロ離れている。現場付近は、3日から「数十年ぶりの大雪」(地元メディア)に見舞われ、道路の一部が通れなくなっており、通信も切断されているという。
地元当局者の話では、5人が遭難した付近の長城を訪れる観光客はあまり多くなく、道路も整備されていない。当局者は朝日新聞の取材に対し、「現場は山の奥深く、捜索は難航している」と語った。