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「全て台無し」市激怒、大学・高校困惑 秋田公立美大不認可

秋田公立美術大への移行が不認可となった秋田美術工芸短大

ホームページでは来年4月の開学予定をPR。「アーティストの育成」などをうたっている

 突然の「不認可宣言」は大きな波紋を広げた。田中真紀子文部科学相は2日、秋田公立美術大(秋田市)の新設を認めない考えを表明した。「寝耳に水だ」「生徒の進路はどうなるのか」−。来春の開学に向けて準備を進めていた秋田市や大学、高校からは怒りと戸惑いの声が上がった。

 「文科相の諮問機関である審議会が許可すべきだとしたものを、交代した大臣の考え一つで変えるのは行きすぎた行為だ」。秋田市の穂積志市長は2日の緊急会見で、怒りをあらわにした。
 市は就職率の向上などを狙いに、運営する秋田美術工芸短大(美短)を4年制化し、秋田公立美術大にすることを目指してきた。
 大学新設に伴い、施設整備に約5億2000万円を計上。ことし1月には専任教員として14人、事務職員2人を内定した。1期生として1年生100人、3年生10人を募集する計画で、美短の2年生のうち、3年生への編入希望者はことし1月現在で32人に上る。
 異例の事態は早速、各方面に影響し始めた。
 美短は急きょ、県内外の高校生156人を対象に4日に開く予定だったオープンキャンパスの中止を決めた。希望する高校には新大学のパンフレットなどを既に配布しており、職員の一人は「寝耳に水。全てが台無しになるのかどうか、今は何も分からない」と言葉少なだ。
 高校側の不安も募る。美術科がある青森戸山高(青森市)の三上浩教頭は「生徒は来春の開学に向けて準備してきた。進路変更も考えなければならず、非常に困惑している」と話す。
 秋田県内のある高校も「この時点での方針転換は驚きだ。短大のままでも受験するか、生徒の気持ちを確認したい」と対応に追われている。
 美短の4年制化を公約の柱の一つに掲げる穂積市長は「今後も4年制化を目指す方針に変わりはない」と強調し、来週にも田中文科相に不認可の撤回を要望する方針を明らかにした。


2012年11月03日土曜日


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