尖閣:漁業権、日台歩み寄り…周辺に共同水域、予備協議へ

毎日新聞 2012年11月04日 22時55分(最終更新 11月04日 23時41分)

日台で共同水域を設ける際、協議対象となると予想される水域
日台で共同水域を設ける際、協議対象となると予想される水域

 【台北・大谷麻由美】日本と台湾の間で再開に向けて進めている沖縄県・尖閣諸島(台湾名・釣魚台)海域の漁業権を巡る協議で、日台双方が相手側の許可を受けずに漁船が操業できる共同水域を設ける方向で歩み寄りを見せていることが、交渉筋の話で分かった。00年6月に発効した日中漁業協定では、北緯27度以北に共同水域である「暫定措置水域」を設置しているが、日台間でも、同様の水域を北緯27度以南に設置する可能性が高まっている。

 尖閣諸島の主権問題を巡り、日中の対立は早期解決が難しい情勢だが、日台は東シナ海の安定に向け共同歩調を取り始めている。日本には、台湾に尖閣共同防衛の呼びかけを強めている中国をけん制する狙いがあり、台湾側にも、長年の懸案である日台漁業問題の解決を前進させるメリットがある。

 日中漁業協定では、暫定措置水域の南側の尖閣諸島を含む北緯27度以南、東経125度30分以西を互いに自国の関係法令を適用しない「協定水域」としているが、実際には両国とも漁船の操業を規制している。日台の交渉筋によると、台湾に近いこの水域は将来、日台間で漁業協定を締結することを考慮し、日中間であえて明確な取り決めをしなかったという。

 共同水域の範囲については、日本側はより小さく、台湾側はより大きくしたい意向で調整は容易ではない。だが、日本の交渉筋は「過去の協議と異なり、日台共に漁業問題を解決したいという方向を向いている」という。

 台湾の交渉筋も漁業協定締結を目指して「長期戦は覚悟」と述べ、近く東京で予備協議を開きたい考えを示した。

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