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経済
中国向け輸出減、景気回復シナリオに暗雲
2012.10.22 11:42
[日中関係]
財務省が22日発表した9月の貿易統計は、中国との貿易赤字が3295億円で、9月としては過去最大となった。背景には、中国経済の減速のほか、日本政府による沖縄県・尖閣諸島国有化に抗議する反日デモの影響があったとみられる。反日デモの本格化から1カ月あまりが経過し、被害を受けた日系企業の店舗や工場の大半は通常営業を再開した。しかし、大手自動車メーカーが減産を強いられているなど、外需と復興需要で景気回復を目指すシナリオに狂いが生じかねない。
中国向け輸出の品目別では、自動車が前年同月比44・5%の大幅減少となった。今月上旬に自動車大手各社が発表した9月の中国での新車販売台数も、前年同月比で約3~6割減で、日本車の買い控えが鮮明になった。
48・9%減となったトヨタ自動車は先月18~23日まで従業員の安全確保などを理由に中国国内の9工場の一部で稼働を停止。中国の建国記念日にあたる国慶節の休暇が明けた今月8日以降も、状況に応じて一部生産ラインの休止などを強いられている。
ユニクロも反日デモが本格化した9月15日から1週間の売り上げが当初見込みより約2割減少。中国全土での「スーパードライ」販売を計画していたアサヒグループホールディングスが延期を決めるなど影響は広がりつつある。
大和総研の熊谷亮丸チーフエコノミストは「統計に相当程度の影響が出ており、少なくとも年内ぐらいは厳しいのでは」と先行きを分析する。
しかし、中国自身の景況感を示す9月の製造業購買担当者指数(PMI)が景気判断の節目となる50を2カ月連続で割り込むなど中国景気の減速感も強まっている。日中関係の緊張は、中国経済を一段と冷え込ませ、世界経済を減速させるリスクもはらんでいる。
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