経済【日曜経済講座】高まる中国ビジネスのリスク 高度成長終焉、「経冷」解消も不透明+(3/3ページ)(2012.11.4 12:18

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【日曜経済講座】
高まる中国ビジネスのリスク 高度成長終焉、「経冷」解消も不透明

2012.11.4 12:18 (3/3ページ)
略奪など大規模な被害を受けた日系スーパー「平和堂」。営業再開までに約1カ月半かかった=10月27日午前、中国湖南省長沙市 (共同)

略奪など大規模な被害を受けた日系スーパー「平和堂」。営業再開までに約1カ月半かかった=10月27日午前、中国湖南省長沙市 (共同)

 もちろん世界経済は相互依存を強めており、日中関係が悪化すれば、弊害は中国にも及ぶ。日本企業が対中投資を控えれば中国の雇用を直撃するし、日本の技術やノウハウは中国の生産性向上や人材育成にも欠かせない。日本の相対的な位置づけが低下しても状況は基本的に同じだ。それにもかかわらず中国が「経冷」解消の手を打たないなら、中国ビジネスは今後、極めて大きなリスクを伴う。

プラスワンが加速

 日本企業にとって中国の巨大な消費市場は今も大きな魅力だ。だからこそ多くの企業が中国から手を引けない。一方、かつて安くて豊富な人材を抱え「世界の工場」といわれた中国も、最近は人件費が高騰し、生産拠点としての魅力が薄まっている。

 日本企業には中国リスクを踏まえてベトナムなどに拠点を置く「チャイナ・プラスワン」の動きが出ていたが、その流れが加速する可能性は高い。特に海外展開の余力が小さい中小企業は、投資先として中国と他国との比較検討をより慎重に進める必要が出るだろう。

 中国経済は減速傾向を強めており、今年7~9月期の実質GDP成長率は7・4%と3年ぶりの低水準だった。15年には少子高齢化で労働人口が減少に転じる見込みで、もはや、03~07年に5年連続で2桁成長を遂げたような高度成長は期待できない。

 問題は、高度成長期から安定成長期へと円滑に移れるかどうかだ。そのためには所得格差などを解消し、消費主導経済を構築する必要がある。実現できなければ、中国経済は日本だけでなく世界にとっても最大のリスクとなる。(経済本部部長・長谷川秀行) 

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