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政治
【河合雅司の解読・少子高齢時代】東京郊外がゴーストタウンに
これに対して、団塊ジュニア以後の世代は、親の世代とは違って未婚や晩婚が進み、第三次ベビーブームは起こらなかった。子供がいなければ、都心から遠く離れた場所に広い間取りの住宅を取得する必要もない。しかも、夫婦共働きが当たり前だ。通勤に便利な都心マンションなど、それぞれの生活様式を考えて居住エリアを選択するのも当然の流れである。
若者の流出といえば、これまで地方の話だったが、今後は東京圏でも過疎化や限界集落が続々出現するということである。若者がどんどん抜ける自治体では、学校は統廃合され、商店街も成り立たない。ますます若い世代にとって魅力のない街となる悪循環だ。
住宅の新規需要が減れば、既存物件の資産価値も目減りする。価格が数百万円に下落した物件も出てきた。これでは、高齢者向け住宅への住み替えなどできない。大規模修繕もできず、老朽化した住宅に住み続けざるを得ないといった高齢者も増えるだろう。
首都圏白書は2030年に神奈川県東部や千葉県西部、埼玉県南部で85歳以上の単身世帯が急増すると指摘。空き家や空き地が広がることを懸念している。総務省の住宅・土地統計調査によると、2008年の空き家率は13・1%だが、やがて東京郊外にゴーストタウンが登場するだろう。
これは東京郊外だけの問題ではない。人口減少時代にあって、住民が若い世代へと次々に代替わりすることなど期待できないのである。
では、どうすればよいのか。都心からの距離を逆手に取るのも一つの選択肢だ。例えば、サテライトオフィスのようなビジネス拠点を重点的に整備する。インターネットの発達に伴い、都心のオフィス街に通勤せずに働くスタイルを志向する人が増加するとの予測もある。
住民を巻き込み、若い世代にとって「魅力ある街」をどう作り上げるか。自治体の生き残りがかかる。(論説委員兼政治部編集委員)
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