山中氏ノーベル賞:目元緩ませ「感謝」繰り返し

毎日新聞 2012年10月08日 21時36分(最終更新 10月09日 00時45分)

ノーベル医学生理学賞に決まり、記者会見で笑顔を見せる山中伸弥教授=京都市左京区の京都大学で2012年10月8日午後8時25分、三浦博之撮影
ノーベル医学生理学賞に決まり、記者会見で笑顔を見せる山中伸弥教授=京都市左京区の京都大学で2012年10月8日午後8時25分、三浦博之撮影

 中学、高校を通じて友人の会社経営、平田修一さん(50)=兵庫県芦屋市=は、「高校の文化祭で同級生2人と『枯山水』というフォークグループを組んでかぐや姫の歌を歌っていた姿が印象に残っている。ギターも弾けるのかと驚いた」と振り返った。受賞決定後、携帯電話から「やったなぁ!おめでとう!」とメールを送ると「ありがとう」と返信がきた。5日前に一緒に食事をした時に、本人は今年のノーベル賞受賞は「ない。ない」と言っていたという。

 山中さんは神戸大3年で柔道からラグビーに転向した。初心者にもかかわらず、教則本を読んで作戦を立案するなど研究熱心。一方、試合でゴールラインの場所を勘違いしてトライしたこともあり、部内では「いじられキャラ」だったという。医学部ラグビー部で後輩だった黒田良祐・同大大学院医学研究科准教授(47)は「不器用でストイック、ひたむきで、くそ真面目な人。だからこそ、普通の人間なら考えつかないようなところに行けたのだと思う」と喜んだ。

 研究者仲間やかつての指導者からも称賛する声が相次いだ。

 iPS細胞を使った心筋シートでの治療を目指し、山中さんと共同研究している澤芳樹・大阪大学大学院医学系研究科教授は受賞を知り、すぐに本人の携帯電話に連絡した。山中さんは「ありがとうございます。皆さんのおかげです」と、珍しく興奮した様子だったという。澤教授は「ひたむきに淡々と研究している。常に臨床への応用を意識していることが受賞につながったと思う。『一日も早く患者さんを助けられる状態にしなければならない』と、私自身も身震いする思いだ」と話した。

 大学院生時代に指導した山本研二郎・元大阪市立大学長は「うれしいの一言だ」と話した。当時、山中さんら教え子と酒を飲む度、「仕事と研究は違う。仕事は、他人が既に手がけたことをやるので、成果が出やすい。だが研究は、成果が出るか分からず、誰もやらないことをしないといけない」と、基礎研究の重要性を説いたといい、「まさにオリジナルの研究が評価された」と喜んだ。

 山中さんが99〜04年に在籍した奈良先端科学技術大学院大(奈良県生駒市)の磯貝彰学長は記者会見し、「何をやりたいかビジョンがはっきりしていた。一方で、(自分の考えだけにこだわらずに)周りの状況を的確につかみ、孤立しない点が大変優れていた」と話した。

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