「アロン=リアス=シルト、貴君を魔導師の位に叙する。」
壮麗な宮殿の大広間、居並ぶ人々の前で魔導師の印を授与されたのは、声変わりを迎えたかいないか程の少年であった。
そして、「次の者」と呼ばれたのは、その少年の父親や伯父と言っても通用する中年の男であった。
その次も、その次も、更に次の者も。
「以上五名、国と魔術の為にこれからも研鑽する様に。」
そう締めくくる導主…最高の魔導師たるナルド=ウスハは、(一人それに当たるかどうか怪しい者も居るがな)と内心呟いた。
10才で<魔法使>の位を手にし、三年もしないうちに<魔導師>に昇格した。
しかも試験ではなく、特級召喚獣……精霊王の召喚という事実認定による特例によって。
数年後には、この印を渡す側になるのではないか?
そんな突飛な、しかしながら否定しきれない想像を抱きながら、彼は壇を降りて行くのだった。
「おめでとう! アロン君。
いや、マスターシルトと呼ぶべきかな?」
アロンが他の者と同期の盟を結び玄関ホールへと向かうと、彼の保護後見人であるリアス伯トーラス=ギリアムが待っていた。
「これはギリアム"殿"わざわざ待っていて下さったのですか?」
「はは、言うじゃないか」
と、軽口を言い合う間にも、この神童の登場でホールは俄かにざわめいていた。
あれが神の子か
もう精霊の王を呼び出せるらしいぞ
それぞれは呟いているはずなのに、唱和したようによく聞こえる。
しかも可愛いじゃない。とどこぞの婦人が漏らした。
「とりあえず館に戻ろうか」と公は言い、注目の中馬車は走り去っていった。
そして、暫くして車中。
「それにしても、君にはお礼を言わなければならないな」
「礼って……どうしてです?」
「どうしても何も、君の才能故、さ」
実に誇らしいことだよ。と彼は続け、喉が渇いていたのか開けてあった葡萄酒を一口飲んだ。
「そして、そんな君を擁する者に見合うよう、領地が増やされるのさ」
まだ予定の話と彼は言うが、こうして口にするくらいだ、その実現は確実だろう。
「これからも必要な物が有れば言ってくれ給え。出来る限り、用意させよう」
先のような軽い声音ながらも、少年を確かに認める意思を含んだ、真摯な声だった。
少年にとってはいつもの事ながら、たじろいでしまう。
身分が、違いすぎる。
そう思いつつも、それじゃあ、と彼は前置きし、洗礼済み高級白墨を百本。と言った。
凡そ金貨一枚二枚位の価値であろうか。
公が付けているブローチの価格の三十分の一である。
虚を突かれ、一瞬後に吹き出し、「君は無欲だねぇ」と笑いながらも侯はしっかりと書き付け、
それが一番大事なんですよ。とアロンは主張し、その他何気ない雑談を楽しんでいると、やがて館に到着した。
「詳しくは分からないが招集がかかってね、暫く家を空けるけど、何かあればメイド達に頼みなさい」
公はそう言ってアロンを降ろし、自らは再び乗るべくステップに足を掛けた。
「あの……!」アロンが呟いた。
公が振り向くと「僕はまだ、拾ってもらった恩を返せてませんから」
どこか思いつめた様子で、アロンはそう伝えた。
すると、また虚を突かれたような顔をしたが、今度は優しく微笑んだ。
「返さなくていいさ。
立派な魔法使いにならなくても、居てくれさえすればいいんだ」
そんな、と言うアロンを遮り、馬車へと戻って行った。
「お帰りなさいませアロン様!」
ドアを開けると、館のメイド達が勢ぞろいして少年を迎えた。
……ここに来てから随分経つというのに、たったの五人だと言うのに、未だに慣れない様子で彼は一瞬びっくりしている。
「あろん様、あろん様、魔導師になられたんですよね?」それをヨソに、彼女らはアロンに群がり、
「ですよね、すごいです!」「つまり甲斐性は成人男性、いや、それより遥か上!ゲットだ!」
「こらぁ!
あなた達、失礼でしょうが!」と質問攻めというか双方の見た目相応な歓迎を始めた。
恐らくこの調子ならば、出迎えをわざと仰々しくしているのかも知れない。
「本当にこの子達は……アロン様、お叱りになってよろしいのですよ?
まあそれはともかく、慣れない場でお疲れでしょう?
お湯を準備してありますので、浴びられたらいかがですか?」
メイド長らしい妙齢の美女が他のメイドらを薙ぎ払い、完璧なスマイルでアロンの外套を受け取った。
うん、入らせてもらうね、とそそくさと脱衣所に向かった。
本当に、もう。と嘆息しつつも、彼は微笑んでいる。
身寄りのないアロンにとって家族に代わる"拠り所"となれるように、
わざと彼女らが使用人としての禁を破っている事を彼もうっすらと理解していた。
下穿きまで脱ぎ、浴室に入ると、湯の匂いが鼻をくすぐった。
緊張から起こる肩のこわばりが解きほぐれていくような、心地よい香りだ。
「本日は、セージをはじめとしたハーブ数種類を使った湯を用意いたしました」
そうなんだ、と何気なくアロンが言うと柔らかなものが後頭部に当たった。
「う、わッ!?
なんて格好してるんですかニードゥさん!!」彼はあわてて振り向くと、
先のメイド長――ニードゥがバスタオル一枚で立っていた。
「嫌ですわ、私とアロン様の仲じゃないですか」
「どんな仲ですか!!」と言いつつひたすら慌てていると、
「ちょっとちょっと、あろん君とニードゥさん、何してるの何やってるの何しちゃってるのぉ〜?」
脱衣所の扉が開いた音がして、エィテット…さっきのメイドがハイテンションな声を上げて登場した。
こちらはぴったりとした水着だが、程度問題だ。
「あ、あのぉ〜入るなら、私たちも入りたいです」「ふふふ、ゲット作戦第一号!」スアフも、フェミルも、後ろに続いている。
「だから、あなた達何してるのよ!!」ノーマルな給仕服をしているのはリオンだけだ。
……何となく、そわそわしているが。
「うわぁ、何で皆いるのさ!?
出てってよ!」アロンは無我夢中でニードゥを押しやり、
その他のメイドたちもついでに押しやり、ようやくのことで全員を脱衣場の外に出した。
が、扉を閉める拍子にバスタオルがはだけ、ニードゥの裸体が一瞬だけ彼の目に焼きついた。
形の良いおしりと、背中越しにもふくらみの分かる豊かな胸が。
カチリと鍵を閉め、「もう、皆、僕をからかって」顔を真っ赤にしながら、ふらふら浴槽に向かい、ざぶんと倒れこんだ。
「さあ、お祝いの料理を用意いたしましたよ」
浴室のことは無かったようにニードゥ達が料理を運んで来たが、
四人が大きなたんこぶをつけていることから、リオンからこっぴどく怒られたらしい。
いつものことだが、メイド長はニードゥさんの筈だよね?
と内心アロンは苦笑いする。
「久しぶりですね、お祝いするのって」スアフが大きなサラダボウルをテーブルへ置きつつ呟いた。
アロンの年頃の祝い事といえば、普通は見習い職人になったとか、どこかの学校に進むとか、そんなお祝いなのだが、
魔導師への昇格祝いとはなんともスケールの大きな話だ。
――魔導師が輩出されたとなれば村総出でお祭り騒ぎが起こるのが普通なので、異常に規模が小さいともいえるのだが。
「トーラスさまがいないのは残念ですが、しようがないですね」ニードゥが高速でテーブルセットをしながら言った。
「いつもの事だ。それより、肉はどれくらい食べるか?」ローストビーフを鮮やかな手つきでスライスするのはフェミルだ。
そこに並ぶ食器は6人分。
食事は何よりも皆で食すのが良い。という信念の下、ギリアム家では家人も使用人も同じ卓で食事をするのだ。
非常識というか身分制度を蔑ろにしたような行為だと人は言うが、団欒の前にそんなセリフは届かない。
「では、いただきます」さすがにアロンが最初に食べるが、タイムラグ的にはちょっとしたものだ。
「ねね、あろん君、魔導師って何をするの?」
食事が始まると、何故か手を挙げてエィテットが質問した。
うーん、とアロンが考え始めると、「どこか、遠くに言っちゃったりしませんよね?」少しばかり心配げにスアフが続ける。
「それはない、と思う。
魔術学校で働く人もいるけど……さすがに僕がそんなことをするわけにもいかないし」
何か依頼されるかも知れないけど、ほぼ何も変わらないよ。そう伝えると、改めて皆の顔が明るくなった。
純粋に彼が居てくれる事が嬉しいと見える。
「改めて、頂きます!」そう言ってまず好きな物をほお張る姿は、本当に年相応の少年だった。
「美味しい!」祝いの夜は過ぎていった。
(ふぅ、おなかいっぱい)独語し、アロンは寝台に腰を下ろした。
いつの間にかお酒が持ち出され、アロンを祝うテンションは天上知らずにあがって行き、
遂にはエィテットとリオンがイッキ勝負を始めると、あえなくアロン以外は全員酔いつぶれてしまった。
こういう時にこそ特技を使ってコボルドたちを呼び出し、使用人部屋に運ばせておいた。
性根の優しい者達だったので、しっかり寝具が被せられているだろう。
帰ってきたところにローストビーフの残りを包んでやり、送還されて見えなくなるまで千切れそうなほど尻尾を振っていた。
初めて彼を襲い、初めて彼が召喚し、思い出の深い種族だ。
「……さて、明日の準備をして寝ようっと」ほんの少しお酒を飲まされ、ちょっとふらふらしている。
「いきなり呼び出して会わせると機嫌を悪くするだろうしなぁ」
明日は風の精霊王にある人を会わせないといけないので、今のうちに言い含めておくのだ。
室内用のラフな服を脱ぎ、正装し始めた。
「長いわね……」
何処かに落ちるように、或いは引っ張られる様に、彼女の身体は勝手に移動していた。
どこに重力がかかるでもなく、ある程度は姿勢を変えられる事に気付いて以来、何度か楽な姿勢を模索していた。
現在のところ、何故かきりもみ回転をかけて進行方向へ飛ぶようにしている。
「それにしても暇だぞこれは」
それもそのはず、七層なる地獄<セヴンス>も、十七階梯の絶望<ディスペア>も、
更にその下の名もつけられていない深魔界も越えた、奈落<アビス>から彼女は数十もの次元の壁を貫いて移動しているのだ。
「そろそろ皆起きる時間じゃないかしら」
と呟くが、残念ながらここで感じる主観的な時間経過は何の意味も無い。
あえて尺度を合わせれば、五分も経っていない。
「そもそもどこへ向かっているのかしら」
考えても分かりはしないので、彼女は眠る事にした。
そよ風を頬に受け、何にも縛られないその感覚はなかなか寝心地が良い。
夜食に食べたクラッカーの食べ屑、燭の配置や星の位置、いつもよりもかなり精密な真円と線で構成された魔法陣。
そして何より、いつもと違った彼自身の心情という要素が重なり合って、魔力の予測不能な"うねり"が生じていた。
しかし、少年はそれを単なる魔力溜まりと思い、何も注意せずにいる。
――或いは聖職者ならば、
或いは戦闘に携わる者ならば、
何かとてつもなく恐ろしいモノが近づきつつあることを予感したかもしれない。
詠唱を受けた召喚円陣が立体的に展開し、ほの明るい光がそこから溢れた。
そして、その光が止んだ後に現れたのは、豪奢な衣類と光を纏った老人……ではなく、眠っているらしい半裸の女性であった。
「……えぇ?」
これは"何"だろう。
アロンは率直にそう思案した。
さっきのコボルトの様に、"種族"で呼び出したならまだしも、
"精霊王"という個体を指定して召喚術を行ったのに、どうしてこうなるのか。
あの偉そうで偏屈な老人が、まさかこんな姿になるとは思えない。
あれこれと脳裏に浮かんでは消えるが、
「取りあえず、閉鎖結界を張ろう」そう独りごち、予め用意していた、円陣を一回り大きく囲む結界を発動させた。
少年が注ぎ込んだ魔力の量からして、暴れられたら止める術はないレベルの魔物には違いない。
果たして結界が発生した。
薄い幕が取り囲んでいるように見えるだけだが、女性の居る空間は完全に閉鎖され、
女性から、外に干渉することは不可能だ。
それにしても、一見すると普通の女性なのだが、手足が奇妙に見えた。
薄暗いし、結界を透かしているので見え辛いが、防具なのか、衣服なのか、爬虫類の皮革らしきものを装着しているのだ。
「悪魔族の戦士とか、その辺りかなぁ」
そう呟き、探究心なのか、好奇心なのか、結界に近付いて熱心に中を見ている。
(随分綺麗なひとだなぁ)
結界で安心しているからだろう。
年頃の少年らしい、そんな感想も抱いていた、その時であった。
ぅん……という具合に身じろぎし、むくりと彼女は身を起こした。
何となく、可愛らしいともいえる所作なのだが、彼女の目がアロンと合った瞬間、彼は気付いた。
このひとは、凄く危険だ。
本来、まったく新しく召喚を結ぶ場合は、出来うる限り最強のユニットを呼び出して、身の安全を図るのが絶対だ。
最初から友好的な魔物など、存在しない。
様々な力比べをするとしても、その前にやられては意味がない。
彼女はきょろきょろと周りを見ている。
状況を把握できていない今のうちに。そう算段し、
「天と地の盟約の元、在るべき場所に戻れ!!」
ディスペル!! と、渾身の力で強制送還の魔法を放った。
しかし、何も起きない。
「え……!?」二度目の困惑の呟きを漏らす。
そして、何も、魔法を放った事にすら気付かない様子で、女性はこちらに向かって何事か呟いている。
当然、彼に声は聞こえない。
そう術式を構成しているのだから。
何もこちらへ通さないようにしているのだから。
怪訝そうな顔で彼女は更に何か言うものの、アロンは驚き戸惑ってしまい、何も反応をしないでいると、
ゴヅン、ゴヅン、と、しぴれを切らした女性は結界を殴りつけ始めた。
ありえない。
殴ってそんな音がするわけがない。
少年は思うものの、彼の目の前で現実に起こっているのだ。
認めざるを得ない。
ピシリと一筋亀裂が入ると、それが何かの合図だったかのように結界が破れはじめた。
パリパリパリ、と、この世の物ならざる音が響いて、結界が完全に消滅した。
空間が繋がるその衝撃でアロンは吹き飛ばされ、燭台や本の山に突っ込んだ。
女性は無造作に魔方陣から足を踏み出すと、意識を朦朧とさせる少年をつまみあげた。
「なんだ? これは。
そしてここはどこだ?」
彼女はテレキネシスで長い髪を操作し、少年の身体を縛り上げながら彼女は質問した。
「君は誰だ? 坊や……?」
「ひ、ひぃ」頬を打たれ、気が付いたアロンは目の前の姿に悲鳴を上げた。
大きい。身体が動かない。
非の打ち所なく美しいその姿だからこそ、恐ろしさがいや増す。
「答えなさい」「痛い!!」
髪の拘束はさらに強くなっていった。
「僕は召喚術師で、何かの偶然であなたを呼び出して、それだけで、それだけです……!!」
「ふむ、そうか」
少し、拘束が緩んだ。
「ならば何故戻さない、呼び出したなら戻せるだろう」
「それが、できないんです。
本当に、偶然なんですから"シルクさん"」
「何?」
女性の……シルクのまなじりが釣りあがった。
「何故知っている……!!!」
「見えるんだ……ですよ。
召喚術師は真の名とか、種族とか、見えるんです。
種族は、ク…ロ…クロウヘッド? ですか?」
聞いたことがないけど。とアロンは言うが、シルクはそれ所ではない。
アロンの知り得る事ではないが、幼名を呼ぶことは、最上位の侮辱なのだ。
しかも、"さん"付けするところが、更に彼女の逆鱗を刺激しているようだ。
キリキリと再び拘束を強め、柔らかな少年の身体が悲鳴を上げる。
「ひぎぃぃっ」と絞りつくす様な声を上げ、滑らかな肌に髪が絡みついた。
まるでその髪は細いワイヤーの様にきつく食い込み、血が滲んでいる箇所すらある。
「ごめんなさい、ごめんなさい。
勝手に真の名を呼んで、ごめんなさい」
うるさい。うるさい。うるさい!! そう言うかのようにシルクはアロンの着衣を引き裂いた。
上半身も下半身も丸裸にされ、微かに石鹸の香りがシルクの鼻腔をくすぐる。
さて、どうしてくれよう。そう攻撃的に睨む。が、彼女にもある異変が起こり始めていた。
身体が……熱い……?
驚きはするが、見当はついていた。きっと夕べに食べた竜の肝だ。
そうそう食べれるものではないと欲張ったばかりに、精が"付き過ぎた"と見える。
「少年、喜べ。快楽の中で縊り殺してやる」
そう呟く頃には、もう熱が頭にまで回り始めていた。
「猛れ、猛れ!! 出したモノは倍にして呉れてやる」
硬くも滑らかなシルクの尻尾が、アロンの幼い孔を蹂躙していた。
そのくびれた肉棒はアロンの前立腺を刺激し、意識が朦朧とするほど血液が陰茎に流れ込んでいた。
そしてその可愛らしいペニスを、ねっとりと熱いシルクの秘肉が絞り上げている。
普通の少年なら、いや、経験豊富な男でさえ、その快楽の瀑布には耐え切れず、脳が灼き切れてしまったろうが、
残念と言うべきか、彼は魔導師の位を持つ召喚術師であった。
精霊王すら使役する強靭な精神力はその殴打的な快楽に耐え、
一人で一つの騎士団に足る兵力を動かす並列思考能力は、全身から流れ込む幾つもの奔流を受止めていた。
と言っても、当然余裕があるわけも無いが。
「まだ壊れんか……気に入った」
大人と子供。その言葉が此れ程も似合う状況は無い。
少年としても小柄な部類の身体を、シルクは包み込むように、圧し掛かるように。
そもそも身近に男が居なかった性か、元々の嗜好か、オスとして成熟していないアロンを、貪るように求めていた。
「ひき、いや、ぁあうぅぅ!!
やめて、おかしくなっちゃう、僕キモチ良過ぎて、頭おかしくなっちゃうぅぅぅ!!」
襲われる生娘の如く、アロンは嬌声に似た悲鳴を上げ続けている。
体力的には、先ほどの尻尾を通じて全てが流れ出ると共に満たされている。
精を吸い取り殺すと言いながらも、シルクはこの行為を楽しむ心積もりらしい。
それほどに、竜の肝の引き起こした劣情は激しかった。
本格的に感じ始めた証拠に、シルクは汗の代わりに強力この上ない媚薬を分泌させていた。
枯れきった老人をも回春させ、命尽きるまで行為を続けたくなるような、そんな薬だ。
それがアロンの身体に染み渡り、全身を性感帯に仕立て上げ、空気が触れるだけでもがくがくと身もだえしてしまう程に開発していった。
どんな凄い学究の徒であっても、彼は"知りたがり"の歳である。
「あぎ、いぁ……ッ!!
出る、また出る。ぴゅるぴゅるしちゅう……ッッ!!」
メイドらの"スキンシップ"で解決されなかった精が爆発するのも当然か。
身体を引きちぎろうかと言う髪の拘束は、今や身体各所のポイントを甘やかに愛撫している。
身体の力はぐったりとして、首は仰臥して戻る気配は無い。
一方、自分の物だといっても、シルクにその媚薬が効かないと言うわけではない様で、シルクの肉壷もうねりを激しくしていった。
ある意味生理的に正しいのかもしれない。
彼女が"感じ"て具合をよくすれば、その分効率よく相手から搾り取れるのだから。
「おち…おにんにん……おちんちんおかしくなるよぅ」
「ふふ……希代の天才魔導師も、ヤワなものだな」
しかしながら、息を少し荒くしている他乱れる様子は無く、一連の行為の中で聞き出したのか、言葉も使ってアロンを責める。
「ほら、また私の中で君のモノが濁液を吐き出しているぞ?
何発目だ? 君は何発私に出した?」
そんなの、分かる訳ない。と少年が半狂乱で鳴くと、
「37発目だ。君は私の中に37回も子種を発射したのだ」
シルクは媚薬とも母乳ともつかない液体を巨大な乳の先から噴出させ、
ストローでジュースを飲む様に、小さなペニスから青臭い液を搾り出した。
そろそろ、少年の身体は意識を離れ、アトランダムに手足を痙攣させることだろう。
だが、力強い美肉でそれが受け止められ、その負荷[ストレス]が更なる快感に変換されることは目に見えていた。
ここで、二人の外の世界が少し動いた。
「アロン様……アロン様!?
悪魔!? 皆、アロン様が……!!」
騒ぎを聞きつけ、或いは波動のようなものを感じて、メイドたちが集まってきた。
寝巻きの上に、上半身だけ革の防具を付けたリオンが一番に顔を出す。
「離れなさい!!」
自前の剛槍を振り上げ、アロンの舌を嬲る様な接吻を続けるシルクの頭に容赦なく振り下ろした。
この勢いでも、アロンに当てる前に止める自身は十分にある。
そう自負するほどに、彼女は熟練した戦士だった。
しかし、「なにこれ、髪っ?」手持ち無沙汰になびいていたシルクの髪が雷光の様に蠢き、槍を受け止めた。
さすがに刃の部分は避けているが、槍はぴたりと止まって上にも横にも動かない。
「リオンさん、退いて!!」戸惑っている暇は無い。
おっとりとして蚊も殺せないような印象の娘……スアフが、巨大な金属塊を目の前に居る正体不明の女に振り下ろされた。
告白してしまえばアロンのことは考えてない。
その渾身の一撃を、シルクは軽々とかわした。
「人が楽しんでいるところに」
そう呟き、少年を抱えたまま威風堂々と彼女は立つ。
「出てきたらどうだ」抱えていない左腕を狙って不意打ちに放たれた電光の矢を手のひらでかき消し、
純粋な魔力による爆発でもって、逆に扉の陰の者達を暴いた。
「主を……貴様……許さん」無表情な中に怒りを宿し、フェミルが爆発の衝撃にのって飛び掛るが、今度もやはり無駄だ。
細身の片刃刀の刀身を摘んで止め、テレキネシスで吹き飛ばされる。
児戯に等しい。
そうシルクは断ずるが、この世の基準で言えば、常識はずれな強さを有する五人である。
相手が悪すぎたのだ。
時間差で攻撃を仕掛けたエィテットもあっさりと敗れ、壁を突き破って隣の部屋に沈んだ。
未だ痙攣するアロンを無造作に放り、残るメイド長ニードゥに歩み寄っていった。
「なんなのですか、貴方は!」気丈にも杖を振り上げて抵抗の意思を見せるが、
「ちょうどいい、お前達も相手をしろ」羽虫を退けるように杖を弾き、また再び髪で以ってメイド長の衣服を剥ぎ取った。
「その尻でこの召喚術師を誘惑したのか?」
薄絹のネグリジェが破り捨てられ、所謂Tバックの下着を強調するように尻を上向きにして足を開かせた。
ほんの少しだけ思考力が戻ってきたアロンが気付いたことは、元々長い髪が更に長くなり、それどころか身体自体が大きくなっていた事だ
。
そして、
(あれ、男の人の……!?)
と見間違えるのも無理は無い。
シルクの陰核は肥大し、ペニス状のモノに変化していた。
そして尻尾も禍々しく歪に変形し、根元から分化して触手上にのたくって、周りに横たわるメイドたちを持ち上げていった。
そして、アロンも例外ではなく。
女陰を模した触手の一端に幼茎を咥えられ、男根を模した触手を口とアナルとに突き入れられた。
「さあ、具合を見てみよう」
ああなんと淫靡な光景か。
紐状の下着を横にずらされ、凶器然としたクリトリスペニスを後孔に突き入れた。
今や部屋の空気と化した特製媚薬の効果だろう、愛汁と同じくらい分泌された腸液が潤滑油になり受け容れ、
意思とは無視してシルクの陰核に貪り齧り付いた。
手繰り寄せられた他のメイドたちも着ていた服を脱がされ、アロンと同じ、いや、更に機能を盛り込まれた一つの触手に股間を覆われ、蹂
躙されようとしていた。
「いひぎぃぃぃぃぃぃぃぃ!?」と一際大きく悲鳴を上げるのは、一番年が幼いスアフだろうか。
隠されたマゾヒストの性癖すら探り当てられて目隠しされ、尻孔を執拗に舐られるリオン、
過剰なまでに太い触手で膣口を拡張されるエィテットに、へそや足指の間、鎖骨や肋と言った変わった所でよがり狂うフェミル。
その混声合唱にかき消されて、それぞれの声は識別不可能だ。
今はまだ悲鳴に類する声も、じきに嬌声へと変わってゆくだろう。
確実に。絶対に。
彼女らの主、トーラスは、違う神を倒す戦へ召集され、兄と共に参幕する為に帰還の日は定まっていなかった。
「いやぁぁぁ!!!!!
死ぬッ! 気持ちヨすぎて頭オカシくなっちゃう!!」
誰とも分からないヨガリが響き、夜は更けていった。
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