SNOW WHITE   V



地下へと続く階段には明かりが灯されていた。
その先にある扉を見てテレジアは驚愕した。

ランプの朱色の光を、柔らかく散らす壮麗な銀細工。
それが扉いっぱいに、まるで物語のように刻みこまている。
テレジアの知る、あの赤く錆びた鉄の塊は一体なんだったのか?


マルガレーテがテレジアの表情を見て満足そうに微笑むと扉を静かに開けた。

その部屋は薄暗く赤紫の妖しい光に包まれていた。
部屋の空間を広く取るために、控えめに置かれた調度品は、どれも気品に溢れる物であった。
しかし棚や机の上に置かれている見たこともない道具や、壁にかかった黒い皮の塊はなんであろうか。
それにこの部屋は噎せ返るような熱気に溢れていた。まるで獣の口の中のように。


「あ〜暑い。服……脱ぎましょ。」
マルガレーテがスルリと修道服を脱ぎ捨てる。
黒く無粋な修道服の下には、煌びやかな純白の下着に包まれた、さらに白い裸体があった。
しかし肝心な胸や股間を覆う布は全く存在していなかった。

「これ……可愛いでしょ?フフフ。テレジア達に見せびらかしたくて仕方が無かったの。」
両手首に着いた赤いリボンを、猫の様な仕草でチラリと見せるとマルガレーテは舌をペロリと出した。
本来ならば微笑み返したりするのが道理なのだろうが
この部屋も……目の前の愛らしい美女も……
魔境の気配に満ちていた。


固まってしまったテレジアの横でナタリーが服を脱ぎ始めていた。
手品のように服を脱ぎ捨てたマルガレーテとは対照的に
その動作は野暮ったくぎこちない。

張りのある若い肉体が黒い布の間から現れる。
筋肉を感じさせない女の肉につつまれたナタリーはマルガレーテと比べるとやけに生生しかった。
修道服を着ているときは全くそんな気配を感じさせなかったが
全裸になったナタリーは胸も尻も、驚くほど豊満であった。

「ナタリーってすごいでしょ?この子、小さい頃から勉強の合間にオナニーばっかりしてて……」

「い……いやっ!言わないでっ!」
顔を真っ赤にして涙目になりながらマルガレーテにしがみつく。

「あっははっ!それでこんなにエッチな身体になっちゃったんだものね?」
マルガレーテが嗜虐的に笑いながら、縋りつくナタリの頭を撫でる。

「腿肉をすり合わせながらクリトリスを刺激して……大きなオッパイを夢中でこね回して……」
ナタリーがマルガレーテの胸の中で小さな悲鳴を上げる。

「神話にでてくるような気味の悪い怪物に無理やり犯されてるとこを想像して……」
マルガレーテの声がネットリと濡れてくる。

「無理やり感じさせられて何度もイっちゃう自分の姿を想像して……ね?素敵だったわよ……ナタリー。」
縋りつくナタリーの背中に白い腕を這わせる。だが淫らな行為に及ぶのは我慢しているようだ。

「テレジアも脱いでね。そこに貴方達に用意したドレスがあるわ。」
そこでナタリーの頭をチラリと見て、何かを思い出したように

「ああ。それとヴェールだけはちゃんとしててね?貴方達は迷える羊達を救う修道女様なんだから。」
クスリと微笑むと二人を黒い皮が架けてある服飾台の前まで導く。

「それじゃ……連れて来るから。」
と意味の判らない一言だけを残し、部屋の奥にある鉄格子の扉の向こうへと消えていった。





「あの……テレジアさん……?」
呆然としているテレジアに、ナタリーが初めて話かけてきた。

「マルガレーテとは……どういった関係なのですか?」
何か久しぶりにまともな会話を向けられたような気がした。

「し……知りません。昨日の夜、彼女が突然訪ねてきたんです。」
テレジアが目の前に架けられた黒い皮のタイツを見ながら呟く。

「人では……ないのですよね?あれは。」
テレジアが恐る恐るナタリーに問う。この女を信用しているワケではないが
頭の中に渦巻く疑問を少しでも抜かないと気が触れてしまいそうだ。

「あれは……帝領ではバイブルネイムズと呼ばれる……怪物です。」

バイブルネイムズ……『記された脅威』
聖書に登場する大悪魔の事である。
ナタリーの目には司祭殿に勤める者としての理知的な輝きがあった。
だがその輝きは恐怖に怯えた、か細いものであった。

『帝領名ベリアル。教皇領ではスノウホワイト。白雪姫と呼ばれています。』

彼女がマルガレーテと会ったのは一年前。
悪魔はあろうことか神学生の見習いとしてナタリーの元にやってきた少女であった。




かの大悪魔は日の光に燦然と輝く大聖堂で、その優美さに感動し涙すらしたという。

マルガレーテはナタリーに良くなついた。孤立しがちなナタリーはそんなマルガレーテを愛しく思った。
しかしマルガレーテのなつき方が、性行為を連想させるに至った時ナタリーに警戒心が宿った。
だが時すでに遅く……ナタリーはマルガレーテを恨めなくなってしまっていた。

顔を赤らめて性について質問してくるマルガレーテ。
ナタリーの警戒心はマルガレーテに対して最大限の抵抗を行ったが
性を知らない少女の無垢な顔が、初めての快感で喘ぎ狂うところを想像してしまうと
ナタリーの中に潜んでいた黒い蛇がゆっくりと目を覚ました……

嗜虐的な欲望を剥き出しにしたナタリーの瞳に、マルガレーテは怯えて逃げようとした。
しかし少女は捕えられ、真っ赤な唇を唾液で溺れそうになるまで陵辱された。
ナタリーは少女に蛇のように絡みつき、手足の自由を奪い、剥き出しのクリトリスを無茶苦茶にしゃぶり尽くす。

無理やりイカされるマルガレーテの痙攣が、ナタリーの肉に響き渡る度に、黒い蛇は無限に膨らんでいった。

気がついた時、目の前には何度も失禁したマルガレーテが唾液と尿と淫液に塗れて人形のようになっていた。



「し……調べれば調べるほど……あの女が魔物だと証明できる物が……私をあざ笑うかのように出てくるんです!」
テレジアに語るナタリーは震えていた。テレジアも恐怖で凍り付いていた。
「でも……でも……気がつくと……あの子を陵辱する事ばかり考えてるんですっ!ううっ……!!」





 許しを請うマルガレーテを、尻を突き出す格好で縛りつけ……目隠しをして美しい白い背中や尻を鞭で張る。
いつ来るか判らない痛みに怯えながれも、鞭で打たれる度に弾かれるように腰を浮かせ
膣からは淫らな液体を滲ませるマルガレーテ。

もっと……もっと……この少女を汚したい。尿をする度に絶頂に喘ぐような淫らな人形にしたい……









「テレジア様……私はもう……ダメです……マ……マルガレーテは……」
ナタリーが泣き崩れる。テレジアは動けない。

「マルガレーテは……私のお姫様なんです……離れられない……!」

脱力し、だらしなく開かれた脚の間の淫らな谷間からはマルガレーテに対する忠誠の証が溢れていた。




つづく




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