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大飯原発の断層 評価巡り再協議へ
11月4日 18時43分

国内で唯一運転している福井県の大飯原子力発電所の断層について、国の原子力規制委員会は、2日の現地調査を基に活断層かどうかを評価する会議を開きましたが、活断層かどうかを判断できなかったとして、評価する会議を今月7日に改めて開き、議論することになりました。

国の原子力規制委員会は、大飯原発の敷地を走る「F-6破砕帯」という断層が活断層かどうかを検証するため、島崎邦彦委員と学会から推薦された専門家の合わせて5人が2日、現地調査を行い、4日、調査結果を評価する会議を開きました。
議論では、変動地形学が専門で東洋大学の渡辺満久教授が「上にある堆積物の年代の分析などから断層は、12万年前から13万年前以降に動いた活断層であると判断した。『まだ早い』とか『慎重に』という意見はいらないと思う」と主張しました。
これに対し、日本活断層学会の元会長で立命館大学の岡田篤正教授が「『地層のずれ』は地滑りでも起きるので、活断層による『断層運動』とは即座に判断できない。やや広い目で見ないと全体像は分からないし、特定の要素だけで先走って結論づけるのは危険だ」と訴え、専門家で評価が分かれました。
このあと、島崎委員は「おそらく12万5000年前ころにできたとみられる地層がずれていて、原因は『活断層』か『地滑り』の可能性が考えられるが、それ以上の判断は無理そうである」と述べて、評価する会議を今月7日に改めて開き、議論することを決めました。
今月7日の会議では、関西電力から改めて説明を聞くことにしています。
国の指針では、活断層の真上に原発の重要な設備を設置することを認めておらず、「F-6破砕帯」が活断層だと判断された場合、規制委員会は大飯原発の運転停止を求める考えを示しています。
規制委員会は、大飯原発のほかに、石川県の志賀原発や青森県の東通原発など5か所の原発でも断層の現地調査を行う計画で、次回の大飯原発の評価の会議で、どのような科学的な根拠を基に判断を示すのかが注目されます。

島崎委員“再度の現地調査ありうる”

会議のあと記者団の取材に応じた、島崎委員は、次回、7日の会合で結論を出すのかどうかの質問に対し、「それは開いてみてからだ。即座に決めることも科学的に時間をかけて決めることも、両方の考え方がある」と述べました。
そのうえで追加調査の可能性について、島崎委員は「日程からいうと難しいが、個別に調査をすることはあるかもしれない」と述べ、規制委員会として現地調査を再度行うこともありうるという考えを示しました。

おおい町長“しっかりと調査を”

大飯原発の断層を巡り国の原子力規制委員会が今月7日に改めて議論することになったことについて、おおい町の時岡忍町長は「大飯原発が立地する町としては、公平公正に調査されることが住民の安全・安心に直結するので、しっかりと調査してもらいたい」とするコメントを発表しました。

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