最近発表された現代自動車と起亜自動車の7-9月期の実績について、市場では「当初の期待を下回っている」との声が上がっている。現代自の営業マージン(売り上げに占める営業利益の割合)は10.5%と、相変わらず業界では最高水準だ。起亜自も昨年同期に比べて当期純利益が28%増となるなど、客観的には悪くない成績を収めた。
しかし、現代・起亜自はここ3年間、世界経済が停滞すればするほど競合メーカーとは違って予想を上回る実績を計上してきただけに、今回に関しては投資家たちの失望が大きいとの意見が多い。
現代・起亜自は、年間販売目標の700万台突破は堅いとの見方を示している。問題はその後だ。起亜自は当初、来年ごろには年間300万台の生産体制を構築するものと予想されていた。しかし、昼間連続2交代制の実施などにより勤務時間が減ったことで、この目標を1年先送りすることになった。
また、来年は現代・起亜自が発売する新型モデルの数が足りなくなるとされている。中国やブラジルなどの新興市場での競合メーカーの生産能力は今も拡大し続けている。
このように先行きが不透明なため、現代自と起亜自の先月26日の株価は、今年5月に記録した最高値に比べてそれぞれ16.9%、26.5%下落して取引を終えた。
■世界の3大自動車メーカーは成長に拍車
今年に入り9月までに現代・起亜自が世界で販売した自動車は約519万台で、昨年に比べて8%増となった。今夏は労組による40日間のストライキがあり、7-9月期の国内生産台数は昨年に比べて10万台近く落ち込んだものの、海外工場での生産台数が10万台増となり、国内でのマイナス分を海外で打ち消す形となった。今年の上半期に築き上げた歴代最高実績のおかげで、累積販売台数が増えたのだ。
トヨタやフォルクスワーゲンなど世界上位クラスのメーカーの販売台数の増加率は、現代・起亜自を大幅に上回った。日本のトヨタグループの年初から9月までの販売台数は、昨年に比べて28%増の740万台となった。年間販売台数で世界トップに躍り出るのはほぼ間違いないと思われる。中国と日本の領土紛争の影響で販売台数がやや減少したものの、年初に掲げた年間販売台数1000万台突破という目標は小幅修正する程度で済みそうだ。
ドイツのフォルクスワーゲングループも、販売台数が690万台となり、昨年同期比で11%増となった。ポルシェやアウディなどの高級ブランドが新興市場で良い実績を計上したためだ。
ゼネラルモーターズ(GM)は昨年に比べ2.5%増の695万台となった。米国ではシェアを落としたものの、中国をはじめとするその他の市場で善戦した。世界の3大自動車メーカーが激しい競争を繰り広げていることが、3社全てに肯定的な影響を与えた格好だ。