68年ぶりの解読:英民家煙突から軍鳩の骨と暗号文発見
毎日新聞 2012年11月03日 22時12分(最終更新 11月04日 00時57分)
【ロンドン小倉孝保】第二次世界大戦の連合軍によるノルマンディー上陸作戦(1944年6月)の際、ナチス・ドイツ占領下のフランスから放たれたとみられる英空軍の軍鳩(ぐんきゅう)(伝書バト)の骨が英国の民家で見つかった。ハトには暗号が付けられ、英国立暗号センターで68年ぶりの解読作業が始まった。
英南部ブレッチングリーに住むデビッド・マーチンさん(74)宅で、改築のため暖炉を壊そうとしたところ、煙突内側から見つかった。脚に小さな赤いカプセルが付けられ、中の薄紙に通信文(暗号)が書かれてあった。
差出人は「W・Stot」で英空軍所属の軍曹。宛先は「XO2」とあり爆弾司令部を意味するという。暗号は計27の文字列で構成されている。英メディアによると、仏ノルマンディー地方から英バッキンガムシャーの暗号センターに向け放たれたハトが、気象条件など何らかの事情で疲れて煙突に入った可能性が高いという。
英王立伝書バトレース協会によると、軍鳩の骨から約30の通信文が見つかっているが暗号通信文の発見は初めて。極秘情報だった可能性が高いといい、早くも爆撃を依頼する内容だったのではなどの観測が飛んでいる。
英軍は当時、通信用に約25万羽の軍鳩を使っていた。軍鳩は約1100キロ先までの飛行が可能という。仏ノルマンディー地方からマーチンさん宅までは約150キロ。そこから暗号センターまでは約130キロだった。