◇WBC世界フライ級&バンタム級タイトルマッチ
WBCダブル世界戦はともに王者が防衛した。バンタム級王者の山中慎介(30)=帝拳=は、同級7位で元WBCスーパーフライ級王者のトマス・ロハス(32)=メキシコ=に7回36秒のKO勝ちで2度目の防衛に成功。フライ級王者の五十嵐俊幸(28)=帝拳=が同級7位のネストール・ナルバエス(30)=アルゼンチン=に2−0の判定勝ちで初防衛した。
背筋が凍るような衝撃的なKO勝ちだ。7回、山中の5連打がさく裂した。とどめの左ストレートがあごを打ち抜くと、ロハスは糸の切れた人形のように前に崩れ落ちた。用意された担架こそ使われなかったが、5分以上も立ち上がることができなかった。
「チャンピオンのままで子供に会いに行ける。豪ちゃんと沙也乃、待っとれよ。迎えに行くから」。去る10月4日に第1子の豪祐(ごうすけ)クンが誕生。夫人の実家・沖縄で過ごす愛息と夫人の名前を口にして誇らしげに胸を張った。
この日朝は、夫人からメールで送られてきた愛息の写真を眺めて闘志を奮い立たせた。「豪祐が見てるんだろ。ゴー」と叫んだ大和心トレーナーのKO指令に、7回に見事にこたえた。
4月の初防衛戦ではビッグネームのダルチニャンを撃破。そして、2度の世界王者獲得の実績があるロハスに完勝。「もっと強い相手とやりたい。そして、海外でも名を売りたい」と山中。豪祐クンがパパの偉大さが分かるようになるまで、負けるわけにはいかない。
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