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【プロ野球】

巨人3年ぶり22度目の日本一 原監督は11度、宙に舞う

2012年11月4日 紙面から

巨人−日本ハム 3年ぶり22度目の日本シリーズ優勝を決め、胴上げされる巨人の原監督(斉藤直己撮影)=東京ドームで

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◇コナミ日本シリーズ2012<第6戦> 巨人4−3日本ハム

 巨人3年ぶり22度目の日本一奪取−。「コナミ日本シリーズ2012」第6戦(東京ドーム)は3日、3勝2敗で王手をかけていた巨人が4−3の接戦で日本ハムに快勝。巨人・原辰徳監督(54)がレギュラーシーズン、クライマックスシリーズ(CS)に続き、今季3度目の胴上げが実現した。なお、最優秀選手賞(MVP)には今シリーズ2勝を挙げた巨人・内海哲也投手(30)が選ばれた。

 ついに取り返した。3年ぶりの日本一だ。原監督が11度、宙に舞う。リーグ制覇の8度、クライマックスシリーズ・ファイナルステージは10度。それを1度だけ上回る回数には「V1」の意味があった。万感の思いが込み上げる。指揮官として3度目の頂点。本拠地東京ドームでは初めての胴上げだ。

 「最後の山、日本シリーズを制することができました。選手たちが堂々と戦ってくれて日本一の栄冠を勝ち取れたことに関しては大変、大変、満足しています。私にとっても最高の1年になりました」。目に涙を浮かべ、一つ一つの言葉に気持ちを込めた。

 「七転び八起き」の日本一ロードが完結した。押し込まれても、押し返す。原監督の言葉を借りれば「最初に2、3発殴られる」。目が覚め、一気に快走。両リーグ王者の激突となった日本シリーズでの戦いも、筋道は同じだった。

 本拠地で2連勝。敵地で2連敗。阿部の負傷もあった。しかし、慌てることはない。チーム関係者は口々に言った。「あそこで3連敗したことに比べたら大したことはない」。ファイナルステージの中日戦での苦闘が自信の源だった。

 シリーズの開幕前、原監督は「日本シリーズは異次元の戦い」と表現。ともに2つの山を越えている。過度な緊張感はない。両リーグの代表としてのプライドをかけた勝負に没頭できるということだ。「どんなことが起きても不思議ではない。どんなことが起きても動揺してはいけない」。阿部の負傷を予期したわけではない。しかし、指揮官が「慎之助のチーム」と信頼を寄せる大黒柱の穴は純粋に戦力面だけでも大きかった。

 ただ、今季の巨人にはチームプレーの原点が染み込んでいた。「誰かが欠けたら、誰かがカバーする」。投手陣では、左肩痛の杉内がポストシーズンでの登板を回避した影響を感じさせなかった。阿部が欠場しても実松、そして“疑惑の判定”で大ブーイングを浴びた加藤が味のある働きを見せた。

 かつては大砲ばかりを獲得し、個人プレーに頼る傾向が強かった。今は違う。阿部、内海、坂本、長野ら生え抜き組が中心となり、臨機応変に戦う。決して完成品ではない。それでも、監督としての9シーズンで磨き上げてきた現時点での結晶ではある。

 選手の起用、采配は円熟味を帯びた。財産となっているのは、09年のWBCでの戦いだ。「異次元の上の言葉を使いたいぐらい。思い出したくないほどの勝負だった」。国内外での修羅場をくぐり、名将の域に足を踏み入れた。

 ただ、これが原巨人の終着点ではない。「このチームには可能性がある。まだ成長を続けている」。未完成だからこそ楽しみが残る。「奪回」ではなく「スタート」。新たな伝説の幕開けだ。 (井上学)

 

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