【北野隆一、島康彦】文化勲章の親授式が3日、皇居・宮殿松の間であり、ノーベル医学生理学賞を受賞する山中伸弥・京都大教授(50)や映画監督の山田洋次さん(81)ら6人に天皇陛下から勲章が手渡された。
ほかの受章者は国際法学の小田滋さん(88)▽日本画家の松尾敏男さん(86)▽植物分子細胞生物学の山田康之さん(81)▽美術評論家の高階秀爾(たかしなしゅうじ)さん(80)。受章者を代表して小田さんが「それぞれの分野で一層精進を重ねる決意です」と述べると、天皇陛下は「学問、芸術で大きな成果を収め、文化の向上に尽くされたことを誠に喜ばしく思います」と受章者をたたえ、山中さんに「ノーベル賞受賞おめでとう」と声をかけた。
式典後の記者会見で山中さんは「陛下に直接言われて感激です。ノーベル賞も光栄だが、日本で研究した日本国民として、きょうは一番光栄な瞬間」と語った。山中さんが奈良先端科学技術大学院大学の助教授に採用された当時の学長だった山田康之さんは「山中先生と一緒に文化勲章をちょうだいしたことは無上の光栄」と喜んだ。山中さんも「研究室を持たせていただき、山田先生に『好きに使いなさい』と言われて研究を始めたことが今日につながった」と感謝していた。
山田洋次さんは「集団芸術である映画界を代表しての名誉と自分に言い聞かせている」と述べた。「寅さんならどう言うと思うか」との質問には「あまりに遠い世界。『うそだろう。冗談言いやがって』と言うでしょうね」と答えた。
高階さんは「美術評論は大事だと認めていただき、うれしい」。松尾さんは「これからも生きている限り描き続けたい」と語った。