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【神奈川】幸区の小学校で高線量か 学校、再計測なく土撤去川崎市幸区の西御幸小学校で10月末、放射線量が市の除染目安の毎時0・19マイクロシーベルトを超すホットスポットを同区の男性会社員(49)が見つけ、学校が再計測なしに現場の土を撤去していたことが分かった。福島第一原発事故の後、市は市民から高線量の通報を受けた場合、市でも計測してから対処しており、手順が踏まれなかったことに戸惑いの声も出ている。 (山本哲正) 市教育委員会指導課によると、会社員は十月二十九日、校門に近い校内の側溝近くの地面で、同〇・四二二マイクロシーベルトを計測した。 同校はこの二週間前、別の市民からほぼ同じ場所で同〇・一マイクロシーベルト(地上一メートル)を計測したとの連絡を受けて市教委に相談。「〇・一マイクロシーベルトなら問題はないが、心配なら掃除しては」と助言を受けたが、今回は市教委と調整する前に土を現場から取り去った。撤去した土は元の状態とは違うため線量は調べない方針。川崎区浮島町で一時保管するという。 指導課は「『掃除したら』と言ってあったので問題ない」としている。市放射線安全推進室も「〇・四マイクロシーベルト超なら撤去対象になるだろう」としつつ、「速やかな除去はよいが、きちんと確認すべきではなかったか」と疑問を呈す。 母親の立場から自主計測している同市の女性は「一時は除去した土の行方まで心配した。ホットスポットがあった現実を、せめて西御幸小の保護者には説明してほしい」と望み、こう付け加える。 「あれだけの事故だから汚染はあって当たり前。これからもホットスポットは見つかると思うが、各校には冷静な対処を求めたい」 福島第一原発事故から、間もなく一年八カ月。ホットスポットは今夏以降も市内で見つかっている。 学校や公園などでは昨年六月、さらに十〜十一月に市が一斉調査したが、各施設の調査箇所は十カ所未満がほとんど。原発事故で降り積もった放射性物質の一部を洗い流す雨水が集まりやすい地点の数に追いつかないのが実情だ。 西御幸小のケースは会社員の自主的な計測だった。同校児童の保護者ではなく、計測に校長の了解も得ていなかった。指導課は、この了解を得ない計測を問題視する。学校の安全のほか、放射能対策をうたう商品セールスを懸念する声もあり、外部の市民の調査については「校長の判断」としている。 市民の自主測定では成果が出ている。昨夏には平間公園(中原区)などでホットスポットを見つけ、市が昨秋、初めてホットスポットを意識した一斉調査に乗り出すきっかけになった。 放射線安全推進室は、公園や道路の高線量の通報を受けることは「非常に参考になる」として、測定器の無料貸し出しもしている。が、西御幸小のケースに、同室は「学校は誰もが自由に出入りする場所でなく、微妙だ」と評価を避けた。 保護者には、市教委や学校側に「昨年の調査で対策済みとしているのでは」との印象を持ち、「新たな測定を求めるとにらまれないか」とちゅうちょする声もある。 同校で測った会社員は「門に近いとはいえ、黙って測ったのはまずかった。ただ子どもたちのためには、放射性物質が濃縮された場所が新たに見つからないよう、しっかりした調査を今後もしてほしい」と話している。 PR情報
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