伊賀の宿題:2012市長選/3 がれき 宙に浮く受け入れ議論 /三重

毎日新聞 2012年11月03日 地方版

 東日本大震災によるがれきの広域処理問題に、遠く離れた伊賀地域が直面したのは6月中旬。伊賀、名張両市でつくる伊賀南部環境衛生組合が、国と県の要請に基づき、がれき受け入れについて住民説明会を開く方針を決めたのだ。「なぜ、まず地元に相談がないのか」。最初に掛け違ったボタンはいまだ解けないまま、受け入れ議論は宙に浮いている。

 同組合が運営する伊賀南部クリーンセンター(伊賀市奥鹿野)。組合はセンター建設時に、地元5地区と「名張市と旧青山町以外のゴミは持ち込まない」との協定を結んだ。地元の同意が得られないと、処理は実現しない。

 県や両市は3回にわたって住民説明会などを開き、がれきの安全性を強調してきたが、住民側は反発。「農産物の風評被害はいったん起きると、回復不可能だ。どう対応するのか」との住民の詰問に、行政側は「不評被害を招かないよう啓発に努める」といった答えしか示せなかった。

 「センターの立地に協力してきたのに、なぜ地元への説明が後回しなのか」。意思疎通の行き違いに根ざした反発も相次いだ。住民の理解は深まるどころか、地元を含む阿保地区住民自治協議会は8月、受け入れ反対を決議。高山泉会長は「協定がある以上、受け入れは認められない」と主張する。

 一方、鈴木英敬知事は8月、岩手県久慈市の震災がれき2000トンの受け入れを表明した。久慈市は、福島第1原発から300キロで、東京よりも原発から遠い。市生活環境課によると、約6万トンのがれきが市内の仮置き場に積み上げられている。うち可燃物は約1万トン。同月、現地で三重県が実施した測定で、放射性セシウムは「不検出」レベル。岩手県内で処理できる同市の可燃ごみは1日約10トン程度が限界という。同課は「処理できないと復興が進まない」と苦悩する。

 伊賀市民にも「安全ならば、復興のため国を挙げて処理を進めるべきだ」との意見もある。被災地で計4回、ボランティア活動をしたという同市の男性(52)は、昨年9月の台風12号被害で紀宝町などでも活動。「改めて感じるのは『明日は我が身』ということです」

 受け入れへの環境整備には、もう一つの障壁がある。県は7月、がれき焼却灰の受け入れを三重中央開発(伊賀市予野)に要請。だが、いまだ「地元住民と調整中」(県環境生活部)のままだ。

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