フィギュアスケートのグランプリ(GP)シリーズ第3戦中国杯が2日、中国・上海で開幕し、浅田真央(22=中京大)はショートプログラム(SP)で62・89点の2位につけた。大きなミスはなく、上々の発進。ここ2年続いた不振からようやく目覚めたのか。本紙の取材では、すでに真央は“昨季のトラウマ”からの脱出に成功したという。
真央は晴れ晴れとした表情で振り返った。
「滑った感じはよかった。フリーにつながるSPだと思った。初披露で緊張しましたが、満足です」
冒頭のダブルアクセルは流れのある大きなジャンプで無事に着氷。続くトリプルフリップとダブルループで回転不足を取られたものの、SP曲「I Got Rhythm」の小気味良いリズムに乗ってステップも華麗にこなした。演技を終えた瞬間は安堵したかのような笑顔を浮かべた。
首位はロシアの新星ユリア・リプニツカヤ(14)に0・17点差で譲ったが、2位と好発進。ここ2年の世界選手権で連続6位と低迷していた真央に、復活の兆しが見えたのか。真央と親しい関係者はこう指摘する。
「本当はね、言われている以上に佐藤コーチの考え方やプランが浸透してきているんですよ。トリプルアクセルをしないのも本人は納得済み。昨季は不本意な結果に終わったけど、愛するお母さん(匡子さん)が昨年12月に亡くなったんだから、仕方がない。今はもう『自分がスランプになっている』というトラウマはないと思う」
不振のあまり昨季終了後は、初めて真央はフィギュアスケートを辞めようと思ったという。そんな中で、ハンガリーに3週間滞在し、バレエの名伯楽ゾルタン・ナジ氏の指導を受けたり、日本の森林リゾートで乗馬を楽しみ、温泉を堪能するなど静養に努めた。心身を一度リセットすることで、切り替えることができたようだ。
復活への萌芽は、先月6日の「ジャパンオープン」で出てきた。演技はまずまずの出来で、佐藤信夫コーチの妻・久美子コーチ(66)は「もっと普段の練習ではできているのになあ」と言いながら「今後は良くなる」と確信したという。前出の関係者も「もっとスピードが欲しいけど、前よりはコントロールできている。ソチ五輪には間に合うんじゃないかな」と太鼓判を押した。
再度の休養を表明した安藤美姫(24=トヨタ自動車)の去就は不透明。また、若手の村上佳菜子(17=中京大中京高)ののびしろがイマイチだけに、真央への期待は自然と大きくなる。まだ油断はできないものの、日本フィギュア界は新生・真央にかけるしかない。
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