田中ロミオがメジャーになる契機っていくつかありましたね。
デビュー作の『加奈~いもうと~』がNews23でとりあげられ、
韓流ドラマにもパクられた件。
泣きゲー&「妹萌え」の黎明期の傑作としてもよく言及される件。
口コミと奈須きのこら業界人の絶賛により『CROSS†CHANNEL』が傑作として語り継がれるようになった件。
2005年頃、『CROSS†CHANNEL』のキャラを使ったフラッシュゲーム
『NANACA†CRASH』がブレイクした件(2012年11月現在でもうすぐ2000万ヒットになる模様)。
『CROSS†CHANNEL』に無茶苦茶似ている作品がケータイ小説大賞かなんかをとった件。
2009年に娘に『加奈』と名前をつけた父親の話がまとめブログでとりあげられた件あたりの話が有名でしょうか。
ライトノベル進出以降なら『人類は衰退しました』がアニメ化、『AURA~魔竜院光牙最後の闘い』も映画化&『中二病でも恋がしたい』の元ネタ疑惑…といろいろな現象の震源地になってますね。
作品自体の素晴らしさもさることながら、やっぱりその作品によって世の中にどんな影響を与えたか、でメジャー度って測られると思います。
なんだけど、作家本人の知名度はともかく、エロゲ出身作家で言うなら『Fate』の奈須きのこや『まどか☆マギカ』の虚淵玄、『Air』の麻枝准、『リリカルなのは』の都築真紀あたりの作家と比すると、作品自体の知名度はまだまだ一般的とは言えないような気がします。
上で挙げた作品以外にも『家族計画』や『最果てのイマ』はギャルゲーの歴史に残る傑作で、手がける作品のジャンルの広さも特筆すべき点だと思います。
オタク業界でメジャーになるって言うのは要するに作品が複数のメディアでメディアミックスされて大ヒットする、ということなのだと思いますが、ラノベ進出以前の田中ロミオの作品は何故か一切メディアミックスされていないんですよね。
彼の本領ってまさにそこで描かれた作品群にあると思うのだけれども。
ラノベ以降の作品『人類は衰退しました』『AURA~魔竜院光牙最後の闘い』も優れた作品だとは思うけれども、わりとシニカルな作風なので爆発的なヒットを記録できるかというと微妙だと思います。
まあ、これから先どんな名作を生み出すかわからないけど、とりあえず今のところ世に出た作品で言うなら『加奈』なんかは短くまとめられるし、号泣必至のストーリーなんで、アニメにしやすいと思うんですけどね。
個人的には『CROSS†CHANNEL』か『最果てのイマ』のアニメ化を強く希望しますが。
田中ロミオの作家性って「孤独」だと思います。
幅広いジャンルの物語を書いているけど、通底しているテーマは人との繋がりをどうやって構築すべきか、ということについての畏れのようなものが丁寧に描かれていて、そのことに自覚的な主人公の話が多いです。
人は孤独な時もあれば孤独でない時もあるし、「人は一人じゃない」とか「人間とは孤独なものである」とか、簡単に決めつけることの出来ない問題ですが、彼の作品では様々なアプローチで「孤独」であることの意味を執拗に描いていて、その自覚のありように胸を打たれます。
「少年の成長」とか「世界の救済」とかそういうわかりやすいテーマも扱っているんだけど、その奥にある暗い部分が、カルト的な人気を得る一方でメジャー化を阻害している要因になっているのかな、と。
でも、好きな作家が評価されるのは単純に嬉しいことなので、まだ田中ロミオを知らない人やラノベ作家の田中ロミオしか知らない人はとりあえず、『加奈~いもうと~』か『CROSS†CHANNEL』あたりから手をつけてみてください。
とりあえず来年の『AURA~魔竜院光牙最後の闘い』がヒットするよう祈りましょう。
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