発声練習

2012-02-22

[] 9割が留年するシステムにしたほうが良いと思う

教育×破壊的イノベーション 教育現場を抜本的に変革するヤバい経済学」の中に留年制度を導入すると実はまずいという調査結果があったように思う。一方で、ちゃんと勉強すべきことが勉強できていないというのも問題であると感じている。

「留年した」という事実がネガティブに働き、学習に対する忌避感を誘ってしまうのが問題のひとつだと思うので、この事実の受け取り方を緩和するような仕組みにしたらよいのではないかと思う。具体的には以下のようにしたらよいのではないかと。

  1. 科目ごと、さらには単元ごとに単位制にする
  2. 小学校、中学校、高校までを一元化し、授業ごとにいろんな年代が入り混じるようにする
  3. テストによる単位挽回法を提供する(授業うけなくても、試験で一発合格させる)
  4. 小学校低学年(3年生くらい)までは年齢とともに進級させる(生活のベース確保および集団行動の練習のため)
  5. 年齢が関係ない関係ある科目(体育など)を除き、飛び級を許す

このように単元ごとに単位制にすれば、人間には得意不得意があるのでほとんどの人が単位を落とし、「留年する」という意味より「落第する」という意味になるのではないかと。

こういうシステムだったら、たぶん、私は鉄棒の逆上がりができなくて今でも小学生だな。

追記:OECD「教育の公平性と質−恵まれない生徒や学校に対する支援」

毎日新聞 留年:OECDが廃止求める提言で紹介されているOECD「教育の公平性と質−恵まれない生徒や学校に対する支援」の日本語サマリーから該当部分を転載。

1. 留年の廃止

留年はコストがかかる上、教育成果の引き上げという点でも効果的ではない。留年を減らすための代替策としては、学年中に学習格差の解消に取り組むことによる留年の防止、自動進級制や落第科目の限定留年制、留年に対する社会の意識改革などが挙げられる。これらの代替策を支援するには、補完的政策によって、生徒の学習ニーズに適切に応えられるよう学校や教師の能力を高め、早期に定期的に、そしてタイムリーに支援を行う必要がある。留年率を引き下げるには、学校や社会全体がそのコストや生徒に対する悪影響について意識を高め、目標を設定し、学校へのインセンティブを連動させる必要もある。

この日本語サマリーによると、この報告書の主体は高校(後期中等教育)までのドロップアウトをどうやって防ぐかというところに主題が置かれている。ドロップアウトを防ぐことが、社会全体として、あるいは、長期的にみて、教育への効率的な公金投入になると主張している。「2. 早期進路選択の回避と後期中等教育への進学生選抜の延期」と「5. 後期中等教育における進学コースと職業教育コースを同等化して修了させる

」の提言を勘案しても、このエントリーで書いた小学校、中学校、高校までを一元化するのが良いのではないのかなと思う。

追記2:フィンランドにおける留年の意味

コメント欄で教えていただいた。

また、一緒に来日したユバスキュラ大学のヨウニ・ヴァリジャービ教授(ユバスキュラ大学:教育研究所)も、「生徒が自身の学習能力を自己認識することは、学業成績に大きく影響することであり極めて重要である。生徒が自身を敗者だと認めれば、本来の学習能力に関わりなく、ふるまいも敗者のそれになることが多い」と述べています。

フィンランドの教育でわが国と極めて異なるのは、9年間の義務教育の後に「もう一年履修することができる」期間があることです。将来に向けて勉強してきたけれども、まだ基礎学力が身についていないと思われる子どもが勉強する仕組みです。

ただ、フィンランドの特徴的なところは、この子どもを「落第」と見ないで「他人よりも1年間長くよく頑張ったね」と賞賛し認めることです。落第が重要ではなく、留年してでも力をつけることを重視しているのです。

tori11tori11 2012/02/23 09:14 そもそもこの留年システムの成功事例がどこで確認されていますか?橋本氏と一部の方々の偏見のように思います。橋本氏の意見は影響力があり、有能な方だと思いますがが、教育のプロの意見ではないと思います。
その時代の最適な教育というものがありますが、秋田やフィンランドのような教育が盛んな地域や国が、はたして強制力を使った教育であるか確認する必要があります。

留年システムよりも、教える立場の方々は本職よりも書類の作成に忙殺されている話はよく聞くので、生徒に教える時間を作るような時間の余裕を作るか、教員数を増やすべきだと思います。

tori11tori11 2012/02/23 22:39 先ほど留年システムとはどうなのか、というようような旨で書き込みましたが、私も調査不足でした。カナダで取り入れて成果を出しているそうです。

ただし、制度を変えても、最終的な問題は教育の中身の見直しに行きつくということは変わりません。

next49next49 2012/02/24 19:05 tori11 さん

やばい経済学で留年はいまいちな制度であるとかかれていましたので、留年がうまくないのは
理解しています。一方で、教えるべきことが高校までの間に身についていないというのも事実ですので
このエントリーのようなアイデアを出してみました。

数学とかは積み上げ型の教科と思われていますが、分野によっては一からスタートという
のもありますので、単元ごとに判定して、落第したらやり直しというのがよいのではないかと
思っています。個々人で得意不得意がありますから何かしら単元ごとに落第するはずで、
「わかるまで学ぶ」というのは恥ずかしくないことになると思ったからです。

tori11tori11 2012/02/24 23:11 >next49さん

>「わかるまで学ぶ」というのは恥ずかしくないことになると思ったからです。

確かにそう思ます。
しかし、小学生が落第の深刻差を初めから理解するのかが気になりました。自我の発達を考慮すると、私たちと受け入れ方が違うはずですので。
すでに行われているかもしれませんが、小学校から再試の義務化でもいいと思います。
考えすぎかもしれませんが、落第の有無で同年代の中で溝が生まれることも危惧しています。

いろいろ考えてますが、絞って書きました。

関連して他学科の教員と話したレポート再提出について紹介します。
その教員が学生時代のときにレポートは返却され、何度も書き方の再検討を行うことが普通だったことを教わりました。
今の大学では訓練する場や客観的に能力を計る機会が卒論執筆までありません(ちなみに自分の所属している研究室は卒論の点検は出来に関係なく三度までというルールがあります)。
正直、自分の執筆や後輩の執筆の大変さから、なぜ訓練のようなことを前もって大学のカリキュラムでやらないのかと思います。手間の問題なんですかね。


どうあれ、next49さんの「わかるまで学ぶ」というのは恥ずかしくないという意見は、人に教える意味でも、自分で能力を獲得するためにも必要であると考えます。

wd0wd0 2012/02/25 16:06 学習指導要領を読んでいただくとわかりますが、中学・高校の数学と理科では、何を単元とするかがぐだぐだになっています。微積分が三次以下の多項式と一般の初等関数に分割されていたり、0°から90°までの三角比と一般角の三角関数の間に0°から180°までの三角法があったり。これを放置して単元ごとの単位制を導入すると、全体がぐだぐだになります。

まずは、ぐだぐだな学習指導要領を現場の先生の工夫で乗り切っている現状をなんとかしない限り、単元ごとの単位制を導入するとシステムが崩壊するでしょう。単元ごとに分断されると、全体を見通した工夫ができませんから。

アシンメトリーアシンメトリー 2012/02/25 19:14 橋下市長さんに提案したとされる尾木直樹氏はフィンランドをモデルにしてるかもしれません。教育モデルとしてフィンランドをよく挙げていたようなので。

フィンランド 留年で検索するといろいろ出来てます。

next49next49 2012/02/26 01:30 wd0さん

そうなんですか。留年の制度をいれるにせよいれないにせよ
単元の整理があった方がよいですね。

next49next49 2012/02/26 01:31 アシンメトリーさん

フィンランドは留年制度をいれているのですね。
ただ、意味合いは違うようですが。

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