文科相 3大学の開設認可を見送り11月2日 14時13分
田中文部科学大臣は記者会見で、大学などの開設の認可の在り方を抜本的に見直したいとして、文部科学省の審議会が来年春の開設を認可すると答申した秋田市、札幌市、愛知県岡崎市の3つの大学の認可を見送ったことを明らかにしました。
田中文部科学大臣が認可を見送ったのは、秋田市の秋田公立美術大学、札幌市の札幌保健医療大学、それに、愛知県岡崎市の岡崎女子大学です。3つの大学について、有識者でつくる文部科学省の「大学設置・学校法人審議会」は1日、来年春からの開設を認可すると答申しましたが、田中大臣は、大学などの開設をこの審議会に諮問している現在の在り方を抜本的に見直したいとしたうえで、開設の認可を見送りました。
文部科学省は、群馬県高崎市の「創造学園大学」などを運営している学校法人に対し、経営に必要な財産を持っていないなど法律に違反しているとして、来年3月までに解散命令を出すことにしています。
これに関連して、田中文部科学大臣は記者会見で、「これまでと同じように審議会にお任せするのがいいかどうかは、火を見るよりも明らかだ。多様な視点で判断してもらえる人選を行うなど、ありようを抜本的に見直したい」と述べました。
文部科学省によりますと、審議会が認可を答申した大学などの開設が、文部科学大臣の判断で「不認可」となった例は、少なくとも過去30年間はないということです。
すでに開学予定を受験生にアピール
田中文部科学大臣が開設を認可しないとした3つの大学の申請団体は、すでに、それぞれのホームページで来年春の開学予定を受験生にアピールしていました。
このうち、秋田市の大学設置準備室が設けている秋田公立美術大学のホームページでは、認可の申請中であることを表記する一方、動く大きな文字で「2013年4月美術系4年制大学が開学します」などと表示し、来年春の開学予定を伝えています。入学を希望する受験生に向けては、内容が変更される場合があると注意書きを付けたうえで、来月から来年3月にかけて計画していた推薦入試と一般入試の内容を紹介しています。
大学設置認可の手続きは
文部科学省によりますと、ことし5月現在、全国には国公立と私立合わせて1155校の大学や短大が設置されています。このうち短期大学は10年前に比べて169校減りましたが、4年制大学は97校増えて783校となっています。
大学を新たに開設する場合、毎年、学校法人などが設置を予定する時期の1年前に文部科学省に申請し、設置が妥当かどうかについて大臣の諮問機関「大学設置・学校法人審議会」で審査します。
審議会には15人の委員からなる「大学設置分科会」が設置され、教育内容や施設整備の状況が大学設置基準などに適合しているかなどを審査し、設置を認めるかどうかを審議会として判断して文部科学大臣に答申します。
これを受けて、大臣が最終的な結論を出すことになっていますが、文部科学省によりますと、審議会が設置を認める答申をした大学について大臣が不認可としたケースは少なくともここ30年間にはないということです。
田中文部科学大臣は、分科会の15人の委員のうち11人が大学関係者で占められている状況に問題があるとして、大学の設置認可の判断に多様な視点が反映されるようにすべきとしています。
文部科学省は再来年・平成26年度に大学の開設を予定している学校法人などから申請を受け付ける来年3月までに、審議会の在り方について見直すことにしています。
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