お手伝いさんたちのブログ

中部大学 武田邦彦先生のブログの中で、音声収録のみのものをテキスト化して掲載しています。
テキスト化及び掲載にあたっては先生から許可を頂いています。

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穏やかなタバコ論争の試み(1) タバコ論争の目的 (10/26)



わたしがタバコで明らかにしたいこと(音声です)



1)医師がタバコを禁止するのは当然(先生が学生に勉強しろというのは普通のことだが、他人に勉強しろは言い過ぎ)、


2)煙が嫌いだったり、気管支が弱い人に向かって煙を吹きかけるのはとんでもないこと、


3)ディーゼルエンジンの排ガス、アスベスト、タバコなど肺がんの原因となるものが、ずいぶん減ってきたのに肺がんは急激に増えている。タバコ論争の目的はなにか?


4)タバコを吸っている人の自殺が少ないことや、お酒、コーヒーなどの精神作用のあるものとの比較、人生の楽しみ、


5)現実的に、穏やかな解決策はないのか? 一日一本でも悪いのか、20本なのか、また副流煙の影響はデータ自身がない。



タバコ論争は「なぜ、これまでしてタバコを排斥しようとしているのか」について「タブー」のままというのは実に社会が暗いような気がしてならない。タバコを排斥しようとしている人に個別に聞いて見ると、社会全体の理由と違うことがほとんど(気管支と副流煙)であることも奇妙だ。



竹書房から「タバコは止めない方が良い」という本を出しますが、私の意図が通じて、穏やかな反応になってくれると良いのですが。


(平成24年10月26日)




--------ここから音声内容--------




このブログでも何回か取り上げました、タバコの事をですね。それから今度は本なんかもちょっと出そうかなと計画したりしてるんですが、私がタバコで明らかにしたいことはですね、「穏やかで明るいたばこ論争」なんですね。なんか人をいじめるようなたばこ論争ではないということ、ちょっと最初にお断りをしておきたいんですが。





まず医師がタバコを禁止することは当然なんですね。医師と言うのはもう「患者さんを健康にしたい」と、こう思って頂かないといけない訳ですから、当然タバコを吸ってですね、なんか病気のなりそうな人に対して、「あんたタバコやめた方がいいですよ」とか、酷い時は「タバコをもう吸うのを禁止します」とか、そういう風に言うのは当然なんですね。ちょっと言い方が強すぎるかというか、社会的なタバコのバッシングを背景にして強く言いすぎているっていう感じもあるんですけど、そういうことを言わなければ、ま~いいと。





これはですね、学生が・・・あの~、先生が・・・私先生なんですけど、先生が学生に「勉強をしろ」と言うのは普通のことなんですよ。あの、勉強をしたから人生がどうだってことはないんですど、勉強した方が例えば社会が生活し易いとかね、人生がいいとか、あるいは勉強した方が寿命が長いかもしれないんですよね。ま~いろいろ考えられるというか、そういうことも含めまして。





しかしだからと言ってですね、他人がですね、ある人に「勉強しろ」と、「お前勉強した方が人生がいいんだから勉強しろ」と言うのはちょっと言い過ぎ、家族だったら良いですけどね。他人が勉強しろというのはちょっと言い過ぎじゃないかと思うんですよね~。言いすぎじゃないかと言う「頃合い」がですね、私はあの~タバコはいけないというのは、お医者さんが言うのはいいと、だけども全く見ず知らずの他人とか、ましてや政府がですね、言うのはどうかな、と言う風に思う訳ですね。





そういう社会で本当に日本は良いのかな、と。日本と言うのはヨーロッパと違いますからね。ヨーロッパは、非常に戒律がある、宗教戒律がある。例えば神道なんかはですね、日本の神道は戒律がありません。何をしてはいけない、かにをしてはいけないという事無く、むしろ自然なままで、っていうこんな感じですね。ところがヨーロッパの宗教は、そうでは無くって、これはいけない・あれはいけないっていう戒律が多い訳ですね。





それからもう一つは煙が嫌いだったりですね、気管支が弱い人ってのは社会にいっぱいいる訳ですよ。その人に向かって煙を吹きかけるという、これはとんでもないことですね。これはタバコがいいか悪いかとは別ですよね。それはどんなことでもこういうことありますからね~。





例えば道を歩いていても向こうからぶつかってくる人もいれば、例えば3列ぐらいになって、もうワーワー言って来てですね、こっちがコソコソと横の方に避けなきゃなんないとかそういうことありますよね。だからそしたら歩いちゃいけないとかそうじゃなくて、それは歩き方が悪いっていうだけですから。それは「あなたそんな風に横に3人も並んで大きな男が歩いちゃだめよ」と、「みんな迷惑がかかるから」ってこう言えばいい訳ですからね。これも全然違うと思うんですよね。





それからもう一つですね、私の目的の一つは、そういうあんまりギスギスした社会は厭だっていう事と、それから今までジーゼルエンジンの排(気)ガスは肺がんになるっつって、もうどんどんやってきたんですね。物凄くお金も使って税金も使ってきました。アスベストが悪いっつって、これは肺がんもありますが、中皮腫なんかは多いんですけど、一応そういうのも排除してきた。大気もずいぶん綺麗にしてきて、タバコも喫煙率が2分の1になってきたと。





つまり我々が今から20年前ぐらいに、肺がんの原因だと思われるヤツを相当潰してきたんですよ。それなのに肺がんは相変わらず急増してんですよ。これはね~、あの、いろんな理屈があることは良く知ってるんです。例えば、タバコを吸ってから(発病まで)30年かかるとか、そういう事があるって事も含めてね。





しかし私はね~、たばこ論争の目的ってなんだろうかと思うんですね。私は最初は肺がんを減らすためという風に認識してたんですよ。それで年金みたいなもんですかね、本当は本人の問題なんだけども、外圧も加えて本人の意思を強くさせるっていうような事で、良心的な目的でやってんだと思ってたんですよね。





ところがちょっと違うんですね。特に肺がんがこれだけ増えててタバコも減ってるし、ジーゼルエンジンの排(気)ガスはですね、ま、20分の1くらいになったと思うんですね。もうPMなんかの、いわゆるジーゼルエンジン排(気)ガスの中にある、と言われる肺がんの元のものがですね。





だから僕はたばこ論争の元々の目的はですね、肺がんを減らそうという事な訳なんですよ。で、肺がんがこれだけ急激に増えていて、その要因をずいぶんみんなで取り除いてきたのに増えているって言うんですから、この辺で一回ですね、考え直した方がいいんじゃないかな~、と思う気持ちがある訳ですね。





ま、こう言う風にタバコを吸ってる人の自殺が少ないのか、それからお酒とかコーヒーをね、認めて、タバコだけ(認めない)っていうのもちょっと、どうかな・・・っとかですね、それから何から何まで排斥するっていうのはちょっとやっぱり人生の楽しみとか、人生の送り方と言ってですね、問題かなと。えっと、タバコの吸い方極端に言えばですよ、一人で自分の自宅でパイプを燻(くゆ)らせると、それもいけないというのはちょっと言いすぎじゃないかと思う訳ですね。





ついこの前というか、なんか朝日新聞かどっかだって言うんですけど、広島の調査かなんかで未成年の時にタバコを吸ってる人が、ま、寿命が少し短いんだという、あれ(記事)がありましたけども、それはそれで僕はこのデータが違ってると思うんですよ。間違った統計だと思うんです。タバコのデータで間違ったヤツいっぱいあるんですけど、間違いに一定の傾向があるですけどね。つまりタバコを悪者にしようと思ってデータを細工するっていう、そういうやり方をしますとですね、何でも結びついてしまう訳ですね。





でもそういうことで、それは肺がん・・・早く死ぬかもしれませんよ、少し、もしかしたら。僕と意見が違いますが。そうかも知れませんが、だから「お前はタバコをやめろ」というのはちょっとこれ言い過ぎじゃないかと思いますね。





それからもう少し穏やかな解決策はないのかっていう私の気持ちもあるんですね。1日1本でも悪いのか。どの程度なのか。ということですね。お酒でも1合・・・酒は百薬の長と呼ばれたりですね、それからお酒で肝硬変になると言われたりする訳で、程度問題なんです。アルコール中毒もありますしね。もちろん酔っ払い運転もあります。どういうマナーとか限度でもってタバコを吸うのかっていう事ぐらいですね、穏やかに話し合う、そういう社会がいいな~って思ってる訳ですね。





それからここで言うのは副流煙はですね、これはもう全然データがありません。データ自身が…学問的に検討すべきデータはありませんので、これはこれでまたちょっと別の機会にお話をしたいと思います。で~私はですね、タバコについてはですね、タバコをなぜ排斥しているのかと言う事を議論する事さえタブーなんですよ。もうたばことのことを私が言うと「バ~~~ッ!!」とこうバッシングが来るんですね。





ところが私よく、タバコのそういう事に興味があるので、いろんな席で「タバコはどうですか?」と聞くとですね、「タバコが肺がんになるから禁止」っていう人は殆どいないんですよ、実は、ええ。寿命が短くなるからとかそんな事言う人はいない。もちろんお医者様はそうですよ。お医者様は健康の事を考えて頂いている訳ですから、これはこれで良いんですけど、殆どの人「私は気管支が弱いんだ」っていう人と「副流煙が怖いから」と言う2つが多いんですよ。





つまり全部受動的な、タバコのあれなんですね。だけども、報道は全く違うんですよ。タバコを吸うことが悪いと。本人に悪い、とこう言うことなんですが。気管支が・・・あれはそれはもう当然で、分煙するのが一番いい訳ですよね。それから副流煙は私はいつも「いや、副流煙っつーのは随分調べたんですけどデータが無いんですよ」と、ま、こう言う風に言う訳ですが、これもあの非常に奇妙ですね。





今回竹書房から「タバコはやめない方がいい」というような本を出すんですけども、この本はですね、どういう事を目的にしてるかと言うと、私は「穏やかにタバコの事を考えてみようじゃないか」と。これは生活とか文化、それから何本ぐらいまでだったらどうだ、というような事も書いてありますね。





本当はこの中の、医学的な部分はお医者さんが、社会的な部分がありますからね、それは社会学者が。それから文化的な面ですね。これはなにか芸術家が執筆するんでしょうけど。ま、広~くなりますので、それらをまとめてですね、ま、お医者さんとして、また脳内物質コントロールとして、また社会的な影響として、それからもう一つは文化面、それから人生面として、ま、穏やかにまとめたつもりなんですよね(笑)





書き方もできるだけ穏やかにしておりますが、しかし、もう、タバコについてはリアクションが過激ですからね。だから冷静にタバコがいいかどうか、日本の社会でタバコを認めるかどうか、議論をしようじゃないかということに応じて頂ければ、という風に思います。


(文字起こし by つよぽん)

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