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つまり福島ではまだ空気中にかなりのセシウムが再飛散していることを示していますので、日干しのもの(干し柿、日干しの魚など)に注意するとともに、福島の人はできるだけマスクをしてください。日干しダイコンだけが汚染されるのではなく、人間の肺も汚染されますので。
2) 岩手県一関市で製造されたそばから1キロ340ベクレルのセシウムが検出され、出荷停止になりました(2012年10月22日)。一関は岩手県のホットスポットで、行政が生産者のお金を優先し、口に入る作物の汚染を認めないという特殊な考えなので、継続的に一関の農作物を避ける必要があります。
3) 山梨県富士吉田市の野生キノコ、キヌメリガサから1キログラム340ベクレルのセシウムが検出されました。安全領域の10倍に当たります(2012年10月25日)。長野のキノコに続いてセシウムが山を越えて拡散していることを意味しています。ただ、これが風に運ばれたのか、トラックや野菜などで移動した人為的影響なのかはまだ不明です。
4) 新潟県生活衛生課の情報によると、新潟沖からとれたマダイの内臓から1キログラム21ベクレルのセシウムが検出されました(2012年7月28日)。新潟県は県民のために汚染を注意しているほぼ唯一の自治体ですから、このような発表も積極的にやっています。
5) 1ヶ月前に北海道根室沖のマダイから1キロ100ベクレルを超えるセシウムが検出されました。ただ北海道沖のサカナの汚染は種類が少なく、まだ厳重に注意するというレベルではありません。
・・・・・・考え方・・・・・・・・・
少しずつ汚染が広がっています。少し前に青森沖のサカナがかなり汚染され、長野県のキノコ類の汚染が報告されました。今回は北海道沖(太平洋側)のマダイ、新潟沖のマダイの汚染は、太平洋側の汚染が北海道の先端まで、日本海側で始めての汚染がでました。
新潟の汚染は、福島原発―水戸―柏―葛飾―奥多摩―榛名―魚沼と流れた放射性物質が信濃川を下って新潟の海に流れたと考えられます。もしかすると国立研究所などのモニターがこの汚染の流れを把握している可能性もあります。秋田沖、山形沖のサカナが汚染されていない所を見ると、新潟平野、信濃川の注意が必要です。
国がもう少し積極的に空間、土壌、植物、動物の汚染マップを1ヶ月ごとぐらいに発表してくれれば、私たちも身を守ることができるのですが、今では上記のような断片的な情報からざっとした汚染状態を知ることしかできないのが残念です。
放射線が怖いとかではなく、子どもの健康を守るのは親の責任ですから、「指導する」という姿勢ではなく、判断のためのデータを出して欲しいとお願いしているのです。
・・・・・・汚染の程度・・・・・・
国は1キロ100ベクレルを基準にし、マスコミも追従していますが、この量は食品安全委員会が明言しているように「安全な基準」ではなく、「これで我慢してくれ」という生産者側にたった基準です。
つまり、「外部線量や土壌からの被曝がない地域に限定して」という意味です。今、日本の関東、東北にお住みで外部や土壌からの被曝が無い人は居ません。この被曝量を1年0.6ミリシーベルトとすると、食材の汚染限度は1キロ40ベクレル付近になります。
国が不誠実なのは仕方が無いとして、マスコミは見識を持って欲しいのですが、ある記者は「わかっているけれど、会社の手前、書けない」と言っていました。情報を国民が買ってくれて生活しているのですから、新聞の経営者に報道の原点に帰ってもらいたいと思います。
ところで、空間および土壌の汚染も少しずつ広がっています。福島原発が原因しているものや、山陰のように雨が降ると線量が高くなったり、北九州の瓦礫焼却などによる汚染の拡散が見られます。
口蹄疫が流行したとき、それを拡散しないために国道などを封鎖したりして必死に防ぎました。ところが放射性物質となるとむしろ汚染された食材、トラック、瓦礫などを積極的に運びだそうとしています。子どもの時代の日本を心配していないように感じられます。
(平成24年11月1日)
武田邦彦
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