新設不認可:3大学「寝耳に水」 広報や校舎新築、徒労に
毎日新聞 2012年11月02日 22時25分(最終更新 11月02日 23時12分)
来春の開学準備を進めていた3大学が、突然、不認可を突きつけられた。田中真紀子文部科学相の2日の決定は、時間と予算をつぎ込んできた大学側にとって、まさに「寝耳に水」。これまでの開校に向けた広報活動や校舎新築などの準備が無に帰しかねず、現場には混乱が広がった。3大学側は来週にも田中文科相に面会を求め、撤回を要求する。
●秋田公立美術大
「大臣の考え方一つで方針が変えられるのは行政の継続性を逸脱している。到底承服できない」。秋田市の穂積志(ほづみもとむ)市長は2日、緊急記者会見を開き、田中文科相への憤りをあらわにした。
09年の市長選で初当選時、穂積市長は現在の秋田公立美術工芸短大を4年制化して秋田公立美術大にする構想をマニフェストに掲げた。背景には短大生の就職率の低迷などがあった。
今年度予算では開学を見越した校舎の新設費として約5億1912万円を計上し、工事は10月末現在で36%が完了。新大学の3年次に編入(定員10人)を希望している短大生32人の進路も白紙となる。穂積市長は「出はなをくじかれた思いだ」と険しい表情を見せた。
同短大2年の女子学生(19)は「不認可にした理由の詳細が知りたい。編入や入学を希望している生徒への対応はどうなるのか」と話し、同短大付属高等学院2年の女子生徒は「大学になると聞き、学習面で頑張らなければと意欲が高まっていた。残念というよりも、驚きが大きい」と語った。【仲田力行、坂本太郎】
●札幌保健医療大
看護学の単科大・札幌保健医療大(札幌市東区)を開設予定だった学校法人「吉田学園」。大学設置準備室の鈴木隆室長は「教員の数など大学設置基準を超える手厚い態勢で開校準備に当たってきたのに『今ごろなぜ』という気持ちだ」と憤りを隠さない。
同学園は札幌市で専門学校9校を運営しており、このうち看護専門学校の「北海道保健看護大学校」の大学化を目指し、約4年前から準備を進めてきた。既に校舎の改築工事を済ませ、約30人の専任教員や数十カ所の実習病院も確保。3日には学生募集のためのオープンキャンパスを開き、募集要項を配布する予定だった。しかし「不認可」で急きょ中止せざるを得なくなり、職員が参加希望者一人一人に手分けして連絡するなど対応に追われた。【千々部一好】
●岡崎女子大