-公務員を信用できなかったということか。
「というよりも交渉自体が、一省庁レベルで取り組むには大きすぎた。米国側も事情は同じで、国務省の反対を押し切るため、ホワイトハウスが乗り出さなければならなかった」
-昨年初めにホワイトハウスと青瓦台が直接交渉を始めた後も、米国務省の反対は強かったか。
「当時は、国務省だけでなく国防総省も反対していた。幾度も米国を訪問し、ホワイトハウス・国務省・国防総省の高官と会って“分断国家・韓国の安全保障の状況を一般論で考えてはならず、射程距離の延長は韓米同盟が追求する対北朝鮮抑止力向上の面でも効果がある”と繰り返し説得した」
-今年半ばから、妥結が近いという見方が多かったが。
「韓日GSOMIA問題の影響で、最終合意の時期を先延ばしにしなければならなかった上、米国が中国など周辺諸国に交渉結果を説明する時間が必要だった」
-無人機の搭載重量を500キロから2.5トンに増やし「グローバルホーク」(搭載重量2.5トン)以上を確保するということは、いつ決まったのか。
「7月初めに『グローバルホーク』並みに搭載重量を引き上げることで暫定的に合意した。今回の発表で、これに準じる重量を明記することになった。射程距離が短くなる場合に弾頭重量を増やせる『トレードオフ』を適用することにしたのも、当時の基本合意を基に具体化した結果」
-李大統領もオバマ大統領に直接この問題を提起したというが。
「ミサイル交渉妥結には、李大統領の強い意志が作用した。韓国がミサイル指針の一方的破棄の動きを見せるたび、米国の関係者が『李大統領はそれほど切実なのか』と尋ねてくるほどだった」
-一部では、韓国政府がミサイルの射程距離延長という成果を得る見返りとして、米国のミサイル防衛(MD)システムに加入することにした、という疑惑が提起されている。
「よく理解せずに言っている。韓国を脅かす北朝鮮のミサイルは低高度ミサイルで、MDではなくPAC3迎撃ミサイルで対応すべきものだ。これに対しMDは、高高度や中高度のミサイルに備えるもので、現在の韓国の安保需要や力量には合わない」
-交渉妥結を後押しした米国側の人物は誰だったのか。
「ソン・キム駐韓米国大使、ジェームズ・サーマン在韓米軍司令官などが、韓国の大統領の意志や韓国国内の世論を米国政府に伝える役割を果たした。中でも、ホワイトハウスのデニス・マクドナルド国家安全保障次席補佐官が国務省などの反対を押し切り、交渉を妥結させるのに最も大きく貢献した」