ミサイル指針:「米国、韓国の次期政権に不信感」

 「韓米ミサイル交渉から民間による固体燃料ロケット分野が除外されたのは、米国が将来の韓国政府を十分に信頼できないためだ。5年置きに大きく変わる韓国政府の対外政策を懸念した結果だ」

 今年7月まで韓米ミサイル指針改正交渉を主導していた金泰孝(キム・テヒョ)元韓国大統領府(青瓦台)対外戦略企画官は、10月11日午後に行われた本紙のインタビューに対し「最終的に妥結した交渉の内容には、おおむね満足しているが、民間による固体燃料ロケットの分野が除外されたのが一番残念」という趣旨の発言を行った。

 金泰孝氏は「米国政府は、来年発足する韓国の新政権が、民間分野の固体ロケット開発の成果を元に、射程距離3000-4000キロの長距離弾道ミサイルを製造する可能性があるとの疑念を持っているようだ」と語った。

 金泰孝氏は今年7月初め、日韓軍事情報包括保護協定(GSOMIA)を国務会議(閣議に相当)で非公開のまま通過させようとした責任を取り、大統領府を去った。現在は成均館大学の教授を務めている。記者は、インタビューをかたくなに拒否する金元企画官を、成均館大学の教授会館で待ち構え、ようやく会うことができた。

-ミサイル指針改正交渉は、いつ、どのように始まったのか。

 「2009年に李大統領が『(弾道)ミサイルの射程距離が300キロでは、核やミサイルなど北朝鮮の脅威に対応できない。南北対話に臨むためにも、安全保障面でのしっかりした支えが必要だ』として改正交渉の開始を指示した」

-その後、北朝鮮の挑発が相次いだことも、改正交渉に影響を与えたか。

 「2010年に北朝鮮が起こした哨戒艦『天安』沈没事件、延坪島砲撃事件で、ミサイル交渉に対する大統領の意志は一層固くなった」

-当初は外交通商部(省に相当、以下同じ)と国防部が順番に主導してきた交渉を、大統領府が主導するようになった理由は何か。

 「韓国の外交通商部・国防部の一部公務員は、自分の経歴のことをまず考えるため、米国と交渉する際に強く出ることができなかった。米国が射程距離550キロを受け入れるよう迫ると“それくらいでも十分”と言う公務員もいた」

崔賢黙(チェ・ヒョンムク)記者
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