「ウォン高円安」におびえる韓国企業

1ドル=1097ウォン
ウォンが今年の最高値を再び更新

■10月以降流れが変わったウォンと円

 ウォン高の要因として考えられるのは、世界の3大格付け会社が韓国の国家信用等級を相次いで引き上げたことに加え、韓国では不況とは言いながらも経常収支の黒字が続いているからだ。

 これに対して円は日本が積極的な金融緩和を続けている影響で、9月末以降は円安傾向が続いている。JPモルガン・ソウル支店のイ・ソンヒ支店長は「米国の量的緩和で国際金融市場にドルがあふれたため、日本の通貨当局はさらなる円高を阻止するため、追加の金融緩和に乗り出すとの見方が市場では広まっている」と述べた。日本銀行は9月初めに10兆円の金融緩和を発表した。これには日本の貿易収支が9月までの3カ月連続で大幅な赤字を記録したことも作用している。

 市場では円安がさらに進むとの見方が支配的だ。野村証券は年末までに1ドル=82円まで安くなると予想している。

■緊張が走る財界

 韓国の自動車メーカー各社はここ4年間、ウォン安円高に伴う価格競争力向上の恩恵を受けてきた。トヨタや日産、ホンダなど日本メーカーが殺人的な円高で価格競争力が低下する一方、韓国メーカーは日本メーカーに対して30%ほど価格競争力で優位に立ったとみられる。ところがこの状況を支えてきた為替が変動した場合、韓国メーカーにとって大きな影響は避けられない。現代自動車の関係者は「ウォン高の影響で一部では売上低下をまねく可能性はあるが、かつて2007年に1ドル=900ウォン台を経験し、その時に企業体質が改善された」「今後も動向を注視しながら、全社レベルでの対策を取りまとめていきたい」と述べた。

 自動車と同じく、日本メーカーと激しい競争を繰り広げている家電やIT(情報技術)などの業界も緊張している。サムスン電子はウォン高により、7-9月期の営業利益がおよそ5700億ウォン(現在のレートで約413億円、以下同じ)減少した。当初の業績見通しは8兆6900億ウォン(約6500億円)だったが、実際はウォン高の影響で7%ほど少ない8兆1200億ウォン(約5900億円)にとどまった。サムスン電子の関係者は「輸出先が100カ国以上あり、取り扱う商品も非常に多岐にわたるのため、以前のように『為替の変動で利益がいくら減少した』という形の計算は難しいが、ウォン高で事業環境がやや悪化したのは事実だ」と述べた。

 一方で大韓航空のように外貨建て負債が多い企業は帳簿上の負債が減り、金利負担が減少するなどウォン高の恩恵を受ける。原油などエネルギーを多く輸入する業種もウォン高が有利に作用する。

キム・テグン記者
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