ネット不正送金:中国籍の男、逮捕へ 広域被害の実態解明

毎日新聞 2012年10月24日 02時31分

インターネットバンキングの不正アクセス・不正送金事件のイメージ図
インターネットバンキングの不正アクセス・不正送金事件のイメージ図

 コンピューターウイルスを使った中国人組織によるインターネットバンキングの預金不正送金事件で、埼玉県内でも被害が確認され、同県警は近く、現金引き出しのリーダー格とみられる中国籍の男=福岡県警が逮捕、窃盗罪で公判中=を不正アクセス禁止法違反と電子計算機使用詐欺の疑いで逮捕する方針を固めた。捜査関係者への取材で分かった。同様事件が昨年以降全国的に多発しており、埼玉県警は男の身柄を福岡県内から移し、実態解明を進める。

 男は福岡市博多区の会社員、尚洋被告(32)。

 捜査関係者によると、尚被告は氏名不詳の者と共謀して昨年9月7日、埼玉県内の信用金庫の管理するサーバーコンピューターに、同県羽生市の不動産会社のログインIDとパスワードを使用し不正にアクセス。不動産会社名義の預金口座から他の金融機関に開設された中国籍男性(27)名義の預金口座に計500万円を送金した疑いがあるという。

 この不動産会社のパソコン(PC)を調べたところ、複数のウイルスに感染していたことが判明。ウイルスでIDとパスワードが漏出した可能性があるという。

 口座名義人の男性は、埼玉県警の調べに対し「495万円を引き出して、取りに来た男2人に渡した」と説明しており、尚被告らが現金引き出しを指示したとみて追及する。

 尚被告は、熊本市や北九州市の銀行で計826万円の現金を不正に引き出したとして起訴され、福岡地裁で公判中だが中断して身柄が移送される。

 一連の事件では、中国の犯罪組織が日本のPCにウイルスを送り、ネットバンク利用者のIDとパスワードを入手して口座に侵入。預金を別口座に移した後、尚被告の指示で、現場指導役や出し子役の男らが現金自動受払機(ATM)で即座に現金を引き出していたとみられる。

 警察庁によると、ネットバンクの不正送金事件は、昨年3月ごろから全国的に発生し、年間で被害は約2億8200万円に達した。ネット上の特定のサイトの閲覧などでPCをウイルス感染させ、IDを打ち込むキーボード操作を「盗み見」するなどの手口が出ているという。

 福岡県警などによると、尚被告は00年に来日。中国福建省を拠点にする犯罪組織とつながる現金引き出しのリーダー格とみられる。両県警などは、引き出された現金の大半がこの犯罪組織に流れた可能性があるとみている。【田口雅士、山本太一】

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