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生活党は橋下徹との絶縁を宣言し、リベラル政党となれ
石原慎太郎の電撃辞任から1週間が経った。一報があった即日(10/25)、私は湯浅誠を左派の統一候補として担ぎ出せという提案を出した。時は金なり。一刻を争う政治戦。投票日(12/16)まで時間がないのだから、動き出すのは早ければ早い方がいい。私が呼びかけたのは、草の根の市民に対してである。湯浅誠に出てくれと頼んだのではなく、市民に担ぎ出しに動けと訴えた。選挙は出たい人より出したい人であり、本人の意思は二の次だからだ。湯浅誠を都知事選に担ぐ政治的意味について、今さら長々と説明する必要はないだろう。第一に、勝てるからであり、勝てる要素を最大に持っているからであり、若者が主体となった下からの運動のモメンタムを立ち起こせるからだ。今、日本は若いリーダーを求めている。高齢層も、若年層も、等しく若いリーダーの出現を待望している。むしろ高齢者ほどその希求と焦燥が強く、飢餓感に近い切迫した感情を持っている。大阪の橋下徹のポピュリズムが成功しているのは、マスコミの宣伝と演出の奏功以上に、「若いのだから少々のことは目を瞑っても」という、若い指導者を求める高齢者のトレードオフの心理が根底にあるのを見逃せない。同じ構図は、27歳の介護士が発起人となった官邸前のデモに、70歳を過ぎた人々が共感して馳せ参じ、忍耐強く運動の継続を支えている事実からも看て取れる。4年前の派遣村の盛り上がりも同じだ。


高齢化する日本は、子や孫の世代のために、切なく、狂おしく、若いリーダーの出現を求めているのである。湯浅誠なら勝てるし、勝つための必要な条件を全て揃えている。東京都の小平市の出身だし、東京の本郷の大学の卒業生でもある。東京の生え抜きのエリートだ。名前が上がっている宇都宮健児は、愛媛の出身で中学高校は熊本である。湯浅誠(43歳)を提案したら、宇都宮健児(65歳)の名前が返ってくるというのは、何となく頷けないでもない。いつもこのパターンだ。保護者が出て来る。影武者が出て来る。本尊を傷つけないように、脇仏が身代わりで前に出て矢面に立つ。坊っちゃまの湯浅誠の御身を庇って、執事の爺やの宇都宮健児が世間の責任を引き受ける。私にとっては脱力させられる毎度の光景だ。出たい人よりも出したい人。都民がどうしても出ろと言うのなら、湯浅誠はそれを拒否することはできない。また、左派リベラルであれば、誰でもいいというわけではない。知名度(アウェアネスとプリファレンス)が高い人間でなくてはいけない。言わば、市場における競争優位性を持った最強商品でなくてはならない。宇都宮健児には、ぜひ湯浅誠の説得に動いて欲しい。自分と湯浅誠と、どちらが出馬した方が票が多く取れるか、宇都宮健児なら考えるまでもなく分かるだろう。そして、この都知事選の重要性も認識しているだろう。宇都宮健児は選対本部長に回るべきだ。

ネットの中には、「湯浅誠さんを都知事にする会」という情報もある。一人一人がこのように動き、個人として可能な精一杯の動きを起こし、波紋を広げることをして欲しい。前々回の記事で、山口二郎、田中優子、西谷修、高橋哲哉、本田由紀、斉藤貴男の名前を出し、「知識人は(左派統一候補の擁立に)動け」と呼びかけた。佐高信、内橋克人、落合恵子、鎌田慧、辻井喬、大江健三郎の名前も出した。江川紹子と池田香代子も入れるべきかもしれない。遺憾ながら、現時点で、この中の誰かから声が上がったという情報に接していない。この人たちは、この13年間、ずっと石原都政を厳しく批判してきた人たちだ。テレビで、誌上で、辛辣で痛烈な石原慎太郎批判を繰り広げ、一般から支持と共感を受けてきた人たちだ。私はここで深刻に思わざるを得ない。体制派や右派からよく言われるところの、「批判ばかりして提案をしない」という問題を。石原都政を批判してきた人々は、その批判の責任に足りる代替案を、なぜ、今このときに具体的に提出して、その実現に動こうとしないのだろう。なぜ、無名の人間がそれを試みているのに、テレビや雑誌で石原批判をやってギャラを稼いできた連中が、知らん顔をして黙っているのだろうか。この人たちは単に批判するのが仕事で、石原慎太郎の指名した猪瀬直樹が選挙で後継に就けば、今度はまた猪瀬都政批判をマスコミ上で言い散らし、ギャラ稼ぎに精を出す日々を始めるのだろうか。

こういうときに何も動かず、提案も出さず、選挙を素通りさせて結果が出た後で、憲法が危ないだとか、軍靴の音が聞こえるとか、貧困に落ちた者は生きて行けないとか、そういう恨みつらみを言い重ねても何の意味もないではないか。石原慎太郎が辞職したことは、批判する側にとっては絶好の機会の到来のはずだ。石原都政を継承させず、石原都政が潰した福祉行政を復活させ、さらには国政の右傾化を防ぐためには、ここで左派リベラルの有力候補を担いで当選させることが最善の方法なのである。選挙と選挙の間に批判をして満足するのではなく、自ら思い描く都政を実現するべく、候補者を選び、支持を訴え、その者を新知事に据えればよいのだ。さて、問題の政党の方だが、独自候補を擁立すると平然と言い上げる、空気の読めない共産党は別にして、社民党の方に全く動きがない。福島瑞穂のTwitterは、まるで都知事選など眼中にないかのように、原発関係のみの話題と情報で埋めている。何も考えてないわけではないのだろうが、何か発信できる材料を持ち合わせているわけでもなく、体裁を取り繕うために忙しいフリをしているのだろう。湯浅誠に立候補を依頼する根回しに、それほど時間がかかるとは思えないが、党内の調整や民主党のご機嫌伺いの障害があるのだろうか。民主党が誰を出すかは不明だが、この都知事選が衆院選の前哨戦である以上、有権者は逆風の民主党の候補には票を投じない。蓮舫でも菅直人でも同じだ。

民主党が独自候補を立てれば惨敗する。今回の民主党の選択は、猪瀬直樹に相乗りするか、おとなしく自主投票にするかしかないだろう。後からオール与党になる消極的戦略だ。そういう窮地の民主党に付き合っていたら、社民党の都知事選の方針はいつまで経っても決まらず、結局は指を咥えて不戦敗を甘受するしかなくなる。最悪のパターンだ。そのような方向に持ち込むのではなく、先に論者や市民団体を動かして有力候補(湯浅誠)の出陣を準備し、下からの勝手連選挙の陣を構え、福島瑞穂が側面支援する方式を考えればよいのである。保坂展人では猪瀬直樹に勝てない。保坂展人が出馬した場合は、おそらく共産党は独自候補を立ててしまう。共産党が独自候補を立てず、事実上の社共共闘が実現して、なおかつ保守系の本命候補に勝てる想定というのは限られている。現状の可能性においては、唯一、湯浅誠が出馬する場合だけだ。湯浅誠の場合、生活党の支持層の票の受け皿にもなり得る。その生活党だが、都知事選については今のところ何の動きもない。国会と衆院選の対策でそれどころではないのだろうし、下手に候補を出して負ければ衆院選に影響が出る。リソースがない。生活党については、マスコミが全くと言っていいほど報道に取り上げない。露出をさせず、石原新党や橋下維新の影に隠している。政治勢力としてまともな市民権を与えてない印象すら受ける。これまで小沢一郎の抹殺を図ってきたマスコミは、選挙が始まってもこの姿勢を貫徹するだろう。

生活党は、この選挙を①脱原発と②消費税増税反対と③TPP交渉反対で戦おうとしている。そして、「オリーブの木」の看板はまだ掲げているようであり、民主・自民とは異なる対立軸を設定して国民の支持を集めようとしている。問題は、小沢一郎が相変わらず橋下維新との連携を模索していることであり、極右の「第三極」の仲間入りを目論んでいるように見える点である。石原新党は明瞭に小沢生活党を拒絶している。これはいい。だが、橋下徹と小沢一郎との関係は切れておらず、小沢一郎が橋下人気にあやかろうとしている姿勢は現在も続いている。もし、選挙の争点が、安倍晋三や石原慎太郎の思惑どおり、憲法や安保や教育になったとき、生活党はどのように政策を訴えて有権者の票を得ようとするのか。まず、安倍晋三が提起した集団的自衛権を認める憲法解釈の変更について、生活党は賛成なのか反対なのか、選挙公約にはどう書くのか、この点の立場を明確にしないといけない。また、核武装や徴兵制の問題についても、生活党(小沢一郎)の言葉が必要だ。もし、原発と消費税とTPPで「オリーブの木」の結集をめざすと言うのなら、橋下維新との連携は選択肢から除外し、その方針決定を有権者と支持者の前に明らかにするべきだ。橋下徹の消費税政策について、マスコミはずっとデマを流していて、恰も消費税増税に慎重な政策的立場のように偽装して報道している。これはとんでもない嘘で、消費税すら11%の税率にすると言っているし、所得税は何とフラットタックスの導入を打ち出している。

小沢一郎は、ここで橋下維新との絶縁を明確に宣言し、極右の「第三極」には入らない旨を国民の前に明らかにすべきだ。国民が強く切望している、リベラル政党の旗幟を鮮明にせよ。右翼と手を切れ。


 
by thessalonike5 | 2012-11-02 23:30 | Trackback | Comments(0)
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