白鵬に見いだされ全日本女子相撲選手権無差別級で3位決定戦に進出した林えみさん=南蔵院で
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横綱白鵬(27)=宮城野=が女子相撲の逸材を見いだしていた。宮城野部屋九州場所宿舎となっている福岡県粕屋郡・南蔵院の林覚乗住職の次女・えみさん(29)が、白鵬の推薦で14日に佐賀県唐津市で行われた全日本女子相撲選手権の無差別級に出場。6人で争われた総当たり戦で、2勝3敗の同率3位に並んだ。残念ながら3位決定戦では敗れたが、初出場とは思えない奮闘ぶり。相撲経験はまったくなく、大会前の1カ月間で臨んだ好成績に、白鵬は「男だけじゃなく女性を見る目もあるんだよ。一番弟子だね」と笑顔を浮かべた。
宮城野部屋の九州場所宿舎が南蔵院になったのは昨年から。白鵬はその時点でえみさんの素質を見抜いていた。
「去年、えみさんから相撲が好きだという話を聞いて、胸を貸したりしてたんですよ。足腰が強い」
そして今年の9月。大喜鵬の十両昇進パーティーで上京していたえみさんに、10月14日の全日本女子相撲選手権出場を持ち掛けた。「すごくいいものを持ってましたから。えみさんもやってみたいと言ったので」。話はとんとん拍子に進み、えみさんは9月13日に白鵬の紹介で鳥取城北高相撲部で5日間の合宿。四股100回や腕立て伏せ、申し合いの猛特訓が始まった。
160センチ、体重は「秘密」。それからわずか1カ月の練習で、無差別級で全国屈指の実力者に。合宿でお世話になった縁から鳥取代表の大将として出場した団体戦でも、3位に貢献する大活躍だった。
その代償として右手薬指と右足親指を骨折し、全治4週間さらに右手中指と左手甲を捻挫したが、「土俵に上がったら関係ないと思った。体だけで本気でぶつかって、本気で倒そうとすることは日常ではありませんから。土俵に入れることもうれしかった。相撲は見るのもやるのも好き」と、えみさんは相撲の魅力に取りつかれた。
横綱も「えみさんの初代師匠は俺。一番弟子です。男だけじゃなく女性を見る目もある」とご満悦だった。 (岸本隆)
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