石を抱えたすり足で下半身を鍛える稀勢の里=福岡市東区の鳴戸部屋宿舎で
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大関稀勢の里(26)=鳴戸=が1日、福岡市東区の宿舎で、悲願の初優勝を誓った。
昨年九州場所直前に起きた先代・鳴戸親方(元横綱隆の里)の急死から1年。稽古場の隅に置いてある筋トレ用の2つの石には、「なにくそ根性」「自分の頭で考えろ」など先代直筆の教えがびっしり書き込まれている。
「亡くなった前日の朝稽古でした。2個重ねて持ってすり足しろ! と言われたのを今でもはっきりと覚えている。あの時を思い出した」。稀勢の里は高安と26番の三番稽古を終えたあと、必死の形相で何度も土俵周りを往復した。
「相撲がバラバラだったし、決して調子は良くなかった」と昨年の九州場所を振り返った。それでも大関昇進がかかった終盤戦は「不思議な力が出た」。先代が背中を押してくれたことに感謝した。
新弟子検査の受検者がわずか1人だったことに触れて「寂しいね」とポツリ。「相撲を魅力あるスポーツにしなくちゃいけない。面白い相撲をとれば注目してもらえる」と話し「今場所は飛んだり、跳ねたりしちゃおうか」とリップサービス。“魅せる相撲”で先代に捧げる初賜杯を必ず勝ち取ってみせる。 (竹尾和久)
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