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[6470] 気がついたら妖精(現実→幻想郷 TS 勘違い 東方ネタ)11/2更新
Name: pzg◆1036bac0 ID:601741ee
Date: 2012/11/02 13:04
お知らせ
まことに申し訳ありませんが、諸事情があり本SSを削除せざるえない状態になりました。
近日中に、アルカディアにあるSSを全て削除する予定です。
続編を期待していてくれた皆様、支援していただいた皆様、このようなことになってしまい、重ね重ねとなりますが真に申し訳ありませんでした。
なお、小説家になろうにあげているオリジナル小説につきましては、更新は止まっていますが、続けていく予定です。


この小説は、東方Projectの二次小説です。

オリキャラ・TSの要素があります。
それらが嫌いな方は見ないことをお勧めします。

東方Projectの二次小説ですが、
世界観やキャラクターの性格設定等は原作ではなく、
オンライン等(同人・web漫画・某動画)に出回っているものに準拠しています。
二次創作を元にした幻想郷が舞台になります。
(例・ルーミアがワハーと言う。そーなのかーを連発。原作では一言もワハーとは言っていません。そーなのかーも確か一回しか言っていないはず…)
そのため、かなりのキャラ崩壊発生しています。
また、見る人から見れば世界観を破壊している場合もあります。
それらに耐えられない方は見ないことをお勧めします。

それ以外にも、独自解釈・ご都合主義・(主人公が)頭悪すぎな展開・不真面目展開がありますが、
ご了承ください。

※この物語はフィクションであり、実在の人物・団体とは関係ありません


2009年4月12日追記
一旦完結していましたが、再開することになりました。
ゆっくりとしたペースになると思いますがよろしくお願いします。
基本的にこれまでと同じ方向性で進む予定ですが、何かの間違いで脱線するかもしれません。ご了承ください。
なお、勘違い系の宿命でもあるのですが、徐々に本編の流れとは別のオリジナル流れの部分が増えてしまいます。
その点もご了承のうえ読んでください。

2010年10月24日追記
短編外伝を一纏めにしていましたが、分離しました。
なお、その際にオリキャラの絵をアップしたpixivへのリンク(短編外伝第三話内)と、マリーダの羽の設定とクラン・シーの髪の毛の設定を変更しました。

2010年10月30日追記
シトリンの羽の設定を変更しました。
なお、シトリンの絵をpixivへ追加しました。

2010年10月31日追記
セルトンとセトルンの絵のpixivへリンクを追加しました。

2010年11月1日追記
アイリスの羽の設定を変更しました。
アイリスの絵のpixivへリンクを追加しました。

2010年11月10日
間違えて、ゼロ番目の記事(このページ)を削除してしまい、一時期投稿掲示板から検索できない事態となっていました。お騒がせいたしました。
なお、内容に関しては直したつもりですが、万が一おかしいところや、文章が飛んでいるところがあれば感想掲示板に連絡をお願いします。
よろしくお願いします。

●イラストのご紹介●
AA◆98e2dffc様がハニューの絵を描いてくれました。
※すみません、荒らし対策でURLを貼った状態で更新しようとすると、弾かれる仕様となってしまったため、URLが貼れなくなってしまいました。
現在対策を検討中で、以下は代替策です。
pksp.jp/aa-0718/
エイチティーティーピー コロン スラッシュ スラッシュ を前に追加してください。

●三次小説のご紹介●
あきら◆72790bb6様が気がついたら妖精の三次小説を書いてくれました。
現在、XXX板で連載中です。
題名 『もしも●●だったら(「東方Project」三次創作 元ネタ「気がついたら妖精」)』
18禁ですので、大人の人専用です。


PS
もう一つの作品の続編を楽しみにされていた方には申し訳ありません。



[6470] 第一話 王道的な始まり。
Name: pzg◆1036bac0 ID:601741ee
Date: 2010/11/28 10:49
第一話
王道的な始まり。



眩しい。
朝日が眩しい。
カーテンの隙間から朝日が入ってきているようだ。

うーん今何時だ?6時ぐらいか?

ってあれ?時計が無いですよ?というか、このベッド自分のじゃないですよ?

おおい!この部屋誰のだよ。なんというか女の子の部屋というか…
メルヘンチックな部屋というか…明らかに自分の部屋じゃないぞ。

本当にどこだよここ。





朝起きてから10分ほど経ったが、何も思い出せない。
いつもと同じく、普通に自分のベッドで寝たはずなのだが。
まさか誘拐された?それにしては、監視もされていないようだし、こんなメルヘンな部屋であるというのも変だ。
とにかく、考えていても仕方が無い。行動を開始しよう。
なんだか、変な服を着ているがそれもとにかく無視だ。
行動だ!行動!





玄関を開けたら死にかけました。

何ですかこの家は!?
ツリーハウスというか、家が木の中にありますよ。
っていうか、どうやって出入りするんだ。玄関が大木の幹の中腹あたりにあるなんて…
空でも飛べるのならとにかく、どう考えても使いにくすぎるだろう。
このご時勢にバリアフリーを無視した家を作るとは、この家の住人はとんだ変人だな。
常識的に考えて欠陥住宅だろこれ…







疲れた。
まさか家から出るのにこんなに疲れるとは。
木登り(木降り?)をするなんて小学生以来だぞ。
いや、しかし、疲れたがいい空気だな。これならあっという間に疲労も忘れそうだ!
あははははは…



----------



どこまでも続く森。
二時間ぐらい歩いても森が続いているとは…これは樹海だぁ!


おれオワタ!\(^o^)/


欠陥住宅の次は樹海かよ。
なんだよ泣きたくなってきたぞ。というか泣いた。
泣くなんて何年ぶりだ、何十年ぶりか?








ガサガサガサ!!
誰か来た!!人?狐?狸?まさか熊じゃないだろうな?
答えは?

クモさんでしたーーーーーー!!
体長3mぐらいの…
なんだよこれ!!!!

「人かと思ったら不味い妖精か…」
なにこのクモ喋ってるし!キモ!

うわああ、こっち来るなこっち来るな。
襲われる、食べられる、殺される。
どうにかしないと。なんとかしないと。

と思ったら手からビームが出ました。
そして、そのビームはクモさんの体を少し抉っていきましたよ。

「不意打ちとはやってくれるな。
 見逃してやろうと思ったが、気が変わった…この傷の分の栄養はきっちり頂かせてもらう!」

完全に戦闘態勢に入ったクモに隙は見当たらない。
隙が見つかっても、どうやったらまたビームが出せるのか皆目見当がつかない。

や、やばい死ぬ。
今度こそ本当に死ぬ。




「誰か助けて!!!!」
あれ?俺こんな声してたっけ?
ってそんなことを考えている場合ではない。
クモの口が目の前に。
もう駄目だ。









「動かないで!」



突然の第三者の声に俺は従う。というか、腰が抜けて動けないのだが。

そんな俺を避けるようにしてクモに殺到するビームの嵐。
俺が打ち出したビームとは明らかに威力の違うそれが、クモの体に突き刺さる。
いや、クモの体をバラバラにしていった。

そのあまりの威力に見惚れていたのか、衝撃を受けていたのか。
とにかく俺は、先ほどの声の主が、俺に話しかけてくるまで何もできないでいた。

「怪我は無いですか?大丈夫ですか?」
そんなやさしい声の主は。

緑色の髪の毛をサイドテールにまとめた、羽のあるコスプレ少女だった。
奇妙な格好だが、彼女を見た瞬間に涙が出てしまい、そのまましがみ付いてしまった。




----------




5分ほどそうしていたのだろうか。
俺は、大人が少女に涙を流して抱きついているということを思い出していた。
うわ!やばいよ!誰かに見られたら、警察を呼ばれてしまう!


俺は、焦る心を抑え、なるべく慎重に体を離すと「ありがとうございました。本当に助かりました。」と礼を言う。
俺はどんな時でも礼儀を忘れない男なのだ。
嘘です。礼儀良くして、警察を呼ばれないようにしようと考えていただけです。すいません。


だが、そんな俺の反応に目の前の少女は気を良くしたらしい。
にっこりと微笑みながら「どういたしまして。それより、体のほうは大丈夫ですか?」
とこちらの体を気遣ってくれた。


俺は、幸いにもクモに傷つけられてはいなかった。
しかし、かれこれ二時間以上歩き回り俺は疲れ果てていた。
少し休みたいと伝えると、少女は近くに自分の家があるので、そこで休めばいいと提案してくれた。


「ついてきてください」といって空に舞い上がる少女。


っておおい!この少女、空を飛んでるよ!
俺普通の人間だから飛べないんですが…

「どうしたんですか?まさか飛べないほど怪我をして!?」

「いやどうやって飛べばいいか分からないんですが…」



息を呑む音が聞こえる。
「まさか、さっきのクモ、記憶を奪う程度の能力!?」
なにか、ボソボソ言ってるなと思ったら、もの凄い勢いで少女に誘拐されました。

現在少女にお嬢様抱っこされて空を飛んでいます。はい。

何このプレイ。
恥ずかしくて死にそうなんですが。

とにかく俺はどうなるんだろう。
あと、考えなくしていたのだが、俺の体なんか変ですよ?
なんというか、少女っぽい?



----------



少女の家も欠陥住宅でした。
施工業者はマジで訴えられると思うぞこれ。

そんなことを思っている俺を無視して、少女は俺を洗面所に連れて行き俺の服を…
この場合、何かお約束のリアクションでも取るのだろうが、俺は目の前の鏡に釘付けになっていた。
覚悟はしていたが、実際にその目で見るとショッキングだった。
そこには、少女より少し小さいぐらいの背格好の青色の髪の少女がいた。
普通の少女と違うのは背中からモンシロチョウみたいな羽が生えていることかなー


呆然としている俺に少女が、
「服は後で洗っておきますから、その間この服でも着ていてください」
と話しかける。そう、俺の服は慣れない森の散策で、悲惨なほど汚れていたのだ!


服を俺に渡すと少女も着替え始める。
うう、あなたの服まで汚してしまいごめんなさい。
他人の服を汚してしまったことに、俺は少し落ち込んだ。


「お名前聞かせてくれませんか?」
リビングに戻った俺に少女は名前を聞いてきた。
そういえば、まったく自己紹介をしていなかったことに気がついた。
「俺の俺の名前は…」
いきなり詰まってしまった。まずい、明らかに前の男の名前だとおかしいだろ。
気を取り直し、まずは俺の住んでいる所は…


いやまてよ、なんて説明すればいいんだ?俺の住んでいる所は、日本だがここはそもそも日本か?
ダサイタマで有名な埼玉でーすと答えようとしたが、通じるのかそのギャグ…


そう悩んでいると、突然少女に抱きしめられた。
「辛いことを聞いてごめんなさい。わからないんですよね。」

「いや、そんなことはない。時間があれば説明できるようになるから。」
考える時間をください。まじで。


俺の言葉を聞いた少女は。何か決意したような顔で。
「そうですよね。時間がきっと解決してくれます。解決するまでの間、私の家で一緒にくらしましょう。」

ええー!!
自己紹介も満足にできない不審者を泊めてくれるとは、なんていい子なんだ。
しかも、一泊とは表現せずに、気を使ってまるで何泊も泊めてくれるように言ってくれるとは。
少女が天使に見えるぜ。


「ありがとうございます。あの…」


と、ここで少女の名前を知らないことに気がついた。

そのことを察した少女が話し始める。
「実は私には、本当の名前はありません。でも私の親しい人たちは私のことを『大ちゃん』と呼んでいます。あなたも、私のことを大ちゃんと呼んでください。」




----------




そっと、ソファーからベッドの方を見る。
大ちゃんはぐっすりと寝ているようだ。
俺は今日一日のことを思い出した。
大ちゃんのおかげで朝から続く混乱から立ち直り考えることができたからだ。
何もかもがありえないことばかりだった。

しかし、そのありえないことが、今の現状を推測する糧になった。

まずここの場所であるが、大ちゃんによると『ゲンソウキョウ』という場所であるらしい。
そんな地名は聞いたことが無い。
つまり、秘匿された場所だということだ。
そして秘匿されているということは、公にできない何かが行われているということだ。

そして次に大ちゃん等のここにいる生物についてだ。
明らかに人ではない。人は空を飛ぶことはできないし、ビームを撃つことができない。
そして、知能を持つクモ。どれも自然発生したものとは思えない。
どれもが進化の樹形図から外れているものなのだ。
つまり、通常の進化とは別の流れのもの。
人為的に作られたものであることは間違いないだろう。
バイオノイド。
しかも高い戦闘能力を誇る。

これは間違いなく兵器として開発されたものだろう。

大ちゃん。
彼女の名前も自分の考えの正しさを示している。
正式な名前が無い彼女につけられたあだ名が死を連想させる『だい』とは、
ここの兵器開発者達は素晴らしい感性を持っているようだ。
大ちゃんの寝顔を見ると、その考えが間違っているような気がするが、
前線で兵士の目を騙すためには大ちゃんの容姿は武器になる。
兵士の目を騙すには目立つ髪の色をしているが、これはここが実験場であると仮定すると納得がいく。
試作兵器は試験結果を判別しやくするために、派手な色が塗られるのが通例なのだ。



次に先の戦闘について考えた。
恐ろしいことに、恐らくアレはここでは日常なのだろう。
生物兵器同士の戦闘。
生産した兵器が潰しあうのは一見非効率だが、使える兵器を探すという意味では効率的なことだろう。
本日の戦闘のように潰しあっていけば、いずれは優秀な種だけが生き残る。
あとはそれのクローンを大量生産し、売り出せばいいだけなのだ。


そして最後に自分のことだ。
自分も、恐らく大ちゃんと同じ兵器なのだろう。
しかし、自分には過去の記憶がある。
つまり、自分は改造されて兵器になったということだ。
そして洗脳されていたのだろう。
何が切っ掛けで記憶が蘇ったのかわからないが、このことは大ちゃんも同じ境遇である可能性を示している。


考えをまとめると。
ここはゲンソウキョウと呼ばれる、秘匿された生物兵器の実験場であるということ。
そこは、生物兵器同士の戦闘が日々行われているバトルロワイヤルな場所であること。
そして俺は、生物兵器に改造されたが、記憶を取り戻したということ。
大ちゃんも俺と同じ被害者である可能性が高いということ。

まったく、どんな三流SFだと思う。
ドッキリかと一瞬思ったが、それでは無理がありすぎる。
常識を捨て、現状を冷静に分析するとこれが最も可能性が高いといえるだろう。

とにかく、このゲンソウキョウの実態をよりよく知ることが必要だ。
そして、いつか本来の体を取り戻し、ゲンソウキョウを脱出しよう。



[6470] 第二話 自立って大切だよね!
Name: pzg◆1036bac0 ID:601741ee
Date: 2011/06/18 21:32
第二話
自立って大切だよね!


side 大ちゃん
最初に出会った時は、礼儀正しいが力の弱い普通の妖精だと思った。
それだけだったら、この子の面倒を見ようとは思わなかったかもしれない。

この子はそれだけじゃない。
名前を聞く前からこの子は、落ち込んでいた。
そう、自分の記憶が無い異常性に既に気がついていた。
しかし、私の質問に必死に答えようとし、謝罪する私に気を使って
「いや、そんなことはない。時間があれば説明できるようになるから。」
などと言って安心させようとする。
記憶が無いことに自分が一番苦しいはずなのに。

妖精らしからぬ相手を慈しむ心がこの子にはある。
私はこの子のそんな所があっという間に好きになった。





朝になりましたー
現在朝食を食べております。
大ちゃん特製の和風朝食…
見た目日本人っぽくない少女の二人が、メルヘンな感じの家で日本食ですか。
うーん。なんかシュール。
それにしても和食とは、もしかして大ちゃんも元日本人?

あ、そうそう。俺の仮の名前決めました。
鏡に映った自分を見つめていたら何故か突然思いついたハニューって名前にしました。
なんというか安直?
ちなみに大ちゃんに「今日からハニューって呼んで」と言ったら「それは本当の名前ですか」って凄い勢いで聞かれた。
「違う仮の名前」と言ったら目に見えて落ち込んでしまった。
なんか悪いことをしたみたいで、微妙にへこむ。
でも、この格好でオッスオラ、東郷 源太郎とか言ったら大ちゃんもっと落ち込むと思うので、俺の判断は間違っていないはず。

とりあえず、今日は大ちゃんに飛び方を教えてもらいながら、食料集めを開始することになりました。
それではれっつごー


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飛ぶことなんて無理だと思っていたが、何とかなりそう。
大ちゃんに支えられながら、高度5cmを飛行しています。
何というか、一度自転車に乗れたら何十年経っても何とかなる感じ?




それにしても、大ちゃんに出会って本当に良かったと思う。
このゲンソウキョウにはスーパーやコンビ二のようなものは無いそうだ。
生物兵器の実験場だから当然だが…
人間の里という所には、小さなお店がいくつかあるそうだが俺は今無職だ。

つまり、俺はここでは自給自足しなくてはいけないということだ。
卒業した大学のお陰で、一般人より圧倒的に知識はある。
しかし、何の支援も期待できない現状では、いずれ生活環境が原始時代に戻ってしまうのは容易に想像できた。
オマケに、記憶を取り戻す前の自分の家がどこにあったかも分からない状況だ。

大人の俺が、見た目10歳ちょっとの少女のヒモ状態。
でも、大ちゃんに出会わなかったら、餓死していただろう。マジで。
うう情けない。情けなくて涙が出てきた。
「ハニューちゃん!?きっと記憶を取り戻す方法があるはずだから。頑張って!」


----------


そんなこんなで一日が過ぎ、なんとか低空なら飛べるようになりました。
なんで低空かって?そりゃ高い所が怖いからさ!
飛べると分かっていても、高所恐怖症の俺にはなかなか高いところなんて飛べません。
というかこれで十分です。木の高さ以上に飛ぼうとは思いません。

明日には、湖に行き大ちゃんの友達にも頼んで、飛び方やゲンソウキョウについてさらに詳しく教えてくれるそうだ。
ゲンソウキョウについて詳しくなれるのはありがたいが、そんな飛ぶことに拘らなくていいからって言ったら。
「ハニューちゃん遠慮しなくていいのよ。みんなの力があればもっと高くまで飛べるはずだから!」
って怒られました。
いやいやいやいや。
ジェットコースターが苦手な人でも、強引に周りが乗せたらいつかは好きになるって意味ですか!?
これは口には出してないが、高所恐怖症で高く飛べないことを見抜かれている!?
なかなかのスパルタっぷりにオラ怯えてきたぞ。



side 大ちゃん
ハニュー。この子の新しい名前。
その名前を聞いたとき、あまりにもピッタリだったので、思わず記憶を取り戻したのかと思ってしまった。
でも、記憶は戻っていなかった。
ハニューちゃんは私に迷惑をかけないように遠慮ばかりしている。
新しい名前を自分につけたのもその遠慮の表れ。
まだ低くしか飛べないのに十分だと言うのも遠慮の表れ。
もっと頼っていいんだよハニューちゃん。



----------



次の日紹介されたのは右側からリグル、ミスティア、チルノ、ルーミアという男の子一人に女の子三人だった。
リグルとミスティアには名字付きのしっかりとした名前があり、落ち着いた性格をしている。
この事から、二人が制式機若しくはそれに近い試作機であることがわかる。
チ●チ●と卑猥な言葉を口走り、純朴な少年をドギマギさせてしまう少女と、
誰もが嫌う黒光りしたあの生物を思わせるを服を着た少年、
というのがどこまで敵に打撃を与える兵器になるのか、なかなか考えさせられるものがあるが…
いや、この二人は精神的打撃までも考慮した兵器だと考えると納得がいく。
卑猥な言葉を喋りながら突撃してくる少女の群れと、黒光りした生物に見える少年の群れ。
練度の低い兵士達だったら、間違いなく戸惑う光景だろう。
ここの研究者達の発想力には思わず頭が下がるな…



残りのルーミアとチルノは残念ながら我々と同じレベルの試作機のようだ。
ルーミアの戦闘能力は分からないが「そーなのかー」という言葉を連発し妙に語彙が少ない。
コミュニケーション能力に問題があるようだ。
チルノは高い能力を持っているが、あまりにも子供っぽい性格をしていた。
おまけに、彼女は⑨と呼ばれ馬鹿にされているようだ。
彼女はこの呼び名を酷く嫌っている。
そういえば、昔のロボットアニメに出てくる強化人間が、同じように番号で呼ばれ苦しんだり、精神的に退行している描写があった。
彼女も同じような存在なのだろうか?


(因みに、俺を含めて3人が妖精で残り3人が妖怪というカテゴリーに入るそうだ。生物兵器にしては、面白いネーミングだと思う。)


彼、彼女等の能力には少々開きがあるようだが、皆良い奴等だということはすぐに分かった。
でも
「高く飛べないなら、高いところから落とせばいいんじゃない。あたいったら最強ね!」
「そーなのかー!!!」
等といって高いところから落とさないでください。
悔しいが確かに効果はかなりあった。
でも、もういやです。


----------



彼、彼女等の協力により何とか空高く飛べるようになりました。
オマケに弾幕ごっこという遊びを知りました。
先日出したビームを打ち合う遊びで、ビームを弾幕と呼ぶとのこと。
なるほど、戦闘訓練がここでは遊びというわけですか。

いやいや。
これは。
なるほど。
なかなか面白いかも?

うおお!?
チルノが何か必殺技みたいなのを出してきた!!


おおチルノすげえ…
あまりの凄さに俺も、

待ちに待った時が来たのだ。多くの英霊達が無駄死にで無かった事の証の為に、再びジオンの理想を掲げる為に、星の屑成就の為に!ゲンソウキョウよ、私は帰って来た!!

みたいな感じで、決め台詞言いながら必殺技出したらカッコイイよね等と思ってしまった。
(元ネタは核兵器だけど…)
今度、夜中にこっそり練習してみようかな!?
練習しているところ大ちゃんに目撃されたら、恥ずかしくて首吊っちゃいそうになるからね~






ってチルノその攻撃はマジでやばいって。
さすが戦闘訓練を兼ねているだけのことはあるぜ、攻撃に本気の殺気が乗っているような気がするぜ!



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彼、彼女達との交流が始まり二週間があっという間に過ぎていった。

そして俺は、皆に「職を持ち、自分の家を持って生活したい」と切り出していた。

そう、いつまでも大ちゃんのヒモであり続ける訳にはいかないのだ!
まず子供のヒモになっているという恥ずかしさが、俺の心に毎日ダメージを与えていた。
オマケに、あまりにのんびりし過ぎて「心の嫁」大ちゃんに「いい加減に出ていってください。社交辞令って言葉知らないんですか?」
なんて言われた日には、ショックで確実に首を吊る自信があったからだ。


side チルノ
あたいは凄くいやな奴だ。
ハニューは凄くいい奴なのに、ハニューが大ちゃんと一緒に住んでいると思うだけでハニューが大嫌いになる。
弾幕ごっこの時にはいつも、ハニューなんか居なくなれって、思わず本気で攻撃していた。
ハニューは怒るかと思ったけど、怒らなかった。
そして今日、ハニューは自分から大ちゃんの家を出て行くと言い出した。


全部あたいのせいだ。



----------



俺の話を聞いたら皆が引き止めだした。
なんだか、チルノなんか「ごめんなさい」とかいって泣きながら引き止めている。
って大ちゃんまで泣いてるし。

何だかよく分からないが、これはもしや感動的な場面なのか?

とにかく皆に「もう会わないわけじゃない。これからも友達だ。」と必死に説明した。
都合一時間ぐらい説明していたと思う。




そして、今俺は皆を引き連れて香霖堂に向かっている。
何故こうなったかというと。

職と住む家がほしい。
という条件で就職先を探した結果だった。
最初に案に上がったのはミスティアの屋台だったが、どう考えても俺とミスティアの二人が暮らせる収入は期待できなかった。
というか、これだと大ちゃんのポジションにミスティアが来るだけであまり意味が無い。

次に案に上がったのが、リグルが出した紅魔館に住み込みで働くという案だった。
なんでも紅魔館ではメイドが住み込みで働いており、場所もこのすぐ近くだというのだ。
おまけに、この紅魔館はなんでも強い力を持った吸血鬼(というタイプの生物兵器だろう)が住まう館で、このゲンソウキョウの中でもかなりの勢力になるらしい。
つまり、このゲンソウキョウの脱出するための有力な情報が得られるかもしれないのだ。

これほど好条件の就職先があるとは…リグルなんてお前は素晴らしいんだ!
黒くてカサカサした奴に似ているなんて思った俺を許してくれ。
お前は将来いい男になるぜ。
と心の中で感謝していると。
ルーミアからとんでもない爆弾が落とされた。

「試験は明日なのだー」
ルーミアは突然まともなことを言うので心臓に悪い。



ということで、今俺は香霖堂に向かってる。
香霖堂でリクルートスーツを買うのだ。
就職活動といったらリクルートスーツ!
大ちゃんによると、あるかどうか分からないが、ゲンソウキョウで可能性があるのはここだけらしい。
ちなみにお金はミスティアが5万円ぐらいまでなら立て替えてくれるとのこと。
第一印象で卑猥な言葉が好きな少女だと思った俺を許してくれ!

店主のこーりんとやらは「珍しいお客さんだね」といって我々を出迎えた。
珍しいお客ではなく、お客が来るのが珍しいのではないかと言いかけたがここは我慢。
リクルートスーツを売ってくれとお願いするが、残念ながら出てきたのはそれは少なくとも150年ぐらい前のものじゃないかという代物だった。

おいおいどうするよ…

うん?

あれは?

メイド服!?

「なあ?店主あれは?」

「あ、ああ。特別なルートを通って紅魔館から流れてきたものでね…」

ほほう。
その時俺は閃いた。

メイド服を普通の会社の採用試験に来ていけば、落ちるのは間違いないだろう。
しかし、メイドになるための採用試験なら、メイド服はリクルートスーツと同じ扱いになるのではないだろうか?

むしろ、メイド服を着ていくことが仕事への意気込みとして見られるかもしれない!!!!
あたいって最強だよね!!!



「店主!試着だ!!」

「ええ!?」

「いいから試着だ!試着室に案内しろ!」

「試着室はないから。裏の部屋で…」



----------



おお、ぴったりじゃないか。おまけに、羽を出す穴まで付いているぞこれ。
「店主どうだ?似合っているか?」


「…はっ、よくお似合いですよ。」

「そうか、これでイチコロだな!で値段のほうなんだが…8万円って高すぎるんじゃないか?」

「いや、しかしこれはこの値段でもマニアには結構よく売れていてね…」





「こんにちは!清く正しい射命丸です!」 
突然、大声が香霖堂に響き渡る。誰かが香霖堂にやってきたようだ。

しかし、今の俺はそれどころではなかった。
あまりの大声に驚く俺と店主はそのまま縺れ合って床に転がってしまった。
そこまではいい。俺は元男だし。
問題は、かすかに聞こえたビリッという音だ。

やばい、売り物破いちゃったかも。
どこが破けたんだ!?
この状況では確認できない。
とにかく店主には隠さないと。


「へー、お友達が試着のために霖之助さんと一緒に裏にですか…」


何故だか店主が慌てて起き上がろうとするが、今起き上がられては困る。
少なくとも破けた場所を把握する前に起き上がられたら、店主が先に破けた場所を見つけてしまうかもしれない。

俺は、店主が起き上がれないように、その体を抱き寄せた。

「なっ何の真似ですか!?」
何の真似といわれても困る。
本当のことなど言えるわけがない。
俺には取って付けたような笑顔をつくり、笑って誤魔化すしかできなかった。

何故だか店主の顔が青くなる。
微妙に震えているようにも見える。

おいおい…俺の笑顔ってそんなに怖いのか!?
少女になったのはショックだったが結構可愛くなれたのだけは救いだと思っていたのに…
また泣きそう。


「わっ分かった僕の負けだ。そのメイド服はタダであげるからその手を離してくれ。」


うおおおお!?
なんだか分からないがメイド服ゲットだぜ!!
ああそうか、これは口止め料ってやつだな?
俺が紅魔館に無事就職したら、紅魔館の関係者である俺が、メイド服の横流しを知っていることになるもんな。
だから、このメイド服をタダであげるから黙っておけと。
さすが商売人。僅かな情報から、俺が紅魔館に就職活動へ行くことを推理するとは恐れ入ったぜ。





「おかしいですね。珍しいお客さんが香霖堂に入っていたので、何か絶対ネタがあると思ったんですけどねえ。」
と首を傾げる知らない少女と。
「何も、無かったですよ。」
といって元気を無くしてしまった店主を置いて俺達は岐路についた。

因みに、メイド服は破れていなかった。
っていうことは店主の服が破れた?
これは、これで不味い。

まあいいか。

何と言っても、これから俺の必勝祈願?&(一時の)お別れ会を大ちゃん宅で行うのだ。
そんな些細なことは気にしていられない。


----------


俺は酔っ払いながら、皆と親交を深めていった。
なんだか大ちゃんに色々言い過ぎて、次の朝微妙な雰囲気だったような気がするが、気のせいだろう。
何か酷いこと言っていたら俺泣いちゃう。


よーし紅魔館メイド採用試験に合格するぞ!



side 森近 霖之助
あのようなのを小悪魔や悪女と言うのだろうか。
子供っぽい印象の妖精メイドの常識を覆す、彼女の凛とした雰囲気のメイド姿はなかなかのものだった。

そんな姿の彼女を見なければあんな事にはならなかっただろう。
文さんが香霖堂にやってきた直後、その姿に油断していた僕を一瞬で彼女は押し倒していた。
あの後、彼女の取引に応じなかったらと思うと冷や汗が出る。
メイド服を着て涙を流す彼女を押し倒す僕の姿。
それを見た文さんが何をするかは誰の目から見ても明らかだろう。
間違いなく、今頃僕は社会的に完全に抹殺されていたはずだ。
いや、生命にも危険が及んでいたかもしれない。

僕は完全に嵌められたのだろう。
おそらく文さんの乱入も、彼女の計算に入っていたのだろう。
考えすぎかもしれないが、彼女のあの恐ろしい笑顔が僕の考えを肯定していた。

しかし、「これでイチコロ」とは彼女はあの服を着て、誰かを倒そうとしているのだろうか。


side 大ちゃん
ハニューちゃんが私の家を出て行くと聞いたとき、悲しくて悲しくて泣き出してしまった。

ハニューちゃんが夜中に何だか難しいことを月に向かって叫んでいたのを聞いたときから、
ハニューちゃんには何か成さねばならない大切なことがあって、いつかは私の前から居なくなってしまうって分かっていたのに。
日に日に辛そうな顔をしていくハニューちゃんを見て、もう時間が無いことが分かっていたはずなのに。

こういう日が来ると分かっていたのに、覚悟していたはずなのに…


約束どおり、ハニューちゃんをずっと待っているから、大切なことが終わったらきっと戻ってきてね…



side ミスティア
大ちゃんは、ハニューちゃんと一緒に紅魔館メイド採用試験を受ける気だったようね。
でも、ハニューちゃんからあんな妬けるような台詞で、家に居ることを願われたら断れないわよね。
心の嫁か。面白い表現よねこれ。
今度の新曲に入れてみようかしら?

それにしても、大ちゃんの代わりがあの子とは、何だかちょっと心配。
大ちゃんが言っていた、ハニューちゃんの何か大切な目的とやらのサポートが上手くできるのかな?



[6470] 第三話 色々とありえない展開だと思う。
Name: pzg◆1036bac0 ID:601741ee
Date: 2009/11/22 01:10
第三話
色々とありえない展開だと思う。


皆に見送られて俺は、紅魔館へ向かう。
採用試験開始は、午前九時から!
現在多分午前7時30分ぐらい!
早めに試験会場に行くのは常識だよね!


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さあ着きましたよ紅魔館。
まずは元気よく紅い毛の門番のお姉さんに挨拶。
「おはようございます。」
これも基本だよね!

「はい、オハヨーふぁぁぁぁぁ。眠い。」

「美鈴隊長!シフトが始まったばかりなのに、寝ないでください!」


難なく第一関門突破!
普通の会社なら門番が密かに試験官だったということは無いが、
ここはゲンソウキョウにある紅魔館だ、どんな試験が待ち受けているか分からない。
たかが門番といっても油断してはならないのだ。


それにしても紅魔館とはよく言ったものだな。
本当に紅い色をしているぞ。
吸血鬼型の生物兵器がトップに居るってことだけはあるよな。
いや、自己顕示欲の強いトップというのは自分のものを自分の色で染めたがるからな。
恐らく、紅魔館のトップもそういった類の奴なのだろう。

そう、ここ紅魔館では皆、紅い色を身につけなくていけないのだ!
まずい、俺も何か紅い色を身につけてアピールしないと…
なんてね。
そんな訳ないか、さっきから見かけるメイドは別に紅い色を身につけていないしね。

あれ?
でも何でさっきの門番の隊長さんはあんな綺麗な紅い色の髪を?
もしかしたら、試験突破のための重要なヒントがあるかもしれない。
真面目に考えなくては。

まず紅魔館であることを無視して、生物兵器の特性から考えてみよう。
単純に、門で誰もが一旦停止するように、赤信号の代わりが務められるようにあの色にしたというのはどうだろうか。
門番用生物兵器として製造されたのならこれは十分にありえる。
なかなか有力な案だが、それならいっそうのこと信号を体に内蔵する等、もっと分かりやすい方法があったのではないだろうか。
兵器は合理的に作られるということを考えると、この案には少し無理があるな…

となると、製造目的以外の理由で後天的にあの色になったと考えるべきか。

彼女の容姿、モデル体系の美人。
性格、第一印象としては悪い人ではなさそう。
役割、門番の隊長。
その他、すいぶんと眠そうだった。

全く何も分からない。
いや、こういう時は合理的に考え不自然な点が無いかどうか分析すべきだ。
そういえばさっきの門番の隊長さん、朝の時間帯にしてはずいぶんと眠そうだったな。
夜勤明けということなら分かるが、さっき聞こえた会話からしてそれはありえない。
そもそも、ゲンソウキョウの一大勢力である紅魔館の門番の隊長たる人物が、睡眠不足で門番の仕事を行うなんてありえない事態だ。
ゲンソウキョウの一大勢力である紅魔館には敵も多いはずだ。
だから、それを撃退する役割の門番の隊長は、常に戦闘態勢で待機するようトップから指示を受けているはずだ。
では、なぜそんな彼女が睡眠不足で仕事についているのか。
それは、トップがそのことを認めているからだ。
つまり、彼女はトップの事情によって寝不足になり、そのまま仕事を任されているとは考えられないだろうか。

そう、トップにとっては、規則より、紅魔館の防衛力低下より、彼女が寝不足になる何かのほうが大切なのだ。

一方、紅魔館の紅い色は紅魔館が紅魔館のトップの所有物であることを示している。
つまり、当初考えたように、この紅魔館にある紅い色のものはトップの所有物であると考えるのが妥当だろう。
では何故、紅い色を身につけていないメイドが多数居るのか。
それは、彼女達がトップにとってそれほど大切なものではないからだ。
そう、ここのトップは自分にとって本当に大切なものだけ紅い色に染めているのだろう。

このように考えると、彼女はトップにとって大変大切な所有物であり、その彼女はトップの命令によって寝不足になる何かをしていた。

そして彼女は美人でスタイルも良く、恐らく性格も良い…

おいおい。
紅魔館に立ち入って早々、とんでもないことに気がついてしまったぞ。
門番の隊長と紅魔館のトップがそんな関係とは…

これは文々。新聞とやらに持ち込んだら、金一封ぐらい貰えるスクープではないだろうか。
いやいやいや。
そんなことを考えている場合じゃなかった、俺はこれから紅魔館メイド採用試験を受けるんだった。
この情報を採用試験突破に役立てなくては。

うーん。とりあえず、美人でスタイルが良くて、性格が良ければ採用されやすいということか?
だめだ。
今の俺では美人より可愛いだしスタイルは…
どう見ても、紅魔館のトップとは逆の趣味の人向けです。
性格は…
普通?

俺が採用される可能性って絶望的!?

とりあえず、正攻法で元気よく意欲を示して頑張ろう。


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道草を食ってしまったがなんとかホールへ到着したぞ。
さあ試験会場はどこだ?
おや?ホール脇の部屋に人が集まってきているぞ。
ここが試験会場か。


部屋の少し高くなった所にいる、メイド服を着たすらっとした綺麗な女の人が何か喋っているようだ。
ざわざわしてよく聞こえないが、一つだけはっきり聞こえたことがある。
「それでは紅魔館メイド採用試験を開始します。」


なんてこったい。
もう試験が始まっているじゃないか。
時間を間違えたのか?
いや、時間前に集合することは常識。
その常識を見るために、わざと早く試験を開始したのかもしれない。
恐るべし紅魔館。
試験が始まる前から試験が始まっていたとは。
オマケに、周りの受験生もみんなメイド服を着用しているじゃないか。
くそう、ゲンソウキョウではメイドの採用試験ではメイド服で出席するのは常識だったのか。
俺のアピールポイントが…


「まず机を並べて!」


ていきなり、指示が飛んできましたよ!?
「あーちょっとちょっと、並べる順番がおかしい!」
「そこ、廊下を塞ぐようにして机を運んでどうするんだ!」
なんというか皆酷い。効率が悪すぎる。
みんな試験というより、どこか遊んでいるように見えるのは気のせいか?
こちらが試験だからってことで張り切っていたのもあったけど、あまりにも酷いのでついつい声を出して周りに注意してしまった。

あううう。ライバルを助けてどうするんだよ…


「次は、この書類を並べて!」
ははーん読めてきたぞ。
渡された書類には紅魔館メイド採用試験と書いてあり、勤務条件や本日の日程などが書いてある。
つまり、そういうシチュエーションの元、いかに上手く会場設営ができるかといった試験内容なんだな。

「ちょっ!!適当に分けて並べてどうするんだよ!!」
何しているんだよ。どう見ても、解答用紙と問題の数があってないだろ。

「君はこの列!君はその隣の隣!間に一列開けて!」
ほらほら、文句を言う前に体を動かす!
え?なに?どうして一列開けるか分からないだって?

「どうしてって、カンニング対策に決まってるだろ」

うあああああ。またライバルを助けてしまったあ。



「あとは細かいことだけだから、最初に配った手順表どおりにやって。30分後に私が確認するから。それまでには終わらすように。」



よーし試験官が驚くぐらいしっかりとこなしてやるぞー!!
って、周りの受験生動き遅い。というかいまいちやる気なさそう。

これは酷い。


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それから20分、悪戦苦闘しながら何とか準備が終わりましたよ。
さすがに一人ではきついので、色々と指示出しまくりましたが、大半は一人でやってしまった。

しかし、それは幸いだったといえる。
俺はその途中に大変なものを見つけてしまった。
受験票。
採用試験にはよく見かけるものである。

だが、この試験では受験票はまだ一度も登場していなかった。
つまり、この会場設営試験は受験票を手に入れるという、裏の合格基準があったのだ!!!!!

あ、あぶなかった。
試験官が退室したからといって、まじめに課題に取り組まないと受験票が手に入らないとは。
紅魔館メイド採用試験恐るべし。


とりあえず、自分の名前を書いて一枚貰って置こう。
このままこの受験票を隠せば、俺以外全員不合格にできる!とも考えたが、
会場設営に受験票のことも書いてあったので、課題完遂のためにそれは止めることにした。


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予定より早く試験官が戻ってきた。
何も言わずに時間を早めるとは、紅魔館(ry


「す、すごい。ちゃんと準備ができてる…」

あ、なんか試験官が感極まっている。


「誰がやったの?」


その声に反応するものは無し。
俺でーすと言いたい所だが、下手なPRは採用試験では命取りになりかねない。


どうしようかと悩んでいると一人の受験生がおずおずと手を上げ「彼女です」と俺を指差しやがりましたよ。

「よくやったわ。引き続きこの後も手伝って頂戴。」
おお?これは二次試験に進めたということですか!?


あんな子いたっけ?とか他の受験生が囁いているが、これは俺がノーマークだったということですね!
良い流れです!



side 十六夜 咲夜
たった一人とはいえ、真面目に仕事をする妖精メイドがうちに居たなんて…
どれぐらい仕事ができるか気になるわね。
これから始まる紅魔館メイド採用試験では、色々と仕事を振ってみようかしら?


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そして始まりました。二次試験。
さすが紅魔館メイド採用試験。ここまで本格的だとは思わなかった。

今俺達受験生(生き残り4人?)の前には30人あまりの少女達が集まっています。
そう、彼女達は採用試験に集まってきた受験生という設定の試験官達なのです。
「わはー」
因みに、一人見知った顔がいるのはどういうことでしょうか?

どおりでルーミアが試験日を知っているはずだ。まさか試験官だったとは…
何だか裏切られた気分で泣きそうなのは気のせいでしょうか。



「これより、紅魔館メイド採用試験を開始します。まず最初は、あなた達の目の前にある机を拭いてもらいます。」

なるほど、机拭きですか。
あくまで設定だから仕方が無いのですが、もう少し面白みがあった方がよかったな。

「まずは手本を見せます。あなた手本を見せてあげなさい。」

おっ俺!?
そうか、こういう試験か!
多くの人に見られながらもちゃんと仕事ができるかを見る試験か!
なるほど、お客の前で緊張して粗相をするメイドなんて不味いからな。

水は良く絞り、丁寧かつ、拭き残しが無いよう。かつ素早く!
大学時代に磨かれた俺の腕前を見ろ!

どうだ!試験官!





「このように、しっかりと拭くこと!
 時間は1分、よーい  初め!!!」

おおすげえ、何だか本当の試験みたいだぞ。
一斉に机を拭きだす受験生役試験官達。
何も言われなかったってことは、OKってこなのかな?


あらあら…荒い拭き方をしたり、全然水が切れてなかったり酷いもんだ。
ってルーミアお前は…
すごく普通に拭いている。
なんだか以外だ、ルーミアなら何かやらかしてくれる気がしたんだが。


「やめ!」







「次、第二試験、接客試験」


先ほどと同じく手本を見せた後、俺達がお客様役になり、接客を受けるとのこと。

さて俺の相手は…
ルーミアお前か…

「こんにちは」

「いらっしゃいませ」
っておい、いらっしゃいませはおかしいだろ。
ミスティアの影響を受けすぎている。

「お茶にするのか~お酒にするのか~」
色々間違っている…
「じゃあお茶で…」

「そーなのかー」

お茶は上手かった。
帰り際の言葉は「またきてねー。」だった。

ある意味、失礼な態度は取っていないが色々と問題がありすぎる。
なかなか可愛いのでこれはこれでいいが、メイドのお仕事はママゴトでは無いと思う。



この試験は、全体的にかなり酷いものだった。
ルーミアの内容で中間ぐらいの成績だった。
いくら、リアリティを追求するために受験生役を集めていたとしても、この成績では逆にリアリティ無いだろう。
予算の関係で、あまり優秀な受験生役を集められなかったのか?
意外と紅魔館の財政事情も苦しいのかもしれないなあ。




と考えていると。

「こんなの、最初から出来るわけ無いじゃないですか!紅魔館の外ではこんなこと勉強しようとしたってなかなか勉強できません!」
突然一人の受験生役試験官が抗議の声を上げ始めた。

試験官がこちらを見ている。

実は試験官は俺に惚れていました。ってなわけないですよねー
次の試験が始まったのですね。わかります。

クレーム対応!ある意味最も難しい対応が迫られる事態だ。
試験内容としてはかなりの難易度のものだと言えるだろう。


俺は、頭を必死に回転させて喋りだす。


「確かにできないよりできた方が良い。しかし、この試験ができるできないを求めているといつ言いましたか?
 私たちが見ているのはあなた達の資質です。例えできなくても、例え知らなくても、その場で判断し解決しようとする行為が大切なのです。
 
 その行為すら捨てた者は、紅魔館には必要ありません。」



なぜか会場が静まり返ってしまった。
試験官はなぜか俺の顔をじっと見つめ続けている…


これはやってしまったのかもしれない…

すいません。調子に乗りすぎました!
ちょっとかっこよく説教したかっただけなんです!
粋がってスイマセンでした!!
とジャンピング土下座をしようとした瞬間。

「そのとおりよ、私たちは紅魔館のメイドとしてやっていけるかどうかの資質を見ているわ。」
と、試験官からのありがたいお言葉が始まった。

とりあえず、試験停止になるほど酷い回答ではなかったようだ。


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「最終試験、模擬戦闘を行います。」


きたあぁぁ。
さすが生物兵器の実験場ゲンソウキョウ。
メイドの採用試験なのに模擬戦闘なんて出てきやがりましたよ。
それにしても、これまでのパターンからいうと…

試験官との模擬戦闘になるに決まっている。

この試験官が滅茶苦茶強いのは素人の俺でもわかる。
なんといってもさっきから何度か突然現れたり消えたりしてるんですよ。
瞬間移動なんて、いったいどんなテクノロジーが詰まっているんですかこの試験官には。

怖い
怖い

死んでしまうぅぅぅぅぅ





そうだ!リタイアしよう!
何もこんなことで命を捨てなくてもいいじゃないか。
耐えがたきを耐え、忍びがたきを忍び、大ちゃんの所に帰ろう。

そうしよう!


「それでは、時間内に私達試験官の誰にでもいいから攻撃を命中させなさい。
 ただし、こちらも攻撃の内容に合わせて相応の反撃をするから覚悟するように。」

「それでは…」
まずい!始まってしまう!!

とにかく、受験票を返してリタイアの意思を示さないと!!
そうだ、受験票を試験官に投げてしまおう。
それの方が早くリタイアできる。
無礼だが、どうせ落ちるためだ関係ない!

「始め!!!!」

「すいません!これを!」
俺の投げた受験票は無事に試験官がキャッチしてくれました。




受験票をキャッチした試験官が驚愕の表情で俺を見ている。


そりゃ驚くよね。最終試験でいきなり試験放棄だもん。


「突然ですが予定を変更します。一旦ここで休憩を入れます。ハニューさん。あなたは私についてきてください。」

これはまずい。
きっと、別室で紅魔館を侮辱したとか言われてボコボコにされるに違いない。

怯えている俺に試験官は。
「こんなことは、紅魔館始まって以来です。しかし、あなたは試験内容をすべてクリアしました。よってあなたは合格です。おめでとう、紅魔館へようこそ。」

え?
合格?
まじで?

これはあれか?合格させて、職場いじめで復讐しようとかそういうことですか!?
でも弱い俺には、この誘いを断れるわけがなく。
無理やり作った笑顔で。
「ありがとうございます。」
といって握手することが精一杯でした。





因みに、その日の夜から紅魔館に住み込むことになりました。
あと、門番の隊長さんにはお近づきのしるしとして、香霖堂で見つけてきた紅色のヘアカラーをあげました。
我ながら粋な計らいだと思う。


side 十六夜 咲夜

最初に彼女に気がついたのは、私を含めた試験官達が簡単なリハーサルを行っていたときだった。
そこに遅刻して現れた彼女を(妖精メイドはこれだから困ったものね)と何時ものように見ていた。

妖精メイドにとっては、メイドの仕事も遊びの延長なのだ。
そのため、仕事の質・量共にあまりあてにはならないのが常だった。
しかし、彼女はその全てが逆だった。
会場設営では常にリーダーシップを発揮し、会場設営を私の支援無しに終わらせてしまった。
その光景を見た私は、やっと私にもまともな部下ができたと、思わず感極まってしまった。

その後の試験も彼女は受験生であるにも関わらず、手本を見せるべき試験官の仕事を完璧にやり遂げてしまった。
特に、試験の目的を完璧に言い当てたのを見た時には、記憶にあるベテランの妖精メイドの中に、彼女の姿が無いことを真剣に悩んでしまったほどだ。
そう、私は受験票を投げつけられるその瞬間まで、彼女を紅魔館のメイドであることを一切疑っていなかったのだ。

これだけなら、単純に彼女の存在を私は歓迎していただろう。
試験官のふりをすることによって、自らの力を示すという常識を覆すアピールを行った、優秀な新人メイドとして。

しかし、手放しでは彼女の存在を喜ぶことはできない。

それは彼女の戦闘技能の高さである。
彼女は、外部の妖精であるにも関わらず、見事この紅魔館に潜入し。
私に不意打ちという方法で、受験票という弾を命中させたのだ。
これまでの採用試験で私に攻撃を命中させた者は誰一人居なかったのに…

もちろん受験票は弾幕ではない。
しかし、あの試験の攻撃には何を持って攻撃と見做すかという定義が抜けていた。
彼女はその穴を自らの攻撃で指摘しただけなのだ。
そう、彼女はあえて弾幕ではなく、受験票で攻撃してきただけなのだ。


このように考えをまとめると、彼女の危険性が一層はっきりする。
例えば、今日の私の立場がお嬢様だったら、受験票ではなく本物の攻撃だったら。
つまり、彼女は妖精の身でありながら、お嬢様を暗殺しえる潜在能力を持った存在なのだ。


そもそも、これほどの能力を持った妖精がメイドの採用試験に紛れ込んでいること自体がおかしい。
彼女のような存在が、ただ職と家を求めて紅魔館を訪れるはずが無いのだから。


彼女の目的は分からない。
しかし、試験官側に潜入し最後に受験票を弾代わりに私を攻撃してくるという、見ようによっては極めて挑発的な態度。
握手するときの、欠片も喜びを感じさせないあの笑い。
彼女がただの下っ端のメイドとしての働くことに満足する器じゃないのは確かだろう。


side 紅 美鈴

何ですか!?
私、白髪があるんですか!?
皆、私に白髪があるのを知っていて黙っていたんですか!?

うぇーん



[6470] 第四話 復讐しよう!
Name: pzg◆1036bac0 ID:601741ee
Date: 2011/06/18 21:33
第四話
復讐しよう!


「よーし、みんな集まったようだな!」

「そーなのかー」

紅魔館に就職してから、約四ヶ月経ちましたー。
俺は今、出世を目指して日夜頑張っております!

なぜそんなに頑張っているかって?
それはこれがゲンソウキョウ脱出の近道だと分かったからさ!




紅魔館に就職した俺は、まず情報網の構築に乗り出したのだ。
情報を制するものは、全てを制する。
この情報網により、俺の元にはこれまでよりかなり高品質の情報が集まるようになっていた。
そしてそこには、ゲンソウキョウの実態に関する情報もあったのだ。

「ただのメイド同士の噂話なのだー」

このゲンソウキョウには、八雲という管理人と博麗の巫女という処刑人が存在するらしい。
八雲はゲンソウキョウの維持管理及び出入りの管理。
博麗の巫女はゲンソウキョウのルールを脅かす生物兵器を抹殺することを主な任務としているらしい。


つまり、ゲンソウキョウからの脱出を図ろうとすると、この二人と接触する可能性が高いというわけだ。
これはかなりの難題である。

八雲はゲンソウキョウの出入りを管理しており、八雲が健在である限りゲンソウキョウから八雲の意思を無視して脱出することが困難だというのだ。
これは、八雲を説得若しくは欺くことにより、八雲の意思によってゲンソウキョウから出るか、八雲を倒すかの二つしかゲンソウキョウから脱出する方法が無いことを意味している。

これらを踏まえて検討した結果、現時点で可能性があるのは次の二つだった。

1 八雲に自分が優秀な生物兵器であることを証明し、八雲の意思によってゲンソウキョウから出してもらう。
2 八雲を誰かに倒してもらい、ゲンソウキョウから脱出する。

このほかにも、八雲を欺きゲンソウキョウから脱出する手段が想定できるが、現状の情報量では欺くための糸口すら見つからないため保留になった。

ちなみに自分で八雲を倒す、八雲に記憶が戻ったと事情を説明してゲンソウキョウから出してもらう、スネークして何とか脱出方法を探るは、どう考えても死亡フラグにしかならないので却下した。
また元の体の奪還は、この体そのものがゲンソウキョウの存在を示す証拠であるため、ゲンソウキョウ脱出以後に検討することにした。


だから俺は、現在進行形で出世を目指して必死に働いているのだ!

ゲンソウキョウの一大勢力である紅魔館で出世するということは、自分の生物兵器としての優秀性を八雲へアピールすることにもなるのだ。

これは余談だが、当初は生物兵器としての優秀性は単純な単体としての戦闘力のみを求められていると考えていたが、現在ではそうではないと考えている。

なぜそのような結論になったのか、それはゲンソウキョウには人間の里や紅魔館といった多様なコミュニティが存在するからである。
単純な単体としての戦闘能力を見るのなら、ゲンソウキョウにコミュニティは不要である。
しかし、現にコミュニティは存在する。
これは何を意味するのか。
そのように考えた場合「組織としての戦闘能力も求められている」という結論に至ったのである。

つまり簡単に言うと、単体としての戦闘能力が低くても、軍隊での参謀や補給部隊のように、直接の戦闘以外で戦闘に貢献できる存在もまたゲンソウキョウでは評価されるということなのだ。



以上のように考えをまとめ、出世=ゲンソウキョウ脱出を目指し必死に努力した俺は。

「よーし紅魔館メイド隊雑用班出動だ!」

「そーなのかー!」

雑用班の班長をやっています…

なにこの左遷。



俺すごく頑張ったよ。
自慢じゃないけど、普通のメイドの5・6人分の仕事もしてきた。
嫌な仕事も率先してやってきたよ。

一ヶ月の新人研修が終わって、メイド長の咲夜さんから直接呼び出されたときは、咲夜さん直属とまでいかなくても、華のある職場に行けると思ったわけですよ。


それなのに、いきなり雑用班ですか…


班長にはなりましたよ。はい。
でも、メイド長からファーストガンダムのセイラさん風に「あなたならできるわ」っていう理由で班長にされてもね…
これが配属されて数ヶ月とか一年とかならまだわかりますよ。
でも二日目でこれはないでしょ。
これはあれですか、班長なんて学級委員長みたいに、誰もがやりたがらない仕事ってことですか?


やっぱり、採用の時に思ったとおり、紅魔館に恥をかかせたから咲夜さんに苛められているのかな俺。

「そーなのかー?」



ってさっきから人の頭の中に突っ込みを入れているような気がするのは、副班長のルーミアだ。

驚いたことに彼女も紅魔館のメイドに採用されていた。
彼女はその戦闘能力が評価されたそうだ。
一人だと心細いので、メイド長に頼み込んで同じ配属にしてもらいました。
なんでも、ルーミアは大ちゃんと俺のためにメイドの採用試験を受けたそうだ。
どういう理屈で俺と大ちゃんのためになるのか分からないが、ありがたい話なのでお礼は言っておいた。




色々言いたいことはあるが、出世するために頑張るぜ。


「さて、今日の仕事は何ですかメイド長?」
「今日は何も無いわ。」

畜生。何時もまともな仕事が無い…
これも苛めの一環か…






とりあえず、班員連れて湖で演習という名の弾幕ごっこをやっています。

仕事が無いのなら、紅魔館でゴロゴロしていてもいいんじゃない?
って最初は思ったんだが。
妖精メイド達の姿がね。ちょっと…
最初は目の保養になっていいなーなんて思ってたんですがね。
もしかして、こいつらも俺と同じで中身男じゃね?
って考えたら悲しくなって、見てられなくなってしまったのですよ。
最近なんか、どんどん妄想が働いてしまって悲しいどころではないので、
視線を明後日の方向に向けて色々と我慢しているぐらいです。
(ちなみ、大ちゃんの中身は絶対、見た目どおりだと確信してます。というか、そうでなければ俺吊るぞ。)
おまけに、そんな俺が不気味だったのかどうかは分からないけど、皆俺のこと遠巻きに見るだけになってしまって、俺凄く嫌われてる!って感じ全開なんですよねー

本当に居心地が悪くて、悪くて。


そんな状態だったものなので、暇の時には湖に出てこのゲンソウキョウで最もメジャーな遊びである、弾幕ごっこを毎回行うことになったのです。
当初班員達は、なぜか集まってくるリグル達を見て焦っていたが…
今は、「期待に答えて見せます」とか言って必死な顔をして弾幕ごっこをしています。
まあ、リグルのゴキブリっぽい姿を見たら焦るのはわかるが、嫌ならそんなに無理して遊ばなくてもいいと思う。
ああそうか、俺達雑用班っていう「つまはじき者」だから、リグルがゴキブリっぽいという理由でハブられたらどんな気持ちになるか分かるから嫌でも遊んであげているのか。
皆優しい奴等だなあ。


ちなみに、俺の心の嫁、大ちゃんも来ています。

この雑用班、結構暇な時間が多く大ちゃんによく会えるという所が唯一の利点だ。

これが無かったら。
俺挫けてたかも。

グスッ


「ハニューちゃん何だか、大変そうだけど大丈夫なの?」

「いやー苛めにあってるけど頑張っているよ。」

「苛め!?何でハニューちゃんが苛められなくちゃならないの!!」

うおお。しまった、言うんじゃなかった。
大ちゃん落ち着いて!!
大ちゃんみたいな真面目な子にはまずい話題だったな。
反省
反省







「苛めですか。苦労してるんですね…」

「そうなんだよリグル。何かいい方法ないか?」

見た目以外は常識人なお前なら何かいい方法を見つけてくれそうだ。


「何だか、変なこと考えていません?とにかく上司に報告してみては?」

「いや、その上司が黒幕のようなんですが…」

「それは、困りましたね。」


「ち●ち●♪それなら、上司に気に入られるようなことをして、逆に仲良くなっちゃったら?」

おお、流石に屋台を伊達や酔狂でやっているわけではないな。
ミスティアはどんなお客でも上手く会話を弾まして、屋台のファンにしてしまっているのだろう。
会話にモザイクを入れなくてはいけないのが面倒臭いが、大人の感性を持っているミスティアの意見は参考になるな。

だがしかし、この案は駄目だ。

正直普通の男(元)である俺は、そんなに上手く女性に気に入られるテクニックなんて持っていない。
ミスティアの場合は、特にミスティアに対してフラットな状態のお客様が相手だからいいが、こちらは既に評価がどん底にまで落ちている相手に言わなくはいけない…
どう考えても成功の可能性は無い。
これを成功させようとした場合は、どんな女性でも口説き落としてハーレムを作ってしまうような、「どこぞの物語の主人公レベル」の口説きのテクニックが必要だ…

そんなテクニックは俺には無いのは仕方が無いとして、
そういったテクニックを教えてくれる奴でもいればあるいは…





そういえばリグルってこの中で唯一の男なのに、俺達五人と上手くやっているよな。
中身男の俺を抜くにしても、四人の女の子がリグルと親友とも言える関係を作っている。
これって凄いことだよね。
というより、これってあと一歩でハーレムじゃね!?

まさかこんな近くに「どこぞの物語の主人公レベル」のタマゴが居たとは…

「リグル!いや師匠!!俺のために女性に気に入られる方法を教えてください!というか、ストレートに口説き方でもいいです!!」

「ハニューさん!?何のことだか全然分からないんだけど!?」


「師匠が女性の口説き方を知っているのは分かっているんです。いや、本人は自覚していなくても、そういうテクニックを師匠は既に会得しているはずなんです。
 とにかく、やってみれば口と体が自然に動くはずです。さあ、紅魔館の美鈴さんを口説いてみてください。彼女を落とすのは難しいので、きっと良いデータが取れるはずです。」


「ちょっちょっと!ハニューさん落ち着いてよ!?だいたい、僕は女の人を口説いたりしてないよ!
 僕が男の人を口説くならともかく、女の人を口説くなんて、理屈が色々とおかしいよ!」




な ん だ と !?



リグルは男だ。
それなのに、女の人を口説いたことが無いだと!?
おまけに、男の人を口説くならともかく、女の人を口説くなんておかしいだと!?



なんてこったい!

まさかゲンソウキョウで唯一の男友達(俺は心だけ男だが)と思っていたリグルが心は女(ホモ)だったなんて!
つまり、この五人は皆心が女の子だから親友になれたというわけですね。

とにかく、リグルには俺の中身が男だと絶対にばれないようにしなければ…
もしばれたら、俺の人生に一生の汚点を残す事態が起きるかもしれない…


それにしても本当になんてこったい…
解決案と男友達を同時に失うことになるとは…

うう。泣きそうだぜ。


「!?ハニューちゃんどうしたの?リグルちゃんに何かされたの?」

「ぼ、僕は何もしてないよ!?」

大ちゃんに頭を撫でられたり、皆から心配される姿は我ながら情けないけど…
今はありがたいです。




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「それにしても、みんな馬鹿ばっかりだなー。そんな奴やっつければいいだろ!」

「だめだよチルノちゃん!そんなことしたらハニューちゃん逆にやられちゃうよ!」


ほんと勘弁してくれ、あんなハイスペックなメイド長相手に戦いを挑んだら即死確実です。
いや、まてよ…
ちょっとぐらいの悪戯ぐらいなら、許されるかもしれない。


彼女の立場上、ちょっとした悪戯に本気で反撃することは、逆にパーフェクトメイドである彼女の顔に自ら泥を塗ることになるのではないだろうか。

つまり、この程度のことにマジになるなんて、案外お前も器が小さいなプププ、ということである。

自分の現状を変えることにはならないが、少しは気が晴れるかもしれない。




やってみるか。







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「ということで香霖堂にきました。」

「君はいきなり何を言っているんだい?」



「今のは忘れてください。今日は買い物に来ました。」


「それで今日は何をお探しで?」

なんだか、店主の表情が妙に硬いな。
体調でも悪いのか?
そういえば、最初に来たときも青い顔をして震えていたな…

「いやね。爆竹を買いたいと思いまして。」

「バクチク?うーん。少し前にそういった名前のものを見た気もするんだが、思い出せないなぁ。それはどういった形のものだい?」

「筒状の紙に火薬が入っていて。筒の端から導火線という火をつける紐がついている奴なんだが…」










「どうした店主?」

「そっ、そういった形のものならいくつかあるが、君はそれで何をしようとしてるんだい?」

おいおい。そんなこと言えるわけないだろう。
万が一、店主から悪戯の犯人が俺でしたと漏れるかもしれない。
俺が犯人だと突き止められる可能性は高いが、何もリスクが上がることを喜んでやる理由はない。


「なに、他愛も無いお遊びですよ。あなたが知っても何も得はないですよ。」
まあ本当に、店主が知っても何も特はないだろう。



何故か店主がまた顔色を青くして震えだした。
おいおい、やっぱりこの店主、体がどこか悪いだろ!?

「おい店主、大丈夫か?そんな様子じゃ長生きできないぞ?」

震えが強くなってきたぞ!?
ヤバイだろ!

「店主。あなたも大人だろ?どうすれば長生きできるか分かっているんだろ?」
本当に、体は大切にしてください。
仕事を頑張るときは頑張る。
休むときはしっかり休む。
大人なら誰でも知っている常識です。
今の店主の様子は異常です、本当に早く休んだほうがいいですよ?
このゲンソウキョウには総合病院とか無いんですよ?
本当に早死にしちゃいますよ。





「あそこにある鉄の箱に収められている木箱の中身がそうだ。全部持っていっても構わない。代金も要らない。ただし、ここで買ったことは誰にも言わないでくれ。頼む。」



さすが店主!商売人だね!
これは先行投資ってやつですか?将来有望な俺に今のうちに恩を売っておこうということですね!!!
「店主!次に訪れるときは吉報を土産にしてやるぞ!」


いやーそれにしてもこの爆竹なんだか重いねえ?
この木箱の中にどれだけ詰まっていることやら。




side 森近 霖之助
今日は最悪の一日だった。
それは、僕がとんでもない事に加担してしまったかもしれないからだ。

彼女が求めていたものは、人を殺める力を持った道具だった。
バクチクと彼女は呼んでいたが、正式な名前は確かダイナなんとかだったと思う。
それを使い彼女が何をするのか、僕がそれを知ることは許されなかった。
あのようなものを彼女に渡してしまったのは、全て僕の弱さに原因がある。
彼女が、道具を渡すことに躊躇う私へ、道具を渡さなければ殺すと脅したその時に、
それを突き撥ねる強さがあれば、今僕はここまで悩み苦しむことは無かっただろう。





side 十六夜 咲夜
彼女の配属を決めるに当たり、私はかなり悩んだ。
彼女が使えるメイドであることは分かっている。
しかし、採用試験時の彼女の挑発的な態度が引っかかった。
彼女への判断が定まらない。

私は悩んだ挙句、彼女を雑用班へ配属した。
雑用班にはその名前とは裏腹に、高い能力が求められる。
いまいち働きの悪い妖精メイド達の尻拭いをさせられるだけではなく、有事の際には予備戦力として重要な局面に投入されることが多いからだ。
また、高い向上心が必要とされるのも特徴だ。
全てが上手くいっているときは雑用班には仕事が無い。
しかし、その空いた時間をいかに自分へ投資できるかが、その後の出世に大きく影響してくるのだ。

そう、実は雑用班は紅魔館のエリート街道への登竜門なのだ。
何を隠そう、私も雑用班から始まり、多くの仕事をこなし今の地位まで上り詰めた。


そしてもう一つ、雑用班には顔がある。
紅魔館を愛するものを生み出す場所であるということだ。
雑用班は紅魔館の全てを知ることができる。
それゆえに紅魔館の面白さに見せられ、紅魔館を愛するものが多い。
彼女も雑用班での勤めで、私と同じく紅魔館への愛情を持ってもらいたい。




side とある妖精メイド
ハニューさん、最近紅魔館の話題を独占している妖精メイド。
とにかくハニューさんには伝説が多い。
採用試験でメイド長に攻撃を命中させた人。
メイド長の特命で雑用班長を任された人。
私達妖精より強いはずの妖怪を従えている人。
時間があるときには必ず妖怪達と演習を行い、班員と自らの戦闘技量向上に務める人。
いつも、私達を悲しい目で見ている不思議な人。
どこか遠い違う世界を見ているような、そんな雰囲気を持つ素敵な人。

そして、多くの逸話ゆえに、何か重要な目的のために紅魔館へ来たと噂されている人。


ハニューさんには色々な逸話がある。
その逸話ゆえに、ハニューさんへ話しかけるにはとても勇気がいる。

きっとハニューさんは、私達普通の妖精なんて相手にしてくれないんだろうな…
でも、ハニューさんと仲良くなりたいな。

もし、仲良くなったらハニューさんが見ている世界を私も見ることができるのかな?
ハニューさんが見ている世界。
ハニューさんが見ようとしている世界。
どんな世界だろう…




side リグル・ナイトバグ
最近ハニューさんの様子が変だよ。
ハニューさんは男の子っぽい性格だから、同じく男の子っぽい性格の僕とは馬が合っていたんだけど…
なんだか最近は、急に余所余所しくなったというか何というか…
ミスティアに聞いたら「男女の仲なら、そういう時って相手を異性として意識したときよね~」
とか
「ハニューちゃん、リグルのことが気になりだしたんじゃないの?」
とか言われて余計に訳が分からなくなった。
女の子同士だよ僕達。そういう冗談は困るからやめてよ。
おまけに、何故か大ちゃんには睨まれるし、本当に困ったよ…



[6470] 第五話 何というか大変なことになってしまいました。
Name: pzg◆1036bac0 ID:601741ee
Date: 2011/06/18 21:33
第五話
何というか大変なことになってしまいました。




爆竹を使い、メイド長に効果的な悪戯を行う方法を検討するため、俺はメイド長についての情報を収集し合理的に分析することにした。
その結果、メイド長は胸部に何かを密かに装備していることが判明したのだ!


とあるベテラン妖精メイドの証言により、メイド長の胸部の大きさが不規則に変化している情報を掴んだ俺は、早速この情報の真偽についてメイド長に確認することにした。
すると「な!なにを証拠にそんなことを言っているのですか!」と何故か一喝されてしまった。

しかし、このことからメイド長は秘密にしなくてはいけない何かを、胸部に装備していると推定することができたのだ!

では何を装備しているのか?
これはずばり、メイド服の下に着用できる胸当て(胸部用防具)だと考えている。
何故そのような解釈に至ったのか。
それは、戦闘に勝利するということを前提に、メイド長の行動を検討した結果だ。
通常、兵士が相手の兵士を攻撃する場合、その胸部を狙い攻撃を行うよう訓練されている。
これは、頭部と同じく致命傷となり、さらに頭部より大きいため命中しやすいからだ。
そのため、胸部に防具を装備することは、戦闘に参加する可能性の高いメイド長の立場を考えた場合、合理的な行動だと言える。


では、何故それを秘密にしなくてはいけないのか。
それは、彼女がメイド長だからだ。
紅魔館という軍事組織の実質的司令官である彼女が、常に防具を付けているという状況は全体の士気と彼女の沽券に係わるのだ。
常に防具を装備しているということは、常に自らを戦場に置いているとPRする効果もあると言える。
しかし、いくら紅魔館といえでも年がら年中、戦闘が行われているわけでは無い。
そしてメイドとしての仕事もある。
つまり、常に防具を着けているという状況は、むしろメイド長が臆病であると示してしまうのではないだろうか?
よって、メイド長が過剰に防具を装備している事実が発覚すれば、彼女は臆病者として扱いを受け、そのような者が紅魔館のトップに居るという事実が紅魔館の士気を下げる結果になるのだ。

このように合理的に検討した結果、メイド長は密かに胸部に胸当て(胸部用防具)を装備しているということが分かった。

そして、これを悪戯で狙えば、極めて効果的にメイド長に打撃を与えられることも分かったのだ。


俺が考えた悪戯はこうだ。
メイド長の胸当てに爆竹と遠隔操作式発火装置を密かにセットし、そのことに気が付かずに胸当てをメイド長が装備したら起爆させるというものだ。
そうすれば、爆発音に驚いて自らメイド服を脱いで胸当てを曝してしまうかもしれないし、上手くいけばメイド服に穴が開いて胸当てが見えるようになってしまうかもしれない。
また、例え胸当てが曝されなかったとしても「胸当てを装備していることをしっているんですよ~」と暗に示すことができるので、彼女の精神には打撃を与えられるだろう。

なんだか、些細な悪戯では無くなってしまった様な気がするが、病床で吉報を待つ香霖堂の店主に報いるためにはこれぐらいの内容が必要だろう。


なお、遠隔式発火装置・胸当てに爆竹を密かに組み込む技術については、「にとり」という兵器開発技術者から入手できるという情報をミスティアから得ている。
なんでも、彼女の屋台を時々訪れる「豊穣の神」とかいう連中から得た情報だそうだ。
自分を神と称するとはどこぞの怪しい新興宗教の教祖かと思ったが、かなり確度が高い情報らしい。

因みに当初は、香霖堂で遠隔操作式発火装置等を手に入れる予定だったが、香霖堂を再度訪れたところ。
「遠隔操作式発火装置とバクチクを密かに組み込む技術!?」
「僕は何も聞いていない…」
「僕は何も聞いていない…」
「僕は何も聞いていない…」
「僕は何も聞いていない…」
「僕は何も聞いていない…」


といった感じで、店主が錯乱していたので香霖堂での入手は諦めていた。
店主…
錯乱するほど病状が悪化しているとは…
俺の届ける悪戯成功の吉報で少しでも元気になってくれればいいのだが…

以上、ちょっぴり論文調の回想終了!


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さて、以上のように悪戯の概要が決定したので、次にメイド長室にスネークする方法を検討することにしました。
いくら道具が揃っていても、メイド長室に行って胸当てを見つけなくては悪戯を始めることができないからでーす。

ところが、建物の内部からメイド長室にスネークできないことが判明しました。


メイド長室は咲夜さん直属部隊の事務室の奥にあるんですよね~
それだけなら問題無いのですが、24時間お嬢様の要求に応えられる様に、24時間営業なのですよ事務室が。

いやー、検討する順番を考えないで行動することのリスクの高さを思い知らされました。

でもこれぐらいで俺は諦めない。
俺はこの作戦を成功させ、店主に吉報を届けなくてはいけないのだ!
きっと店主も、病床で俺の吉報を(ry





ということで、建物の外から進入することにしました。
しかし、昼だろうと夜だろうと、見通しが良過ぎて簡単にスネークできない。
うーん霧でも出てくれれば…
できたら色つきで、スネークしやすいような霧が出てくださいお願いします!
うおお、俺の秘めたる力!出てこい!


いやね、神様なんか信じちゃいないが、このゲンソウキョウの生物兵器には、色々と特殊な機能が搭載されているものが多いらしい。
ちなみに、俺にも何かついている可能性があるそうなのだが、それが何かさっぱり解らない。
もしかしたら、気象操る程度の能力っていうやつかもしれないなんてねー

俺の秘めたる力はとにかく、紅魔館に霧を出せる能力を持っている奴がいるかもしれない。
「なあルーミア。紅い霧に包まれる紅魔館ってかっこよくね?そんなことができる奴がいたら、新聞の一面飾れるんじゃね?」
「そーなのか!!!!」
とりあえず、居るか居ないか分からない相手に届くようあちこちで話題でも振っておくか。










ということがあってから二週間が経ちました。





そして今、紅魔館は紅い霧に包まれています。

しかし悪戯が実行できません!







なぜなら。
「博麗の巫女って食べてもいい人類?」
そう、処刑人がこの紅魔館へ進撃を開始したのだ!

なんでも、紅い霧を出した張本人を抹殺しに来るらしい。

ま、まさか俺のことじゃないよな!?






あーとりあえず二週間前の俺、死んでくれ…
「そーなのかー」



side レミリア・スカーレット
「可愛い吸血鬼のお嬢さん。どうしてこんなことをしたのか教えていただけないかしら?」

何あなた?レディの部屋に勝手に入ってくるなんて、マナーがなっていないわね?

「フフフ…。幻想郷を紅い霧で覆うことは、マナー違反では無いのかしら?」

この行為の素晴らしさが分からないなんて、あなた下賤ね。

「では、下賤なこの私に、その素晴らしい行動の目的を教えてくれないかしら。可愛いお嬢さん。」

そうね。お日様が嫌いなだけよ。後は…

「後は?」

部下の期待に答えてあげるためよ。

「部下の期待?」

ええ、私と同じく幻想郷を霧で覆うことを願った部下が居るのよ。

「部下の期待に答えてあげるなんて、良い上司ね…でも、その部下は何のために紅い霧を望んだのかしら?」

そんな下々の細かいことまで知らないわ。

「そう、それは残念。」

ねえあなた、そろそろ帰ってくれない?私はもう眠いの。

「あらごめんなさい。そろそろお暇させてもらうわ。」

「あ、そうそう。今度私の友人があなたの所に遊びに行くはずだから、しっかりと相手をしてあげてね。」

「それと、彼女との遊びに負けたら、罰ゲームとしてこの紅い霧は止めてもらうことになるからよろしくね。」

フン!招かざる客だけど、歓迎してあげるわ。






八雲紫か…
やはり出てきたわね。





紅魔館は紅い霧で包まれ、博麗神社の巫女が異変を解決しに紅魔館へ攻めてくる。
さあハニュー、あなたが望んだ舞台は出来上がったわ。
あなたは私の暇つぶしを利用して、どんな面白いことを見せてくれるのかしら?
あなたが、噂とは違う目的で霧を望んでいることは分かっているのよ。
そう、もっと深く大きな何かのためにでしょ?


「お日様の下を自由に歩けるだけ」「巫女と本気の弾幕ごっこができるだけ」だったはずの暇つぶしに、新たな要素が加わるなんて…
フフ…
何が起きるか本当に楽しみだわ。



side 十六夜 咲夜
ハニューの仕事ぶりは素晴らしい。
雑用班の仕事を真面目にこなし、時間が空いたときは湖に集まる妖怪達と演習を繰り返している。
妖精の特徴である自由奔放さをかなぐり捨てた彼女の仕事ぶりは、鬼気迫るものを感じさせるほどだ。

また、人望も厚い。
彼女を密かに慕っている妖精メイドの数はかなりの数に上っているようだ。
同じ妖精という近しい立場にありながら、規格外の妖精である彼女は身近な憧れの対象なのだろう。


採用から四ヶ月が経ち、彼女は紅魔館の妖精メイドとしては100点満点とも言える存在になった。
彼女を採用し雑用班へ配属した私の目に狂いはなかった。


そう先日まで思っていた。

しかし私は今、彼女への判断が本当にそれで正しかったのか悩み始めている。

きっかけは一つの噂だった。
それは、彼女が紅い霧を発生させることができる奴がいたら、紅魔館の見栄えを良くしたとして幻想郷の有名人になれると言触らしているという話だった。
これを言触らしているのがただのメイドだったら、気にもしない話題だろう。
しかし、この噂を言触らしているのはあのハニューだ。
彼女が意味も無く、こんな噂を流すだろう?
それはありえない。
彼女は、仕事が無い時間を全て演習につぎ込むほど無駄なことをしない妖精なのだ。

彼女の意図は何処にあるのだろうか。
実際に紅い霧が発生したら、異変として扱われることを聡明な彼女なら分かっているはずだ。


悩んでも解答が出ない私は、このことを私の主人であるお嬢様に相談することにした。
しかし、そこで得られた回答は驚くべきものだった。
お嬢様は、紅い霧を発生させようとしていたのだ。

お嬢様は私の話を聞くと「へえ。面白いことになりそうね。」愉快そうに笑っていた。

もしや、彼女はお嬢様を称えるために、事前に紅魔館内部での印象操作を行っていたのだろうか?
そう、彼女の流した噂によりメイド達は、紅い霧を発生させたという「力」に対するお嬢様への畏怖以外でも、お嬢様を称えるようになるからだ。

そうであったとしても、彼女がどのようにしてお嬢様の内心を知ったのかという疑問が残る。

そう悩む私に構わずお嬢様は言葉を続ける。
「咲夜、幻想郷が紅い霧で包まれるのは決定事項よ。そしてこれは異変として扱われるわ。
 さあ、祭りの準備を始めなさい!」

そうだ、賽は投げられた。
彼女が何を考えているかは最早関係が無い。
私は準備を進めるだけだ。

彼女に対する悩みは一旦忘れることにしよう。




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発 紅魔館メイド隊 メイド長 十六夜咲夜
宛 紅魔館メイド隊 第十四メイド隊付属 雑用班長ハニュー

雑用班は、本日12:00時より、第十五メイド隊へ改編。
ハニューは雑用班長の任を解任。同時に第十五メイド隊長へ任命。

第十五メイド隊は第二・第五メイド隊と共に、本日18:00時までに鮮血の間に進出。
メインホール方面より進入する敵戦力を撃滅せよ。


----------




なんてことしやがりますが、あの糞メイド長は…
雑用班なら隠れていてもいいよねーと思った矢先に、最前線送りですか。

おまけに、ただの雑用班長をいきなり新編成のメイド隊の隊長にしないでください。

これはやっぱり、虐めが仕上げに入っているということですか。
つまり、気に入らない俺を博麗の巫女に殺させようということですね。

おまけに、第二メイド隊といえば紅魔館内の綱紀粛正を担当している奴等もセットですか。
これって俺の監視!?戦術的転進をしたら背中から撃たれるというやつですか?
これはひどいソ連軍ですね。


俺オワタ\(^o^)/


とりあえず、少しでも真面目に仕事しているところを見せなくては!!
そうしないと背中から撃たれてしまう!!

ということで一個分隊を紅魔館の外に偵察に出しました。
少しでも心の準備が欲しいから、早めに博麗の巫女の情報が欲しいからでは決して無い。
これは博麗の巫女の行動を掴み、適切に対処するためなのだ。
「そうなのかー?」







----------






「門番隊により決定的打撃を受けた博麗の巫女と八雲に如何ほどの戦力が残っていようとも、それは既に形骸である。敢えて言おう、カスであると!!
 それら軟弱の集団が、この鮮血の間を抜くことは出来ないと私は断言する。
 ゲンソウキョウは我等選ばれた淑女たる紅魔館メイド隊に管理運営されて、初めて永久に存続することが出来る。
 これ以上戦い続けてはゲンソウキョウそのものの危機である。博麗の巫女と八雲の無能なる者どもに思い知らせてやらねばならん。
 今こそ紅魔館メイド隊は明日の未来に向かって立たねばなぬ時であると!
 ジーク・ジオン!!!!」



「ジーク・ジオンなのだー」





「ジーク・ジオンなのだー!!」









「ジ ジーク・ジオン」




「ジーク・ジオン」



「ジーク・ジオン!」


「「ジーク・ジオン!!!」」


「「「「ジーク・ジオン!!!!!!」」」」


「「「「「「「ジーク・ジオン!!!!!!」」」」」」」


「「「「「「「ジーク・ジオン!!!!!!」」」」」」」




いやね、お通夜のような雰囲気だったから、何かこう一発芸でもしてね、皆を励ましているわけですよ。
決戦前の演説といえばこの人、ジオン公国のギレン・ザビだろやっぱり。
という独断と偏見で、ア・バオア・クーでの決戦前の演説をパクッてみました。

堅い場の雰囲気を和らげる。これも大人の仕事だよね!
といか、実はこうでもしないと俺がどうにかなってしまいそうです。
いつまで経っても偵察部隊は戻ってこないし…
もしかして全滅した!?


いや-それにしても一瞬完全に滑ったかと思ったぜ。
俺がジーク・ジオンと言った後にルーミア(桜)にジーク・ジオンと答えてもらった所までは良かったんだが…

ジーク・ジオン!
門番隊による決定的打撃って何よ?
おいこれってギレンのパクリじゃねー
うわwこれ死亡フラグw

という突っ込みがすぐに返ってくると期待したのに、全員面食らって棒立ちになっているんですよ。
(・3・)アルェー?


これを見て、完全にやってしまったと思ったね。
いやね、ゲンソウキョウの住人ってジオンどころかガンダムも知らないんじゃね?っていう根本的な問題があることにその時気がついたのですよ。
本当に先ほどの静粛は心臓に堪えたぜ!


いやーそれにしても凄い盛り上がりだな!
なんというか、本当にギレンの演説を聴いているみたいな雰囲気だぜ。
アニメだから本当の演説なんて見たこと無いけど。

そうか、みんな実はギレンが大好きなんだな!

いや、それだけではないか。
皆これから起こる戦闘が怖いんだな。だから、ちょっとした冗談でも騒ぎ、怖さを忘れようとしているのか…



「「「「「「「ジーク・ジオン!!!!!!」」」」」」」


「「「「「「「ジーク・ジオン!!!!!!」」」」」」」


だからといって盛り上がりすぎだろ、常識的に考えて。
いったい何時になったら収まるんだよ!



----------





あれ?何だか後方からドカン!ドカン!と戦場音楽が聞こえますよ?



しかも、後方からボロボロになった妖精が…
敗残兵?



なに?博麗の巫女は別ルートから侵攻?
おまけにメイド長を倒し、現在お嬢様と戦闘中だと!?



こっちのルートは無視かよ。

助かった!!!



イヤー何というラッキー
やったよね!


「いやあ君、素晴らしい情報をありがとう。とりあえず、休みたまえ。」






おや?今頃偵察に出した連中が戻ってきましたよ。
なに、博麗の巫女は既に館内に進入してます。
いや、分かってるよ。


うーん、なんと悪いタイミング。
いや、これは良いタイミングか。
お嬢様が博麗の巫女を倒すならOKだが、お嬢様が負けた場合荷物をまとめてさっさと逃げ出さなくてはならないかもしれないからだ。

そのためには、逃亡先の外部の様子を知ることは大事なのだ。

「外の様子はどうなっている?敵戦力は残っているのか?」

何?外は博麗の巫女にやられた味方しかいないだと?
門番隊は門番長以下全滅。
おまけに、湖を生活圏としている紅魔館と直接関係の無いチルノ以下の妖精も壊滅だと。

マジかよどこの大量破壊兵器だ。




チルノ以下?




チルノはああ見えて高い戦闘力があるため、その名前がメイドの口から出てくることは多い。
しかし…
「おい、何故ここでチルノが出てくる!!」


「はっはい、門番隊の生き残りが、湖面上空で博麗神社の巫女と戦闘するチルノともう一人の緑の髪の妖精を目撃したと言っています。」


「それで!どうなった!」


「博麗の巫女の攻撃を受け、全滅したとのことであります。」




全滅?
博麗の巫女の攻撃により全滅?

死んだ。


チルノが死んだ。


大ちゃんも死んだ。





博麗の巫女に殺された。


大ちゃんが博麗の巫女に殺された。


コロサレタ!









「隊長?」

頭が混乱する。
しかし何をすべきなのかはっきりと分かる。

俺は直に第二、第五メイド隊の隊長を集める。
そして告げる。
「博麗の巫女を倒す。俺の指揮下に入ってほしい。」

大ちゃんの敵討ちをしたい。
その思いに突き動かされ俺は行動を開始した。



side 第二メイド隊 隊長
私が咲夜さんから受けた命令は二つ、鮮血の間で博麗神社の巫女を迎撃することと、第十五メイド隊のハニュー隊長をバックアップすることだった。
具体的には、咲夜さん曰くハニュー隊長は優秀だが多くの部下を率いた経験が無いため、経験豊かな私がしっかりとバックアップしたうえで博麗神社の巫女と戦うようにとのことだった。

しかし、ハニュー隊長は咲夜さんや私の想像を超えた存在のだった。
直に復活するゆえに命を軽く扱われる私達妖精は「いつもどおり使い捨てにされるのね」という諦めムードが蔓延している中、彼女の演説が始まった。
その演説は衝撃的なものだった。

弱者であるはずの私達、幻想郷の脇役であるはずの私達が博麗神社の巫女を倒し、八雲紫の代わりに幻想郷を管理運営する。
そして、そうならなければ幻想郷の危機であると。

あまりにもとんでもない話に、私はハニュー隊長が何を話しているのか直には理解できなかった。

しかし、気がつくと他の妖精メイド達と共に、ジークジオンと彼女の考えを称える(と思われる)声をあげていた。

きっと私達妖精が、弱者ゆえに知らず知らずのうちに心の中に溜め込み続けた不満、それが彼女の訴えに応えているのだろう。

他の妖精メイド達も同じ気持ちだろう。
彼女達の熱狂振りを見れば分かる。





私を呼び出し、妖精らしからぬ迫力で博麗神社の巫女を倒すといったハニュー隊長の存在が少し恐ろしい。
でも、何を目的にしているのか謎だらけで有名なハニュー隊長がついに明かした目的。
私もその目的に向かって歩みたいと思った。



[6470] 第六話 真面目にやった結果がこれだよ!!! +グダグダEX編
Name: pzg◆1036bac0 ID:601741ee
Date: 2011/06/18 21:34
第六話
真面目にやった結果がこれだよ!!!



俺の提案は否定されるかと思ったが、第二、第五メイド隊の隊長はすんなりと俺の提案を受け入れていた。
武者震いだろうか、少し震えていたのが気になったが。

現在俺の前には、家具等を使ってバリケード等を構築する各メイド隊の姿がある。

単独で紅魔館を壊滅させようとしている博麗の巫女の戦闘能力は半端なものではない。
偵察部隊及び敗残兵の情報によると博麗の巫女は極めて高い火力と回避能力を所持しており、一発の被弾も無く紅魔館を蹂躙していったらしい。
この二つの能力は博麗の巫女の力の恐ろしさを示しているが、博麗の巫女撃破の道筋も示している。

高い防御力があるのなら、回避というロスを捨てて戦う場面が見られてもおかしくない。
しかし、博麗の巫女は全ての攻撃を完全に回避したのだ。
これは博麗の巫女の防御力が低い可能性を示している。
もちろん、この理論には穴がありすぎる。
しかし、限られた時間と戦力では、最も可能性が高いと思う方法に全てを賭けるしかなかった。


俺が考えた博麗の巫女への攻撃は、端的にいえば残存兵力の全てを投入した一斉射撃だ。
敵の回避能力が高いのなら、回避できるスペースが無いほどの攻撃で敵を圧倒するだけだ。


大火力を持つ博麗の巫女に残存兵力の全てを晒すのはかなり危険なことともいえる。
現に「それでは最悪の場合、全滅してしまいます!」
と第二メイド隊長は指摘していた。

そんなことは分かっている。だからこそのバリケードである。
もちろん、このバリケードは数秒しか博麗の巫女の攻撃を防ぐことができないのは分かっている。
しかしその数秒で勝負は決するはずだ。

くそっ!任官拒否して辿り着いた先が戦場とは。
人生とは本当に一歩先が闇だな…


----------



「隊長、霧が…」

気が付くと戦場音楽が聞こえなくなり、霧が晴れていた。
第二メイド隊の隊長によると、博麗の巫女が勝利したとのことだった。
つまり、作戦を開始しなくてはいけないということだ。

さあ、腹を括るか。
俺は舞い上がり皆を視界に納める。





「総員傾注!」


誰かが、号令をかける。



「いや、そのまま聞いてくれ。」
しかし今は、作戦の準備が最優先だ。


「間もなく、博麗の巫女との決戦に入る。
 
 博麗の巫女は強い。
 
 しかし、総員が日々の訓練での成果を存分に発揮すれば、必ず勝てる相手だと俺は信じている。」
そう、厳しい戦いにはなるが、こちらが組織力を維持できれば勝てる見込みはある。

「さあ、勝つぞ。」


ルーミアの顔を見る。
ルーミアが何も言わずに頷く。
全ての準備が完了したようだ。



「作戦開始。」




紅魔館の奥へと繋がる扉を開け、第五メイド隊第三小隊の隊員が通路へ進出する。


通路を少し進んだ所にある十字路へ進出した第五メイド隊第三小隊は、弾幕をそれぞれの通路の奥へ向けて発射した。



弾幕が着弾し、紅魔館の壁や備品を次々と破壊していく。

静まり返った現在の紅魔館にとって、その着弾音はあまりもに大きい音だった。






程なくして、廊下の奥に何者かの姿が現れる。
赤と白の服を着た少女だ。
偵察部隊が持ち帰った情報と合致する。
間違いない博麗の巫女だ。



「撤退!」
小隊長の撤退命令が下り、第五メイド隊第三小隊が即座に撤退を開始する。




「撤退完了!扉を閉めろ!」
第五メイド隊の隊長の指示が飛ぶ。








「総員射撃用意!」









爆音。








扉が吹き飛ぶ。
「何?異変は収まったのにまだやる

博麗の巫女が何かを言っているが俺は無視して全軍に指示を出す。




「撃て!!」



手筈どおりルーミアがムーンライトレイを放つ。
ルーミアのムーンライトレイは前方に安全地帯ができるという欠点がある。
しかし、今回はこれでいい。

直後に第十五メイド隊がルーミアの脇からその安全地帯に向けて弾幕を発射する。
何故か、第十五メイド隊には戦闘能力が高く弾幕の密度が濃い者が多い。
その特性を使った、合わせ技ということである。
また同時に、博麗の巫女が進入してきたドア上部の壁に括りつけられた家具が、第十五メイド隊によって叩き落される。
博麗の巫女は左右をムーンライトレイ、前方を第十五メイド隊の弾幕、上下が天井と床、後方が家具により閉鎖された。
常識的に考えれば、博麗の巫女には攻撃を避けるスペースなど何処にも無いはずだ。

しかし、常識外の戦闘能力を持つ博麗の巫女を、この程度で倒せると思ってはいけない。
近代戦の常識、火力の集中を持ってさらに追い詰める。
第十五メイド隊の攻撃と時を同じくして、博麗の巫女の斜め前方、左右に展開した第二、第五メイド隊からの一斉攻撃が始まり、博麗の巫女に十字砲火を食らわせる。
博麗の巫女からの反撃も始まるが、バリケードと博麗の巫女の正面に陣取るルーミアがその攻撃を吸収してくれるはずだ。

そして俺は、最後の仕上げのために、博麗の巫女に接近しある一点に向けて弾幕を放った。
これだけの弾幕があれば、確実に仕留められるかもしれない。
しかし、相手は化け物だ。
このような事態は想定している可能性がある。
ゆえに、イレギュラーな事態が必要だ。

俺の弾幕は、博麗の巫女の足元にある木箱へ向かっていた。
そう、香霖堂から購入した爆竹が入った木箱である。
この予想外の爆発に、博麗の巫女が一瞬でも動きを乱せば勝機はあるは




















なんだ?
なぜ俺は月を見ている。
月?ここは屋内では?

なんだ?瓦礫の山?

「大丈夫なのかー!!!?大丈夫なのかー!!!!?」
ルーミアがらしくない慌てようで俺を揺さぶっている。


状況が分かってきた。

猛烈な威力を持った何かが天井を吹き飛ばし、俺も吹き飛ばされたのか…




「博麗の巫女は!?他の隊員は?」


「怪我を負った者はいますが全員無事です。むしろ隊長が最も大怪我をしています…」
なに?
「少なくとも、両足が複雑骨折しています。」
くそ!




「博麗の巫女は?…死んでは…」
博麗の巫女について問いただそうとした俺の視界の中に、金髪の女性に抱きかかえられる博麗の巫女の姿が入った。
何者だこいつ?




「あなた、自分が何をしたか分かっているの?」

突然、金髪の女性が俺に向かって話しかけてきた。
何を言っているのか意味がわからない。

「何をだと?俺はただ弾幕で圧倒し、博麗の巫女を倒そうとしただけだ。」

「これが弾幕ね。あなたはこれを弾幕と言い切るのね…」

何だこいつは?
もしかして話の通じないタイプの困った人か?
俺達は博麗の巫女を倒すために弾幕を張り、その結果博麗の巫女の技と思われる謎の攻撃に薙ぎ倒されたのがわからないのか?
まさか、俺がこの謎の攻撃の犯人だと思っているのか???

おかしいだろ。

弱小の俺にあんな攻撃が出来るわけが無い。

常識的に考えて。

まあ見た感じ、俺達の攻撃に焦った博麗の巫女が慣れない大技を使って、暴走したという所だろう。
現に博麗の巫女は気絶しているし、いかにも切れそうな年頃といった感じの見た目だ。

「おい待ってくれ、これは博麗の巫女に原因があることだ。そいつの自爆だよ。この結果は。」





場違いな笑い声が響く。
なんだこの人は突然笑い出したぞ?
今の所に何処に笑うところがあったのだろうか?
ただの笑い上戸?頭が困ったことになっている人?
本当に何なんだこいつは?



「あなた面白いわね。確かにこの子は未熟だわ。決められたルールの上でしか博麗の仕事がこなせないぐらいにね。この子にとって今回の件は良い経験になるわね。」


なんだかよく分からないが自己解決してしまったようだ。
本当に何が何だかよく分からない。


「それにしてもあなた。こんな危ないことをするなんて何が目的なの?」

目的?そんなもの決まっているじゃないか。

「ゲンソウキョウを出るため。」
そう、この異常な世界を抜け出し。
ここで行われている犯罪を世界に知らしめるために。
大ちゃんの命を無駄にしないためにも…


「幻想郷から出て行く?この幻想郷が気に入らないというの?」


「あたりまえだ!ここの在り方そのものが間違っている!」


何故だか金髪の女性の目が鋭くなる。

「では、あなたはどのような状態が正しいことだと思うの?」


「このゲンソウキョウが世界に知れ渡り、世界がこのゲンソウキョウを受け入れ、ゲンソウキョウが無くなることだ。」
そう、世界がゲンソウキョウを知り、生物兵器の開発が止まり、ゲンソウキョウの住人が普通の人と同じく暮らして行けること。
それがゲンソウキョウが向かわなくてはいけない姿だと思う。















「そんなことが可能だと思うの?」

「分からない。しかし、いずれはそのように変化しなくてはいけない。」



















「本当に面白い子ね。幻想郷は全てを受け入れる。今の所は、あなたも受け入れてあげるわ。」

そう言うと、その金髪の女性は博麗の巫女と共に、突然空中に現れた切れ目のような物の中に消えていった。




な、なんだか途中から怖くなって、思わず正直に喋ってしまった。
なんだか妙に怖いおばさんだった。
何者なんだ?

博麗の巫女のピンチに介入してきたことから、博麗の巫女を大切にしている人物であることは間違いない。
そして、博麗の巫女をお姫様抱っこしていたところから見て、博麗の巫女に対してかなりの愛情も持っていると考えるべきだ。
性格の面では、突然笑い出したり目が鋭くなったりする情緒不安定と、まるで自分がゲンソウキョウそのものであるかのように喋る誇大妄想を併せ持つ。
突然現れ姿を眩ますといった、人を密かに追尾したり、誘拐するのに便利な能力を持つ。

つまりこいつは…

ストーカーというやつか!


一瞬、こいつがゲンソウキョウの管理人である八雲かと思ったが、それが間違いであることはすぐに気が付いた。
八雲の道具として存在する博麗の巫女を助けるために、自らを危険に曝す行為は矛盾しているのだ。
大体、マッドサイエンティストであるゲンソウキョウの管理人といった雰囲気ではない。
彼女は、白衣や作業着ではなく、ネグリジェのような格好をしていたのだ。



博麗の巫女…
可哀相に。
きっと彼女は、これから口では言い表せないようなことをされるのだろう…










「凄いです!!」
うぉ!!なんだなんだ!?
なんだか知らないが、まわりのメイドたちが俺を褒めまくってるぞ!?

あなたに一生ついていきます?
あなたの夢に私を加えてください!?
私もジオンの一員に?

何だ?いったい何なんだ!?



何だかよく分からないが。大人である俺はここで空気を読まないといけないよね!


「今ここに諸君等有望なるメイド達を迎えて、大いなる期待を禁じえない。
 時代は現在、新たな局面へと向かいつつある!いかなる局面へか!?ゲンソウキョウ史の偉大な発展への局面である!!
 メイドとして就職することによって、我々は無限の可能性を手にした。誰の可能性か!!メイド全てか!?否!!我等紅魔館メイド隊にのみ許された可能性であるっ!!
 紅魔館メイド隊の淑女たる能力こそが停滞したゲンソウキョウ史を打破するのである!
 下積みの困難な時代を経て、かつて妖精の本質である自由を捨てた者とまで呼ばれていたメイド達は選ばれたメイドとなった!
 期せずして、ゲンソウキョウ史の最前列に立ったのだ!!本日博麗の巫女に勝利した諸君は更にその前衛である!!エリートを自負することに躊躇するな諸君!諸君はエリートだ!
 選ばれた紅魔館メイド隊の中から更に厳しく選抜されてここにいる諸君等こそ、ゲンソウキョウの守護者であると共に新しいゲンソウキョウのリーダーである!
 奮起せよ!未来のリーダーをめざして邁進せよ!我と我が戦線に加われ!!
 ジーク・ジオン!!」

「「「「「ジーク・ジオン!!!!!」」」」」
ギレンの士官学校での入学式の演説?からパクリました。
なんというか、今の状況と劇中の状況どちらも一つの山場を超えたって感じで似ている様な気がして。

でもやっぱり、俺達妖精の本質を捨てるほど仕事してないw、博麗の巫女に勝利って相手自爆しただけですよね~、またギレンのパクリw、内容が意味不明wとかいった突っ込みは無い。
正直言うと、自分でも意味不明な演説なんだけど、みんな喜んでくれてるからいいよね!?

いやーみんなギレンが好きでよかったよかった…











そんな訳無いだろ!



良くないよ!

やっぱりだめだ…

いつももどおり馬鹿騒ぎしたら忘れられるかと思ったけど。

忘れられないよ。










大ちゃん…












ごめん…
俺は大ちゃんの敵討ちすらできなかった…






大ちゃん…


もう一度だけでいいから会いたいよ…




















大ちゃん…
















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「ハニューちゃん、もうこんな危ないことしちゃ駄目よ!!」

えーこれはどういうことでしょうか。
俺は自室で大ちゃんに二時間説教されています。

なんで大ちゃん生きてるの?チルノもピンピンしてるし!?
一回ピチュった?
何それ?
チルノ、舌足らずで意味が通じないぞ。


すごく嬉しいですよ本当に。
でも、俺もしかしてものすごく無駄なことしてた?

助かったから良いけど、死んでたら洒落にならないぞ!?

「ハニューちゃん!聞いているの!!」

「はい!聞いております!」






side 十六夜 咲夜
彼女は危険だ。
彼女はできるメイドだと思っていた。
しかし、紅魔館を揺るがすバケモノだと気が付かなかった自分は迂闊だった。

彼女が博麗の巫女相手に奮闘したと話を聞いたときには、自分のことのように喜んでしまった。
お嬢様の敵討ちをするために彼女が奮闘したと思ったからだ。

しかし、それが直に間違いだと気が付かされた。
怪我の治療を受ける私に、第二メイド隊の隊長が報告してきた内容は異常なものだった。
彼女は博麗の巫女を撃退し、あの八雲紫と対峙し追い返したというのだ。
さらに、彼女が幻想郷を掌握するためのグループ「ジオン」を設立したというものだった。

あまりにも異常な内容に思考が追いつかなかった。
唯一つはっきりと分かったことは、彼女は紅魔館を踏み台にして幻想郷を手に入れようとしているのだ。

即座に排除しなくてはいけないかもしれない。
彼女に問いただすために、私は第十五メイド隊の控え室へ向かった。

そこにいた彼女は、まるで私がここに訪れた意味が何も分からないといった様子だった。
しかし、仮にも死線を潜って来た私にはそれがただの演技だと直に分かった。

彼女が手にしている鋏が、副隊長であるルーミアのリボンに近くに添えられていたからだ。
そのあまりにも自然な行動が逆に私の注目をリボンに集めることになった。
ルーミアに付けられているリボンは、リボンではなく博麗の札だったのだ。
しかも、最上級の代物である。
つまり、ルーミアはその強大な力を封印されている。
そして、彼女がその気になればその封印を即座に解除できる状態にあったのだ。

そう、私は圧倒的に不利な状態に置かれていた。
足を負傷しているとはいえ、博麗の巫女と八雲紫を撃退したハニュー、ハニューの側近であり未知数の力を持つルーミア。
完璧とは言いがたい私の現状では戦えば確実に殺される状況だった。

私はメイド長としてのプライドに突き動かされ「もしもあなたの刃がお嬢様に向けられたら、その時は覚悟しておきなさい。刺し違えてでもあなたを倒すわ。」
と負け犬の遠吠えを言うのが精一杯だった。


情けない。
これでは、彼女の迫力に負け、指揮権を預けてしまった第二、第五メイド隊の隊長と同じではないか。




side レミリア・スカーレット
まさか博麗神社の巫女を倒すなんて、思ってもいなかったわ。
しかも、私に断りも無くジオンなんて組織を作り上げてしまうなんて…

咲夜は今直ぐハニューを倒すか追い出すべきだと言っていたけど、それでは面白くないわ。
それにね、彼女のような部下を使いこなしてこそ紅魔館の主と言えるのよ。




side 八雲 紫
霊夢にとっては初めて体験する大規模な異変。
そのため、万が一の事態を考え、霊夢の動きをトレースしていて正解だった。
まさか霊夢が、ダイナマイトによって殺されかけることになるとは予想すらしていなかった。
強烈な爆発と、それに続く天井の崩壊。
人間である霊夢にとってどちらも致命傷になる攻撃だった。

霊夢を救い出した私は怒りに震えていた。
このような攻撃はスペルカードルールに反している。
その時私は、ルール違反をした者を殺そうと思っていた。


霊夢を殺そうとしたハニューという名の妖精を知ったのは、ほんの少し前のことだった。
霊夢と私を無能といい、自分達が幻想郷を運営することによって、幻想郷が永久に存続できると言い切った謎の妖精。
この時は追い込まれ、暴走している哀れな妖精だと思っていた。


そんな彼女は私の問いに対し、自分は弾幕を張っただけであり言外にこの事態の原因は未熟な霊夢にあると主張したのだ。

強者を前に謝るような奴なら即座に殺そうと思っていた。
しかし、返ってきたのは一見詭弁であるが、正当な反論だった。
確かにあの爆発が彼女を原因としている決定的な証拠が私には無い。
そして、スペルカードルールを守らせる側にある博麗の巫女にとって、
スペルカードルールを無視した攻撃に対処することは必須であると言える。
しかし、彼女は未熟にもそれができないことを今回の事態で露呈させてしまったのだ。

面白いと思った。
もう少し話を聞きたいと思った。

状況証拠から見て、この事態を引き起こしたのは彼女である。
場合によっては、私が彼女を感情にまかせて殺している可能性だってあったはずだ。
なぜ、彼女はここまで高いリスクを負ってまで、あのような行動に出たのか興味が沸いた。

その問いに対して、彼女は幻想郷から出て行くためだと主張した。
これまで鬼のように幻想郷から出て行った者たちはいた。
しかし、それではこのようなことをした理屈にならない。
幻想郷から出たいと私に伝えればいい。
このように力を示す理由にならない。
さらに詳しく問いただすと、幻想郷の存在そのものが間違っているという。

これには驚いた。
私の幻想郷が間違っていると指摘されたのだ。

では何を正せばいいのか?
その問いに対する答えは更に予想外だった。

世界が幻想郷を知り、世界が幻想郷を受け入れ、幻想郷が無くなることが正しいことだと言うのだ。

しかし、この答えを聞いて全て納得がいった。
彼女の行動。
そして彼女の演説の意味が。




彼女は本気で幻想郷の変革を考えているのだ。
しかも小規模な変革ではない、幻想郷の役割そのものを変えようとしているのだ。

幻想郷は外の世界で居場所を失った者達が逃げ込む場所だ。
しかし彼女は、世界が幻想郷を知り幻想郷を世界が受け入れられるにするという。



そう、つまり外の世界の理を変えようとしているのだ。
今の外の世界に幻想郷を受け入れる余地は無い。
我々の存在が外の世界に露呈すれば、間違いなくあらゆる形の衝突が発生するだろう。
そして非力である彼女等妖精は、その衝突の中で悲惨な状況に陥るだろう。
それを回避するためには、外の世界そのものを変化させ、幻想郷を受け入れられるようにしなくてはいけない。

外の世界の理が変わり幻想郷を受け入れられるようになれば、幻想郷の存在そのものが必要なくなり、この幻想郷から出ることができる。
幻想郷が逃げ込む場所から、世界へ進出する拠点へと変わる。


夢物語ともいえる。
しかし、彼女はいずれかはそのように変化しなくてはいけない言った。
そう、外の世界の技術力が上がれば、この幻想郷もいずれ月と同じく外の世界に捕捉されてしまう。
その時に備えなくてはいけない。
備えることができなければ、幻想郷は外の世界に滅ぼされてしまうのだから。
ただ時間を浪費するだけでは、幻想郷はいずれ滅んでしまう運命なのだ。

私達のやり方では幻想郷が滅びると彼女は考えたのだろう。
だからこそ、霊夢攻撃という明確なメッセージを持って彼女は立ったのだ。


どうやって外の世界の理を変えようとしているのか、武力もその選択肢の一つに入っているのは彼女の行動から分かる。
だが、具体的にどうやってそれを実行するかは彼女の口から語られることは無かった。
その手段によっては自らに危害が及ぶ可能性があることは分かっている。
しかし、彼女を生かすことにした。

彼女がいずれ幻想郷存続のための切り札に成長するかもしれないからだ。


こんなライバルが現れるなんて。
長生きはするものね。




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さあ、あの門を越えたら、大ちゃんの家まで一直線だぜ。
そう、紅魔館脱走まであと一歩。

もう紅魔館には居られません。
なんだか、俺に会うとジーク・ジオンとか言う奴等がいっぱい居るんですよ。
最初は洒落かと思ったけど、こう何回もやられたらさすがに嫌味だと気がつきますよ。
あの調子に乗って行った演説で、ガンオタキモイと皆思っていたわけですね。


おまけにメイド長なんて、頑張ったご褒美にルーミアの髪を切り揃えてあげている所に乱入してきて、
「もしも、あなたの刃がお嬢様に向けられたら、その時は覚悟しておきなさい。刺し違えてでもあなたを倒すわ。」
等と、とんでもない罵声を俺に浴びせて立ち去りやがりました(おかげで手元が狂いかけましたよ)。いや、刃って髪を切っているだけですが。
お嬢様の髪を私が切るのがそんなに嫌ですか。
というか、俺のことをそこまで嫌いになってしまったんですか。
ああ、元から凄く嫌われてたっけ…


因みに博麗の巫女を撃退したものの、期待していた八雲からの接触もありません。
ゲンソウキョウの管理人っていうからには、いかにもマッドサイエンティストといった感じのおっさんが現れて。
「すばらしい!この性能ならすぐに製品化が可能だぞ!さあ、製品化のために本国へ行こう!」
とか言ってゲンソウキョウの外に出るチャンスが訪れるのではと思っていたのだが…
誰もきません。
なぜだ!?



とにかく、俺の周りが敵だらけでお先真っ暗です。
ですので、足が完全に治ったので逃走しているわけです。
ちなみに完治するのに、一年近く掛かるってどういうことなの…
もちろん、一人置いていくのも可哀相なのでルーミアも連れています。
闇を操る能力が逃走に便利だと思ったからじゃないんだからね!!!
「そうなのか?本当にそうなのか?」

とにかく、ゲンソウキョウ脱出計画は諦めました!
でもいいもん!心の嫁、大ちゃんの家でゆっくりするんだもん!

え?
大ちゃんの家が居心地が悪くて出てきたんじゃなかったっけ?


もう大人のプライドなんて捨てました!
プライドを捨てた俺は無敵だぜ!
今なら「私はあなたの忠実な犬になります。だから見捨てないで~!!!ワンワン!!!」という感じに、大ちゃんに泣きつくこともできる気がするぜ!






それにしても、今日は何だか騒がしいなあ?いつまで経っても冬が終わらないことと関係あるのかな?
まあそのおかげで、混乱に乗じて逃走するチャンスだと思って逃げ出したんだけどね!!



「あら?ハニューじゃない、あなたも動き出したということは、これはやはり異変なのね?」


ってあれ?お嬢様?


「咲夜、ハニューも連れて行きなさい。この子がこの異変を使い何をするのか見てみたいわ。」

「分かりました。さあ、お嬢様の命令よ、ハニュー着いて来なさい。」


俺が何をするか見てみたいって。
それは弱い俺が、ボコボコにされるのを見て楽しみたいということですね!
なんというS…


って、勝手に襟首持って引っ張らないでください。
ちょっ!いやだ。



「ルーミア!大ちゃん助けて!!!」

「演技は、いい加減に辞めなさい!」




「本当に誰か助けて!!!」









side ルーミア
ハニューは誤解されやすいのだー
だから、ハニューよりお姉さんの私がちゃんと守ってあげないといけないのだー




side 大ちゃん
ハニューちゃん何だかとても大変そう…
最近会うたびに元気が無くなっているような気がする…
だから、もしも紅魔館から逃げて来るようなことがあったら、ずっと面倒を見てあげようと思っていました。

でも今は、しっかり抱きしめてあげた後、また送り出してあげようって思っています。
ミスティアちゃんがアドバイスしてくれたの。
「チンチン♪そういう時はベッドの上で一晩抱いてあげて、送り出してあげれば?それで元気になるわよ。」というこだそうです。
何でも、香霖堂で見つけた外の世界のシュウカンシという人間関係について色々と研究した結果をまとめた本に、そういう内容が載っていたんだとか…

流石に一晩中ハニューちゃんを抱きしめてあげるのは、腕が疲れちゃうしおトイレにも行きたくなっちゃうから無理だと思うけど…
それに、ベッドの上に立って抱きしめるなんて、ものすごくバランスが悪いような気がするの。


でも、できる限り長く抱きしめてあげて、しっかりとお話を聞いて励ましてあげようと思います。






それでね、その時伝えようと思っている言葉があります。
ミスティアちゃんに相談したら「チンチン!これってプロポーズ!?絶対に言わなきゃだめよ!」って言われました。
ぷろぽーずって言葉の意味は分からなけど、私がハニューちゃんとずっと仲良くしていきたいという気持ちを言葉にしました。


その言葉は…






気がついたら妖精 東方紅魔郷編 完











東方紅魔郷 グダグダEX編?

「ここから先はオマケなのだー。だから必ず読まなくてもいい内容なのだー。
 本編とは微妙に雰囲気が違うのだー。
 少しやりすぎて、本物の宴会並みにグダグダかもしれないのだー。
 下品な表現が結構あるのだー、お子様はあまり見ないほうがいいかもしれないのだー。他の漫画のネタがあるのだー。
 ハニューの影響で出現時期が一年以上ずれたキャラが居るのだー」

「以上全部が問題ない人だけ見るのだー」





ルーミア?お前は誰と喋ってるんだ?
まあいいか~ルーミアが変なのは、何時もの事だし。

いやー華やかだねw
お嬢様の提案でパーティが始まりました。
なんでも、明日お嬢様の妹を皆に紹介するので、その前祝だそうです。
上流階級のやることはよく分からん…


ちなみに、博麗の巫女との戦闘から2ヶ月経ったのに、俺の足はまったく直る気配がありません。
他のメイドは皆全快してるのにw
俺って貧弱w
(でも、飛べるからそんなに不便じゃないんですよね~)


お陰で、俺のお見舞いも含めてみんな集まってくれて嬉しいのですが…


「もっと持ってくるのだ~」
ちょっ!ルーミアお前どれだけ食べるんだ!?
どう見ても、お前の体積を超えている量を食べている気がするんだが…

質量保存の法則から考えても、ちょっとおかしいだろ!
食べた食べ物はどこに消えているんだ!?
ルーミアのお腹の中で圧縮されているというのはどうだろう?
この仮説が正しければ、ルーミアの体重が大変なことになるはずだ…
「わはー」
あーやっぱり、ルーミアって軽いよね。
ルーミアを持ち上げてみたが、いつもと変わらない。
この仮説は間違いか…
となると、入ったものは何らかの形でルーミアから排出されているはずだ。

だがルーミアはトイレにも行っていない…
ほかに排出されているものといったら?

この黒い何かか!!!
ルーミアの周辺に現れる黒い何か。
これが食べ物の行き着く先ですね。






あれ?

ということは、この黒い何かはルーミアの排泄物ですか?

良くて汗。
悪いと●●●!?


ルーミアの黒い何かの中って涼しいんですよね。
だから、夏の暑い時期は涼を求めて、皆でルーミアの黒い何かの中に入れてもらったのは良い思い出です。

つまり、皆でルーミアの●●●の中に入っていたわけですね!











思い出は美しいほうがいいよね!
そうだよね!
きっと俺の思い違いだ!
いくらルーミアとはいえ、友人を何も言わずにそんな所の中に入れないよね!

やっぱり友人を疑ってはいけないよね。
今日も俺のお見舞いをしてくれるルーミアに失礼だよね。


「まだまだ食べるのだ~」
前・言・撤・回
ルーミア!俺のお見舞いなんてお前何も考えていないだろ!?

信じていいよねルーミア。この黒い何かは断じて●●●じゃないよね!?
「わは~」


…ま、まあいいか。とりあえず忘れよう!
こんなことで悩んでいたら、俺のお見舞いに態々来てくれたチルノとかに悪いからね!

「チルノちゃん!そんなに食べちゃお腹壊すよ!?」

「あたいが最強なんだから!ルーミアなんかに負けないんだから!」

チルノお前もか…




もういいや!
こういう些細なことを気にすることが出来るっていうことが、幸せなんだからね!!!!






「おい霊夢あいつって…」

「っ…」


うん?


げ!


博麗の巫女が何故ここにいる!?

そ、そうか俺に復讐しに来たのですね!?
第三者から見たら、大ちゃんを殺していない博麗の巫女を殺そうとした俺の方が悪いですよね!?



大人である俺は、こういうときは正直に話して謝るべきだよね!



「いやあ、あの時は悪かったね。ちょっとした勘違いだったんだ。ごめんなさい。」

「勘違い!?紫から話は聞いているのよ!正直に話したらどうなの!」

「お、おい霊夢落ち着けって!」

「魔理沙はちょっと黙ってて!図書館で戦線離脱したあなたには関係の無い話よ!」

「霊夢~。あの時のこと、まだ根に持っているのかよ…。アレだけの本を目の前にしたら、読まないわけにはいかないだろ~」


なんだ!?博麗の巫女は何か決定的な勘違いをしている気がするぞ!?
とにかく丁寧にしっかりと答えなくては!
なんといっても相手はあの博麗の巫女だからな!
対応を間違えたら今度こそ殺されてしまう!

「とにかく、あの時は勘違いで本当に君を殺そうとしていたんですよ。
 勘違いで君を殺そうとしたことに対しては本当に申し訳ないと思います。
 でも、今は君を殺す必要が無いことが分かったので、もう殺そうとは思っていませんから。
 とにかく、俺はゲンソウキョウの平穏を乱そうとは思っていないので、今後は仲良くやっていきませんか?」


「くっ!」







「そう…そうなの…」





「次に合ったときは、私をまた殺したいと思わせるようにしてあげるから。覚悟しておきなさい!」


「これは面白そうになってきたぜ。                    れ、霊夢ちょっと待てよ~!」


何だこいつ~!?
何で殺されたいみたいなことを言うんだ!?

ああそうか、そういう性癖なんですね。わかります。
流石、処刑人。死を恐れないどころか、殺されることを快感に感じるようになっていたのですね。

でも、これが量産されない原因なのですね。
あれほどの性能を持ちながら、博麗の巫女が制式品として量産されていないのは不思議に思っていましたが…

戦闘を恐れないのはいいが、快楽を求めて自ら殺されに行くようでは兵器としては失格ですからね。



とりあえず、あまり係わらないようにしよう…






side 博麗 霊夢

なんなのあいつ!

何がごめんなさいよ!

何が殺す必要が無くなったよ!

自分の目的を達するために、私程度では障害にもならないことが分かったから、殺す価値も無くなったって言いたいんでしょ!?

しかも、幻想郷で堂々と異変を起こそうと公言している奴が、博麗の巫女である私に対して幻想郷の平穏を乱す気が無いから仲良くしようですって!?

こんな冗談笑えるわけないでしょ!

今度異変があったときは、絶対に私の力を認めさせてやるわ!






side 三妖精
「ちょっと!サニー!なんで、こんな場所に連れて来たのよ!」

「ルナもスターも賛成したじゃない!また紅魔館のパーティに潜り込んで、美味しい物食べようって!」

「だからって、妖怪がいっぱい居るテーブルのすぐ横だなんて聞いてないわよ!」

「妖怪が相手だったら、私達が外から潜入した妖精だってバレた時に、逃げ切れないかもしれないじゃない!」

「大丈夫だって!堂々としていれば、バレても大丈夫だって!」

(また根拠も無いことを言う…)

「ねえサニー、せめて席を移動しない?」

「もう、二人ともしょうがないな~」





何か、博麗の巫女に会ったら酔いが醒めたな…
さあ、気を取り直して今度は飯でも食うか…

って、なにこれ?
もう食べるものが無いですよ?


「もっと食べるのだ~」

「あたいは…さいきょーなのに…」


こいつ等が原因か。
くそっ、どこか他に料理は余ってないのか?




おや?
隣の三人組が食事を置いて移動しだしたぞ。
もしやこの三人組、俺に気を使ってくれているのか!?
これは、ちゃんとしたお礼をしなくては!

「ちょっと、そこの人たち!ちょっと待ってください!」


「なっ、何か用ですか?」


「君達の所属と名前を教えてくれませんか?」
後でこっそりお礼に行きたいからね~
今ここでお礼を言ってもいいが、ここでは下手にお礼が言えない。
さすがのルーミアも、自分の大食いが原因で知らない妖精メイドが、俺に気を使ったと知ったら恥ずかしい思いをしてしまうからだ。


「サニー!」

「わ、私達は極秘の仕事をする特別なメイドなのよ!だから、私達の所属と名前は教えられないわ。」


これは驚いた。
紅魔館にまだ俺の知らないメイド隊が存在したなんて。
この三人組はいったいどんな仕事をしているんだろう?

そうか!
例の地下室か!

紅魔館の地下には、立ち入りが一切禁止されている地下室がある。
そこでこの三人組は何か極秘の仕事をしているんだな!

「いやー、あの立ち入り禁止の秘密の地下室で働いているのですか。これは驚きました。」

「そ、そうよ!あの地下室よ!」

「因みに、あの地下室には何があるのか教えてくれませんか?みんな財宝があるとか色々噂してますけど…」

「それは秘密!秘密よ!」

「ですよね~引きとめて申し訳ありませんでした。このお礼は必ずしますので。」

「え、ええ。」




side 三妖精
「危なかったわねサニー。」

「そんなことより、二人とも行くよ!」

「行くってどこに行くのよ?」

「お宝を貰いに秘密の地下室へ!」

「ハア、やっぱりコソ泥稼業が板についてきている…」

「ちょっとスター!なにグズグズしてるのー?」












人の優しさっていうのはありがたいね!
さあ、三人組が残した料理をしっかり食うか!




「そろそろ腹八分目なのだー」
「…!…サ………ウ…!!」




こ・い・つ・ら!!
三人組が残した料理まで全部食っちまうとは…
目を離したのは、確か一分ぐらいしかなかったような?

そろそろ怒っていいよね?



「はい。ハニューちゃんの分だよ。」

大ちゃん!
さすが大ちゃんだぜ。
俺の分をルーミアとチルノの魔の手から守ってくれていたなんて!

「ありがとう大ちゃん。でも、せっかくだから二人で食べようか?」

「うん!」



----------





「chinnchinn♪chi●nchin●♪」


何だか、皆お酒が入ってグダグダになってきました。
何を隠そう、俺も酩酊しております!
おかげで、脳内でモザイクがスムーズに入りません!
チ●チ●ではなくローマ字で隙を突いてくるとはやるなミスティア!

よし、お前に対抗して、お前が言う●ン●ンという言葉は脳内で「リグル」に変換してやる。
どうだ参ったか!



それにしてもミスティアは本当に「リグル」が好きだな!
卑猥な言葉は他にも色々あるのに、何故かミスティアは「リグル」しか言わない。
何か相当な思い入れが「リグル」にあるとしか思えない。

仮に「リグル」に相当な思い入れがある、ミスティアに「リグル」を見せたらどんな反応を示すのだろうか?
お子様向けでは無いことが起きるのか?
いや、それはありえないな。
それでは兵器として意味が無い。
となると、むしろ逆に攻撃する可能性が高い。
ミスティアのあの鋭利な爪で一撃必殺…
ありえるな。

でもこれだと、ミスティアは「リグル」が好きなのに、「リグル」を切り落とさなくてはいけない。
別段問題が無いように見えるが、ミスティアには常に精神的負担が掛かってしまう。
むしろ喜んで「リグル」を切り落とす動機が必要だ。

「リグル」が好きでありながら、「リグル」を切り落とすか…うーん…

切り落とすというより奪うと考えてみたらどうだろう?
奪ってどうする?
どうしようもないな…
いや、奪うこと自体が目的なら?
奪うことによってミスティアが精神的に満足する。

なぜ満足する?





もしや、ミスティアは昔「リグル」を持っていたのではないだろうか?
それを生物兵器開発者達に奪われたのだろう。
だから、「リグル」が好きであり「リグル」に執着を見せる。

そして、「リグル」を持った相手を見つけたら、逆恨みによって「リグル」を攻撃するわけだ!
私にはもう「リグル」が無いのに!って感じで…

これなら、ミスティアへの精神的負担も少ないのではないか?
きっと「リグル」を攻撃するための洗脳も行いやすいだろう。



しかし、これは仮説だらけだな~
リグルの「リグル」をミスティアに見せて実験しないと実証できないな。
いや、流石に心は女の子のリグルとはいえ、実験でいきなり「リグル」を奪われるのは可哀相だな…

他に実験に付き合ってくれそうな男といえば?
ああ、他に男って言えば香霖堂の店主しかいませんね。

でも、この前爆竹がどうなかったか報告に行ったら、何故か休業状態になっていたな。
薬を届けに来たとかいう、ウサ耳の女子高生によると、店主は胃に穴が開いたそうだ…
可哀相に…

だめだな、これでは誰も実験に付き合ってくれる人が居ないではないか。

「ねえ大ちゃん?実験に付き合ってくれる度胸のある男って誰か知らない?」

「スースー」
大ちゃん寝てるし。

相当酔っ払っているんだな…

大丈夫か、急性アルコール中毒じゃないよな?




「 「リグル!」 次の曲いくよ~!次はルーミアちゃんのテーマソングです!」
ミスティアの奴、絶好調だな。
さっきから、ミスティアは勝手にテーブルをステージにして歌っています。
何故かルーミアも一緒です。

妖精メイド達も一緒に歌いだして、いい感じに盛り上がってますな~
なんとも平和な光景だなあ~

ミスティアの卑猥な言葉以外は…

でも、ミスティアの卑猥な言葉の裏に、生物兵器開発者達がミスティアから「リグル」を奪った残虐な行いがあるかと思うと、ミスティアの卑猥な言葉も許せるよな…






side リグル・ナイトバグ
よし!今の雰囲気なら言える気がする!
ハニューさんに問い質すチャンスだ!

ミスティアの言うとおり、お酒の力が効いている今なら、ハニューさんが何故余所余所しくなったか問い質せるはずだ。
そして、僕に悪い所があったのなら、それを直してまた昔の関係に戻るんだ!

「ハニューさん。大事な話があります。」







リグルの奴、いきなり真面目な顔をしてどうしたんだ?
「なあ、リグル?いきなりどうしたんだ?」


なんだ?真面目な顔というより…
これは思い詰めた顔?

まさか


このパターンは…


俺のこと好きでしたとか言うんじゃ!?




俺は男だぞ!?
ってまずい!
今は女の身体だ!


やっやばいぞ!!

あれ!?でもリグルは男が好きなはずだから…あれ?

なんだ!?訳が分からない。

もしかして、リグルはどっちでも問題ないのか!?

「駄目だリグル。早まるな!色々と道を踏み外しまくってる!」



「ハニューさん!?お願いですから聞いてください!!本当に大事な話なんです!ハニューさんは…
 なぜ最近僕と距離を置くんですか!?僕はいつもそれが苦しくて苦しくて仕方がないんです!
 答えを聞かせてください!!僕はハニューさんともっと親しい関係じゃないと嫌なんです!!!!」







分かりにくいけど、やっぱりこれって告白だよな…

しかし、俺は男だ、同じ男であるリグルには興味は無い!
これはリグルのためにも、しっかりと答えてやらないといけない…

「もしかしたら、色々と誤解させることを俺は知らず知らずの間にしてしまっていたのかもしれない。
 すまないリグル全て誤解なんだ。
 俺はお前とこれからもずっと友達で居たいんだ。」 

悪いなリグル。
これもいい経験だと思って諦めてくれ。





side リグル・ナイトバグ
良かった!全ては誤解だったんだ!
僕達はこれで親友に戻れるんだね!






ってリグルに突然抱きつかれたぞ!?
しかも満面の笑みで!?



なんで、振られたのに笑顔で抱きついて来るんだ?
もしや…
これは、強硬手段に出てきたということですか?

力ずくでも俺を手に入れようとしているのですね。分かります。



冗談抜きでヤバイのですが…

俺よりハイスペックの生物兵器であるリグルが本気になって俺を襲ったら…
どう考えても俺オワタ\(^o^)/





ヤバイ!
誰か!誰かタスケテ!

俺の貞操サヨナラ
泣いている場合じゃないのに、泣けてきた…






side リグル・ナイトバグ
ハニューさん…
ハニューさんが涙を流している…
ハニューさんも誤解が解けたことが嬉しいんだね。
僕も嬉しいよ!






「ハニューちゃん、どうしたのかな?」


「大ちゃん!リグルが!リグルが俺を!」









「相手の意思を無視してそういうことをすることは良くないと思うの…」


「大ちゃん?何を言っているの!?これはお互いが望んで(仲直り)したんだよ?」





「このゴキブリめ!盗人猛々しいとはこのことなの。
 とりあえずお前を全力全開で攻撃すれば全てが解決すると思うの。」




( ゚д゚)




なにこの超理論。
というか大ちゃんの様子が変です。
これは…完全に酩酊してる?




「魔符…

「ちょっと大ちゃん?!というかスペルカード持ってたの!?」

ディバインバスター!!!!」



ちょ!?なんで某魔砲少女の技を大ちゃ


















うぁぁあぁああああ?

ってあれ、俺は何をしてたんだっけ?
パーティで飲み食いして、大ちゃんと二人で一つの料理を分け合って食べて…
そのあとは?

あれ?


寝たのか?


何かとんでもないことがあったような気がする…
大ちゃんとリグルが何かしたような?

うーん思い出せない…

----------



結局、皆途中で眠ってしまったようです。

いつものメンバーに聞いて回ったが、パーティ後半について誰も知りませんでした。
まるで記憶を消されたみたいだな。
異星人に出会ったとか?そんなわけないか。


因みに、今俺達はいつものメンバーでまったりとしています。
あと一時間ぐらいで、お嬢様の妹のお披露目がある予定なので、とりあえず待機です。


それにしても、なんでリグルの服が焦げてるんだ?
というより、俺と大ちゃん以外全員服が焦げてるんだが…
俺達はいったいどんな飲み方をしていたんだ?



「ハニュー隊長!」


ん?どうしたんだ?

「本日のお嬢様の妹様のお披露目は延期になりました!」

「は?何で?」

「なんでも、お嬢様の体調が優れないらしく…」

これだから、お嬢様育ちの奴は困るな~


まあいいか!


「ということで、今日の用事は無くなったから!湖に行って弾幕ごっこでもしようか!」



「今日も、最強のあたいがなんばーわん!」

「そうなのか?」

「なんだか、今日は凄く良い気分なんです。だから僕が勝ちます!」

「チ●●ン♪みんな頑張ってね♪」




「じゃあ私も全力全開で頑張ります!」

















「程々でいいと思うのだ~」

「何だかよく分からないですが、僕も大ちゃんは程々でいいと思います。」

「私もそう思う…」

「あたいが最強ーなんだからね!大ちゃんなんか怖くないんだからね!」

何故か俺も大ちゃんが全力全開で頑張ると大変なことになる気がする…
チルノも自分で気が付いていないようだけど、何故か顔が青いし…






「ま、まあ、無理をしない程度に頑張ろうか?」


「「「「賛成!」」」」




「おかしいな。…みんな、どうしちゃったのかな?」




きょ、今日も楽しい一日になるかな!?







side 上白沢 慧音
あの紅魔館のメイド長が歴史を創り出せと要望してくるとは、いったい紅魔館で何があったのだろうか…

断ろうとして出した交換条件にあっさりと乗った所を見ると、これはただ事ではないな…

とにかく、寺子屋の運営資金が新たに手に入ったのでよしとしよう。

しかし今回は疲れた。
いくら満月で白沢化していたとはいえ、これほどの規模の歴史を作り出したのは久しぶりだ。
どこかに、ミスをしていなければ良いが…







side 十六夜 咲夜
お嬢様申し訳ありません。

でもこれはお嬢様の為なのです。

あのようなことは、無かったことにすべきなのです。

大好きなプリンを目の前にして油断していたとはいえ、お嬢様がたかが妖精に撃墜されるなんて…
そんな事実は存在してはいけない!

とにかく、あの悲劇を知っているのはもう私だけ…
お嬢様に歴史を創ったことを悟られないように気をつけないと。




大妖精…

ゴミを見るような目をして「ちょっと頭冷やそうか…」と言って止めようとする仲間の妖怪達まで打ち落とした妖精の少女。
酒の席での話と言えばそれまでだけど、酒の席だからこそ、その人の本性が見える。
彼女はかなり危険な性格をしているようね…



ハニューめ!
ルーミア以外にあんな危険な隠し玉を持っていたなんて!

ハニューがどんな手を使おうとも、お嬢様はこの十六夜咲夜がお守りします!
















でも、撃墜されて弱ったお嬢様はなかなか可愛かったわね…
たまには、お嬢様がハニューの魔の手に掛かるのも良いかも知れない…




side 大ちゃん
私には憧れの人が居ます。
でも実在の人物じゃありません。
憧れ人が居たのは、河童のにとりさんが見せてくれた「あにめ」の中でした。

凄く強くて、優しい魔法使い。
おまけにカッコイイ。

私もこんな存在になれたらいいなって思います。

だから、皆に秘密で作ったスペルカード。
憧れの人と同じ必殺技だったりします。
でも、凄く力が必要なのでとても私では使えそうにありません。

そうそう、この前パーティの日の夜に、憧れの人になる夢を見ました。

なぜか、ハニューちゃんがゴキブリの怪物にエッチなことをされそうになっていて、私のディバインバスターで怪物をやっつける夢でした。
他にも、プリンを目の前にして楽しそうに「うー!うー!」と奇声を上げている変な蝙蝠の怪物もいましたが、気持ち悪いのでついでにスターライトブレイカーを打ち込んでおきました。
なんだか、とても気持ちよかったです。

現実の私も、それぐらいの活躍ができたらいいのにな。
そしたら、もっとハニューちゃんと一緒に居れるのに…









side 三妖精
「ねえスター?何回ピチュッた?」

「45回」

「サニーの馬鹿!!!!何がお宝よ!!」

「違うわよ!お宝といったのは、あのメイドよ!きっとあいつに騙されたのよ!」

「あのメイド!次に出会ったら道に迷わせてやる~!」




「ごちゃごちゃ喋らずに、もっと真面目に遊んでよ!弱すぎて面白くない~!!!」

禁忌「レーヴァテイン」



ピチューン・ピチューン・ピチューン




東方紅魔郷 グダグダEX編? 完

「本当にグダグダなのだー多分反省していると思うのだー。」



[6470] 第六.五話 その一 あー死ぬかと思った & ネコ耳少女だなんて本当にここの技術者達は変(ry
Name: pzg◆1036bac0 ID:601741ee
Date: 2009/09/24 18:02
第六.五話 その一
あー死ぬかと思った & ネコ耳少女だなんて本当にここの技術者達は変(ry

「※グダグダEX編と第六話真面目にやった結果がこれだよ!!!のラストの間の時期に相当する短編集なのだー」


・あー死ぬかと思った

side フランドール・スカーレット

外に出れたのは嬉しいけど…
外の世界には言葉だけは私を大切にしているようなことを言うお姉様と、お姉様にベッタリでお姉様のことしか尊敬してないメイド達ばかり…
そんなくだらない奴らばっかりだと思っていたけど、なかなか面白そうなメイドが入ってきているじゃない。
お姉様や他のメイド達によると、博麗霊夢と八雲紫を撃退したとか。
こいつを使って、憂さ晴らしでもしようかしら。







はいハニューです。
現在ハニューは平穏なる日々を過ごしております。
つい先日の妹様紹介の前祝で、何か大変なことがあったような気がするのは気のせいです。

やっぱり平凡で平穏な日々っていいですよね~

こういう日々がずっと続いたらいいなあ。

「あなたがハニューね?ちょっと遊びましょ?」

いや~ほんと今日も何もないなあ~。

「ちょっと聞いているの?ねえ遊びましょうよ?」

幻聴が聞こえるよ?
一応幻聴でもしっかりと答えないといけないよね。

「無理です。仕事がありますので。どうしてもというなら、お嬢様に許可を取ってください。」

「お姉様にはもう許可を取っているわ。存分に遊んできなさいって言っていたわよ。
 あと、咲夜からも紅魔館が崩れ落ちない程度なら暴れても問題ありませんって言われているわよ。」




えー。
紅魔館が崩れ落ちない程度って、それって遊びじゃない。

なんでも、妹様は博麗の巫女に負けず劣らずの廃スペックだとか。
博麗に殺されなかったから、今度は妹様に殺されろってことですか…


短かった俺の平凡で平穏な日々。
というか、平凡で平穏な日々からいきなりあの世に直行ですか。

もうやだ!おうちにかえる!



「ちょっと待ちなさい!」



ぎゃあああああ!

目の前の廊下が消滅しましたよ!!!!!?

これが妹様の能力、ありとあらゆるものを破壊する程度の能力という奴か!

って早く逃げないと!

あれ?こ、腰が抜けて動けない…
というか、うまく飛べない…
えーと、こういう場合何が抜けてるって言えばいいんだ?


「逃げるのを止めたの?少しはやる気になったようね…」


いや違います。
動かないんじゃなくて、動けないんです。


「あのですね。妹様、俺は妹様に攻撃なんてする気なんてこれぽっちも無いです。というか、俺は妹様を攻撃することなんてできません!」
いやホント、俺は自殺願望も無いし、どう考えても低レベル俺の攻撃が通用する相手じゃないんですけど…







あれ?妹様が黙りこんでしまいましたよ!?

「…そんな台詞…聞き飽きたわよ!お姉様も他の住人達もメイド達もいつも同じようなことを言うのよ!優しい言葉かけてくるくせに、本当は気が狂っている私の事なんて何も…」

えええ!?

「ハニュー!あなたの正体!見せなさい!!!!!」

な?なにを言っているんですか???







side フランドール・スカーレット

なんで?なんでなの?
あなたは博麗霊夢と八雲紫を撃退した実力者でしょ?
お姉様達と同じ、私のことなんて本当は何とも思っていない奴なんでしょ?




なんで…





なんで…














あなたは、そこに倒れているの?



「ハニュー隊長!?しっかりしてください!救護班!いやパチュリー様を呼んで!!」



何かが間違っていた?
ハニューの実力が無かった?
そんなことは無い、博麗霊夢と八雲紫を撃退したのは事実。




私のことを攻撃しないという言葉を信じなかった私が間違っていた?




うふふふふふふ…



私は…



私は…



本当に狂っているのね…


「何をしているのかー?さっさと手伝うのだー!!」






















ぎゃああああ痛い!痛い!
主に全身が痛い!!!


誰でもいいから助けに来て!痛すぎて死ぬ!


「出血している場所を布で押さえるのだー」

「わ、わかった。でもどうやって押さえれば…」

「とにかく早くするのだー」



前言撤回!妹様は来なくていいです!



ぎゃあああ痛い!妹様!そんなに力いっぱい傷口押さえたら駄目!!!!!
なにこれ?
もしや、真面目に遊びの相手しなかったから怒ってる?
いや、というより弱すぎて期待外れで怒ってるうううう!?


「い、妹様…」

「!!」



「すみません…でも次からはもう少しおとなしい遊びをしましょう…」
本当に勘弁してください!だから怒りを沈めてください!
でも次は普通の女の子らしい遊びにしましょう。ママゴトとか…
というかそれで許してください!
本当のことを言うと、もう遊びたくないのですが、そんな妹様を激高させそうな台詞なんて怖くていえません!!!!


「!!!!」



あー痛さで気が遠くなってきた。







side フランドール・スカーレット

ハニュー。
攻撃を避けることができたのに、攻撃を避けなかったメイド。
攻撃することができたのに、私への宣言どおり攻撃してこなかったメイド。
私に怒りをぶつけてもおかしくない状況にあったのに、私を心配させたと思ったのか「すみません」と謝ったメイド。
もう二度と私と弾幕ごっこをしたくないと言ってもおかしくないのに、私に次からもう少しおとなしく弾幕ごっこをしましょうと言ったメイド。

ハニューのことが分からない。
どうして私のことをこんなに信用してくれるの?
私は狂っているのよ?

そんなに信用されたら、私もハニューのことを信用したくなっちゃうよ…




side レミリア・スカーレット
この結果は予想外ね。
ハニューの力を目の当たりにするチャンスかと思ったんだけど。
まさか、こんなことになるなんてね。

妹様もこれで力の使い方に少し慎重になるんじゃないですか?って美鈴は言っていたけどこれは恐らく半分あたりね。
確かに、フランはハニューとの戦闘以後、力の使い方を考えるようになっているわ。
でもこれは偶然じゃない。
恐らく、ハニューはこの結果を読んでいたはず。
考えすぎかもしれないけど、結果としてフランとハニューの関係は良好になり、ハニューの力を秘匿することに成功した。
全てはハニューの利益につながるように動いたわ。

結果がハニューのシナリオの存在を示しているのよ。






ねえハニュー?
フランを仲間に引き込もうとするなんて、私のカリスマとあなたのカリスマどちらが強いか勝負したいということなのかしら?





----------




ハニューです。
痛いです。
見た目ほど酷くはないから大丈夫と言われたけど…
やっぱり痛いです。

妹様に一言言ってやろうかと思いましたがやりませんでした。

ルーミアによると気を失った後も色々と看病してくれたそうです。
あとさっき謝りに来ました。
ぶっきらぼうに「ごめんなさい!」と一言言っただけでしたけど。

色々と酷い謝り方だったけど、大人の俺は少し精神的に成長した妹様のために広い心で赦してあげたのだ!
いやー俺って心が広くてかっこいい。



うそです、妹様みたいに精神年齢も見た目も子供の相手に、ボコボコにやられて怒り狂う大人って…
おまけに、慌ててやってきた大ちゃんの目の前ですよ…

俺って情けない(´・ω・`)








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・ネコ耳少女だなんて本当にここの技術者達は変(ry


あー暇だ。

ということで、無縁塚とかいうお墓&ゴミ捨て場に来ています。
どういうことなの…


いやね、足が折れて以後、紅魔館の中でも外でも俺が何かしようとすると、メイド達が「自分がやります!」とか言って俺の代わりに何でもやってしまうんですよ。
それだけなら問題ないのですけどね、「御身に何かあれば一大事です。やめてください。」とか言って散歩もできないんですよこれが。
あー因みに、3週間ほど前に妹様に襲われて以後さらにエスカレートしているような…

訳が分からないので「なぜ俺をそのように扱う?」って聞いたら、俺がジオンのトップだからということらしい。
(トップじゃなくて総帥だと教えてあげました)
つまり、そういうジョークや遊びということみたいです。
何かと娯楽が少ないゲンソウキョウのせいか、あの博麗との激突から3ヶ月経った今でも、俺のジョークが未だにいろんな形に変わって流行っているということだと思います。


色々と有難いやら、迷惑だったりする話ですが、女の子達のやることに大人の俺が目くじらを立てるのはおかしいので、とりあえずは我慢していました。
でも、一日中何もできないのは辛いです。


おまけに、こうもジークジオンとか総帥とか毎日言われると、何と言うか本当にジョークや遊びで言われているのか自信が無くなって来たぞ。
実はいじめだったりして…
なんてね…



ということで、俺の状況を不憫に思った大ちゃん達が俺を強引に連れ出してくれた先がお墓&ゴミ捨て場でした。
なんでも、ここは危ないので誰も近付かないからメイド達から隠れて遊ぶには最適だとのこと。

発案者はチルノです。
最強のあたいが居るから、ここは安全でメイド達にも見つからないとのこと。
何と言う発想。
一見筋が通っているようで、まったく通っていないぞ…

因みに、俺片足は折れたままだし。妹様に襲われたせいで体中に包帯を巻いているのですが…
何か危険な目にあったら誰か助けてくれるんだろうな?









なんか、不気味なところですが、せっかくなのでゴミを漁って宝探しをしています。

なにこれ?

ミッ○ーマウスの顔の下に蛸の足が生えている物体?

タカラギコ ぬいぐるみ(試作品)?

モビルフォース 量産型 ズク????


何だか変なものがいっぱい落ちています。

あ、でも最後のズクはいいかも。
ザクじゃないのは残念だけど、ちょうど暇を持て余していたから、このズクを改造してザクにしてしまおう!
ほとんど、フルスクラッチと同じになる気がするけど、これはこれで面白そうだ。
早速今晩から始めるか!




----------





「こらー!こんな所で遊んじゃだめー!」
ぎゃああ何か出た!!!



ルーミア助けて!
「そうなのかー?」
なぜ疑問系!?



じゃ、じゃあ大ちゃん助けて!
「なんで最初に、ルーミアちゃんに頼ったのかな?かな?」
あれ?何だか大ちゃんの方が危険な気がしますよ…


「ちょっと無視しないで!!」
って空から降りてきたのは、ネコ耳少女?


「なぜなのかー?」


「なぜって…子供が居ていいような安全な場所じゃないの!」

「そっちも子供なのだー」




「そうですよ!僕もおかしいと思います!」

「最強のあたいには関係ないよね!」







「うう…」




「それに、ルーミアは子供じゃないのだー」



あ…まずい…




「ちょっと藍様の真似をしたかっただけなのに…」





うわーん





あーあ…
泣かしちゃった…
なんという子供の喧嘩…

大ちゃんまでオロオロしてるし、ネコ耳少女は泣きながら尻尾を丸めちゃってるし…




これは大人の俺が何とかしないと。
とりあえず、こういう時は抱きしめたらいいって、子供を持っている友人が言っていた気がする。
こういう時はこの体で良かったと思う。
元の体なら犯罪者へ一直線です。



ギュッとな。





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「ばいばーい」



「橙ちゃんまた遊びましょう!」

「そうなのかー」

「チ●チン!気をつけてね。」



あー疲れた。

とにかく頭を撫で回したり…
悪気があった訳じゃ無いんですよーと言い訳したり。
さっき拾ったタカラギコのぬいぐるみとやらを、俺の宝物だと偽って渡してご機嫌とったり…

何とか泣き止んだと思ったら、弾幕ごっこだし…
ちなみにルーミア発案「ジオン入団」テストという名称はどうかと思う。

今紅魔館では何でもジオンを付けるのが流行っているようだけど、ちょっとやりすぎだと思うぞ。



まあ楽しかったから良いかな?







side 八雲 紫

「もう!藍ったら落ち着きなさい。」

「紫様!これが落ち着いていられますか!」



まあ、確かにちょっとビックリしたわね。

いつもと同じく夕食を食べていたら、橙からいきなり「藍様聞いてください!今日新しいお友達が出来たんです!」から始まる一連の内容。

簡単にまとめると橙があのハニューと接触して、篭絡されたという話。

ハニューの部下が橙を叩き、ハニュー本人が優しい声をかけて篭絡する。
もの凄く古典的な手法だけど、橙みたいな幼い子には逆に効果抜群な手法…

さすがやるわね。

八雲の名をまだ名乗らせていないとはいえ、八雲に連なる物がジオンの一員になったことをジオンの宣伝に使う気かしら。


「紫様が何もしないなら、私がハニューに二度と橙に手を出さないように言ってきます!」

「やめなさい、そんなことをしても橙のためにならないわ。」

「なっ」

そう、橙はいずれ八雲橙として幻想卿を背負って立つ身になる。
一方、ハニューは敵になるか味方になるかは分からない。
しかし、八雲橙が壁にぶつかるそのときに、必ずハニューはそこに居るだろう。
ハニューを知り、ハニューから多くのことを学ぶ必要がある。
橙の未来のために。

「ですが!それでも、橙がハニューに何か酷いことをされるのではないかと心配です!」

「それは大丈夫よ。このぬいぐるみを良く見なさい。藍。」

「これは!?」

まったく凄い贈り物だこと。
こんなに怨念の詰まったぬいぐるみなんて…
つまっている怨念の中身は「他人が作り出したものを自分のものにし、自分の利益に繋げようとする思い。」そして「それを防ごうとする思い。」
まるで今の私達とハニューの関係みたいね。

「つまり、ハニューは私達が橙のことで心配するなんて最初から分かっていたってことよ。
 これはそれを私に伝えるためのメッセージ。そして、橙の安全を保障するメッセージでもあるわね。」

「どういうことですか?」

「ここまで状況を読めているハニューなら、橙が酷い目に合ったら自分がどうなるか理解していないと思う?」

「あっ!
 し、しかし紫様!私達や橙自身が気が付かないような手段でハニューの魔の手が橙に迫ったら!
 気が付いたときには既に手遅れになったら!
 橙自身が酷い目に合っていると理解できないぐらいに洗脳されてしまったら!」

「はいストップ!その可能性はあるわね。でもね藍。そういった見えにくい脅威を、見えにくい形のままで処理できなければ八雲として失格よ。
 さっきも言ったように、これは橙が一人前になるために必要なこと。橙が乗り越えなくてはいけない試練よ。」

そして、ハニューのシナリオではなく、私達八雲のシナリオが幻想卿を守れるかどうかの試練でもある…

「藍。とにかく、現状ではハニューへの直接的な干渉は無し。橙の行動とハニュー及び彼女の組織であるジオンの動向についての監視のみにとどめなさい。」

「はい。わかりました…」



本当に藍ったら、いつまでたっても橙のことになると駄目な子のままね。

まあそこが可愛いんだけど。



[6470] 第六.五話 その二 どれだけ立派な遠隔操作式発火装置を造ろうとしているのかと…
Name: pzg◆1036bac0 ID:601741ee
Date: 2011/06/18 21:36
第六.五話 その二
どれだけ立派な遠隔操作式発火装置を造ろうとしているのかと…

「※グダグダEX編と第六話真面目にやった結果がこれだよ!!!のラストの間の時期に相当する短編なのだー」





「はいこんにちは!こんにちは!ちょっとパンツ撮…じゃなくて、取材させてもらえませんか?」


今度は誰だ?
今日は二回目になる無縁塚だったのだが、その帰りにネコ耳少女ではなくカメラを持った少女に出会いましたよ。


「あやー、やっとお話できて嬉しいですねー。紅魔館では、何時もジオンの団員達に邪魔されて会うことすらできませんでしたからねー。
 ハニューさんが無縁塚で散歩をしている情報を持ってきた、椛には何かご褒美をあげないと~新しい首輪にしてあげましょうか…」


「あのーどちら様で?」

「あや!すいません。申し送れました、私はブン屋の射命丸文といいます。」

おお。久しぶりに名刺を見たぞ!!
なになに…

この人が文々。新聞の記者か!!
文々。新聞なら何回か読んだことがあります。

ここは俺も名刺を出すとしよう!
実は、紅魔館に就職してから「大人だったら名刺ぐらい持っていて当たり前だよね!」
と言って自作していたのですが、ゲンソウキョウでは名刺を使う習慣が無いらしくこれまで使ったことがありませんでした。
でもやっとここで出番が!


「紅魔館 第十五メイド隊長ハニューですか…。あやージオンの総帥としてお話を聞きたかったのですが…」

えーせっかく作ったのに…。
新聞記者としてはただのメイドの話より、今話題の遊び(ジョークか?)のジオンの方に目がいくわけですねか、そうですか。

「そう嫌そうな顔をしないでくださいよー。」

「ちょちょっと待ってください!ハニューちゃんと私はこれから私の家に行く予定があります。そういった話はまた今度にしてもらえませんか?」

そ、そうだこれから久しぶりに大ちゃんの家に行く予定だったんだ。
よし、ここはガツンと断ろう。

と思ったけど、大ちゃんと何かヒソヒソ話しているぞ?


「あや~。これはこれは、奥様もいらっしゃったのですか。」

「奥様!?わ、私とハニューちゃんはそんな関係ではないです!」

「そうなんですか?私はお二人を見ててっきり…」

「ええ!?ど、どうしよう…」

「お二人はお似合いだと思いますよ~、そんなお似合いのお二人が二人っきりであなたの家に行くなんて…何 を す る 気 だ っ た ん で す か ?」

「な、何って何ですか!?」


「何 か エ ッ チ な こ と で も す る 気 だ っ た ん じ ゃ な い で す か ?」

「え?え?え?エッチなこと!!?本当に!本当にそんなこと考えてないんですぅぅぅぅぅぅぅうぅぅぅーーーーーーー………」


ってあれ?大ちゃん!?どこいっちゃうの!!大ちゃん!?
大ちゃんカムバーク!!!!!


「ということで、大ちゃんさんは何か急用があるみたいなので少しお話を聞かせてくれませんか?」

はい!?

「な、なんか腑に落ちないが…」

「まあまあそう言わずに~、きっとここに居れば大ちゃんさんはまた戻ってくると思いますから、それまでの時間を潰すと思って~」

まあそういうことなら…




「はい、それでは最初の質問ですが、ジオン総帥として今後はどのような活動を行う予定ですか?」

「特に無し。」
だって、冗談のネタでジオン総帥と言われているのに、どう行動しろとw

「あや~。ノーコメントということですか。やっぱり具体的な話は機密の厚い壁が立ちはだかっているんですね~
 では、具体的な話ではなく、仮定の話をしましょう。もし、ジオンと外の世界が戦うことになったら、どう戦いますか?」

外の世界?何だそれ?

「外の世界って何ですか?」

「漠然としすぎてましたか…日本とかアメリカとか言う国でもいいですし、世界全ての国でもいいですよ~」

つまり、ジオン公国 VS 現代世界と…
何だか新聞記者っていうのは面白いことを考えるなあ~
でも、こんなこと聞いて何か意味があるのか?
ああそうか、こういうシチュエーションでの質問に対して、どう答えるかによってその人がどういった人か読み取ろうとしているんですね!
ちょうどジオンが今流行っているし、同じような質問をいろんな人にしてまとめたら結構面白い記事ができるだろう。
例えば「ジオン公国 VS 現代世界から見えてきたゲンソウキョウ住人の傾向」とか。


「とりあえず、最初はジオンの主力兵器たるモビルスーツを作りますよね。」

「もびるすーつ?それって何ですか?」

「最初の開発される機体はザクという名前のものなんですが、それを例にあげると全長17.5mの大型人型兵器です。
 ミノフスキー環境下における戦闘に特化していて、ミノフスキー環境下ではモビルスーツとモビルアーマー以外ありとあらゆるの近代兵器に対して優位に立てます。
 ああ、ちなみにミノフスキー粒子は、高い帯電性があり空間に立体格子状に整列する物質なんですが、これを散布することによって立体格子より小さな粒子や電波等の波を遮断するだけではなく、電子機器を狂わすわけです。
 RMA化が進んだ現代の軍隊では、こんなものが出てきたら致命的なことになりますね。」恐らく、ミノフスキー環境下に対応する前に戦争は終結するでしょう。
 それどころか、通信混乱により産業構造全体が崩壊し、継戦能力そのものを奪うでしょう。ああすいません。
 この説明ではイメージが湧かないですよね。簡単に説明すると、モビルスーツは同程度の技術力の相手であれば30倍の国力差を埋める力があります。
 つまり、現代の世界が相手では一方的な力を発揮すると言えるでしょう。装備に関しては、ザクマシンガンやヒートトマホーク。またNBC兵器の搭載も可能です。
 メインジェネレーターは、ミノフスキー粒子の使用により中性子の閉じ込めを行う常温型核融合炉です。」

「は、はあ…」

「まあ、でもこんなことするより、コロニー落としか隕石落としのほうが簡単ですよね。現代世界ではこれを防ぐ手段はありませんから。
 でもこれでは死者が大量に出てしまいますし、地球環境をかなり破壊してしまうので最終手段ですよね。」

「あ、あのハニューさん…。申し訳ありませんが、何を言っているのか全然分からないのですが…」

えー。
ガンダムの事、あまり勉強せずに質問してきたんですね。わかります。
よくマスコミにあるパターンですね。


「ハニューちゃん、ごめーん!!!」
おや!?大ちゃんが戻ってきた!!

「さっきはどうしたの大ちゃん?」

「ハニューちゃんごめんなさい!頭の中が真っ白になっちゃって、どうしたら良いか分からなくなっちゃって…」


とにかく大ちゃんの家に向かおう。射命丸さんも、記事を書くにはもう少しガンダムについて勉強しないといけないみたいだし。

「申し訳ありませんが、大ちゃんが戻ってきたので今日はこれで失礼します。」

「ちょ、ちょっと!ハニューさん待ってください!!」



side 射命丸 文
あやー、大ちゃんさんを退席させた所までは上手くいっていたんですがね。
ハニューさんが何を言っているのか意味が分かりませんでしたよ。

適当な言葉で、上手く煙に巻かれちゃったみたいです。


うーん…

でも折角だから、とりあえず記事にして見ますか。

謎の勢力ジオンに迫る!
嘘か真か、ジオンが開発しようとしている主力兵器モビルスーツザクとはいったい!?

こんな所ですかねえ?
記事にするには、情報量が少なすぎますね…
とりあえず、今回は第一報として、鋭意取材中としておきましょうか。




side 河城にとり

「紅魔館」
ここに、技術者としての私を欲している人物がいる。

その人と私の初めての接点は、大ちゃんという妖精が私の元を訪れた時だった。
大ちゃんによると、紅魔館にいるとある妖精が私に極秘で何かの開発を依頼したがっているので、会ってほしいということだった。

私はその話を聞いた時、あまり真剣には受け止めなかった。
大ちゃんが、私が持っていたアニメに夢中になってしまったことも原因の一つだったが…
端的に言えば悪戯好きに過ぎない妖精が私に依頼するものなど、たかが知れているという思いがあったからだ。




その考えを一変させられたのは、今日の朝だった。
文さんが配る文々。新聞。そこに書かれている内容に私は心を奪われてしまった。

ハニューが語る、幻想卿の外にも中にも無い新しい概念の兵器。
モビルスーツザク。

ただの妖精が語ったのなら、妄想ともいえる兵器。
しかし、博麗の巫女と八雲紫を撃退したハニューが、自らの勢力であるジオンの将来の主力兵器として語ったのである。

文さんは、意味が通じない言葉が多いため、ジオンの実力を隠すための偽の情報ではないかと結論付けているけど…
私にはこの言葉の意味が分かる。


分かってしまった。



文さんには申し訳ないが、ハニューが語る言葉の意味を彼女が分かるはずもなかった。
これは、文さんが持つカメラ等より遥かに高度な技術により開発される兵器のコンセプトだからだ。



ハニューの発言は偽の情報ではない。
つまり、この兵器は間違いなく開発される。




私は、この事実に気がついたとき、着の身着のままに走り出していた。


私は驕り高ぶり、とんでもない勘違いをしているのかもしれない。
しかし、文々。新聞の一面を飾るハニューと大ちゃんの姿が、私に極秘で開発を依頼しようとしていた何かと、モビルスーツザクに何らかの重大な関係があると私を確信させていた。





前代未聞の兵器の開発を任せられるかもしれない。
私の技術者として血が騒いでいる。





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なんでも、にとりさんが俺に会いに来てくれたそうです~。
にとりさんには、メイド長へ悪戯するための遠隔操作式発火装置等の各種装備の開発を依頼する予定だったので、向こうから来てくれてラッキーです。
爆竹は無くなってしまったけど、きっと何処かでまた手に入るよね?






あーそれにしても困ったなあ。
もうすぐにとりさんが来るのにこの無駄に巨大な地球儀どうしよう…











実は俺、第十五メイド隊長+博麗の巫女撃退の報酬とやらで、かなり広い部屋を与えられたんですよね。
「こんな広い部屋使ったことが無いぜー」って一瞬喜んだんですけどね、直ぐにあまりの殺風景さに寂しくなってしまったんですよ。
ちょっとした運動ができるぐらいの巨大な部屋に、ベッドと少しの私物入れだけってどんだけw

困り果ててルーミアに「もう少し、俺のカラーを出した部屋にしてもいいんじゃね?」って愚痴ったのが運のつきでした。
ルーミアはいつもどおり「そーなのかー」って言っていたけど次の日から…


無駄に巨大な机とか

無駄に巨大な地球儀とか

世界地図が描かれたヘンテコなデザインのカーペットとか

変な形の壷とか

俺が教えたジオンのマークを描いた垂れ幕とか



とにかく、大勢のメイド達が変なものを大量に俺の部屋に持ち込み始めたんですよ。



なんぞこれ!?




因みに、俺のベッドと私物入れは部屋の見えにくいところに押し込まれてしまいました。


インテリアのセンスというか、部屋のセンスそのものがどう考えてもおかしいと思います。
でも、ルーミアに聞いたら「ハニューらしい部屋なのだー」とか「ハニューは誤解されやすい言い方多いから、分かりやすく皆に伝えておいたのだー」とか言って埒が明きません。
他のメイド達に聞いても、俺に似合った部屋とか言いやがります。

ゲンソウキョウのセンスはどうやら日本とはかなり違うようです…
何だか凄く居心地が悪いが、郷に入れば郷に従えというのでゲンソウキョウの常識に慣れようと日々頑張って住んでいます。






でも今回ばかりは困ったぞ。
にとりさんが来るまで少し時間が余ったので、無駄に巨大な地球儀を回して遊んでいたら外れてしまいましたw
何とか戻そうとするのですが、重くて上手く持ち上がらないのですよこれが!
30センチも持ち上がりません。

誰かに手伝ってもらおうにも、にとりさんと秘密の会話ができるように、にとりさんの出迎えをお願いしたいという名目で人払いをしたので、他のメイドが誰もいません…

って
手が滑った!

ぎゃああああ!足の小指の上に落ちた!!!

痛い!
涙が止まらないぐらい痛い!


な、何でこんなことに…











「は、ハニューさん?は、初めまして、私は河城にとりといいます!」

って!いつの間にかにとりさんが来てるし!!!!

は、恥ずかしいぃいいい!!!
どこまで見てたんだ!?

「恥ずかしい所を見せてしまいましたね。」

「い、いえ…私は何も…」

よ、良かった、何も見られていなかったみたいだ…
とりあえず、気持ちを整え直してと…





おおー。

凄腕の技術者と聞いていたけど、結構普通の女の子だな。
いや、ここはゲンソウキョウだった。見た目に騙されてはいけない。
俺みたいに中身は別物かもしれない。
例えば、元は大手企業の技術部門のエリート技術者だったりして…
ここは、営業風にしっかりと対応してみようかなあ。

「こちらこそ初めまして。ハニューと申します。ささ、どうぞこちらへ。」

とりあえずは、少し世間話でもして、交流を深めてみよう。
だって凄腕の技術者だもん。
いきなり、メイド長への仕返しのためにあなたの技術を貸して下さいと言ったら、プライドを傷つけてしまって断られるかもしれない。



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ルーミアの入れたお茶を飲みながら雑談しているのだが…
困った、ネタが尽きた…
最初は、お嬢様の話題とかメイド長の話題とかのちょっと笑えるエピソードを話していたのだが…
もう後は、メイド長の丸秘エピソードぐらいしかネタが無い…

しかし、このネタが外に漏れたら、俺は八つ裂きになってしまう!!

考えろ俺!
そうだ!困った時は全国共通で使える話題で、営業マンの常識とも言えるテクニック、今日のお天気の話題だ!
これで少しネタを考える時間を稼ごう!

あとそれと、ルーミアにブロックサインを送ろう。
《ルーミア・なにか・ネタに・なるもの・持ってきて・できたら・何か・珍しいもの》


《そー・なの・かー》


「ハニューさんどうかされましたか?」

やばい、ブロックサインを送っていたことに気が付かれてしまう。
とりあえず、笑顔を作ってお天気の話題を始めよう。



「いやー最近のゲンソウキョウの天気はすごし易くて良いですね。」

「!?そ、そうですね。」

や、やっぱり強引過ぎるか!!でもここで止めたら、本当に会話が止まってしまう!

「でも、将来はそうはいかないと思いますね。」





「そ、それはどうしてですか!」

って何て滅茶苦茶な繋げ方をしてるんだ俺!
というよりにとりさん、何でここにそんなに食いつくんですか…
ここで「いやそれは地球温暖化でね」って繋げるつもりだったのに、そんなに食いつかれたらもっと捻らないといけないじゃないですか!

うおおお。
どうしよう…

そうだ!こういう時は「必殺」質問を質問で返すだ。
大人の会話としては完全に失格だが、にとりさんの答えで何か良い答えが思いつくかもしれない。


「にとりさんは、どうしてだと思いますか?」











何だか、にとりさんの様子がおかしい。
随分悩んでいるような。

やっぱり無理があったか!?



「それは、世界が変わって行くからだと思います。」

!!
良かった、にとりさんも地球温暖化で世界が変わってお天気が変わってしまうという答えに行き着きましたね。
とにかく、この会話から話を広げなくては!

「ではにとりさん、それを防ぐにはどうしたら良いと思いますか?」









「それは、技術の力で解決できると思います。」

おお!俺と同じ意見だ!
地球温暖化を招いたのは技術の力だけど、それを乗り越えるのもまた技術の力だと思うんですよね~
同好の士に会えて何だか嬉しいですね!
思わず笑みを浮かべてしまったぜ!
っとまずいまずい、あまりニヤニヤしていると、セクハラ的なこととか、何か変なことを考えている勘違いされたら困るからな。
ポーカーフェイス、ポーカーフェイス…








「あ、あの…ハニューさん…。技術の力で幻想郷の問題は解決できるかもしれません。しかし、それによって対立する相手はどうなってしまうのでしょうか?私はそれが心配です。」


ゲンソウキョウで地球温暖化を防ぐと、他の場所で地球温暖化が悪化するということか?それは無いだろ…
いや、これはゲンソウキョウが地球温暖化ビジネスで成功したら、その他の国々と軋轢が生じるということか…
例えば、石油の代替製品をゲンソウキョウが作り出したら、中東諸国との関係が悪化するみたいなものか。

「確かに多くの国々と利害の不一致から激突し、強引な手段に出なくてはいけない状態に陥る可能性はある。
 悲しいことですが。本当はこんなことで争っても何の意味も無いのに…目的はそこではないのに…」
って昔テレビか何かで言っていたから合っているはず。
でも、何だか自信が無いぞ…俺専門家じゃないしw
それに、すげえ曖昧で抽象的な回答だよなあ。具体的なお話を聞きたいのですが、強引な手段って何ですか?ってこれ以上突っ込まれたらやばいのですが…
あ、あの、にとりさんこんな答えでいいですか!?





「ハニューさん…」









「おまたせなのかー?」

よし!ルーミアナイスタイミングだ!ちょうどネタがまた途切れそうだったぜ!











ってルーミアなんでザクのプラモ(ハニューお手製ズク改造ザク)持ってきてるの!?
確かにゲンソウキョウ的には凄く珍しいけど、これネタにしろってか!?
無理があるだろ…
とりあえず、これは失礼だからにとりさんに謝らなくては。
「いやーすいません。ザクのプラモなんて出てきてしまって…」



「!!!!!!これがモビルスーツザクの模型ですか」

あれ?意外と好反応!?

「にとりさんはザクに興味があるんですか?」

「もちろんです!」

まさかこんな所に接点があったとは!!
俺のザクトークに火が付くぜ!!




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気が付いたら日が暮れていました~
ザクに対してにとりさんが質問して俺が答えるということを延々と続けてしまいましたよ。

それにしても、流石技術者ですね。
なんだか、技術的な話ばかりになってしまいましたよ。
おまけに、なぜか魔法の話とか出てきて訳がわからなかったけどw

おかげで赤い人の話とか一言も出せませんでした。
まあいいか!


いやー今日は楽しかった…











って、にとりさんに爆竹の遠隔操作式発火装置とかを、極秘に作ってもらうようお願いするのを忘れるところだった!!

「すいません、にとりさん極秘に開発をお願いしたいものがあるのですが…」



「ハニューさん。その話を大ちゃんを通して受けた時に、直ぐにお答えできなくて申し訳ありませんでした。実はその時は興味すら持ってはいませんでした。
 でも、今の私は極秘の開発に是非とも参加したいと思っています。
 極秘の開発任務お受けいたします!」

な、なんだ。既に大ちゃんをから、話を聞いていたのか~
そういえば、大ちゃんが「例の仕返しの件でにとりさんに会いにいったんだけど、良いお返事もらえなかったの。ごめんねハニューちゃん。」とか言っていたな…


「ただ、ハニューさんも気が付いていると思いますが、残念ながら私一人で手に負えるプロジェクトではありません。
 作業量だけではなく技術的な見地からも私の習得している技術の枠を超えた多方面の技術が必要になると思います。
 また、開発期間も数年間に渡る可能性があります。」


なんだってーーーーー!!!!

メイド長にちょっと悪戯するのに多方面の技術に数年間の開発期間だと!?
まさか、遠隔操作式発火装置とかを用意するのがそんなに大変だったなんて…
そんなに大変ならやらなくていいのですが…
っていいたいけど、にとりさん何だが凄いやる気だから言い出せない!!



「了解なのだ~。」



ちょっ!!
ルーミア勝手に返事しないで!!







どうしよう…









「細々としたものはルーミアに頼んで。あと何か優秀そうな人がいたら、そちらに手伝いに行くよう伝えておくから。」


俺って凄く周りに流され易くて情ねえええ…




side 河城にとり
紅魔館に乗り込んだ私がハニュー氏の部屋で見たものは、想像だにしなかった光景だった。
それは、そこに居る者の力を禍々しいまでに主張する部屋の片隅で、地球儀に手を当て静かに涙を流す少女の姿だった。





家を飛び出したときの私は、熱病にでもかかったような状態だった。
しかし、紅魔館に近付くにつれ、私の心の一部が冷えきっていくのを感じていた。
私は技術者としての力を存分に発揮し、その結果として力を求めるものに力を与える。
私はそれで満足するだろう、だが私の与えた力が多くの人を不幸にしたら、私は幸福でいられるだろうか?

ハニュー氏の噂だけを信じれば、飛ぶ鳥を落とす勢いで勢力を伸ばしている野心の固まりに見える。
力を与えるには危険な相手だと、冷え切った私の心の一部が必死に警告を出していた。


その警告は、ハニュー氏の部屋に近付くにつれて強くなっていった。
大勢の妖精メイド達が整然と私を出迎え、ハニュー氏の部屋の扉を開けた瞬間、その警告は最高潮に達していた。

ハニュー氏の部屋が発する力の主張の奔流に私は圧倒されつつも、この部屋の主は危険だと感じたからだ。
それは、この手の部屋の主は、部屋や地位の持つ魔力(力)に呑まれて力に振り回される弱い力と弱い心を持った小物か、部屋の持つ魔力が分からないぐらいに強い力と強い心を持つゆえに、力に翻弄される人々のことなど理解できない者が多いからだ。


だが、この部屋の主はそのどちらでも無かった。



そこに居ることが、あまりにも不自然な少女。
何かの間違いで、こんな部屋の主になってしまったのではないかと、思ってしまうような少女だった。
その不自然さが、涙を流すハニュー氏の姿を現実的なものではなく何かの幻影のように見せていた。

何を悲しんで彼女は涙を流しているのだろうか?その時の私には想像することすらできなかった。

その時の私は何かの禁忌を破ったような思いに駆られ、何もかもが上の空だったのだ。




その後の私は酷いものだった。
ハニュー氏への挨拶は呂律が回っていないものだったし、ハニュー氏の「恥ずかしい所を見せてしまいましたね。」という言葉にも、まともに返すことができなかった。

恐らくハニュー氏の配慮だろう。
ハニュー氏は私の緊張を解そうと、とても彼女の地位には似合わないくだらない話をしてくれた。
そのあまりのギャップが面白く、私は気が付くと緊張が解けていた。


今から思えば、このとき既にハニュー氏の魅力に私は捕らえられていたのだと思う。



しかし、ハニュー氏が不自然な笑顔と共に始めた話により、私は再び強い緊張を強いられることになった。
ハニュー氏は突然天気の話を始めたのだ。
そのあまりの下らなさに私は何が始まったのか意味が分からなかった。
だが、直後にハニュー氏が今後は幻想郷は過ごし難くなるという話をしたことにより、これは天気の話をしているのではないということに、ようやく私も気が付いた。

この天気は比喩表現であり、幻想郷の平和を意味していたのだ。

今後は幻想郷の平和が乱れる、ハニュー氏はそう語っていたのだ。
その解決方法を問う私に、ハニュー氏は同じ質問で私に返してきた。


私はここが正念場だと分かった。
私は、ハニュー氏が私の技術を提供するに値する人物か見定めていたつもりだったが、いつの間にかハニュー氏に私は協力を依頼するに足る人物か見定められていたのだ。



私は、どう答えるか悩んだ。
そして出した回答は、技術による解決だった。
私は技術者だ、それ以上も以下も無い。
それを正直に言うべきだと考えたからだ。


ハニュー氏は、私の回答に一瞬だけ笑顔を示した。
これは、合格を意味するのだろうか?
私の脳裏にそのような考えが浮かびあがってきた。
だが、何故か私はすぐに別のものに興味を引かれ始めてしまった。

今思えば、この興味が今の私とハニュー氏の関係を作り上げるターニングポイントだった。


それは、私の回答に対してハニュー氏が一瞬見せた、ごく普通の少女の笑顔だった。


そう、ごく普通の少女…
ごく普通の少女がジオンという組織を作り上げ、博麗の巫女と八雲紫に挑戦状を叩き付けたのだ。
それは無い。
ごく普通の少女などでは無いはずだ。



では私の中にある違和感は何だ?
その時、私は出所不明の激しい違和感に揺さぶられていた。


私はその違和感に突き動かされ、ハニュー氏が幻想郷と対立する相手はどうなるのかと問いかけていた。
人間の盟友である私にとって、人間と対立する可能性を示しているハニュー氏に対して、それは絶対に問わなくてはいけない質問であり、そこにこの違和感の答えがあるように感じられたからだ。


ハニュー氏は、争いになる可能性を正直に話した。そして、そこが目的ではないことも話してくれた。
優等生的な答え。
それ故に多くの場合あまり意味の無い答え。
しかし、その直後の彼女の表情が、その言葉が紛れも無い事実であるということと、私の知りたいことを教えてくれた。


彼女の顔には、嘘偽りの無い純粋さと、不安や怯えといった相反する表情が同時に浮かんでいたのだ。
まるで、母親に突然自分の行いについて問いただされ、正直に答えたが自分の答えが本当に正しいかどうか不安で仕方が無い子供のような…




私は、この表情を見た瞬間、これまで感じた違和感がパズルのように組み合わさり、ハニュー氏の真実の姿を形作っていくのを感じた。




そう、ごく普通の少女が、努力と使命感という鎧で身を固め、自らの本質を偽っているのが今のハニュー氏の姿だったのだ。
彼女の事を聞けば、多くの者は超人的な姿が彼女の本質であり、普通に見える姿は偽りの姿だと感じるだろう。
しかし、事実は逆だったのだ。
私の感じた第一印象は正しかった、彼女は本来あの部屋に居るべき人ではないのだ。
だが、彼女はごく普通の少女という本質のままあの部屋で幻想郷の、いや、世界のためにその身を捧げている。

これは悲劇だ。

彼女があの部屋や地位の力に振り回されるような弱い心と弱い力を持った小物だったら、彼女は成功はしないが、小さな失敗を繰り返すため大きな苦しみを味わないで済むだろう。
逆に彼女が強い力と強い心を持っていたのなら、彼女の目的を容易に進めることができるだろうが、失敗するその瞬間に一瞬の苦しみを味わうだけで済むだろう。そう裸の王様のように。

しかし現実の彼女は、弱い心と弱い力を努力と使命感で補ってしまった。
そして、力も努力と使命感でコントロールし正しく使いこなしている。

成功への道を彼女は進んでいると言える。

しかし、彼女は成功すればするほど、自らの本質を偽らなくてはならいのだ。
成功することが、彼女を苦しめる。
永遠の命を持つ妖精である彼女にとって、それは永遠の苦しみになるかもしれない。




何が彼女をそこまで駆り立てているのだろうか?

自らをボロボロにしながらも、地球儀に手を置きこの星を眺めながら何を彼女は悲しんでいたのだろうか?

私には分からない。

ただ、ハニュー氏の真実を知ったその時、私の技術によって彼女を支えようと決意した。



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・モビルスーツザク開発記録 1ページ目 記録者 河城 にとり


これまでに無い、大規模なプロジェクトになるため記録を残す。


私が初めてモビルスーツザクを見たのは、ハニュー氏を支えることを決意した直後だった。
側近のルーミア氏がモビルスーツザクの模型を持って入室してきたからかだ。

しかし私はこの時、モビルスーツザクの造詣より、ハニュー氏に認められたという事実ばかりに目が行ってしまっていた。
その後は、今思い出しても顔から火が出るような有様だった。
まるで片思いの相手と相思相愛だったことを知った子供のように、喜び勇みながらモビルスーツザクについてのコンセプトを聞き出し、それを現実的に手に入る技術でいかに実現するかのアイデアを捲くし立てていたのである。
その熱中ぶりは、最後の最後にハニュー氏から正式にモビルスーツザクの開発を依頼されるまで、まだ正式に開発を依頼されていなかったことを忘れていたぐらいだった。


しかし、この会話での収穫は大きかった。
まるで何かの物語のような例え話(私が分かりやすいように配慮してくれたのだろう)で紡がれるハニュー氏のモビルスーツザクのコンセプトは斬新で、私の技術者魂を震えさせたのだ。
もちろん良い話ばかりではなかった。モビルスーツザクの開発には、科学と魔法を高度に融合させる必要があるという事実が発覚したのだ。
そう、不本意だが私が手に入れることができる技術だけでは、どうしても技術力が足りないのである。
足りない技術は、ハニュー氏本人が応援を集めてくれることになった。
ハニュー氏を助けると決意したのにも関わらず、情けない話だと自分でも思う。


明日にはルーミア氏が約束してくれた、応援の妖精メイド達が来る予定だ。
とにかくできるところから手を付けてみよう。



[6470] 第七話 ぼ、僕は善良な一市民です、犯罪者じゃないんです。
Name: pzg◆1036bac0 ID:601741ee
Date: 2011/06/29 23:02
第七話
ぼ、僕は善良な一市民です、犯罪者じゃないんです。



「光の幕の向こう、モビルスーツが撥ね飛ばされているのだー」

「もっとよく観測して!何が起こっているの?……ハニューちゃん…」











「そうか、しかしこの温かさを持った人間が地球さえ破壊するのよ。それを分かるのよ、ハニュー!」

「わかってるよ博麗の巫女!だから、世界に人の心の光を見せなければならないんだろ。」

「ふん!そういう女にしてはフランに冷たかったわね?え?」

「俺はマシーンじゃない。フランの母親代わりなどできない。」
「だからか、貴様はフランをマシーンとして扱って!?」

「そうなの、フランは母親を求めていたの。それで、それを私は迷惑に感じて、フランをマシーンにしたのね。」

「貴様ほどの女が、なんて器量の小さい!」

「魔理沙は私の父になってくれるかもしれなかった女性だったのよ。その魔理沙を殺したお前に言えたことか!」

「お父さん?魔理沙が…? うわっ!」













「ああっ…霊夢が!」

「お嬢様!?どうしたのですか!?」

「ムキュー…紅魔館が地球から離れていくわ!」

「そんな馬鹿な!!」









「紅魔館進路変更確実、地球から離れていくのだー」

ガタッ(そんな…そんなことって…ハニューちゃん…)




こうして、紅魔館の地球落下による地球寒冷化は阻止され、後の世に博麗の逆襲と言われる紛争もまた終結した。

この紛争の中心人物である、博麗霊夢とハニューの行方は現在も不明である。

歴史の真実は、地球軌道を包んだ温かい謎の光の向こうに消え去ってしまったのだった。














そうなのかー





カットカットカットカットォ……!

駄目じゃん!
俺多分死んでるよ!

現実逃避して妄想していたら、妄想の先で死んでしまいましたよ…
いやね、ちょっと現実が重すぎたので…


現実はですね…






201X年ゲンソウキョウは核の炎に包まれた。






あらゆる生命体は絶滅したかにみえた。







しかし、妖怪と妖精は死に絶えてはいなかった…








「ヒャッハー! 汚物は消毒だ~っ!!」





というナレーションがついてもおかしくない状況なのでしょうかこれは!?



俺の前方では、博麗の巫女と魔理沙さんとメイド長が道行く(空飛んでますけど)人々を攻撃しまくっています。

どうやら三人とも、いつまでも続く冬という異常気象を解決するために出発し偶然集まってしまったとか…
その理屈は色々とおかしい。

異常気象は人間の力ではどうにもなりませんw


どう見てもただの憂さ晴らしです。
いつまでも暖かなくならないので、ストレスが溜まっていたんですね、わかります。

でも、三人は「これは弾幕ごっこよ!」
って言っていますけど…
俺達のやっている弾幕ごっことは明らかに違う気がするんですが…

俺達の弾幕ごっこでは当たっても少し痛い程度の威力でやっているんですが…
さっき三人の攻撃を受けた人なんて、どうみても致死的な速度で地面に叩きつけられたのですが…
(弾幕ごっことは、生物兵器同士の戦闘訓練なので、訓練で怪我をしたら意味が無いです。まあ、大ちゃん達も最初は凄い威力で弾幕ごっこしてましたが、力の使い方を分からない幼い子供に力の使い方を教えるのは大人の務めなので、そのあたりはしっかりと教育しておきました。)

慌てて、人が死んだことを知らせたら「なにその冗談!?一回ピチュッただけじゃない?それに妖精なんだから、万が一があってもすぐ生き返るに決まっているじゃない!ウケル~」と三人に笑われました。
死んでも生き返るって、なにこのゆとり教育!?

特に博麗の巫女が酷い、さっきから自分の行った大量虐殺に対して「ほら、良く見なさいハニュー。私が一番華麗かつ沢山撃ち落としているわ!」とかいって自慢してきます。
あまりにも酷い発言に、初めて聞いたときは固まってしまいましたよ。
まるでゲームのように大量虐殺を俺に自慢するなんて、どういう精神構造をしているのでしょうか!?
ゲーム脳っていうレベルじゃねーぞ…


ただの憂さ晴らしでここまでの大量虐殺をやらかすなんて…
さすが生物兵器の実験場。
やはりゲンソウキョウは恐ろしい所です。




こんな悪事を見過ごすわけにはいかないのですが、楽しそうに大量虐殺を行う三人の姿が怖すぎて、俺にはとても止めることなんて無理です。





因みに、さっきから三人の話題は、誰が一番妖精を撃ち落とせるかという話題で持ちきりです。
つまり、誰が一番沢山殺せるかということですよね…
本当にこの三人怖いよう…
マジで震えてきた…


とにかく逃げよう。
こんな危険な奴等と一緒に居なくてはならない理由ってないよね!?



side 博麗 霊夢

「ほら、良く見なさいハニュー。私が一番華麗かつ沢山撃ち落としているわ!」

雑魚相手の弾幕だったけど、その華麗さと数には自信があったのよ!
だから、少しは私のことを認めるようなことを言うと思ったのに!!


何なのあの表情は!?

何を言っているか分からない表情ってどういうことよ!?


この程度の弾幕で自慢しているのが理解できないってことなの!?



落ち着かなくちゃ駄目よ私!
あのパーティの夜のことを思い出すのよ。
今日はチャンス、絶対にハニューに私を認めさせてやるわ!






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「くろまく~」

「あなたが黒幕ね!では早速。」


おおう!
第三者が乱入してきて、何か罵り合ってますよ!?
でもこれは逃げるチャンスですね!?

馬鹿なババア達はそこでゆっくりしていってね!!
ハニュー達はゆっくり逃げるよ!!!

「ハニューとルーミアだ、おーい!」


ってあれ!?
「げげ!チルノと…あのちょっとムッチリした体型と薄紫の髪は…チルノのお母さんかお姉さんじゃないか!?」

「チルノにお母さんやお姉さんが居るなんて聞いたこと無いのだー?」

「ルーミア、あまり大きな声では言えないけどな、チルノの家庭はどうやら複雑みたいなんだ。だからチルノは秘密にしているんだと思う。」

「どういうことなのかー?」

「遠目で見ただけなんだけど、能力もよく似ているしチルノが甘えまくっているのを見たことがあるから、あの人とチルノは肉親であることは間違いないと思う。」
同じ冷たい系の能力ですし、チルノが抱っこされているのを目撃したんですよね。
「それで、何で秘密にしているかというと、なんでもチルノとあの人は冬の間しか会えないらしいんだ。
 一時期しか会えないなんて、どう考えたっておかしいだろ?こういうのは経験上、大抵家庭の事情ってやつで、あまり人に話したくない状況に陥っている場合が多いんだ。」
おまけに、春になったら次の冬まで会えないなんてやだーってチルノが駄々をこねているのも目撃しちゃいました。
「例えば、あの人がチルノのお母さんなら、何か理由があってチルノとチルノのお父さんを捨てて別の人と再婚したんだ。
 でも、それでも娘に会いたいということで、この冬の時期だけ会うのが許されているんだよきっと。
 お姉さんであっても同じ、きっと両親が離婚して、二人は別々の親に引き取られたとかそんな感じだと思う。」

「そうなのか?」

「まあ、ちょっと強引な推測だしゲンソウキョウの特性を考慮していないので本当の所は分からないけど、総合的に考えればチルノの肉親であるということが一番ありえる答えだと思うぞ。」

「そうなのかー」


どうしよう!?
このままじゃ、チルノとチルノのお母さんかお姉さんが死んでしまう。

なんとか戦闘を止めないと。


「その戦闘、ちょっと待った!!」




「これは私の獲物よ!ハニューにはあげないわ。」

流石博麗の巫女。
発想がずれてますね。
思ったとおり、こっちは説得不能ですね。

チルノサイドを説得するしかありません!

「あ、あのチルノのお姉さん!」


あれ?気がついてくれませんよ?
ということは、チルノのお姉さんではなくお母さんということですね!!



「くらえ!!」


って、博麗の巫女が攻撃を開始してしまいましたよ!?

もう駄目だ!早くチルノサイドを説得して、逃げてもらわないと!






「チルノのお母さん!!」








あれ?俺完全に無視ですか!?
「戦闘に集中していて、聞こえていないのかもしれないのだー」



ということは、この弾幕の中に入って説得しなくてはいけないのか…
えー
凄腕のパイロットとかじゃないと無理だろこの状況…

ここは、過去の凄腕のパイロットの名言を思い出すんだ。
きっと何か上手くやれるヒントがあるはず。


『私は故あれば寝返るのさ!!』
いや、この状況で寝返ってどうするんですかシーマ中佐…


『言って分かればこの世に争いなんて無くなります。分からないから敵になるんでしょう?そして敵は、討たねば。』
正論なのは良く分かりますけどね、俺が博麗の巫女を倒せるのならこんな状況になっていませんって!!
大体あなたはパイロットじゃないでしょアズラエルさん…


『バッキャロウ!エゥーゴだろうがアクシズだろうが、かたっぱしからやっちまえばええんや!』
両方攻撃したら意味ないじゃないですかドルク中尉…。というか、マイナーキャラ過ぎますよあなた。
カツを一瞬でヌッ殺してくれた時のあなたは最高に光っていましたが…


『やめてよね。本気で喧嘩したらサイが僕にかなうはず無いだろ。』



死ね!




何の参考にもならねええええ!!!!
というか、全員ガンダムのキャラってどういうこと?
さっきの妄想の影響!?
俺、もの凄く混乱してるな!



でも…
でも…

友達は見捨てる訳にはいかない!

くそ!行くしかないか!!


「方法は任せるから、ルーミアは博麗の巫女の気を引いて!俺はチルノのお母さんを止めるから!」

「どうすれば気を引けるのだ~?」

「博麗の好きなものとかを見せるとか、話しかけるとか!とにかく何でもいいからやってみて!!」

「そうなのかー」



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よし!!博麗の巫女から攻撃が止んだぞ!!
ルーミアは上手くやってくれたみたいだ!!
今だ!突撃だああああ!!

「チルノのお母さん聞いてください!!こんな挑発には乗らずにここは逃げてください!
 こんな所であなたが死んだら娘さんのチルノがどれだけ悲しむと思っているんですか!!大体、チルノだって死ぬ可能性があるんですよ!!!」

おお!
効いてる効いてる!
チルノのお母さん凄くショックを受けた顔をしていますよ!!
きっと、自分の軽率な行動に気がついてショックを受けているんですね、わかります。


「いやああああああああああああ…
「レティ!?どうしたの!?」

やった!説得に応じて逃げてくれたぞ。
何だか、ずいぶんと悲壮な感じで逃げていきましたが、自分の行動を恥じて明日の糧にするのも時には大切です。
いやー大事に至らなくて良かった。



side 霧雨 魔理沙
これってなんなのぜ!?
内容は聞こえなかったけど、ハニューが少し話しかけたら、まるでこの世の終わりといった感じで逃げ出しやがったぜ。

咲夜が言うには、自分達が仕えているハニューに手を出したことに気がついた妖怪が、ハニューからの制裁を恐れて逃げ出したとか。
こーりんも霊夢もやばい奴だと言っていたけど、本当みたいだぜ。





side 博麗 霊夢
「とっとと拾うのだー」
ハニューの部下のルーミアが、私に弾幕を投げつけて来るなんてどういうことよ!?
私とまたやる気!?
そっちがその気なら…



「いた!?」

「どうしたんですか魔理沙さん!?」

「ルーミアの流れ弾に当たっちまったぜ。」

「でもそれにしては怪我が…彼女は何を投げて…」

「…」

「なんで、小銭を投げてるんだぜ!?」






ハニューあなたって…







あなたって…












本当はいい奴だったのね!!!

お賽銭をもらったら、巫女としては願いを叶えてあげなくっちゃね!
だから博麗の巫女としてあの二人は見逃してあげるわ!



って騙される所だった…
あいつは私を殺そうとしたのよ…
こんな小銭で私の気持ちを自由にしようだなんて…!!!!

あああ、でもハニューを見るたびに顔が緩んでしまうううう!



でも、か、紙のお金をくれるなら、気持ちを自由にして…
だ、駄目よ私!!これは罠よ!我慢するのよ!!
あのパーティの夜の屈辱を忘れちゃ駄目よ!!





side レティ・ホワイトロック


いきなり、チルノのお母さんって言われるなんて、どういうことなの!?
大体、何なのあの子!?

私はそれなりの年だけど、まだチルノちゃんほど大きい子が居るほどの年じゃないもん!!

私はお母さんじゃないもん!まだピチピチだもん!!まだオバサンじゃないもん!!


うわーん…





「レティ…レティはあたいのママだったの?」


ちょっと、チルノちゃん!違うのよ!!?

「レティママ…」ぎゅっ

ど、ど、ど、どうしよう!?













ハニューです。
逃亡するチャンスを失いました。
なぜか博麗の巫女が俺を見る度に笑顔になりやがります。
博麗の巫女の邪魔をしたのに、この反応はどう考えも怪しいです。
これは、この笑顔の裏には何かあると考えたほうがいいです。
たぶん裏では、よくも獲物を横取りしてくれたわね!あんまりふざけた事するとコロスぞ!って思っているんだと思います。
つまり、この笑顔は俺を抹殺することを想像して笑顔になっているんですね!!!!!!!


とにかく、少し大人しくしてようと思います。
そうそう、知り合いが博麗の巫女に攻撃されるって事態もないと思いますし…
知らない皆さん見捨ててごめんなさい…






----------





「チルえもーん!!!」

「どうしたのさハニュー!」

「聞いてよチルえもん!!!またメイド長に、お嬢様に怒られたのは俺のせいだって虐められたんだよ~何か道具だして~!!」


「もうしょうがないなハニューは!さいきょーのあたいがメイド長を倒してきてあげる!」

「ホント!?チルえもん!ありがとう!!」






「チルえもん、君が大地に帰ったら部屋ががらんとしちゃったよ。でも…すぐに慣れると思う。だから……心配するなよチルえもん。」


帰ってこなかったチルえもん   完





って博麗の巫女の視線が怖いので、ルーミアの黒い何かの中で妄想して現実逃避していたら、ルーミアに噛み付かれていた。
な・・・何を言っているのかわからねーと思うが (ry


ちょっ何するのルーミア!?

「やっと戻ってきたのだー!早くあれを見るのだー!!!!」


!?


ちぇえええええええええええええん!!!!!!!!
橙が撃ち落とされてる!?




「何でこんなことに!?」


「あら、ハニューの知り合いだったの?あなたから、私達三人に手を出すようなバカな真似はしないように言っておきなさい。」
ちょ!?
三人でリンチかよ!?



「橙!?橙!?」


「ルーミア、何でもっと早く教えてくれなかったんだよ!」

「外が見えないのだ…」

「あ…ごめん。そういえば、黒い何かを出していたら、ルーミアも外が見えなかったんだよな…」




「イタタタ!うわ!服がボロボロ!?藍様に怒られちゃう!」
良かった、結構平気みたい…


「南無~。きっと極楽浄土は、暖かくて幸せに違いないでしょう。」

メイド長酷い!橙死んでないって!!
本当に皆冷血な奴ばっかりです。
橙を殺しかけたことなんて、何とも思っていないみたいです。


と、とりあえず、橙の治療を…
腕とか、お腹とか、太ももとか、あっちこっちから血が滲んでいるぞ!
くそ!包帯とか持ってくれば良かった。
ハンカチとメイド服で代用するしかないか…

「ハニューさん。私は大丈夫ですから、安心してください。」

「でも、殺されかけたんだよ!?」

「これは弾幕ごっこですから大丈夫です。だから安心してください。」

良い子過ぎるぞ橙は!!!
自分のことより、他人を安心させることを優先するなんて。!!!

実は橙は貧しい家の出身で、若い身でありながら苦労を経験しているせいか、他人にも優しくできる良い子です。
まあ、この場合は逆にグレてしまう人も多いんだけどね。

プライベートなことなので、あまり詳しく聞きだしてはいないのだが、これまでの断片的な話をまとめると、橙の家は母子家庭で「らん」というお母さんと、「ゆかり」という寝たきりのお婆さんが居るようです。
そして、らんお母さんは働けないゆかりお婆さんの分まで日々働き続けており、橙もそのお手伝いをしているとのこと。
あとこれは余談だけど、時々らんお母さんが屋外で裸になっているのを見かけて、橙は何をしているのか分からず不安がっているそうです。
これは、多分お金の工面のために、何かアダルトなお仕事までらんお母さんが手を出しているってことなのだと思うが、純粋な橙にそんなことは言えないので黙っています。

ちょっと話はそれましたが、橙はもの凄く優しい良い子です。

でも、ゲンソウキョウでこのお人好しっていうほどの良い子は、致命的だぞ。
どう見ても、博麗の巫女達は弾幕ごっこをやっていません。唯の虐殺です。
それに気が付くぐらいにはなってもらわないと…


橙はついて行きたいと主張していましたが、お人好しともいえるぐらいの良い子(しかも怪我をしている)をこのまま連れて行くと、色々とやばい目に会ったり、教育に悪い物を見せたりするので帰ってもらうことにしました。




「ハニューさん!ルーミアさん!次は一緒に遊んでください!!」


「分かったよー!」

「了解なのだー」






俺が不甲斐ないばっかりに…
ごめんね橙。


side 橙
「ちぇえええええええええん!!!」
「らんしゃま!!」

「どうしたんですか藍様?」

「橙が何か酷い目に会っているような気がしたから様子を見に…」
「橙!!その怪我は!?」

「霊夢さん達に弾幕ごっこで負けちゃって…」

「怪我の様子を直ぐ見ないと!!さあ早くスッパになるんだ橙!!」

「ら、らんしゃま!?」

「さあ!早く!早く!ハアッハアッ……」


「も、もう大丈夫です藍様!怪我の手当ては全部してもらっています。ほら!」




「ちぇ、橙…。これはもしや…」

「はい!ハニューさんが手当てをしてくれました!」











「藍様!何で、鼻血を流しているんですか!?」










ちぇんの日記

今日は、霊夢さん達に弾幕ごっこで負けて、ハニューさんに手当てをしてもらいました。
ハニューさんは、とても優しい人です。
こんなちょっとした怪我なのに、自分の服を破いて包帯にしてくれました。

今度しっかりとお礼しに行こうと思います。


藍様には私のせいで、無理をさせてしまいました。
今日の藍様は何だか息が荒かったり、鼻血を出したりしてとても体調が悪そうでした。

それなのに、私の怪我を心配してくれました。

本当に藍様は優しくて素敵な人だと思います。

今度からは、そんな藍様に負担をかけないように気をつけて遊ぼうと思います。


色々あったけど、今日はとても楽しかったです。


side 八雲 藍

橙成長日記 第516巻 72頁


通常調査項目(前日比)
身長 変化なし
体重 0.1kg上昇(食事の影響と思われる)
スリーサイズ 変化なし

その他特記事項
怪我 12箇所で怪我を確認(傷が残るものは無し。明日の朝には完治している予定。)
毛 髪の毛が6本抜けていることを確認
爪 平均0.1mmの成長を確認、しかし右手の人差し指の爪が1.1mm損傷

本日のコメント
お、おのれハニュー!!
怪我の治療に便乗して、私の橙にあんな所やこんな所を見たり触りまくったに違いない!!
最近は私ですら、一緒にお風呂に入ることもできないというのに!!!!

おまけに、ハニューの匂いがたっぷりついた包帯で橙にマーキングだと!?
なんて、うらやま…けしからんことを!!!!

わたil;30am;@papa0-aa かだ、ぃwlかゆliうま;あp-0あ:;だ:あす@じ

『藍、いつも言っているけど、もう少し落ち着かなくちゃだめよ。がんばって何ページも書いてあるけど、まったく読めないわよ。以上、17歳の謎の少女より。』



[6470] 第八話 妄想をもうそう!
Name: pzg◆1036bac0 ID:601741ee
Date: 2011/06/21 21:19
第八話
妄想をもうそう!


橙の尊い犠牲によって、逃げ回っていても何も事態は改善しないことが分かりました。
橙死んでないけど。
だから俺は、積極的に助けられる人は助けようと思います。

といっても、俺が逃げろと警告する前に、みんな打ち落とされてしまっていますが…
俺って無力…



「こんな殺伐とした夜がいいのかしら?」

って、また誰か来た!!

今度は人形を連れた、まったく知らない人だ。



「都会派魔法使いよ。」

「あー?、辺境にようこそだな。」

「田舎の春は寒くて嫌ねぇ。」


まずい、また険悪な雰囲気になってきたぞ!?
早く止めないと!!


「あの魔理沙さん。そんな売り言葉に買い言葉で喧嘩するなんて良くないですよ。」

「こいつ、自律した人形を連れているなんて、なかなかのやり手だな。面白そうだぜ!」

魔理沙さん、あなたは少しはマシかと思っていたのですが、唯の戦闘民族だったのですか、そうですか。


あーやっぱり、相手の人を説得するしかないのですね。

「あのーすみません、そこの都会派魔法使いさん?」

「なに?」

取っ付き難!!
なにこのツンツンした人!

と、とりあえず、こういう時には誰でも使える出身地の話題でも話て、何か態度が軟化するポイントを見つけなくては!

「都会派魔法使いさんはどちらの出身なんですか!?」

「…」

「と、都会派っていうんだから、都会なんですよね!?」

「魔界から来たの。」

(´゚ω゚):;*.':;ブファ
ちょっ何そのジョーク!思わず吹いてしまった。
出身地が魔界ってどういうことよ!?どこかの芸能人かよ!?
実は私、10万16歳なのとか。

この人、ツンツンしているように見えてもの凄い冗談好きのようです!
よし!俺も冗談言いまくって、仲良くなって説得に応じてもらうぜ。

「魔界っていいところですよねー。太陽が無くて暗くてジメジメしていて…」

「…」

あれ?そんな所、良いところじゃないだろ!っていう突込みが来るかと思ったけど来ませんよ…
お、俺の冗談ではレベルが低すぎて駄目なのか!?
くそ!再チャレンジだ!

「都会派って自称するぐらいですから、魔界の流行とかに詳しいんですよね?是非とも教えてくださいよ。」

さあ、どう返してくるかな?

「流行!?あの…私は、その…」

あれ?
ああそうか!これはフリって奴ですか!?
となると、俺がボケるんですか?
いや、都会派魔法使いさんは、発言から見てボケ担当だから…
そうか、さらにこちらでフリを上手く作って返せってことですね!!

「そんなに隠さずに教えてくださいよ~。 都・会・派 魔法使いさん?実は私根暗な引きこもりで、流行は知らないの~とか言ったりしないですよね~?」

んなわけ、あらへんやろー、うちの都会派っぷりを見せてやるでーってボケが返って…

「…」

「…」



あれれれれれれれ!?
何だか、都会派の魔法使いさんが凄く凄く悲しそうな目で黙り込んでしまったぞ!?

返し方を間違えたのか!?
やっぱり、俺のレベルでは冗談の相方を務められないのか!?

し、しかしここで諦めたら、都会派魔法使いさんの命がピンチです。



話題の方向性を変えて再々チャレンジだ!



「い、いや~。それにしても、人形を操るテクニックが凄いですねえ。まるで生きているみたいですよ~」

「!?」

「やっぱり都会派魔法使いさんぐらいになると、無意識に動かせるぐらいのレベルなんですか?」

とりあえず、べた褒めしてみたんだが、どうでしょう?
これで機嫌が良くなって仲良くなれば、説得に応じてくれるかもしれません。

「なんで分かったの!?」

「いや、そんなの見れば分かりますよ。」
そりゃここはゲンソウキョウという凄い技術で生物兵器を造っている所ですけど…
普通、動いている人形を見たら、操り人形だって思うだろ…
そりゃ、玩具とかで勝手に動く奴とか、研究所で使われている奴とかあるけど、こんなに繊細で多様な動きをされたら自律だとは思わないって。

でも、そのまんま答えたら、都会派魔法使いさんの心を開けないぞ。
ここは少し都会派魔法使いさんを持ち上げた言い方にしよう。

「なんと言うか、都会派魔法使いさんを見た瞬間ピンと来ましたね!この人の持つオーラは普通の人とは違うって。
 人形使いとして、人形こそが友達さ!って感じに人形ばかりを相手にしている人っていう感じが物凄くしましたよ!!」
まさに、三度の飯より人形って感じの、職人の雰囲気がします!

「…」
あれ?何も反応が無い。

「シャンハーイ…」
「ホウラーイ…」

と思ったら、何故か人形が都会派魔法使いさんを抱き締めだしましたよ!?
やっぱり、凄い操作テクニックだな!とにかくもっと褒めまくって、この状況を打開して見せるぜ!

「本当に凄いですね。人形を操って自分で自分を抱きしめるなんて普通の人にはできないですよ!
 いやー!さすが都会派魔法使いさんですよね!これはちょっと誰でもできる芸当じゃないですよ!!!
 そうだ!これをフハハハハ我輩の10万16歳の年季が入った人形芸を見せてやろう!って感じで皆さんに見せたら、きっとみんな大笑いしてくれますよ!話題になりますよ!!」





「どうせ、どうせ私は!うぁぁあああぁぁぁぁぁああぁあああ…


あれ!?
泣きながら飛び去ってしまいましたよ!?




何が起こったんだ!?



何やら…

とんでもない誤解が発生したような気がします!
とりあえず、追いかけて誤解を解かなくては!!

「ハニュー待つのだー」








「嘘でしょ!?さらに追撃する気!?」

「あそこまで追い込んだのに更にやるのかよ…さ、さすがにこれは笑えないぜ…」

「ハニューめ、さっきのような台詞をお嬢様に吐いたら、覚悟しなさい!」



side アリス・マーガトロイド


大っ嫌い!

故郷の魔界を馬鹿にされた。


大っ嫌い!

私の全てを見透かされた。

都会派魔法使いって気取っているけど、本当は根暗な引きこもりで流行も知らない女だって見透かされた。

自律していない人形を、自律しているように見せかけて誤魔化していることを見透かされた。

一目で人形が友達で、生身の友達が一人も居ないって見透かされた。



大っ嫌い!

人形を使って自分で自分を慰める、自作自演をするキモチが悪い普通じゃない女って馬鹿にされた。

そんな姿を皆に見せたら、嘲笑されて話題になるって馬鹿にされた。



大っ嫌い!大っ嫌い!

こんな酷いことを言った奴は大っ嫌い!



言われた通りの私も大っ嫌い…

何もかも大っ嫌い…




side 十六夜 咲夜

ハニューが、敵との会話に割り込んで来たとき、私達は自然と彼女達の会話に聞き耳を立てていた。
今度の敵とハニューは、どのような関係なのかと皆気になっていたからだ。

でも、三人とも今はその行為を後悔していると思う。
私達三人は、人の心が言葉によって壊される所を目の当たりにしてしまったからだ。

ハニューの言葉は、一つ一つが私のナイフのような鋭さを持っていた。
まるで、ふざけている様な態度で話し続けるハニュー、しかし敵の顔を見れば分かる。
言葉のナイフは、適確に敵の心に突き刺さっていった。

これほど陰湿で恐ろしい攻撃を受けた敵には同情してしまう。
スペルカードルールが適用されている幻想郷では、何事も揉め事は弾幕ごっこで解決することが多い。
よって、この手の精神を攻撃する手段は珍しい。
恐らく敵は、心が無防備な状態でハニューの精神に対する攻撃を受けてしまったはずだ。

例えそのような攻撃がありふれている世界だったとしても、ハニューのように自らの黒い真の顔を一見無垢に見える笑顔で隠している相手では、簡単に隙を突かれてしまうかもしれないが…



今まで私は、ハニューの物理的攻撃がお嬢様に及ばないように、それだけを考えて行動してきた。
しかし、ハニューの精神に対する攻撃がお嬢様に向けられたら…
お嬢様は齢500歳以上になるお方だ。
しかし精神面では、時々外見と寸分変わらない子供のような弱さを見せるときがある。


ハニューがその気になれば、お嬢様の心が壊されてしまう。
お嬢様!例え私の心が壊れても、あなたを守って見せます。




side 博麗 霊夢

逃げた相手を追撃することはスペルカードルール違反!!
って言ってやりたいのに!
まさかこんなルールの抜け穴を考えていたなんて!!!

弾幕ではなく、言葉での攻撃ではスペルカードルールの想定外、違反にはならないわ…

言葉による精神への攻撃か…
力の弱い妖精でも使える、スペルカードルールの規制を受けない新たな攻撃法ってことなんだろうけど…
これでは私は倒せないわよ!凹むかもしれないけど。
いや、人間にはそうであったとしても、精神的部分のウェイトが大きい妖怪たちには…
!!

まずいわね…
これって、下手をしたらスペルカードルールを前提とした現在の幻想郷のパワーバランスがひっくり返る可能性があるってことじゃない!!


この事実を紫が知ったらどんな反応をするのかしら…
博麗の巫女としてあまり肩入れするのは良くないけど、この前ハニューの攻撃から私を助けてくれた義理もあるし…







そういえば、攻撃を受けたさっきの魔法使い、今度出会った時にはどんな姿になってるのかな…
心配してやる義理はないけど、同じハニューの犠牲者として気になるわね。


----------



「待ってください!!」

「いや!来ないで!!」

何だか、もの凄い嫌われようです。
誤解とは言え、俺が嫌っていない相手にここまで嫌われるのは、もの凄く辛いです。

「誤解なんですよ!!」

「誤解って何よ!!ふざけないで!じゃあ、あなたは何がしたかったって言うの!!」

「俺はあなたを救おうとしただけなんです!!!」



「!?な、何を訳の分からないことを!!」



「いや、本当なんです!あの三人は貴方を殺そうとしていたんです!!」

「!?」

「馬鹿なこと言わないで、仮にもスペルカードルールを守る博麗の巫女が、殺しを目的に攻撃してくるなんて…」

「事実なんです!既に何人もの犠牲者が出ているのを俺は見ているんです!!
 だから俺は、あなたをあの場から逃がそうと強引に会話に割って入って、あなたを逃がすチャンスを見計らっていたんです!!!」


「そ、そんな…」
や、やっと止まってくれた…


「だ、だからって!私の気にしていることをあんなに言っていい事には!」


「あの…俺の発言のどこに傷つかれたのですか!?」

「全部よ!!
 私が根暗だとか!
 引きこもりだとか!
 友達が居ないとか!
 キモチが悪い女だとか!!!」


えー!?
俺そんなこと言ってないよ!?

何がどうなって、そんなことに!??????


「本当に、貴方を傷つけるつもりは無かったんです。ここまで貴方を傷つけてしまうことになるとは思いませんでした。本当にごめんなさい!!」


「傷つけるつもりが無かったですって!!そんなの嘘よ!!信じられるわけないじゃない!!あそこまで適確に私の欠点を突いておいて!!
 大体、なんで私の嫌がることをあれだけ言ったのか、理由になってないじゃない!!!!」

うわあああ。どんどんヒートアップしてきた!?
どうしよう!?
大体適確に欠点を突いたってどういうことよ!?
都会派魔法使いさんの欠点なんて知らないですよ!?

----------


「ごめんなさい!ごめんなさい!結果としては最悪でしたけど、あなたの命を助けたい一心だったんです!!
 だから、どんな手段でもいいからあなたの気を引きたかったんです!!貴方を傷つけてしまったけど、これが最善の方法だと思ったんです!!」


都会派魔法使いさんが逃げるのを止めて何分も経ちましたが、俺はさっきから同じようことばっかり言っています。
だって、これ以上に言えることないし!なんでああいう誤解になったか全然分からないし!!
もう、何が何やらわかりません!!
謝りまくるしかないですよ!
泣きそうです!

「私を虐めて気を引くって、どこの子供よ!!私の気を引きたかったのなら、普通に話しかければいいじゃない!!
 それとも何!?私みたいな変な人間と知り合いにもなりたく無いから、まともに話しかけるのも嫌ってこと!?」

「そういう訳じゃないですよ!そんな人だったら助けようとは思いません!!大体あなたと別に友達になっても嫌とか思っていないですよ!!」




「友達ね…」



「それなら、私を傷つけた償いとして、友達になってもらえる?」

え?それでこのどうしようもない膠着状態が治まるなら…
こちらからお願いしたいぐらいです!!

「わかりました。友達になりましょう!」


「分かったわ…、じゃあ友達としてお願いがあるの…私は今凄く傷ついているし、腹も立っているの…だからそれを癒すために、友達の貴方には私の憂さ晴らしの相手をしてもらうわ。」

はい!?


「私の全力の攻撃をあなたが受けきってくれたら、きっと私の気も晴れると思うの。もちろん、逃げるのは禁止よ。
 友達として、あなたの態度で償いをしなさい。」


ちょ!?????

これはまずい。
どうにかして逃げなくては!!
ルーミアは…
まだ追いついてない!?
何でだ!?

他に誰か!?助けてぇぇぇぇ!

ん?
都会派魔法使いさんの姿の向こうに見えるのは…
人影?
誰だか知らないがあの人達に助けを求めよう!!!
全力疾走だ!!


「!!」



side アリス・マーガトロイド

嫌な子だと思っていた。

私にあんなに酷いことを言ったのは、私の命を助けるためだと彼女は言った。
彼女が言うには、あの博麗の巫女が私の命を狙っていたという。

無茶苦茶ないい訳だと思った。
腹が立った。

でも、彼女の態度からはそれが嘘だとは思えなかった。
訳が分からなくなった。
だから、少し話を聞いてみようと思った。



彼女の発言はあまりにも酷いものだった。
私を助けるために行ったことであり、その結果としてこんなに私が傷つくとは思わなかった。
ごめんなさい。
要約すると、たったこれだけの内容だった。

確かに、彼女の目的である博麗の巫女達から私を引き離し私の安全を確保するという目的は達していたいが…
どうして私にショックを与え逃亡させるという手法を選択したのかまったく説明になっていない。
あまりにも抜けた部分が多すぎる弁明だった。
(私はこう見えてもすぐにケンカを買う悪い癖がある、その意味では極めて効率的な手法だったと認めざるを得ないが。)

私の欠点を一瞬で見抜く洞察眼がありながら、私の心を簡単にボロボロにしながら、なんともお粗末な私への弁明。
これほどの力があれば、もう少し私を手玉に取るような弁明の仕方があっても良いはず。

この子は何なのか?
そう疑問に思う私の胸の奥底から、不思議な感覚が湧いてきた。

その不思議な感覚が、私の胸から広がり心を満たしていく。

これは何?


これは怒り?悲しみ?

いや違う…

親近感!?




どうして…




私は感情を剥き出しにしてただ、罵りあっていただけなのに…

そういえば、ここまで感情むき出しにして喧嘩をしたのは何十年ぶりだろうか…
私はいつも高いところから、他人を見下ろしていただけだったから…

どうして、この子には…





気がついたら、目の前の子が嫌な子から変な子に変わっていた。
酷いことを言われた怒りはあったが、殺意の篭った罵り合いが子供のケンカに変化していた。
何故だか、彼女の行動が悪意のあるものではなく、悪意の無いものだと確信するようになっていたからだ。

いつの間にか、嫌いな敵とではなく、昔からの友人とケンカをしているような気持ちになっていた。


まったく分からない。
自分の心が分からない。
私は混乱し始めていた。


そんな時だった、子供のようなケンカの果てに、彼女が私の友達になると言い出したのは。


彼女の友達という言葉を聞いたとき、彼女が本当に友達になれるか試してみたいと思った。

私には友達は居ない。
でも、過去には彼女のように、友達になってもいいと言った人達がいた。

でも裏切られた。
みんな、私の元を去っていった。
多分私の性格にも問題があったのだと思う。

そんな生活を繰り返していたら、私は裏切られるぐらいなら友達なんて要らないと、いつの間にか思うようになっていた。


友達なんて要らないと思っていた私が彼女を試す。
今から思えば、この時私は彼女を友達にしたいと心の奥底で強く思っていたのだと思う。



でもその時の私は、私の本当の思いに気が付いていなかった。
ただ、私と友達になってもいいという言葉を軽々しく使った彼女へ、何故か突然イライラとしたものを感じ始めていたからだ。

友達。
彼女が身を置く世界なら、それは軽い言葉としてありふれた存在なのだろう。

でも私の世界は違う。
そういった軽い言葉の友達は要らない。

わたしは、彼女に弾幕を叩き込むことにした。
口では全力の攻撃と言っているが、もちろん全力では叩き込まない。

そこまで私は悪辣な性格ではない。
これはただの憂さ晴らしではない、教育なのだ。
私は、何の教育をしようとしているのかということも分からないまま、そう自分に言い聞かせ、力を必死にセーブした。












彼女は私の攻撃が当たる直前、突然動き出したかと思うと、私の真横を通り過ぎ真後ろに躍り出た。


私を信じ、私の攻撃を真正面から受けた者だけが私の友達になれる。
でも、やっぱりあなたも駄目だったのね。
あなたも、私を裏切っていった人達と同じだったのね。


半ば予想していたことなのに…
こうなると分かっていて攻撃したのに…
何故だか異常に悲しくなった。


そして、こんなことでしか友達だと確信できない自分に、とても悲しくなった。







全てに絶望したその時、弾幕に吹き飛ばされ、落下していく彼女の姿が目に飛び込んできた…


















「食料役の人には当たってない。当たったのは、背景役の妖精。」
「大丈夫よ姉さん、私の演奏を聴いて無事だった食料は無いわ。次は必ず食料役の人に当ててみせる。」
「じんにくー、ちゃんと当たれー」

















不器用。

本当に不器用。

確かに私は、友達として償いを態度で示せって言ったけど…




身を挺して私を守るなんて!




もっと他に効率のいい方法があったはず。

それを実行する能力も彼女にはあるはず。

それなのに…

彼女はあまりにも不器用すぎる!

こんなに不器用だなんて、これじゃまるで…




!!!


そうか、そうなんだ…






彼女は私とそっくりなんだ。
私と同じとても不器用な少女なんだ。





彼女の不器用な姿に、不器用で上手く人と分かり合えない自分の姿を見ていたのね…
だからこそ、あそこまで感情を剥き出しにできた。
だからこそ、あんなに酷いことを言われた相手なのに親近感が湧いた。
だからこそ、彼女は本気で私を助けようとし、その言葉も本当に悪意が無いと何故か確信してしまった。
だからこそ、私は簡単に友達という言葉を使った彼女にイラつき教育しようとした。私と同じだから、そんなことではあなたも裏切られるって…


そして、私の傷を理解することが出来る彼女と友達になりたいと心の奥底で思ったんだ。
そうなんだ…私。



ごめんね。
もう一人の私。
もっと早く信じてあげればよかった。


あなたは、例え私に嫌われようとも…
例え自分の身がどのようになろうとも…
そんなことをかなぐり捨てて、一途に私の身の安全を思っていてくれたのに…

それなのに、私は傷ついただの、どうだのって自分の事しか見ていなくて…
確かに、彼女の事が嫌いだって思いはまだある…
でも、彼女は私と同じ。

彼女と和解し理解してあげられないのは、もう一人の自分を作ることと同じ。

これはただの同情心なのかもしれない。

でも、だからこそ。
私こそが真っ先にあなたの思いを分かってあげなくてはいけない!

信じてあげないといけない!!



ごめんね。
もう一人の私。
これからは、永遠に信じてあげる!!





「食料役の人、今度こそ仕留めます。」
「ちゃんと仕留めろー、また変なのに当てるなー」



「食料役じゃないわ、私はアリスよ。



 それに、彼女は変なのじゃないわ。









 友達よ。」







----------


side 博麗 霊夢

「3対1なのに良い覚悟です。」


「3対1?馬鹿なことを言わないで。



 100対3よ。一瞬で終わらせてあげる。」


「な!?」



何なのこれ!?
頭が春っぽいヘンテコな妖精をやっと始末して、ハニューとさっきの魔法使いに追いついたと思ったら。
ハニューの姿が無くて、魔法使いが三人組の騒霊と戦ってる!?

「うあー!?」
「リリカ!?」

いや、戦っているというより…

「姉さん!!」
「メルラン!!」

人形の津波に騒霊達が飲み込まれている!?

「なんで!こんな!?!!!!!」


「さようなら。」

「!!」




戦闘開始からまだ10秒も経っていないのに!?
思った以上にやるじゃない…



「ちょっとあなた、ハニューはどこに…」


って何よあいつ、私を無視して!!



「なあ霊夢~。こいつら何か知っているようだぜ。」
























落ちてます落ちてます落ちてます。
ゆっくりですけど、確実に落ちてます。

何が起きたかよく覚えていないのですが…
都会派魔法使いさんの攻撃をかわして、助けを求めようとしたはずなんですが…
気がついたら落っこちていました。
どうやら、都会派魔法使いさんの攻撃をかわしたと思ったけど、当たってしまったようです。


誰か助けてくれー

いやね、俺飛べるんですが、痛くて力が入りません!!
おまけに…
「ホウラーイ」
何だか、気がついた時からずっと人形が俺の襟首を引っ張り上げようと頑張っているのですが…
どう見ても、首吊りです。
本当にありがとうございました。


「大丈夫!!!」

おお!ルー…

ってあれ!?
都会派魔法使いさんじゃないですか!?

「よかった!!!無事みたいね!!!すぐに引き上げてあげるわ!!!」

!?
何だか、機嫌が直ってる!?

これは、俺を攻撃して憂さ晴らしができたということでしょうか。
なんというか、複雑な心境です。

「お願いだから、さっきみたいなバカな真似はもうしないでね。いくら友達を助けるためとはいえ、またあなたが撃ち落される所を見たくないわ。」

えー。
そちらが攻撃したんだろ!?
どういうことなの?
とりあえず話を合わせるべきか!?

「もうする予定は無いです。」



----------



「私の名前はアリス。アリス・マーガトロイドよ。あなたは。」

「ハニューです。」

「そう、ハニューね。これからよろしくハニュー。」

「よろしくお願いします。アリスさん。」

「あ、アリスって読んでいいわよ。友達なんだから。」

「そう言ってもらえるのは嬉しいのですが、ちょっと恥ずかしいので、アリスさんでいいですか?」

ああそうか、一応友達になったのか俺達。
あれで友達というのも変な気がするのですが…


何でも、アリスさんを守るために俺は盾になって撃ち落されたそうです。
そして、それを見たアリスは、俺を友達として信じることにしたとか。
でも、だからって俺の言ったことを全部許したわけじゃないから、自他共に認めるちゃんとした友達になることで償ってくれないと、許さないんだからねっていうことだそうです。

敵を命がけで守ったことによって、その敵との間に友情が芽生えるって…
どんなドラマチックな話ですかそれは…

それにそんな話、初めて聞いたのですが!?
そもそも、俺を撃ち落したのはアリスさんでしょ!


もしや…


この人は。
妄想の中で生きているタイプの人なのでしょうか!?

そう考えると辻褄が合うぞ!?
魔界出身発言で冗談好きかと思ったけど、妄想的には事実だったら魔界出身発言を聞いた瞬間、俺がウケてしまったことは失礼なことで、怒る原因になったとも言えるし…
そもそも、俺が酷いこと言ったとか言っているけど、そんなことを俺が言わなくても妄想で補完されたら…

これはまずいw

とにかく、下手に刺激しないほうが良さそうです。


「ハニューがそう言うのなら…でも慣れて来たらアリスって呼んでね。」


「わ、わかりました!!」





side アリス・マーガトロイド

心がグチャグチャ。
凄く嫌なことと凄く嬉しいことが同時に起きて、冷静に振舞うだけで精一杯。

私をこんな気持ちにさせたのはハニュー。
私の友達。
そして、私に嫌な思いをさせた人。

ハニューとは、もう友達になったのに…
大見得切って決意したはずなのに…
私の事をあれだけ思い、私と同じ不器用さを持つハニューとなら本当の友達になれるって訴える私と、どういった理由があってもあんな嫌な思いをさせた人は嫌という私が、今もケンカを続けている。

私の心は本当に弱い。

魔界に居たときの私だったら、こんなに心がグチャグチャになったら、きっと友達も何もかも投げ捨て、嫌な思いから逃げだしていたと思う。
でも、私は自分を変えるために魔界を出てきた。

逃げては駄目。

逃げていては私は変わることが出来ない。
逃げなければきっと変われるはず。

そうよ。

ハニューとは最悪の出会いだったけど、だからこそ私達の関係はこれからは上がっていくだけなのよ。
頑張れば、きっとこれまでとは違う未来が待っているわ。
頑張れ私。




----------




「ねえ?いきなりなんだけど、ハニューにどうしても聞きたいことがあるのだけど、聞いていい?」

なんだ?ちょっと怖いのですが…

「どうぞ…」

「なんで私をあそこまでして、助けようとしたの?
 身を挺してまで私を守ろうとしてくれたハニューの姿を見て、そりゃ酷い内容だったけど、私のことを思ってあんな滅茶苦茶なことをやったことは分かったんだけど…
 どうして、その相手が私なのかが分からないの…自分で言うのもなんだけど、そこまでしてハニューに守ってもらわなくてはいけない価値が私には無いわ…」
おおう。
実は、特に理由なんて無いのですが。
とにかく、誰でもいいから命を助けたかったんですけど…
うーん…
ここは正直に話すべきかな?

よし、正直に話そう。

「特に理由は無いです。ただアリスさんを見て、助けたいと思ったから助けたんです。」

改めて口にすると、これは酷い。
どこぞの正義のヒーローみたいだな…
でも、正義のヒーローと違ってアリスさんを傷つけちゃうし…
色々と酷くて顔から火が出そうだぜ…




誰か、話題を変えてくれ!
この話題は恥ずかしいのですが!?

「大丈夫だったのかー?」

って話題を変えるネタきたー!!
GJだルーミア。

「ハニュー、あなたどこに行っていたの?」
「私達は、この結界を越えていかなくてはならないのよ、あまりも遅いから置いていく所だったわ。」

何処と言われても困るのですがメイド長。
空と地上の間?


「なに!?やる気!?」


って、何でアリスさん戦闘態勢なんですか!?

「それは貴方達の態度次第ね。」

まずい、アリスさんに三人がアリスさんを殺そうとしていたことを伝えていたのを忘れていた!?
ここに居たらまずいぞ!?


「おーい!!先に行っているからな!!!」

ちょ!!魔理沙さんこちらの雰囲気無視ですか!?
でもこれは助かりました!


「とりあえず、先に進みましょう!!」



----------



とりあえず、皆で先に進むことになりました。
魔理沙さんが聞き出したところによると、この先で花見が行われているとか…
そしてそこが異常気象の元凶の可能性があるとか…

それはおかしいw
前後の文章が繋がっていません。




ちなみに、そんな情報誰から聞き出したのかと思ったら、さっき俺が助けを求めようとした人達からでした。
何でも、アリスさんにボコボコにされたので素直に言うことを聞いたとか…
アリスさんに聞いたら「あなたの敵をとったのよ!悪い?」って照れながら言われました。
俺、あの人達に何かされましたっけ!?
大体あの人達をどう見ても、ただの少年少女音楽隊とか、そういったモノにしか見えないのですが!?

これってあれですか?
アリスさんの頭の中では、この人達は俺を攻撃した悪の怪人にでも見えたってことですか!?

いやね、もしかしたらアリスさんの妄想が事実っていう可能性も考えていたのですよ。
でも、攻撃してきた人達が少年少女音楽隊ですとねぇ…
確かにここはゲンソウキョウですし、少年少女音楽隊に偽装された、もの凄い戦闘力を秘めた凶暴な生物兵器という可能性もありましたが…
少年少女音楽隊は花見の席での公演に向かっている途中だったそうですし…
ルーミアでも知っている有名な音楽隊だそうで…

常識的に考えて、いきなり襲い掛かってくる人達には見えないのですが…


アリスさんの妄想には気をつけたほうが良さそうです。
でも、こんなに綺麗な大人の人と友達になれったっていうのは、正直嬉しかったり…






いったいこの旅はどうなってしまうのでしょうか?
花見会場に乱入して大量虐殺…
そんな未来はごめんです。


side 博麗 霊夢

ハニューの精神攻撃を受けた魔法使いが、ハニューの代わりに戦闘を行った。
更に私達を前にして、まるでハニューを守るが如く戦闘態勢に入った。

私達と別れた後に何があったっていうの!?


「霊夢さん、ハニューとあの魔法使いに何があったのか気になりませんか?」

「気になってるわよ。でもさっぱり分からないわ。咲夜は何か心当たりある?」

「今回のケースとは違うのですが、下賎な吸血鬼は血を吸った相手を自分の下僕に作り変えてしまうことがあります。ハニューも何か、あの魔法使いに細工をしたのでは?」

「あいつ!そんなこともできるの!?」

「落ち着いてください!これはただの仮説です。」

気がついたら、ハニューの下僕に作り変えられていたなんて…
そんな恐ろしいことあってたまるもんですか!!




side アリス・マーガトロイド

命がけで私を守ってくれたのに…
その理由が私を見て、助けたいと思ったから助けたってどういうことなの!?

全然意味が分からないわ。

状況をよく思い出してみるのよ…

ハニューは助けた理由を話す時、少し躊躇っていたわ。
そして、話す時には少し決意したような表情をしていたわ。
話し終わった後は、何だか赤い顔をしていたわ。

やっぱり全然分からない。

適当なことを言われたのかしら!?

そんなことを考えたらだめよ!!
友達であるハニューを永遠に信じてあげるって決めたじゃない!!
今度こそ、ちゃんとした友達を作って私は変わるって決めたじゃない!!


そうだ!

今度、魔界に居る母さんに相談すればいいわ。



[6470] 第九話 常識的に考えて大人向けの内容だと思う。
Name: pzg◆1036bac0 ID:601741ee
Date: 2011/06/18 21:41
第九話
常識的に考えて大人向けの内容だと思う。


なんというか、だんだん暖かくなってきました。
桜の花びらも飛んでいます。

ここは楽園ですね~



嘘です。
少し嘘をつきました。


なんというか、半透明の何処と無く人魂っぽいのがいっぱい見えるのですが…
ちょっと怖いんですけど!?

「なあ、ルーミア…あれって人魂じゃないよね!?」

「そうなのかー」

パクッ

「冷たくて味がしないのだー」

ちょっ!?
いきなり、人魂っぽい何かを口に入れる奴がいるか!?
早く吐きなさい!
そんなもの食べたらお腹壊します!!
大体、呪われてもしらないぞ!?

「アリスさんからも何か言って!」

「実験用に何匹か捕まえておこうかしら…」

こっちはこっちでもっと恐ろしいこと言ってるし!?










これは、人魂ではない…
人魂ではない…
人魂ではない…


人魂なんて存在するわけないです。

そうです。
例え、ルーミアの口から吐き出させようとした人魂っぽい何かが、ルーミアの体をすり抜けて出てきても人魂であるはずなどありません。
多分見間違いです。
け、決して怖いわけではないぞ。
そ、そんな非科学的なものなんて無い筈だからこんなこと言っているんだぞ。


きっとこれ人魂型生物兵器とか、意表を突いて空飛ぶアリスクリームとかに違いありません。

「そ、そうだよな、ルーミア?」

「そーなのかー?」

「そうに決まってるだろ!!さっき、ルーミアの体を通り抜けたように見えたのはきっと錯覚だよ。今度こそはちゃんと食べられるはずさ!」

「ふーん、そうなのか。」

いつも通りそーなのかーって言ってよ!?




----------





それにしても、本当にここは何処なんでしょう。
何処となく、いつものゲンソウキョウと違う感じがします。
なんというか、人の気配がしないんですよね。
何処見ても人魂っぽい何かしか見えないし。
さっきから、攻撃してくるのも人魂っぽい何かばっかりですし。
まあ、博麗の巫女の犠牲者が出る心配が無いので、そこはありがたいのですが…

「あなた、人間ね。ちょうどいい。あなたの持ってるなけなしの春をすべて頂くわ!」

「ルーミアは妖怪なのだー」

そんなこと思っていたら、誰か来ちゃったよ。
また、説得しなくちゃならないのか?

「みんな騒がしいと思ったら、人間が三人に、魔法使い・妖怪・妖精が一人ずつ、全員生きているなんて。これだけ揃っていれば…」
揃っていたら何だというのですか?

「春をすべて頂きます!!」

何この人!?
いきなり春を頂くとか訳の分からないこと言っていますよ。

説得するにしても、この人が何を言っているか分からないとどうしようもないぞ?
いったい、どういう意味なんだ!?

春の意味とは…

四季の一つ

以上終わり。

えええ?俺達春なんて持ってないし…
意味が分からないのですか?
これは、何か別の意味があるのですか!?

春…


うーん…


この場合頂くというから、何かやり取りができるものだよな。

しかも話の内容からして、俺達全員が持っているもの。
となると、俺達の共通点と関係があるな。
俺達の共通点から考えると…

ゲンソウキョウの住人?
ゲンソウキョウの住人は春を標準装備している?
そんな話は聞いたことが無いな。

それ以外は…

全員見た目若い女性ってぐらいだが。
俺本当は男だけど…

若い女性ならやり取りできる春?
そんなものあったったけ?



そういえば、一つあったぞ。
これは今はあんまり使われてない言葉だけど、エッチなことをしてあげるために、女の人がお金を受け取ることを春を売る。
逆にエッチなことをするために男の人が女の人にお金を渡すことを春を買うという言葉があったはず。



じゃあ春を頂くって…



つまり、お金を強引に渡されてエッチなことも強引にされてしまうということですか!??????

ちょっ!????


いやいやいや。
そんなことあるはずない。
見た目、しっかりした感じの女の子がそんなこと…
服装もそんなに遊んでいる感じはしませんし…
そんなに悪人って感じもしませんし…
持っている刀も、なかなかアクセントがあって逆に似合ってますし。


刀!?


何であの子、刀なんて持っているんですか!?
メイド長みたいにナイフを投げるならとにかく、近代戦で刀なんて役に立たないだろ!?
妹様みたいに剣とか言いながら、実際は火炎放射器みたいに炎が出るやつだったらいいのですが…
どう見ても、普通の刀だよな…
妹様のは明らかに剣とは別の何かだったので納得だったのですが…
ということは、これはゲンソウキョウの生物兵器として最初から装備していたのではなく、何らかの理由で後付の可能性が高いな。

例えば、あの子の家は侍の家で、師匠からもらったとか…
ちょっと無理あるな。
年中バトルロワイヤルなゲンソウキョウで近代戦で不利な刀を武器に生き残ってくるなんて無理があるだろ。

となると、やはりあれは真剣であったとしても、飾りとしての用途が大きいのか。
「この楼観剣に斬れぬものなど、殆ど無い!」
あーやっぱりね。
博霊の巫女達と何やら言い合っている本人も、少し自信なさそうなことを言っているからこれは確定ですね。
あれはただの飾りです。
刀一本で生き抜いてきたのなら、こんな自信が無いようなことは言わないと思う。

となると、やっぱり用途としては飾りか~
刀を飾りとして持ち歩きそうな人達って何だ?
俳優さんとか?
いやあれは真剣じゃないだろ。
正確にはドスだけど、そんなヤのつくお仕事じゃあるまいし…


!?

なるほど~
つまりあの子は極道の世界で生きていて、女の子を集めて強引にエッチなことをしようとしているということですか、そうですか。





((((;゜Д゜)))ガクガクブルブルブルブル


あの子にエッチなことをされるのはまだ許せるのですが…
背後には、大勢の老若男女がいて…
きっとそこでは口では言えないようなとんでもないことが…
いやだー!!!
俺の貞操がピンチです!!!
怖いです!
もの凄く怖いです!
命のやり取りより、ある意味怖いです!!

本気で震えてきたのですが…




「あの、アリスさん…」

「ハニューどうしたの?」

「ちょっと、震えが治まるまで手を繋いでいてください…」


「え!?わかったわ。」




「春を取り戻すために、あなたを倒すわ!!」
メイド長達はあの子を異常気象の原因として攻撃するようです。
どう考えても、非常識な理由ですが今回ばかりは頑張ってください。
お願いします…本当に怖いんです。





----------





あの後直ぐに戦闘が始まって、現在一端戦闘が収まっています。

そして、博麗の巫女達と、例の女の子が現在何やら話しています。
因みに、俺は後方のほうでアリスさんに手を繋いでもらっていまず。
俺は背景です、無視してください作戦です。


「一時は貞操の危機かと思ったけど、俺達無視されているみたいだし、何とかなりそうだな。な、ルーミア?」


あれ?
ルーミア何処にいったんだ!?



「ひゃあああああああ!?」

「やっぱり食べられないのだー」

「何をみょんなことをしてるんですか!!!!!
 お、乙女の体を口に入れるなんて何考えているんですか!!!!!」

何するだァーッ!
ルーミアお前はそこで何をしているんだあああああ!?

「そーなのかー?
 ハニュー、やっぱり食べられないのだー」








「あなたですか…この子にこんなことをやらしたのですか…」
ええ?
「許しません!!」
俺がターゲットになってる!?
やばい!!攻撃してきた!???

いやだ、ネチョはいやだ!!

どうしよう!

どうしよう!

弾が!?
弾に当たる!!!

どうしよう!


「アリスさんごめん!!
 ルーミアごめん!!
 春を奪われるわけにはいかないんです!!
 だから、俺は……ごめんなさい!!」
すみません。逃げます!

「ハニュー!?」




side アリス・マーガトロイド


「逃げた?そんなバカな!?」


どういうこと?
ハニューが私達を置いて逃げた!?
博霊の巫女達は逃げたとか言っているけど本当なの?

確かに、ハニューは異常に震えていたわ。
でも、おかしいじゃない。
異変を止めようと出てきたハニューが、たかが攻撃の矛先が向いたぐらいで逃亡するなんて…

ハニューが震えだしたのは、あの春を集めている女の子に出会ってから。
あの女の子とハニューの行動には意味があるということかしら。

そういえばハニューは「春を奪われるわけにはいかない」「ごめんなさい」って言っていた…


もしや…
あの女の子の言葉から、春を集められたら何が起きるか気がついたというの!?

でも、それじゃ何故一人で…

(ごめんなさい)
まさか!?
何かとんでもない無茶をする気なんじゃ…
その無茶に私達が巻き込まれないように一人で…

本当は、ごめんなさいの後には「二人を置いて俺一人で敵と戦ってきます」とか言いたかったのね。

本当に不器用な子!

まったく呆れちゃうわ。

でも、きっと私の時もこんな感じだったのね…





「ルーミアは直ぐにハニューを追いかけて!多分桜の花弁を辿って進んでいるはずよ!!
 ここは私が引き受けるわ!!
 ハニューには、私は後で行くから安心して先に進んでって伝えておいて!!」

「そうなのかー!!」


目の前の敵を倒し、ハニューの後方の憂いを絶たなくては。
そして、出来るだけ早くハニューに追いつかないと。
もし、私の思い通りなら…

私の時みたいに無茶なことをしてはだめよ。
分かっているでしょうけど、命の概念が違う妖精といえでも、何をされても平気というわけではないのよ。














俺は何をやっているんだ…
いくら恐怖でパニックになっていたとしてもこれは酷い。
アリスさんとルーミアを置いて逃げちゃうなんて…
直ぐに戻って二人と合流しないと。


しかし、さっきからこの集中砲火は何だ!?
これじゃあ、前にも後ろにも進めないじゃないか!


「待つのだー」

おお!
ルーミアが追いついて来た!!
でもルーミアだけか…

「アリスさんは?」

「後で来るから安心するのだー。そんなことより、さっさと進むのだー」
そうか、よーし。
「ちょっとルーミア手伝って!!」

「そーなのかー」



----------




ルーミアの援護のおかげで、桜が満開になっている所につきました。
というか、実はルーミアの後について行っただけなんですけどね。
なんだか、ルーミアは全然迷い無しって感じで進んでいたもので。


大きな建物に、満開の桜。
あと、少し元気のないつぼみばっかりの桜。


綺麗な光景のはずなんですけど…
なんか違うような?
花の美しさというか、雰囲気というか…



「お腹が空いたのだー」


さすがルーミア、風流の欠片も無いなw
さっきから、やたら口に物を入れると思ったら、そういうことだったのか。
そんなこと言われてもどこか食事ができそうな所って…

あ!

「あっちの大きな建物にでも行って、何か食べ物が貰えるかどうか聞いてみようか?」

「そうなのかー!!」





ってルーミア飛ぶの速いよ!
ちょっと待って!!









「あらあら…騒がしいわね~」


おや?
この大きな建物の住人!?


ピンクの髪をした、どこかホワワンとした女性だ。
服装は…



何故この人は、帽子にドリーム●ャストのマークを着けているんだ!?

ド●ームキャスト。
それは、P●2に対抗してセ●が世紀末に投入したTVゲームマシン。
●ガが撤退を表明し、消えてしまったゲーム機のマークが何故ここに???


「いきなり、人の顔を凝視するなんて、失礼じゃないかしら?」

しまった、初対面の人に失礼なことをしてしまった。

「すみません。懐かしかったものですから。」


「まあ。そうなの!それじゃあ、ちゃんとお出迎えしてあげなくちゃいけなかったわね。
 もう、お客様が来ているというのに、うちの庭師ったら何処に行っているのかしら。」

何か誤解があるようです。
俺は、お客じゃないですよ。
「俺は、お客様ではないですよ。」

「じゃあ、あなたは何?」

「ただの通りすがりです。
 先ほど、刀を持ち体に人魂っぽい何かを巻きつけた女の子に襲われて逃げてきたんです。」

「まあ、うちの庭師から逃げてきたの。」


え?
まさか…この人、さっきの人の関係者!?

「あの子ったら、春を集めてくるよう言っておいたのに、逃しちゃうなんて。」

しかも、この人が黒幕!?
ということは…


組長なのか!?


おおう。
逃げたと思ったら、間違えて敵のど真ん中に来てしまった!
\(^o^)/



「あなたは、私の敵なの?
 春を集めることを阻止しに来たの?」


なんとか、弁明というか説得しなくては。
エッチなことを強引にされて、ネチョネチョのグチャグチャにされてしまう!


「俺は、敵ではありません。ただ…
 春を集めるのは止めた方が、あなたのためになると思います。
 そんなことをしたら、きっと最後は身を滅ぼしますよ。
 それに、そんなことをする必要ないじゃないですか。」
どう考えても、犯罪だし。
被害者は皆怒るだろうし。
大体、ゲンソウキョウって右見ても左見ても女の子ばっかりじゃないですか、こんなに供給過多なのになぜこんな無茶を…


「何でそんなことが分かるの?
 もう少しなの、もう少し春を集めたらサイギョウアヤカシがマンカイになるの。」

サイギョウアヤカシ?
マンカイ?

サイギョウアヤカシって何だ?
そんな言葉聞いたことがないのですが…
ということはこれは何かの固有名詞と考えるべきか。

マンカイって言ったら、普通は満開だけど…
エッチなことをする為に女の子を集めることと意味が通じにくいな。
となると…
満会のほうか!

先日何故か突然終わってしまった《小悪魔さんの花嫁修行を手伝う会》とかの色々な会の最後の会を満会って言うはず…
《小悪魔さんの花嫁修行を手伝う会》は最終回を目前にして主役の小悪魔さんが部屋に閉じこもってしまったので「本日で無事満会を迎えられました」とかいう内容のスピーチが無駄になったと聞いたぞ。

それはともかく…
もう少し女の子達をエッチなことをする目的で集めることができたら、サイギョウアヤカシ会が無事終了を迎えられるという意味ですか。





な、なんという18禁な会。
なんという犯罪集団。


ま、まさかあのお屋敷の中には、サイギョウアヤカシ会員の皆様が飢えた狼のように女の子達を待ち構えているとか…



とにかく俺の貞操が危険です。
どう危険かは、あ、あまり考えたくない…

ルーミア逃げるぞ!!
ってルーミアはあのお屋敷の中に入ったきり出てきてないか。














まさか、もう既にサイギョウアヤカシ会員の皆様の魔の手に!?



やばい!
何とか、ルーミアを奪還しなくては!

どうする。

1 強行突破してルーミアを奪還し脱出。
  「また一人来たぞーヒャッハァーーー」→ネチョ

2 俺の身を差し出すふりをして、油断した隙にルーミアを奪還し脱出。
  「たっぷり楽しんだ後返してやるよヒャッホォーーイ」→ネチョ

3 ドリキャス(目の前の人のこと)&サイギョウアヤカシ会員をフルボッコにして脱出。
  「我々の業界ではそれはご褒美です。」→ネチョ?
  とういうか、俺の戦闘力では無理だろ…

4 ルーミアを見捨てて逃げる。
  「ルーミア!?仕方がなかったんだ!!」→「大ちゃーん!」ドーン「汚い花火なのかー」→死

5 頑張ってドリキャスを何とか説得する。


辛うじて可能性があるのは5だけか。
もう既に一回失敗してるけど…
他に手がない。


「あのですね…
 自分の欲望というものも大切かもしれませんけど…もう少し先のことを考えてください
 そんなことをしたら、サイギョウアヤカシは満会になるかもしれないですけど、どう考えても身の破滅ですよ。
 大体ですね、あなただけの身の破滅では済まないのですよ。
 あなたの周りも皆迷惑を被るんですよ。
 こういうことをしたら身を滅ぼすことぐらい、あなただって分かっているはずでしょ?
 まさか、本当に分からないとか言うんじゃないでしょうね。」




「わからないわ~
 だからやってみようと思うの。」



駄目だ こいつ… 早くなんとかしないと…
でももう手がないぞ!?




「お話はおしまい。
 勝手に人の庭に入ってくるなんて悪い子ね。
 罰として、あなたの春を渡しなさい。」


どうしよう!
って既に捕まってるし!?


「馬鹿なことは止めろ!俺から春を奪ったらサイギョウアヤカシを潰すぞ!」
開放されたら、警察に言いつけて潰してやるもん!!
「そんなことが可能だと思っているの?」

うわーん
この人信じてない!
俺も信じてないけど!!
よく考えたら、こんな法律も何もないゲンソウキョウだったら、どうしようもないじゃないか~




あはははははは…



全てオワタ!!
\(^o^)/




こうなったら、やけだ!!
もう、どうにでもしてくれ!!
どんなプレイでも耐え切ってみせるぞ!!



これはサービスだ!!
俺から服を脱いでやる!!
ええい、面倒くさい!
破り捨ててやる!!



「!?」



さあこい!
サイギョウアヤカシ会員の皆様!!俺はここにいるぞ!!












あれ?


来ないのか!!??
怖気づいたのか!?

それても、俺の貧弱な体じゃ駄目なのか!?

ええい、ドリキャス!お前も服を脱げ!!!


「ちょっとなにするの?止めなさい!?
 この!!」



うわわわわわあー!?????












「おい!こっちにいたぜ!!!」



side 霧雨 魔理沙
アリスとか言う魔法使いが言うには、ハニューが単独で敵の黒幕と戦っているっていう話だったが…
本当だったみたいだぜ…

しかし、どんな凄い戦闘をしていたんだこれは。

黒幕っぽい奴は服が破れて半裸だし…
ハニューに至っては殆んど全裸だぜ…

ここまで服が破れるなんて、普通の弾幕ごっこだったら有り得ないぜ。



side アリス・マーガトロイド
やっぱり!
私の時と同じように、不器用なくせにまた無茶をしていた!!
たった一人で、服がボロボロになるまで戦っていたなんて!!

本当に不器用な子。
博霊の巫女達はあなたが逃げたと思っていたのよ…

でもおかげで、あなたが私の思ったとおりの人だって、本当に確信が持てたわ。
心の整理に少し時間がかかるかも知れないけど、あなたが私に言った酷い言葉、絶対に水に流してあげる。



ハニューが友達って決意するのはこれで何度目だったかしら。
でも、これで本当に最後。

ハニュー。
友達である私にこの後は任せて、そこでゆっくり休んでいてね。



----------






正に危機一髪といった感じでしょうか。

無理にドリキャスの服を脱がそうとしたら、弾き飛ばされました。
おかげで、服を破くことができたけど…



あのままだったら、確実にネチョか死んでいたと思います。

ドリキャスの戦闘力ははっきり言って凄かったです。
四人がかりだったのに、かなりの粘りを見せていましたし…
ドリキャスを倒したと思っても、何やら良くわからない状態になってまた襲ってきたりするし…
それに対抗できる博麗の巫女とかも凄いのですが…
まあ、途中から危ないので避難していたので、正直よく見ていなかったのですがとにかく凄かったです。
例の如く戦闘力を自慢してきた博麗の巫女にも「よく見てなかったけど、お互い凄かったですよ」と素直な感想が出てしまうぐらい凄かったです。



因みに、ドリキャスはサイギョウアヤカシを満会にするのを諦めたようです。
戻ってきたルーミアの相手をしていたので細かい話は聞いていませんが…


そうそう、ルーミアが戻ってきました。
本人曰く「お腹いっぱい食ったのだー」とのこと。
ルーミア…
まさか、性的な意味で腹いっぱい食べてきたとか言うんじゃないだろうな!?


「ルーミアに質問です、大盛りのご飯と男の人どちらが食べたいですか?」

「うーん…」

悩むのかよ!!
いつからそんな大人な…
というか変態になってしまったんだ…
これはしっかりと正しい男女関係を教えてあげなくてはいけないと思う。


























色々あったけど、とりあえずそろそろ帰るか。

「こんにちは!こんにちは!
 おおー!!
 ハニューさん大胆な格好をしてますね!」
パシャ!

ちょっ!?
何でここに文さんが!?
というか撮らないで!!
俺裸なんだけど!!

「何を嫌がっているんですかハニューさん!!なかなか似合ってますよ~」

服が殆んど残って無いのに似合っているっておかしいだろ!?
これは、芸術的なファッションとかじゃないし!?

「やめなさい!」

ギュっ

アリスさんありがとう!
アリスさんが俺を抱き締めて、カメラから見えないようにしてくれています。
これは助かります。

「まあ、まあ、硬いことを言わずに~」
パシャ!

「これはスクープですよ~」
パシャ!

「文先輩!流石に不味いですよ!これじゃ発禁になっちゃいますよ!!」

「椛!報道は真実をありのままに伝えるものなのよ!例えそこにどんなものが写っていたとしても、勇気を持って真実を報道しなくてはいけないのよ!!」

「!!文先輩…。そんなに報道への熱い心持っていたなんて!!」

「とういことで、ハニューさんの全てを撮らせてください。」

嘘だ!!
何この茶番劇!?


誰かお願いだから服を貸してくれ~



「しょうがないわね。
 私の代えのメイド服を貸してあげるわ。」






ええ?





何故メイド長が俺に服を?
しかも、もの凄い笑顔だし。

この笑顔見たことあるぞ?
あれだ、博麗の巫女と同じだ。

これには何か裏がありますね!?

そういえば、イタリア系のマフィアは殺す相手には敵意を隠すために贈り物をするとよく言われますよね…


やっぱり、メイド長は俺を殺す気ですね!?
博霊の巫女との最前線に送られて以来、露骨に殺されそうなことが起こらなかったから安心してましたが!?

何故今になって!?

そうか!

メイド服を破いたことが悪かったのですね!?

お嬢様からお借りしている大切なメイド服を破くとは…不敬罪で死刑です!
とかそういう展開ですね!?



やっぱりここは逃げるべきなのか!?
予定通り、大ちゃんの家に…

いやいやいや…
虐められている程度なら大ちゃんの家に逃げたらいいが、俺の命が狙われているとなると…
大ちゃんまで命が狙われるかも…

「避けられるものなら避けてみればいいわ」「お前が助かっても、大ちゃんは粉々だわ!!」

「考えたなちくしょー!」
って展開になるかもしれない。


ここは逃げずに生き残る方法を考えなくては。
例えば、優秀な働き振りを示しつつ、メイド長のイエスマンになって許してもらうとか…



パシャ!


「あーとにかく文さん?
 このメイド服着た後なら、いくらでも写真とっていいですけど…
 裸の写真を新聞に載せたら、二度と取材には応じませんよ!」


「えーーーー!そんな!表現の自由への挑戦ですか!?」


その理屈はおかしい。



side 十六夜 咲夜
勝った!!
ついにハニューに勝ったわ!!

ハニューって胸が私といい勝負かと思っていたけど。
小さいどころか、まったく無いじゃない!!
しかも、他の部分も幼児体型からあまり成長していないなんて!!

こんな哀れなスタイルの子とスタイルを張り合っていたなんて、私って大人気ないわね。
哀れなハニューには、大人としてスタイルと心に余裕のある私が代えのメイド服を貸してあげるわ。







早く紅魔館に帰ってこの偉大な勝利をお嬢様に報告しなくては。











----------














「なあ?ハニューは黒幕と、どういう戦いをしたんだ?」

ドリキャスさんとの戦いですか?
「説得しようとしただけですよ。」
戦っていませんし。

「…ずいぶんと荒っぽい説得だぜ…」

荒っぽい?
いや、どちらかというと丁寧な説得だったと思うのですが?
「そんなことないですよ。このままじゃ身を滅ぼすことになると丁寧に教えてあげたのですが、なかなか話を聞いてもらえなくて。」

本当に大変だったよな。俺必死だったし…
ああそうか、丁寧というより自分の身を守ろうと必死でしたね、中身男の俺が貞操の危機に陥るというのはちょっと笑える話ですけど…
ってにやけちゃ駄目だろ。
やっぱり冷静に考えて大ピンチだったよな。

「魔理沙さん達が来てくれなければ、大変なことになっていましたよ。
 もう説得を諦めたところでしたから。」
俺、人生オワタ状態でしたからね。

「……大変なこと!?」

「死か、永遠に続く…いやこの話は止めましょう。」
あまり楽しい話じゃないですし、そんなことよりもっと楽しい話をしたほうがいいです。

「…変なことを聞いて悪かったな。それじゃあお先に帰らせてもらうぜ!!」

ええ魔理沙さんもかよ!?

といった感じで、なんだかさっきから皆バラバラに帰っていきました。
なんというか流れ解散的な感じで、全然団結感がありません。

良くも悪くも、女の子を強引に集めてエッチなことをしようとした集団を止めたので、もう少しなんというか…

文さんたちは早く記事にしたいという理由で直ぐに帰っちゃったのは仕方が無いのですが…
メイド長は何も言わずにさっさと一人で帰っちゃうし。
博霊の巫女なんて怒って帰ってしまいました。

また例の如く「私のおかげでイヘンが終わったわ。私が居てラッキーだったわね?」とか言って何か自分の成果を自慢してきたのですが、言葉の意味がわからなかったので「イヘン?イヘンって何の話ですか?」って聞いただけなのに…
なぜ怒られるんだ!?
訳が分からん。

思春期の女の子は扱いが難しいです。



「ねえハニューって何処に住んでいるの?」

因みに、現在アリスさんとルーミアと俺で家路についています。

「紅魔館ですけど。」

「ああやっぱり…ハニューってあのジオンのハニューだったのね。
 なんだか、ちょっとイメージと違ったから、もしかして別人かなって思ったわ。
 もっと怖い人かと思っていたの。」

まあそりゃ、ギレン総帥にみたいなイメージを持たれたら困っちゃう外見ですもんね。
しかし、この変な現象はどこまで噂が広がっているんだwおまけに尾びれがいっぱいついてますしw
俺って、噂ではギレンのコスプレしているマニアみたいになっているのか!?

「そういえば、モビルスーツザクを造っているって聞いわ。
 私も、人形を造っているから、ちょっと気になっているのだけど…」

あー確かに、プラモのザクはある意味人形ですからね。
でも、俺が造ったズク改造ザクなんて、アリスさんの本格的な人形なんかより遥かに低レベルなんですけど…
とても恥ずかしくて見せられません。
正直興味持ってくれるのは凄く嬉しいのですが…

「興味を持ってくれるのは嬉しいのですが、こっちの世界を覗かないほうがいいですよ。」
なんというか、ただのオタクな世界なので…
「危険が伴います。」
アリスさんみたいな人は見ないほうが…
アリスさんが色々と汚染されてしまうかもしれません。

「危険ですって!?そう、そうなの…」


ちょっと、残念そうな顔をしていますが、アリスさんを守るためです。
これは仕方がありません。




おお!?
薄っすらと紅魔館の畔にある湖が見えてきました。
今日は凄く疲れました。
アリスさんが友達なったり、メイド長からまた目をつけられたり、大ちゃんの家へ脱出する計画が潰れたりしましたが、多分明日からまたいつもの日常が始まると思います。




side アリス・マーガトロイド

危険だから関わるなってなんて…
そんな、嘘には騙されないわよ…
これまで何度もそういう嘘に騙されてきたから…

やっぱり私は邪魔なのかしら…

「ねえ、ルーミア。私はハニューの邪魔なのかな…?」

「そうなのか?ハニューは嬉しがっていたのだー」

「え!?そうなの!?」

「ルーミアにはハニューの考えていることが良く分かるのだー
 ハニューは本当は嬉しくしょうがないのだー」

そんな!?
じゃあ、本当に私の身を案じて!?

また、不器用なことをして!!
友達だからこそ、危険も一緒に乗り越えていくものじゃないの!?

「ねえルーミア、ハニューに秘密で私にモビルスーツザクを見せてくれない。」

「そうなのかー」



モビルスーツザクに関わることには危険が伴う。
ということは、モビルスーツザクを本当に兵器として開発しているってこと。
不器用で誤解されやすいけど、本当は優しいハニューが造ろうとしているモビルスーツザク。

私にも、友達として何かしてあげれることがあるかもしれない。




side 西行寺 幽々子
結局今年も満開にはならなかったわね。

邪魔さえ入らなかったら、今度こそ満開になると思ったのに。

邪魔か…

博霊の巫女達は、春を取り戻しに来た。
だから、結果として私の邪魔をした。
それ以上でもそれ以下でもない。

でも、博麗の巫女達とは別行動を取っていたあの妖精だけは違ったわ。

春を集めるのをやめろ。
やめなければ私は身を破滅させる。

あの妖精は西行妖が満開になれば、私の身が破滅すると言っていた。
何が起こるか、知っているというの?

それだけじゃない。
私の顔を見て懐かしかったと言っていたわ。

つまり、私を知っていた。
でも私は、少なくとも亡霊になってから彼女に出会った記憶は無いわ。

となると、彼女は生前の私を知っているというの?


生前をの私を知り、西行妖が満開になれば何が起こるか知っているなんて…
あの妖精は何者なの?
謎が多いわね。

謎といえば、服を破り捨て、私の服まで破ろうとした行動の意味も分からないわ。
直前に西行妖を潰すと言っていた事と何か関係があるのかしら…


だめね、いくら考えても答えが見えて来ないわ。
これは直接本人に聞いてみるべきなのかしら…

いや、それは無理ね。
聞いて教えてくれるぐらいなら、私を説得しようとした時に話しているはず…


他に知っている可能性があるのは…
ゆかり、か…

親友であるゆかりが、あえて明かそうとしない私の過去。
多分そこに答えがある。







ぐぅー



「ねえ妖夢~お腹が空いたわ~」

「まだ食べ足りないのですか!?」

「何言っているの妖夢!?私まだ何にも食べてないわよ!!」

「幽々子様…あれだけ食べて、まだ何も食べてないと言いますか…」

???

「食料庫が空になるほど食べたのに…その程度では何も食べてないに等しいということですか…」

????

「よ、妖夢?私本当に食べてないのよ!?」

「言い訳はいい加減にしてください!幽々子様以外で、誰が食料庫の中身を全て食べることができるんですか!!
 素直に認めてくれれば、許してあげようと思いましたけど、幽々子様がそのつもりだったら許しません!
 私はもう寝ますので、食事は明日の買い出しまで我慢してください。」

「妖夢!?妖夢!?冗談でしょ妖夢!?私餓死しちゃう!!」

「もう死んでいるじゃないですか!!」




[6470] 第十話 何か噂されているような気がする…
Name: pzg◆1036bac0 ID:601741ee
Date: 2011/06/21 21:20
第十話
何か噂されているような気がする…

「じゃあハニュー、その仕事お願いね。」


「はいメイド長。」

イエスマン。
俺はメイド長のイエスマンだ。
メイド長のイエスマンになって、この前の件での怒りを収めてもらうぜ。
というか、殺されないように頑張るぜ。


「少し肩が凝っちゃったわね…ハニューは大丈夫?」


「大丈夫ですメイド長。」


「胸が大きいと、肩が凝っちゃうのよね。その点ハニューは楽でいいわね。」
また始まったよ…

「はいメイド長。」
正直それほどメイド長の胸が大きいとは思いませんが、今の俺はイエスマンなので関係ありません。


それにしても、何故か最近のメイド長は、何かと胸の話をしたがりますね。
どういうことなのでしょうか?

男だった時も今も胸なんて無いので、胸があるから肩が凝るとか言われても「そーなのかー」っていう感じでしかないのですし…
正直同じような話題ばかりで、聞き飽きてうんざりです…

何が目的でメイド長はこんなことを言っているんだ?

そんなにメイド長の胸を強調して、何かいいことがあるのか?
胸の話ばっかりしていると、エロイ人と間違われたり、エロイ人に襲われても知りませんよ。



もしや…それが目的ですか!?


俺がメイド長の胸に欲情する。→メイド長は正当防衛で俺を抹殺する。→メイド長の威信を傷つけずに俺を処分できる。

((((;゜Д゜)))ガクガクブルブルブルブル
危ないところでした。
俺が若い男だったり、メイド長が普通の胸ではなく素晴らしい胸の持ち主だったら俺は終わりでしたね!


とにかく、メイド長の胸に欲情しないように気をつけながら、メイド長のイエスマンとして頑張るぜ。



side 十六夜 咲夜

どんなに胸の事でなじっても「はい、メイド長。」って言って素直に聞くなんて…
私に貧相な胸を見られたのが余程ショックだったのね。
それとも、バストのサイズが違いすぎる私のメイド服を着て、戦力差に気が付いて意気消沈しちゃったのかしら?

圧倒的な戦力差に気がついた私には、もうハニューなんて怖くないわ!


それにしても、胸の話でハニューにここまでダメージを与えることができるなんて。
あのハニューが顔を青くして、もうその話は止めてくれって表情をしているわ。




side 霧雨 魔理沙

「霊夢落ち着いて話を聞けって!」
ちょっと霊夢の所でお茶でも飲もうと思っただけなのに、何でこんなことになってしまったんだぜ?

さっきから、霊夢の愚痴ばっかり聞かされてるんだぜ。
これは早く霊夢がハニューに関わらないように説得して、話を切り上げるしかないな。
こんなのが毎日続いたら体が持たないぜ。

「異変って何の話ですかって言って来たのよ!?
 どう考えても、この程度は異変というレベルなんかじゃない、この程度で異変って騒いでいるなんてお前は未熟!って馬鹿にされたに決まっているじゃない!
 次の異変はもっと凄いものが起きてくれないと困るわ!それを解決して次こそは私を認めさせるのよ!」


おいおい…
異変を望むなんて霊夢は冷静さを完全に失っているぜ…
「博麗の巫女が、凄い異変を望むのはどうかと思うぜ。
 あのさ、もうハニューに関わるのは止めようぜ~」





「…どういうことなの?」



「ハニューに黒幕とどういう戦闘をしたか聞いたんだけどさ。
 あいつ、説得しただけだって言いやがったんだ。
 あんなに服がボロボロになる説得ってあると思うか!?」



「それって…?」



少しは落ち着いて話を聞くようになってきたようだぜ。
まったく私が霊夢の宥め役って…
ハニューのせいで変なことになってきたぜ。

「あいつにとっては、暴力で相手を屈服させることも説得って言うってことだぜ。
 しかもあいつ、その説明をした後ニヤニヤ笑ってやがったんだ。
 多分、黒幕を痛めつけている光景を思い出して笑っていたんだぜ。」
今思い出しても、寒気がする笑いだったぜ…
「おまけに、黒幕には死か死よりも恐ろしい何かをしようとしていたとか。」


「何よそれ!?」


イマイチうまく説明できてないな。
ハニューの性格をまとめると…
「あれは、私達みたいに弾幕ごっこをすること自体を楽しむタイプじゃない。
 他人を痛めつけることを楽しむタイプだぜ。」
つまり、どSってことだぜ。


「でもおかしいわよ、ハニューまでボロボロだったじゃない。」



あー確かに…
これはあれか?
「…自分が痛めつけられるのも好きとか?」




「…あいつ、そんな変態だったのね…」



「つまり、魔理沙が言いたいのは、変態だからハニューとは関わるなってこと?
 でも、そんなことでは私は引き下がれないわ!
 大体、魔理沙だって面白そうだぜ!とか言ってたじゃない!?
 マスタースパークで一発だぜ!とか気軽にいつも言っているあなたらしくないわね?」


霊夢は私を何だと思っているんだぜ?
「妖精は死なないんだぜ?
 ハニューに目を付けられて、ハニューが満足するまで変態行為に付き合って殺し合うなんて私の趣味じゃないぜ。」





「やっぱりそれでも引き下がれないわ!
 私は博麗霊夢なのよ!!」



この後は、スキマ妖怪の所に相談に行くらしいが、多分説得は…
してくれないだろうな。

何だか面倒くさいことになってきたぜ。


もしや、こうやって私達が悩んでいるのも、ハニューの差し金ってことは無いよな?






side レミリア・スカーレット



「メイド服の発注方法の注意点について説明するわ。
 ハニューみたいに胸がまったく無いお子様には理解できないでしょうが、バストのサイズは重要な個人情報だから、発注の際にはどの服が誰のものか、出入りしている業者に気取られないように。」
あれは咲夜と…


「はいメイド長、胸が無い俺にはそのような問題があったとは知りませんでした。」
ハニュー?


「大丈夫よハニューあなたもきっと努力を続ければ…70代後半ぐらいには届くはずよ。ウフフフフフフ…」


「はいメイド長。」



はぁ~

咲夜は何をやっているのよ。
やっぱり咲夜の様子が変だわ。

ハニューが何をするか見てきなさいって私は言ったのに、最初の報告がハニューの胸が可哀想なぐらい無かったってどういうことよ。
おまけに、私といい勝負かも知れないって言われてもあまり嬉しくないんだけど…
肝心のハニューがやろうとしていたことについての情報は、亡霊の姫と単独で戦ったことは分かったけど何が目的か分からないって…
おかしいわね、いつもの咲夜だったらちゃんと調査してくれるはずなんだけど…
さっきの、ハニューが妙に聞きわけが良い所にも、まったく気がついていないみたいだし…

ちょっと様子を調べてみようかしら。




「ちょっと咲夜~?」


「はい!お嬢様!」


「あなたは、今何をやっているの?」


「ハニューに新しい仕事を教えています。」

あら?おかしいわね?
確か咲夜は下手にハニューに情報を渡すと危険だとか言って、最近は仕事を教えようとはしていなかったはず…

「どうしたの?ハニューに仕事を教えるのを控えていたんじゃなかったの?」



「少し考えを改めました。
 ハニューのような可愛そうな胸の子に、大人気ない対応を私は取りすぎていました。」

はあ?

「ごめん咲夜、意味が分からないんだけど…」


「つまりですねお嬢様、私はもっと余裕を持ってもいいって分かったのです。
 ハニューも私との胸の大きさの違いに気がついて、随分と素直になったようなので、この程度なら大丈夫です。」


???
「そ、そうなの…咲夜がそう言うのなら、それでいいんじゃない。」

なんだか、全然意味が分からないわ。
どういうことなのかしら。


ちょっと、紅茶でも飲みながら考えましょう。

咲夜は…
咲夜のことを考えるのに、近くに本人が居るとやりにくいわね…

「ちょっと、そこのあなた!紅茶入れてくれない?」

「お嬢様!?わ、わ、わかりました!」




----------




「へぇー結構、美味しいわね。」

咲夜以外が入れる紅茶なんて、あまり期待してなかったけど意外と美味しいじゃない!?

「ありがとうございます!!」


「どうしたの?咲夜に教えてもらったの?」
でも、どこか咲夜の紅茶と違う感じね。

「いえ、咲夜メイド長ではなくハニュー隊長に教えてもらいました。
 あと、茶葉もハニュー隊長が主導して仕入れたものです。」


へぇ…

「ハニューは確か、通常配置では雑用部隊だったわね。
 いつから、そんなことをするようになったの。」


「先日の異変解決後から、色々と咲夜メイド長から仕事を任されるようになったみたいです。
 発注関連は先週からやっています。」


ふーん…
随分とハニューは手広く仕事を任され始めたのね。
でも、咲夜の代わりをちゃんと務められているのかしら?
あの咲夜が仕事を多くの任せられているのは、私の贔屓ではなく実力に裏づけされたものなのよ。
「担当者が咲夜から代わってやりにくくない?」


「少し不慣れな感じですが、色々一生懸命動いてくれるので問題なく仕事は進んでいるみたいです。
 それに、メイド長と違って話しやすいですから、色々と教えてもらえたり教えてあげたりできるので…」



「仕事がやり易いと。」


「はい…
 皆が皆、そう思っているかは分かりませんが、私や私の周りはそう言ってます。」



まずいわね。





----------



「咲夜居る!?」


「はい、お嬢様!ここに。」


こうやって、見るといつも通りの瀟洒で完璧なメイドなんだけど…
「咲夜、あなた墓穴を掘っているわよ。」


「お嬢様!?どういうことでしょうか?」

やっぱり気がついてないのね。
咲夜にキツイ事を言うのは少し辛いけど、ここは主人としてしっかりと言わないと駄目ね。

「咲夜!しっかりしなさい!
 ハニューに紅魔館での地位の全てを奪われかけていることに気がつかないの!!
 何がこの程度なら大丈夫よ!全然大丈夫じゃないじゃない!
 ハニューに上手く乗せられるなんて、瀟洒なメイドとしてどうなのよ!?もう!」


「お、お、お嬢様!?」


そんなにうろたえないでよ。
咲夜、これは愛の鞭なんだから、怒っているわけじゃないのよ。
「咲夜、あなたがハニューの胸に対して優越感に浸っている間に、その隙を使ってハニューは紅魔館での地盤を更に固めつつあるの。
 これまで、ジオンの活動やハニューの仕事と付き合いの薄かった連中に、ハニューの影響が及び始めているわ。」

そう…少なくとも1/3以上のメイドに影響が出てるわ。
下手すると半数かもしれないわね。

「咲夜が新たに仕事をハニューに教えたからよ。
 このままじゃ、気がついたらメイド全員ハニューの信奉者になってるわよ。」



「そんな!?ハニューは何を言っても素直に言うことを聞いています。
 胸の大きさのことを指摘しても、反論すらしません!
 コンプレックスになっている胸の小ささがバレたことや、私との大きさの違いに気が付いて意気消沈しているに違いありません!!」



ここまでしっかりと説明してあげたのに…
もう…
咲夜ったら何を言っているの!
「それは擬態よ!…咲夜、あなたが何時も言っていたことでしょ。」






「!!!!!!!」

「お、お嬢様。申し訳ありませんでした…
 ここ一年間で、初めてハニューに勝ったので浮かれていました…
 迂闊でした…」


こんなに咲夜が落ち込むなんて、新人の時以来ね。
ちょっと言い過ぎたかしら?
でも、ここまで完璧にハニューに嵌められていた状態で放置していたら大変なことになっていたわ。
「分かったならいいわ。
 気をつけるのよ。」





本当に気をつけてくれないと困るのよ。
あなたは大事な私の右腕なんだから。














はぁ~
油断も隙も無いわね。
自分の欠点を、勢力拡大に利用してくるなんて。

しかも、歴代紅魔館メイド長でも屈指の完璧さを誇る咲夜がここまで完璧に嵌められるなんて。
強大な強さを見せ付けたのはいいが、そのために咲夜の態度は硬化してしまい、勢力拡大の邪魔になった。
だから、あえて自分の欠点(しかも、咲夜の最も気にしている点)を曝すことによって咲夜の心に隙を作らせ…
そこを突く!
まさに、肉を切らせて骨を絶つ。

まったく大したものだわ。


咲夜を通してハニューを使うことは、もう限界かもしれないわね…
咲夜は気がついてないようだけど、胸の大きさ程度であそこまで浮かれるなんて…
これは、それだけ大きなストレスをハニューから受けていたってことね。

そろそろ、私が直々に動かないと駄目かしら。
さあ、どうやって使いこなしてやろうかしら。



side 稗田 阿求


巷では、博麗霊夢爆殺未遂事件の容疑者やジオンの総帥として恐れられていたのですけど…
この前の文々。新聞のおかげで随分と株を上げたようですね。

ダブダブのメイド服を着て、恥ずかしがる仕草をしている写真とセットになっているのが…
「俺なんて大したことは何もしていないです。」このように語るハニュー氏だったが、我々が現場に到着した直後のハニュー氏は全裸に近い状態であり、激しい戦闘が行われたのは明白だった。なお、より詳しい状況が知りたい方は…
この記事ですか…

随分と計算され尽くした行動ですね。
儚い少女が、母性本能や父性本能に訴える格好で巨悪に立ち向かい、そのことについて自慢もしない。
おまけに、善人が少しでも悪いことをすると随分評価が下がりますが、悪人が少しでも善いことをすると随分評価が上がるという補正付き。
どうやって、天狗を抱え込んだのか知りませんが、見事なメディア戦略です。


里の結構な数の若い男がコロッと騙されたようですね。
中には、博麗霊夢爆殺未遂事件は何かの間違いだとか、ジオンは幻想郷の平和を守る組織なのでは、とか主張する人も出てきたとか…
でも、歴史を眺め多くの人々の栄光と挫折を見てきた私は、こんなベタなメディア戦略では騙されませんよ。



しかし、このハニューというのはいったい何者なのでしょうか?
異変を解決するほどの力を持ちながら、転生を繰りかしえた私の耳に、その名前が一度も入ったことが無いとはどういうことでしょうか?




いや…


それほどの力がありながら表に出てこなかった存在が、なぜ今になってこの幻想郷の表舞台に上がってきたのでしょうか。

これは何かの始まりなのでしょうか。
それとも何かの終わりの始まりなのでしょうか。


歴史を書き残すものとして、興味が絶えません。




side 射命丸 文


「やっぱりハニューさんは、かなりの売れ行きですねー
 受けが良さそうな写真と台詞を選んで正解でしたね~注目度アップで裏市場での売り上げも大幅アップです
 …これで、本当に腹黒くない大人しい性格だったら最高だったんですけどねぇ。
 その点では、昔の椛は最高でしたねぇ~純粋で可愛くて…
 その椛が、まさかあんなに成長してしまうなんて…
 時の流れは残酷ですねぇ…」

ブツブツブツ…





「文先輩?何をしているんですか?」


!!!!!!!





「あやーこれはそのー」

「あ!これってハニューさんの裸の写真じゃないですか!!
 ハニューさんに裸の写真を掲載したら、二度と取材には応じないと言われて諦めたのじゃなかったのですか!?
 それにこの札束どうしたんですか!?
 まさか…文先輩はハニューさんの裸の写真を売りさばいて、お金を稼いでいるのですか!?」



あややややや。
これは不味いですよ~
「椛…世の中には、どうしても真実を知りたいという人もいるのよ。
 だから、私は真実を知らせるために、あえて約束を破って写真を売っているの!
 それに、新聞にはしていないから、正確にはハニューさんとの約束は破っていないですよ。」
私は何も嘘は言ってないですよ~


「それだったら、こんなに沢山のお金を受け取らなくても良いじゃないですか!!タダでも良いじゃないですか!!」


あや!?
そう返してくるとは、椛も本当に色々と成長しましたねえ。
でも、私に口で勝とうとするとは100年早いです!
「椛の馬鹿!!
 私達はプロなのよ!プロだからこそ、タダほど高いものは無いってことを知っているはずよ!!
 私達は沢山のお金を貰えるほどのよい仕事を常に求めないと駄目なの!
 それに、私と椛の夢…幻想郷史上最大の新聞社への道にはまだまだお金が必要なの…」


「…文先輩…
 私、文先輩がそこまで考えていたなんて知らないで、あんな酷いことを…」


「私は気にしていませんよ椛…」

ふうー
何とか誤魔化せましたねー。
コレクションの写真集を焼き回しして、通信販売で人間の里に売っているって椛にバレたら大変なことになるところでした。




side 神綺

「神綺様!アリスから通信が入ってます!」

!!
「アリスちゃんから!!
 えっと…これ、どうやって使えば…母さん神だから分からないわ~夢子ちゃんどうにかして~」


「ケイタイデンワとやらを真似してデザインしたのは神綺様じゃないですか!」


もう~ボケてるのに~
「母さん神だから、忙しくてそんな些細なこと覚えてないわ~」


「チンキ様!!いい加減に出ないと通信が切れちゃいますよ!!」


チンキ様って酷いわ…母さんへそを曲げちゃう!
もう!本当に夢子ちゃんはノリが悪いから困っちゃうわ!!
「ぶー。夢子ちゃんノリが悪いわ~、こんなに生真面目だなんて親の顔が見てみたいわ~」


「親は神綺様じゃないですか…もう疲れましたから早く通信に出てください。」


もう~夢子ちゃんは突込みが下手ね~。
今日はこれぐらいで許してあげるわ~。

ポチッ
「アリスちゃ~ん、母さんですよ~」











side アリス・マーガトロイド

「うん。元気にやってるわ。
 それでね、母さんに相談があって今日は連絡したの…」


「アリスちゃんに頼りにされて母さん嬉しいわ~何でも聞いて!」


「実はね…この前こっちで初めて友達ができたの…」


「本当!!それは友達になる代わりに、借金の保証人になってくれとかではなくて!?」


「もう!そんな訳無いじゃない!」
何言っているのよ母さん!その冗談は笑えないわ。
確かに、昔そんなことがあったけど…


「アリスちゃんが虐める~。でも嬉しいわ~母さん涙が出そう…」


「母さん…」

何だか、私も涙が出てきちゃいそう。

そうよね…
やっと私にも本当に友達ができたのね…

「それでね、母さんに相談したいことは、その友達がどうして私を助けようとしてくれたかなの。
 その子とは色々あったんだけど、友達になれた大きな理由の一つに、私を身を挺して守ってくれたことにあるの。」
本当に、あれが無ければ今頃は…多分誤解したままだった…
「どうしてなの?って聞いたら私を見て助けたいから助けたって言うの。
 全然意味が分からなくて…」


「アリスちゃん、母さん神だけどそれだけじゃ分からないわ~他に何か言ってなかったの?」


確かにこれだけじゃ母さんでも分からないか…
後は…
「これは言葉じゃ無いんだけど…
 その子は助けた理由を話すことを少し躊躇っていたの、でも少し決意したような表情で話してくれたわ。
 後は…話し終わった後、赤い顔をしていたぐらいね。」
それ以外には…



ビシ!!!                         「神綺様ー!???」



「母さん!!何かあったの!!凄い音が!!!」
夢子姉さんの悲鳴も聞こえたし…何事なの!?


「大丈夫よアリスちゃん~、母さんは神だからいつも冷静よ~」
何か様子が…?

「それで、その子とは今はどんな感じなの?結構進んじゃってるのかしら~
 母さんは心が広い神だから、手を繋ぐぐらいなら許してあげるわ~」
母さん何だか説明が難しいことを聞いてくるわね。
どういう仲の良さの友達かなんて上手く説明できないわ。
とにかく、最初の出会いから順を追って説明したほうがいいのかしら。

「最初はいきなり襲われて傷つけられちゃって、泣いちゃったの…」


「ちょっと!?アリスちゃん!?き、傷つけられたって何!?何を傷つけられたの!?」


「ごめん…母さん。恥ずかしくて言えない…」
流石にそれは、母さん相手でも言いにくいんだけど…
だって私の誰にも話したくない恥部ばかりなんだもん。



バキバキ!!!!!!                    「おお、落ち着いてください!!!?」

「母さん!?母さん!?」
????????

ガシャーン!!!!

「あ、アリス!神綺様はとても話せない状況だ!!」

「夢子姉さん!?」

「相手の気持ちも禄に確かめずに、行くところまで行ってしまったんだって?だから今になって、本当に自分が大切にされているか不安になったんだろ?」
確かに夢子姉さんの言うように、私不安なの…
「アリスは若いな…」
!?
「相手の気持ちが分からないから不安。確かにそうさ。
 でも、人間関係なんてそんなものだよ。どこまで行っても、相手の気持ちの奥底までは永遠に見えないものさ。」
!!そういえばそうか…こんなこと当たり前のことなんだ…
「それでも心配だったら自分を磨け。相手がアリスの虜になるくらいにな!
 大丈夫、アリスはいい子だから、きっと上手く行くさ!」

「夢子姉さん…」

ドーン!!!!

「そろそろ、本気で神綺様を止めないと不味そうだ。
 それじゃまたな。アリス。」



ありがとう夢子姉さん。
迷っていても、何も進まないものね。
前に向かって進まないと!
私…頑張ってハニューと最高の友達になってみせるわ!

ところで、ハニューと行くところまで行ったってどういうこと?
確かに理由を確認できずに冥界までは行ったけど、それが何か不味かったのかしら?


side 夢子

「アリスちゃんに惚れたからって、いきなり襲って傷物にするなんて!!!
 大体、そこまでの関係になっているのに友達ってどういうことなの!!!
 そいつ、アリスちゃんの体しか興味が無いんだわ!!!
 きっと付き合っても『もうそろそろお前には飽きたな』とか言ってアリスちゃんをボロキレみたいに捨てる気よ!!!!
 でもその時、アリスちゃんのお腹にはもう新しい命が宿っていたの!!!!
 独りで赤ちゃんを育てる決意をするアリスちゃん…
 そんなアリスちゃんを世間の冷たい風が襲うの!!
 心をボロボロにされて、魔界に逃げ帰ってくるアリスちゃん…

 なんて可哀想なのーーーーーーーー!!!!!!!!」


ハア
まったくこの人は…
いちいち突っ込む気にもなりませんよ。
「いつまで暴走している気なんですか!
 何も悪い方に話が進んでいくとは限らないじゃないですか…」


「良い方向に進む保障も無いもん!!」


ハア
確かにそうかもしれませんが、そんなことを言い出したらどうしようもないでしょう。
「とにかく、アリスを信じて見守ってあげましょう。」


「母さん今から幻想郷に行ってそいつ殺してくるわ~」


いきなり、何を言い出すんですか!?
「駄目ですって!そんなことをしたら、アリスは一生神綺様を許しませんよ!
 それに、幻想郷に神綺様がいきなり乗り込んだら戦争になりますよ!」


「夢子ちゃんはアリスちゃんが心配じゃないの!?」


心配に決まっているじゃないですか。
神綺様が母親だったら、私だって姉ですよ。
「もちろん心配です。もし、アリスがボロキレみたいに捨てられたら、私だってそいつを殺しにいきます。
 でも今は見守る時期です。」


「…分かったわ。母さんも夢子ちゃんを見習ってもう少しだけ様子を見るわ…」









「ねえ夢子ちゃん。アリスちゃんの相手って誰なのか心当たりある?」

そういえば、誰なんだろうか?
アリスの近くに男って誰か居たか?
新しく知り合った相手か?
あの人見知りするアリスが、知り合ったばかりの相手に半ば強引に…
話の感じだとそうとも受け止められるが、ちょっと考えられないな。
あれでもアリスは腕が立つ、知り合ったばかりの相手に押し倒されるほど油断はしないだろう。
となると、やはり何らかの接点があり油断していたということだろう。


「申し訳ありません、あまりこれといった心当たりはありません。
 但し、あの人見知りするアリスを押し倒した男性ですから、アリスと男女の仲を匂わせないで接近できる立場の人物かと。」


「夢子ちゃん。具体的にはどんな人物?」


何だかプロファイリングみたいになってきましたね。
「状況から考えて、アリスの近所に住んでいるとか、お店を開いていてアリスと商取引で顔を合わす機会がある人物だと思われます。
 もしその中に、一見紳士そうに見える人物が居ればかなり怪しいかと。」


「分かったわ。何かあれば、そういった特徴の奴を片っ端から殺せばいいのね!」







side 八雲 紫

「…ということなのよ。」




「紫、話してくれてありがとう。私とあの西行妖にそんな関係があったなんて…フフフッ
 でも、それなら何で止めてくれなかったの?」



「…気がつかないでずっと寝ていたの…」
だって…まさか冬が続く異変が起きているなんて思いもしなかったわ。
ちょっと今年の冬は長いなーって思って二度寝しちゃったんだもん。

「あらあら~紫らしいわね。」


紫らしいって…
幽々子ったら酷いわ。
「それより!ハニューのことだけど、幽々子のことと西行妖のことを知っていたのは間違いないのね?」


「そうなのよ~。でも紫もハニューの存在を知ったのが最近なのよね?」


「そうよ、最近まで知らなかったわ。」
どういうことなのかしら?
ハニューは何処からかこの事実を知った?
でもそれだと、幽々子のことを懐かしいとは言わないわ。
となると、やはり当時の状況をどこからか見ていたのかしら?
私と幽々子に気が付かれずに…

どうやって?


いや、それとも幽々子だけに接触していた?




しかし、それでも私の目を盗んでそんなことが?





大体、それだと幽々子は何故私に教えて…











「紫?紫?」

!!

「ねえ紫、とにかくこれまで話し合った内容をまとめてみましょう。
 ほら、こうやって書き出したほうが、分かりやすいと思うわ~」



「そうね。今回ハニューに関して分かったことは…」








1 ハニューの能力について
・ 言葉による精神に対する攻撃能力を保有。
  →霊夢が目撃。言霊の一種であると考えられる。種族によっては、かなりの威力を発揮すると推定される。
  補足事項 
   弾幕の一種とも捉えることは可能だが、弾幕として目に見えないためスペルカードルールの適用内かどうかは意見が分かれる。
   スペルカードルールの規定の甘さを付くことを念頭に置いた攻撃方法だと考えられる。
   そのためグレーゾーンの攻撃となり、理論上は使用者が任意にスペルカードルールの適用内か適用外かを決めることができる。

・ 裸になることにより西行妖を破壊する力を発揮することが可能。
  →幽々子が目撃。詳細は不明。封印状態とはいえ、西行妖を破壊できると発言したことから、かなりの力を発揮できると推定される。
  補足事項
   妖精は自然現象そのものであるという点から、服という人工的な物を捨て自然に近い状態になることにより、本来の力を取り戻そうとしたという仮説が考えられる。
   幽々子の服を破いた点については詳細不明だが、上記の仮説が正しい場合、邪魔な服を取り払い幽々子の体に何らかの力を直接注入し、内部から幽々子と西行妖を破壊しようとした可能性がある。
   
・ 洗脳能力を所持。
  →霊夢が目撃。敵対関係にあった魔法使いがハニューに洗脳された模様。
  補足事項
   詳細不明。危険な能力である可能性があるため要注意。
   藍のハニューに対する監視を一端引き上げる方向で検討。


2 ハニューの異常性について
・ 長期間記憶を保持し活用している。
  →ハニューの言動から、少なくとも1000年以上前のことを記憶し、その記憶を元に行動していることが判明した。
  補足事項
   妖精が事実上の不死でありながら幻想郷の中心となりえないのは、その事実上の長寿をまったく活かせていないためである。
   しかし、ハニューにはこの特徴が当てはまらない。極めて特異な個体だと考えられる。

・ 妖精としては異常な戦闘力を保有。 
  →各言動・行動から少なくとも大妖並みの戦闘力を保有していると考えられる。
  補足事項
   妖精の戦闘能力は、元となった自然現象に大きな影響を受けていることが分かっている。その点から、ハニューの元になった自然現象が極めて強力な何かであると推定できる。
   ジオン構成員として複数の妖精・妖怪を味方にしているため、無計画な攻撃は極めて危険。ジオンの総構成員数は不明。


3 ハニューの行動について
・ 西行妖の復活を阻止
  →ハニューの行動から見てほぼ間違いない。しかし、何故阻止しようとしたのかは不明。
  補足事項
   幽々子がこの件のお詫びとして、ハニューと接触する予定。そこで何らかの糸口がつかめる可能性がある。

・ ハニューの好感度が更に上昇
  →文々。新聞によって、幻想郷の春を取り戻した英雄の一人として紹介され、ハニュー及びジオンに対する好感度が上昇している。
  補足事項
   一部で異変解決直後を写したマル秘写真が流通しており、ハニューの好感度を更に上昇させている模様。写真の具体的な内容は不明。
   藍によると、厳重な機密保持が行われた流通網が使われていたとのこと。このことから、ハニューと繋がる水面下の巨大組織が存在すると推定される。

・ ハニューの行動原理
  →今回の異変の行動から総合的に判断すると、ハニューの行動原理はハニューの地位向上及びジオンの勢力拡大にあると判断できる。
  補足事項
   上記のような行動原理は、自然そのものである妖精とは本来相容れないため、更なる調査が必要と考えられる。




「これは凄いわね~」
確かにこれは凄いわ。
しかもこれだけじゃない、恐らくこれ以外にも多くの能力があるはず…


「ねえ紫、気をつけてね。
 紫がどういう思いで、ハニューを見ているかはよ~く分かったわ。
 でも、私は紫が居なくなったりしたらいやよ?」

「大丈夫よ。ライバルには最後の最後で勝つものなのよ。」
そう、これはハニューと私の競争。



でも、幻想郷の未来を勝ち取るのは私よ。





「ということで藍?当分は待機よ?
 藍?何しているの?」


「橙にハニューを退治してくると約束している所です。」


橙?
随分とモコモコしてるわね…
って!
「…橙はそんなぬいぐるみだったかしら?」


「ぬいぐるみじゃありません。等身大橙人形です。」
問題はそこじゃ無いわ、藍。
「橙…ハニューを退治したら、結界の管理なんて仕事は辞めて二人で小さなお店を開こう。
 絶対に帰ってくるから…大人しく家で待っているんだぞ。」


いきなり死亡フラグを立てちゃ駄目じゃない。
それに「結界の管理なんて」ってどういうことよ。
もう、この子も困ったものね。
「…そんな様子でハニューに勝てるわけ無いでしょ?
 藍、あなた気づいていないみたいだけど…怯えて尻尾が丸まってるわよ!?」






でも、怯えて尻尾を丸める藍もなかなか良いわね…


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凄く部屋が冷えて寒いです。
別にクーラーが効いているわけではありません。
人魂っぽい何かがいっぱい部屋に居るからです。

「先日のお詫びとして、好きなだけ幽霊達をあなたのジオンに貸してあげるわ。」

困ったことになりました。
ドリキャスさん改め幽々子さんが、先日のお詫びとして人魂っぽい何かをジオンに貸してくれると言い出しました。
えー。
この幽霊(っていうタイプの生物兵器だと思う)をジオンに貸してくれるって言っても…
ジオンはただの遊びでの話しなのですが…
どこをどう間違えたのか、ジオンが実在する何かの組織と勘違いしているようですね。

「ジオンなんて組織はありませんよ。ただの遊びの話でしかありません。だからお借りすることはできません。」

「そういえば、確かに公式には存在していないわね~
 それなら、その遊びに幽霊達も入れてあげてくれないかしら。きっと遊びが面白くなると思うわよ。」

どうやら、分かってくれたようですね。
でも、遊びを面白くすることがお詫びとは…

ああそうか、幽々子さんは意地になっているんですね。
よく考えたら、ジオンが存在すると勘違いして、準備してきたのにただの遊びだったとは、幽々子さん的には凄い赤っ恥ですよね!
これはまずい…
ヤのつくお仕事の人に恥をかかせてしまった。

「そういうことなら、喜んでお受けしましょう。」

「喜んでもらえて嬉しいわ~」

なんというか微妙な雰囲気…
やっぱり、かなり恥をかかせてしまったようです。
ここは笑顔で喜んでいることを表現すべきなのでしょうか!?

「フフフフフ…」




「ウフフフフフ」




「「ウフフフフフフフフ…」」











何だか、もの凄くぎこちない笑いになってしまいましたが、演技力の無い俺ではこれで限界です。
幽々子さんは一緒に笑ってくれましたが、一緒にいる妖夢さんは何故か固まってしまいました。
とにかく話を切り上げましょう。


「それでは幽々子さん、遊びで必要になったら自由に幽霊さん達を呼びにいっていいですよね?」

「あら~?こちらが推薦したら駄目なの?」

「いや、ただの遊びですから、推薦なんて必要ないですよ。遊べそうな幽霊さんを連れて行きますから安心してください。」
遊びに推薦だなんて、変なところで律儀ですね、これが極道というものなのでしょうか?
まあ、これ以上下手に幽々子さんが関わると、幽々子さんの恥の上塗りになりかねないので、強引ですがこんな感じでこっちが勝手に進めるのが一番良いでしょう。


「そうね、これは遊びですものね。フフフフフ…」







「そうだわ~私も遊びたいから、私も遊びに行っていいかしら?」

ええ?
幽々子さん本人が遊びに来るんですか?
「時が見えるわ~」とか言ってジオンごっこを幽々子さんが一緒に!?

えええ?
いくらなんでも、ヤのつくお仕事の幽々子さんがそれをするのは色々痛いだろ。

こういう巨乳で幽々子さんみたいなキャラが誰かいたら、それはそれでいいかも知れませんが…





そういえば立派な胸ですね、メイド長とは月と鼈です。


メイド長みたいに胸を強調されて罠にかけようとされたら、色々と危ないところでした。



(私も遊びに行っていいかしら?)
あれ?



まさか…



これは俺とエッチな意味で、遊ぼうと言っているのでしょうか!!?????



「大人の遊びを教えてあげる…」→ヤのつくお仕事の人に手を出したことになる→怖いお兄さん達が登場→おんどりゃあ何処の女に手ぇだしとるんやぁ!→コンクリ詰め



罠にかかる所でした!
メイド長の胸の罠を回避した経験が無ければ危ないところでした!
ゲンソウキョウの胸には危険がいっぱいです!!

サイギョウアヤカシを満会にできなかったことに対するお礼参りか何かですか!?
いや、それよりも恥をかかせたことに怒っています!??


何とか諦めてもらわないとやばいです。
ここは、エッチなことの意味なんて分からない、純粋なふりをして切り抜けてやります。
俺がエッチなことの意味が本当に分からないお子様なら、怖いお兄さん達も俺を追及すのに無理があると思うはずです。
つまり、この罠は有効には力を発揮できないので諦めるはずです。
名付けて「僕はお子様だから、エッチな遊びを教えて罠に嵌めようとしても、エッチなことの意味も分からないので無駄に終わりますよ作戦」です。
何だか穴だらけな作戦の気がしますが、これしか思いつかないです。


「本当にお子様のお遊びですから、幽々子さんみたいな大人は来てもらっても仕方が無いですよ。
 来てもらっても、本当にお子様のごっこ遊びをしているだけですから。
 何というか、ジークジオンと叫んだりしてるだけですから。」


「本当に遊んでいるだけ?」
すごく怪しまれてます。
こちらが、幽々子さんの罠に気がついて嘘をついていると怪しまれているのですね。
下手に隙を見せたら負けです。
というか、前に進むしかありません。


「本当にお子様の遊びを楽しんでいるんです。
 というか、俺って見たまんまの幼い性格ですから、お菓子と遊びが何よりも大好きなお子様なんですよ~」



「そうなの…ただの遊びなのね~そこまで言うのなら仕方ないわね~」








なんとか、納得して帰ってもらえたみたいです~
とにかく、幽霊さん達を受け入れることになったのですが…

このまま受け入れてよいのか?

俺は今、ジオンごっこをネタに紅魔館で虐められているので、正直呼びたくないのですが…
話の流れとはいえ、色々とおかしなことに…
この状況、呼び出される幽霊さんも困るだろ。

どうしよう。

だからといって、これで一人も幽霊さんを呼びにいかないと不審に思われますし…

良いこと思いついた!

嘘をついてもらえば、いいのです。
幽霊さんにはジオンごっこをしている振りをしてもらえばいいのです。



あーでも、これだと幽霊さんをどこかに隠しておかなくてはいけないですよね…
紅魔館に隠せればいいのですが、あんまり勝手なことをするとメイド長になにかされるかも…
また、俺の命がピンチです。


そうだ!
にとりさんの所に隠れていてもらおう。
にとりさんの研究所とやらはかなり広いそうですし、現在遠隔操作式発火装置の開発で人手が足りないようですから、その手伝いもできて一石二鳥です!!!

メイド長とかに、情報が漏れないよう気をつけるて貰えれば、これはかなりいいアイデアですね。

でもまてよ…
幽霊さん達に何かメリットあるのか?

何も無い…

誰も協力してくれないかも…
遣り甲斐がある内容だったら、協力してくれる奇特な人も探せばいるだろうけど、たかがメイド長への悪戯の手伝いなんて聞いたらやる気出ないだろ…

何かいいキャッチコピーでもつけて、やる気を出してもらうとか?
うーん…

「歴史を変える計画があなたの技術を待っている。」

嘘は言っていないよな…
上手くいけばメイド長体制とも言える現在の紅魔館の歴史に一石を投じる事件になるかも…



すげえ詐欺っぽい…


うぉー
俺の頭では駄目だ!!
とにかく、ここから先は実際に幽霊さんを勧誘するにとりさんに任せよう。
それでにとりさんに断られたり、勧誘が上手くいかなかったら、その時に次を考えよう!


「ルーミア!にとりさんに今回の経緯と、次の事を伝えておいて欲しいんだけど!」



side 西行寺 幽々子

相手のほうが一枚上手だったわね。
スパイとして準備した幽霊達が全員無駄になってしまったわ。

ジオンの手伝いのために、こちらが推薦した優秀な人材を派遣するという名目でスパイを潜り込ます予定だったのに。

まさかいきなり、ジオンはただの遊びで存在しないなんて言われるなんて。
何かの冗談かと思ったけど確かにその通り、公式的には存在しない組織。
それに同意したのが、間違いだったわ。

遊びだから推薦なんて要らない、遊びだから自由に幽霊を呼び出して構わない。
やってくれるわね~

おまけに、思いつきで打ち出した私が直接ジオンに行くって案も、ただの子供のお遊びだからと突っぱねられてしまったわ。
(本当にお子様の遊びを楽しんでいるんです。)
あの言い草だと、強引にジオンに参加しても、私に遊んでいる姿ばかりを見せて誤魔化す気だったようね~。
こちらの罠が読まれていた時点で完全に負けだったわね。


本当に完全にしてやられたわね~。
こちらの罠を読まれた上に、逆に利用されてしまうなんて。

ハニューに幽霊達を無償で貸し出す結果になっちゃったわ~。

ウフフフフフ。




そういえば、さっきから随分と妖夢が静かね?
「あら妖夢?最初の威勢はどうしたの?
 ハニューなんて不埒な奴は叩ききってやるーって言ってたじゃない?」


「自分の未熟さを思い知りました。
 あのような高度な駆け引きはとても自分には…」


高度ね…
一方的にやられた身としては、ちょっと辛い一言ね~

妖夢を見た感じ悪気は無いようだけど。

あら?

「妖夢震えているわよ?」


「申し訳ありません幽々子様!先ほどのハニューの笑い声を思い出してしまいました。」
「笑っているのに笑っていない…とても恐ろしかったです。」


良い勉強になるかと思ったんだけど、若い妖夢にはちょっと刺激が強すぎたようね。

「大丈夫よ妖夢。しっかり勉強して経験を積めば、いずれ妖夢にも対応できるようになるわ。」


「はい!幽々子様!頑張ります!」

良い返事ね。
やっぱり、妖夢はこうじゃないと駄目ね。

「頑張りなさい。
 ということで、ハニューとの駆け引きのせいでお腹が空いたわ~。」



「幽々子様、さっきハニューのところでお茶菓子をおかわりしていたような気がするのですが…」


















紫…
ごめんなさい、作戦は失敗に終わったわ。
でも一つだけ気が付いたことがあるの、私と紫の二人でハニューに対応しないと駄目だわ。




[6470] 第十一話 嫁がロリってどういうことなの…
Name: pzg◆1036bac0 ID:601741ee
Date: 2009/09/24 18:12
第十一話
嫁がロリってどういうことなの…


side 河城 にとり


『第1中隊より報告します。敵部隊の撤退、間違いありません。』


なるほど、幻想郷に侵攻してきた敵部隊は、全て幻想郷外に撤退したようですね。
さて、問題はこの状況をどう判断し、どう活かすかですね。


「なんとか凌ぎ切ったようですね。予定通り各部隊の補給を順次実施します。よろしいですね、ルーミア副司令。」


「そーなのかー。」


ここで補給ですか、悪くない判断には見えますが…
少し遅いかもしれませんね。


「ルーミア副司令、状況がまとまりました。」

「そーなのかー。」

「モビルスーツザク隊の状況は喪失3、大破5、中破11、小破31、健在10です。なお、本艦の状況は小破です。
 ジオンの戦闘部隊の戦力指数は完全充足状態比の約67%にまで低下しています。しかし、敵正面戦力の約96%の壊滅に成功いたしました。
 我々幻想郷の勝利です。」



これは、かなりの好成績ですね。



「そうなのか?」

「も、申し訳ありません。正確にはジオンの勝利です。博霊神社・紅魔館・人間の里の壊滅を確認いたしました。現在組織的な抵抗が可能なのは我々だけです。
 博麗霊夢、霧雨魔理沙、レミリア・スカーレット、八雲一家については生死不明です。また、森近霖之助の死亡が確認されています。」

「そうなのかー。」



やはり、今の状況では幻想郷全てを救うことはできませんでしたか…
人間の盟友の私としては、人間との戦争で人間の里が壊滅してしまうとは、なんともやり切れない思いです。


しかし、この規模の敵通常戦力に対し、ついに勝利を収めましたか…
人間の里を守りきれなかった点といい、まだまだ戦力不足ですが、それでもハニュー氏の構想に基づいて構築する戦力は、極めて強力な戦力になると言っていいでしょう。
強力ゆえに、力の使い方次第で多くの人を救うこともできるが、奪うこともできます。

私の技術をハニュー氏に提供しようと思ったのは、私の技術者魂だけではありません。
ハニュー氏と出会ったあの日に、ハニュー氏ならきっと私の技術を正しく使ってくれると確信したからでもあるのです。


頼みましたよ。




「あれ?これって人工衛星で「どうした見せてみろ!」



「対空警報!!弾道弾だ!!!!!」


ついに最終段階が始まったようですね。
さて、どこまで持つでしょうか。


「各中隊!対空迎撃始め!!!!」


『第1中隊了解!!』

『りょ、了解!』

『えええ?』



『第3中隊りょうかいです~』



『あれ?休憩終わり!???』




----------




『増援を!我にもはや戦力なし!!中隊全機弾切れです!!』



『だめ!ビームライフルのチャージが間に合わない!!』



『あら~?いったい何発打ってきているの~?』

『何やってるの!囮弾を打ち落としても意味ないでしょ!!』



『バカ!核バズーカなんか構えてどうするの!!』

『そんなこと言ったって!もう弾が!』




『誰か弾をよこせぇ!早く!!』




最初は、もの凄い勢いで弾道弾を迎撃していましたが…
実態弾を装備した部隊は全機弾切れですか。

ビーム兵器を装備した部隊もエネルギーCAPは全て消耗。
ジェネレーターからのチャージに切り替えているようですが、チャージが間に合ってないようですね。

よく頑張りましたが、もう限界ですね…



「浮き足立つな!!落ち着け!!」





ビー

《状況終了》
《香霖堂に直上にて核弾頭が起爆しました、幻想郷側の敗北です。》
《コンセプトシミュレーターを終了します。》








「お疲れ様ー!」

『あーあ、また死んじゃったー』



『でも、記録更新ですよね!!』

『私のザク、緒戦で落とされちゃったんだけど…』

「あの…ミノフスキー粒子の散布を忘れていたみたいですよ?」

『あれええええ!?』





「無駄口を叩かずにさっさとシミュレーターから出ろ!ルーミア副指令がおやつを全部食べちゃうぞ!」



過去最高の成績でしたが、やはり今回も最終的な勝利までたどり着けませんでしたか。

ここら辺が、私達の力だけで達成できる限界なのかもしれませんね。

機体の設計方針と運用方法を固めるために、コンセプトシミュレーターを完成させたのはいいのですが…
何度機体の設計コンセプトと運用方法を変えて戦闘に出しても、最後は何時もジリ貧になってしまいますね。

機材とパイロットを務める妖精達の数の関係で、シミュレーター上の大半のモビルスーツがAI操縦になっているので、これをパイロットによる操縦に切り替えればもう少しマシになるのですが…
冥界から応援に来てくれている元軍人さん達に言わすと、それでもこの戦力比はひっくり返せないらしいですね。
何でも、圧倒的な数が持つ力を生前思い知らされたとか…
だいたい、今回のシミュレーションで使った、60機5個中隊編成というモビルスーツザクの数自体がシミュレーターの性能から出てきた根拠の無い数ですからね。
実際の生産数はこれより激減する可能性がある現状では、小手先の対策は無意味といえるでしょう。


実のところ、敵の設定が強すぎるのが敗北の最大の原因と言えるのですが…
ハニュー氏が考える最悪の状況では、この程度では甘すぎると言えるでしょう。
以前の話から考えると、恐らくハニュー氏は幻想郷と外の世界全てが対立する事態も考えているはず…


やはり、根本的な性能を底上げしないといけません。
早く魔法のエキスパートを引き込んで、大幅な性能向上を目指す必要がありますね。

と言っても、秘密が守れて信用できる魔法のエキスパートが簡単に見つかればいいのですが…


「にとりさん、アリスさんって人がお話をしたいそうです。」

そんな名前の人がここに居ましたっけ?
「何者ですか?」

「ルーミアさんが連れてきた方です。先ほどから後ろで見学されていますよ。」

!!
ちょっとルーミアさん、私に断りも無く部外者を入れないでください。




あれ?
あの人は、この前の新聞でハニュー氏と一緒に写真に写っていた人じゃないですか。

何やら、良い予感がしてきました。






----------





有名人になるっていいですよね!!
文さんの新聞のおかげで、俺が有名人になってしまいました。
色んな妖精達が俺に興味を示してきます。

前にも、記事になったようですが、その時は何故か怯えられました。
多分オタクキモイと思われていたんでしょう。

でも今回は、サイギョウアヤカシの満会を防いだことで記事になったようなので英雄扱いです~。

本当は何もしてなかったんだけどね!!
まあ、棚からぼた餅というか何と言うか…


はあ~
でも、俺が体も男だったらなあ~
こんなに女の子達にチヤホヤされるなんて一生に一度あるかどうかだろ…


「あの、ハニューさんですか?」

また誰か来ましたよ~

「やっぱり…この顔と背格好…」

そうです、俺が巷で噂のハニューです。

「あの!これ読んでください!!それとこれ!さよなら!」

おおう!何故か手紙らしきものが入った封筒と紙袋を押し付けられましたよ…
これってファンレターとプレゼントですか!?
でもなんで、逃げるように帰っちゃったのでしょうか?
そうか、恥ずかしくてまともに会話が出来ないぐらい俺のファンってことなのですね!!!
いや~参ったね。



さーて中身は…

っと、そんなことをしている場合じゃなかった…
大ちゃんの家に早く行かなくては。
中身は後から見るか…


色んな人に声をかけられたせいで、大ちゃんの家に着くのがちょっと遅くなりそうだな。






----------





「大ちゃんごめん!ちょっと遅くなっちゃった!」

「ハニューちゃん遅いよ。ハンバーグ焼かずに待ってたんだよ。」


今日は夕飯をご馳走してくれるということでしたがハンバーグですか。

これは楽しみですね。


「これから焼くから、もうちょっと待っててね。」


じゃあ、ちょっと待つとしますか。
でも、ただ待ってるのも暇だなー
言い訳にもなるし、さっきの話でもしようかな。


「遅れた理由なんだけどさ、何だか俺のファンって子に掴まっちゃってね~」


「ふーん…そうなんだー。良かったね。」

あれ?何だか反応が悪い??

「いやープレゼントにファンレターまで貰っちゃって参ったよ。」

「そう…」

やっぱり、もの凄く食いつきが悪いですね。
あれかな…
ものを見せたほうが、話に食いついてくるのかな~?

「大ちゃん見てー、まだ開けてないけど、これがそのファンレターだよ。」




「私も見てみたいから、その手紙ちょっと渡してもらってもいいかな?」

お!やっと食いついてきましたよ!!

「はい、大ちゃん。」

「ありがとう、ハニューちゃん…」




「あ!」



ちょっ!?

大ちゃんの手から、コンロにファンレターが落ちてしまいましたよ!?????
もの凄く燃えてる!!!!


「ごめんねハニューちゃん、私ってドジだねー。」

なんという展開…
まさか、大ちゃんが昔で言うところの、ドジッ娘系キャラだったとは…

「まさか、しっかりしたイメージの大ちゃんがこんなドジっ娘系キャラだったなんて驚いたよ。
 そんな大ちゃんだったら、プレゼントも間違えてコンロに落としちゃったりして。ハハハハハ…」



「そこまでドジじゃないよハニューちゃん。多分ゴミと間違えて燃やしちゃうぐらいだよー。」


それも酷いだろ…
あ、そうか。
なるほど、大ちゃんには意外とユーモアのセンスもあるようですね。






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えー現在朝帰り中です。
何で朝帰りかって、それは一晩中大ちゃんとプロレスをしていたからです。

プロレスと言っても、エッチなことを隠すためにプロレスと言っているんじゃないぞ。
本当にプロレスだぞ。

昨晩、ハンバーグを食べ終わったら、大ちゃんにベッドに誘われた。
性的な意味とは別に。

そしたら、何故かベッドの上に立ったまま大ちゃんに抱き締められました。
なんでも、色々お話を聞いてくれるとのこと。

有難かったので、色々と話していたのですが…


「そうかーハニューちゃんはアリスさんと友達になれて嬉しかったんだー、それは良かったね!!」

グギ!!

って感じで途中から、ギリギリと俺の体が締め上げられていったのですが…

「大ちゃん!?何で怒ってるの!?俺、何か悪いことした!?」

と言う俺に対して…

「私は怒ってないよハニューちゃん。なんだかよく分からないけど、突然こうしたくなったの。どうしてかな?」

と言う大ちゃん。

こんなやり取りが一晩中続きました。


本人は怒ってないと言ってたというか、怒っていることに気がついてないようだったけど…
怒ってただろ…



これはあれでしょうか。
大ちゃんを仲間はずれにして、色々と楽しそうなことをしたり、友達を作ったりしていると勘違いされたのでしょうか。

どちらかというと、事故なんですけど…


ちょっと、嫌われちゃったかも…
今度何かある時は、積極的に大ちゃんを誘って仲直りしよう…















さてと、紅魔館の俺の部屋に着いたし、一旦寝ようかな。


そういえば、この貰った紙袋には何が入っているんだ?
今朝、大ちゃんが間違えて他のゴミと一緒に燃やしかけたんだよなー。
冗談かと思ったら、本当に燃やしかけるなんて大ちゃんって本当にドジっ娘なんだなー
おかげて、ずいぶんグチャグチャになってしまいましたけど…
なんというか、何故かデザインが気になる紙袋なんだよなー







???




??????




そうか!これって俺の誕生日プレゼントの紙袋のデザインと凄く似ているんだ!!

「誕生日前に振られるとは哀れな奴め、そんな寂しいお前に俺の厳選したプレゼントをやろう!」

とか言って俺のオタクな悪友が渡してくれたプレゼント…
俺のゲンソウキョウに来る以前の記憶がある最後に日…
そういえば、あのプレゼントも開けずじまいだったな…


それはとにかく、本当に良く似たデザインの紙袋ですね。

因みに、中身は何だ???

東方紅魔郷???
何それ!?
他にも同じシリーズのようなゲームがいっぱい入ってるぞ!?

どことなーく博麗の巫女に似てキャラが描かれてますね~


他には???




( ゚Д゚)ポカーン



(; ・д・)えええ!?




メイド長とお嬢様にそっくりな二人が凄いことしている同人誌!?????

アリスさんと魔理沙さんにそっくりな二人が×××とか…

大ちゃんにそっくりな人が…とか…

他にもいっぱいあるよ!!

なんぞこれー????











これは不味いですね!!!!!


ゲームに関しては、下手に博麗の巫女に見つかれば肖像権とかで訴えられそうですし…

同人誌に関しては、発見された俺は終わりです。

というか、こんなものプレゼントされるなんてどういうことなの…




とりあえずは、俺の机の引き出しに隠しておこう。

本当はちょっと勿体無いから捨てられないとか、そんなことじゃないんだからね!!!

でも、いつか処分しないと駄目だよなー
もしも、見つかったら。
「ハニューってきんもーっ☆」とか言われるに違いありません。

これは嫌だw



しかし、俺の机の引き出しに、隠すというのはどうだろうか?

この部屋って結構人の出入りが多いんだよな。





俺の部屋だと偶然誰かが見つけるかもしれない…




「何を悩んでいるのかー?」



!!!
ビックリした、ルーミアか…


そうだ!
ルーミアの部屋に隠しておいてもらおう。

「ルーミアにお願いがあるんだけどさ、この紙袋をルーミアの部屋に隠しておいてくれないか?
 何度も取りに行くことになるかもしれないから、迷惑になるかもしれなけど頼むよ。」



「そうなのかー」




とりあえず、これで安心ですね。


でも、これだと一つ問題点がありますね。
いきなり、ゲンソウキョウ脱出の目処が立ったりしたら、処分できないままゲンソウキョウを離れることになるかもしれません。
俺の実力が高ければ、入念に準備してから脱出ということなので、処分する時間はありますが…
実際の俺の実力では、何らかの事故や他人の力(運営者側の都合で外に出る。)によって、ある日突然脱出に成功する可能性の方が高いといえます。

俺が突然ゲンソウキョウを脱出する→紙袋の所有権が曖昧に→誰かが中身を見てしまう→噂が広がってゲンソウキョウでの俺の評判が地に落ちる→俺の活躍によりゲンソウキョウが解放される→メディアがゲンソウキョウに殺到する→俺がエロ同人誌を隠し持っていたことがメディアを通して世界中に流される。

( ゚Д゚)…
これはまずい…
もの凄くまずい…
こういう事態にならないように、俺が居なくなったらルーミアに紙袋を処分してもらうようにお願いしないと駄目ですね。


「あのさ、ルーミアにもう一つお願いがあるんだけどさ、もしも俺が突然居なくなったらこの紙袋を処分してくれないか?」

とにかく、俺が居なくなったら、スパッと処分してください。
俺には必要無いものになりますから~




「そー…

なのかーって…あれ?
何で黙ってしまったんですかルーミアさん。




「何考えているのだー!!!!
 そんな馬鹿なお願い、聞けないのだー!!!!」



ちょ、いきなりルーミアが俺の襟首つかんで、ガクガク振るんですけど!?
なんでこんなに怒ってるの!?
ちょっと、紙袋一つ処分するだけじゃないか!?
俺が居なくなったときに処分してくれないと、本気で困るんですけど!?


「本気で言っているのかー!?」
「いつもの勘違いや冗談だったら許さないのだー!!」


本気も何も、そうしてほしいからお願いしてるだけなんですけど…
それに冗談なんかじゃないですし、いつもの勘違いってどういうことよ。
勘違いなんか俺はしてないぞ。


「必要だからお願いしてるんだ、分かってよルーミア!
 これは冗談でもないし、勘違いとかの話でもない。そうなる可能性が十分ありえるんだ!」









「…そうなのかー。」



「…それで、どう処分すればいいのかー?」

処分か…
そういえば具体的に考えてなかったな…


案1 ごみの日に出す
ごみの日ってあったっけ!?
それに丸見えだろう…

案2 適当に捨てる
一見良さそうだけど、ゲンソウキョウでは色んなところに妖精が居るから、捨てるところを誰かに見られる可能性が高いな。

案3 燃やしてしまう
でも、燃やすって結構危ないよな…

悲劇!紅魔館全焼、原因はハニューのエロ同人誌!!



ルーミアならやりかねん…



うーん…


案4 専門の所で売り飛ばす
買い取る側もそれなりに秘密を守ってくれそうだし…
お金になるよな。


よし、これが一番いい!

もし、どこで手に入れたのかと聞かれたら、知らない人から貰ったと言えばいいか。



でも、そんな所ゲンソウキョウにあるのか?

いや、そうでもないぞ。
よく考えれば、こんな同人誌みたいのがあるのなら、売っているところや買い取るところがある可能性は高いですね。


「一番いいのは、専門の所で売って欲しい。もしそれが無理なら、人に見つからないように処分して欲しい。」


「…そうなのかー
 この紙袋には何が入っているのかー?」



それは言えないw
でも、売るときとか処分するときにルーミアにはバレるよなw
これは、下手な言い訳をしても見苦しいですね。
しっかりと言っておかないと…

「中身が何なのかは、今は言えない。でも中身を見たとき、俺がこういうものを持っていたということは理解して欲しい。
 なかなか理解できないかもしれない、俺のイメージとあまりにも違うからな…」

見た目、女の子している俺が、こんなエロ同人誌持っていたことは理解し辛いと思う。

「なんというか、今すぐ自分で売ってしまいたい、という気持ちもあるんだ。
 そうすれば諦めもつくしな。でも恥ずかしいことに、その勇気が俺には無くて…」


なんというか、本当に恥ずかしい話だよなこれは…










「…わかったのだールーミアに任せるのだー」


「悪いなルーミア。」
「あとそれから、この件は大ちゃんだけには秘密にしておいてね。」

大ちゃんにバレたら、それこそ生きていけません。




「…そうなのかー」
バタン!



あれ?出ていっちゃった…
どうしたんだ?





side 河城 にとり

ハニュー氏にアリスさんと共に最近の成果を説明しに来たのですが、部屋の前で待っている間に、まさかこんな話を立ち聞きしてしまうことになるとは夢にも思いませんでした。
私達の来訪を知らせるために、先に部屋に入ったルーミアさんに、ハニュー氏が遺言を託すなんて…


「ねえルーミア、どういうことなの!説明して!」

「アリス…
 ルーミアはハニューの考えていることが良く分かるのだー
 だから、ハニューが本気で自分が突然居なくなるかもしれないって思っているって分かるのだー」

側近のルーミアさんがそう言うのなら、やはりハニュー氏の気持ちは本当なのですね。

「また、あいつ馬鹿なことを言って…!!!
 ルーミア、あなたどうして止めないの!?」


「今日のハニューは全部本気だったのだ…
 自分が突然居なくなることも、紙袋を処分して欲しという話も、紙袋の中身の説明も、大ちゃんには知られたくないという思いも、全部、全部本気で話していたのだー!!
 だから!だから!ルーミアはハニューのお願いを聞いてあげなくてはいけないと思ったのだ…」

ルーミアさん…
あなたは、ハニュー氏の気持ちが良く分かるからこそ、辛い立場に立たされてしまったのですね。


「だからって、死ぬつもりのハニューを放って置いて良い訳じゃないでしょ!私止めてくる!」


アリスさんは、本気でハニュー氏を止める気ですね。
アリスさんの言うことも一理ある。
しかし、それは正しいやり方ではない。


「待ってください。ハニューさんを止めないでください!!」






side アリス・マーガトロイド

納得いかないけど、確かにこれしか道はなさそうね。

確かに、にとりの言うとおり、ハニューが死ぬ可能性、私達の前から突然永遠に消えてしまう可能性は十分にある。
それぐらい危険なことを、ハニューはやろうとしている。
だから、ハニューの遺言を残すことはおかしな話ではない。

もし止めようとしても、幻想郷の救済とも噂さされる目的のために、八雲紫や博麗霊夢と激突までしてジオンという巨大組織を作りあげたハニューのことだから…
きっと、誰が止めようとしても止まらない。

だから、私達にできることはハニューの夢が適ったときに、そこにハニューも居られるようにすること。
つまり、より強い戦力をハニューに提供してあげることしかない。


あの紙袋の中身が何なのか分かれば、別の方法が見つかるかもしれないけど…
(俺がこういうものを持っていたということは理解して欲しい)
(でも恥ずかしいことに、その勇気が俺には無くて…)
あんなに葛藤するなんて、いったいあの紙袋の中身は何だっていうの??












あーーもう!
分からないことを考えても埒が明かないわ。もっと良い方法は無いの?

「シャンハーイ!」

ありがとう上海!
確かに、上海の言うとおり、ハニューが自分が死ぬ可能性がある事実を伝えないように頼んだ唯一の人物、大ちゃんならハニューを止められるかもしれない。
でも、大ちゃんにこの話を伝えたりしたら、ハニューは私を許してくれないだろうな…
どうしよう…




----------




side 森近 霖之助

今から思えば、去年の僕は酷い有様だったと思う。
あのハニューが僕の前に現れる度に、僕の体調は悪化していった。
そんな、僕の体調にとどめを刺したのはあの八雲紫の訪問だった。

「これは独り言だけど、この前紅魔館で霊夢がダイナマイトで殺されかけたわ…
 犯人は不明。でも、限りなく黒なのはハニューという妖精。
 決定的な証拠が無いの。
 どこかに有力な情報は無いかしら?」

あまりにも露骨だった。

僕はハニューの協力者として疑われていた。
全てぶちまけて楽になりたい。
そう思った。

でも僕は弱かった。

沈黙という回答しか僕にはできなかった。
八雲紫は「これも独り言なんだけど、協力者が居たとしても処分する気は今のところは無いわ。でも、それもハニューが幻想郷をどのような未来に導こうとするか次第よ。」と言ってスキマに消えていった。


その次の日の夕方だった、僕の胃が限界を迎えたのは。



血を吐き倒れる僕。
半人半妖として普通の人より体には自信があったけど、あまりの量の出血に僕は「これはもう駄目かもしれない。」等と思ってしまった。
もしそのまま放置されていたら、僕は本当に駄目だったかもしれない。

でも、幸運なことにその日の香霖堂にはお客が居た。
朱鷺子だ。

当時の朱鷺子への印象は、商品を一回も買ったことが無いくせに、いつも商品の本を読んでいるちょっと困ったお客というものだった。
そんな朱鷺子が、僕の異変に気がつくと単身永遠亭に飛び僕の命を救ってくれた。


朱鷺子が天使に見えた。


朱鷺子は僕が胃潰瘍で動けなくなってから、毎日のように香霖堂を訪れ僕の身の回りの世話をしてくれた。

「何故そこまでしてくれるのか?」そう聞く僕に朱鷺子は「これはいつも本を読ましてくれたお礼です。」と少しはにかみながら答えた。

その時、僕はそんな純粋で優しい彼女に初めて惹かれたのかもしれない。
自慢じゃないが、僕の周りには魔理沙を初めとして、決して少なくない女性が居る。
でも、皆個性や押しが強い子ばっかりで、いつも振り回されてしまっていてどうも…

話が逸れてしまった。

情けないことに、僕の胃は一端回復の傾向を見せても、ハニューの話題を聞くだけでまた悪化してしまう状況が繰り返されていた。
そんな僕を朱鷺子はいつも助けてくれた。
朱鷺子は僕の代わりに香霖堂の店番までしてくれるようになってくれたのだ。



気がついたら、朱鷺子が居ることが当たり前の日常が始まっていた。
そして自分の気持ちにもはっきりと気が付いた。

朱鷺子。
僕には君しか居ない。




朱鷺子。
この名前は名前が無い君にとってただの仇名だ。
でも僕はこの名前が好きだ。
だから、これを本当の君の名前にしたい。
森近朱鷺子になってくれ。




「うーん。プロポーズの言葉はこんな感じでいいのかな?」


おっといけない。
思わず声に出してしまった。
リハビリがてら、ここ一年のことを纏めてみたはいいが…
とてもこれは人には見せられないな。
途中から、朱鷺子の話ばっかりじゃないか。

特に最後のプロポーズ案の所なんて、他の人に見られたら…




でも、結婚のことで心配ができるなんて、僕はなんて幸せなんだ!






「おーい店主!!元気になったか?」






















なんでも、店主がやっとお店に顔を出せるぐらい元気になったそうです。
そんなことなので、今日は店主に会いに来ました!
実は本当の理由は別にあるんだけどね!


「いやー店主。思ったより良さそうだな!!もう殆んど大丈夫じゃないか!?」

「…また駄目に…い、いや、なんでも無い。もう大丈夫だよ。」

「体が第一だからな!しっかり直して店主にはもっと働いてもらわないといけないからな!!
 それがさ、例の爆竹なんだけどうまく使えなくてさ、もう一回買わなくちゃいけなくなったんだ。
 でも、聞いたところによると、もうストックが無いんだって?店主には早く元気になってまた仕入れてもらわないとな!」

「…そうだね。」

うーん?流石にまだ本調子じゃないのか?
まあ、仕方ないよね。




「霖之助さん、お客さんですか?」

!?

「朱鷺子!?こっちに来ては駄目だ!すぐに戻りなさい!!」

誰だ!?

「霖之助さん!?」

「早く!」

「は、はい…」

なぜ、裏の居間からエプロン付けた女の子が出てくるんだ!?
しかも霖之助さんだと!?
店主も何故か焦っているだと!?

そんな!!

店主に女ができただと!!!!!
ちょっと幼いけど!

こっちは、体が女になったせいで、恋愛なんてできないのに…
店主はやることやっていたと…
正直羨ましいのですが。

「店主?彼女は誰だい?」

「か、彼女は僕とは何も関係ない人だ。だ、だから君が知る必要は無いさ。」

何この嘘!
嘘をついているのがバレバレなのですが!?
店主なんて、いかにも嘘をついてますって感じで、手が震えているのですが…

理由は分かりませんが、どうやら店主はあの子が自分の彼女だって隠したいようですね!

何ですかそれは!?
水臭いぞ店主!

「ふーん、店主とは何の関係も無いと…
 では彼女に直接聞いてみよう、彼女のほうが正直かもしれないからね。」

それなら、直接本人に聞いちゃうもんね!!
それでは、裏の店主の家にレッツゴー

「やめろ!いや、やめてください!
 お願いです!彼女だけは!彼女だけは手を出さないでください!
 お願いします!」

ちょっ!?
店主どうしたの!?
いきなり土下座とか何かのギャグですか!?
しかも、手を出さないでくださいってどういう意味ですか!?

はーん…読めたぞ!
店主はヤバイ位に彼女に惚れているということなんですね。
だから、変な邪魔が入らないように彼女を隠そうとしたと…

しかし、体が女の俺が彼女に会おうとしただけで、俺が彼女に手を出して取られると心配するなんて、ちょっと異常だと思うけど…
一歩間違えると、ロリ好きのストーカーになってしまうぞw

まあでも、さっきの感じから見ていい感じで思い合っているみたいだから、ここは大人らしく彼女を隠しているところは水に流して真面目に話をするか。
それに、冗談っぽく茶化そうと思っていたのに、興も削がれてしまいましたし。

「勘違いするなよ店主、彼女には手を出さないさ。
 それにしても、本当に店主は彼女が大切なんだな。
 彼女とは結婚も考えているのか?」

「ええ…できたら今年中には…」

おおう、マジですか!?

しかも今年中なんて、もう間近と言ってもいいじゃないか!!


「そうか、まだ気が早いがおめでとう!」

「あ…ありがとうございます…」


もっと喜べばいいのに、やっぱり何だか店主の元気が無いな…
病気の影響かと思っていたが、何か違うなあ…
なんというか何か悩み事があるって感じだ…

「店主?元気が無いな?何か悩み事でもあるのか?」

「いや、な、何も無い、何も無いですよ…」

嘘だ!
明らかに動揺しているのですが!?
やっぱり何か悩み事があるようですね。

幸せいっぱいのはずのこの時期に悩み事って何だ?
何か、結婚する上で悩み事が!?

マリッジブルー?
店主があれだけ惚れているのにそれはないな…

他に店主が結婚で悩みそうなことって…




そうか!

お金か!

よく考えてみれば、店主は店を開けられない状態で、おまけに治療費も嵩んでいるはずだ。
なにかと結婚にはお金がかかるのに、お金が無いということですね。
お金が無ければ、結婚式もまともに挙げられませんよね!


店主は運がいいですね!
実は、お金が入る話をこの俺が持ってきてあげましたよ!



例の遠隔操作式発火装置を作ってくれている、にとりさんが先日俺の部屋に来たのですが、なんでもアリスさんが開発に参加してくれて問題が次々と解決しているとのことでした。
因みに、遠隔操作式発火装置の名前がザクになったようです。
いきなり「モビルスーツザクの開発状況は」とか言い出すので、一瞬何のことか分かりませんでしたよ。
考えてみればなるほどと思いました。瞬間移動できるメイド長が何処で聞いているか分からない状況では、モビルスーツザクという名前でカモフラージュするのは良い方法だと思います。
流石にとりさんは頭がいいですね!!!

といっても、正直言って内容は難しすぎるし、カモフラージュされた用語が多すぎるので俺は「反対すべき理由はない。やりたまえ、にとり博士」とか「問題無い…全てはシナリオ通りだ」とか色々適当に話を合わせて全部任せるって感じで喋ってただけなんですけどねー。

そんなこんなで、開発は順調かと思ったのですが、それでもまだまだ問題が山積みとのこと。
そんな問題の一つを解決する方法として頼まれたのが、店主からミニ八卦炉の設計図と製造法を入手して欲しいという話です。

ミニ八卦炉とはあの魔理沙さんが愛用している携帯用バーナーみたいな道具で、実は店主が作ったとのこと。
かなり高度な技術が収められているらしく、その技術を解析し遠隔操作式発火装置の開発に応用したいということだそうです。


設計図に製造法なんて、そんな簡単に渡してくれるのかと不安でしたが、お金に困っているのなら簡単かもしれません。
早速交渉です!


「ところで店主、今日はミニ八卦炉の設計図と製造法を売ってもらえないかと思ってきたんだ。」

「なんだって!?それは…流石に渡すわけには…」

「そうか、簡単には渡せないよな。
 とりあえず金はこれだけ用意した。これでも駄目か?」

ドン!



「い、いくら金を渡されようともこれは…」

ちょっ!?
結婚資金を手に入れるチャンスなのに、店主は何を馬鹿なことを言っているのですか!?
そりゃ、自分の作ったものの成果を簡単に人に渡せないのはわかりますよ、でもそんなこと言っている場合じゃないだろ!!
おまけに、俺のソウルブラザーである店主の結婚資金のために、予定よりかなり多めに出した俺の気持ちまで無駄にするとはどういうことなの!!

「おい店主!無事に結婚式を迎えたいとは思わないのか!?
 冷静になれ。馬鹿なことを言わずに黙って受け取れ!
 彼女が居なくなったら、もう結婚式はできないんだぞ?」
さっさと、このお金を受け取って結婚式をしたほうが本当にいいと思うぞ。
あんまり待たしたら、彼女の心が離れて行っても知らないぞ?


「そんな!さっき彼女には手を出さないと言ったじゃないか!!」


店主は何を言っているんだ?
それとこれとは別の話だろ?
話が繋がってないのですが?

「何を言っているのか俺にはわからないな。
 少し落ち着け、何が今の自分にとって大切なのかを良く考えろ。
 いつも言っているだろ、大人だったらわかるよな?」



side 森近 霖之助

昔、誰かから聞いたことがある。
幸せの絶頂に達した後は、落ちるだけだと…

幸せの絶頂にある僕に対して、彼女は不幸を運んできた。

彼女は、まるでごく普通の玩具をまた僕に調達して欲しいと言うかのように、気軽に僕に話しかけてきた。
その完璧な演技に僕の頭は騙されそうになったが、僕の胃は騙されなかった。
鈍い痛みを放つ僕の胃…

でもそれは不幸の始まりでしかなかった。
本当の不幸は、朱鷺子が彼女に見つかってしまったことだ。

危険な彼女から朱鷺子を引き離しておきたい、そう思って僕は僕と朱鷺子は無関係であると嘘をついた。

緊張で震える僕の手が彼女の加虐心を掻き立てたのか、それが朱鷺子に危険を招く結果になった。

彼女は突如朱鷺子に直接聞くと言い出したのだ。
言葉の上辺だけを見れば、何も問題が無い言葉だが、そうではない。

彼女は僕より朱鷺子の方が正直かもしれないと言ったのだ。

そう、僕はこれまで彼女に抵抗しながらも、脅されその都度屈服してきた。
それと同じだ。
今度は朱鷺子が脅される。

僕は恥も外聞も無く彼女に土下座し、朱鷺子の安全を懇願していた。
その行動を彼女は面白くなかったのだろう、彼女は明らかに興が削がれたといった感じで朱鷺子には手を出さないと言った。
僕は彼女から小さな勝利を勝ち得ることに成功したのだ。


しかし、そんな小さな勝利を得たがために、僕は更に大きな不幸を抱え込むことになった。


次に彼女は、ミニ八卦炉の設計図と製造法を入手するために、まさに大金と言える額の札束を僕の前に出してきた。
彼女が何の目的でミニ八卦炉を求めているのか分からない。
だが、何かまた危険な目的であることは間違いなかった。

ここ一年間の苦しみが、大金に目が眩み、危うく彼女のペースに飲まれそうになる僕を引き止めることに成功したのだ。

しかし、彼女は更に上手だった。
彼女は要求を呑まなければ、結婚式を一人で迎えなくてはいけないと強い口調で言ってきたのだ。


そう、要求を断れば朱鷺子を殺すと彼女は言っていた。



僕が共犯として八雲紫から目を付けられる事態はもうごめん被りたい。
だから、僕は今度こそ彼女の要望を突っぱねる気でいた。
そしてそれが、朱鷺子のためにもなると僕を奮い立たせていた。

だが、そんな僕の思いが朱鷺子をより危険な状態に追い込んでいた。

僕は、先ほどの手を出さないというのは嘘だったのかと「何を言っているのか分からない」と惚ける彼女に虚しく抗議の声を上げるしかできなかった。

もう僕には、彼女に白旗を上げるしか手段が残されていなかった。


















でも、僕は朱鷺子を守りきったぞ…

そうだ、これは紛れも無い勝利だ…


アハハハ…



アハハハハハハ!!



「霖之助さん!?気を確かにもって!!」



[6470] 第十二話 王道的でエロエロな話なのかー。(注意 15禁と感じる人もいるかも)
Name: pzg◆1036bac0 ID:601741ee
Date: 2009/09/24 18:13
第十二話
王道的でエロエロな話なのかー。


「ムキューン、ムキューン。ムキュ、今日も疲れたわ。」

「パチュリー様お帰りなさいませ、お風呂にしますか?ご飯にしますか?それともわ・た・し?」

「ムキュ。今日は疲れたから、一人で寝るわ。」



「ちょっとハニューちゃん!それじゃ話が続かないじゃないですか!!」

えー。
リアリティある行動をお願いしますって言われたから、リアリティを追求したのにー。


「これは、私がパチュリー様の所に嫁ぐための花嫁修業なんですよ!!ちゃんと選択肢から選んでくれないと練習にならないから困ります!
 大体、パチュリー様のモノマネとはいえムキュムキュ言い過ぎです!」

そうかなのかー?
普通は選択肢から必ず選ぶとは限らないから、こっちの方が練習になると思うんだけどなー?
まあいいや、それならプランBだ!
ちょっとイジワルしてあげましょう!

「今日は疲れたから、早速コアとここで寝ようかしら?」

ガバ!!
さあ、この場で押し倒したら、どう出てきますか?

「ええ?ちょっとハニュ、いやパチュリー様こんな場所じゃ嫌です…」


「「「おおー!!」」」

これは、中々上手い返し方ですね。他の小悪魔さんの花嫁修業を手伝う会の会員達もどよめいてますよ!!

「なかなか今のは良かったと思いますよ。俺も一瞬ドキッとして、危なかったですよ~」


いやはや、小悪魔さんの飲み込みの早いこと早いこと…
皆が半分面白がって手伝っているせいで、それなんてエロゲ?って一昔前なら突っ込まれるような無茶なことばかり教えていたのですが…
完璧にマスターしちゃうどころか、自ら改良案を考え出してしまう状態になってます。
凄いな、これぞ天才という奴なのだろうか…


「駄目ですよハニューちゃん。そんなこと言って私を口説いたって、私の身も心もパチュリー様の物なんですからね~」

「そんなー。まったく、小悪魔さんのパチュリー様好きには参っちゃいますよ~」


「「ハハハハハ…












「ハア…あの頃が一番楽しかったですよねー
 本当に、私ってバカですよねー!
 一人でフラグが立った!とか有頂天になっていたなんて!!!」

「あはははははは!!」

小悪魔さん酔ってます!
部屋に閉じこもっていた小悪魔さんが久しぶりに部屋から出てきたので、何が原因だったのか聞きだすためにミスティアの屋台に連れてきました。

紅魔館の良心の一人である、小悪魔さんには何度か助けてもらったこともありますので、何か力になればいいかと思っていたのですが…

小悪魔さんがパチュリーさんとの結婚を念頭にして花嫁修行を行っていたのに…
まさか、そのパチュリーさんの気持を魔理沙さんが奪っていったという展開になっていたなんて…

「そんなにあの魔理沙が良いんですか?
 どうなんですハニューちゃん?私ってそんなに魔理沙に劣っていますか!?」

正直言うと、劣っているというより相性の問題かな?
内向的なパチュリー様と外向的な魔理沙さんって、意外と相性がいいかもしれない…
といっても、今日は正論言って小悪魔さんに説教するのが目的ではないからな~
「いやいや、小悪魔さんの方がいい女だと思いますよ。」

「そうですよ!私の方がいい女ですよ。あんなガサツなのの何処がいいのか…」

「確かに魔理沙さんはガサツというか、清潔感が無いですよね。
 俺なら、小悪魔さんを絶対選びますよ。」
こんな感じで、ずっと話を合わせて愚痴を聞いてあげています。


「流石ハニューちゃん!分かってる!
 熱燗もう一本ちょうだい!」

「チンチ●!もう用意してますよ。」

清純派って感じだったのですが、酔うとなんだか雰囲気が違います。
なんとういか完全に絡み酒です。
今日はとことん愚痴を聞いてあげようと思っていたのですが、正直に言うと結構辛いです。
実は、既に3時間ぐらいこの調子です…


割烹着姿の時のミスティアはこういう時、大人の雰囲気でうまく愚痴を受け流す力がありますが…
小悪魔さんに絡まれる俺までは守ってくれませんw


ちょっと酷いけど、小悪魔さんをもっと酔わして、帰る方向に持っていったほうがいいかもしれない。


「まったく、何でこんなにいい女が居るのに、誰も振り向いてくれないのよ~」


「分かるよ小悪魔さん、さあもっと飲んで、ここは俺の奢りだから。」




----------




「私ね、名前が無いでしょ。でも無いのは名前だけじゃないんですよ、両親の記憶も無いんです…
 捨て子なんです。だから私が何の悪魔なのかも自分でも分からないんです…」


これは失敗した。
もっと酔わしたら、絡み酒からしんみりした感じになってしまった…
ある意味楽ですけど、とても真面目に答えないと行けない雰囲気で余計に辛いです。

しかし、出生が分からないか…
となると、小悪魔さんは生物兵器としてプラントで培養生産されたタイプとか…?
いやいや、今はそんなことを考えている場合じゃなかった。
とにかく、話を合わせて聞いてあげないと。
「自分が何の悪魔か確かめる方法は何か無いの?」

「実は、当ては付いていますけど…そんな血が入っているなんて認めたくなくて…」

なにやら、あまり小悪魔さん的にはよろしくない出自をイメージしているようですね…

でも正直、俺には考えすぎに思えるのだが…
いやね、元男で現女の子の俺はどうなるのかと…
それに、普通の人間から見れば、ゲンソウキョウの住人全部の出自が特殊で大抵の事では逆に驚かないのでは?

「もっと自分に自信を持てよ!
 俺は、そこまで気にする必要ないと思う。俺だったら小悪魔さんの出自がなんであっても受け入れる自信があるね。」


「そうなのかな……でもやっぱりだめ…
 こんな自分が何なのか分からないような変な女が、超一流の魔法使いであるパチュリー様の隣に立とうとするなんて、そもそも無理な話だったんですよ…
 本当に私って馬鹿、こんな馬鹿な勘違い女にはパチュリー様どころか、誰も振り向いてくれないはずよね…」


あわわわわ…今にも消えてしまいそうな感じで、そんなこと言わないで!!
これは重症だな…いくら酒の席でもちゃんと励ましてあげないとまずいぞ。
「そんなこと無いから!小悪魔さんは素敵な女性ですよ!誰も振り向かないなんて無いですよ!」



「誰も振り向きません!大ちゃんさんという彼女が居るハニューちゃんと私とは違うんですよ!!」

ちょ!?
何か誤解が…大ちゃんは彼女という訳ではないのですが…
ひょっとしたら、そんな未来もあるかも知れないけど…
いや、それ以前に怒らせちゃったというか…ちょっと嫌われてしまったというか…

…なんだか心が痛いよ!

「大ちゃんは今は彼女じゃないですよ。それどころか、嫌われちゃって…」

「チ●チン!?」



「ご、ごめんなさい私てっきり…
 …そう んだ、二 とも振られ 者同士だ たんだ…」
なにやら小悪魔さんがブツブツ言っていてよく聞こえませんが、なんとか誤解が解けたようです。

しかし、そろそろ飲みすぎなんじゃないでしょうか??
それに、自分の感覚が間違っていないなら、もう日付が替わっているはず…


「そろそろ帰りませんか?」


「嫌です。もっと飲みたい気分なんです!!
 今日は誰が何と言おうと!もっと飲みます!!!ハニューちゃんも明日の朝まで私に付き合ってください!!」

なんという強引な話!!
まったく、お酒が入るといつもの小悪魔さんでは想像もできない押しの強さになりますね!!
って!?
日本酒を瓶ごとラッパ飲みしちゃ駄目ーーーーーーーー!!!


ドタッ!



グゥー…


!?
「●ンチン!!!」

まずい!?飲みすぎで倒れちゃった!!




----------




重い。
やっと、俺の部屋に着いて小悪魔さんをベッドに寝かすことができました。

ミスティアが言うには、人間ではないのでこの程度なら寝かしておけば直るとのこと。
ミスティアの言うことだけではちょっと心配だったのですが、門番をしていた美鈴さんが小悪魔さんのために薬(漢方薬?)をくれたのでこれで大丈夫でしょう。

因みに、小悪魔さんの部屋の鍵が何処にあるのか分からないので、俺の部屋に連れてきました。

「あれ~?
 ハニューちゃん、ここは何処ですか?」

「何処って、俺のベッドですよ。」

「えへへ~なんでそんなところに~」
まだ完全に酔ってますね…
寝ぼけているのも入っているのか、今度はアホの子という感じになってますよ…

「そんなの決まっているじゃないですか。」
小悪魔さんを寝かすために決まっているじゃないですか。

「分かんないですよ~。何が何だかわからないですよー
 ウッ!ウゲェエエエ…

ちょっ!!
人のベッドで何吐いているの!????

「自分の体に聞いてみたらどうですか?こんなに汚しちゃって…」
自分の体がアルコールで酷い状況になっているのに気がついてください!
というか、俺のベッドに吐いたことに気がついてください!



「分からないですよ~あははは~!!!!!」
ぎゃああああ!子供みたいに暴れないで!!
駄目だ、会話が通じない!!
吐瀉物が小悪魔さんの服や俺のベッドに飛び散って、地獄絵巻に!!!!?????

とにかく暴れないように体を押さえ付けないと!
まったくこれじゃ子供ですね!
酔った原因は俺にありますが、酔い方にも節度が必要です。
これは後で、しっかり教育してあげる必要があります。

「小悪魔さんは子供ですね!しっかりと教育してあげますよ!」


「教育って何ですかぁ~………グゥ…




あーまた寝ちゃった。
薬もまだ飲ましてないのに…

この惨状どうしようか…





----------





とにかく、吐瀉物で酷い状態なので布団・シーツ・服の全てを洗濯に出すことにしました。
まあ、小悪魔さんの下着まで洗濯に出しちゃったので、小悪魔さんが裸なのはちょっと不味いですが。

幸いなことに、俺の体が女になっているので、服を脱がしたことは多分許してもらえるでしょう。
もちろん、下着を脱がすときは見てはいけないところを見ないように、新しい布団で小悪魔さんの体を隠しながら脱がしましたよ…
手探りかつ、変なところを触らないように脱がすのはもの凄く大変というか重労働でした。

おかげで、やたら時間がかかってしまって、全てが終わったら朝になっていました。

そして今、ちょうど部屋に備え付けたシャワーで、労働の汗を流し終えたところです。

「ハニューちゃん?」

おっと、小悪魔さんが起きたようですね。

「おはようございます小悪魔さん、ちょっと運動をしたので汗を流していたんですよ。小悪魔さんもどうですか?」

「はあ…」
あれ?なんか、腑に落ちない顔をしているな…
ああそうか、起きて俺の部屋だったら、何が何やら訳が分からないよな…
とりあえず、何か飲み物でも飲ましながら説明するか。












「はい、小悪魔さんコーヒーをどうぞ。」
寝ぼけているのか、小悪魔さんがベッドの中でボーっとしているので、目を覚ますようにコーヒーにしました。

「ありがとうございます。」

ハラリ…

あ…まずい…
小悪魔さんが起き上がったから布団がめくれて…

「キャッ!!????」

「ハニューちゃん!なんで私裸なんですか!?」


おや?
もしかして記憶が飛んでる?
でもこれはお互いにとって好都合かも…
「ちょっと色々あって服が汚れてしまったので、全部洗濯中です。あとシーツも。」

「え?汚れるって私は何を?」
やばい…思い出さないでください!!

「小悪魔さん昨晩の事はお酒の上での出来事です。忘れたままにしましょう。
 俺も調子に乗ってやりすぎました。俺も忘れるので、お互い忘れましょう。」
本当に、色々ありましたが、お酒の席の事ですし、あんな醜態は下手に思い出す必要も無いでしょう。
俺もあれだけお酒を飲ました責任がありますので、思い出してくれないほうが有難いです!

あれ?
小悪魔さんの顔が真っ青になったと思ったら、赤くなってきましたよ!?

まずい…これは…
思い出してしまったようです!!

「あの!?その、わ私は…」

「気にしないでください、最初はあの清楚な小悪魔さんが!?って驚きましたが今は気にしていませんから。
 まあ確かに、あの絡みかたとか凄くてもう…疲れちゃうぐらいでしたけど…」
ホントあの絡み酒っぶりには、ちょっと驚きました。

「あの、あの、あの…」
あー何だか顔を真っ赤にしてしまって…
なんというか、ちょっと悪いところばっかり言い過ぎたかもしれません。
何かフォローを入れるべきなのでしょうか。

「おかげで、俺もいい汗かけましたよ!
 それに、昨晩のような感じでパチュリー様に迫るのはいいと思いますよ。ああいう感じで迫っていったら、パチュリー様みたいに恋愛経験が少ない相手だったら上手くいくと思いますよ!!」

「えええええええええ!!!???そ、そういうものなのでしょうか…」

ちょっと強引なフォローだったか!?
でも、あのお酒の席ぐらいの押しの強さで迫っていけば、本当にパチュリー様を振り向かせることができるかもしれない。
なんといっても、あの魔理沙さんとパチュリー様がくっついたのは、魔理沙さんの押しの強さが原因だと思うんですよね。


「あの、ちなみに昨晩はどちらが誘ったんですか?私の記憶だとハニューちゃんのような気がするのですけど。」

どういうことだ?
最初にお酒に誘ったのは俺だろ?そのあとは、小悪魔さんが積極的に飲み続けてましたけど…
虫食い状態で記憶が抜けているのか??
「誘ったのは俺です、でもその後は小悪魔さんが積極的に…もう止まらないって感じで、明日の朝まで俺を帰さないってことまで言っちゃうぐらいでしたよ。」

「あうう…そう、そうなんだ…」


なんだか、小悪魔さんが考え込んじゃいました。
俺のフォローは、やっぱり無理があったのかなー?

「とにかく、もっと自分に自信を持ってください!みっともないって思っているのかも知れませんが、これも小悪魔さんを構成する一つなんですよ!
 昨晩の小悪魔さんも、今の小悪魔さんも俺は好きですよ。」


「昨晩の私も…本当の私…」

なんだか、ちょっと迷いが晴れたような顔をしてきましたよ!?
今度のフォローは上手く行きそうです!
「そうです!昨晩の姿も小悪魔さんの一面なんですよ!その一面を使ってパチュリー様を落とすべきです!!」


「でも、ハニューちゃんはそれでいいんですか!!!昨晩のことは忘れて、私がパチュリー様とくっつく事になってもいいのですか!!!!!」
おおう!?
いかにも、人への気遣いができる小悪魔さんらしい返し方だが、まさかこういう風に返してくるとは思わなかった。

まあ、彼女が居ない俺としては目の前でいちゃいちゃされるのは辛いですが…
店主の時みたいに応援してあげないとね。

「正直目の当たりにするのは辛いですけど、パチュリー様が好きなんですよね?応援しますよ。
 昨日の夜だって、俺に何度もパチュリー様パチュリー様って言っていたじゃないですか…」
本当に、昨日はパチュリー様の話ばっかりでしたよねー。


「!!私、そんなことを…ハニューさんに…
 私も馬鹿ですけど、ハニューちゃんも本当に馬鹿ですよ…」


ちょ!?
何でここで泣き出しちゃうの!?
さっきから、どうも小悪魔さんの行動が変だな??
まだお酒が抜けきってないのか!?




----------



さてと、この服でよかったようです。
小悪魔さんを部屋に返そうとしたのですが、服が無いので俺が小悪魔さんの部屋に行って服を取ってきました。

人の服って選ぶの苦手なんですよねー。



「それじゃあ、ハニューちゃん…私行きますね…
 このドアを潜ったら、昨日の夜のことは全て忘れて、またいつもの関係に戻りましょう…」

そんな、いくら吐いちゃってる所や泥酔した所といった恥ずかしい所を見られたからって、そんな大げさな。
別に、友人関係が壊れたわけでもないですし…
何だか妙に小悪魔さんが暗いので、ここはちょっと明るめに元気良く話しかけたほうがよさそうですね。
「そんな大げさにしなくてもいいよ、簡単に忘れることは出来ないけど、絶対に他言しないから。だからパチュリー様を絶対に落せよ!」


「馬鹿。それだけじゃ駄目です。私も幸せになってハニューちゃんも幸せにならなくちゃ駄目です!絶対ですよ!」

ええええ?
確かに、俺は幸せになりたいけど…
何で、小悪魔さんに抱き締められてるんだ!?

あれ?

何で顔を近づけてくるのですか????

このままではブチューっとしてしまいますよ!?
これは、うれ
じゃなくて、不味い!
小悪魔さん、キス魔になっちゃうなんて、これはやっぱりまだアルコールが残ってますね!

「駄目ですよ小悪魔さん。俺はパチュリー様じゃないんですから。大事なキスはパチュリー様にしてあげてください。」













小悪魔さん…
何も言わずに歩いていっちゃった…

うーん。
急にキスをしようとしたり、酔っている人の思考はわからないなー。














「「「ハニュー総帥おはようございます!」」」

お?
うちの班のメイド達が朝の挨拶に来ましたよ。
ハニュー総帥と呼ばれるのは、本来虐めの一環なので嫌だけど…
他のメイド達とは違い、少なくともこの子達は悪気が本当に無いみたいですから許してあげます。

「これは!?ハニュー総帥…こちらへ…」



「撃て!曲者だ!!」

ええ?
俺の部屋の出入り口のドアの影に弾幕を打ち込むってどういうこと!?

「痛っ!!ちょっと止めてください!!」

俺の部屋のドアの影から人が出てきたぞ???
あれ?美鈴さんじゃないですか。

「美鈴さん、どうしてそんな所に?」



「は、ハニューちゃん!ちょっと小悪魔さんの様子が気になって見に来ただけなんです!
 本当にそれだけなんです!私、何も見てませんから!」


(°д°)ハァ?
何を焦っているんだ??
私は何も見ていないって…

そうか!
小悪魔さんが泥酔したり、吐いちゃったりした話をしている所を見てしまったのですね!

「美鈴さん、このことは内密にお願いします。」

コクコク

何故無言で頷いているのか分かりませんが、美鈴さんは夜のお勤めのせいで居眠りが多い以外は真面目な人です。
だから、これで小悪魔さんのことをバラすことは多分無いでしょう。

「そ、それでは、私寝ますので~」

あれれ?
逃げるように、帰っちゃったぞ?
美鈴さん、そこまで気にしなくてもいいのに。





「ハニュー総帥?今のはいったい何のことでしょうか?」

確かに横で聞いていたら、気になる内容だよね。
でも、俺の班のメイドといえど、こればっかりは詳しく話せないな。
「ちょっと秘密を守ってもらう約束をしたんだ。」


「秘密ですか…。破ったときの罰の話をしていませんが、大丈夫なのですか?」


罰かぁ…
確かに、万が一喋っちゃったら、小悪魔さんが可哀相だなー。
でも、メイド長みたいにナイフを頭に突き刺すような、体罰的な感じのはやり過ぎだしな…
それに、罰って言葉がなんともトゲトゲしくて嫌だなあ、美鈴さんに嫌われちゃいそう…


そうだなぁ…
もし喋ったら、俺と小悪魔さんの飲みに美鈴さんは一晩付き合ってもらうってことにしましょうか。
美鈴さんにはガンガンお酒を飲んでもらって小悪魔さんの苦しみ(泥酔や、吐く恥ずかしさ)を身を持って知ってもらいましょう。
その姿を見たら、小悪魔さんもきっと美鈴さんを許してくれるでしょう。

俺がうまくコントロールしないと、小悪魔さんと美鈴さんがケンカになるリスクがありますが、これなら酷い罰って感じじゃないので美鈴さんを必要以上に怖がらせないでしょう。
まあ、美鈴さんみたいなタイプの人が「小悪魔さん吐いたんだってー汚いーキャハハハ」なんて言い触らすことは無いと思うので、ここまで考えなくても良いんですけどねー。

「わかった。美鈴さんに『もし喋ったら、オシオキとして美鈴さんを強制的に小悪魔さんと同じ状態にしちゃいますよー。』と伝えよう。」
これで、多分意味は通じるでしょう。
あんまり、詳しく喋ると、誰かに立ち聞きされていたら不味いですからね。


「ハニュー総帥。私が伝えにいきましょうか?」

簡単なお使いだから、お願いしようかな?
「それじゃ、お願い。」


「了解しました。」




side 小悪魔

眩しい…
朝?


あれ?私の部屋って地下にあるから、朝日なんて入ってこないはず…


この部屋…
私の部屋じゃない?


シャー…


この音…誰かがシャワーを浴びてる?




キュッ!キュッ!



トコトコ…



シャワーから出てきたのはハニューちゃん?
「ハニューちゃん?」

もしや、ここはハニューちゃんの部屋??


「おはようございます小悪魔さん、ちょっと運動をしたので汗を流していたんですよ。小悪魔さんもどうですか?」

????

「はあ…」
私は、何でこんな所にいるんでしょうか?


私は昨晩はハニューちゃんとお酒を飲んでいたはず…


その後は…


その後は?


何をしていたのでしょう?


ハニューちゃんは運動をしていたそうですけど…


運動?
こんな朝からする運動って???


「はい、小悪魔さんコーヒーをどうぞ。」


あ、良い匂い…
これで、少しは頭が働くかも…

「ありがとうございます。」



ハラリ…



え?



「キャッ!!!????
 ハニューちゃん!なんで私裸なんですか!?」

何で私、裸なの!?
何が起きてるの!?
私、まさか酔って自分で脱いじゃった!?


「ちょっと色々あって服が汚れてしまったので、全部洗濯中です。あとシーツも。」

「え?汚れるって私は何を?」
汚れた?
汚れたって何??
なんで汚れたの??
服や布団まで汚すなんて、私いったい何をしたの????


「小悪魔さん昨晩の事はお酒の上での出来事です。忘れたままにしましょう。
 俺も調子に乗ってやりすぎました。俺も忘れるので、お互い忘れましょう。」





振られた者同士の二人が酔いつぶれるまでお酒を飲んだ。
そして、忘れなくてはいけないような過ちをベッドの上で犯した。
その結果、服もシーツも洗わなくてはいけないぐらいに汚してしまった。

朝になり、私は裸で目を覚まし、ハニューさんは運動という何かの汗を流しにシャワーへ。
そして私達は、裸のまま二人でコーヒーを飲んでいる…












えええええええええ!?


これって、あれ?

私、ハニューちゃんと私が、エッチなことをしちゃったってこと!!!!????




体から、血が引いていくのが分かる…

でも、そんな記憶私には少しも…
だって、僅かに残っている記憶って…



・・・・・・・・・・

「あれ~?
 ハニューちゃん、ここは何処ですか?」

「何処って、俺のベッドですよ。」

「えへへ~なんでそんなところに~」

「そんなの決まっているじゃないですか。」

・・・・・・・・・・

「自分の体に聞いてみたらどうですか?こんなに汚しちゃって…」

・・・・・・・・・・

私の体を押さえつけるハニューちゃん。

「小悪魔さんは子供ですね!しっかりと教育してあげますよ!」

・・・・・・・・・・






やっぱり、私ハニューちゃんとやっちゃってる!?

そういえば、お酒を飲んでいる最中も、魔理沙より私の方を選ぶとか、私が素敵な女性だとか、私の出自がなんであっても受け入れる自信があるとか…
もしかして、私を口説いていたの!?

とにかく、詳細を聞き出さないと!!
「あの!?その、わ私は…」
駄目、緊張して上手く喋れない!?


「気にしないでください、最初はあの清楚な小悪魔さんが!?って驚きましたが今は気にしていませんから。
 まあ確かに、あの絡みかたとか凄くてもう…疲れちゃうぐらいでしたけど…」


「あの、あの、あの…」
そんな…気にしないって言われても、ハニューちゃんが驚くぐらい私は乱れていたの!?
しかも、ハニューちゃんが疲れぐらいって、私ってどれだけ激しくハニューちゃんを求めていたって言うの!?


「おかげで、俺もいい汗かけましたよ!
 それに、昨晩のような感じでパチュリー様に迫るのはいいと思いますよ。ああいう感じで迫っていったら、パチュリー様みたいに恋愛経験が少ない相手だったら上手くいくと思いますよ!!」


「えええええええええ!!!???そ、そういうものなのでしょうか…」

いきなり、何を言い出すんですか??
エッチなことを強引に迫れば、パチュリー様みたいな相手だったら簡単に落せるって????
しかも、それが可能なぐらい、私ってテクニックがあるっていうんですか!?

でも、そんなこと本当に私に可能なの??
話を聞く限りでは、私ではなくハニューちゃんが誘ったみたいだけど…
私からパチュリー様を誘って、パチュリー様を落すなんて、そんな積極的なこと私にできるとは思えない…
「あの、ちなみに昨晩はどちらが誘ったんですか?私の記憶だとハニューちゃんのような気がするのですけど。」


「誘ったのは俺です、でもその後は小悪魔さんが積極的に…もう止まらないって感じで、明日の朝まで俺を帰さないってことまで言っちゃうぐらいでしたよ。」


「あうう…そう、そうなんだ…」
私から積極的にハニューちゃんを求めて、朝までハニューちゃんを帰さないって言うなんて…
私ってそんなに淫乱だったんだ…

これってやっぱり…
認めたくないけど、私には淫魔の血が流れているってことなのね…

私の姿形から、私には淫魔の血が流れているとは想像していたけど、認めたくなかった。
認めてしまえば…
いや、正確には淫魔であることを知られたら、パチュリー様に嫌われると思ったから…


「とにかく、もっと自分に自信を持ってください!みっともないって思っているのかも知れませんが、これも小悪魔さんを構成する一つなんですよ!」
「昨晩の小悪魔さんも、今の小悪魔さんも俺は好きですよ。」

!!
自分に自信を持て?
淫魔の私を受け入れろって言うの?
そして、ハニューちゃんも淫魔の私も受け入れてくれるって言うの?

確かに、淫魔の私も私…
それが事実である以上、それを否定することなんて出来ない。
そして、隠していてもいずれバレるかもしれない…
だから、ハニューちゃんみたいに周りにそれを受け入れてもらうというのも、一つの解決策…
「昨晩の私も…本当の私…」


「そうです!昨晩の姿も小悪魔さんの一面なんですよ!その一面を使ってパチュリー様を堕とすべきです!!」
確かに…
私が淫魔としての力を受け入れ、それを最大限に発揮すれば…
ウブなパチュリー様なんて簡単に堕とすことができる…
魔理沙なんか、簡単に忘れさせることができる…

バレて嫌われるのを恐れるより、積極的にこの力を使ってパチュリー様を堕としてしまうほうが、うまくいく可能性がある。
どのみち、私が嫌われなくても、このままでは魔理沙にパチュリー様を完全に奪われてしまう…
ハニューちゃんは、一晩を共にして私が淫魔だって分かったから、それを受け入れてパチュリー様を堕としたほうが私のためになるとアドバイスしてくれているのね。

でも、それでハニューちゃんはいいの?
大ちゃんさんと別れたというのに、ハニューちゃんは一晩とはいえ体と心を一つにした私も失うことが辛くないの?
それとも、同情で私を抱いたの?
私と傷を嘗めあうのは嫌だというの??
教えて!
「でも、ハニューちゃんはそれでいいんですか!!!昨晩のことは忘れて、私がパチュリー様とくっつく事になってもいいのですか!!!!!」

なんで、そんなに困った顔をするんですか?
やっぱり、同情で私を?

「正直目の当たりにするのは辛いですけど、パチュリー様が好きなんですよね?応援しますよ。
 昨日の夜だって、俺に何度もパチュリー様パチュリー様って言っていたじゃないですか…」

!?
「!!私、そんなことを…ハニューちゃんに…」
ことの最中に、相手がハニューちゃんなのに、パチュリー様の名前を読んでいたなんて…
私、なんて残酷なことを…
だから、ハニューちゃんは私を諦めて、私とパチュリー様の関係を応援する気になったのですか…

なんで、そんな辛い道を選ぶんですか…私の思いより自分の思いを優先して強引に私を奪ったらいいじゃないですか…
なんで私も、そのハニューちゃんの思いやりを蹴って、ハニューちゃんを選ぶことが出来ないんですか…
「私も馬鹿ですけど、ハニューちゃんも本当に馬鹿ですよ…」

本当に、私もハニューちゃんも馬鹿ですよ…

なんで私達、すれ違ってしまったんでしょうね…
私達、出会う順番が違っていたら、もしかしたら…



----------



ハニューちゃんの部屋から出たくない…
そんな思いが私の気持ちを重くする。
「それじゃあ、ハニューちゃん…私行きますね…
 このドアを潜ったら、昨日の夜のことは全て忘れて、またいつもの関係に戻りましょう…」
そう、このドア潜ったら、私達の関係は無かったことになる。
それは、いつもの関係に戻るだけのこと…

それなのに、気が重い…

「そんな大げさにしなくてもいいよ、簡単に忘れることは出来ないけど、絶対に他言しないから。だからパチュリー様を絶対に落せよ!」

冗談めいた雰囲気で明るく私を送り出そうとするハニューちゃん。
演技めいているのは、ハニューちゃんも辛いと感じているからかな…

でも、それじゃ駄目。
私達は、本当に好きな人の所に向かわないといけない。

「馬鹿。それだけじゃ駄目です。私も幸せになってハニューさんも幸せにならなくちゃ駄目です!絶対ですよ!」

ハニューちゃんありがとう。
でも、私の事ばかり考えては駄目なの、ハニューちゃんも幸せにならなくてはいけないの。
私はパチュリー様を堕とすから、ハニューさんは絶対に大ちゃんさんとの関係を修復させて…


だから、これが最後…
私が一晩だけの恋人としてハニューちゃんにしてあげられる最後のこと。
これで、お互い全てを忘れよう、ね。

「駄目ですよ小悪魔さん。俺はパチュリー様じゃないんですから。大事なキスはパチュリー様にしてあげてください。」


!?


どこまで、バカ正直に私に優しいんですか!!
ここまで私のことを考えて、徹底して身を引くなんて…

はっきりいって、異常すぎますよ…

そんなに、一晩で私の事が好きになっちゃったんですか?

そんな姿を見せられたら…忘れられなくなっちゃうじゃないですか…




私決めました。
もし私がパチュリー様に飽きたら、その時は覚悟しておいてくださいね。

ハニューちゃんが嫌と言っても、絶対に私のものにしてあげますから!






side 紅 美鈴

ハニューちゃんが、ここまで大人な妖精だったなんて凄くショックです。
ジオンの総帥なので、普通の妖精より大人な妖精だって知っていましたけど…


まさか、小悪魔さんとハニューちゃんが一晩だけの関係を持ったなんて…



湖の上で、いつもの6人組で遊んでいる姿は、普通の子供という感じですから…
咲夜さんが言う「ハニューは何時も演技をしているわ、表面から見えるハニューを信じては駄目。」という話はデマだとばっかり…








「門番長。よろしいですか?」

ハニューちゃんの所のメイド…?

「ハニュー総帥から伝言です。もし喋ったら、オシオキとして美鈴さんを強制的に小悪魔さんと同じ状態にしちゃいますよー。とのことです。
 理解できましたか?」


な、なんですかそれは!?
私が喋ったら、小悪魔さんと同じ状態ってどういうオシオキなんですか??

まさか、小悪魔さんみたいに、ハニューちゃんとちょっといい感じになっちゃうとか!?
それとも、もっとストレートに、ハニューちゃんに無理やりされちゃうとか!?

そんな、そんな無茶苦茶なオシオキ、咲夜さんですら思いつきませんよ!?

「本当に、そんなことを言ったのですか!?」



「はい。これはハニュー総帥の意思です。何か問題が?」

本人が来ないってことは、異議は認めないってことですよね…
とんでもないことに巻き込まれてしまいましたよ!?




でも、本当にどんなオシオキになっちゃうのでしょうか?
最近、咲夜さんのオシオキにも飽きて来たのでちょっと期待 ゲフン! ゲフン!



私、いつからこんな馬鹿なことを考えるように!???




side ミスティア・ローレライ

これは一大事よ!
皆を集めて、大ちゃんとハニューちゃんの関係修復のための会議を開かないといけないわ!



[6470] 第十三話 死亡フラグが立った!立ったよ!
Name: pzg◆1036bac0 ID:601741ee
Date: 2009/09/24 18:14
第十三話
死亡フラグが立った!立ったよ!


・モビルスーツザク開発記録 2ページ目 記録者 河城 にとり
本日より、ハニュー氏直属の妖精メイド達がモビルスーツザク開発の応援に来ることになった。
妖精がどれほど役に立つのか心配だったが、ハニュー氏直属の妖精メイド達は他の妖精とは違うようだ。

彼女達は規律が取れ、各個人の能力も通常の妖精を大きく超えていた。
そして何よりも、職務に対して高い意欲を持っていたのだ。

そう、彼女達はエリートだったのだ。
ハニュー氏やルーミア氏から戦闘の手解きを受け、「博麗霊夢迎撃戦」と呼ばれるあの戦闘でも、博麗霊夢の退路を断つ等、重要な役割を演じていたそうだ。
だから、有能であるのは当たり前だといえた。

しかし、なぜ妖精でありながら有能なのか?
更に言えば、なぜ妖精らしくないのか、私はそういった根源的な理由が知りたくなった。
これは私が技術者だからだろう。



なぜ妖精でありながら妖精らしくないのか?そう問いかける私に彼女達は次のように答えた。

「妖精という檻を自ら作り、それに入っていることが当たり前だと思っていた私達に、ハニュー総帥が自らの力でそんな檻など打ち壊せると見せてくれたからです。
 私達もやればできるんだって、希望を与えてくれたんです!だから私達はハニュー総帥と共に歩みたいと思い、そのためにも妖精らしさという固定概念を捨てたのです!」

奇しくも、ハニュー氏のカリスマとはどういうものなのか、何故多くの妖精達から支持を集めることができたのか、その一端を私は知ることができたのだろう。



・モビルスーツザク開発記録 25ページ目 記録者 河城 にとり
徐々に、動員される妖精メイド達の数が増えてきた。

私にこれほどの人員を捌くことができるか心配だったが、最初に派遣されてきた妖精メイド達が班長を務めてくれたため、問題は起きていないようだ。

そして、これら妖精メイド達のマネジメントで、予想以上の働きを示しているのがルーミア氏だ。
失礼ながら、当初彼女の能力には不安を感じていた。彼女は見た目も口調も、あまりこのような頭脳労働は向いていないように見受けられたからだ。
しかし、ハニュー氏の側近だけあって彼女も只者ではなかった。

彼女が非凡な妖怪であることに気が付いたのは、彼女に資金面での相談を持ちかけたときだった。
彼女は、紅魔館の主から各メイド達に供給されている小遣い及び一部のメイド達にのみ出されている給与を、そのままジオンの活動費に換えるシステムを作り出してしまったのである。

作り上げられたシステムは、お茶菓子代として一部のメイド達とお金をプールしていたシステムを、明確にジオンの活動費として規定し構成員から任意で金銭若しくは同等物(労働力を含む)を徴収するというものだった。
システム自体は簡単なものだったが、このシステムを相談を持ちかけたその日の間に構築してしまった所に、彼女の非凡さが現れていると言えるだろう。

元来妖精達はお金への執着が薄いため、このシステムによる資金調達は上手くいっているようである。
また、ハニュー氏への忠誠の高さを表すために、収める金額を競い合う狂信的な者もいるとのことで、既に想定していた徴収額を上回りつつあるそうだ。


これほど優秀な彼女が、これまで⑨扱いだったのは何故だろうか。










ルーミアが⑨に見えたとは失礼な話なのだー



・モビルスーツザク開発記録 26ページ目 記録者 河城 にとり
ルーミア氏に確認したところ、以前のルーミア氏は確かに⑨だったそうだが、今は⑨では無いとのことだった。
何故変わったのか、本人もその原因は分からないとのこと。
博麗霊夢迎撃戦の何十日か後に、突然頭の中の霧が晴れてきたが如く頭が回るようになってきたそうだ。

少なくとも何十年も⑨として扱われていたルーミア氏が、ハニュー氏と出会い僅か数ヶ月で⑨を脱した。
これは偶然なのだろうか?


・モビルスーツザク開発記録 85ページ目 記録者 河城 にとり
紅魔館以外の妖精達の間でも、ジオンへの加入を希望する者が増えているようだ。
これらの多くはジオンに加入することにより、自らの安全を確保しようとする者達である。

ジオンに加入することにより、提供されるジオン徽章。
これを着けた者はジオンに所属する者であることを示す。

誰の目にも分かる所にジオン徽章を着け、ジオンに所属することを示す。
そのことが、妖精達の安全を保障することになっている。
ジオンに所属する者を攻撃した場合、ジオンという組織を敵に回すだけではなく、博麗霊夢と八雲紫の二人を同時に撃退したハニュー氏を敵に回すことになるからだ。


組織が拡大することは歓迎すべきことだと考えていたが、そう思わない者達も居るようだ。

特に、ハニュー氏と共に博麗霊夢迎撃戦を体験した者達はこの事態を憂慮しているらしく、新人への研修の実施、親衛隊の発足等を行うといった行動を取っている。
どうやら彼女達は、ハニュー氏の掲げる崇高な理念が、自らの安全しか考えない者達によって汚され捻じ曲げられるのではないかと懸念しているようだ。


・モビルスーツザク開発記録 135ページ目 記録者 河城 にとり
本日、コンセプトシミュレーターが完成した。
これは、モビルスーツザクを開発するに当たり、何が必要で何が必要ではないかを調べるためのものである。
これまで、装甲の開発、センサーの開発など、パーツレベルでの研究用試作機の製作は着手されているが、具体的にどこまでの性能を求めるかという問題が抜けていた。

つまり、どの点に重点を置けば最も高い戦闘力を発揮するか、まったく分からない状態だった。

実の所、ここ数ヶ月この問題が最も大きな障害となっていたのである。
しかし、仮想空間上でモビルスーツザクを運用することにより、コンセプトを固めることが可能になったため、もはや解決されるのは時間の問題といえるだろう。

また、将来的にはコンセプトシミュレータを使った、パイロットの育成も開始する予定である。


・モビルスーツザク開発記録 179ページ目 記録者 河城 にとり
本日より、パイロットが搭乗してのコンセプトシミュレーターの運用を開始した。
パイロットは、親衛隊のメンバーが務めることになった。
これは、パイロットはモビルスーツザクの性能に直接アクセスできるため、機密保持を考慮した結果である。


・モビルスーツザク開発記録 187ページ目 記録者 河城 にとり
「状況 か-20」
本日終了した、コンセプトシミュレーターにおける、対人掃討戦を想定したシナリオである。
このシナリオは、ゲリラ化した敵兵を掃討することが目的で、掃討まで約26時間も掛かった。
しかし、彼女達はその戦闘を「楽しいから」「ハニュー総帥のために」という二つの理由で不眠不休で乗り切ってしまったのだ。

理想的な兵士とは何か?その答えの一つが妖精なのだと私は今、確信している。
本来、妖精は食事・睡眠を必要としない。
そして、死ぬことも無い。
つまり、武器が使用可能である限り、妖精は永遠に戦い続けることができるのだ。

もちろん、妖精にはデメリットもある。
弱さと、その気質だ。
しかし、モビルスーツザクとハニュー氏の力によってデメリットが解決されつつある今、妖精は最強の存在に変容しつつあるのだ。


私はハニュー氏が妖精を中心にジオンを結成したのは、自らが妖精であるからだと考えていた。
その考えは改めなくてはいけないだろう。
ハニュー氏は、妖精の兵士としての優秀さを理解していたから、妖精を中心にジオンを結成したのだろう。


・モビルスーツザク開発記録 290ページ目 記録者 河城 にとり
流石ハニュー氏と言った所だろう。ハニュー氏の考えたキャッチフレーズの効果はすばらしいものがある。
転生してしまえば、これまで蓄えた全ての知識を失ってしまう冥界の幽霊達。
そんな彼らにとって、その知識を活かし残せる最後のチャンスを与えられるというのは大変魅力的に写ったようだ。
そのためか、亡霊や悪霊、幽霊でも人格が壊れかけているものなど、組織に適応すること自体が困難に思える者達も応募してきているようである。

この事態を受け、ルーミア氏を中心として、専門部署である採用・組織改変検討委員会が設置された。
しかし、あまりの応募数のため、それでも人員の選定及び配置にかなり苦慮しているように見受けられた。
ルーミア氏には悪いが、人手不足で苦しんでいる我々としては嬉しい悲鳴といえるだろう。

人員の調達は、元技術者・元研究者・元軍人を中心に行われ、その他にも元経営者・元行政経験者等幅広く行われているようだ。
彼らは順次ジオンの各組織に配置されモビルスーツザクの開発に参加している。
彼らの力により、モビルスーツザクの開発計画は大きく前進することになるだろう。

そして、ジオンの組織力は幻想郷屈指のものとなるだろう。


・モビルスーツザク開発記録 292ページ目 記録者 河城 にとり
単純に数が多いため、人員の選定に苦慮しているという訳ではないようだ。

ルーミア氏によると、『ジオンが外の世界と戦争を起こす可能性がある組織であることを、明かしても問題ない人物か。』
『ジオンの実態を示したうえで協力が得られる人物であるか。』
という点を考慮しつつ選定を行うところに、最も苦労しているとのことだった。
確かに彼らの故郷は外の世界であり、場合によれば自分の成果が故郷に牙を剥くこともありえるのだ。


ジオンに入るためには、上記のような特殊な条件を潜り抜ける必要があるため、採用された幽霊達は何らかの強い動機がある者達が多いようだ。

・モビルスーツザク開発記録 298ページ目 記録者 河城 にとり
何故モビルスーツザクが人型兵器なのか。
その点について、本日は講義を行った。

これは外の世界出身である幽霊達から、人型兵器は非効率であるという意見が多発したからだ。

確かに、科学的見地だけで考えれば、人型兵器にはデメリットが多すぎる。
前投影面積が極めて大きい問題。
魔法の補助が無ければ、自重で自立することすら困難な問題など数多い。

ではなぜ、ハニュー氏が人型に拘り、私がそれを受け入れたのか。
それは、新たなドクトリンに最適化した結果であると同時に、人型であることに意味があるからだ。

前者は幽霊達にとっても理解しやすい内容だったが、後者を理解させることには苦労した。
前者は科学的な知識で理解できることであったが、後者は魔法技術に馴染が無い幽霊たちにはあまりにも突飛な内容だったからだ。

何故私達妖怪や、ハニュー氏妖精達が人型を取っているのか、それには意味があると言われている。
人型である理由については諸説あるが、その一つに魔力を使う場合において最も都合が良い(効率的)な姿が人型だからだという説がある。
この説が正しいかどうかは分からない。ただし、魔力という観点から見ると人型が極めて効率が良いといのは紛れも無い事実なのである。

つまり、魔力を使う前提なら人型兵器が効率的な兵器となり、モビルスーツザクも人型兵器となったのである。


・モビルスーツザク開発記録 303ページ目 記録者 河城 にとり
本日、モビルスーツザクの開発計画に、新たな仲間が加わった。アリス・マーガトロイド、魔界から来た魔法使いである。
彼女は、友人であるハニュー氏に自分が何かしてあげれることは無いか?と考えここに来たとのことである。
まさに、渡りに船とはこのことだろう。彼女は、魔法のエキスパートなのである。
彼女は人形遣いとして知られているが、その実態は汎用的な魔法使いだったのである。
彼女の登場で、モビルスーツザクの開発は大きな転機を迎えることになるだろう。


・モビルスーツザク開発記録 304ページ目 記録者 アリス・マーガトロイド
本日より、ジオン技術部に魔法課が設置され、責任者としてアリス・マーガトロイドが就任した。
以下に重点項目を書く。

① 本日の会議によって決定した今後の計画について
 
 1 魔法技術の全面導入による、モビルスーツザクの再設計を行う。
 
   上記を実現するため魔法課として以下の点を重点項目として設定する。
  A 小型化に難航している、核融合炉への魔法技術の導入。
  B 構想段階で開発が頓挫している、魔力トランスリューサーの開発。
  C ナノマシン制御とは別アプローチになる、魔法技術によるハニュー式ステルスシステム(対外向け欺瞞用名称ミノフスキー粒子)の開発。
  D AI制御型魔方陣起動システムの開発。

 2 魔法課の拡充を行う。

   魔法技術、人員共に不足しているため、以下の対策を採る。
  A 魔界への技術アドバイスの依頼。
  B 人員の採用。

② その他

 1 私の就任について、事後承諾になるがハニュー総帥へ河城にとり技術部長と共に報告に向かう予定。


・モビルスーツザク開発記録 305ページ目 記録者 河城 にとり
私が固い書き方をする癖があるため、アリスさんが真面目に書きすぎてしまいました。
アリスさん。こんなに真面目に書かなくてもいいんですよ。
思ったことを、思うままに書いていてもいいですよ。
私の文章をよく見てもらえれば分かると思いますけど、文法や文体がかなり統一性が無くて滅茶苦茶でしょ?
あと、量に関しても、毎日必ず書くと決まっているものでも無いですし、ページをどれだけ使うのかということも決まっているわけでは無いですから。

といっても、私がこんな固い書き方をしていると、書きにくいですよね。
それに、記録を取るために始めたものが、いつの間にか実質的に日記になってますよね、これ。
日記として見た場合、私一人で書いていた時は良かったのですが、二人で同じ所に日記を書くって変ですよね。


実は最近、後方部が大事な記録を残し始めているんです。
だから、この機会にこれは日記にしようかと思います。

ということで、アリスさんの分も用意しました。
これと一緒に入っている赤色のやつがアリスさんの分ですから、個人的に書き残したいことがあったらそちらを使ってください。
今後は皆に見せる必要がある記録があった場合は、後方部の書いている記録に残すようにしましょう。


ということでルーミアさん、今後はあまりこちらを覗き見しないでくださいね?


・モビルスーツザク開発記録 306ページ目 記録者 ルーミア
        ,. '"´ ̄ ̄`"'' ヽ、/ヽ、__
       /          //`ー∠
     /     ,      ヽ!_/ヽ>
      i / i !__ ハ ハ-‐i- 「__rイ´',  そーなのかー
      ! i  /.ゝ、 レ' /ハ |/   .i
     レヘ/ i (ヒ_]    ヒ_ン ) ! |   |
      | !7""  ,___,   "" | .|   |
       .| 人.   ヽ _ン   .|  |  i |
      レヘハ>.、.,___   ,.イヘ,/ヽ.ハ/





・モビルスーツザク開発記録 307ページ目 記録者 河城 にとり
               /   /
              <    <
             /  /  スルーします
             _/_  
        -=ニニi百i〈三ニニニ=
        -=ニニ 凵_〈三ニニニ=
             ///
             //〈_
            ,Ll/`ヽ
           /二|___|
       _,,....-'´─-<::::::::`゙':.、
      ,:'´:::::::::::::::::::::::::::::\:::::::::::\
    /!::::_;;:: -──-- 、:;_::ヽ;:::::::::;>- 、
   / ,rァ'´          `ヽ!:::ァ'    ,ハ
   | '7   / ナト /!   ハ  i `O      |
   ヽ|  ! /--  |_,/--ト/!  |     イ
    |__|,.イ(ヒ_]    ヒ_ン ) ト、_ハ、     \
     /`|/""  ,___,   "" | |  \ ヽ   ヽ
      !/i、   ヽ _ン    ,ハ/  ノ´`ヽ!   ノ
     〈 ,ハ,>、       ''/ 八 (   | /
     ∨´\/!`>‐rァ / _//`ヽ)  レ'´
      ノノ´  |/!/レ'´レ'´ヽ‐-、´   (|




・モビルスーツザク開発記録 310ページ目 記録者 河城 にとり
本日は、ジオンの組織の変化について、後方部を例にして書く。
現在ジオンは、技術部・作戦部・後方部・総帥部の四つの組織に分かれている。

技術部 モビルスーツザクを初めとする各種兵器の開発を行う部門。
作戦部 実動部隊。
後方部 技術部・作戦部の支援を行う部門。
総帥部 ハニュー氏をトップとする最高意思決定機関。

後方部は、当初私のお使いや食事の準備をしたりする、特に名も無い部門だった。
しかし、幽霊達を迎え入れたことにより、その役割を急速に変化させつつあった。

ことの始まりは、生前商取引に関わっていた幽霊達から、独自の収入源による資金調達の必要性と、各方面への積極的な懐柔工作を提案してきたことだった。
この提案に対し、私の一存では決められない案件だと私は判断した。

これは、幽霊達がジオンに参加して以後、その幽霊達の活躍により急激にジオンの組織としての性質が変化し始めていると感じていたからである。
トップダウンのみで動く組織から、ボトムアップでも動く組織へ。
ハニュー氏の介在無く、自らより強く大きな組織へ進化する組織に変化し始めていたのだ。

ハニュー氏に判断を仰がないまま、このような変化をこのまま放置していいものなのか私は迷ったのだ。
よって、私はアリス氏と共にハニュー氏の所に伺った際に、ハニュー氏にこの件について判断を仰いだ。

「問題無い…全てはシナリオ通りだ。」

これがハニュー氏の回答だった。

ハニュー氏はこの状況を全て予想していたのだった。
ハニュー氏は恐らく組織の強化には、このような状況が必要であると判断した上で、幽霊達を招き入れたのだろう。

早速、後方部に営業課が設置され、積極的な営業活動を行う予定である。
また、妖怪の山への懐柔工作が開始されることになるため、妖怪の山に秘匿されている外の世界との接点『穴』の使用許可が降りることが期待されるところである。




追記

ハニュー氏は、ジオンでの活動について、命を賭けていることが分かった。
いや、命を奪われるか、それと同等の状態になる可能性が高いと考えていることが分かった。



ハニュー氏は、ルーミア氏に自分が居なくなった時のために紙袋を預けた。
その時ハニュー氏の発言した内容は、明らかに遺言だった。

死なない妖精にとって、遺言など必要無いはずである。
しかし、ハニュー氏は自分が死ぬのではなく、居なくなるという表現を使っていた。
恐らくハニュー氏は将来、自分の身が死ぬことと同意義とも言える状態に陥る可能性が高いと考えているのだろう。


ハニュー氏が描こうとしている世界の未来がどのような姿なのか、その全てを知っている者はハニュー氏しかいない。
しかしこれまで発言や行動から、八雲紫と博麗の巫女による幻想郷の支配体制を覆す大変革を幻想郷に起こし、来るべき外の世界(もしくは別の何か)からの攻撃から幻想郷を守ろうとしているのは間違いない。

判明しているこの二点のみでも、彼女の身に何かが起こる可能性は十分であるといえるだろう。

アリス氏はそんなハニュー氏を止めたいと思っているようだ。
彼女の気持ちは分かる。
しかし、ハニュー氏の決意を変えることはできないだろう。
だから私と同じくアリス氏も、ハニュー氏のために自らの職務に全力を傾けるしかないのだ。



・モビルスーツザク開発記録 313ページ目 記録者 河城 にとり
ハニュー氏から、ミニ八卦炉の設計図等の情報が提供された。
先日の会見時にお願いしていたことだったが、これほど容易に入手できるとは驚きである。
ハニュー氏によると、深い友人関係により成し得た結果だとのこと。
ハニュー氏の幅広い人脈はどこまで広がっているのだろうか。

ミニ八卦炉、魔力を物理エネルギーに変換するシステム。
このシステムを解析し、核融合炉から魔力を生成するシステムを開発する。
このシステムが完成すれば、モビルスーツザクはあらゆる状況下で大出力の魔力を発揮することが可能になる。


モビルスーツザクが外の世界の軍事力を圧倒できる兵器となるか、その成否がこのシステムに懸かっているといえるだろう。






side 元研究者だったとある幽霊


私が生きていた世界に未練はあるか?
未練があるのなら、どういったものなのか?



延々と続く質問。

その質問の最後に出された一つの問い。




「私達は、幻想郷と私達の未来を守るための兵器を研究開発しています。そのために、あなたの知識を貸してください。」





その問いを受けたとき、私は少し考え、気が付いたら頷いていた。


私の身内と言える人達は全て、私と同じく生きた存在では無くなっていた。
私の生きた証と言える研究成果も私の死と同時に失われていた。

私には何も未練は残っていなかった。
何も残すことができなかった。

だから、何かを残したかったのだ。






もしかしたら、転生した自分に、自分が開発に関わった兵器が襲い掛かってくるかもしれない。
そんな心配が頭を過ぎったこともあった。
でも、そんなことは気にしないことにした。

昔の自分と今の自分が同じ自分であると認識できるのは、そこに連続する記憶があるからだ。
記憶を失ってしまう転生後の自分は今の自分と同じ自分ではない。

今の自分は、転生により完全なる死を迎えるのだ。




完全なる死を迎えるその日まで、私が生きた証を残していきたい。
そう願い、私は今ここに存在している。




side 元軍人だったとある亡霊

私の祖国には色々と問題があった。
だが、私にとってはそれでも守るべき祖国だった。

しかし私は戦死し、祖国は別のものになってしまった。

無念だった。

この身を亡霊と変えても、その無念さが日々私を苦しめていた。

そんな私に転機が訪れた。
ある日、無念さから気を紛らわそうとして、ジオンという組織の協力者を集める試験に参加したのだ。


多くの質問を受け、その最後に出てきた言葉に、私は失ったはずの心臓が高鳴るのを感じた。

「私達は、幻想郷と私達の未来を守るための兵器を研究開発しています。しかし、私達には軍隊を組織し運用するノウハウが足りません。
 あなたは亡霊で本来は採用したら不味いのですが…高官として実戦を経験したあなたの力が我々にはどうしても必要です。どうか私達に貸してください!」

武器など持ったことも無さそうな少女達が、侵略から故郷を守るために兵器を開発し、それを運用する軍隊を組織しようとしている。

私はその姿に、祖国の姿を重ねてしまったのかもしれない。

いや、それだけではない。

他国を侵略できる程の余力がある国は限られている。
だから、少女達の敵の中に私の祖国を奪った敵がいるかもしれないと思ったのだ。


私は同情と復讐、その二つの思いに突き動かされ、少女達を教育することにした。


しかし、私だけの知識・能力では不足していることは明らかだった。
冥界を回り、私の部下や同僚達。そして、同じような思いを持つ同業者達を探しに行く予定だ。
もっとも、信仰の問題があるため、どこまで協力を得られるかは分からないが。





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花見ですかー。
何やら博麗の巫女がお嬢様に会いに来たと思ったら、奴の家で第十回目の花見を行う予定だそうです。

なんでも、桜の花が咲いて以来、花見という名目で宴会しまくっているとのこと。

桜の花が咲いてからもうかなりの時間が経っているので、どう考えても葉桜になっていると思うのですが、そんなことは気にせずにお嬢様とメイド長を誘いに来たようです。
桜が散ってしまっているのに花見とは、それはちょっとおかしいだろ…

そんなに宴会がしたいとは、もしかしてアルコール中毒なのか?


それはともかく、博麗の巫女の家でお花見ですか…

これは行くべきでしょう!
ゲンソウキョウを管理する側である博麗の巫女の家なら、きっとゲンソウキョウ脱出のヒントが見つかるはずです。
ちょっと前にゲンソウキョウ脱出を諦めたような気がしますが、低リスクでヒントが見つかるならやるべきです。

といっても、どうやってお花見に行けばいいんだ?
勝手に行くと…
それを理由に殺されかねん。


ここは、真面目にお願いすべきなのかなあ?
博麗の巫女が帰る時に、お願いしてみるか。


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「あーすみません。ちょっといいですか?」

「なによ?まさかあなたも花見に行きたいって言うの?」

うわ、怖!
なんだか凄く睨まれてますよ。
まあ、凄く嫌われているから仕方が無いのですが…

「別に無理にというわけではないですよ。そんなに花見には興味ありませんし…でもちょっと行ってみたいかなーと思って。」

しまった!?
怖くて思わず本音が出てしまいましたよ!

「なによそれ…あなた、花見に行きたいとか言いながら、本当は何か企んでいるんじゃないの??怪しいわね?」

やばい。凄く怪しまれていますよ。

というか、本当に花見がしたいのか怪しいのはそっちだろ!?
花見を名目にして、宴会を企んでいるだろうに…

こういうときは、クレーム対策のテクニックその1。
相手に質問をして、会話の主導権を取り戻すのだ!
リスクがあるテクニックだけど、このままだと説得に失敗しそうなので、やってみる価値はありそうです。

「そっちこそ…花見がしたいという言葉…何か間違っているんじゃないですか?
 本当は、花見がしたい訳じゃ無いですよね?」


「!?」


あれ?
何だか困惑した感じの顔になってしまいましたよ?

これは上手く行ったということなのか??

とにかく、このまま会話を進めて、一気に話を決めてしまったほうが良さそうです。
下手に博麗の巫女に考える時間を与えてはこちらが不利です!

「とにかく、常識的な金額までですけど、ちゃんと会費は出します。もちろん連れて行く人数分です。ですから参加させてください。」


なにか考えている…

いや、何故か博麗の巫女がニヤニヤしだしたぞ?








「わかったわ。参加を許可するわ…何か書くもの持ってる?」

よかった、なんとか参加許可が貰えるみたいです。



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なんとかOKしてもらえたー。
この通り、殴り書きですが参加許可証(というより唯の案内状)もバッチリです!

ん?

ジオン御一行様!?

あれ?
一人で行くのが怖いから複数人で行くようなことを言ったけど、なんでジオン御一行様になってるの!?

そうか、そうか。
何人で行くか俺が言ってないからか。
こういう書き方だったら、ジオンという扱いになっているメンバーなら誰でも参加できるってわけね。
ルーミアとか大ちゃんとかも一応ジオンってことになってるみたいだし、これなら皆で参加できますね。

ジオンという何やら訳の分からない遊び上の組織が、初めて役に立ったような気がしますよ!

あれ?でもそれだったら、普通に『ハニュー御一行様 何名様でもOK』とか書けばいいんじゃないか??
もしかして、俺がジオンのことで虐められているのを知った、博麗の巫女からの嫌がらせってこと無いよね?

そうだよね!?








「そうだよねルーミア?これって嫌がらせじゃないよね??」


「is that so~?」


い?? ざっ…??????

お前は何を言っているんだ???
凄く馬鹿にされた気がするのは、気のせいか?


まあ、気を取り直してよく読んでみるか…

会費は、一人当たり…
全然大した金額じゃないね。

あとは…



注意事項?

『参加者は各自お酒や食べ物を持ってきてください。
 ジオン御一行様はこの紙を提示することにより参加が許可されます。
 なお、この紙を提示すると同時に参加料支払いの義務が発生します。
 守らなかった場合は夢想封印よ!!』


なんだか妙な注意事項だな。
随分と金に執着してるような…

でも、ゲンソウキョウを管理する側の博麗の巫女が、ゲンソウキョウ内の通貨を欲しがる理由が無いしなあ。
どういうことだ?

となるとこれには他の深い理由が…

駄目だ意味がまったく分からん。





あれ?
そういえば、文章以前に何だかこの展開って変だろ!?







よくよく考えてみたら、博麗の巫女が花見をするということ自体がありえないことじゃないのか?
ゲンソウキョウを力でコントロールする博麗の巫女が花見をして何か得があるのだろうか?


そんなものは無…
違う。
常識の囚われたら駄目だ、得があるからこそ博麗の巫女は花見をするのだろう。
となると…
花見をすることにより、そこで起きる何かが博麗の巫女の得に繋がると考えるべきだろう。



こういう場合は、博麗の巫女にとっての得とはどういう概念のものかを考えたほうがいい。

博麗の巫女の得とは何だ?

欲望を満たすこと?
いや違う、戦闘マシーンである博麗の巫女に欲望など本来無いはずだ。
あるとしたら、先日の虐殺のように強烈な破壊衝動ぐらいだろう。
しかし、破壊衝動を満たすためとしては…
あまりにも回りくどい…
となると、欲望ではない…

そうか、博麗の存在意義である、彼女の任務にとって得があるということか…


博麗の巫女の任務は何だ?

生物兵器の実験場であるゲンソウキョウを正常に管理運営するために、その障害となる生物兵器を抹殺すること。


花見をすることによって、その任務に何か進展があるか?


ゲンソウキョウの住人と親交を深めることにより、ゲンソウキョウを安定させる?

いや、これはおかしい。
生物兵器の実験場であるゲンソウキョウでは、適度の激突が必要だ。
酒を飲み交わすほどの親交が必要とは思えない。


では何か他にあるのか…
そうだ、一つある。
情報収集だ。

例えば、お酒と称して自白剤を少々混ぜたお酒を参加者に飲ませれば…
ゲンソウキョウに張り巡らされていると思われる監視センサーでは捕らえられない、心の内面まで知ることができる。
感情を持つ兵器である、ゲンソウキョウの住人達を心の内面を知ることは、兵器としての信頼性を確認するうえで大切だ。
しかも、ゲンソウキョウを運営する側としては、ゲンソウキョウの住人の心の内面を知ることは、無用な混乱を未然に防ぐ有益な情報を得ることに繋がるはずだ。


では、何故こんな面倒な方法を?
直接一人ひとり捕らえて自白剤を飲まるという方法もあるはず…


いや、そんな強引な方法では駄目だ。
最初は上手く行っても、騒ぎが大きくなりいずれ上手く行かなくなる。





くそ!

全ては博麗の巫女の手のひらの上って訳か!
花見という平和的な言葉を出しておきながら、その裏では冷徹な計算が働いていたなんて…
博麗の巫女め…やはり恐ろしい奴だ…




しかし、こんな怪しい花見によく皆平気で行けるよな。
そうか…

ゲンソウキョウの住人達は自分達が生物兵器であり、ここが生物兵器の実験場だとも知らないんだったな。
広い世界を知らないから、自分達がどれだけ異常な状態に居るか理解できないんだろう。

きっと、ゲンソウキョウのちょっと手荒でアル中な警察官の所で花見をするとしか思っていないんだろうな。
中には生物兵器のカテゴリー名を勘違いして、ゲンソウキョウは妖怪や妖精達の住まう秘境で、そこを管理する巫女の所でお花見だー、と斜め上なことを考えている奴もいるかもしれん。

かわいそうに…






こう考えると、先ほどの文章の意味がわかってきたぞ。
あれは、ただ単に普通の花見だと見せかけるだけに書かれたものなんだ。
だから、意味が微妙におかしいんだ!

でも、彼女が生物兵器の実験場であるゲンソウキョウを管理する側に居るという、予備知識なしにこれを読んだら…
貧乏な博麗の巫女が金をたかっているように読めてしまう…
いや、実際にそういう風にカモフラージュしているのかもしれない…

ゲンソウキョウの住人達は外の世界があることは知っているが、そこがどんな世界か知らない。
そして、その世界の常識も知らない。
そんな彼女達にとっては、貧乏で金に執着心が強い巫女という怪しげなカモフラージュでも説得力があるように見えるだろう。



となると、この文章には深い意味があるわけではなく、適当に書かれているわけなのか…
最後の、ゆめそうふういん?ってのも単語になってないから間違いないだろう。





やばいぞ!
死亡フラグが立った気がするぞ!!
万が一自白剤を飲んでしまったら、俺が記憶を取り戻していることがバレてしまい処分されるかもしれない…
それ以前に、博麗の巫女の直ぐ近くで酒を飲むこと自体が危ない。
下手に口を滑らして、それが博麗の巫女の耳に届いたりしたら…

それに、普通の花見ならちょっと席を外して、ゲンソウキョウ脱出の情報を探るためにあちこち調べてもあまり怪しまれないかもしれないが…
博麗の巫女が俺達から情報を集める目的で開催しているのなら…
席を外したら逆に監視が強まる可能性が…

どうすればいい?



今回は諦めて欠席しちゃおうか?

適当な理由をつけて…

チルノがナインボールに排除されそうなので、助けるためにイレギュラーを探しに行ったとか…
ミスティアが、バナナとチ●チンの見分けが付かなくなったので、病院に連れて行くとか…
ルーミアに性的な意味で食われて、ショックで部屋に閉じこもってますとか…
紅魔館でバルサン焚いていたら、リグルが巻き込まれて業務上過失致死で捕まりそうだとか…
何だか知らないけど、大ちゃんに監禁されて八宝菜を食わされているので、出席できなくなったとか…


いやいや、欠席するのは逆に不味い。

博麗の巫女は既に何度も宴会を行っていると聞いた。
何度も行っているということは、何らかの理由があると考えるべきだ。

博麗の巫女の目的は任務遂行のために有益な情報を得ること。
何度も行っているということは、有益な情報を得ることに失敗している可能性がある。
具体的には、これといってゲンソウキョウに悪影響を与えるような話や、内面を窺い知れるような情報が出てこないのだろう。

そうである場合、博麗の巫女は有益な情報が得られず焦っている可能性がある。

彼女にとって任務とは存在意義と同じだ。
つまり、その存在意義を現在進行形で否定されていることになる。
博麗の巫女の精神がそんな不安定な状態で俺が欠席したら…

この場合、俺がゲンソウキョウにとって危険であるかどうかなどの事実は関係ない
博麗の巫女の存在意義を強引に満たすのために、俺がターゲットとして狙われる可能性がある。
『ハニューが欠席したのは怪しい、ゲンソウキョウに悪影響を与えようとしているに違いない。』と強引に判断されて…

最悪俺は弁明の余地無く殺されるだろう。





ではどうすれば…

出席しても、博麗の巫女とあまり接触しなければ問題が無いのだが…
そんな方法って…




そうだ、一つだけ方法がある!!


俺はジオン御一行様として呼ばれているから、できるだけ多くの人々をを引き連れて参加すればいい。
いつも、ジオンとか言っている妖精メイド達も連れて行けば、人数が増えすぎて博麗の巫女も監視しきれないはず。
おまけに、俺も含めてゲンソウキョウを揺るがすような大それたことなど、とても出来ないような普通の奴らばっかりだからな。
上手く行けば俺達の集団を見ただけで、相手をするのは時間の無駄だと思ってくれるかもしれない。
そうなれば、俺がこっそりとゲンソウキョウ脱出の情報を集める機会もあるかもしれない。

木を隠すなら森の中というわけだ。


ついでに、食事もいっぱい持っていこう。
いっぱい持っていけば、自白剤の数も足りなくなるかもしれない。




よーし早速準備に入ろう。

「皆を花見に誘いに行こう!行くよルーミア!」



とにかくいっぱい人を集めよう。





side 博麗 霊夢

ハニューは何を目的に私達の花見に来るというの!?

花見のために花見に来る。
それにしては…
どこか妙なのよね

(別に無理にというわけではないですよ。そんなに花見には興味ありませんし…でもちょっと行ってみたいかなーと思って。)
花見には興味が無いのに、行きたいですって??
怪しすぎるわ…


それにあの言葉…
(そっちこそ…花見がしたいという言葉…何か間違っているんじゃないですか?)
(本当は、花見がしたい訳じゃ無いですよね?)

私は花見をしたい訳では無いのに花見をしている???
これってどういう意味なのかしら…何故かもの凄く引っかかるわ…
そりゃ、確かに最初は花見だったけど、今はもう宴会になってるから、宴会がしたいって言うべきなんだけどね。
そんな下らないことを、あのハニューが言うわけないし…

それに、最初は神社が何度も宴会場にされて大迷惑だったけど、食べ物持参を皆に義務付けてから食費が浮くようになったのよね。
だから、今は積極的に開催するために、幹事役を私が魔理沙から奪ったぐらいなんだけど…

やっぱり、私が花見をしたい訳じゃないっていうのはおかしいわ。
私は、私の意志で花見をしているはずよ。
どういう意図でハニューはこんなことを?
何を企んでいるの??


会費なんて元々無い花見なのに、参加人数分の会費を払うなんて好条件を出されたから、思わずハニューの参加を許可しちゃったけど、これは不味かったかしら?


「なあ霊夢?そんなに怪しいと思ってるのなら、参加を拒否すればいいんじゃないか?」

魔理沙はなに馬鹿なこと言ってるのよ?
もう!煎餅一枚半も食べたんだから、もうちょっとマシな考えを出しなさいよ!!

「魔理沙何言ってるのよ!あのジオンの総帥が参加人数分の会費を払うって言ってるのよ!!これって稼ぎどころなのよ!!
 もうとっくに、初詣のお賽銭なんて残ってないの!賽銭箱には何にも入ってないの!分かる!?」


「…それじゃあ、悩む必要なんて無いんじゃないか?」

魔理沙は分かってないわね!
お金は欲しい!
でも、巫女としての感が何か起きてると言ってるのよ!!



side 八雲 紫

小鬼が起こしている、宴会を何度も開いてしまうこの異変。
ハニューも気が付いたのかしら?

もしも、気が付いているのなら、今度の異変では何をしようとしているのかしら?
紅魔館の異変は、ジオンの設立のために利用した。
冥界の異変は、ジオンの人員補充に利用した。
そして今回は…





当日にならないと分からないわね。

本当は邪魔すべきなんだろうけど、面倒くさいわね。
まあ、今回は異変といっても小規模なものだし、子鬼一人倒した所で大勢に影響があるとも思えないから様子見かしら。
上手くことが進めば、異変は解決するが、ハニューは骨折り損のくたびれ儲けって展開もあるかもしれないし…


「藍ー?明日はハニューも来るみたいだから、あまりアルコールの強いお酒は持っていかないようにしておいてくれる?」

ガシャン!

がしゃん?藍ったら、台所で何か割ったわね?
しまった…
あの子はハニューの事になると、直ぐに正気を失うの忘れていたわ…


ドドドドド…


ガラ!


「紫様!!橙とハニューが結婚するなんて認めません!!」

……?

どうしてそういう答えになるの…


「一応聞くけど、何でそう思うの?」



「橙は可愛いです!」

そ、そうね。

「宴会では、お酒も出ます。ハニューがお酒の勢いで橙をにんっしんっさせるかもしれません!そうなれば悔しいですがハニューに責任を取らせないと!」

えーと…?????

確かスキマのここら辺に…

「そうだ!先に私が橙をにんっしんっさせれば ぴgy!

ふう、スタンガンって便利ね…
何でこんなに便利なものが幻想入りしたのかしら?



[6470] 第十四話 二人ばかしパターン入った?
Name: pzg◆1036bac0 ID:601741ee
Date: 2009/09/24 18:15
第十四話
二人ばかしパターン入った?



さーてと。
まずは、比較的近くに住んでいるチルノの家からだな。

「おーいチルノ?いるー?」


「ハニュー!ルーミア!ちょうど、今 ウグググ…

「ハニューさん!?急に、どうしたんですか?」

おやおや??
チルノの家に来たら、チルノ以外にリグルも居ましたよ。おまけにミスティアまで…

ん?
なんでリグルはチルノの口を押さえているんだ?

これって、アメリカで流行っていたという窒息遊びという奴かな?
いや、単純にじゃれ合ってるだけか?
手で軽く押さえている程度だから大丈夫だと思うけど、ほどほどにしといたほうがいいと思うぞ。
まあ、子供の遊びに大人が茶々を入れるのは良くないか…

とにかく、手が空いてそうなミスティアに話をしてみましょう。

「実は、明日博麗の巫女が開催する花見に行こうと思うんだ。どう?一緒に行かない?集合は紅魔館で午後四時なんだけど。」



「それはちょうどいい、じゃなくていい話ね!是非行かせて貰うわ!ねえ、大ちゃんも呼んであげたの?」

もちろん、大ちゃんも呼ぶ予定です。

「これから家に行くつもりなんだ。」


「それなら、私が伝えておいてあげるわ!」

さすがミスティアは気が利くなあ。

「ありがとう。お願いするね。」


side ミスティア・ローレライ

まさか、『ハニューちゃんと大ちゃんを仲直りさせる会議』をしているときに本人が来るなんて思わなかったわ。

でも、これは好都合ね!

大ちゃんには、おめかしして来るように伝えてあげないといけないわ。
それと、腕によりをかけた料理も用意するように伝えないと。



私達の予想通り、ハニューちゃんが仕事ばかり大切にして、大ちゃんが蔑ろにされたように感じたことが不仲の原因なら…
明日の花見を最大限活用させてもらうわ。

私の感では、お互い本音では好いているのは間違いないのだから…
花見の場所で、お酒が入った状態で二人っきりにして愛を再確認させれば、きっと上手く行くわ!!


「うまく行くのかなー?」

なによ、リグルちゃんは心配性ね。

「とにかく、予定通りリグルちゃんは失敗した料理を持ってきて、大ちゃんの料理を引き立てるのよ!
 それから服装もあんまりカッコいいのを着てきちゃ駄目よ!私もチルノちゃんも可愛い格好はしないから!」

私達は引き立て役よ!

「わかったよ…でも何で僕だけ可愛い服装じゃなくてカッコいい服装をしてきちゃ駄目なの??」

さあ、明日は頑張るわよ!!












「ミスティア!ねえ聞いてる!!」



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「アーリースーさん!居ますかー?」








「ハニュー??」


そうです。ハニューです。
でも何故疑問系なんだ?????

「突然、どうしたの??」

何だか妙に動揺してますね。
おまけに、家の中から出てきてくれません。
どうしたんでしょうか?








…しまったあああ!
原因は、何も連絡していで来ちゃったからだ!

チルノ達ならとにかく、アリスさんぐらいの感じになると普段着じゃ人に会いたくないよなあ…

とりあえず、用件だけ家の外から伝えよう。

「明日、博麗神社で花見をしますので、アリスさんも来てください。明日午後四時頃に紅魔館に集合です。チラシは玄関のドアの隙間に挟んでおきますね?」
















何この妙な沈黙…


「シャンハーイ」

あれれれ?
どうして、人形達に囲まれてるの????

「何をするのかー?」

ルーミアも焦っているというか、臨戦態勢に入っちゃうし!?
俺、何か悪いことした???




ギイ…

「間違いない、本物のハニューだわ…」
あのー…なんで玄関のドアの隙間からこちらを覗いてるんですか???

「とにかく、来てくださいよ!他のジオンの皆も来るから楽しいですよ!」


「ありがとう…でもどうして私を誘おうと思ったの??」

えーと。

友達だからと、俺が博麗の巫女に殺されそうになったら助けて欲しいからなんだけど。

適当に嘘をつくか???
でも、何だかそれは気が引けるな…正直に話すか…


「友達だからです…。それ「ヘブン状態!!!!!!」」



Σ('A`)ビクッ



「そうだったわ!私達友達ですものね!!!!!!」


「このチラシの通り準備していくから!美味しいものもいっぱい持っていくから、楽しみにしててね!!」


バタン!





妙にテンション高いような…
こんな感じの人だったっけ???


side アリス・マーガトロイド

本物のハニュー。
幻術や誰かが化けているわけでもなかった。

誰かに操られているわけでもなかった。



それでも、私を誘う理由が分からなかったから信じられなかったのに…



私が友人だからという理由で花見に誘われるなんて…
いつもなら、花見が終わったあたりで「そういえばアリスはどうしたんだ?…やっべ!誘うの忘れてた…」とかばっかりだったのに…



こんなこと初めて…うれしい。


まずは、この喜びを母さんにも伝えて。

その後は、外に出かけての食材探しよ!!
明日は最高においしいもの作ってハニューに食べさせてあげよう!







side 夢子

「良かったわねアリスちゃん!お友達に花見に誘ってもらえて!」

神綺様が誰と話しているのかと思えば、アリスからの通信か。
今日は何の話だろうか。

「ねえ、アリスちゃん!お友達の契約はもうしたの?」

お友達の契約???
なんだそれは!?

「駄目じゃない!ちゃんと契約しないと!!お友達の契約さえ行えば、一生お友達で居られるのよ!!魔界に居たときは、母さんがアリスちゃんの代りに契約の手続きをしてあげたけど、幻想郷ではアリスちゃんが自分でしなくちゃいけないのよ!」

??????


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何だかもの凄く胸騒ぎがする。
先ほどの件について、神綺様に確認したほうが良さそうだ。

「あの…神綺様。先ほどアリスとの通信で言っていたお友達の契約とは何でしょうか?」


「アリスちゃんってお友達を作るのが昔から下手だったでしょ?おまけにアリスちゃんって、ちょっと扱いにくい所あるから、お友達ができても直ぐに上手く行かなくなることが多かったじゃない。」

まあ、確かにアリスの小さい頃は、そんなことが多かったな。

「だから、母さんが一肌脱いだの!アリスちゃんのお友達に書いてもらうための契約書を作ったの。ジャーン!!」

神綺様。契約書を取り出すのはいいのですが、自分で擬音を言わないでください。
内容は…

『この契約書にサインしたものは、一生アリスのお友達になります』か。

しかしこんな物に何の意味が。
「神綺様?失礼ですが、いくら契約書にサインしたからといって、こんなもの誰も守らないのではないですか?」



「ぶー。母さんだって馬鹿じゃないわ!ちゃんと破ったときのことも考えて罰則もついているのよ!!」

ゑ?

「この契約を破った者は、異界の魔物に襲われ、異界に引きずり込まれるわ。」





「あの…神綺様。もう一度、今の場所を喋ってもらえますか。」


「この契約を破った者は、異界の魔物に襲われ、異界に引きずり込まれるわ。」


………


「神綺様?その契約の罰則についての説明を、契約書をサインする者にしたのですか?」


「当たり前じゃない!母さんだって、何も罰則を教えないまま契約書を書かせるなんて酷いことはしないわ!!」


……………


「因みに、契約書にサインしてくれた人は誰かいましたか?」


「それが…誰もいなかったの。みんな酷いわ~。」




我が妹に、何故一人も友達が居ないのかヨクワカリマシタ。
いくらなんでも、友達が一人も居ないのはおかしいと思っていたのですが。
神綺様、あなたが元凶だったのですね。







アリスが幻想郷で友達に契約書を使おうとしないか少し心配だが、アリスは神綺様に比べれば常識人だから大丈夫だろう。
神綺様に言われたからと、こんな非常識な罰則がついた契約書を使うはずなど無い筈だからな。


side 神綺


そういえば罰則の件、アリスちゃんに話したかしら…



母さん神だから、それぐらいちゃんと出来てるはずね。
きっと話したのを忘れているだけだわ~。


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side レミリア・スカーレット

「あなたが花見に参加するのはまだ早いわ!」

部屋に飛び込んできたと思ったら、やっぱり花見のことね。

「なんで?なんで駄目なのお姉様!」

どうして私が、花見に参加してはいけないと言っているか理解できないようね…
やっぱり、フランを花見に参加させるわけには行かないわね。

「それが分からないあなたを参加させるわけには行かないわ。大体、あなたは霊夢から花見の誘いを受けていないわよね?」



「…!!でも、私も一度でいいから、皆と…」

少しは戸惑ったようだけど、理性的な答えがここで出てこないということは…
これ以上話しても無駄ね。
話を聞いてあげても、いつものと同じ、駄々をこねるだけね。

「パチュ!」


流石パチュの魔法ね。
私が指示した次の瞬間には、完全にフランを捉えていたわ。

「なにこれ!?転送魔法!??そんな…お姉様のバカーー!!!」


「フラン!ちゃんと花見の誘いが受けられるぐらいに一人前になるまで、あなたを花見に連れて行くわけにはいけないわ。」



パシュン!







転送は上手く行ったようね。
地下室で、自分の何処が問題なのかよく反省しなさい。










「これで本当によかったの?」

愚問よ。

「今のフランが花見に参加した所で、恥をかくだけだよ。唯でさえ私よりカリスマの少ないフランが、お酒に酔ったらどんな醜態を晒すか分かったものじゃないわ。」

これはあの子の為なのよ。

さあ、霊夢が私を待っているわ!




side パチュリー・ノーレッジ

ハァ…

私も共犯とはいえ…
地下室に閉じ込めるなんて、これが本当にフランのためになるとは思えないわ。



レミィ…
あなたは愛情だと思っているようだけど…
私には、フランを邪魔者にしているようにしか見えないわ。


あなたは、霊夢がフランを誘わなかったと言ってるけど、フランと霊夢が顔を合わすような話が出ると、途端にあなたが不機嫌になることが原因だって分かってるの?




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次は妹様です!

妹様は、かなりの戦闘能力を持ったバトルマニアです。怖くてたまらないのですが、今回の花見には声をかけようと思います。

なんといっても、強くてバトルマニアですから。
万が一博麗の巫女に殺されそうになっても、妹様に助けを求めれば俺の命は助かるかもしれないと思ったわけです。

え?助けてくれる保証が無い?
いやいや、まあ色々問題はあるみたいだけど、根はとてもいい子なのできっと助けてくれるはずです!!
一度拳を交わした仲なので分かりますったら分かります。



「そこの君?妹様は何処ー?」


「ハニュー総帥!?妹様は現在地下最深部にいらっしゃいます!」

地下最深部?
ああそうか、昔はずっとそこに居たって言っていたっけ。

お気に入りの場所でも在るのかなあ?




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妹様は何処にいるのかなー?

おっと。
妖精メイドが入り口を固めている部屋がありますね。
彼女達は確か、妹様の身の回りの世話をしているメイド達です。

ということは、どうやらあの部屋に居るようですね。

「な、何の用だ!?」

何の用と言われても困るのですが…

「妹様に会いに着ただけですよ?」






何故か驚いた顔をされました。
妹様に会いに来る人ってそんなに少ないのか???
やっぱり最深部となると、普通の人はあんまり近寄る機会なんて無いよなあ。
たどり着くだけで大変だし。


まあいいや、そんなことより部屋に入りましょう。



…っておっと。

何このドア??
何やら、お札みたいな紙や、魔方陣みたいな絵が描かれてますね。

デザイン系のセキュリティシステムか?


どうやって開ければいいの???


ちょっと、メイド達に開けて貰いましょう。

「このドアを開けてくれるかい?」





あれれれ?
何でそんなに遠くに居るの!?
さっきまで、直ぐ近くに居たような気がするんだが…


「私たちもここを開けることができればと思っています。でも、ここを開けることはできません。その気持ちを汲んでいただいて、お帰り願えませんか?」


どういうことだよ。

もしかして、鍵が壊れているのか?
いや、それとも中からじゃないと開かないとか?
もしや、妹様この部屋の中に引き篭もってるのか???

とにかく、メイド達はこの扉を開けようとしていたが、まだ開かないということのようだな。


今すぐ開かないとなると、案内状に『ジオンに入って一緒に花見に行こう』と書いて、メイド達に扉が開いたら渡して貰うしかないですね。
いや、それともこのドアの隙間から案内状を入れて、妹様に声をかければ…
えーと案内状は確かメイド服のポケットの中に…



「おやめください!ハニュー様!!!」

やめろって…何「ハニュー?ハニューそこに居るの!?」








この扉の向こうから聞こえる声は…
妹様ですね!
これは都合がいい。

「そうです、ハニューです!妹様、明日一緒に博麗神社の花見に行きませんか?」



「な なんだってー!!」
外野はちょっとお静かに願います。



「ありがとう…でも、私はお姉様に花身に行っちゃ駄目だって言われてるから…花見に呼ばれていない私は行っちゃ駄目だって…」



!!なるほど、これで全て状況が読めました。

妹様は花見に行きたいのに、花見に呼ばれなかったので拗ねてここに引き篭もってしまったんですね。
そして、メイド達はそれを助けようとしていたと。

でもそれなら大丈夫ですね、妹様もジオンになれば全て解決です!!

「それなら問題は無いですよ。俺はジオンの一員なら、誰でも花見に連れて行って良いと博麗の巫女から許可を受けています。
 妹様をジオンの一員として花見に連れて行きましょう。これで何も問題は無い筈です!!」








「そんな!?本当にいいの!?私は狂ってるのよ!?そんな私を簡単にジオンに入れていいの!?」

いやいやいや…
簡単も何も、入るのに条件なんて無いですが?
なんかルーミア達が入隊試験と称して、何か試験ゴッコしているみたいですが、遊びに加わるのに条件なんて無いに決まってるじゃないですか。

「何も問題は無いよ。今この瞬間から、妹様もジオンの一員さ、俺達の仲間だよ!」










グス…




「…ありがとうハニュー…」




あれ?何だか涙声!?

そんなに花見に行きたかったのか…
まあ、行けないショックで引篭もるぐらいだからな…

何だか、凄く善いことをしてしまったみたいです。



「妹様、明日二時頃に迎えに来ますから。」

喜んでくれたのはいいのですが、少し恥ずかしいので今日はこれにて撤収!
そうそう、妹様の面倒を見ているメイド達も連れて行きましょう。

「ねえ君達?君達も一緒に花見に来ないかい?」


あれ?
何だか皆、困惑した顔をしていますね。
喜ぶと思ったんですけど…


そうか、すぐ決められないよな。
休暇とか取らないといけないし…
「明日答えを聞くよ。花見に行くか行かないかよく考えておいてね。」







side 第四メイド隊所属のとあるメイド

紅魔館で四番目に歴史が長く、紅魔館の汚れ仕事を一手に引き受けてきた部隊。
紅魔館の裏の顔。第四メイド隊。

そこに所属する私達の任務は、妹様の封印の監視だった。

私達第四メイド隊は任務の性質上、心を殺して行動しなくてはいけないことが多い。
しかし、私達三人は少し毛色が違った。
私達は、監視対象である妹様に情が移っていたのだ。

理不尽な理由で封印される妹様。
妹様に色々と問題があるのは分かっているが、それでもこのやり方はどうか?
という思いが日に日に強くなっていったのだ。

例えば、妹様は善悪の判断能力に少々欠陥があるという理由で、封印されていたことがあった。
しかし私には、こうやって閉じ込め続けるのでは、善悪の判断を勉強する機会すら奪い、状況を悪化させているだけにしか見えなかったのだ。







そんな暗鬱とした日々に、本日大きな変化が訪れた。



ジオン総帥であり、最凶の妖精とも言われるハニュー様が、妹様のところを訪れたのだ。

私達はレミリア様より「フランを、補足事項のために地下室から脱走するのを阻止するように。」と以前より命令されていた。
そして、今回は補足事項として「招待されてもいないのに花見に行こうとしているから、それを止めるために閉じ込めたの。」と知らされていた。

命令されている内容はそれだけだったが、私達はこの命令の意図を汲み行動してきた。
つまり、これまでは妹様脱走に繋がるかもしれない要因(誰かとの会話や面会)までも全て排除してきたのだ。




だから、私が接近するハニュー様に何故ここに来たのか問いかけるのは当たり前の行動だった。
そんな私にハニュー様は、「妹様に会いに着ただけですよ?」と言い返してきたのだ。

私は驚いた。
ハニュー様はレミリア様の命令の盲点を突いてきたのだ、確かに私は妹様と誰かが会うことを邪魔しろとまで命令されてはいないのだ。











そして、それが大きな隙になった。
気がついたら、ハニュー様は私の横をすり抜けドアの前に立っていたのだ。





私は攻撃すべきだったのかもしれない。
しかし、私も含め誰もが攻撃しなかった。
今から思えば、私達は完全に怯えていたのだ。


私達は、妖精メイドと同じ格好をしているが、紅魔館では数少ないの妖怪のメイドである。

これは、妹様の封印という特殊な仕事を請け負うのには、妖精メイドの能天気な頭では不安だったからだ。
もちろんそれだけでは無い。
妹様が脱出した時のための、弾幕ごっこの強さという点も重視されていた。

私達は、妖精メイドより賢く強かった。
だからこそ、私達はハニュー様の強さが明確に理解できてしまい、恐れていたのだ。

ハニュー様は無防備だった。
何も予備知識が無い者が見れば、普通の妖精メイドが友人を花見に誘いに来たように見えるぐらいに無防備だった。
しかし、それぞれの立場を理解すれば、そうではないことなど明白だった。
場合によっては、私達とハニュー様が一戦交える可能性がある状況と言えるだろう。

繰り返すが、それでもハニュー様は何処から見ても無防備だったのだ。

この事実は、私達に恐ろしい結論を導きさせた。

ハニュー様にとって、私達の攻撃など防御を意識する必要も無い程度のものなのか、あまりのレベルの差に我々がハニュー様が密かに展開した防御を知覚することができないかの二つだった。



このどちらが事実であるか?ということはあまり重要ではなかった。

重要なのは、ハニュー様は噂どおりのバケモノであり、我々には勝ち目が無いということだ。
フラワーマスターのように、強力な妖怪ほど表面上は温和に見えるという。
ハニュー様もこれと同じだろう。

恐らくハニュー様が本気になれば、私達は博麗霊夢のようにたった一つの弾幕で消し飛ばされるのだろう。
いや、私など瞬き一つで十分だろうか…




とにかく、私達は勝利が絶望的な戦いを行うことだけは回避したかった。


だから、ハニュー様から「このドアを開けてくれるかい?」言われたとき、私は必死だった。
レミリア様の命令を無視して封印を解くわけには行かない。
だからといって、ハニュー様と戦いたくない。

私は自分の置かれた苦しい状況を必死に説明した。
妹様を外に出してあげたい。しかし、レミリア様の命令を無視して外に出すことはできないと。



しかし、この思いを汲んでくれと願う私を尻目に、ハニュー様はメイド服のポケットに手を入れ、何かを取り出そうとしたのだ。
ハニュー様の気配は何も変わらない。
だが、ポケットからかすかに聞こえた紙のようなものの音が私の注意を引いた。

レミリア様の命令に逆らえない私に業を煮やしたハニュー様が、何か武器を取り出そうとしているのかもしれない。
そう気がついた私は、必死になってハニュー様を説得しようとした。


運命がほんの少し狂えば、私の生涯はそこで終わっていただろう。









しかし、私は生き残った。
私を救ったのは妹様だった。



妹様とハニュー様の会話はもの凄いものだった。
妹様をジオンに入れることにより花見に連れて行く。

レミリア様の命令の盲点を見事に突いた方法だった。

レミリア様は建前とはいえ、招待を受けていないため妹様を花見に連れて行けないとしていた。
しかし、これなら問題は無い。
妹様は正式な招待を受けることが出来たのだ。

問題があるとすれば、このような理屈をレミリア様相手に堂々と言える者が居るのかという点だけだ。

理性的に考えれば、レミリア様は自分のカリスマ性を守るために、建前とはいえ一度口にしたことを翻し妹様の花見出席を認めないとは言わないだろう。
だが、レミリア様と敵対することなるのは間違いない。


強大な力を持つハニュー様だからこそ、取ることができる方法と言えるだろう。






ハニュー様が何を企んで妹様を助けたのかは分からないが、妹様が喜ぶ姿を見られるのなら私はそれで満足だ。
だから私は、妹様と共に行こうと思う。

ハニュー様の誘いに乗り、ジオンの一員となろう。




その先が、例え戦場であったとしてもだ。



side フランドール・スカーレット

私を花見に連れて行くという目的のために、私をジオンに入れてくれるなんて…
どうしてそこまでやってくれるの???

ハニュー… あなたは大切な目的があってジオンを立ち上げたのでしょ。

私をジオンに入れたら、大切なジオンがおかしくなるもしれないのに…
それなのに、私の為なんかに…


本当にどうして…


それとも、これが友達というものなの?
そうだ…
昔、利害を超えて助け合えるのが友達だとメーリンは教えてくれた…


これがそうなのね。





いつも私は一人だった、お姉様がいたけど…
そこには、血の繋がりしか無かった。

でも今日からは違う。

私はジオンの一員になった、初めて出来た他人との繋がり。

友達のハニューがくれた繋がり。
大切にしよう…



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「ルーミア、この部屋の名前は何?」

ジーク・ジオンと言っているメイド達に花見の事を伝えたいので、俺の部屋でどうすれば伝わるかルーミアに相談しました。
ルーミアはここに行けば良いと、紅魔館の案内図を出してくれたのですが…

ジオン部 部室 って案内図に書いてあるのですがどういうこと?

「紅魔館での活動を考慮すると、福利厚生のための部活として登録をするのが何かと便利なのだー」

は?

つまり、あれか。
いつの間にか、遊びだったはずのジオンが、規模が大きくなってアニメ研究部とかそういうノリの部活動になっていたと。

こやつめハハハ!

まったく最高の馬鹿者共ですねw
部活を造ってしまうほどガンダムが好きだとは。
ちょっと俺も入れてほしいのですけど!?

「因みに、ハニューは部長になってるのだー」


またまたご冗談を…






え?







マジ??




つまりだ、俺は自分の知らない間にジオン部の部長になっていたと…
紅魔館のガンオタのリーダー的な存在になっていたと…








なんでこういうことに!?
あの演説ネタが原因か!?




でもこうなると、ジーク・ジオンと言っていた奴らの中には、ジオン部の部員もいたってことか…

そう考えると、これはちょっと嬉しい話かもしれない。
俺と同じぐらいガンダムが好きな奴らが沢山居るってことですよね。

ジーク・ジオンと言う奴の中には、楽しんで言っている奴と、俺への虐めで言っている奴が居るとこれまで考えていたわけですが…
本当に楽しんで言っている奴らが居るのか、ちょっと不安だったんですよね。
いくらなんでも、いつまでもジーク・ジオンとしつこ過ぎるので、悪意がある奴らばっかりではと疑心暗鬼になっていたのです。

毎朝挨拶に来るメイド達とかは大丈夫だと思ってはいたんですけど、それでも具体的な証拠が無くて時々不安になってたんですよ。


でも、こういうカラクリだったわけですね。
本当に楽しんでいたか、ジオン部流の挨拶をしていた奴らもいっぱい居たというわけですか。




よし!
知らない間に乗っていたけど、乗りかかった船だ!
腹を括ってジオン部の部長として頑張ってみるか!




それじゃあ早速、挨拶も兼ねて部室に向かいましょう。


っとその前に。
いきなり部室に行ったけど、部員の名前も知らんということじゃ不味いぞ。
おまえは部長なのにふざけるな!と言われてしまうかもしれない。

「ねえルーミア、部員の名簿みたいなもの無いの?」

「わかったのだー、プロフィールがあるからそれを出すのだー」













あ、そうだ。妹様を部員への相談無しに、ジオン部に入れちゃったけど大丈夫かな?
「ねえルーミア。妹様の件、皆に相談してないけど大丈夫かな?」

「ハニューが決めたことを、断れる筈が無いのだー」

部長って凄いな。
あんまり部長を任されるとかって好きじゃないけど、こういうのを聞くと、好きな人も居るのが分かる気がするなあ。


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いやー、ルーミアGJです!危ない所でした。





どういうことかと言うと、凄いことになっているからです。
この部屋に居る人達というか、雰囲気そのものが。


例えば俺の目の前に座っているメイド。
彼女は、アイリスという名の妖精メイドで、俺が雑用班に入った当時から同僚です。
紅魔館で最も気心が知れているメイドの一人で、彼女の事は大抵知っているつもりになっていました。

例のギレンの演説ネタを披露して以後、毎朝ジーク・ジオン!と挨拶に来たり、俺の事をいつもハニュー総帥と呼ぶので相当なジオン好きだとは分かっていたのですが…
正直ここまでとは思っていませんでした。

ここに来る前に、ルーミアにプロフィールを見せてもらった訳なのですが、そこには…
『第十五メイド隊所属。ジオンでは作戦部モビルスーツザク隊に所属する一方、自ら組織した非公認組織ハニュー親衛隊の隊長を務める。常に冷静沈着であり、高い戦略眼を持っている。個人戦闘力・前線指揮能力も極めて高く、コンセプトシミュレータで彼女の指揮する第一中隊は常に最高の成績を叩き出している。理想主義者でありハニュー総帥の信奉者。役職は課長。階級は大佐。』
という凄まじい内容が書いてあったわけです。

あまりにも凄まじかったので、これははウケを狙ったものなんだなと解釈して、突込みを入れるつもりで部室に入ったのですが…


そこには…


「「「「ジーク・ジオン!!」」」」

「ハニュー総帥、ジオン本部へようこそいらっしゃいました!」


オリジナリティ溢れるジオン軍服?のコスプレをした妖精メイド達と、ナチス親衛隊の制服っぽいジオン軍服?のコスプレをしたアイリスが居たわけです。

つまりですね。
皆、完全になり切っていました。
怖いぐらい真剣に。

あのプロフィールはネタではなくて、ジオン部でなり切るために使う設定だったというわけです。



おまけに部室には赤い絨毯と、ジオンのマークが描かれた垂れ幕がいっぱいでして…
それらが、もの凄い重厚感で彼女達をバックアップするものですから…
もう、相乗効果で色々と大変な状態になっていました。






そんな状態だったので、本当にプロフィールを読んでいて良かったですよ。
読んでいなかったら、今頃空気が読めない奴として白い目で見られている所でした。
この飾りよく出来てるね。アイリス達が自分で作ったの?凄いねー 等と言ったらどうなっていたことやら…


そう…この状態を乗り切るために、俺もなり切っちゃいました。
かなり、綱渡りな状態でしたけど。

例えば…
「おお、これが…!素晴らしい…まるでジオンの精神が形となったようだ!」
とアイリスが案内してくれた、親衛隊本部という設定の場所でネタを披露したりしてしました。

ギレンの台詞ではないのですが、自分達の作った飾りつけを褒められ照れているのか、顔を赤くしながら喜んでくれたから良かったです。

ジオン軍の指揮を担当するという設定の、第二メイド隊の隊長であるシトリンとか他の皆にも、色んなアニメの台詞とか引用したり、それっぽく喋って対応しました。
ネタ切れでガンダム以外のネタまで使ってしまいましたが、どうやらギレンネタというよりアニメや漫画ネタである事や場所に合った雰囲気が大事みたいで、皆とても喜んでくれました。

なんといういか、ジオン部兼アニメ・漫画部という感じなのかな?




そして今。
作戦会議という名前の、明日の花見についての説明を開始した所です。
「明日午後四時、我々は博麗神社へ向かう。できる限り多くのジオンのメンバーを同行させたい。」


「それは!?ついに我々ジオンの力を博麗霊夢に見せ付ける時が来たということですか!?」

えーとアイリスは何を言っているんだ!?

なるほど、これは笑う所なのですね。
一見、博麗の巫女に喧嘩を売るような発言に聞こえるけど、本当は我々のオタクっぷりを博麗の巫女に見せ付ける時が来たと言っている訳ですね。

「フフフフフ…。その通りだ!我々は明日、花見を博麗神社で行う!!!!!」



「「花見????」」




「その通りである!花見以上でも花見以下でもない!」
とにかく一緒に花見に来てもらいたいんですよ!!


「…」

えええ??
そんな困った顔しないでよ!?

確かに今の時期で花見って変だと思うよ。
おまけに、いきなり明日だし、場所もあの恐ろしい博麗の巫女の家だから行きたくないのはわかるけどさ…
皆が来てくれないと俺の計画が色々とピンチです。

駄目なメイドが多い紅魔館でも、彼女達は例外的に出来るメイド達だから…
いきなり明日という急なスケジュールで、おまけに場所が博麗神社という恐ろしい場所でも、彼女達ならOKしてくれると期待していたのですけど!?

やっぱり甘かったか。

とにかく、彼女達のツボであるギレン風な言い回しで、『あなた達の力を見込んでお願いしてる』と持ち上げてみましょう。

「諸君!!日々鍛錬を欠かさない諸君にとって、スケジュールや場所等といった問題は障害となるのか??否!!!それは諸君等が一番良く知っているはずである!!この程度の障害など、我がジオンの進軍を阻むものでは無いということを!!!!立てよ諸君!!!!花見を完遂し、我がジオンが圧倒的であると証明する時が来たのである!!!!」

これでどうかなあ。
お願い!これだけ頑張って即興で演説を考えたのだから、そこに免じて協力してぇえええ!!


「「「「ジーク・ジオン!!!」」」」



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「ハニュー総帥の深遠なお考えに感服いたしました!この件は、私が責任を持って実施いたします!」

皆のジーク・ジオンの声が治まったら、アイリスがやってくれると言ってくれました。
アイリスったら、いつもながら役に嵌りすぎだなw
それはとにかく、ありがとう。助かったよ。
それでは、お言葉に甘えるとしましょう。

「うむ。全て任せる。」










今日は疲れたからもう寝ようかなあ。


「ハニュー?今日の仕事がまだ終わってないけどいいのかー?」



side 河城 にとり


このように、明日の博麗神社強襲を想定した演習は、花見に偽装して実施されるため注意すること。なお、本演習にはハニュー総帥も参加される、各自ハニュー総帥の期待を裏切らないよう奮闘努力せよ。   解散!」



いきなりジオン本部から親衛隊の隊長が全館放送を入れてくるから何事かと思いましたよ。
ハニュー氏も面白いことを考えますね。

急な花見の話は、有事の非常召集の訓練を意味し、博麗神社への移動は有事における部隊の戦術機動の訓練。
花見そのものは、敵地で花見を行うことそのものが精神的な訓練になり、博麗霊夢への示威行為にもなる…

なるほど。
これは明日が楽しみです。


side アイリス

(おお、これが…!素晴らしい…まるでジオンの精神が形となったようだ!)

私の行動は間違っていなかった。

親衛隊。
ハニュー総帥の命令無しに、私的に立ち上げた組織。
だから、ハニュー総帥に認められるか不安だったけど…

私のつくり上げた親衛隊のあり方を、ハニュー総帥が認めてくださった!!

私達こそ、ジオンの中のジオン。
ジオンの真髄であると認めてくださった!!


認めて頂いたからには、その恩に報いるような戦果を上げなくては!!!



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やっと仕事終わったー。
もう深夜だよ。

「お腹が空いたのだー」


さーてと…

後はいつも通り、食堂であまり物でも貰ってこようかな?
それとも同じメイド隊の皆に食事を分けてもらうか…

とにかく、地下にあるメイド用食堂に行くか。




そうだった。
地下で思い出した。

もう一人声をかける人が居た。
図書館に向かわないと。


深夜だけど、俺と小悪魔の仲だったら、まあ問題無いだろ。



side パチュリー・ノーレッジ


私どうしちゃったのかしら…




(パチュリー様、お疲れじゃないですか?私、パチュリー様のためにマッサージを覚えたんですよ!)

コアが私のために覚えてくれたマッサージは気持ちいい。

(体をくっつけてマッサージしますね。手馴れてないもので、出来るだけ近付かないと上手く力が入られないんですよ。)

コアは私に一生懸命マッサージをしてくれていただけなのに…
伝わってくる体温やコアの息。それに、コアの体の感触やコアの手触りが気になって恥ずかしくて仕方が無いわ…


「どうですか気持ちいいですか?こうされるの、パチュリー様好きですよね…」


でも本当に気持ちいい…
この気持ち良さのせいで、恥ずかしくても毎日コアにマッサージを頼んでしまうのよね。


「パチュリー様の肌いつ見ても綺麗…。」


「な、何を言うのよ。」

最近のコアは困るわ。
お世辞のつもりなんだろうけど、時々私が綺麗だとかい言い出すんだもの…
こんなに恥ずかしい気持ちになっている状態でそんなことを言われたら、思わず意識しちゃうじゃないの。


駄目、まだドキドキしてる…






side 小悪魔


パチュリー様は、私が普通にマッサージをしていると思っているみたいですけど。
普通のマッサージで、こんなに体をくっつけたりする筈が無いって分かりそうなものなんですけどねえ。



それにしても、今の反応いい感じでしたね~
ちょっと綺麗だと言っただけで顔が真っ赤ですよ、パチュリー様。


魔理沙がどこまで手を出しているか心配でしたけど…
どう考えても、パチュリー様がまだまだ初心なのは間違いないですね~






真正面から魅了の魔法をかけようとしたら、簡単に防がれてしまうので…
私のテクニックでパチュリー様の心に隙ができたら、いっきに魅了の魔法をかけて淫魔の魔力を注ぎ込んであげる作戦でしたけど…

この様子だったら、魅了の魔法を使わなくても完全に堕ちるかもしれませんね。

私としても、眷属にしてしまうより、今のままのパチュリー様が私のモノになるほうがいいですからね。


魔理沙というライバルがいるから、ちょっと強引な手法を使っているけど…

目指せパチュリー様との純愛!!



----------


…ふぅ















なんだかマッサージで盛り上がっていたので、声をかけずに食事を済まして帰ってきました。

「楽しく体を解している所に入っていくのは無粋だよねルーミア?」

「どう見てもコアがパチュリーを「仲いいって素晴らしいよね!!」いるのだー」

とにかく今日は明日に備えて寝ましょう!!

「今後の展開が気になるのだーもう少し覗いてきていい?」



「ささ、今日はもう遅いからルーミアも寝ようね!そうだ。偶には俺と一緒に寝ような?な?」

ほらほら、枕投げしよう枕投げ!
だから、小悪魔さんのことは忘れてよね?ね?



[6470] 第十五話 しまったビール瓶忘れた。
Name: pzg◆1036bac0 ID:601741ee
Date: 2009/09/27 02:15
第十五話
しまったビール瓶忘れた。




コンコン


はーい、こんな朝からどなたですか???


「ハニューちゃん、おはよう。今日は張り切って朝からきちゃ… ハニューちゃん、どうして裸なの??」

なに大ちゃん固まって…本当だ!俺裸だよ!

「朝から五月蝿いのだー」

しかも、ルーミアまで裸じゃないか。



「レイジングハート…エクセリオンモード」
『Excellion Mode』


え?え?え?え?え?え?
なにそれ??コス…プレ?

「…ハニューちゃん。ちょっとだけ痛いの我慢できる?」

ちょっと?
もの凄いエネルギーが集まっていて、とてもちょっとには見えないのですけど!?
なにやら良く分からないが、もの凄くまずい気がします。

「ルーミア!誤解を解いて!!!」




「じゃ、後は若い二人に任せて年寄りは退散するのだー」

そうですか。
だからルーミアは窓から外に出ようとしているのですか。

ちょ!
一人で逃げないでよ!

お、俺も逃げるから、ルーミアはちょっとそこで待ってて!




『しかしまわりこまれた!』


!?
俺もルーミアも、見えない壁に阻まれて逃げ出すことができない!?

「……知らなかったの…? 大魔王からは逃げられない…!!!」


「そ、そうなのかー!!」


感心してる場合じゃうぁぁああああああぁぁぁっぁああああaaawal










はっ!

いかんいかん。
飛びながら、寝てしまった。

厨二っぽい酷い夢だった…

「ハニュー総帥、起きましたか?随分とうなされていましたよ?」

おや?俺はにとりさんに背負われてる!?

「飛びながら寝るなんて、働き過ぎじゃないですか?健康管理も大切ですよ。」

あはははは…
実は昨晩あまり眠れなかったもので。

ルーミアと一緒に寝たのは問題なかったのですが…。
ルーミアは、何かを食べている夢を見ていたようで、寝ながら俺の手足を口に入れたりするので大変だったんですよ。

しかもですね。
なんだか去年より微妙にルーミアが成長してるのに気がついてしまいまして。
妙に意識してしまって居心地がちょっと…

「うなされていたのは、実は夢の中で殺されかけちゃいましてw。寝不足については気をつけますね。」
随分と、にとりさんに迷惑をかけちゃったみたいだなあ。

「ご迷惑をおかけしました。もう大丈夫ですので降ろしてもらえますか?因みに伺いたいのですが、どうしてにとりさんが俺を?」
でも何故にとりさんなんだ?

「私はいつも色々な機材を背負う関係で、鍛えてますから。あとは…誰がハニュー総帥を背負うのか凄くもめまして、最後はじゃんけんになって私が勝っちゃったという状態です。」

がーん。
俺を背負いたくないから、皆で俺を押し付けあっていたのか…

そりゃ、疲れるから嫌だろうけど。
ちょっとショック…

「ハニュー総帥。本当に無理だけはしないでください。お願いします…」

うう…
分かってますよ…


----------


俺の視界には、見渡す限りの大編隊が続いています。


俺の左右にリュックを背負った大ちゃんと人形に何かを運ばしているアリスさん。
俺の直ぐ背後にルーミア。(なぜお前は、俺の背後に影のようにくっ付いてくるんだ!?)
大ちゃんの向こう側には…クルクル回転している女の人??

「厄い、厄いわ…。このリュックの中身凄く厄いわよ?」

「ちょっと何してるのよ!大ちゃんから離れなさいよ!!!」

えーと…何か妙な人が居ますが、説明を続けます。
大ちゃんの向こう側には鞄を持ったミスティア。

「食らえ!リグルキック!!」

で、同じく鞄を持ったリグルがいます。

「厄が簡単に吸引できると思ったのに散々だわ。もういいわ。」


そして、アリスさんの方には、いつも通りリュックを背負ったにとりさん。

「なかなか筋がいいぞ!あたいの弟子にしてやってもいいわよ!」

「どうしようかしら♪」

で、適当に飛び回っているのはチルノと、妹様。


最後に、その外周部を飛ぶアイリスを初めとする、ジオン部の部室で見かけた皆さん。

ここまでは想像通りだったのですが…

それ以外にも雁行する編隊が何十個も…
これが全員ジオン部員!?
こんなに居たのか。

ジオン部って、ただの遊びや趣味が部活動の形を取っただけだからなあ。
名前と部室は立派だけど、実態と目的は、そこらへんにあるアニメ部とかまんが部と言われる奴と同じで、大学のゆるいサークルに近い感じだから…
幽霊部員とか、今回の花見目的で急遽部員になった奴とかが、いっぱい居るってことなんだろうなあ。

知らなかったとはいえ、こんなに人数が多い部活の部長になってしまったのか。
しっかりと部長としての行動を取らないと。

頑張ろう。







それにしても、これだけの大編隊になると、見てるだけで圧倒されるなあ。
まるで、戦争が起きて、これからどこかに攻撃しに行くように見えます。

『こちらアエカ1、目標を肉眼で確認。博麗霊夢は既に花見を開始している模様。』

『本部了解。アエカ1は本部到着まで引き続き警戒を続行せよ。』

おまけに、さっきから聞こえてくる無線?みたいな奴の声を聞いていると、軍事用語っぽいのが飛び交っているので、ますますそんな感じがしてきます。
俺達が、爆撃機の群れのように見えてきたぞ。

『アエカ2より本部へ、探査魔法による境内への探査に失敗。強力な魔力が境内に充満しているため、魔法行使に悪影響が出ている。作戦を続行すべきか?』

「強力な魔力のため探査が出来ないだと?むしろ好都合だ、奴らの目と耳が塞がれている間に一気に接近するぞ。」

『本部より各偵察班へ、タイムスケジュールを5分繰り上げる。本体の突入に備えよ。アエカ2は引き続き作戦を続行せよ。』

魔法とか言っているので意味がよく分からないけど、やっぱりこの無線って何かの遊びじゃなくて、軍事系か何かの真面目な通信っぽい。
本職にならなかった俺でも、明らかに何かの作戦が遂行されているのが分かります。

どういうことだ?

「本部」側の声の主が、ジオン部のアイリスとかシトリンみたいだからちょっと聞いてみようか。

「対魔法中隊へ下令、MCM戦を開始せよ。」

『本部より全部隊へ、タイムスケジュールを5分繰り上げる。突入部隊はただちに匍匐飛行を開始。戦闘速度へ移行せよ。なお、妹様直援部隊のみ当初のタイムスケジュールで行動せよ。』

妹様直援部隊…?

そうか!

これって、妹様を護衛についての通信なのですね!
紅魔館視点で考えれば、超VIPの妹様が一戦交えたことがある博麗の巫女の所に行くわけだから、これぐらい体制で臨むことは紅魔館では日常茶飯事さ!ってことか。

なんだ、これならルーミアに言って全員分の休暇届を出しておいた意味が無かったな。
今日は通常業務ってことか。










あ!そうそう。
護衛で思い出したのですが、門番の美鈴さんは留守番になりました。
妹様を仲間として迎え入れたよ!ってことを皆に説明していたら、こちらをジッと美鈴さんが見ていました。
てっきり、一緒に花見に行きたいのかな?と思い声をかけてみたのですが…

「妹様をくれぐれもよろしくお願いします。」
と頼まれてしまいました。

妹様はジオン部の部員だから、部長である俺には監督責任があります。
だから「分かっています。」と承諾したのですが、美鈴さんを置いて行くのは気が引けたので、美鈴さんも誘ってあげることにしました。
ところが「心配なら美鈴さんも、ジオンに入って一緒に来ればどうですか?」という俺に対して「私は…行けません。本当に情けないですよねーアハハハハハはぁ…」と言って凹んでしまいました。



これって、美鈴さんは立場的に花見に行き難いってことなんだろうなあ。

門番という立場上、仕事を休んで花見に行くことなんてできないよな。
おまけに通常の業務だと、もの凄く美鈴さん冷遇されているからなあ。
多分、立場が低くてお嬢様と一緒の花見に出席するなんて、恐れ多くてできないのだろう。

だから花見に行けないし、そんな立場の自分が情けないということか。


といっても、夜の立場だと別だったりして。






side 紅 美鈴

私の望みは、妹様とレミリア様が、姉妹として仲良く暮らしてくれることだけです。
でも、これまでの私の消極的なやり方では、悪戯に時ばかり消費して、何も事態を改善させることはできませんでした。
どれだけ時が経とうとも、レミリア様は妹様を「妹」という枠に当てはめ、そこから出ようとする妹様を一方的に叱り付けるという構図が続きました。

それが原因だったのか、それともそれが状況を悪化させたのかは分かりません。
ただはっきり言えるのが、この偏った教育が狂った吸血鬼である今の妹様を作り出してしまったということです。
妹様には強い力があります。
そのため、その力に振り回され、多くの悲劇が起きたそうです。
その悲劇から守るために、レミリア様は妹様を枠に当てはめようとし、そして地下牢に閉じ込め、他者との接触を絶ったのでしょう。
それが、状況を悪化させているだけとは知らずに…


人間二人が乗り込んできたときは、この状況が改善されるかと期待していました。
しかし、彼女達は何も変えることができませんでした。

でも、その時希望が現れました。
ハニューさんあなたです。
あなたによって博麗霊夢が撃退されたことが、レミリア様を刺激し、妹様を地下牢から解放することになりました。
更には、体を張って妹様を教育してくれたおかげで、妹様は自らの力をコントロールすることを勉強し始めました。

そして今日、再び地下牢に閉じ込められた妹様を解放してくれました。



あなたは劇薬だと思います。
でも、このままでは近い将来、お二人の関係が修復不能までに破綻することは目に見えています。
それも、妹様が完全に壊れるという結果で…



だからハニューさん、妹様をお願いします。
私は、失敗することを恐れて、茨の道を歩むことができませんでした。
しかしあなたなら、茨の道を突き進み、妹様を正しい道へ進めることができると信じています。
そして、妹様を変えることにより、レミリア様にはこれまでやり方では駄目なんだと示してあげてください!



あなたはどうしようもない女好きですが、優しい妖精でもあると私は信じていますから。















怖くて見ていられないという理由で、花見には行きませんでしたが…
もしや、ハニューさんにオシオキされてしまうのでしょうか?


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side 伊吹 萃香

なんだこれ?
誰かに包囲されている??
どこかの武士団か!?


正体を暴いて…
!?

私の魔力に何かが干渉して正体が分からない!?
これは…

ジャミング!?



こんなことができる奴といえば紫しか…
でも、紫はもうそこに…












はーん。
となると、噂のハニューが来たってことか。
これは面白くなってきたぞ。



あいつは二つの顔があるからなあ。

革命家としての顔と、馬鹿なただの妖精の顔。
どっちが本当の顔なのか確かめてやるか!


side 博麗 霊夢

「れみ りあ うー☆」

「その手の動き!!憎たらしくも可愛い笑顔!!素敵ですおぜうさまああ!!」

まだ日が高いのに、できあがってる吸血鬼って…


「絶対に許さないよ!!」

「いいぞちぇええん!!最高に可愛いぞ!!!!」
「藍ったら橙ばっかり相手にして…私だってまだかわいいもん…」

……こいつらもか…




誰も狙わないだろうけど、万が一こんな所を誰かに狙われたらどうする気…な、の…!?


!?
殺気!?


キィィィィィィィィィン!!!!!!


危ない!!


ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ……


何よ!?いったい何が起こったの!?
妖精達がもの凄い速度で森から飛び出して来たと思ったら、そのまま私の頭の上を掠めて飛んで行くって何考えているのよ!?


何かの異変!?


「藍しゃまー!!!」
「また来た!?ちぇえええええん!!!!」


「落ち着きなさい橙!!藍!!ただのパフォーマンスよ!実際に攻撃してくる訳じゃないわ!!」


何が落ち着けよ!?
これが攻撃じゃない!?
殺気を向けられてるのよ!!


「霊夢。妖精達をよく見なさい!」

私の頭を掠め飛んだ妖精達が着陸して何かを始めだした!?

何やってるのよあいつら?

シートをひいて…

赤い絨毯もひいて…

お弁当を出して!?

何これ、もしかして花見の準備!?



「霊夢!絨毯の方を見なさい。真打が舞い降りてくるわ。」



こんな派手な登場をするなんて、いったい何なのよ!!






----------


ここがあの女のハウスね。


『第三次攻撃隊、目標への攻撃演習を終了。フェイズ2へ移行。花見会場の設営に参加します。』

「太陽を背にした急降下攻撃が項を奏したとはいえ、水平攻撃の部隊と合わせても推定命中率が9割を切らないとは…これでは強襲ではなく、奇襲だな。」



なにやら、怪しげな無線が入っていますな。
といっても、断片的にしか聞こえてこないし、妹様の護衛は俺の専門外だから無視しましょう。
とにかく俺は、自分の仕事をするために博麗の巫女へ一直線です。

何故かって?
それは、社会的儀礼という奴です。
代表者から主催者への挨拶は必要ですし、おまけにこんな人数になっちゃいましたし。

本来なら、代表者である俺が先頭に立って到着しないといけないのですが、皆飛ぶの速過ぎw
木の間をすり抜けながら、高速で飛ぶなんてことされたら、とてもじゃないけど追いつけません。

仕方ないので、普通に飛んでやっと追いついたと思ったら…
先に着いたメイド達が花見の準備を既に始めているじゃないですか。

ちゃんと皆ご挨拶したのかよ?

ということで、一応代表者である俺は博麗の巫女に挨拶です。
「本日は花見にご招待いただき、ありがとうございます。」


「あなた花見に来たの!?花見にしては随分と物々しいわね?」

まあ確かに物々しいが、これは超VIPである妹様を連れているから仕方ありません。
「妹様の護衛ですよ、これは。通常の職務なのでご安心ください。」

「っ通常の職務!?う、うまい言い「護衛だから通常の職務ですって!!??………まあいいわ!!でも、どうしてフランが来ているの!!!」


会話に割り込んできたのは…
お嬢様か。
そんなに怒鳴らなくても…って言いたいが、自分の妹を招待されていないという理由だけで連れてこなかった硬い所がある人だからなあ…
多分、妹様が招待状無しに来てしまったので、博麗の巫女を怒らせてしまうのではないかと、焦っているのでしょう。
ここは事情を話して安心させてあげないと。

「お嬢様。何も心配はありません。ジオンのメンバーは花見に来られることになっています。」

「それがどうしたって言うの?」
どうしたって、そこが大切なんですよお嬢様!

「お喜びください、妹様は昨日よりジオンの一員となったのです!!」







「そ、そ、そんな話は私は聞いていないわ。事実だとしても霊夢が認めるわけが無いわ!!!」

事後承諾になってしまったのは流石に不味かったか…
あと、博麗の巫女がこういうイレギュラーなケースを簡単に認めないのでは?というお嬢様の懸念は仰るとおりだなあ。

となると、しっかりとした証拠を見せて「博麗の巫女の許可をゲット&事後承諾でごめんなさい、でもしっかり対応したからお嬢様は安心して!」作戦しかありません。

「まったくおかしな点なんて無いですよ。ほらこの通り、参加費は妹様を含めて揃えてあります。
 ルーミア、アタッシュケースを開けて!」

ガチャ!!
「耳を揃えて持ってきたのだー」

「あと、これが招待状と…妹様?ちょっと来てもらえます?」

話して分かってもらうより、見てもらうのが一番早いです。

「どうしたのハニュー?」

「えーと。このように妹様はジオンの制服も着ていますし、ジオンのメンバーであるジオン徽章もつけています。
 つまり、完全に花見に参加する条件は満たしています!!そうですよね?博麗の巫女さん?」



「………」

「博麗の巫女さん?」
なにボーっとルーミアを見てるんですか?

「…………はっ!?…何も問題が無いから、別に参加していいんじゃない?」


「れ、霊夢!???????」









さてと、懸案だった博麗の巫女の許可もしっかりと出たので、他の皆様にもご挨拶して早速花見を始めましょうか。

すぐに大ちゃん達とお花見始めたいけど…
部活の部長とはいえ、ちゃんと社会的儀礼は最後まで済まさないと。

「大ちゃんごめん。ちょっと挨拶してから、そっち行くね。」

「う、うん…。」

あれ?
何だか大ちゃん凄く悲しそう…
そうだった。こうやって大ちゃんを連れて行かないことがあったから、この前みたいなことになったんだっけ。

「じゃあ一緒に挨拶して回ろうか?」

「うん!!」



side フランドール・スカーレット

「フラン!あなた何考えてるの!?私の言うことも聞かず、挙句の果てにはハニューの部下になるなんて!!」



「ちゃんと説明しなさい!姉である私の言うことが聞けないの!?」





どうしてお姉様は分かってくれないの…
「私のことを見ようとしなくなったお姉様と、ハニューを一緒にしないで!!」


「何を言ってるのよ!?何をハニューに吹き込まれたの!?」


お姉様なんて大っ嫌い!!!!


「ちょっと待ちなさい!?フラン!?フラン!?」


side 博麗 霊夢

ひい、ふう、みい…

凄い数だわ。
こんな大金がこの世に存在したなんて。

こ、これだけあれば夢のタンパク質に手が届くわ!!!

「霊夢!霊夢!どうしよう!私の可愛いフランが…あの子何も分からないから、騙されてるのに気がつかないんだわ!」

卵が…
念願の卵が毎日食べられるわ。

いや、でも卵なんて芸が無いわ。
それに卵は、写真撮影と引き換えだけど偶に文が持ってきてくれるから、何か他のものを買った方が。

「お願い霊夢!フランを捕まえるの手伝って!!」

豚肉に…

だ、駄目よ霊夢!!
そんな豚肉なんて高級食材に手を出したら、堕落してしまうかも知れないわ!



いや、違うわよ霊夢!!
豚肉のような高級食材を食べられるぐらい、博麗の巫女は凄いんだって示さないと、幻想郷中に嘗められてしまうかもしれないわ!

「ど、どうして何も答えてくれないの!?もしかして、私が何か間違ってるの!?」

ど・う・し・よ・う・か・な?



----------




お嬢様には挨拶したから、一応メイド長にも…



「妹様に逃げられて、霊夢に縋りつくお嬢様…どうして私に縋りついてくれないのですかぁ!?いや、逆に考えるんだ。霊夢に縋りつくお嬢様を見るほうが萌えると考えるんだ。」









メイド長はいつも会ってるからいいか。




えーと他には誰が…

あそこで音楽を鳴らしている三人組は、どこかで見たことがあるなあ。
でも、なんだか忙しそうだから挨拶はやめておくか。


もっと簡単に挨拶できそうな雰囲気の人たちは居ないかな?


                               「春ですよー」

                               「もうすぐ夏なのだー」

                               「ま、まだ春ですよー」




お!
橙発見!

橙と???

あのどことなく狐っぽい感じの人は…橙のお母さんの藍さんか。
噂には聞いていたが凄い美人じゃないか。
こんな人がアダルトな仕事をしてるとは…
ゲンソウキョウ恐るべし。

ちなみに、そのアダルトな仕事の成果はどこかで買えるのか?


ムギュ!

痛!!
ちょっと大ちゃん足踏んでるよ!?

「ごめんハニューちゃん!!うっかりだねー」


えーと…

あとは…


!?


誰がひっくり返っているのかと思えば…
ストーカーさん…
なんでここに居るんですか…

寝てるのか?起きてるのか?
どちらにしろ、あまり目を合わせないようにしよう。

「こんにちは!橙ちゃんのお母さんの藍さんですね?はじめまして。いつも橙ちゃんと遊んでいるハニューです。」

                                「ハニューちゃん!」

「ええよく知ってます。ジオン総帥のハニューさん。」

…そういう認識なのですね。
橙もジオン入団試験とか受けてたからなあ。
ジオンのみんなと遊びに行ってきまーす!という感じで出かけてるんだろうなあ。
とにかく、最初の挨拶ですので共通の話題である橙ちゃんのことからです。

「橙ちゃんはいい子ですね。とてもお行儀がいいですよ。藍さんの教育の賜物ですね。」

「そ、そうですか!偉いぞ橙!!」

おおう…
橙ちゃんをぐりぐりと撫で回して…
話に聞いたとおりの親バカっぷりだなあ。
当分橙ちゃんを中心に話をした方がよさそうですね。


----------


とまあこういう感じで、いつも橙ちゃんは藍さんのように成りたいといって、遊ぶときはみんなの中心になれるように努力していますよ。」

「そうかー。橙!私は凄く鼻が高いぞー!!!」

「えへへ…藍さまー。」

まったく、親バカなんだかここまで来ると清々しいな!
っと…
そういば、随分と時間が経ってしまったなあ。


次に行こうか…
ストーカーさんもいつ動き出すか分からないですし…

本当に何故ここに居るんだこの人?
博麗の巫女の所に行けばいいのに…

まさか、藍さんって美人だから…
今度はこっちにストーカーしているとか…

「他の方の所にも行かなくてはいけないので、これにて失礼させていただきます。あと、あの人には苦労させられていると思いますけど頑張ってください!!」


「へ?ま、まあ…」


side 八雲 藍

「私を無視するっていい度胸してるわね…」

紫様!????

「そうは仰いますが、ハニューに格の違いを見せ付けるために寝たふりをすると言い出したのは紫様ではないですか。」

ハニューが紫様に声をかけたら「あら居たの?あなた程度だから気がつかなかったわ。」なんてことを言う、子供っぽいこと考えるからこうなったんですよ!

「ま、まあそれはそうだけど…   藍だって私のことは言えないでしょ!ハニューに橙を褒められて喜んでどうするのよ!それに私に苦労させられていると同意するなんて…なんて悪い子なの!」

そんなこと言われても、本当に嬉しかったですし、紫様には苦労させられてばっかりですし…
そう、それに。

「ほ、ほら和平の使者なら槍は持たないって言うじゃないですか、そのつながりで特に武器も何も持ってないみたいですし、戦う気も感じられなかったから今回は問題ないかなと…」

あれ?
紫様?
そんなアホの子を見る目で私を見るなんて、どういうことですか!?

「まわりをよく見なさい。森の中に少なくとも20人は隠れてるわよ。そいつらは藍とハニューが話している間、ずっとあなたと私に狙いを定めていたわ。花見をしているジオンの連中も同じよ。」


----------



次は小悪魔さんの所にしましょう。

おや、これは修羅場ですね。
パチュリー様を挟んで、小悪魔さんと魔理沙さんですか。

「なにこれ、この魔理沙のお弁当のおかず。ちゃんと切れてないわよ。」

でかいキノコですね。
10cmぐらいのキノコの癖に、薄い切れ目が入っているだけで、全部繋がっています。

これは酷い。

かぶりついたパチュリー様が引き千切れずに困ってます。
箸だと滑ってうまく反対側から引っ張れないみたいだし、こりゃ行儀悪いが手で引っ張るしかないな。

「わりい、私不器用でさ!「パチュリー様、私がこちら側を引っ張りますから!」


パクッ!


                              「「「「おおおおおおーーーーーー!!」」」」


「ktkr!!!!小悪魔さんがまでキノコに食いついて、キノコを引き千切ろうとしてます!唇が触れ合ったように見えたのは気のせいでしょうか!!!!流石の幻想郷一のプレイガール、魔理沙さんもこの奇襲攻撃になす術無しかー!!!」

あの…
文さん何してるんですか?

「いやーハニューさんの近くに居ると、取材のネタが尽きなくていいですねー。」

いや、そうじゃなくて。

「これですか?見てくださいこれからは映像の時代です!文々。新聞は映画業界にも進出したのですよ!!!」

これ映画じゃなくて、ただのマスゴミ。

「真実はいつも一つです!行きますよ椛!!」

「ワオーン!!」






えーと次は誰の所に行こうかな?





                               「ちょっと!神である私達姉妹に挨拶に来ないってどういうことよ!!
                                あの博麗霊夢でさえ、私達を神社に招待したのに、あいつは何なのよ!」
                               「お姉ちゃん…あれって招待って言うのかな?
                                脅迫じゃ…だって蓄え全部取られて…おまけに、おし  何あなた!?」


                               「香ばしくて美味しそうな匂いなのだー、ちょっとかじっていい??」


                      
                               「お、おねえちゃー!!!???」
                               「や、やめろー!?」






おや?

キョロキョロして落ち着かない感じのあの子は、店主の奥さん(予定)じゃないですか!

「朱鷺子さん!朱鷺子さんも来てたんですか!!」

「こんにちは!」

先日と同じく、元気がよくて礼儀正しい感じの人ですねえ。
でも、今日は店主が居ないぞ?店主はどこだ?

「店主はどうしたんですか?」

なにやら俯いてしまいました。
何か不味いこと言っちゃったのか??

「それが…一緒に来るはずだったんですけど、急に靴紐が切れて転んでしまって。
 大したことはなかったんですけど、大事をとって家で休んでます。」

…なんじゃそりゃ??

「今日は縁起が良くないかもしれないとか言ってたんですけど、せっかくだから私だけでも行きなさいって…」

おいおいおい…
あまり面識のない所に奥さん一人で行かすなんて、それはちょっと可哀想だろう。

「それなら俺達と一緒にどうですか?どいつも気さくでいい奴らですよ?」

「いいんですか!?ありがとうございます!」

といっても、いきなり放り込んだら打ち解けないからなあ。

「アイリスー?」

「はい、ここに。」

いつの間に俺の背後に??
そこはルーミアの特等席のはず…

「こちら、店主の所に居る朱鷺子さん。今日は一人だそうなので、仲間に入れてやってくれないか?」

「仲間にですか…?。」

「そうだ、ちゃんと仲間に入れてあげろよ?わかってるよね?」
俺のソウルブラザーの奥さんになる人だからね、しっかりと接待を頼むよ!!

「わかりました、お任せください。」




----------




「よっ、久しぶり!!」

「よっ、こちらこそ!!」
って誰ですかあの女の子は?
すれ違いざまに声をかけてきたので、何気なく返してしまいましたが、知り合いにいたっけ?
追いかけて「誰ですか?」って聞くのもアレだしなあ…

「私への挨拶は無いのかしらー?」

!!
いきなり声をかけてきたのは?

ああ、サイギョウアヤカシ会の人達かあ。
ヤのつく職業の人たちとは、できたら話したくなかったんだけどなあ。

「こんにちは、先日は人員を貸していただきありがとうございました。」


「あらーこれはご丁寧に。そちらに行った人たちは役に立ってる?」

えーと…
実際の所どうなんだ。役に立ってるのか?
にとりさんに任せっきりだから分からないぞ。
でもここで分からないといったら…

(なあ、ネエちゃん。こっちが誠意を見せたちゅうのに、分からんとはどういうことや!?殺すぞ!!)

という展開も…

「いやー凄くに役に立ってますよ!!本当にありがとうございます。全てあなたのおかげです。」

「まあ!そう言ってもらえると嬉しいわー。」


「「ハハハハハ…」」








妙に空気が重い。
おかしいな?
ちゃんと友好的に話しているはずなんだけどな???

「そういえば、さっきの会話を聞いていたのだけど、橙が随分とジオンで活躍しているようね?でも橙を信用していいの?」

活躍というか、遊んでるだけなんだけど…
橙を信用していいのかってどういうことだろう。
実は橙は悪い子で、何か悪さをしようとしていると言いたいのか?

別に悪い子には見えないんだがなあ、それに子供のやることをまず信用してあげるのが大人のやるべきことだろう?

「別に問題ないですよー。橙はいい子ですし、俺は橙を信用していますから。
 それに、もしも悪さをしたら、その時は責任を持ってしっかりと俺が全て処理しますから。
 起きた問題も、橙についてもね。」

そして、イザというときは、しっかりと尻拭いしてあげないとね。
それと、ちゃんと橙も叱らないと。
ジオンとして遊んでいたら、部長の俺に監督責任があるものね。

「自らが処理ね…フフフ、容赦ないわね。」

容赦ないかあ。
まあ、悪いことをした子供はちゃんと叱らないといけないからな。
そんなに大したことじゃないですよ。

「なに、当たり前のことをするだけですよ。大したことではないです。」


「まあそうなの!大したことないのね!愛情を注いだ相手だというのに…フフフフフフフフフ…」

まあ、愛情を注いでいると叱れなくなるのは分かりますが…

「むしろ、愛情があるからですよ。」
愛情を注いでいるからこそ、しっかりと叱らなくてはいけないときもあるのです。


「「フフフフフ…」」


だ、駄目だ全然重い雰囲気が抜けない!?
何か上手くネタを拾って会話を明るい方向にしないと。




「そういえば、今日はメイド服じゃないのね?その服装はもしや…」

おお!?
これは突破口になるか!?

そうなんです。
俺は今日、アイリス達が作ってくれていた服(コスプレ)を着ているんです!!
これってあれ、ガンダムのギレンぽいでしょ?
もしかして、わかります!?

「フッ…冗談はよせ!」

ギレン最後の台詞です。

それ死亡フラグ!!
って突っ込みは期待しないけど、ギレンのコスプレだって意味分かりますよね?












ドサ!

ドサ?
何の音かと思ったら、妖夢さん、なに尻餅ついているんですか?
それに、随分顔が青いですよ。
汗も掻いていますし…体調が悪そうですよ?


「わはー」

あれ?ルーミア、妖夢さんを後ろから抱きかかえて…
なるほど、妖夢さん尻餅つこうとした時に、後ろから支えてあげたんだな。

「良くやった、ルーミア。」

「それほどでもないのだー」



「ハニューちゃん!!どこも怪我してない!?」



「ハニュー総帥ご無事ですか!!」
「ハニュー大丈夫!?」

「あらあらごめんなさい。うちの妖夢ったら、ちょっとあわてんぼうなのよー。」

えええ?
何この大騒ぎ!?
何か俺の身に危険が!?

えーと…

妖夢さんの脇に転がってるのは刀!?

あわてんぼうの妖夢さんが尻餅ついて青い顔している+堕ちている日本刀+皆が俺を心配=妖夢さんが転んで刀を落して、それが俺に当たりかけたと。

で、そのことにビビッて妖夢さんは青い顔をしていると…



ひょ、ひょえー???
危なかった。
刃物を扱うのなら、ちゃんと扱える人に持ってもらわないと困ります。

「あわてんぼうに刀を持たすなんて、今すぐ止めてください。彼女は明らかに修行が足りない。」

刀を落すなんて危険すぎます。
どう考えても修行不足です。
もっと修行させてから刀を持たしてください。
誰かを傷つけた後では遅いんですよ!

「返す言葉も無いわー。しっかりと躾けるから、今日はこれで許してくれないかしらー。妖夢も反省しているのよー。」

しかし、そんなこと言われても俺は怒って…

「わかりました、許しましょう。では今日はこれで。」

別に、この人たちの職業を思い出してビビッたんじゃないからね!




もう、あいさつ回りはやめた!
花見を開始しよう!


side 魂魄 妖夢

完全に敵に補足されていたのに気がつかないなんて、不覚!!

幽々子様と神経をすり減らす会話を続けるハニュー。
私には、ハニューの危険性というものをまざまざと見せつけれられた思いでした。

これだけでは前回と同じ。
震え、何もできなかった時と同じだ。

だから、会話に割って入り幽々子様を援護射撃したいと思いました。

しかし、ハニューと幽々子様の会話はレベルが高く、割って入る糸口が見つかりませんでした。
そんな時です、無防備なハニューの後姿が目に入ったのは。

ハニューは実力者で、正面から戦って勝てる相手ではない。
でも、無防備なハニューの後ろ姿に私は「今、この瞬間なら仕留めることができる」と思ってしまったのです。




気がついたら、私は刀を振り上げていました。


しかし…



「フッ…冗談はよせ!」

なにを言っているのか?
そう思い、その言葉の意味を冷静に捉えたとき、私は自分の失態に気がついたのです。


私の動きは完全にハニューに補足されていた。
そして追い詰められているのは自分だと。


奇襲に失敗した今、私の一撃が命中するかどうかも怪しい。
そして、冷静になった今なら分かる。
私が刀を降り下ろそうとしたら、私は蜂の巣になるか、首が飛ぶことになるということが。


私は数え切れないほどの殺気に囲まれていました。
森の中から私の急所を狙っている連中。
お弁当箱を開ける振りをしながら、私を狙っている連中。
花見のシートを広げるのを中断して、私に攻撃を仕掛けようとしている連中。
ジオンの全てが私を狙っていました。

「自殺志願者なのかー?この状況で、スペルカードルールを無視することの意味はわかってるのかー?」
そして、私の首筋にはいつの間にか闇の牙が突き刺さっていました。




私は武人なのに、完全に背後を取られていました。

ハニューから「修行が足りない。」と指摘されたが、本当にその通りだ。
感情に飲まれ、自分が狙われていることも気がつかないなんて…

私は本当に未熟だ…



side 西行寺 幽々子

怯むかと思って、挨拶代わりに幽霊の件について嫌味を言ったら「いやー凄くに役に立ってますよ!!本当にありがとうございます。全てあなたのおかげです。」なんて清清しい位の皮肉で言い返してくるなんてやっぱり凄いわー。

でも、一番凄いと思ったのは橙の件よね~
橙がジオンの敵に回ったら、自らの手で橙を殺すなんて回答が返ってくるとは思わなかったわ。
しかもそれが大したことではないなんて…

ジオンという組織の為とはいえ、同じ仲間として過ごした相手を殺すことにハニューは何も感じないのかしら?





いや、違うわ。
(むしろ、愛情があるからですよ。)

そういうこと…ね。

自分の手で殺すことが、彼女なりの愛情(責任の取り方)ってことなのね。




話術、実力共に優れているのは、過去二回の接触で分かっていたけど…
ここに、組織のために冷徹な判断を下せる決断力まで加わってくることになるのね~

あらあら、本当に困ったわ~






妖夢の暴走を止め損ねたとき、ハニューが始末されていればよかったんだけど…

妖夢によって、不死身のハニューが始末され、ジオンが瓦解する。
一人の凶行により、時代が動く…

フフフ…

物語じゃあるまいし、やっぱり世の中そんなに甘くないわね。



[6470] 第十六話 フラグ?そんなのフルボッコにしてやんよ。
Name: pzg◆1036bac0 ID:601741ee
Date: 2009/10/11 21:18
第十六話
フラグ?そんなのフルボッコにしてやんよ。




side 朱鷺子

興味本位で話を聞いていたんだけど…

ハニューさんって、幻想郷を救おうとしているんだ…

それにジオンもこんなに大きい組織だったなんて…

え?
ジオンに加入すると、こんなに沢山の特典がついてくるんですか!?

「そうです。特に大きいのが、ジオンの庇護が受けられるという点です。
 朱鷺子様がジオンに入れば、誰かに襲われそうになったとしても、ジオン全てが朱鷺子様を守るために戦います。」

ちょ、ちょっと入ってみようかな??
でも、なんだか難しそうだし、入会金とかも色々ありそうだし…

「どうぞ、こちらの契約書に名前を書いていただくだけで、今日から朱鷺子様も我々の仲間です。
 本来なら入団試験がありますが、今サインしていただけるのなら、入団試験無しで加入できます。お得ですよ。」

そっかぁ。
今なら入団試験無しだから、お得なんだ!!
よし、決めた。
「私もジオンに入るよ!!」

「「「ありがとうございます!!!!!!」」」

パチパチパチパチ…






『関わったら駄目だ!!』

そうだ…
霖之助さんがジオンとハニューさんには関わったら駄目だって言っていたんだった…


「あの、ごめんなさい。やっぱり入るの止めます!」






「…そんな!それは困ります!!」


「ごめんなさい、気が変わったんです!!」




「お願いします!!
 朱鷺子様にどうしてもジオンに入ってもらいたいのです!!」

どどど、どうしよう。
こんなに必死になってくるなんて思わなかったよ…
でも入るわけにはいかないし…














本当に、どうしよう…



「やあ皆、仲良くやってる??」


side アイリス

ここまで来て、ジオンに入らないと言われてしまうなんて!

ハニュー総帥から直接命令を頂いた任務。
しかも、妹様のようにハニュー総帥が直々に決めた人材登用。
これはかなり重大な任務のはず…

どうにかして、任務を成功させなければ。


罰を受けることは耐えられる。
しかし、ハニュー総帥に失望されたら…
捨てられてしまったら…



あの子のように、失望された目で…

嫌だ!



どうにかしないと…

何か手は…


「やあ皆、仲良くやってる??」




くっ…

----------


「やあ皆、仲良くやってる??」




大ちゃん達と一緒に、アリスさん達が陣取っている所に行って花見を開始しようと思ったのですが…
朱鷺子さんの姿が見えたので、少し寄り道してみました。

なにこの沈黙…
何だか雰囲気が悪いのですが?

どういうことだ、アイリスが盛り上げるのに失敗しちゃったのか?
盛り上げるのって意外と難しいからなあ。
「アイリス。うまくいかなかったみたいだね?」


「…!!!!」


アイリスどうしたのよ?
顔が青いし、汗でびっしょりだよ!?

酒を飲みすぎたのか!?
まさか、慣れてないのに無理に盛り上げようとして、酒をガンガン飲んだんじゃ…
こりゃ不味いな。
いつリバースしてもおかしくないかも…
「アイリス。気分はどうだ?」



「はい…とても情けなくて辛いです…」
あー
やっぱり飲みすぎで辛いようだね。
「経験を積めば、いずれ辛い思いをしなくて済むようになる。
 情けないと思う気持ちは分かるが、最初は誰でも失敗するものさ。
 俺だって失敗した。
 だから、次を頑張って経験を積んでいけばいい。」
俺も初めてお酒で潰れたときは情けないと思ったものです。
でも、潰れないように飲むのも経験が必要ですし、お酒の強さも経験次第で上がるものですからね。
こうなると次のお酒が怖くなるものですが、まあ経験を積むんだと思って頑張りましょう。

「ハニュー総帥…
 ありがとうございます!次は絶対に期待にそえるよう頑張ります!!!」









皆さんそんな真剣な顔して聞かないでください。
お酒の訓練の話なんて、真剣に聞く話じゃないですよ~

なんだか、妙な感じになってしまいました。
こういうときは、必殺「話題の転換」です。



「朱鷺子さん?最近のお店の様子はどうですか?」

「は、はい。
 えーと…霖之助さんも復帰したおかげで、それなりに順調です。
 でもなんだか、少しお客さんが昔より減っちゃったみたいです…」


お客が減った?


軽い話題のつもりだったのに、何やらヤバイネタが出てきましたよ。

これってまさか…
俺が以前より危惧していた事態が起き始めているのでは…


まず店主。眼鏡をかけた男で大学生っぽい見た目、というか大人。
次、朱鷺子さん。ロリ。

つまりですね、これが俺の元居た世界だったら…
(本日、未成年に淫行を働いたとして、自称古物商の男が逮捕されました。この男は真剣な交際だった、結婚する気でいたと語っており、犯意を否定しています。)
という展開になってしまうわけですよ…

流石にここは警察の居ないゲンソウキョウなので逮捕されることは無いでしょうが…
その代わりというか、結婚して、子供が産まれる所までいってしまうでしょう。

その結果…
店主は世間の冷たい目に晒されることになります。
そしてお店の売り上げは急落するでしょう。

更には、色々な嫌がらせを受けることになるでしょう。
最悪の場合『この変態め!ここから出て行け!』『このロリコンどもめ!』『ロリコン殺しビーム!』という事態になってしまう可能性もあります。


つまり、このままでは色々な攻撃を受けて、結婚生活が大変な事態になる可能性があります。


「朱鷺子さん、もしも何か困った事態が起きたら、頼ってください。力になります。」
世間の評判はとにかく、俺にとっては店主がロリコンであろうと、真剣に愛し合っているのなら友人として祝福してあげるつもりです。
だから、何かあったら力になるから頼ってください。

「え?どういう意味ですか???」

どういう意味って…
しまった、慌てていたせいで、何も考えずに直球で話してしまった。

うう、困ったぞ。あまりここで話す話題じゃなかったかもしれない。
結婚を控えて、将来に希望を描いている朱鷺子さんにどこまで話してもいいのやら。

適当に誤魔化そうか…
しかし、万が一ここで俺が誤魔化したせいで…
問題が起きたときに、助けられなかったら…

くそっ

「仮の話として聞いてください。
 もしも、お二人の結婚に反対する人たちや、お二人があそこで商売することに反対する人達が出てきたら、すぐに頼ってください。
 世の中全てが敵に回ろうとも、味方になってあげますから。」



「は、はい…???」

いまいち飲み込めていないようですけど、今回はこの程度でいいでしょう。

「ややこしい話はこれでおしまい。とにかく飲み食いして楽しんで!!」



それじゃあ、俺はアリスさん達と合流することにしましょう。


side アイリス

ハニュー総帥が直接乗り込んできたのに気がついたときは、全てが終わったと思った。
でも、終わってはいなかった。

ハニュー総帥は心が広く優しい方だ。
任務に失敗した私に優しい言葉をかけ、次のチャンスでまた頑張ればいいと励ましてくださった。


そうだった。
あの子とハニュー総帥はそっくりだが、その性格は全然違うものだということを忘れていた。
ハニュー総帥は、あの子のように簡単に壊れてしまう存在ではなく、太陽のように強く優しい大きな存在なのだ。

だが、ハニュー総帥の心の広さと優しさに甘えては駄目だ。
次こそは、期待以上の働きをしてみせる!


side 朱鷺子

どういうことなのかな。

ジオンへの加入を断ったら、ハニューさんが直接乗り込んできたよ。
それで、あの発言…

これって、ジオンに加入するのが一番いいけど、それが無理ならジオンを頼れってことだよね。

でも、ジオンに頼ったら何をしてくれるんだろう?

そういえばアイリスさんがジオンの特典の説明で…
(そうです。特に大きいのが、ジオンの庇護が受けられるという点です。
 朱鷺子様がジオンに入れば、誰かに襲われそうになったとしても、ジオン全てが朱鷺子様を守るために戦います。)
て説明していた…
もし、ジオンに私が入っていたら、この特典が受けられた。




私達が結婚することに反対したり、あそこでお店を開くことを反対する人達が現れたら、ジオンに頼れ。

つまり、ハニューさんは武力によって私達を守ろうとしているのかも。
そして、そういう武力が必要な事態に私達は陥ろうとしているのかなあ…



いったい何だろう…
私達の結婚がどうして攻撃を招いたり、お店が開けなくなっちゃうことになるんだろう。
霖之助さんに相談してみよう。





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豪華!そして美味すぎる!!!
凄いよねアリスさんの料理!!

重箱なんですよ、重箱。
タワーのように聳え立っています。
しかも、味も超一流。

ルーミアがあまりにも美味しそうに食べているので、俺も思わずアリスさんから貰ってしまいましたよ。
「凄いですよ!こんなにおいしい弁当はなかなか作れないですよ!」


「そ、そう?ありがとう…でも私なんてまだまだよ。もっと美味しいお弁当を作れる人はいっぱい居ると思うわよ?」

そんな照れながら謙遜しなくてもー
実際美味しいですし、なんというか美味しく食べて欲しいという気持ちが伝わってきます。

「今回の花見に参加したメンバーの中でも一番かもしれませんよ?な?ルーミア?お前もこの中で一番美味しいのはアリスさんのお弁当かもしれないって思うだろ?」

「んー?」
んーって、小首を傾げるってことは何か別にルーミア好みのものがあるのか?
「アレが一番美味しそうなのだー」

アレ?

ルーミアの指差す先は…

博麗の巫女?

えっと、ルーミアさんは何を言ってるんですか?
「あの腋とか、凄く美味しそうなのだー」

あのですね。
そういう下ネタは止めて下さい。
おまけに腋が好いって、常識的に考えてマニアック過ぎだろルーミアは…

アリスさんも苦笑いしているぞ!

「ねえルーミア。因みに、俺は美味そう?」

「うーん…ハニューは友達だから食べたくないのだー」

つまり俺は、性的な対象ではなく友達だと。
嬉しいんだが、元男としてはちょっと悲しいような…








「と、ところで、アリスさんってハニューさんと、どういう関係なんですか?」

どういう関係ってリグル…
そんな誤解されるような言い方するなよ。
一言で言うと。
「二人は友達です!」


「そ、そうなの!私達は友達なの!!」
とまあ、アリスさんも認めているお友達なわけです。



「ほ、本当にそうなんですか…」

いやいやいや…
妙に今日のリグルは食いつくな。
まさか、アリスさんに手を出そうとしているのか?
このイケメンめ!!!
お前はアーッって感じの兄貴が好きじゃなかったのかよ?

でもまあ、確かに見た目だと年齢差がかなりあるので、友達に見えないのは分かります。

「じゃあ、証拠を見せるわ!!!」

証拠!?
アリスさん何言ってるんですか!?
友達に証拠も何もないでしょう。

「ハニュー。このお友達の契約書にサインして!」

け、契約書!?



なんて書いてあるのか読めない…
それにですね、こんな契約書にサインしたからと言って、それで友達ってのも証拠にならないと思うぞ。
なんというか…そう、速さ、じゃなくてインパクトが足りない。

「リグル。証拠が見たいというのなら!ここで友達になるための儀式を見せてあげますよ!!」

は?何言ってるんだ?という顔を皆しています。
でも、これはインパクトがある儀式なので、証拠になると思います。

「アリスさん、俺の名前を読んでください。」

「は、ハニュー!?」


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あの後、俺とアリスさんが抱き合いながら名前を呼び合い、俺の髪に着いているリボンとアリスさんの服のリボンを交換しました。
友情の証として、大切な物を交換です。

え?某魔砲少女アニメに似たようなシーンがあったって?
そうです。パクリです。

さっき、夢で見たのも原因の一つですが、正直言って、女の子同士の友達のなり方なんて分かりません。
ということで、インパクトがあって部活のコンセプト的に受けるのを吟味しました。
今は反省している。


といってもですね、名前で呼び合う関係が、友達の第一歩だと俺も思うのですよ。

そういう意味では、調子に乗りましたが、今回の行動は何も間違っていないはず。


アリスさんも喜んでくれましたし、リグルも納得したのか何も言ってきません。
アニメのネタを使ったおかげで、他のジオン部員達からも注目を浴びていましたしね。

我ながら見事でした。





さてと、ひと段落着いたし、自分の弁当も開けようかな?

じゃじゃーん。
おにぎり、卵焼き、ウィンナー!

俺の渾身の一作!
「ハニュー総帥?これは随分とシンプルなお弁当ですね。」
すいません。本当は、俺の技量ではこれで精一杯なんです。

でも美味しいんだよこれ。
「シンプルイズベスト。このメニューは、徹夜で戦う男達の友として親しまれてきた立派なものなんだぞ?」
ネットを一晩中漁っている人たちの夜食としては最高です。

「常にその身は戦場にある、ということですか…」
いや、そんな大げさなものじゃないのですが。
ま、まあでもネットの世界は戦場と言えなくも無いかな?
これって、にとりさんなりのジョーク!?


「ねえ、ハニューちゃん?ちょっとその卵焼きをよく見せてくれる?」

うん?
ミスティアどうしたの?
俺の卵焼きをじっと見て何か分かるの?

「よかった。これは大丈夫な卵みたいね。」

大丈夫な卵?
ということは、大丈夫じゃない卵があるのか!?

「赤ちゃんが入っていた卵かと思っちゃった。私の友達のハニューちゃんがそんなことするわけ無いのにね。ごめんね。」

ええー
何それ。
そんなの分かるわけないじゃないか。

「大丈夫ですよ、ハニューさんがそんな残酷なことをするわけないじゃないですか。」

そんな。
リグルまで…
もしかして、ゲンソウキョウでは有精卵は食べないのが常識なのか?
今初めて知ったのですが…

どうしよう。
見分ける方法なんて、まったく知らないのですが。

こうなったら、卵料理は今後諦めるか?
いや、でもそれは辛い。
どうすればいいんだ?

そうだ。
それなら、見分けることができるミスティアから卵を貰えばいいわけですね。

「ちょっとちょっとミスティア。ちょっと離れた所で話できないかな?」

「どうしたの?」


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「あのさ、突然で驚くかもしれないけど、ミスティアの卵を俺にくれないか?」

「…い、いきなりそんなことを言われても困るの!?」

いきなりじゃ困る?
もしかして、卵を俺に渡すために、何か大変な作業でも必要なのか?

「そこをなんとか。俺も一緒に頑張るからさ。俺のために一緒に俺の卵を用意してよ。」

「い、一緒に頑張るって!?俺の卵って!?駄目よ!大ちゃんが泣くわよ!!!ハニューちゃん、突然こんなことを言うなんてどうしちゃったの!?」

だ、大ちゃんが泣く!?
ミスティアに卵を貰ったら大ちゃんが泣くとな。
意味が分からない。

「どうしちゃったも何も…俺も全然訳が分からないよ~!!」

「訳が分からないって…ハニューちゃん…そこまで…
 もう少しのはずだから、待っててね…」

待つ?待つってどうして…
あれ?
ミスティアどこいくの?


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なにやらミスティアがどこかに行ってしまいました。
いったい、なんなんだ?
とにかく、ゲンソウキョウの卵にはどうやら謎がいっぱいあるのは確かなようです。

仕切りなおしで他の人のお弁当もちょっと見せてもらおうかなあ?


まずルーミア。
「これ食べる?」

何これ?ブドウが着いた帽子!?
帽子なんて食べられないだろ。
「じゃ、食べちゃうのだー」



あまり見ないようにしよう。




にとりさんは…
うわーお。

きゅうりのお弁当ですか。
「美味しいですよこれ?」

ほほう、どれどれ…

シャクシャクシャク
シャクシャクシャク
シャクシャクシャク
シャクシャクシャク
シャクシャクシャク

!!
コーラ味のきゅうり!?
でもちょっとこれは…

「どうですか?」

「好きな人にはたまりませんなー」

「そうですか、よかったです!」

本当は、俺の口には合わないと言っているんです。
ごめんなさい。
味と食感の組み合わせがなんとも苦しい…



「ハニューさん、僕のも食べてください!!」
リグルか?
うう!?随分と可愛いお弁当箱じゃないか。

今日のリグルは気合の入った女装をしているので、凄く似合う光景です。
いつもより、可愛さをアピールした格好をしているんですよね。
思わずドッキッとしてしまいそうでしたよ。まったく困った子です。

さて、中身はどんなのかなー?
なんだ?
なにやらよく分からないものが詰まっている。
味は…

不味!!!

量はいっぱいあるのに、味は不味い!!
リグル飯、不味!!!

おまけに、しっかりと火が入っていない食材とかあるし…

「ハニューさん?どうかな僕のお弁当?」

そんな女の子っぽいポーズでモジモジ聞いても駄目!
正直不味いし、酷い。
でも本当の事は言えないし、まあ男の弁当と考えればそう変な話でもない。
因みに「ゴキブリだからこれで美味しい」ということは考えたくない。
「男の料理って感じだから、まあ好きな人にはこれでいいんじゃない?」

「え?それってどういう?「やっぱり、あたいのベントーがさいきょーよね!!」

「どんなお弁当なのかー?」
チルノも弁当持ってきたのかー



ぱかっ!










「あれ?……何も入ってない。」








チルノならやってくれると思いました。
入れてくるのを忘れたわけですね。

「ハニューさん、入れるのを忘れるなんて、いかにもって感じですね。」
本当にリグルの言うとおりだよ。

「やい!バカにするな!ちゃんと朝には中身を入れたんだぞ!!」

ええ!?
ということは…
どういうことだ?
誰かに弁当の中身を盗まれた!?

誰だよそんなことする奴は…

まさかルーミア??

「流石にそこまで飢えてないのだー
 多分…」

多分じゃ困るんですけどルーミアさん。

「ねえチルノちゃん?どんなお弁当だったか教えてくれる?」
どんなお弁当だったか?
アリスさん、そんなことを聞いてどうするんですか?








「カキ氷!!」


チルノおおおおお!?


それは駄目だろ。
どう見ても溶けています。本当にありがとうございました。

うーん。
前から思っていたが、チルノが一人暮らしってのはちょっと無理があるのではないか…
まあ、それはとにかく、アリスさんお見事でした。

「アリスさん凄いですね。もしやカキ氷を入れてきたのに気がついたのですか?」

「そうじゃないけど、小さい子の相手をするのが慣れているから、一つ一つ丁寧に聞いてあげるのがポイントってよくわかってるの。」

なるほど~それでも凄いなあ。

「チルノちゃん、ほら、私のがまだいっぱいあるから食べて?」

「ありがとうアリス!」

さすがアリスさん。
すばらしいフォローです。

「なんだか、アリスさんがチルノのお母さんみたいですね。」

うーん確かにリグルの言うとおり…
本当にお母さんみたいだ。

「そういえば、チルノのお母さんは今日は来ないのかー?」



「うう…」
ちょ!?
なんかルーミアが地雷を踏んだ気がするのですが!?

「ううう…うわああああああん!!!」

ば、馬鹿!
チルノが泣き出しちゃったじゃないか!?



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話をまとめると。

チルノのお母さんは家に帰ってしまった。
そしてその前に、チルノに「自分は母親ではない」と言った訳ですか。

つまり、認知しなかったということですね。


これは酷い。
自分の娘を認知しないとは。
何か事情があるのでしょうが、一人で置いていかれたチルノのことを考えると、ちょっとねえ。

「チルノ…なんて言ったらいいか分からないけど、俺達がいるから。な?」

「そうよチルノちゃん!寂しくなったら、いつでも私の家に来ていいわよ!」




「ありがとうハニュー、アリス。あたい頑張るよ!レティがあたいのお母さんになりたいって言うほどさいきょーになってやるんだ!!!」

ううう…
チルノ、おまえって奴は…
目から汗が…

本当にチルノは純粋ないい子だな。
大ちゃんもそう思うよね?





あれ?

…大ちゃんどこ?



side リグル・ナイトバグ

ミスティアの作戦通り進めたけど、アリスさんが伏兵じゃないのかなあ。
何度聞いてもアリスさんは友達だって言っているけど…
とても、それだけの関係に見えないんだけどなあ。

チルノの相手をしているアリスさんとハニューさんって、まるで子供の相手をしている夫婦に見えるんだよなあ。


side アリス・マーガトロイド

友達の儀式かあ。
まるで、何かの物語のワンシーンみたいだったわ。

あれは最高ね。
またヘブン状態になりかけたわ…

私も友達の儀式で、この幻想郷でいっぱい友達をつくってみようかしら。

「フフフフフ…」

「アリス?どうしたんだ?」

!!

「なんでもないのよチルノちゃん。」
今は、それよりチルノちゃんの面倒を見るのが先ね。
でも、妹達の面倒と違って、一人で面倒を見ることなんてできるかしら。
誰か一緒に面倒を見てくれる人がいるといんだけど…


side ミスティア・ローレライ

いきなり私に自分の子供(卵)を生んでくれとか言い出したと思ったら、次の瞬間には自分の心が分からないとか言い出すし…
ハニューちゃんって強そうに見えたけど、大ちゃんとの喧嘩であんなに酷い行動をするまで心に傷を負っていたのね。


早く作戦を最終段階に移行して、元の鞘に収めないと大変なことになるわ。


さーて。
その作戦の要となる、大ちゃんの料理は完成したかしら。
調理器具もハニューちゃんへの料理専用としていつも思いを込めていたもの(本人談)を持ち込んだから、失敗もしてないだろうし…



カラカラカラ…
何やってるの!このお鍋空じゃない!?

「ハニューちゃんが幸せなら私はそれでいいの…」

そんなハイライトの消えた目で言われても、全然よさそうには見えないわよ!!

「そんな消極的じゃ駄目よ!大ちゃんもハニューちゃんも幸せにならなくちゃ駄目なの!!」
私の感では、今のハニューちゃんの精神状態なら、ちょっと押せば簡単に落ちるはずよ。
だからチャンスなの。
それなのに、大ちゃんがこの有様ってどういうことなの。


その場で料理という奇策と、私達のバックアップの元で、改めてしっかりと告白する作戦を成功させるためには、一刻も早く大ちゃんの料理を完成させないと。
料理が出来上がるまでに、ハニューちゃんがこっちに来ちゃったり、お腹いっぱいになったら全ては終わりなんだから、とにかく早く準備を進めて…

「いいの!ミスティアちゃんもういいの!私はハニューちゃんの隣に立つ資格なんてないの…だからもういいの…」

何を訳の分からないことを言っているの!?

「ハニューちゃんはこれだけ多くの妖精達を従えて、あんなに強い妖怪達と渡り合ってるんだよ。それなのに私は唯の妖精なの!アリスさんみたいに、ハニューちゃんのやろうとしていることを手伝ってあげることなんてできないの!!!」

ど、どうしたらいいの~!!



「大ちゃんの言っていることは誤解だよ!!そんなことないよ!!!」



----------


何故か大ちゃんが見当たらないので、探しに行ったら…
大ちゃんは何を言っているんだ!?

なにか、とんでもない誤解をされているようです。

「大ちゃんの言っていることは誤解だよ!!そんなことないよ!!!」

俺は唯の部長だから妖精を従えている分けでもないし、花見の皆さんに友好的にあいさつ回りをしただけなんですが。
そりゃ殺しあったらヤバイ人たちばかりなんで、傍から見たらそう勘違いしてしまうのもわかりますけど。

「嘘だ!!私はアリスさんみたいにお手伝いもできない、何もできない妖精なのは事実だもん!!」

うう!?
確かに、メイド長への悪戯の手伝いをアリスさんはしてくれていて…
それがなにやら難しそうなのは事実なのですが…

正直、そんなことに大ちゃんは関わらないほうがいいと思う。

だって、大ちゃんはもの凄く善い子なんだよ!?
絶滅危惧種なぐらいの善い子なんだよ!?


それが、こんな悪戯に加担する必要なんてありません。
しかも、万が一悪戯がばれてメイド長に大ちゃんが攻撃されるような事態になったら…
俺は多分、怒りを抑えることが…

いやいやいや。

問題はそうではなくて、そんな危険なことに大ちゃんを巻き込むわけにはいかない。

だから。

「大ちゃんはこんなことに関わらなくていい!!大ちゃんはいつも通りでいいんだ!!こんなことに関わって、もし大ちゃんの身に何かが起きたらと思うと…だから大ちゃんは関わらなくていいんだ!!」

それに、大ちゃんが何もできない妖精ではありません。
メイド長の虐めに挫けそうになったり、ルーミアに自分のおやつを全部食べられたり、ちょっとしたホームシックになったり、そんな時にどこか家庭的で優しい大ちゃんの笑顔にどれだけ救われたことか。
「辛いときや、悲しいとき、大ちゃんの笑顔に俺がどれだけ救われたことか。俺の願いは、大ちゃんが笑顔でいつも傍に居てくれることそれだけだよ。それで俺は満足なんだ!!」
出会った当初、心の嫁なんて思っていましたが、まさにその通り。
「いつも笑顔で迎え入れて欲しい」大ちゃんは、そんな少女なのです。


「ハニューちゃん…そう言ってくれるのは凄く嬉しい…
 私もずっと傍にいたいよ…
 でも、本当はジオンのお手伝いができない私は邪魔な存在じゃないのかな…
 私、ハニューちゃんの傍に居られないのは辛いよ…
 それでもね、ハニューちゃんの邪魔をするのも凄く辛いんだ…」


大ちゃん…

グニュ!!

何これ!?
俺のほっぺたに何か突き刺さってる!?

「いまの感想を一言!!」

ちょ!?これってマイク!?

「それと、先ほどの発言の真意は何ですか!!いつも傍にということはどういう意味なんですか!?それから、インタヴューが終わったらキスをお願いします。ストーリー的に、それが一番いいと思いますので。」

は?

「何惚けてるんですか?もうカメラ回ってますよ!!」

なにこれ、うぜええええええええ!!


なんで文さん達がこっちに!?
小悪魔さんたちを撮ってたんじゃなかったの!?


あれ?


文さん達だけじゃない。
皆こっち見てるよ!?



居心地が悪いから、ちょっと逃げよう大ちゃん!!!



「ちょっと待ってください!!!!記者会見は!?           キャ!?虫????」



「ここは通しませんよ!!」

「そうなのだー!!ここは通さないのだー」

「さいきょーのあたいを抜くことができるかな?」


----------


いやーびっくりした。
神社の本殿まで逃げてきちゃったよ。

でもおかげで、大ちゃんの言っている意味を改めてまとめることができました。

どうやら大ちゃんは、ジオン部の部長やメイド長へ悪戯について俺がもの凄く力を注いでいると勘違いしているようです。
それこそ、そのためには役に立たない人を切り捨てるぐらいに…

そんなわけないです。
何故そういう誤解になったのか、色々と原因はあるのでしょうが、とにかく誤解です。
だから誤解は解かないと。

「大ちゃん、俺が大ちゃんよりジオンの方が大切だなんて思うわけ無いよ!嘘だと思うのだったら、今すぐ辞めてもいいよ。」

「ハニューちゃん!?辞めるって…ジオンのこと!?」

「そうだよ、大ちゃんのために辞めるよ。」
大ちゃんが凄く驚いてます。
でも、そんなに驚くことなのだろうか?
正直、部活を辞め、悪戯も止めるぐらいだから、あんまり大したこと無いと思うのだけど。




「駄目…駄目だよハニューちゃん。ハニューちゃんはジオンを辞めたら駄目だよ。
 でもありがとう。そこまで言ってくれて…私は凄く幸せだよ。
 ごめんねハニューちゃん。ハニューちゃんは全て終わったら必ず帰ってくるって、紅魔館に行くときに約束してくれていたのにね…
 アリスさんみたいな人とかが、ハニューちゃんの周りにどんどん集まってきて、もの凄く不安になってきちゃって…
 でももう大丈夫だよ!
 
 だけど…       一週間に一回は絶対に帰ってきてね!」


( ゚д゚)…


( ゚д゚ )


これって、もしかして大ちゃんは俺の事が好きなのに、色々な女性と俺が出会ってばかりいるから嫉妬してたってこと!?

「だ、大ちゃん!?もしかして、俺のこと好きなの!?」

「当たり前じゃない!!ハニューちゃんのことが私は好き!大好き!!」

な、なんだってー!?????

お、落ち着け俺。
まだ慌てるような時間じゃない。

「う、嬉しいよ。色々と店主と同じ状態になっちゃうけど、大ちゃんから付き合いたいって言われるなんて夢のようだよ…」
し、しかし。
これは色々と不味い事態に…
これじゃ店主と同じく俺の所にもベアード様が…

「ハニューちゃん。付き合うってどういう意味?」

!?

「あの…大ちゃん?変なことを聞くけど、LIKEとLOVEの違いってわかる?」

「わかんない。」

「じゃ、じゃあ第二問。チルノ達は大好き?」

「うん。大好き!」



orz

そういうことですか…
大ちゃんの好きってそういう意味ね…

つまり、LOVEじゃなくてLIKE。子供の好きってレベルの話だったのですね。
いやまあ、大ちゃんの見た目で気がつけよ俺…





side 大ちゃん

どうしたんだろうハニューちゃん?
なんだか落ち込んじゃった????

「突き合う」の意味とか「らいく」とか「らぶ」とかの違いが分からなかったのいけなかったのかな?
だって「突き合う」なんて、殺し合うって意味ぐらいしかわからないし。
「らいく」とか「らぶ」なんて単語聞いたことがないんだもん…



でも、やっと言いたいことが言えたよ。

私はハニューちゃんが好き。
凄く好き。
よくわからないけど、チルノちゃん達とは違う意味で好き。

だからずっとずっと永遠に一緒に居たい。
一緒に暮らして…
そう人間がよく言っている恋人というのになって、その後は夫婦というのになりたい…







ミスティアちゃんが言うには、そうすれば永遠に一緒に居れて、赤ちゃんも産まれるっていうんだけど…








----------





あうう…
さっきは久しぶりに凹んだ。

そんな俺に神様か誰か、手を差し伸べてください。











お!?
そういえば、俺は本殿まで来ているのに、周りの目が無くなっているじゃないか。
これは色々と調査するチャンスだ。

こちら、スネーク。
これより進入を開始する。



[6470] 第十七話 頭の中が春なのかー。
Name: pzg◆1036bac0 ID:601741ee
Date: 2010/03/03 20:36
第十七話
頭の中が春なのかー。


side アリス・マーガトロイド

「まあまあね…」

この子は、どうして勝手に私のお弁当を食べているのかしら?

「なによ?ここは私の神社よ?」

はあ…
全然理由になっていない気が…


「…ちょっと昨日から食料を切らしていたとか、紫に食べ物をたかろうとしたら橙から哀れんだ目で見られたから怯んだとか、ハニューから貰ったお金で買出しに行こうとしたけどお腹が空いて人間の里まで飛んでいく力が残ってないとか、困り果てた時に目に入ったこのお弁当がもの凄く美味しそうに見えたとか、そんなんじゃないわよ。」

グゥ~
「今のはちょっとお腹がなっただけよ。お腹が空きすぎて、これぐらいじゃ全然足りないとかそういうわけじゃないのよ!!」


……
橙ちゃんが哀れんだ目で見るって…
この子はいつもどんな食生活しているのよ?


「その目疑ってるわね!?博麗の巫女である私が、ハニュー一味のお弁当なんて好き好んで食べるわけないでしょ、これはそう、毒見よ毒見。あなた達がお弁当で何か悪さをしないか、私が確認しているのよ。」

これは博麗の巫女としての仕事だと言いたいのね。
でも、汗でびっしょりだし…冷汗?
それに毒見って…
本当に毒が入っていたらあなた死ぬわよ?

こんな下手な嘘しか出てこないなんて、ハニューとは違う意味で不器用な子ね。

「じゃあ、口をつけた後のこっちは食べていいのかー?いただきまーす。」


「ちょっとそこの闇夜の妖怪!食べるなー!!」


「どうしてなのかー?」


「ほ、ほら、えーと…もしかしたら、まだ食べていないところに毒が入っていたら大変でしょ!?だから、全部私が食べないと駄目よ!!!」

まったく困ったものね…
ちゃんと食べたいと一言、言えばいいのに。


「△□×!!○○□□□!!××△!!」


「アリスー、文が何か言ってるよ?」

やっと反省したのかしら?
さっき捕まえたときは、報道の自由があるから解放しろとか言って、全然自分の否を認めなかったから困ったのよね。

ちょっと猿轡を外してあげて…
「×××!ぶは!!
 アリスさん!私の秘蔵コレクションを少し分けてあげますから!解放してもらえませんか?」

は?

「どの写真も可愛い子ばっかりですよ!チルノちゃんとの会話を聞いてティン!と来たんですよ!!
 あなたは私の同類だって!!可愛いは正義ですよね…

 あれ?違いました!?じゃあ、椛を一日自由にできる権利をあげますから、ほら!モッフモッフですよ!!
 ちょっといらない所までモッフモフなのが欠フガ!?○□×△△!!!!」


チルノちゃんの教育に悪いから、当分このままの方が良さそうね。


side 西行寺 幽々子

「そんなに警戒しないでいいのよ~。さっきの妖夢の暴走は、ちょっとした事故なんだから~
 よく思い出して、私達は亡霊や幽霊をあなた達ジオンに提供しているのよ~
 つまり、私達は協力関係…いや、同盟に限りなく近い協力関係にあるのよ~」

「え!えええ?同盟に限りなく近い協力関係???た、確かに、そうなのかな???」
フフフ…
動揺しているわね~
流石に中枢付近の子達は一筋縄では行かないみたいだけど、こういう末端の子達は結構普通の妖精に近い感じね…
情報収集がやりやすいわ~

「そんなことより、さっきから盛り上がっていたハニュー総帥の体中の痣について教えてくれないかしら~」

「え…でも…」

「誰にも言わないから~。私も同盟に限りなく近い協力関係にある者としてハニュー総帥の体調が心配なのよ~」


今日、ハニューの着替えを見たこの子達によると、着替えたときのハニューの肌には、何か痣のような物が無数に残っていた。

そして、他のグループからの話では、側近のルーミアは昨晩部屋にいなかった。

さらに違うグループの所で聞いたところによると、今日は何故かルーミアが朝一番からハニューの部屋に居た。しかも、噂によると小悪魔が朝一番から部屋に居たときもあった。

これは面白い話ね~

side 魂魄 妖夢

幽々子様…
先ほどから、ハニューの部下達の所を積極的に周っていったい何を??

なにやらとても嫌な予感が…

----------


side ハニュー


さてと、早速ゲンソウキョウ脱出のための調査を開始しましょう。


うむむ。
こうやって見ると、どう見ても本物の神社に見えるな。
しかしその可能性は低い。

これは本物ではないはずだ。
これは『神社の巫女』という設定の博麗の巫女のために作られたものであり、神社の機能が求められて作られたものではないはず。

恐らく、外回りはダミーで中に本来の目的のためのハイテクな感じの施設があるか、全てがダミーのどちらかになっている可能性が高い。

この仮説が正しいかどうか確認するためには、神社としてはおかしな点を見つければよいわけですね。わかります。

では早速、目の前にある賽銭箱からチェックしてみましょう。





何も入ってない。



「こちらスネーク。大佐、どうも様子がおかしい。」
 
 (どうしたんだスネーク?何がおかしい?)
 
「賽銭箱が空になっている。蜘蛛の巣も張っていて、最近使われた様子が無い。」

 (なるほど…確かにおかしいな。調査を続行しろスネーク。さらに何か出てくるはずだ。)

気分はスネーク。
ということで、一人スネークごっこをやっていますが、本当に脳内大佐の言うように調査を続行すれば色々と出てきそうな気配です。

貧乏巫女ということですが、それにしてもここまで賽銭が入った気配がないというのは異常です。
蜘蛛の巣とか張ってるし、なんだか土ぼこりが底の方に溜まっています。
むしろ、貧乏巫女だからという理由より、ここは神社ではないからという理由の方がしっくりきます。

決定的な証拠ではないですが、当初の読みどおり、ここは神社とは別の目的の施設であることの証拠と言えるでしょう。
脳内の大佐も怪しいと言ってますしね。


よし内部に入って調査だ。



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ここは、博麗の巫女の居間?

おかしいぞ、生活観に溢れている。

神社に付属している居宅の居間に侵入したのですが…
どう見ても普通の居間に見えます。

そう、普通の居間。
戦闘マシーンである博麗の巫女が普通の居間に住んでいるだと!?
そんなバカな…

しかし、この生活観が感じられる居間はどういうことだ!?


例えば、室内に干されている肌着。
妙にゴムが伸び切っている…
いったい何年間使い続けたらこうなるんだ??

そして、文々。新聞。
何故かティッシュペーパーの箱の中に入っている。
まさか、ティッシュの代りに新聞を使っているのか!?


生活観溢れるどころじゃねーぞ。


いや、騙されたら駄目だ。
これは、ここに博麗の巫女が住んでいるように見せかける偽装に違いない。
俺の仮説が正しければ、ここには博麗の巫女は住んで居ないはずなんだ。



どこかにおかしな点があるはずだ…


例えば、このタンスとか!


!?

                                ブーン…
なんだこれは…

腋が開いた巫女服ばっかりじゃないか…
私服は…



一枚も無い?????




これはおかしい。

いくらなんでも服の種類が少なすぎる。

いや、しかし…
戦闘マシーンである博麗の巫女なら服の種類が少ないのも頷ける…
どっちなんだ!?

とにかくもう少し調査してみよう。




おや、ここは台所か。


「こちらスネーク。大佐、応答してくれ。」

(どうしたんだスネーク。)
 
「大佐、台所に侵入した。」

(よくやったスネーク、冷蔵庫等を調べてみろ何か重要な手がかりがあるかもしれない。)

なるほど、流石脳内大佐。
冷蔵庫を調べれば、食料の状況が分かります。そしてそこがポイントです。
例えば、長期間滞在する施設なら、生鮮食品などといった新鮮な食料があり、逆に短期滞在するだけの擬装用の施設なら、保存食ぐらいしか無いはず。
つまり、食料の状況から、ここが本当に博麗の巫女の家なのか、擬装用の住いなのかどうか判断することが可能です。

冷蔵庫、冷蔵庫…





??


冷蔵庫が無い。


じゃあ、食料はいったいどこに??








バカな!?
隅から隅まで探したのに、お茶以外何も無いだと…




この展開は予想しなかった。
でも、これで決まりだな。
冷蔵庫無しで食料がどこにも無い。
いくら彼女が戦闘マシーンであったとしても、人間ベースの体だと考えられるため、食料は必要だ。
つまり、ここには寝泊りすらしていない可能性が高い。

当初の仮説の片方が当たったようだな。
ここは寝泊りできるような施設ではない、よってここは博麗の巫女の家ではない。
そして、内部にハイテクな感じの施設も無かった。
つまりここは、全てがダミー。




本当の拠点は別にある。





しかし、そうなると、完全に糸が途切れてしまったな。
本当の拠点に繋がる何かがあればいいのだが…



とにかく、他の部屋も調べてみるか。




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ここは寝室か…
布団が出したままになっている。

パン!パン!

叩いてみた。少し湿っぽいがこれは本物の布団のようだ。


ここにも、タンス発見。

なかには、下着がいっぱい入っている。



古臭いデザインのが多いな…

「そういう趣味があるのですか?と、私は少々真剣に尋ねてみます。」

!?

「ハニューちゃん…これはどういうことなの…
 どうして、霊夢さんの下着を漁っているの??」


しまったあああ!
大ちゃんがついて来ているの忘れてた!!


勝手に女性の寝室に侵入して、下着を物色する俺。
どう見ても犯罪者です。

どどどどうするよ。

うまく逃げる方法は…


落ち着け俺。
俺の見た目は今、女の子だ。
女の子の俺が下着を物色しているのなら、まだ言い訳が立つかもしれない。
なんというか、女友達同士で、この下着カワイー、私も欲しいなー的な感じで。

「いやちょっとね。偶々タンスを開けたら下着が入っていてね。この下着、俺にも似合うかなーってね。
 どう?大ちゃんはどう思う?」

適当に下着を引き抜いて、俺の体につけるポーズ。
これなら、少なくとも変態的には見えません。



なんだこの下着!?
包帯???

さ、サラシって奴か。
なんでこんなもの入ってるんだよ。

「ワイルドな感じで、ハニューちゃんによく似合ってると思うよ…」

そ、そうですか。
サラシが似合う女の子なんですか俺は。
というか、先の事を考えていなかった。次は何を話そうか…
                               「ガラ!」

                               「お前がハニューか!私は…」
「そ、そう?じゃあ本当に似合うかどうか、着けて試してみようか?
 ここだと、俺達以外には他に誰も居ないからね…
 じっくり見せてあげるよ…」


「ハニューちゃん??????
 そんな言い逃れの仕方ずるいよ…」





「キャッキャウフフしてんじゃねえ!!!!」





誰だこの幼女?
角の生えた幼女が何故か赤い顔をして叫んできましたよ?



side リグル・ナイトバグ

いいのかなあ、こんなことをして。
ハニューさん達の様子を僕の眷属を使って覗き見るなんて…

「安全のためでもあるのだー」

そりゃ分かっているけどさあ。
あれ?
ルーミア、さっき僕の頭の中に突っ込みを入れなかった??

「ねえどうなの?二人の雰囲気はどう??」
そう焦らないでよミスティア。

「二人は今、博麗霊夢の寝室にいますね。」

「寝室!?」

『いやちょっとね。偶々タンスを開けたら下着が入っていてね。この下着、俺にも似合うかなーってね。
 どう?大ちゃんはどう思う?』

「それで、この下着が似合うかどうかってハニューさんが大ちゃんに聞いてるみたいだよ。」

「下着!?」

ミスティア?
あまり大声出さないでよ。
何故かさっきから映像が乱れて大変なんだから!

『ワイルドな感じで、ハニューちゃんによく似合ってると思うよ!』

「大ちゃんがよく似合っているって言ってる。」

「チンチン!?じゃ、じゃあもう下着しかつけてないのね!?」


『そ、そう?じゃあ本当に似合うかどうか、着けて試してみようか?
 ここだと、俺達以外には他に誰も居ないからね…
 じっくり見せてあげるよ…』


「ここじゃ誰も居ないから、試してみようだって。じっくり見せてあげるだって!」

「勝負下着を試すのね!?」
「そうなのか、そうなのか。」

!?
回線が切断しそう??

!!
眷属からの警報!?
魔力の異常増大!?
直ぐに対象の映像を送って!!!!

駄目だ、魔力の波動で回線が切れちゃう!?
                               
                             「チンチン…もしかしたら、私があの場所にいたのかも…
                              二人の仲が進むことは歓迎すべきことなんだけど、ちょっと複雑…」
行動をオートに設定。
魔力の発生源を追いかけて!!
                             「何か言ったかー?」
ハニューさんなら、これだけできっと分かってくれるはず。

                             「な、なんでもないわ!」

side 伊吹 萃香

ハニューは、どっちが本当の顔なんだ。
挨拶周りをしていたときは、間違いなく強者の顔だった。
でも、あの大ちゃんという奴と、好きだのどうだのという会話を聞いていると、まるで唯の恋に翻弄される子供そのものじゃないか。
そこだけを見れば、とても強者には見えない。

本当に何なんだこいつ…




そして今は神社の中…
奴は何をやっているんだ?何かを探している??
霊夢の家に何かが隠してある?
この貧乏な家には、そんなものは無いはず…



いやある。


私だ。


ここには私が隠れている。
私を探し出そうとしているのか?


…なるほど、そう考えるとやはり油断ならねえな。
まさか、あの大ちゃんとやらとの会話も、神社進入のための演技ってことか?

よし、そういうことならお望みどおり姿を現してやろう。



「ワイルドな感じで、ハニューちゃんによく似合ってると思うよ…」


ガラ!

「お前がハニューか!私は…」
                             

「そ、そう?じゃあ本当に似合うかどうか、着けて試してみようか?
 ここだと、俺達以外には他に誰も居ないからね…
 じっくり見せてあげるよ…」



「ハニューちゃん??????
 そんな言い逃れの仕方ずるいよ…」





ここには誰も居ないからと言って、下着を試そうとか言っている少女。

それを聞いて顔を真っ赤にする少女。

そしてこの二人は、先ほどまで好きだの何だの言っていた。

おまけに、床には布団。






そういうことなのか?
そういうことなんだな?

そういうことをする場所を探して神社に進入してたんだな??


ふ、ふざけるな!!!
「キャッキャウフフしてんじゃねえ!!!!」


side 博麗 霊夢

「霊夢!霊夢!ちょっといいか?」

「…ムゴ!ムゴゴゴ!!○△☆××□○△!!!!!」
なによ魔理沙!こっちは食べることで精一杯なのよ!もうちょっと後にしてちょうだい!


「お前の言いたいことはなんとなく分かったぜ。でもちょっと席を外して私の話を聞いてくれ。」

仕方ないわね。
いったい何なのよ。

----------

「ハニューの姿が消えている。」

え?
あいつは、神社の裏あたりでキャッキャウフフしているんじゃ。

「間違いなくどこにも居ない。それにさっきまで充満していた変な魔力が突然無くなった。」

変な魔力!?…あの妖気のこと?
…確かに無くなってる…
なによこれ…

「霊夢おかしいと思わないか?花見のたびに強くなる魔力。それにつられてか何故か終わらない花見。
 そして突然乗り込んできたハニューと突然消えた魔力。

 どう考えてもこれは異変だぜ。」

異変…?





「わ、私の神社で異変ですってーーーーーーーーーー!!!!!!!!」



「落ち着けよ霊夢。」

落ち着いていられるわけ、無いじゃない。
こうしちゃいられないわ、異変の元を早く断たないと。


「お、おい!ちょっと待てよ!!」














「紫!起きなさい!!」
まったく、このスキマ妖怪は、なに酔っ払って呑気に寝てるのよ!
ほら蹴っちゃうわよ!!

「キャ!!そんな!?寝ているときに襲ってくるなんて、これが世に聞く夜這いプレイという奴なの!?17歳の私にはハードすぎる「寝ぼけるなー!!!」

「霊夢?どうしたのよ?」
どうしたのですって、状況が見えたのよ!!

「異変解決よ!!!!!!!!状況を説明してあげるからよく聞きなさい!!
 今の私の脳みそには、糖分が満ち足りているのよ!!!!だから私は、今ここで起きている複雑な状況を解決する方法が分かるわ!
 ハニューは言っていたわ。『そっちこそ…花見がしたいという言葉…何か間違っているんじゃないですか?本当は、花見がしたい訳じゃ無いですよね?』
 ってね…
 つまり、この花見を裏から操っている奴がいる。そして、ハニューはそいつを退治するためにここにやってきた。」

「話が急でよくわからないけど…
 じゃ、じゃあ、これからその元凶を倒しに行くのね?」

そう、元凶を倒すわ…

「え?どうして私の方を向いて札を出してるの!?」

「今から異変を起こしている奴の所に行ったところで、ハニューの手助けになるだけだわ。でも、さらにその元凶を叩けば、私はハニューの上に立つことができる!!!!
 花見の度に感じる妖気。それはこれまで幻想郷では感じたことが無いタイプのものだったわ。つまり、この異変の元は幻想郷の外から来たもの。
 となるとおかしいわね?そんなものが入り込んできたら、真っ先に知っているはずの奴が目の前にいるわ…


 紫…あなた、全て知っていた上で放置していたわね!!!!それがこの異変の本当の元凶!!!!!!」


「えええ!?そこまで大層なことを考えてないわよ!!!!ちょっと昔の友人が尋ねて来ただけよ!!!」


「問答無用!!!」
とにかく紫を叩いて全て解決よ!


「なんだか凄い理論だぜ…とにかくパチュリーを逃がしたほうが良さそうだぜ…」




side レミリア・スカーレット

面白い展開になってきたわね。

「行くわよ、咲夜。霊夢を援護するわ。」

「わかりましたお嬢様。我らの力で、あのスキマ妖怪を倒しましょう。」
いい答えね、流石咲夜ね…

「クックックッ…ライバルだと思っていたスキマ妖怪が、霊夢と仲違いするなんてチャンスだわ…
 これで霊夢の心は私のモノよ!!」
これは本当にチャンスだわ…
スキマ妖怪の株を落とし、霊夢を私だけのものにしてみせる!!

「フラン!!!あなたは、これから起きる戦いをよく見て勉強しなさい!!!!!」
それに、フランに色々と勉強させるには良い機会ね。



「嫌よ!」

フラン!?何を言い出すのよ!?

「よく分からないけど、霊夢がスキマ妖怪に勝ったら、ハニューが困るんでしょ?
 霊夢は違うけどハニューはお友達だもん。お友達が困ることをするのは嫌!!」

まったくこの子は…
「お姉ちゃんの言うことを聞きなさい!!!」

「嫌よ嫌よ!お姉様こそ、ハニューを困らすことをしないで!!!!!!
 絶対に霊夢を助けちゃ駄目!!!!!」

「フラン!退きなさい!!」

「嫌!」

「お仕置きするわよ!!」

「それでも嫌!!」

バカなことを…

これは仕方ないわね…



「パチェ!!!!」

「お嬢様。パチュリー様は、つい先ほど屋敷に戻られました。」

な!?
まあいいわ。
フランなんて、咲夜と私のコンビで十分よ。


共に戦ってくれる優秀な従者を持てるか持てないか、それが戦力にどれだけ大きな影響を与えるか、フランに教育してあげるわ…
敗北から、何故一人で戦うことになったのか、何が自分に足りなかったのかを勉強しなさい!!



side 小悪魔

「魔理沙に何も言わずに帰っちゃったけど、大丈夫なのかしら…」
魔理沙さん。大切な人を落したい時は、絶対にその人から目を離してはいけないのですよ。
こうやって、ライバルが大切な人を連れ去ってしまうかもしれませんからねw

「多分大丈夫ですよ。魔理沙さんはパチュリー様の相手をするより、大事な用事ができたから居なくなったんですからね!
 そんなことより、お屋敷に戻ったらまずはお風呂にしませんか?今は人が少ないですから大浴場を二人だけの貸切に出来ると思いますよ!!!」

「二人っきりでお風呂…?何を言うのよ…」

「あれ~?お風呂嫌いですか?」

「そ、そういうわけじゃ…」

「じゃ、決まりですね!隅々まで洗ってあげますから…」

魔理沙さんには悪いですけど、別に嘘は言ってませんからね。
お酒が入ったパチュリー様と二人でお風呂。
これは関係をぐっと近づけるビッグイベントの予感です。

ついに来た!私の時代が!!!

『以後はXXX板、外伝 小悪魔とお風呂 に続きます』

























はっ!?

変なフラグを立てかけましたか!?
駄目駄目!!
ここで一気にパチュリー様を襲ってチャームの魔法をかけたら駄目なの!!
それじゃ普通の淫魔と同じじゃない!!

本当に好きだからこそ、パチュリー様はちゃんと、テクニックで落さないと…


side 霧雨 魔理沙

パチュリー?
パチュリーはどこにいったんだぜ???

えーとそこの河童?
「パチュリーはどこに行ったんだぜ??」

「パチュリーさんは、さっき帰りましたよ。」

そんな…パチュリー酷いぜ…


side ミスティア・ローレライ

「おい!ハニュー総帥の救出はどうなってる!!」

「既に、親衛隊とルーミア副指令が向かっています。」

「よし!各隊に繋げ!
 作戦指揮はシトリン指令代行が取る。
 各隊は、訓練どおりに行動することのみを希望する。以上。」

「戦闘空域拡大。博麗霊夢 八雲紫 八雲藍 橙 レミリア・スカーレット 十六夜咲夜 フランドール・スカーレット の7名が戦闘を開始しています。」

「各隊に通達。奇数番の小隊より乱数加速により後退開始。再集結点まで後退せよ!」


『シトリン指令代行。そこまで細かい指示を出さなくても、各小隊長は自らの判断で行動できるはず。肩から力を抜いた方がいい。』

「!!アイリス…。実戦での初指揮で舞い上がっていた…。助かった、ありがとう。」

『貸し一つ。通信終わり。』






「アリス様、戦闘部隊の指揮系統に入っていない、技術畑のあなたに頼むことではないが…
 戦闘の影響で一部の部隊との通信が困難になっています。
 そのため、アリス様の人形を通信機代わりに使わせていただきたい。」

「でも!!チルノが一人で飛び出しちゃったの!!!できたら私も追いかけて…」

「分かりました。妹様直援部隊と高練度の一個小隊をチルノの支援に投入します。
 これで了承してもらえないだろうか?」

「う…うん…」

「このまま司令部は、再集結点に後退する!我々の後退を敵に悟らせるなよ!!
 マリーダ! チルノとの合同訓練を重ねた部隊の中で、高錬度の小隊はどこになる?
 
 !!
 左翼の部隊!弾幕薄いぞ!なにやってんの!!」


チンチン、なんだか大変なことになってきたわ…
突然戦闘が始まるし、ハニューちゃんは今何をしているか分からないし…
どうなっちゃうのかしら…



それにチルノちゃん、突然「助けに行かなくちゃ!」とか言って飛び出しちゃったよ、戦闘に巻き込まれてなければいいんだけど。

「大丈夫だよ、ここ一年近くずっとジオンの一員として戦闘訓練をしてきたから、チルノだって簡単にやられたりしないよ。」

リグルちゃん…


そう、そうだよね!




「プリズムリバー三姉妹、完全に沈黙。」






----------










side ハニュー



なるほど、幼女の癖に大酒豪なわけですね。
だから赤い顔をしていたわけですか。

なにこれ、新ジャンル?



この幼女、名前はスイカというそうです。

突然部屋に入ってきた時は俺達を捕まえて、順番がおかしいだの、もう少し場所を選べとか訳の分からないことを言ってきて「なぜ突然酔っ払いに絡まれるの!?そんなに興奮せずにゆっくりしていってね!!」って感じで困りましたが…
話してみると、居酒屋かどこかで話しているみたいな雰囲気を持った、話しやすい相手でした。

気がつけば意気投合して、一緒にお酒を飲んでいます。
そこまでは良かったのですが、現在困っております。


まず、このスイカちゃんが持っているひょうたん。
美味しい日本酒が、もの凄く沢山入っています。

ところが、どうやら俺の体、相当な下戸のようです。

日本酒をひと舐めしただけで酔っ払うってどういうことなの…

あれ、おかしいな?
普段お酒は飲まないけど、妹様のお披露目のパーティとかで大ちゃんと一緒にお酒を飲んでいたと思ったんだけど…
小悪魔さんとミスティアの屋台で飲んだときみたいに、話をしっかり聞くために、自分のグラスだけお酒に見せかけた水に入れ替えていたわけではないし…
どうなっているんだ?

「ねえ大ちゃん。去年の妹様お披露目パーティで俺はお酒飲んでいたよね?」

「うん飲んでたよ。『シャン○リー』というお酒。」

!?
シャ○メリーはお酒じゃないよ…
ノンアルコール飲料、アルコール度数1%未満だよ…

あれ?俺ってアルコール度数1%未満で酔っ払っていたわけ!?

「あれ私も大好き。でも、年末になるといつも見当たらなくなっちゃうのが不思議だよねー」

嫌な予感がしてきました。

「あのさ、大ちゃん…正月に紅魔館に集まって大騒ぎしたじゃない。
 その時、メイド長がお嬢様や俺達に配ってくれた日本酒があったよね。
 確かあの時、大ちゃんがお酒の名前をメイド長に聞いていたよね?
 名前覚えてる?」


「えーと。『純○元気水 呑んだ気分』という名前だったと思うけど…」
聞いたこと無いけど、元気水、呑んだ気分という名前なので、どう考えてもアルコール度数1%未満です。
本当にありがとうございました。

まさか、紅魔館にはお酒が殆んど無いんじゃ…
トップがお子様だからなあ…

それはともかく、俺は間違いなく下戸ということですね!!!

なんか、景色がぐるぐるーってなってきましたよ。

まあ、さっきから外の方が妙に騒がしいので、静かに飲めるという点ではもの凄くいいんですけどね。


「ところで、さっきからこういう奴だとは思わなかったとか何度も言っていますけど、俺のことを知っていたのですか?」
そうなんです、何故か俺のことを知っていたような口ぶりなんですよね。

「私は昔から、ジオンの活動とその総帥であるお前の行動に注目していたんだ。」
なんと!
まさかスイカちゃんも俺達の同類なのですか!?

「だから、一度話してみたいと思っていたんだ。」
そうなのですか。
俺も、同じ趣味を持つ仲間は大好きです。
「俺もですよ。」
俺もスイカちゃんといっぱい話したいです。

「なんだって!?」

「そうだ!突然ですけど、ジオンの仲間になりませんか?」
そうです。いっそのこと、スイカちゃんも同じジオンの仲間に迎えてしまいましょう。
紅魔館で働いていないスイカちゃんを入れることはできるのか?という疑問もありますが、大ちゃん達も入っているみたいですし何か方法があるのでしょう。




「…ちょっと考えさえてくれ。」
といっても、いきなりそんなこと言われても困りますよね~
スイカちゃん、腕を組んで考え中です。




あ…
スイカちゃんの答えを待っていたら、ちょっとトイレに行きたくなってきた…

「ちょっとトイレに行ってきますね。」
「え!?私も着いていっていい?」
大ちゃんもですか?

「オウ。」


----------


ふぅー
すっきりー

「ハニュー総帥!ご無事でしたか!!!!」
「無事なのかー?」
あれ?
アイリス達とルーミアがどうしてここに!?
というか無事ってどういうことよ?



ドドドドドド…


「落ちろ!!!!!」
ドーーーーン!!!!


えーと…
外を見たら、そこは戦場でした。
どうなっているのよこれ。

「ハニュー総帥…この状況をどう思われますか?」
う…
何だか、何か俺に言ってくれという雰囲気がものすごーくアイリス達から出ています。

どう思うって、喧嘩は駄目よって感じだけど…

ジオン部の部長だから、やっぱりネタに走らないといけないのかな…

うん。ハニュー「総帥」と言われているから、やっぱりこれはネタ振りだな。

えーと。
ネタ…ネタ…

(そんなこと僕は知らないね!殺らなきゃ殺られる、そんだけだろうがぁぁぁぁぁ!!!)

とガンダムSEEDのクロトみたいに言ってみたい気もするが、まったく俺の感想に合っていないから没。

なんというか、こういう感情丸出しの喧嘩は駄目よ。
ちゃんと、こういう喧嘩が起きないように管理しなきゃ駄目よっていう俺の気持ちを表しているような台詞は…


あった!!

原作と同じ様に、高慢かつ天才っぽい感じの演技をしながら…
「…ん!…不愉快だな、この感覚は…生の感情を丸出しで戦うなど、これでは人に品性を求めるなど、絶望的だ。やはり人は、よりよく導かれねばならん。指導する絶対者が必要だ。」
Zガンダムのラスボス的存在、シロッコの台詞をシロッコのモノマネをしながら言ってみました。
原作では、ラスト付近で戦いを見ながら、人類の導き方ついて語っている所です。

こちらでは、そんな大層なレベルではなく、主に博麗の巫女とストーカーさん(あとお嬢様と妹様の姿もチラホラ…)が喧嘩しているレベルなんですけどね。
結構正直な気持ちです、あんなウオオオオという感じで暴れまくってる博麗の巫女はちょっとよくないと思います。
一応美少女の枠に入る顔を持っている博麗の巫女ですが、なんというか色々と残念な状況に…

それに、博麗の巫女は一応はここの責任者なんだから、率先して戦闘の中心に居ちゃ駄目ですよ。

「は、ハニュー総帥…あの…」

あれ?
何だか皆さん驚いたような、興奮したような表情をしてますよ?
ネタ的には当たったけど、そういうことを聞くために来たわけじゃないって感じ?


あ、そうか。
俺は、ジオン部の部長だから、この状況に対して部長としての指示が欲しいというわけですね。
しまった、しまった。
そりゃそうだよな、こんな戦闘状態になったら、部活の責任者である俺の所に慌てて指示を仰ぎに来るに決まっているよな。

なぜ意見を求められたのか?って少しでも考えたら分かるだろ俺…
ちょっと酔っ払いすぎだな、もう今日は一滴もお酒を飲まない方が良さそうだな…
といっても、これまで数滴しか飲んでないけどw

とにかく、あんな危ない場所に部員を置いておくわけにはいかないな。
いつ巻き込まれるか…
あれは…妹様とお嬢様に…ありゃーこりゃ不味いな…もう巻き込まれてるよ…

「モビルスーツ隊を撤退させる。ドゴス・ギア、全速後退。


 ハハハハハ…時の運はまだ動いていないということか…」

「は!?失礼ですが、モビ「了解なのだー」
勢いでまたアクシズと初接触した時の、シロッコの台詞からパクッてしまいました、でもかなり真剣だったりします。
既に一部が巻き込まれているので、とにかくここから早く離れたほうが良さそうです。

「ハニューはどうするのかー?」

「俺は、まだやることがある。」
撤退するとはいえ、萃香ちゃんに何も言わずに帰るのは酷いですからね。


                         「アイリス。リアリティは大切なのだー」

                         「!!!!そういうことでしたか…浅はかでした…」

ルーミアとアイリスが何やら話し込んでますが、とにかく大ちゃんだけを連れて萃香ちゃんの所に急ぎましょう。

side 伊吹 萃香
まったく…

どんなにヤバイ奴かと思ったら、こいつは中々面白くていい奴じゃないか。
冗談好きで、話も合うしな。

二つの顔を持っているから、以前から色々警戒していたんだけどな。
この感じだと、バカな妖精の顔が本当の顔みたいだなー。







「俺もですよ。」

!?
警戒を解いて、私がジオンに注目していた話しをしていたら…
ハニューも私と会いたがっていたとか言って来たぞ。
「なんだって!?」
これってどういうことだ?

「そうだ!突然ですけど、ジオンの仲間になりませんか?」
!!!
私をジオンに引き入れたいだって!?

まさかこいつ、それが目的でここに来たというのか?

女を口説くために宴会に参加したわけじゃないのか?
キャッキャウフフするために神社に侵入したわけじゃないのか?
「…ちょっと考えさえてくれ。」
これは、即答しないほうが良さそうだな…


「ちょっとトイレに行ってきますね。」
「え!?私も着いていっていい?」

「オウ。」
トイレか…
その間によく考えて待つとするか…
































ん?

この感じ…
誰かが神社にまた侵入してきた???
こいつはいったい…

確かめてみるか。















あれは…
ハニューとハニューの親衛隊!?侵入してきたのはあいつらか。
となると、ハニューと合流が目的か!!!!
まさか、トイレに行くというのも嘘で…

「…ん!…不愉快だな、この感覚は…生の感情を丸出しで戦うなど、これでは人に品性を求めるなど、絶望的だ。やはり人は、よりよく導かれねばならん。指導する絶対者が必要だ。」
あいつ…何を言ってやがる…
さっきとまるで別人じゃないか…

さっきまで感じていた「面白くていい奴」な雰囲気が完全に消えて、今のハニューからは高慢さや冷酷さしか感じられない…
どういうことだよこれ!!!!!!!

しかも、霊夢の戦いを見て出た答えがこれだって!?
感情を丸出しで戦うのが不愉快だって!?
人に品性を求めるのが絶望的だって!?

人は絶対者によって導かれねばならないだって!?




ハニューは…



いったいどこから世界を見ているんだ!?

これが絶対者の視点という奴なのか!?





確かめなくてはいけない。
本当の顔がどちらなのかを。




----------



side ハニュー

「どうですか?結論派出ましたか?」

「もう少し考えさせてくれ。」
がーん…
どうしたんでしょうか…なにやら微妙に萃香ちゃんの様子が変です。


おまけに空気が重い感じが…
こういう時は、何か話題を積極的に振らないと…


「突然だけど、スイカって随分と美味しそうな名前ですね。」

「そうそう…
 ってふざけるな!カタカナじゃない漢字だ!!」

漢字?

「西瓜ですね。わかります。」

「そうそう、西に瓜で…
 って違うだろ!!食べ物じゃない!!」

いやー酔っ払っているだけあって、ノリがいいw
まだ、空気重いけど…

でも、本当にどういう字を書くか分からないのですけど。

何か書いてもらえると分かるのですが…

お?

そういえば、アリスさんのお友達の契約書がまだ手元にありました。
「悪乗りしました、でも本当に漢字がわからないので、この紙に名前書いてもらえませんか?」

「…漢字ぐらい分かれよ、まったく…いったいお前はどういう奴なんだよ…よし書けたぞ…」

伊吹 萃香
なるほど、これでイブキ スイカと読むわけですね。
フムフム…


「ハニュー。お前に聞きたいことがある。さっき、他の妖精達と一緒に人の品性がどうのこうのと言っていたな。あれはどういう意味だ?」

ええ!?どこからか、さっきの話を聞いていたのか…
…でも、ネタが通じてない??
「理解できないのか?萃香ちゃんなら分かってくれると…俺の仲間だと思ったんだがな…」



反応なし。


本当は分かっているのですよね?という期待を込めて、ちょっとガッカリした暗い雰囲気で話してみましたが…
反応してくれませんでした。
どうやら本当にネタが通じていないようです。
俺達ジオン部の活動に興味のあるオタクさん相手といっても、ちょっと台詞選びがマイナー過ぎたようですね。
もう少し、有名な台詞を使ってみるか?

えーと。
有名な台詞…台詞…


ブーン…
ブーン…

さっきから五月蝿いなあ。
この虫は、なんで萃香ちゃんの周りをぐるぐる回っているんだよ…
凄く考えるのに邪魔です。

人が頑張って考えているのに…

そうだそうだ、一ついい台詞があったぞ。
「分からないのか、ならば…」


この虫に向かって狙いをつけて…
「落ちろ蚊トンボ…」
シロッコがMSを打ち落とす時の有名な台詞です。
同じく古い台詞だけど、ガンダムが出てくるゲームとかでよく使われているから、知っているかもしれません。




ダンッ!!






「ハアッ…ハアッ…ハアッ…

 …
 
 突然豹変しやがって…何のつもりだ…」

「何のつもりだって?遊んでいるだけさ。さっきの弾幕も同じ、萃香ちゃんを攻撃したわけじゃない…ただ遊んでいるだけだよ?それに、俺は昔からこのとおり、何も変わらないさ…」
何のつもりって、いつも通り遊んでいるだけですし、さっきの弾幕も虫を狙って攻撃した、ガンダムごっこですし…
昔から、こういう冗談が適度に好きな普通の性格をしていますけど何か?
変な誤解したら駄目ですよ。


「ククク…アハハハハハハ!!!!確かに、そうだな!!」
あれ?
何故かウケてる???
もしかして、どういうネタをしたか、わかったりしました?

「だがな、お前はいつもいつも、脇から見ているだけで、人を弄んで!!」
おお?
この台詞はZガンダムのラストで主人公のカミーユがシロッコに言う台詞とそっくりじゃないか。
これは本当にネタが分かってくれたようですね。

おまけに、何やら俺に攻撃しようとしている雰囲気まで出ているのですが??
もの凄く原作準拠ですね。
そこまでリアリティを出してくれるのですか?

というか、お酒が入っている状態でガンダムネタをやったから、気分が高ぶっちゃって、子供のようにガンダムごっこ的なノリなんですね、そうですね!!
どっちにしろ、これは楽しそうですね!


いやいや…一つ不味いことがあるぞ。
そういえば萃香ちゃんは酔っ払っているのだった…
これって、一歩間違えれば危ないのではないか??


酔っ払った幼女の攻撃力なんて大したことが無いだろうけど…
あの手についている鎖とその錘?はシャレにならない。
ヒートアップして振り回されたりしたら…
当たって大怪我をしちゃうかも。


となると、俺もネタで返しつつ、何かでけん制して萃香ちゃんが下手に近付いたり、攻撃してきても防御できるようにしておかないと。
名付けて「ガンダムごっこがヒートアップして喧嘩になっても、ちゃんと準備しておけば大丈夫作戦」です。


となると、何か武器と防具の変わりになるようなものを探さないと。

えーと…
これにしよう、ハニューはお鍋の蓋・お鍋・お玉を装備した!!
全部大ちゃんの荷物です。
頭にお鍋を被り、右手にお玉、左手にお鍋を持ちました。

おお…何となくガンダムっぽい…
あと、GUNDAMと書かれた段ボール箱があれば「俺がガンダムだ!」という感じで完璧なのですけどね!
「ハニューちゃん!????」

さてと…

side 伊吹 萃香

女と遊ぶことしか考えていない色ボケ妖精。
漢字も書けないバカな妖精。

この全てが偽りの姿だったのか!?

ハニューの奴。
私があの発言の意味を理解できないと言った瞬間、明るい雰囲気が吹き飛び、急に重苦しい雰囲気に変わりやがった…


「理解できないのか?萃香ちゃんなら分かってくれると…俺の仲間だと思ったんだがな…」

私がお前の仲間になれるというのか!?
お前の考えに共感できるというのか??


なにを言ってやがる!

鬼と人は古い付き合いで、殺し合いもした!!

でも、鬼は人の良いところ悪いところを含めて、これまでの人のあり方が間違っているとは思っていない!!
だから人を支配し、導こうなどと思っていない!!!!

拳と拳をぶつけた鬼だからこそ、人のことが理解でき…





最後に人と鬼が拳を交えたのはいつだ?





何故鬼は人との接触を絶った?





何故私はあそこから飛び出てきた?


違う…
私達鬼は、今の人を理解していない。
私達の中での人のイメージは、昔のまま…何も変わっていない…
幻想郷の中の人なら理解できるかもしれない。

でも、外の世界の人々を私達は理解しているのか…?



こいつは…
ハニューは…
いったいどこの人を導かなくてはならないと言っていたんだ????


わからない。

ハニューがわからない。


「分からないのか、ならば…」

ならば?

「落ちろ蚊トンボ…」

あぶねえ!!!

「ハアッ…ハアッ…ハアッ…

 …
 
 突然豹変しやがって…何のつもりだ…」
奇襲をかけてくるなんて…全力で回避しちまったじゃないか…
やっぱりこっちが本性か!!
くそ!鬼の私を蚊トンボ扱いだなんて!


「何のつもりだって?遊んでいるだけさ。さっきの弾幕も同じ、萃香ちゃんを攻撃したわけじゃない…ただ遊んでいるだけだよ?それに、俺は昔からこのとおり、何も変わらないさ…」

な!?

「ククク…アハハハハハハ!!!!確かに、そうだな!!」
こんな大規模な活動をしていて、それが遊びだって!?
遊びだから私を攻撃したわけじゃないだって!?
いかにも妖精らしい発言だな!!!!!!
ある意味、ハニューほど妖精らしい妖精はいないだろうな…

妖精としては間違った解答ではないが…
まったく、こんな酷い冗談は初めてだ。


おまけに、自分は何も変わっていないだって??

まったく人を馬鹿にして!!逆に笑えてくる…

!!!!!
そういうことか。

ハニューにとって、今の革命家としての顔も馬鹿なただの妖精の顔も、同じ妖精としてあたりまえの遊びという行動をしているだけ。
どちらも、存在してあたりまえの顔であり、それを私達が嘘と本当の姿と勝手に分けているだけだと言いたいんだな。

まったくとんでもない奴だよお前は。

「だがな、お前はいつもいつも、脇から見ているだけで、人を弄んで!!」
だがな、私はそんな、人を惑わす陰謀家のようなようなやり方認めないぞ!

本当に私を仲間に欲しいのなら、私を納得させる力を見せてみろ!!!






そうだ、これでいいんだ。
悩んでも答えは出ない。

古より、人と争っていたときと同じ、力により白黒はっきりさせればいい!




side 十六夜 咲夜

姉妹喧嘩ゆえに許された、2対1の弾幕ごっこ。
火力にものを言わせた妹様の攻撃を、私のけん制で狂わせ、お嬢様が有効打を打ち込む。

あと一歩で勝負が決まろうとしたとき、妹様の増援が現れた。
私は素早く、その増援に立ち向かった。

「フランを助けるのを邪魔するな!」


「関係の無い妖精は引っ込んでいなさい!!!」



「あたいはフランの友達だぞ!!!関係あるに決まっているじゃないか!!!!」

妹様のお友達!?

ついに妹様にお友達が!?
そんなお友達が敵!?私はどうすれば…
「咲夜!何をしているの!早く援護に来なさい!!」

!!

「お嬢様のお言葉は全てに優先する。ごめんなさい。これからも妹様の友達で居てあげて…
 『幻世 ザ・ワールド』!!!!!」









くらえ!!!


そして時は動き出す…

「うああああああああ!?ま、負けないぞ!!!!」
もうあなたはボロボロよ…
諦めて引きなさい。

「チルノさん!支援します!!」
また増援!?この子達…ジオン!?
しかも、ただのジオンの妖精じゃない、妹様の部屋の入り口を固めていた子達も居るじゃない!

「あたいに考えがある!!お願い時間を稼いで!!!」

「あの構えは!!…了解!」

妹様…
いつの間にか、あなたを慕う子がこんなに増えていたのですね…
フフ…


でも、今日は全員倒させてもらうわ。
『幻世 ザ・ワー…これは!?

あの子達、考えたわね。
弾幕が相互干渉して、私を囲う弾幕の檻が形成されてる。
こうなると、直撃コースの弾幕が来た場合、時間を止めて攻撃を避けようとしても、簡単には攻撃を避けることが出来ない。

でも、まだ甘い。

それなら、直撃コースの弾幕が来る前に、弾幕を撃っているあなた達を落としてしまえばいいだけのこと!!
『幻世 ザ・ワールド』!!!!!






















「!?」
ピチューン



「!!」
ピチューン


こうやってね…


ドン!!!


う!?

背後から一発喰らった!?
しまった!今の二人は背後から攻撃を悟らせないための囮か!!


この子達…かなり厄介な相手ね…
特に前方を固めている、妹様の部屋の入り口を固めていた子達とは別の子達。
練度が異常に高い…

二人落とされたのに動揺一つしないわ。
おまけに、たまに手信号を使うぐらいで、殆んど喋りもしない。

これは…ますます短期決戦に持ち込んだほうがいいわね。


「よし…できた!!」
あの氷精、何かやる気ね。でももう遅いわ。
一回や二回のスペカ程度で私は落ちないわよ!!

次の時間停止で、いっきに全員にナイフを一本ずつ投擲して…終わりにしてあげる!!


「フリーズタッチミーるなてぃっく!!!!」


なにこのスペルカード!?

これは…

ゴフッ!!!

な!?

なに!?
この異常な気温低下は!?
空気が凍ってる?????

あの氷精を中心に、どんどん気温が下がっていく!?

まずい…
呼吸すらまともに…

下手に呼吸をしたら肺が凍る!!



う…



く…





!!






「やった!あたいったら最強ね!」



「メイド長。最早勝負は明白です、引いてください。我々妖精や妖怪ならとにかく、人間のあなたがこの寒さの中に居続ければ命に関わります。」


くっ…
お嬢様申し訳ありません…



side レミリア・スカーレット

「咲夜!?咲夜が妖精風情にやられた!?いったい何なのあいつ!」

「やい!だからあたいは、フランの友達だって言ってるだろ!!
 友達を助けるのは当たり前だって、ハニューも言ってるぞ!!」

この妖精…本当にフランの友達なの!?
「いつあなたがフランの友達になったというの!?あなたみたいな友達が居るなんて、私は知らないわよ!」


「さっき友達になったんだ!ハニューが教えてくれたんだ、名前を呼び合ったら、それだけで友達だって!!!」
なんですって!?

「お姉様!チルノは私のお友達よ!!」
フラン!?

そう、この妖精はフランの友達なのね…
フランのために一緒に戦ってくれる友達ができたなんて、フランも少しはまともになったということかしら?
でもフラン?あなたが過去に壊してしまった者たちの中にも、あなたが友達と呼んでいた存在が居たことを、私は覚えているわよ…


「さあ、続きをやるわよ!!『紅符 スカーレットマイスタ』」

「ええ!」


side フランドール・スカーレット

やっぱりお姉様は強い…
力だけなら私が上だけど、戦い方が上手い。

何か一瞬でも隙があれば…

よし!
「くらえ!『禁忌 レーヴァテイン』」


隙が出来ないのなら、隙を作るまで!!!!





「やい!だからフランを虐めるな!!!!」



チルノちゃん!?
チルノちゃんがお姉様にしがみ付いてる!?

「まずい!?この妖精!手を離しなさい!!!」

うそ!?
このままだと、チルノちゃんごと当たっちゃう!?

でもチャンス!
きゅっとしてドカーンだよ!!!


駄目!!

それじゃ、昔のままじゃない!
私の攻撃を受けても、ハニューが私と遊んでくれると言ってくれたあの日から…
もう二度と過ちを繰り返さないように、めーりんに力の加減の仕方を教わってきたじゃない!


でも、ここで発動を止めたら、私は隙だらけに…




それでも…

それでも、友達を攻撃することはできない!
もう私は昔の私じゃないの!!!
お姉様の攻撃に当たっても、友達のチルノちゃんは攻撃できない!












「うそ!?フランが攻撃を止めた!?





 …フラン、どうして攻撃を止めたの!!!!!」






「だってお姉様!友達まで一緒に攻撃できないわ!!!」


「フランあなた…!!」

side レミリア・スカーレット


フランは霊夢から花見出席の招待を受けた。友達もできた、そして友達を守るために自らの危険を顧みず力のコントロールもできた。
こんなに成長したのに…

どうして私は、素直にそのことが喜べないのよ…


「さっき、霊夢が何も答えてくれなかったはずだわ…私、何か変よ。どうして、素直にフランの事を認めてあげられないの…」



「恐れながら、申し上げます。お嬢様、それはお嬢様が、妹様に霊夢を取られるのではないか?と思っているからではないでしょうか。」

え?
何を言っているの咲夜?
「出すぎた真似だとは分かっています。でも、ここ最近お嬢様が妹様に辛く当たるときは、いつも霊夢が関わっています!」

そんな。
でも…それなら私はどうすれば…

「お嬢様、大丈夫です。妹様は霊夢に興味はありませんよ。妹様の興味は、ハニューに向いていますから。」

な!?
それは駄目よ!
「万が一、フランとハニューが付き合ったりしたら、大変じゃない!!」

「あの大ちゃんとか言う妖精がいるので、あの二人の関係を誰かが邪魔しない限り大丈夫かと思います。」
まあ、確かにどう見てもあれって恋人よね…

「そ、そうね!フランを褒めてくるわ!!」

「お嬢様。少しやり過ぎたと思わないのですか?」
う…
確かに…
今から思うと、結構酷いことをしてるかも…

「分かったわよ、ついでに謝ってくるわよ!」


「フフフ…お嬢様。憑き物が落ちたような、いいお顔になりましたよ。」

…フン!
従者の癖に生意気よ!


でも…
ありがとう咲夜。


side 十六夜 咲夜

お嬢様は気がついていないようでしたが、危ない所だったわ。

妹様に接近したジオン。

お嬢様の味方は私のみ。
対妹様戦で頼みのパチュリー様は、ハニューと接触しているとの噂もある小悪魔さんに連れられて戦線離脱。

そんな状態で、発生した戦闘。
私達の相手は、これまでとは比べ物にならないほど強くなった妖精達だった。

あのチルノという妖精が、お嬢様に抱きつくというアクシデントが無ければ、妹様のパワーと、ジオンの巧みな戦術の前にお嬢様がやられていた。
そうなれば、お嬢様の評判は地に落ち、紅魔館で妹様を当主に担ぎ出したクーデターが起きていたに違いない。
もちろん、担ぎ出された妹様は傀儡、紅魔館の実質的な当主はハニューの手に落ちるという最悪の結果で…


あまりにも出来すぎた話。
間違いなく、今回の件もハニューの陰謀ね。

今回は雨降って地固まるという結果だったけど…
自分の計画が狂ったことに対してハニューは次の手を打ってくるはず…

でも今この時だけは、妹様とお嬢様の確執が一つ無くなったことを喜ぶべきなのかしら。


----------


side ハニュー

うおお!?

いきなり、パンチが来た!?
でも、なぜか命中直前で、左にそれました。
かなり重い感じがしたパンチだったので、あのまま防御した左手ごと吹っ飛ばせそうだったのになあ。


また来た!!








またそれました。



!なるほど、ちゃんと当てないように気をつけてくれているわけですね。
そうだった!これはガンダムごっこですもんね。
じゃあ俺も調子にシロッコの台詞で戦っちゃうよ?
おりゃ!!

「勝てると思うな?小僧おおおおお!!」






簡単に避けられました。


「逃げられはせん!」
とりあえず、台詞を吐いて強がってみました。
当たらなくてよかったのですが、ちょっとショック。


「この私を見くびるな!食らえ厭霧!!」
あれ?
萃香ちゃんの姿が霧のようになって消えた???
メイド長と同じ瞬間移動能力か!?

となると、どこから攻撃してくるか分からないぞ。



「とりゃ!!」
うぼぉあ!?

今のは、かなりビックリした。

飛んでいる虫をなんとなく目で追っていたら、急接近する萃香ちゃんを見つけました。
俺の目の前で。
思わず、大ちゃん達との弾幕ごっこの成果を使って、全力で回避してしまいましたよ。


「流石だなハニュー。しかしいつまで避けられる?」
あ、また萃香ちゃんが消えた…

こういうときは、ニュータイプ能力を最大限につかって…

※もちろん、そんな能力はありません。

でも俺は空気の読める女(?)、形だけもで合わせないと。

「う!?いい気になるな!!萃香ちゃん!!!


 



 見えた!!!!」
見えてないけど、シロッコがファンネルを叩き落したシーンを真似しながら、適当に弾幕を打ちまくりです。


「どこを狙っている!ハニュー!!」


ぐへ!!!

「ハニューちゃん!!!!!」



は、腹に入った…
痛い、痛すぎる!!!

遊びなのに、酷いよ…
「遊びはここまでにしよう。」
ここら辺で遊びを止めないとやばそうです。
おまけに、腹に入ったせいで、アルコールと胃への衝撃が合わさって、今にも吐きそうです。



「そうか…
 では、全力でいくぞ!!ミッシングパープルパワー!!!!!」

side 伊吹 萃香

なんだ?

お玉とお鍋の蓋を手に持って、鍋を頭から被っただと!?
馬鹿にしやがって、そんなふざけた格好で私に勝てると思うな?

まずは一発ぶち込んでやる。



ドウシテ?ドウシテ、ハニューチャンハ、カエッテコナイノ?


!?


い、今のは何だ!?


仕切り直しだ!!
もう一発!



ハヤクカエッテキテ、マッテイルンダヨ?シチューガカタマッチャタヨ



!!


ほんの僅かだが…ハニューの装備しているお玉や鍋から、何かの思念波が放出されている…
これは、誰かがあのお玉や鍋に込めた想いか???

いや、これはただの想いではない。ただの想いにしてはこの思念波は負に向かいすぎている…
となるとこの思念波は…呪詛の一種か!

つまりハニューが身に着けているのは…
呪いの装備!?

なるほど。
鬼は力任せの方法では簡単に退治することができない。
だが、絡め手に対しては、他の妖怪と同じく弱点が存在する。
このタイミングでハニューが持ち出してきた、ということはこの装備は私に対抗するための切り札ということか。

ではどう戦うべきだ?

まず、呪いの発動条件を考えるべきだ。
接触直前に呪詛が聞こえてきた。

ということは、接触したことをキーとして発動するタイプだと考えるべきだ。


危なかった…
あのまま、ハニューのお鍋の蓋による防御ごと打ち抜いていたら、呪いが発動していたということか。

「勝てると思うな?小僧おおおおお!!」

うあ!?
お玉による攻撃か!?
だが甘い!!
その程度の攻撃なんて当たらないぞ!!

「逃げられはせん!」
くそ!?
追撃か!?




追撃してこないだと!?



ハニューの攻撃…
まるで、遊びだ…
お玉による攻撃も、まったく力が入っていない。
そして、追撃するような言葉を発しながら追撃してこない。

こいつ…


「この私を見くびるな!食らえ厭霧!!」
私を見くびったことを後悔させてやる!!
呪いの装備をつけているのなら、呪いの装備に接触しないようにして攻撃を食らわせればいいだけのこと。

体を霧にして、ハニューの死角へ移動…
そこで実体化して…


よし!
ハニューの後ろを取ったぞ、私の勝ちだ!!
「とりゃ!!」

くそ!?
ギリギリでかわされた!!

呪いの装備さえなければ、あの程度の回避など、無理な体勢をしてでも追撃したのに…
くそ、ハニューの奴に私の動きが完全に読まれてやがるってことか。

「流石だなハニュー。しかしいつまで避けられる?」
しかし、攻撃はまだまだ続くぞ!!



「う!?いい気になるな!!萃香ちゃん!!!


 



 見えた!!!!」



この戦闘中に目を閉じやがった!?
まさか!!
こちらの出現点を読んだのか!?


まずい!!!!




…!?
どこを狙っている!?

まったく見当違いの方向に弾幕が飛んで行ってるぞ。
どの弾も、部屋をただ破壊するばっかりだ。
しかし、これはチャンスだ!
「どこを狙っている!ハニュー!!」


よし!
かなり浅いが一発入った!!


「ハニューちゃん!!!!!」


さあどうするハニュー。
まだこれでも、本気を出さない気か?

「遊びはここまでにしよう。」
そうか!
やっと本気を出すか!!!
「そうか…
 では、全力でいくぞ!!ミッシングパープルパワー!!!!!」
よーし、じゃあ私も切り札を出すぞー!!!

フフフ…
楽しくなってきやがった!!!


side 大ちゃん

凄い…

これがハニューちゃんの力…

私も少しは戦闘の心得があるから分かる…
あの鬼はもの凄く強い…

でもハニューちゃんにはまだ余裕がある。

ハニューちゃんは鬼の攻撃を、どれもギリギリのところでかわしている。
押されているのかと思ったけど…
戦闘中に平然とおしゃべりするなんて、まだまだ余裕があるみたい…

本当に凄い。

私だったら、とても喋っている余裕なんて無いのに…
あえてギリギリでかわす余裕なんて無いのに…


初めて出会った時のハニューちゃんは、人化もできない雑魚妖怪にも食べられちゃいそうなほど弱かった。
でも、今は違う。

もしかして…
記憶が戻っている!?

そうだ…
記憶が戻っているんだ…

だからあんな、さっきのように難しいことも言えるように…

私、まだハニューちゃんについて知らないことが多すぎる…
さっきハニューちゃんと念話で話していた『たいさ』って人の事も知らない…

「どこを狙っている!ハニュー!!」


バタン!


「ハニューちゃん!!!!!」
鬼の攻撃がハニューちゃんに当たっちゃった!!

大丈夫なの、ハニューちゃん!!!

「遊びはここまでにしよう。」

遊びはここまで!?

----------



side ハニュー




ミッシングパープルパワー??
おおお!?
どんどん幼女がでかくなっていくぞ?
幼女が大酒豪で巨人だと!?また新ジャンルですか???

これは、随分とマニア向けの設定ですね。
ハアハア…

そんなこと考えている場合じゃなかった。

て、撤退だ。
もうそろそろ限界です。

とにかく、どこかで吐くしかない。
しかし、どこで吐くんだ。
外に出たら戦闘に巻き込まれるし…
床に吐いたら、博麗の巫女に殺される理由になるかもしれない。

なにかいいものは…



最悪の場合、この大ちゃんのお鍋に…
「ごめんね大ちゃん…先に謝っておくよ。本当にごめんね…戻ってきたら俺を怒っていいから…」



この部屋から出て、どこか人気の無い所で大ちゃんのお鍋に吐こう。
全速力です。

「や、やめて!?い、いやあああああああああああ!!!」

大ちゃんの悲鳴が…
ごめんよ、大ちゃん。
すっきり吐いた後は、いっぱい俺の事を怒っていいから。

「さあこい!!!
 

 ってこら!?どっちに行くんだ!?」

なにやら、ビッグな幼女が後ろから手を広げて追いかけてきますが、とりあえず無視ですよ。


「ま、まて!!」


 ガコン!!!!!

「しまった?角が!??????でもこれぐらいで…」


ガダン!!!!!!
ガラガラガラガラ!!!!!!!!

「な!?こんな簡単に崩れるなんて!!!!!!?」

な、なにこれ!?
部屋が崩れる!?


うぁああああああああ!?
















羽が生えていてよかった…
なんとか、神社の外に逃げられました。
どうして突然崩れたんだ!?

そうだ!!
大ちゃんは???

まさか、あの下敷きに!?



ガラガラ…




何かが瓦礫の中で動いてる!?

大ちゃん!今助けに行くよ!!
「僕も手伝います!!!」
「上海!瓦礫の中に入って生存者を探して!!!」

リグル!アリスさん!お願いします!!

















瓦礫の中に埋まっていたのは萃香ちゃんでした。

だからといって、見捨てるてるわけには…


瓦礫が重い…

人手が足りないよ。

「ハニューちゃん無事だったんだ!よかった!!
 死んじゃうつもりなのかと思ったよ…馬鹿!!」

なんとか無事だったよ大ちゃ 大ちゃん!?
「よかった!大ちゃん無事だったんだ!!」

「私は瞬間移動ができるから…」
何気に、凄い言葉が混じっていたような気がするのですが、とにかく無事でよかったです。


「萃香ちゃん大丈夫?」
すぐに助け出してあげるからね!

side アイリス

「ごめんね大ちゃん…先に謝っておくよ。本当にごめんね…戻ってきたら俺を怒っていいから…」

「や、やめて!?い、いやあああああああああああ!!!」

愛する人が決死の覚悟を決めて行動する。
悲鳴を上げるのは気持ちはよく分かります。

でも…
うらやましい…

ああやって、心の思うまま、ハニュー総帥の事だけを思える立場のあなたがうらやましい。

ハニュー総帥はやるべきことがあると言った。
そして、ハニュー総帥は、我々親衛隊が直ぐに介入できるように配置されていることも気がついているはずだ…

でも我々に指示が来ないということは、あの鬼に独力で勝てる算段が立っていると言うこと。
そして、大ちゃん様とのやり取りも、計算の内だということ。

だから我々は、動くことが出来ない。
泣き叫ぶことが出来ない。

なぜ私は、この立場なのだ…




ハニュー総帥の隣に立つ者は、共に戦える者ではいけないのか!?


side 伊吹 萃香

あの連れている恋人の様子…
ハニューの奴、相当危険な攻撃をしてくる気か!

さあ。
これが私の100%中の100%ぉ!!!
その攻撃、真正面から受け止めてやる!!!!

「さあこい!!!
 

 ってこら!?どっちに行くんだ!?」
おい!!何だよそれは!私を避けて、他の部屋に向かって行くなんて聞いてないぞ!

ま、まて!!

ガコン!!!!!

「しまった?角が!??????でもこれぐらいで…」
しまった、室内で巨大化したから角が引っかかった!?
だが、これぐらい外せば…

ガダン!!!!!!
ガラガラガラガラ!!!!!!!!

「な!?こんな簡単に崩れるなんて!!!!!!?」
何でこんなに簡単に天井が崩れるんだ!?

そうか!!
ハニューの奴が部屋中に弾幕を打ちまくったのはこれを狙って!?

うああああ!?












くぅ…

天井が崩れたショックでミッシングパープルパワーが切れちまった…

でも、これぐらいの瓦礫、私の力なら簡単に…



ガラガラ…

うん?
誰かが私の上の瓦礫を…






!!
ハニュー!!!!


チェックメイトという奴か…
瓦礫を抜け出そうとすれば、その隙にあの呪いのお玉の一撃を喰らうなこれは…

おまけに、周りはハニューの部下達で溢れかえってる。



私は詰め将棋のように、最初から完全に追い込まれていたのか…


ハニューの遊んでいるような行動は、不真面目なのではなく、戦闘経験値の違いから来たものだったのか…


私の負けだ!煮るなり焼くなり好きにしてくれー


「萃香ちゃん大丈夫?」

!?


side 博麗 霊夢

「こう神社が近くては、大技が使えないでしょ?」

なかなかやるわね紫…

「まだまだ修行不足ね。いつもゴロゴロしているのがいけないのよ…」

「私は博麗の巫女!!どんな状態でも戦い続ける義務があるのよ!!
 だからゴロゴロして、いざという時の為に体力を温存するのも仕事の内!!!!!」
あんたみたいに、年中ゴロゴロしている奴に言われたくないわ!!

ガダン!!!!!!
ガラガラガラガラ!!!!!!!!


え?


「わ…





 私の神社がああああああああああああああああああああああ!?????????????????」



side 八雲 紫


霊夢!?霊夢!?

大変!!霊夢が気を失ったわ!?


「紫様!!!どうしますか????」
とにかく藍、そこをどきなさい。

「私が人工呼吸をするわ。」
まずは人工呼吸よ。
これはあくまで、霊夢のためよ。

「ちょっと待ちなさいスキマ妖怪!!!それは私の役割よ!!!!」
この吸血鬼!邪魔をしないで!!
「藍!!橙!!お客様がお帰りよ。」

「分かりました紫様。さあ、紅魔館の皆様はお帰りください。」

「この狐!」

さあ、霊夢のファーストキス、合法的にいただきよ!





「あのさ、心臓は止まっていないし、呼吸もしている相手に人工呼吸しても意味が無いと思うんだけど。」


----------


side ハニュー


なんとか、萃香ちゃんを無事に助け出しました。
因みに、何故か博麗の巫女が倒れていました。


「ハニュー、いったい何のつもりだ??チャンスだっただろ??」

「チャンス?チャンスって何の???」
チャンスって何だ??
瓦礫に挟まった萃香ちゃんを見てチャンス??
あの状態で、ガンダムごっこ継続とか!?

それは色々と不味いだろ。

「友達にそんなこと酷いことはしないよ。」


「うっ!?仲間どころか、もう私は友達なのかよ…」

「そういうことよ。これがハニューのいいところなのよね。
 どうせ、とどめを刺されなくても勝負がついていたんでしょ?」

「わかったよ!私の負けだよ!素直に仲間になればいいんだろ!!!」

なんだか、妹様が萃香ちゃんに話しかけてます。

それはとにかく、あたり一面滅茶苦茶だな。
神社は半壊するし、境内は穴だらけ。


肝心の博麗の巫女は気絶中。



酷いなこれは…
ま、まあ俺達は、直接には何もしてないから帰ってもいいよね?



それじゃあ、さっさと帰ろう!!!
そして帰って、自室でさっさと吐こう。
神社半壊の衝撃で気が紛れて吐き気が治まったけど、また吐きたくなるといけないからね!!


「ハニュー、ちょっと待ちなさい。」
ストーカーさん!?

「なんでしょうか。」

「あなた、この有様を見て、何も思わないの!?」
そう言われても、俺がやったわけじゃないし…
外の悲惨な有様は、博麗の巫女が自分でやったことだし、神社も何故か突然崩れたんだよな。
「なんというかご愁傷様ですよね。特に神社が突然崩れるなんて、相当老朽化していたのでしょうか…」

「老朽化!?老朽化ですって!?何を言ってるの!?」

「なんですか?それとも、ここにいる誰かのせいで、この神社が崩れたといいたいのですか?」
え?老朽化以外にどういった原因があるというんだ?

「何言ってるのよハニュー!原因はどう考えてもそこの鬼でしょ!!」
いきなり、お嬢様が乱入してきました。
原因は、萃香ちゃんとのこと。
え?そうなの!?

ということは…
あの巨体のせいで、神社をぶち壊したということか!?

まずい…
それが原因なら、俺にも責任があるじゃないかー!!!!!
「お嬢様。萃香ちゃんが原因だと本当に思っているのですか?萃香ちゃん以外にも原因となる者が居たとは考えていないのですか?お嬢様は、その現場を見たのですか??見てないですよね??」
お嬢様は現場見ていないですよね!?俺が萃香ちゃんと一緒に遊んでいて、それが遠因になったとは気がついてないですよね!?
萃香ちゃんだけが犯人だと思っているのですよね!?

「ハニュー!?いったいどういうことよ!?」
どういうことよと、言われても…

「フフフ…アハハハハハハ!!!!!!」
ストーカーさんが突然笑い出しました。

「なるほど、そういうことね。この神社半壊は萃香一人の犯行ではなく複数犯による犯行…。そして、決定的な証拠を見た者は極僅かということね…」
げ!?
なんで、このストーカーさんは、萃香ちゃんの単独犯行じゃなくて、俺も遠因になっていると分かったんだ!?
どうしてこうなった!?

「このままじゃ、関係者全員霊夢に嫌われるわね。でも、霊夢は今は夢の中。真実から最も遠い所にいるわ。」
え?え?
どういうこと!?

「ちょっと待ちなさい!ハニューやあんたは兎に角、私は今回の件には一切関わっていないわよ。」
お嬢様が何故か怒ってます。

「これだから幼い吸血鬼は…
 よく聞きなさい。ここにいる私達全員、異変が起きていることをとっくの昔に知っていたわよね?
 でも霊夢にそのことを一切伝えなかった。
 だから状況は悪化して、神社半壊なんて最悪の事態になってしまったわ。」

「それは論理の飛躍よ!」

「そうでしょうね。でもそれを決めるのは霊夢よ。今日霊夢はね、萃香を幻想郷に招き入れた私が元凶とか言って、私に攻撃してきたの。
 あの子の理論から言ったら、ここの全員が犯人ってことになるわね。
 もちろん、犯人扱いされない可能性だってある。でも、そんなリスクは負う必要は無いわ。
 幸いにして、霊夢はこの有様。決定的な証拠である萃香の犯行現場を見ていた者は極僅か。
 口裏を合わせれば、真実を変えることなんて簡単よ。

 神社は老朽化によって半壊した。これが真実でいいのよ。」

「そういうことね…



 …わかったわ。その話に乗るわ。」


…?

まったく意味がわからない…
でも、皆が少しずつ神社半壊の責任があるので、口裏を合わせて神社が老朽化で半壊したという結論になったことだけは分かった。
流石ストーカーさん、こんな方法を考え出すなんて日頃の経験の賜物ですか。

となると、後は博麗の巫女の住処をどうするかだよな。
さっきの調査から見て、ここは名目上の住処のようだから、ここを失っても住処がなくなって困るという事態はなさそうだけど。
俺がそれを知ってること自体がおかしい話だからな。
とりあえず、心配しているふりだけでもしておかないと。

「あの、神社が使えるようになるまで、博麗の巫女を誰かが泊めてあげないといけないのではないですか?」


「「!!!!!」」


「紅魔館には部屋が余っているから、私が霊夢を預かるわ。あなたの家じゃ、狭すぎて霊夢が可哀想だわ。」

「何を言ってるのよ!!霊夢はお布団じゃないと眠れないの!!洋館じゃ、まともに眠ることもできなくて可哀想だわ!!ここはこの『ゆかりん』が預かるわ。」

「この妖怪は空気を読むということができないのかしら?ここは若い者に任せて、年寄りは家でお茶でもすすってなさい!!!」

「恋愛のれの字も知らないお子様が出る幕じゃないでしょ?お子様はこれだから困ったものね!!!」


これは酷い…


「行くわよフラン!」
「はい!お姉様!」

「一人ひとりなら単なる火だが、二人合わせれば炎となる、炎となったスカーレット姉妹は無敵よ!!!!!」



「なんですってー!?こうなったら…
 藍!橙!トライアングルアタックよ!!!」

「はい!」
「紫様!?それって何ですか!?思いつきで言わないでください!!」






…帰ろう。




side 西行寺 幽々子

なかなか面白い情報が取れたわね~

どうやらハニューには、皆が本命と思っている大ちゃんより先に、もっと深い関係を持った子達がいるのようね~
そして、その関係を誰にも伝えていないみたい。
さらに今日、ハニューはあの大ちゃんを上手く使って神社に潜入した。

ここから導き出される答えは一つ。
あの大ちゃんという子は、ハニューに都合よく利用されているだけっていうことね~

でも、深い関係を持っているルーミアや小悪魔とは、話を総合すると恋人とはちょっと違うみたいなのよね。



つまり、ハニューと本当の意味で心も体も通わした恋人は居ないということ。



これはいい情報だわ~


「ねえ妖夢?あなた恋人って居ないわよね?」

「いきなり何を言い出すんですか!!
 そんな人…居るわけないじゃないですか!!」

ふふふそうよね~

「いったい何だって言うんですか??」

「古来からよくある同盟の仕方について考えていただけよ~」

「は、はあ????」

あのレミリア・スカーレットと鬼を追い込んだジオンの戦闘力。
戦って倒せないなら、取り込んでコントロールしてしまうのも手段の一つとして考えておかないといけないわね~

でも、これって紫に対しての背信行為かしら…






「幽々子様!あそこ!!ハニューがいます!」



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side ハニュー




駄目だ。
紅魔館まで持ちそうにない。

そこらへんの森の中で吐こう。


「ハニュー総帥!?先ほどから、どうしたのですか!?」
アイリス…
いやねちょっと吐きそうなんだけど…
でも、そんなこと恥ずかしくてここでは言えないよ!!

「アイリス、ちょっと森の中に行きたいので、皆には俺は後から追いかけると言っておいてもらえない?」

「どうされたのですか、その顔色!?真っ青ですよ!直ぐに皆さんに伝えないと!!」
ちょ!?やめて!!
「これぐらい大丈夫だから、直ぐに治るからさ。お願いだから皆には伝えないで!!特に大ちゃんだけはお願い!!!」
特に、大ちゃんに…「うわ吐いている…気持ち悪い…」とか言われたら死ねる。

「また…大ちゃん様ですか……

 わかりました。しかし、ルーミア副指令、アリス様、にとり様だけにはこのことを伝えておきますからね。
 この三人は、伝えなくても自分で気がついてしまうでしょうから、伝えないほうが混乱の元になります。
 
 では、行きましょう。」




----------



うげええ…
吐くの辛い…
もう二度とお酒なんて飲まないよ!!

「ハニュー総帥大丈夫ですか?」
なんとか…

「まったく、今の体は弱いな…
 昔ならこの数十倍…いや、数百倍でも十分大丈夫だったんだが…
 こんなに簡単に限界に達するとは…」
まったく、どちらかというと普通の人より飲めるほうだったんだけどな。
ひと舐めで限界なんてねえ…

「!?ハニュー総帥…それはいったい!?」

あ…やば…
こういう昔の記憶があるような発言は不味かった。
「アイリス…今のは忘れてくれ。」

「はい…分かりました…」











「大丈夫!?」
「大丈夫なのかー?」
あれ?アリスさんにルーミア??
もう俺のことが伝わったのか…

「また、無茶をして!!!」
いや、またって…

「それは違う。無茶なんてしていないから。ちょっと失敗しただけだよ。」
またって言ってますけど、こういうお酒の失敗は今回が初めてですよ。
それに無茶なんてしてないです、このぐらいのお酒で限界だと思わなかっただけで。



パアアアアアアアン!!!

!?


ええ?
アリスさんにビンタされた!????

「バカなことを言わないで!どうしてもっと自分の事を大事にしないの!!!
 にとりから聞いたわよ!
 心も体もボロボロにしながら、どうして…どうして…う、ううう…」

えええええええ!?
そんなちょっと吐いたぐらいで大げさな…

これは明らかにおかしい…
なんというか、まるで重症の人を相手にしているような発言です。
心や体がボロボロとか言ってるし…

もしや、アリスさん達に情報が間違って伝わっているのではないだろうか…
例えば、俺が急性アルコール中毒になったとか。
そして、「そんな状況になった」=「何か精神的な理由でお酒に逃げた」ということに勘違いされているのでは…
『にとりから聞いた』と言っているから、伝言ゲームみたいに、どんどん情報が歪んで伝わっているのかもしれない…

とにかく、しっかりと謝ってだね、もう大丈夫だとアピールしないと。

「アリスさんごめんね心配させて。でももう大丈夫だから。」


「…うん…」


「ハニューどうしたんだ?」
ちょ!?チルノ!?どうして居るの!?

「すいません。勝手についてきちゃったみたいです。でも、他の皆は間違いなく先に帰りましたので、そこだけは安心してください。」
あ、にとりさんも来ていたのですか。

「大丈夫だよチルノ、ちょっとお酒で酔っ払っただけだからな?
 な、皆!ちょっと酔っ払っただけで、今はこの通りもう元気だよな?」

「なんだ!そうか!!」



「う……」
う?

にとりさん…?
なに目を押さえて俯いているんですか?
あれ!?アイリスも!?

しまった!!
俺の顔とかに、まだゲロの残滓が…
そりゃ、見るに耐えないですよね!
ごめんなさい!!




side 西行寺 幽々子

さっきの話が本当なら、恐ろしいことね~
私も紫も、ハニューの力の天井がまったく見えないことが、安易に手出し出来ない理由の一つになっていたのに…

現状の力で、少なくとも昔の数百分の一しか無いとは困ったわね~

何かの拍子で昔の力を取り戻されたら、どんなことになるのかしら…


でも、そんなに力がある妖精なんて聞いたことが無いわ~
紫との話し合いによると、私より長生きの紫も心当たりが無いみたいだったし…


となると、ハニューの言う昔というのは…

神話あたりを調べなおしたほうがいいのかしら…



「幽々子様。ハニューは弱っているみたいですが…」

「今日はもう帰りましょう。」

「よろしいのですか!?」
どうせ下手に手を出しても返り討ち…
万が一うまく痛めつけても、何か特別な方法を使わない限り妖精は簡単に復活してしまうのよね~

それに…
「嫁入り前の妖夢に、傷をつけるわけにはいかないのよ、フフフ~」

「は、はあ…」

さあ、帰って紫と連絡を取らないと。
あと、あの子鬼とも一度話しをしておいたほうがよさそうね…



side アリス・マーガトロイド

鬼に対するハニューの華麗な勝利を聞いたときは、自分の事のように喜んだ。

でも…
親衛隊の子から、ハニューが正体不明の体調悪化に襲われていると聞いたときは自分の読みの甘さに腹が立った。

いくら他の妖精より強い力を持っているハニューとはいえ、本来のスペックが低い妖精が強力な鬼と戦うためには、何らかの代償が必要になるのはちょっと考えればわかることだった。
この体調悪化は多分その代償によるもの。
そして、愛する大ちゃんにあえて伝えないということは、この体調悪化は相当根が深いもののはず…


私は、こういった無理をさせないために、ジオンの組織を強化しようと頑張ってきた。
それはにとりも同じ。
ハニューを少しでも無理をさせないために頑張っていたのに…

それなのにこの子は…
「それは違う。無茶なんてしていないから。ちょっと失敗しただけだよ。」
ちょっと失敗しただけなんて…
そのちょっとした失敗で、大変なことになったらどうする気なの!!!
そんなに無理をしないで、お願いだから!
夢の中では殺される夢ばかり見て、夢から覚めたら身を削って戦い続けて…
ハニューには安息の時はあるの?

私は、心が滅茶苦茶になって泣き出してしまった。

ハニューは「アリスさんごめんね心配させて。でももう大丈夫だから。」
と私を必死で宥めていたけど…
私が聞きたかった、『もう二度と無茶をしない』という言葉はついに出てくることはなかった。


side 河城 にとり

チルノちゃんに、自らの体調悪化を隠すために、お酒による吐き気だと弁明するハニュー氏。

演習を目的に来た我々が、建前である花見を楽しんで、本物のお酒に口をつけるなんてあるはずが無いのに…
まったく…不器用というか…嘘が下手な人ですね。

そんな姿を見せないでください、目から汗が出てしまうじゃないですか…



やはり、私の第一印象は間違っていないのだろう。
ハニュー氏は、色々な面で無理をしているのだ。
兵器開発、組織拡大、双方共にもっともっと急ぐ必要があるようです。

あの表情、アリスさんも同じ様な結論に至ったようですし、アイリスさんも何やら考えがあるようです。

「ねえ、にとり。一度ハニューを病院に連れて行くべきだと思うのだけど…」

病院ですか?
ああ、あの薬を売っている連中ですね。

本来、妖精は弱ったり死んだりしないものなのですが、何事にも例外というものはありますからね…
確かに、アリスさんの言うとおりなのかもしれませんね。



side 朱鷺子

ジオンの人達に助けてもらえなかったら、死んじゃう所だったよ~
さっさとこの森を抜けて、家に帰ろう…





しくしくしくしく…




だ、誰かが泣いている!?
こんな森の中で泣いているなんて…
ぼ、亡霊!?



い、い、い、いい度胸ね…
わ、わた、私はこれでも妖怪よ、か、かかってこいや~




「助けて~」

で、でたー!?

足首掴まないで!?
私なんて美味しくないから!!


「お姉ちゃーん、やっと見つけてもらったよー」


亡霊じゃなくて二人組みの少女…

で、裸!?


これって、世に聞くレ○プという奴じゃ…

ま、まさかこの近くに犯人もいたりして…
や、やだ!早く逃げないと!!



「ちょっと!?そこの人!!どこ行っちゃうの!!お願いだから戻ってきてよ!!!!
 服がないから、どこにもいけないの、助けてーーーーーー!!!!!」


side 秋姉妹

「お姉ちゃん。どうして私達裸なのかな。」

「あのルーミアとかいう妖怪に服を食べられたからでしょ。」

「どうしても、誰も助けに来てくれないのかな。」

「多分忘れられているから…」





「私達って神だよね。」

「うん…」


side 犬走 椛

文先輩はもの凄く仕事熱心です。
他の妖怪達なら、怖く手も出せない取材先でも飛び込んでいきます。

例えば、相手が神様であってもです。


「ま、私の好みよりちょっと上ですが、マニアには需要がありそうな映像と写真が撮れましたね。
 取材途中でアリスさんに、す巻きにされた時はどうしようと思いましたが、こんな森の中でスクープに出会えるとは…日頃の行いがいいからですね。」

でも時々、文先輩の行動の意味が分かりません。
「文先輩。こんな写真を撮ってどうするんですか?」
こんな裸の写真を新聞に載せたら、大天狗様から発売禁止の処分を受けそうなものなんですが…


「椛!?えっと…これは…芸術です!大地に豊作を齎す女神が、裸で大地の上で嘆き悲しむ。何とも考えさせられるシーンですよね?」

文先輩凄いです!
まさか文先輩が、芸術にまで造詣が深いとは思いませんでした!!

文先輩!一生ついていきます!!!

「春ですよー」

「新しい盗撮対…じゃなかった取材対象が!
 椛!行きますよ!!」

わんわんお♪











side ルーミア

外伝 小悪魔とお風呂 は今のところ書く予定は無いのだー
ワッフルワッフルと書いても効果は無いのだー

どうしても読みたい人は自分で書いて楽しむか、無限の想像力に身をゆだねるのだー

どちらも出来ない人は、幻想郷入りするのもいいかもしれないのだー



[6470] 第十八話 なぜハニューがエロイ目に?フラグの関係で仕方がないのだー。(注意、多分15禁)
Name: pzg◆1036bac0 ID:601741ee
Date: 2010/02/06 09:27
第十八話
なぜハニューがエロイ目に?フラグの関係で仕方がないのだー。(注意、多分15禁)


「痛!?」

「大丈夫ですか!?」
大変!?姫様が包丁で指を…
インスタント焼きそばの湯きりに失敗するぐらい料理が下手なのに…
料理を手伝うなんて言い出すから。

「大丈夫よこれぐらい、勝手に治るから。」



…いつもの事ながら、不老不死というのは凄いですよね。









不老不死かぁ…
あんなに素晴らしい能力なのに…
あの子はどうして、それを否定するようなことを…









「鈴仙?どうしたの?」


姫様!?顔が近いです!

「またあの子のことを考えていたの?そんなに気になるなら、ハニューに直接聞きに行けば?悩んでも答えは出ないわよ?」

それもそうですけど…
他人の空似とか、実は気持ちを入れ替えてハニューとして新たな人生を歩みだした、とか言われたら気持ちの整理がつきますけど。
もしも、あの子は望みを叶えたと言われたら…私は…「たっだいまー!」  !!!


「てゐ!遅かったじゃないの!心配したのよ!」

「いやー戦闘に巻き込まれちゃってさー」

!?
「何があったの!?」

「それがさ、ハニューと鬼が戦ったり、八雲紫と博麗霊夢が戦ったりして滅茶苦茶になって…
 最後には神社が崩壊して…」

なにそれ…

「それでさ、ハニューの奴に声をかけたんだけど、久しぶり!だってさ…
 あいつ…私達こと…もしかして覚えているんじゃないのかな?」

え!?
じゃあ、ハニューはやっぱりあの子なの!?

「でもそれだと変じゃない?香霖堂で鈴仙と出会った時は、まるで他人みたいに接してきたのよね?何か秘密があるのかしら?」
確かに、姫様の言うとおり…
あの時は、私の事なんてまったく知らないって感じで…

「うどんげが驚いて固まったぐらいだから、ハニューも驚いて固まってたんじゃないの?」

てゐの言うとおり、そういうことならいいんだけど…って「だから、うどんげって言うな~!!!」


----------


side 博麗 霊夢


うートイレトイレ…



神社が直るまで、紫が家に泊めてくれることになったのはいいけど…
この家は妙に外の世界チックで、どこに何があるか分かりづらいのよね。


あった!ここがトイレね。





これは確か紅魔館にもある洋式トイレという奴かしら?

まずは、蓋を開けて座ればいいはず…よね。



ウィイィィィィン!


!?
勝手に蓋が開いた!?


「誰なの!!!出てきなさい!!!」









だんまりか…

そっちがその気なら!!

勝手に蓋が開いたということは、この便器のどこかに隠れているはず。
人が入れるスペースが無いように見えるけど、妖怪ならこのぐらい簡単なはず。


まずは、この便器をぶっ叩いてやる。
驚いて出てきたら、そこを一気に叩く!




バシ!



ドガ!!




まだまだ!!


ガン!!


バキ!!              ピ!



ピ?
何の音!?




ウィィィィン…




プシャアアアアアアアアアアア!!!!





「キャ、キャアアアアアアアアア!?」

お湯が!?
便器からお湯が!?










ば、ば、ば、ばば馬鹿にして!!!


も、もう手加減はしないわ!!!




「夢想封印!!!!!」










ドドドドドドドド!!!!




























は、ははは!

や、やったわ!!

この妖怪め!博麗霊夢に戦いを挑んだことを後悔するといいわ!!!


「霊夢さん!!どうしたんですか!?」


「あ、橙。いい所に来たわね、トイレに妖怪が住み着いていたから、退治してあげたわ!」





「お、おトイレが……………
 霊夢さんがおトイレ壊しちゃったああああああああああ!?藍さまああああああああ!!!」


は?

あ、ちょっと待ちなさい!!
そんな様子で藍を呼びに言ったら、勘違いされるじゃない!!



「ちょ、ちょっと待って!!




 だから!待ちなさいって!!」




ムンズ!



あ、尻尾掴んじゃった…

「ごめん橙!尻尾は猫の急所だったわよね!?ワザとじゃないの、だから怒らないでよね、ね?」











「ひ、向日葵の悪魔…




 い、いやあああああああああああああああああああああアああああああああああああああああああああああああああ!!!!!
 尻尾引っこ抜かないでええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええ!!!!!」




あれ?あれえええええええええええええええええ!?



「橙に何をしたんだーーーー!!!!!」


「藍!?これは不可抗力!話せば分かる!!!」


「問答無用!!!!」


side 八雲 紫

霊夢との新婚生活に向けて、ウォシュレット付きトイレや床暖房といった、外の世界の先端機器の取り寄せも完璧。
あまりの快適さに霊夢は、私のお嫁さんになることが人生最良の道だといずれ気がつくはず。


この完璧な計画。
流石、妖怪の賢者と言われる私ね…
我ながら、恐ろしいわ…


でも、そんな完璧な私であっても、読みきれなかったものがあるわ!



それは私の霊夢への愛!!!!





もう我慢できないのよ!!!!!




深夜3時…
そろそろ頃合ね。
今日はこの時間に起きるために早く寝たから、私の英気はタップリ。
そして、霊夢はグッスリ。
霊夢を影から見守り十数年。
ついにこの日が来たわ。

前回のチャンスは、あの忌々しい偽サンタクロースに邪魔されたけど…
今晩は来ないはず。
そして最大の敵、レミリア・スカーレットも、妹に「お姉さまと一緒に寝たーい。」と言われて動けないようだし…



さあ、開けスキマ!!
天国への道を開くのよ!!


「霊夢~あなたのために、ずっと綺麗な体…あら?」

霊夢はどこ??????????



----------



「藍様ー!!死なないで!!」

「橙ごめんよ…もう私は助からないかもしれない…
 思い返すと、私の人生は遣り残したことだらけだ…


 紫様の式として、もっと活躍したかった…


 橙に私の技をもっと伝授したかった…

 
 幻想郷中に、私の尻尾が油揚げではないことを知らしめたかった…


 もっと多くの人の前でスッパテンコーしたかった…


 ニ●ニ●動画で工作を繰り返して、橙の動画をランキング一位にしたかった…


 

 でも一番の心残りは橙…お前のウェディングドレス姿を見ることができなかったことだよ…」




「ら、藍さまあああ!!!」



「ということで橙。ここにウェディングドレスがあるのだが…
 おっといけない、新郎役がいなかった…
 仕方ない、では私が新郎をブベラッ「藍。ちょっと邪魔だから死んでて。」 いきなり踏まないでください~」




まったくこの子は飽きもせず…

「藍は全然平気だから気にしないで。
 で、何があったの?見た目だけだけど、どうして藍は死にかかっているの!?」

                                     「紫様の足が臭くて本当に死にそうです…」

「霊夢さんがおトイレを壊して、藍さまを攻撃して、どこか行っちゃいました…」

えっと…?

「霊夢さんは、『色々とごめんなさい。お願いだから追ってこないで。』って紫様に伝えてくれって言ってました。」


色々とごめんなさい!?

お願いだから追ってこないで!?




そ、そんな!?

ふ…フラれたーーーーー!?
まだ告白もしてないのにーーーーーーー!?


----------

side ハニュー

うー吐いた吐いた…
でも、頭がまだ痛いですよー
瀕死の状態で紅魔館に帰ってきて、存分に吐いて二日酔いとなったのですが…

何やら早朝から、騒がしいので部屋から出てみることにしました。
いったい何なんだ…こっちは二日酔いで静かに寝ていたのに!!

「お願いだから、紅魔館に泊めて~!!!
 というより、まずはトイレを貸して!!!漏れちゃう!!!!!」
メイド長に泊めてと頼み込んでいるのは、博麗の巫女!?

はて?
寝る前にルーミアから聞いた話だと、ストーカーさんがスキマとかいう力を使ったおかげで、博麗の巫女はストーカーさんの家に居候することになったはず…

何故ここにいるんだ?

「霊夢さん…いったい何があったのですか?」

「紫の家のトイレに、妖怪が住み着いていたの…」

「妖怪…ですか?」

「とにかく、いろいろあって、紫の家に居辛くなって…そんなことより、早くトイレを貸して!!」


「はあ…わかりました。お嬢様は、きっと喜ばれるでしょうから泊めてあげましょう。
 ただし、この紅魔館では、働かざるもの食うべからずという言葉があります。
 霊夢さんには…そうですね…今日一日は休んで、明日からメイドとして働いてもらいましょうか?」

「わかったから早く!!」

なんですと!?
明日から、博麗の巫女が同僚だと!?


えー
大丈夫なのかよ…

しかし、決まってしまったことは仕方がない。
文句を言うのもいいが、与えられた状況を最大限活かすことの方が大切だからな。




といっても、どうしようか?

うーん…


ここは先輩として色々と気を回してあげよう。
そうすれば、俺への好感度も多少上がるはず。


となると、俺でもできることといえば…
何があるかなぁ?







そうだ!
メイド服を、博麗の巫女が好きな腋が開いているデザインにしてあげよう!!
きっと喜ぶぞ!!

そして、それを機に仲良くなれば、後々色々と効いてくるかも知れない…

例えば…


『色々あって幻想郷脱出の目処が立った俺達。
 しかし、俺達の前に強化されすぎ、人格が崩壊しかけた博麗霊夢が立ち塞がる。』
  
ハニュー「霊夢、もう一度、もう一度だけ!!あの時の霊夢に戻れ!」
博麗霊夢「お姉ちゃん?」
ハニュー「そうだ、お姉ちゃんだよ。もう一度、一緒に紅魔館で働こう!!」.
博麗霊夢「違う!」
ハニュー「やめろおぉー!!」

サイコ陰陽弾mk2に乗ったまま、紅魔館へと突っ込んで行く博麗霊夢。

ハニュー「…霊夢……可哀想だけど… ちょ…直撃させる!」
博麗霊夢「元気でー、お姉ちゃん。」
ハニュー「うあああああああああああああ!!」

なんて感じで、Zガンダムのロザミア・バダム並みの悲劇になってしまう場面でも…
腋が開いたメイド服さえあれば、こうなる前に人格が戻るかもしれません。


まあ、この展開だと俺と霊夢がスールな感じになってしまってアレですし…
ちょっと、ご都合主義過ぎるというか、こんな展開なんてありえない気もするけど…
真面目に考えて、少しでも博麗の巫女に気に入ってもらえれば、いざという時の運命を分けるかもしれない…

こういった、日々の小さな積み重ねが、最後に効いてくるんだよね!!


それじゃあ、早速部屋に篭って博麗の巫女専用メイド服作成だ!!

side 十六夜 咲夜

「明日から霊夢がメイド!?客人でいいじゃないの!!
 どうして、働かないと紅魔館に泊まれないなんて嘘をついたのよ!?」



「これは、お嬢様を思ってのことです。
 考えてみてください…霊夢がメイドとなるのですよ?
 霊夢をメイドとして調教すれば、霊夢の身も心もお嬢様の思いのまま…」




「す、すばらしいわ…
 流石咲夜ね。

 紅魔館の主として命令するわ!!ビシバシ調教するのよ!!!」

フフフ…
元よりそのつもり…

霊夢…ビシバシ調教してあげるわ…







お嬢様のお気に入りは私一人で十分なのよ…


----------

side ハニュー

できたっ!!!!


昔の俺なら、こんなことは絶対に無理だったな。
でも、一年近くもメイドを続けている今の俺にとって、この程度の改造なんて一日かければこんなもんよ。

ゲンソウキョウに居る人達は、誰もが何かの○○程度の能力を持っているということらしいが…
俺は、家事一般が上手に出来る程度の能力だったりしてw
これならいつでも、お嫁にいけるぜ!!!




いかんいかん…
男としての自覚をしっかり持たないと…



さて、博麗の巫女が使うクローゼットに、博麗の巫女専用メイド服を入れてあげたし…

明日が楽しみだ…

フフフ…博麗の巫女の奴、きっと驚くだろうなあ♪







しかし、今晩の紅魔館はなにやら騒がしいが、廊下が閑散としている…
どいうことだ?

あっ…このパターンは…何かのパーティを開いている予感!!


メイドの詰め所のスケジュールボードには…

『ダブルスカーレット祭り』
なんだこれは…
えっと…
お嬢様と妹様の仲直り記念と、博麗霊夢の紅魔館入り記念ですか…


やっちゃった…
完全にすっぽかした…

そういえば、何人か部屋をノックしてきたけど、博麗の巫女専用メイド服を作っているのを秘密にしたいから、適当に返事して追い返しちゃったような…


今更、出て行っても仕方ないし、部屋に戻って寝るか。




----------




あれ?
廊下の横に座り込んでいるのは、うちの部員じゃないか…
真っ赤な顔をしながら、ボーっとしているそ??どうしたんだ?
これは酔っ払っているのか??


「どこに行っていたのですか?
 もう…心配して見に来てあげたのに…」
!!

誰かと思ったら小悪魔さん。

小悪魔さんが俺の部屋の前に立っていた。
しかし、随分と色っぽいドレスだな…目のやりどころに困る…

「ごめんなさい、ちょっと野暮用があって…」


「まあいいですよ。お酒も何本か拝借してきましたから、ハニューちゃんの部屋で一緒に飲も!」





----------









部屋の中で小悪魔さんと二人で飲むのも辛気臭いので、テラスにテーブルとソファーを出してそこで飲んだのが失敗の原因でした。



満天の星空の下、パーティの喧騒をBGMにしながら、ドレスを着た小悪魔さんとグラスを傾ける…

雰囲気が雰囲気だけに、自分が下戸だと、かっこ悪くてなかなか言い出せませんでした。
おまけに小悪魔さんは「とっておきのお酒を持ってきたから、好きなだけ飲んで!」とか言い出してくるし…

なんでも、俺のおかげでパチュリー様と凄く上手く行っているからそのお礼だとのこと。
正直、お酒の席で愚痴を聞いたぐらいしか覚えが無いのですが、喜んでもらえているので良かったです。


しかしですね「喜んでもらえて俺も嬉しいよ。それじゃ、俺も遠慮なく小悪魔さんの持ってきたお酒を飲もう!」なんてことをしたら、
完全に酔っ払う→倒れる→二日酔いとなるのは分かっているわけです。
ですので、小悪魔さんに注ぎまくって、どうにかお酒を飲まないで済むようにしてきたのですが…
このテクニックもそろそろ限界ですね。

飲みすぎたのか、小悪魔さんのペースが目に見えて落ちてきました。

うーむ。次の方法を考える必要があるぞ…


よし、今度は「実はもうかなり酔ってるので、これ以上飲めません。」作戦だ。

この作戦のポイントは、さりげなく言うこと。
あまり飲んでいないくせに、あからさまに酔っているとアピールすると、相手に不信感や不快感を与えてしまう可能性があります。

「小悪魔さんの綺麗な姿を見るだけで、酔っ払ってきちゃいましたよ。」

お世辞で機嫌を取りつつ、酔っているとアピールできる。
空気を読んだ、素晴らしい会話のテクニックだと自分を褒めてあげたいw
しかし作戦とはいえ、こんな歯の浮くような台詞を言うなんて、恥ずかしいなあ。


ありゃ?
小悪魔さん?
なに舌舐めずりしているのですか?


うむ~
これはこちらの意図が伝わったのか…
伝わってないのか…


「さっきから全然飲んでいないじゃないですか…まだまだこんなにあるから遠慮しないでください!」

ぎゃああ!!
全然伝わっていなかった!!
わ!わ!!そんなにお酒を注がないで!!


----------


流石にこれは不味い。
酔っていると伝える作戦が駄目なら、次はこういう作戦でどうだ!
「これ以上出さないで…もうお腹がパンパンです…」
食べ疲れたように、ソファーにもたれかかる演技つき!

さあ、これならどうだ。









「どうして飲まないのですか?」

気がついたら、小悪魔さんが隣に座ってました。
そのまま、上半身だけこっちに向いて、詰め寄ってきます。

やばい…
怒らせちゃった!?
(((;゚Д゚)))


あ、この可愛く怒った感じの表情…もしかして、怒ったフリ!?


って、小悪魔さん!?
詰め寄ったまま、俺の足とか、首筋とかをどうして触ってくるのですか!?

く、くすぐったい!!


あ!


ちょ!!


くすぐったくて死ぬ!!

こ、これは拷問だ!!!
ど、どうしてこんなことを!!

も、もしかして、やっぱり本当に怒ってる!?


どうすればいいんだー!?

1 逃げようとする。
  ↓
  捕まったら、もっと酷い目に合わされる。

2 止めてくださいと怒る。
  ↓
  お酒を飲まないハニューが悪いと逆ギレされる。

3 我慢する。
  ↓
  飽きたら解放してもらえる(多分)

これは3しか無いのか…

し、しかし辛いぞこれは!!
くすぐったくて、声が出そうになるが…
下手に笑い声をあげたら、加虐心に火をつける可能性があります。

ここは我慢のしどころだ!!


う!?


脇腹を攻めてきた!?
ちょ!?太ももまで!?


こ、これはマズイ!?
特に脇腹がヤヴァいぐらいにくすぐったい!!



で、でも…
が、我慢だ…



ううう…











や、やっと終わった。
なぜか、小悪魔さんが呆然としているのが気になりますが、これはチャンスです。
もうこんな目に会いたくないので、さっさと正直に話しましょう。

「小悪魔さん、折角だけどこれ以上飲んだら完全に酔っ払っちゃうよ…そして酔っ払ったら、俺はこの前の夜の小悪魔さんと同じ状態に…」
本当に、これ以上飲んだらリバースしまくる状態になって、ヤバイのですよ!!


クスリ…


あれ、小悪魔さん??
そこは笑うところでは…
いや、情けない俺を笑いたくなる気分も分かりますが…

「フフフ…つまり、私に手を出しちゃうから駄目ってこと?」

手を出す?
まあ、確かに酔っ払ったら何かの間違いで小悪魔さんを殴ったりと手を出してしまう可能性もあるなー。
あれ?俺って、小悪魔さんに殴られたりしたっけ?
うーん…
妙な質問ですが、今はそこを気にする時ではありません。
「そういうこともあります…」
とにかく正直に答えて、今日の飲みを切り上げましょう。

「また私のことばかり考えてる…もう…本当に馬鹿ね…でもそういうところ、大好きですよ…」
??????
ええええええ!?
どうして、小悪魔さんが抱きついてくるの!?

ちょっとこれはオイシイ展開だが…
小悪魔さんのほうが体格が上だから、小悪魔さんにしっかり捕まらないとひっくり返っちゃう!?
つ、疲れるぞこの体勢!?

「今晩だけは、一緒に過ごしたあの夜に戻りませんか?」
いや、そんなことを耳元で言われてもねえ…
あの夜に戻るって…小悪魔さんが酔っ払って吐きまくる展開に戻ってどうしろと…


あ!そうか!

この支離滅裂な展開。
小悪魔さんがヤバイ位に酔っているってことですね!!

これは早く飲むのを止めて引き上げないと…
また、大変なことに…
「飲みすぎだ、もう帰ったほうがいい…」


ドサ…


あ…
小悪魔さんに抱きつかれたまま、ソファーの上に押し倒されちゃった…


小悪魔さん…
やっぱり、かなり酔っ払ってますね…

バランスを崩して俺を押し倒すなんて、お酒で運動神経が麻痺している証拠です。
おまけに、小悪魔さんと密着している今ならわかります。
顔の赤さ、上気した表情。
明らかに、お酒が回っています。

ヤバイ…
これは本当にヤバイ…

はやく対処しないとゲロが…
もし、この体勢で吐かれたりしたら俺は…

「パチュリー様はお嬢様とパジャマパーティの予定なんですよ…だから大丈夫です…」
今晩はまだまだ飲むぞ宣言キター!!!

ちょっと勘弁してくれ!!!




「一人分だけですが、食事を持ってまいりました。」

!?


----------



まったく、今回も酔っ払った小悪魔さんには苦労させられました。

アイリスが「一人分だけですが、食事を持ってまいりました。」と、偶然食事を持って来てくれなかったら、また小悪魔さんのリバースに襲われるか、
完全に酔っ払っうまで飲まされてしまうところでしたよ。




しかし、あの時のアイリスは何故か異常に怖かった…
「お帰りください。」と迫られた小悪魔さんはとにかく、俺まで震え上がってしまいましたよ。
おまけに、怖いのでさっさと帰って欲しかったのだが…
「よかった今度は守ることができた…」とか言って小悪魔さんみたいに抱き締めてきて帰ってくれないし。

そりゃ、偶然とはいえ前回の宴会とは違って、俺が強引に飲まされる展開から守ってくれたけど…
既に手遅れなんですよ。

だって…





まさかの二日連続の二日酔いになるとは。
うまく、小悪魔さんのお酒を抑えていたつもりだったのですが、十分に致死量に達していたようですw
まあ、それだけなら、まだ良かったんだけどね…

「ハニューちゃん、辛いなら吐いた方がいいよ?」

どうして大ちゃんにバレてるのよ。
大ちゃんは、昨日の小悪魔さんとの飲みなんて知るはずがないし、お花見の件はアイリスに口止めしていたはずだし…

「ねえ大ちゃん?誰に呼ばれてここに来たの?」

「アイリスさんからハニューちゃんが二日酔いだって聞いて…」
アイリス~俺は大ちゃんには言わないでって言ったよなあ?
そりゃ、二日目の二日酔いの件じゃないけど…

これって虐め?それともアイリスって意外とアホの子なのか?
まあ、さっきから塩水を持ってきてもらったりして、ずいぶんと助かっているのは事実だけど…

ウェップ…
うう…やばい…

とにかくトイレで吐こう。

「ちょっとトイレで吐いてくる…」

「じゃあ、掴まって。連れて行ってあげるね。」

「え…は?「掴まって」ちょっとま「掴まって!」いやあの「掴まりなさい!!」はい…」




少女嘔吐中…




美少女にガン見されながら吐く俺。
ロリコンでMの俺は興奮してきたぜ!

ってことは無いです。




俺のプライドがフルボッコ…
少し楽になってベッドに戻ったのはいいけど、俺の心は逆にボロボロさ…
もうこんな思いしたくないよー
「あのさ、大ちゃんも疲れるだろうから、次からは俺一人でいく「遠慮なんかしないでいいんだよ?どうしても気になるなら、ここで吐いていいんだよ。
 はい、エチケット袋。」…オワタ。」

墓穴を掘った。
まだこれなら、トイレで吐いた方がマシだyo!
トイレで吐くより丸見えじゃないかyo!
でも、天才的な俺にはこの困難な事態を回避する方法が思いついたのsa!

「大ちゃん、随分と用意がいいね。でもさ、用を足しにトイレに行きたくなる場合もあるから、やっぱり大ちゃんに甘えることにするよ。多分それは使わないと思うよ~」
そういうことなら、用を足しにトイレに行くという理由でトイレに行って吐けばいいのです。
流石にこれなら、大ちゃんも中を覗けないでしょう。

「はいこれ。」

ドン!

( ゚д゚)

(つд⊂)ゴシゴシ

(;゚д゚)

(つд⊂)ゴシゴシ
  _, ._
(;゚ Д゚)


si☆bi☆nn!?



尿瓶だと!????


「え…こんなの、使えって…「大丈夫だよ、私が使い方を教えてあげるから、全部私に任せてね!!」


だ、誰かボスケテ!!!!



----------


【マリーダの私的議事録より抜粋】
この議事録は、幻宴作戦終了後に行われた幹部会議について、まとめたものである。

・今後のモビルスーツザクの開発方針について
これまでのモビルスーツザクの開発は、核兵器の運用に制限がかかる等、自然環境保護及び幻想郷的倫理観に縛られて行われてきた。
しかし、本会議によりこの方針の破棄を検討することが決定された。
この変化は、にとり技術部長及びアリス技術副部長といった穏健派筆頭が、強硬派筆頭のアイリス親衛隊長の
「決戦兵器であるモビルスーツザクには、考えうる最強の力を求めるべき。」という意見に同調したためである。
穏健派筆頭の突然の変心に対して、穏健派は一時動揺したが「破滅的な力をコントロールできるのか?そのことについて心配している者も多いと思う。
しかし、我々が信じたハニュー総帥は力に溺れるような愚か者ではないはずだ!我々は恐れなくてはいけないことはただ一つ。
力を出し惜しみすることにより、力が必要なときに力が出せないこと。そう!力が無い故に、失ってはいけないものを失うことだけだ!」という演説により動揺は収まることになった。
この事態が発生した背後関係については不明であるが、ハニュー総帥が本会議を欠席したことと何らかの因果関係があるとの意見もある。

→開発体制の変更について
アリス技術副部長の提案により、魔界からの技術支援を模索することになった。
これは、「現在のジオンのままでは100年経っても完成しない!」との辛らつな意見が出るほど、新たなモビルスーツザクの技術ハードルが高いためである。
この提案の是非については、高度に政治的な判断が求められるため、総帥の判断を仰ぐことになった。
また、開発方針変更に対応するためには、更なる技術者の確保、魔界以外との技術交流も必要であるとの意見も多数上がった。
これにより、人間の里など、他の勢力との接触及び、冥界からの更なる人員登用を検討していくことになった。
 
→地下図書館の使用について
モビルスーツザクの開発方針変更にあたり、地下図書館の使用を可能にするよう何らかの手を打つべきとの意見が技術部より提案された。
しかし、地下図書館の主であるパチュリー・ノーレッジの存在が障害となり、本会議においても有効な解決案が提案されることはなかった。
よって、この提案は継続審議となったが、ハニュー総帥の意見も伺うことになった。

・第一次戦力整備計画について
作戦部に対して、個人携帯武器及び、個人用新型指揮通信システムの配備が決定された。
これは、先の軍事演習「幻宴作戦」において、指揮通信能力及び火力の不足が露呈したからである。
大変興味深かったのは、これまでこの手の問題において繰り返されてきた、
強硬派である作戦部から提案された案件が、穏健派の技術部によって否決されるという固定された図式が崩されたことである。
驚くべきことに、これらの提案は技術部及び作戦部からの共同提案だったのである。
そのため、これらの提案は即座に可決されることになった。
これらの配備による戦力増強は第一次戦力整備計画という名称が与えられ、今年中に配備が完了する予定である。
なお、これにより本来第一次戦力整備計画の名が与えられる予定だった、モビルスーツザクの配備は第二次戦力整備計画に名称が変更されることになった。

→個人携帯武器について
モビルスーツザクの研究用として開発された縮小モデルをベースに量産する予定。
純粋な火器の量産も検討されたが「スペルカードルールを無視したことにより、戦力が整う前に決戦に追い込まれる事態は避けるべき。」との意見から、
魔法技術を前面に押し出した武器が配備されることになった。

→個人用新型指揮通信システムについて
アリス技術副部長から供与された、魔界製の通信システム及び人形のコントロールシステムを元に開発される予定。
極めて高い秘匿性を持ち、思考レベルでの情報共有が可能になる予定。
本来は、モビルスーツザクへの搭載を想定して開発されていたが、個人向けに機能限定版を先行して装備することになった。

・紅魔館内での活動について
フランドール・スカーレット氏とレミリア・スカーレット氏の和解により、紅魔館内の組織改変が実施されることになった。
これまで紅魔館内の組織は、レミリア・スカーレット氏を頂点としたピラミッド構造が形成されていたが、
今後はフランドール・スカーレット氏の下にも同様の組織が形成されることになった。
これは、レミリア・スカーレット氏による、フランドール・スカーレット氏への教育の一環として行われるものである。
この事態に対し、フランドール・スカーレット氏配下の組織がジオンによって構成されるよう、政治工作を行うことで決定した。

・ハニュー総帥のご友人の扱いについて
これまでハニュー総帥のご友人方は、組織には所属するが役職には就かないという特殊な状態が続いていた。
しかし、先の軍事演習「幻宴作戦」でのチルノ氏の行動に対して「越権行為になり好ましくない、何らかの対策が必要。」との提案が作戦部より提出される事態が発生した。
このため、ご友人方のために新たな役職を設ける案が検討されることになった。
この提案はご友人方からも賛同を得たため、速やかに実施されることになった。

・記録映画の撮影について
射命丸文氏より、ジオンの活動について記録映画を撮りたいとの提案があった。
この提案に対し、一部強硬派より「射命丸文がこれ以上おかしな行動に出る前に暗殺すべき。」との意見も出たが、
全体としては「マスメディアを味方に引き込むために積極的に協力すべき。」との意見が大半を占めたため、許可を出すことになった。




・メモ
ハニュー総帥は、今回の会議にも出席しなかった。
アイリスは何か知っているようだったが、教えてはくれなかった。
シトリンは独自の情報源より、ハニュー総帥の体調悪化を知ったアイリス達が強引に会議を欠席させたという情報を掴んだようだが、
それではこれまで会議に欠席し続けている理由にはならない。

恐らくハニュー総帥は、この程度の内容は我々の力だけで解決すべきだと考えているのだろう。
我々ができる仕事は、我々が行わなくてはならない。
ハニュー総帥は忙しい身なのだ。
私がメモを残している今この瞬間も、ハニュー総帥は栄光あるジオンの未来のために身を粉にして働いているだろう。











side ハニュー

(´・ω・`)

(´・ω:;.:...

(´:;....::;.:. :::;.. .....


side 大ちゃん

こんなの別に全然大変じゃないし…
やっと見つかった、私でもできるハニューちゃんへのお手伝いなんだから、遠慮する必要なんてないのに…

ハニューちゃんが変に遠慮するから大変だったよ…
最初から、今みたいに静かにしていてくれれば簡単だったのにな…



そうだ!
今度は、遠慮する気も起きないように、包帯とかでグルグル巻きにしたらいいんだ!

side アイリス

昨晩の小悪魔がハニュー総帥を襲った事件…
私は、状況を見守っていた。

ハニュー総帥の留守を守っていた妖精が、小悪魔の淫魔の力によって無力化されたと緊急の報告が上がってきたからだ。
(といっても、耳を噛む程度のものだったが、ウブな妖精には致命傷だったようだ…この点も改善しなくては)

私が現場に駆けつけたとき、既にハニュー総帥と小悪魔はグラスを傾けていた。
庭からテラスを覗いていたため会話の多くは聞こえなかったが…
当初から不穏な空気が流れていた…

小悪魔はその服装・雰囲気共にハニュー総帥を誘っているようにしか見えなかった。
ハニュー総帥は、あえてそれに気がつかないフリをして、会話を楽しんでいるようだったが、いつ事態が急展開してもおかしくない状態だった。


案の定、事態は急展開を見せた。
小悪魔は、自然な行動を装ってハニュー総帥の横に座り、体を密着し始めたのだ。
もちろん、ただ密着してきたわけではない。
ハニュー総帥の首筋や足ををべたべたと触り始め、挙句の果てには服の中に手を入れ始めたのだ。


私は、その光景を目にした瞬間、その場を飛び出しハニュー総帥のいるテラスに向かった。


ハニュー総帥が小悪魔に押し倒され、まさに襲われようとしたとき、私はテラスに飛び込むことに成功した。


小悪魔は唖然とした表情でこちらを見ていた。
私は監視の合間に食べるために持ってきていた携帯食を取り出し「一人分だけですが、食事を持ってまいりました。」と体裁を整えると共に、小悪魔に暗に帰れと伝えた。

小悪魔は顔に怒りを表し、こちらを睨みつけて来たがその程度で怯む私でない。
弱かったあの時の恐怖、そして力をつけ復讐に走り、それが原因で何代か前の博麗の巫女やその他大勢に狩り立てられたあの時に比べれば、こんなもの春風のようなものだ。

私はスペルカードを懐に用意し、殺意を向け小悪魔に「お帰りください。」と迫った。
小悪魔は淫魔の魔力を直接私にぶつけて対抗してきたが、他の妖精のように簡単な相手ではないと気がついたのか「もう、雰囲気が台無しですよ。」と捨て台詞を吐いて去っていった。


小悪魔が完全に去ったことを確認し、ハニュー総帥に目を向けると…
そこには、あの子とそっくりの少女がいた。
目に涙を溜め、怯えた表情。そして、強張った体。
あまりにも弱弱しい姿…


ハニュー総帥は、服装や髪型、そしてその性格から来る雰囲気により、日頃はあの子とまったく別人に見える。
しかし、この時のハニュー総帥はあの子にしか見えなかった。

私は気がつくとハニュー総帥を抱き締め「よかった今度は守ることができた…」と言っていた。
まるで、あの時に戻ったような気がした。



風変わりな妖精のあの子と出会い、共に暮らし、あの子の悩みを解決しようと二人で努力し…
失敗し、また努力する日々…
そんな日々が永遠に続くと思っていた。

だが、あの事件が起き、私達はバラバラになってしまった。
ずっと私を苦しめてきた、悲しい思い出…



だから私は、ハニュー総帥が途中で吐き気を伴う体調不良を訴え出すまで、抱き締めた手を離すことができなかった。
手を離せば、また悲しい思い出の世界に戻り、あの子が消えてしまうような気がしたからだ。











だからといって、いつまでも感傷に浸ってはいられない…
理性的にならなければ、悲劇しか生まないと私は学んだのだ。


私は日が昇ると同時に、新たな決意を胸に行動を開始した。


まず初めに私は、親衛隊を集め、ハニュー総帥の部屋に不審人物を一歩も近づけるなと厳命した。
鬼を撃退したハニュー総帥が、小悪魔程度に抵抗できなかったという事実は、ハニュー総帥の体調不良は予想を超えるレベルであることを示していたからだ。

次に、(残念なことに相応しくないと思っているが)ハニュー総帥と親密な関係にある『大ちゃん』を呼びに行き、ハニュー総帥が体調を崩したことを伝え、今日の看病を頼んだ。
まったく困ったことに、彼女は力の面ではハニュー総帥に依存する傾向があるが、メンタル面では極めて好ましい影響を与えているからだ。
体調不良に苦しむハニュー総帥には、きっと大きな支えになるだろう。
もちろん、ハニュー総帥のお心を汲み取り、原因不明の体調不良ではなく二日酔いと嘘の情報を渡しておいたが…

最後に、私は本日の会議に出席するため紅魔館を訪れた、にとり技術部長とアリス技術副部長に面談し、私の思いの全てをぶちまけた。
これ以上、ハニュー総帥を苦しめたくない。
そのためには、我々がもっと力をつかなくてはならない。
興奮覚めやらぬ状況で話したため、支離滅裂だったが、二人とも私の話を真剣に聞き、私の思いに同調してくれた。

どうやら、私ほどではなかったが、この二人も同じ様な思いを持っていたようだった。

おかげで、その後の会議はこれまでに無いほどの大胆で攻撃的な行動が決定されることになった。



ハニュー総帥。
あなたは、あの子ではない。

だが私にとっては、あなたはもう一人のあの子だ。

だから、今度こそは絶対に守って見せる。
絶対にだ。


side ハニュー

ルーミアに預けていた謎の同人誌…その謎にこれから迫まろうと思います。

二日酔いで酷い有様なので、誰にも会いたくないけど暇を持て余している。
そんな今日みたいな日には、うってつけの暇つぶしです。

初めて見たときは、驚きの連続で動揺してしっかりと読めなかったからな。

大ちゃんも泊まりの準備のために一旦家に帰ったし、腰を据えて読むぞ!











「ねえ、ルーミア?もう帰っていいよ?」
ルーミアには、同人誌を入れた箱を持ってきてもらい、何故か大ちゃんに包帯でグルグル巻きにされた俺を助けてもらいました。


「今回は、ここしか出番が無いはずだから、帰りたくないのだー」

!?また訳の分からないことを…

「そんなことを言わずに帰りなさい!」

そこにルーミアがいたら、同人誌をこっそり取り出して見ることができないじゃないか!!

「分かったのだー、これで二行喋れたから、よしとするのだー」

はあ…
さてと、読むぞー















この同人誌の変な所は、ゲンソウキョウの住人とそっくりの人たちが対象になっているということなんですよね。
元居た所では、ゲンソウキョウなんて名前は聞いたことが無かった。
ということは、普通に考えれば同人誌なんて作られるはずがない…
なのに、ここには同人誌がある…
この答えが示す所は…

この同人誌は、ゲンソウキョウを知っている人達の間でのみ流通しているもの。
例えば、このゲンソウキョウを管理している人達が描いているというのはどうだろうか?

兵器開発となれば、女性より男性の方が多いだろう。
そして、ゲンソウキョウの性質上、恐らく人里離れた場所にあるはずだ。

ということは、開発者達は女性が居ない環境の中、職務に励むことになる。
しかし、目の前には手に出せないが女性(しかも美女や美少女や美幼女ばかり。)がいっぱい。

恐らく、相当な欲求不満に襲われているだろう。
だから「せめて絵の中でも」と考えるのではないだろうか?

うん。この仮説はありえる。


となると、ここに書いてあることはある程度事実に沿っている可能性があるな…


事実に沿っている…!?

さっき、店主が博麗の巫女と魔理沙さん二人に迫られてって話が…



絶対に許さんぞ店主!!じわじわとなぶり殺しにしてくれる!!





いかん…発作が!!


冷静に…
冷静になって読むんだ…

あ、よく読むとヤンデレっぽい展開…




げ、げえええええ!?

つ、次に行こう…











な、なにーこのベアード様をつかって相手の心が読めるから、相手が望むエロイことが何でも分かるだとー!?
となると…
(*'Д`*)ハアハア










いかん。
妄想で思考力が落ちる。
次だ!









こ、小悪魔さんが二人???
でゅ、デュアルコア…
これもエロ過ぎる!?
恥ずかしくて、見ていられないよ!
もっと、エロくなさそうな可愛い絵の奴を…









何者だこのお兄さんはー!?。
同じ作者の本と思われるものには、大抵出てくるがやっていることは同じ。
見たことあるような女の子達を次から次へと…凄すぎる。
こいつは恋愛原子核なのか!?









しかし、こいつもまさか実在の人物なのか…
そうだとしたら、もしも俺の前に現れたら…
(((;・Д・)))ヒイイイイイイ


だが、このシリーズ…
色々な人物が出てくるから、ゲンソウキョウを知る手がかりになるぞ。
それに、考えようによっては普通の男と、女性の話ばかりだから…
さっきの店主の奴ほど、危険なネタにぶつかる心配は無いはず…







   。 。
  / / ポーン!
( Д )


だだだだだ…
大ちゃんとチルノが巨大な蛙に!!!!!!!!


かかか蛙め…
今すぐ見つけ出して17分割にしてやる!!!!!







しまった、また発作が!?
駄目だ、もう心臓がどうにかなりそうだああああ!!


















俺のHPはもうゼロよ。
正直、精神的に疲れきったよ…
俺が出てくる同人誌が無いのが救いだが…
さっきの大ちゃんの奴は効いた。

まだまだいっぱいあるけど、今日はここまで。
当分の間、同人誌は封印しよう…





コンコン!


あ、誰か来た。
さっきまでは、誰にも会いたくないと思っていたけど、今は同人誌の内容を忘れるために、誰かとお話したいです。

「ハニュー総帥。にとりとアリスです。大切なお話が…」

なんだろう?

「ちょっと部屋を片付けるから、少し待ってて!!」


----------


えーとなになに…
なんだこれは?
ロボットの絵とスペック!?

この書類名は…『試作案 さ-84 モビルスーツザク 概要書  決定稿』

!?
ザクってメイド長への悪戯のための機械の名前の隠語じゃ…
でもこれって、明らかにロボットの概要書っぽいんですが…
しかも、本物のザク並みの…
これはまさか…オラザク!?

なるほど。これは、にとりさんが考えたオリジナルモビルスーツですね分かります。

いやはや…この資料凄いわ…
本当に魔法と科学を融合して作ったモビルスーツの概要書を読んでいるみたいです。
自分の妄想でこんな設定集まで作ってしまうとは、中々のものですね。
にとりさんが東京にいれば、きっと年末とお盆のあたりは大活躍でしょう。


これは元気が出てきましたよ。
興味も出てきたので色々と聞いてみましょう。

「にとりさん、これのコンセプトはどういうものなのかな?」

「コンセプトは『最強の兵器』です。考えうる限りの技術がここに詰まっています。」

おお…
なんという厨二…じゃなくて素晴らしさ。
ここまで明確だと、これはこれでよし!

となると、色々な兵器を積んで…いるようですね。

ほほう…
主兵装は…
何やらいっぱいあるな、まず一つ目は…

ジオン にとり・アリス工廠製 41型電磁レールスマートガン!?

ザクマシンガンじゃないのか?
ああ、愛称ザクマシンガンって書いてあるw
しかし、レールガンと来たか、となると弾もザクマシンガンとは違いそうだな。

ジオン にとり・アリス工廠製 22型超小型純粋水爆弾
ジオン にとり・アリス工廠製 11型生物兵器弾
ジオン にとり・アリス工廠製 11型通常弾
ジオン にとり・アリス工廠製 38型魔法弾
ジオン にとり・アリス工廠製 05型呪弾
その他、鋭意開発中。


最後とその前はよく分からないが、いきなり南極条約違反かよw
こんなザクマシンガンを持ったザクが第一話で出てきたら、ア●ロ死亡だろ!!
まあ、純粋水爆が3F弾に比べてどれほどの威力で、南極条約に引っかかるかのかどうか分からないけど…

他の武装は…

ジオン にとり・アリス工廠製 55型攻撃型魔法生成システム
ジオン にとり・アリス工廠製 38型レーザーマシンガン
ジオン にとり・アリス工廠製 15型規格型ミサイルランチャー
ジオン にとり・アリス工廠製 59型汎用型無人機動兵器
ジオン にとり・アリス工廠製 36型ビームソードアックス
ジオン にとり・アリス工廠製 10型のびーるアーム
その他、鋭意開発中。

これらが標準装備武装で、ミッションにあわせて自由に武装が換装できると…

ほう…武器どころか、機体構造そのものがモジュール化されているので、機体は各パーツレベルで換装可能か…

どれだけ厨二病設定なんだよこれ!!
これって、ザクよりザクⅢとか、ギラズールとか…
いや、そういったレベルじゃない何かだぞ?
うーん。モビルスーツに何かが混ざっているような気がするのだが…
まあそれはとにかく、ここまでぶっ飛んでると、変な意味で素晴らしすぎる…

え?
防御用の装備も充実しています!?

ジオン にとり・アリス工廠製 56型ガンダリウム合金
ジオン にとり・アリス工廠製 62型防御型魔法生成システム
ジオン にとり・アリス工廠製 41型統合型ステルスシステム
ジオン にとり・アリス工廠製 47型ビームシールド
ジオン にとり・アリス工廠製 21型近接迎撃システム
その他、鋭意開発中。

62型防御型魔法生成システムは愛称がIフィールドですか…
へえ、ガンダリウム合金もあるのですか。
おまけに、統合型ステルスシステムの内訳には、ミノフスキー粒子とか、光学迷彩とか、ルーミア式ジャマーシステム(!?)とか…


「よろしければ、詳細についてご説明いたしますが?」
ありがとう。
よろしく頼むよ!


----------


うむ。
まったくわからん!




なんという難しさ。
俺の頭じゃ、ついていけないw

しかし、自分の考えた設定をこうも熱心に説明されているのに、分からないと言うのもなー
せめて絵だけでも見て、しっかり聞いているフリをしないと…




「…とこのようなコンセプトになっており、想定されるあらゆる作戦に対応することができます。
 しかし、この機体には欠点があります。
 それは、ハニュー総裁より見せてもらったモビルスーツザクの模型と、かけ離れたデザインになってしまったことです…」


確かにパッと見た感じ、どう見てもザクに見えない…




あ!

こんなタイミングだけど、分かった!!

にとりさんのザクってモビルスーツにアーマードコアのネクストが混じっているんだ!
パーツの交換が可能な所とか、色々な所に武器が搭載されているデザインとか…


「大変申し訳ありません。」

ちょ!?
そこは謝る所じゃないだろ!
オラザクのいい所は、自分の妄想を他人に遠慮せずに出せるところだろ?
ここには、にとりさんのザクが「こんなのザクじゃない!!」って非難するような人はいないよ。


「気にしていないよ。俺は素晴らしい機体だと思うよ。」


「!!ありがとうございます。完成に向けて鋭意努力します!!」

おいおい…
これを作る気なのかよ。
図面とか見る限り、これをフルスクラッチするのは大変だろ。
そりゃ、自分の妄想した機体を模型にしたいという気持ちは分かる。
だが、この図面どおりに作ったら、普通に売っているプラモの何十倍も細かい模型になっちゃうぞ…
相当大変なことになるだろうなあ…




しかし、さっきはデザインを気にしないと言ったものの、この機体がフルスクラッチされたとして…
普通のザクのプラモの横に置いたら…

違和感がありまくる。
機体本体には、よく見るとまだ微かにザクの面影があるのだが…
この全身ハリネズミ的なデザインのおかげで、まったく分からない…


むしろ、この武装の多さといい、アーマードコア系と一緒に並べたほうがまだ違和感が無いか?

といっても、こんな危険な武装ばっかりの機体がアーマードコアに出てきたらバランスブレイカーだな。


うーん。
本編では語られるのみでプレイできない、企業と国家が戦い、国家が消滅した、国家解体戦争ならそれでもゲームとして成り立つか???


「ハニュー総帥、いかがなされましたか?」


「いや、ちょっとね…。国家解体戦争には使えそうだと思って…」




といっても…
やっぱりゲームとしては成り立たないか!

この機体って魔法が使えるからな…

エイッ!と魔法一発で、敵が蛙になったり…



なんだこのバカゲーw

いい意味で笑えてくるw

って、いかんいかん、馬鹿にしていると誤解を与えちゃうから笑っちゃ駄目だよね。
でも、顔がにやけてしまう。


頭から早くこの話題を追い出さないと!


「まさに最強の兵器ですね…でも、最強を目指すなら一つ足りないものがある。」

そう、ここまで厨二病的設定なら、あれがあってもいいはず。
とさっきからずっと思っていました!

「足りないものですか!?」


そうそれは…
「月光蝶である!!」

最強といったらこれだよね。
異論は認める。

----------


side 博麗 霊夢

「霊夢!あなたやる気はあるの!?いきなりメイド服の私的改造だなんて…」

なに言っているのよ…

「これは最初から置いてあったの!!だいたい、この腋が開いているデザインがイリーガルっぽくて素晴らしい!!ということが分からないなんて遅れてるわよ!!!」

「遅れているとか、そんなことはどうでもいい話よ。メイドはお嬢様を誘惑するのが仕事じゃないわ!!!」

ゆ、誘惑ですって!?
「咲夜!!そんな酷いことを言わなくてもいいじゃない!!私は、誰にでも腋を許すようなビッチじゃないわよ!!!!」

「意味が分からないわ!?それより、周りを見てみなさい!他のメイド達もおかしな格好だって言っているわよ!!」




「本当に腋巫女なんだーすごーい!他の皆にも教えよーっと!」
「いくらなんでもメイド服まで腋を空けなくても…」
「あれって、お嬢様を誘惑するのが目的だったんだ!「「キャー♪」」」




(*゚Д゚*)カアアアアアアアアアアアアアア
あ、あれ?
なんだかもの凄く恥ずかしい!?

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「第十問 お嬢様が嫌いな魚が出たため、ご夕食はいらないと駄々をこねました。どのように対処すべきでしょうか。
 1 お体の事を考え強引に食べさせる。
 2 その日のご夕食は抜きにして諦める。」

咲夜にメイドの訓練とか言われたけど、いきなり座学…

えっと…2番のような気がするけど、やっぱりここはレミリアのことを考えて1番かしら。

「1番!!」

「ハズレです。答えは、『魚を使っていると分からないような調理方法に変更し、料理を再提出する』です。」

なんですって!?
1番でも2番でもないじゃない!!

「ちょっと!なんなのよそれは!!そんな回答なんて無かったじゃない!!」

「だれが、1と2の二つから選べといいましたか?最良の回答が目の前に無ければ、最良の回答を自ら作り出すのが大切です。」


(#^ω^)ピキピキ

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「はい失格。」

「何が「はい失格」なのよ!?ちゃんと掃除できているじゃない!!」

「これを見なさい。このあなたが捨てようとしたゴミの中、この青く高貴な雰囲気の細長い物体は何?」

何言っているのよ…
これは…髪の毛??

「こんな髪の毛がどうしたっていうのよ?」

「これはお嬢様の髪の毛よ!!それを他のゴミと一緒に捨てようとするなんて!!なんて恐れ多い!!
 本来なら、一生の宝として取っておくものよ!!!」


(#^ω^)ピキピキピキピキ



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side 夢子


このレポートは!?
まさか、これが神綺様をジオン総帥ハニューと会談させることになった原因か!?

神綺様は会談の準備でお留守だし、掃除をしていたという理由なら…
少し覗いてみるか…




『ジオン設立に関する考察  情報省・外務省・国防省 合同調査委員会』

・ジオン設立目的

ジオンの設立目的はハニュー総帥自身が明言していないため、明確ではない。
分析の結果、当面の間は以下の二点が目的として考えられる。
1 幻想郷をジオンによって統治することによる、新体制の確立。
2 軍事力の強化。

問題は2の軍事力の強化。何を目的として、軍事力を強化しているかにある。
この点について、複数のシナリオが考えられる。

① 幻想郷統治のための、軍事力の強化。
② 対外勢力からの侵攻に対応するための、軍事力の強化。
③ 対外侵攻のための、軍事力の強化。

①のシナリオの場合、ジオンが整備する軍事力は小規模になる。新体制確立後も魔界に対する脅威度の上昇は三つのシナリオの中で最も低い。
②のシナリオの場合、ジオンが整備する軍事力は中規模になる。このシナリオの場合、対外勢力からの侵攻が発生するため、ジオンの敗北は魔界の危機に直結する。
③のシナリオの場合、ジオンが整備する軍事力は大規模になる。このシナリオの場合、魔界がジオンと良好な関係であるか否かが重要になる。
 最悪の場合、魔界はジオンから侵略される可能性がある。


これらのシナリオのうち、現在の情報では②の可能性が最も高いと分析する。
ただし、未確認情報ながらハニュー総帥自身が幻想郷が外の世界に受け入れられることを望んでいるとの情報がある。
この場合、外の世界に幻想郷が受け入れられるために、積極的な介入を外の世界に行うと考えられる。
よって、③のシナリオが発生する可能性が大となる。
 

・ジオン支援のメリット・デメリット

ジオン支援のメリット
A ジオンが開発に乗り出した、魔法技術と科学技術を融合させた新兵器に関する情報が入手可能になる。
B ジオンを通して、最新の戦闘データを収集可能になる。
C A、Bのフィードバックによる、魔界の技術・軍事力の向上。
D ジオンの幻想郷統一後、ジオンとの良好な関係を築く礎となる。

ジオン支援のデメリット
a ジオンが敵対勢力になった場合、支援しなかった場合に比べ、ジオンの脅威度が増大する。
b ジオンが他勢力と紛争状態になった場合、魔界が巻き込まれる可能性が増大する。


・結論
ジオン設立目的が①のシナリオの場合
→ジオンに対する支援は必要なし。

ジオン設立目的が②のシナリオの場合
→水面下での支援を実施。

ジオン設立目的が③のシナリオの場合
→積極的な支援、若しくはジオンへの先制攻撃。当委員会としては、ジオンへの先制攻撃を推奨する。







なんだこれは…
役人達め…久しぶりに仕事が回ってきたから調子に乗ってこんなものを…

アリスから送られてくる情報だけで、ここまで纏め上げたのは大したものだが。
それゆえに、かなり荒いレポートだ…

こんないい加減なレポートで、神綺様が動くとは到底思えないが…
現に神綺様は動いている…




やはり、何かが始まろうとしているのか?




side ハニュー

流石に、飲んでから三日目になると、二日酔いも全快するなあ~
今日は良い天気だし、仕事日和だな。
さてと、今日は色々と持ってこられた案件を処理しましょう。


「う、ううん…      ハニューちゃん…もう大丈夫なの??」

ありゃりゃ、起こさないように気をつけていたのに…
大ちゃんが起きちゃった。

「もう大丈夫さ!!俺はちょっとやることあるから、大ちゃんはゆっくりしていってね!!」

「う、うん…お仕事…頑張ってね…」

お仕事…
というより、部活だけど。
頑張ってくるよ!!

「じゃあ、いってきます。」

「うん。いってらっしゃい。ハニューちゃん…」

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まずは、アリスさんの実家から支援を受ける話です。
まさか、部活動でアリスさんの実家を巻き込むことになるとは…

アリスさんが事前に話をした様子によると、支援してもいいが俺と話しをしてから決めたいとのこと…

これほど大事になってまで、部活を支援してもらわなくても…と思ってしまうのですが、ここまで話が進んでいると逆に引き下がることができない。
それに、オタク活動に理解のある親というのも案外少ないものですし…
是非ともここは、我々の活動を理解していただき、支援してもらいましょう。

しかし、もう回線が繋がる時間なのだが…
全然繋がらないな。
なんでも、原因不明の通信障害で実家側と協力して対処中とのこと。

ずっと待たされたせいで、なんだか緊張してきたよ…
こういう時は人の字を手に描いて…
なんて、古典的なことをしても意味が無い。

どうすれば…
そうだ、こういう時こそ、いつもの様に過去の偉人に学びましょう。

女性との交渉をした過去の偉人といえば…

『お茶の用意を。』『私はダージリンがいいな。』

!!

そうですよね!グリーン・ワイアット大将!!
あなたはガンダム0083世界の人ですけど 、シーマ・ガラハウとの交渉の前であっても、自らのペースを崩さないその姿勢は大切だと思います。

「お茶の用意を。」

「ハニュー総帥!?」

「俺はダージリンがいいな。」

「は、はい!!」


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紅茶が美味い。

よく考えてみたら、所詮は親御さんとの会話だからな…
肩から力を抜いて、普通に会話すればいいか~

「ハニュー?やっと、回線が繋がったわ。映像も送れるようにしてあるから。アホ毛の生えているほうが私の母さんだからね…」


『初めまして。私が魔界の神でありアリスの母である神綺です。
 あらかわいい。あなたがハニューなの?思っていたより、随分と可愛い子なのね?』

いきなりこの人、魔界の神とか言っちゃってるよ!?
アリスさんと同じネタかよ。
見た目が全然似てないが、やっぱり親子だな…

「…フッ、レディは人を待たせるものと思ったがな。フッフッフ…自らを魔界の神と称するのか…これは面白い冗談だ…」
しまったああ!!
ワイアット気分のままで喋ってしまった!!
しかし、ちゃんと冗談を褒めたのでOKですよね!

『フウン…それではあなたは何なの?』

「“ハニュー”ですよ。『はじめまして』」
ワイアット気分が悪かったのか、ちょっと怒った感じの雰囲気で「あなたは何なの?」
って聞いてきたので、笑いを取るためにネタで返しました。
しかし、突然キャラを変えたので、なぜか泉水さんになっちゃったけど。

あ、神綺さんちょっと驚いた顔をしてる…

どんな会話にもネタで返すことができる。
どうだ、これがオタクの会話のテクニックという奴だ!
さあ!さあ!存分に驚くがいい!!

『へえ、楽園の革命家とか、遙かなる蒼とか二つ名をつけて来るかと思ったけど…』

スルーですか('・ω・`)

でもその二つ名…
カッコいいじゃないか、いや…だからといって、俺に名付けた所で名前負けだろ。
「俺にはそんなもの必要ない。」

『先ほどは失礼したわ。それでは交渉を始めましょう。可愛いお嬢さん。』

矛を収めてくれたみたいだし、これからが本番か。
しかし、また可愛いお嬢さんと言われた。
そんなに褒められたら、嬉しくなっちゃうじゃないか。
別に男に興味は無いが、せっかく女になったからには不細工より、可愛いほうがいいですからね!

「お世辞とはいえ、あなたのように綺麗な方に可愛いと言っていただけるとは光栄です。」

『…まあそう…』

さて、まずはこちらからお礼を言って、会話を始めるのが常識だよね。
もちろん、相手を思いっきり持ち上げる方向で…

「今回は、俺達の活動を支援していただくことになり、ありがとうございます。
 文化活動が乏しい中、私達の文化活動をあなたのような立場の方に理解して頂けるとは感激の極みです。」
部活動を文化活動というのはちょっとあれだけど、ジャンル的には文化部系だからねぇ。
それに、オタク活動の支援ありがとうございマースじゃ、ちょっとかっこ悪いし。

『文化活動…面白い言い方をするわね…』

まあ確かに、ちょっと無理がありますか、でも…

「どこで誰が聞いているかわかりませんから。文化活動としておいた方がいいかと。
 それに、支援していただくときも、文化活動の支援ということなら、何かとやりやすいでしょう。」

ただ、なんというかオタク活動の支援って人に聞かれると恥ずかしいし…
こういう名前の方が絶対にカッコいいって!

『…それもそうね。では私達の文化活動について話を始めましょうか。

 今回の文化活動の支援を行うに当たり、あなたにいくつか質問があるの?いいかしら?』

質問?なんだ?
気になるな…
「構いません。」

『あなたは、何のためにジオンを作ったの??』

なるほど、部活動を支援するにあたり、どんな目的の部活かが知りたいのですね。
確かに、反社会的な目的の部活を支援するわけにはいかないからな。
というより、そんな部活だったらアリスさんを即刻辞めさせるよな…

えーと…
困ったな…
実は、知らない間に勝手にできてました!とか言えないし…
何かそれっぽいことを言って誤魔化そう。

「虐げられた者達が、本来の姿でいられる場所を確保するため。」
うん。
なかなかいい言葉だ、厨二っぽくて。
おまけに、この厨二っぽさが逆にリアリティを出しているしw

まあ実際にも、オタクが自分を曝け出せる場所ってあまり無いからな。
社会的にも、未だに虐げられてるし。

『それは…今の幻想郷で十分じゃないの?』

いや、全然十分じゃないと思います。
オタクの集まりなんて、うち以外にはどこにも無いだろ。

「十分じゃない。」

『そう…十分じゃないの…ではどうする気なの?』
え…
そりゃ布教活動するしかないだろう。

「このまま仲間を取り込み、組織を拡大する。」

『武力を使って?』

「そんなことはしない。あくまで本人の意思によって、入ってもらう。」
いや、力ずくで部活に入れるって、そんなの無いだろ。
どこのジャイアンだよ。
ゲンソウキョウ的発想としては間違ってないけど…

しかし、この重苦しい雰囲気は何だ!?
画面を通してビシバシ圧力がかかって来ている気がします。
アリスのお母さん、さっきから全然笑わないし…

『でも、あなた達の考えを理解せず、力を持って邪魔する奴らも出てくると思うけど?ただの理想論に聞こえるわよ?』

「あんた馬鹿ぁ?ワケわかんない連中が攻めてきてんのよ?降りかかる火の粉は払いのけるのが当たり前じゃない!」
なんだか厳しいこといわれるし、シリアルで辛いのでネタを入れて返答してみました。

でも、やっぱり笑ってくれないのね('・ω・`)


『フフフ…愚問だったわね。そのあたりはちゃんと分かっているようね。馬鹿にしたわけじゃないの、ただの年寄りの説教よ、ごめんなさい。』

いや、ネタに対してそんな真面目に返されると、こちらも困るというかなんというか…
確かに、ゲンソウキョウ的常識だと、部活動を力ずくで邪魔してくる奴らがいそうで怖いのは事実だが…

『もう一ついいかしら?組織を拡大させるそうだけど…もしも、幻想郷をジオンが支配したらジオンを使って次は何をする気かしら?』


なんだその質問は…
ゲンソウキョウをジオンが支配だと!?
つまり、ゲンソウキョウがジオン部化ということか!!
色々ありえない仮定だが、そんな事態になったら…





いいかも…

ゲンソウキョウを生物兵器の実験場から解放するために、その状況は役立つかもしれない。
普通の人間だったら、俺達が生物兵器だっていうだけで嫌悪感を持ったり、何か異質なものとして差別してくる可能性があります。
まあ、容姿の恩恵をかなり受けられそうな子達ばっかりなのが不幸中の幸いですが、それでも普通の人々に…
いや、世界に受け入れてもらうためには、もっと色々な工夫が必要になるはずです。

そんなときに、ゲンソウキョウの生物兵器達が実はオタクだったということだったら、かなりの親近感を得られるかもしれない。
共通の話題というの物は、時には見た目といったものを超越する力を発揮するからな。

しかも、ゲンソウキョウの住人達は某極東にある国のオタクにはかなり受けそうな気がする。
なんというか、コスプレとかさせたら大人気になりそうなルックスの子達ばっかりだし…

腐っても鯛な某国の世論を同情的なものにするだけでも、俺の計画には相当なプラスになるかもしれない…
それを考えると、ジオン部を拡大させて普通の人間(オタク)とゲンソウキョウの住人(オタク)の交流の窓口にできれば…


所詮、都合のいい妄想だが…
何も無い現状よりは、よっぽど良さそうだ。





『言えないようね…』

なんというか、こんな計画を現時点では話せないというか…
答えようが無いというか…
「時が来たらお話しすることができるでしょう。現時点で言えることは…ゲンソウキョウの住人達を救うために使うということだけです。」


『そう…トップシークレットという訳ね。』




そうです。
トップシークレットです…
こんなので、納得してもらえるのか??



『…では支援の具体的な話に入りましょう。さて、あなた方への支援ですが、これによって双方に多大なメリットがあるのは、お互い分っている通りです。
しかし、この支援を実現するためには三つの条件があります。』

よかった、とりあえず納得してくれたみたい。

えっと。
具体的にどういった支援をしてくれるのか、俺は知らないのですが…
今更、支援って何ですか?って聞いたら、俺もアリスさんも恥を書くからなあ、ここは黙って話を進めよう。

「条件とは?」

『一つ、どのような支援をどのような条件で供与するか、我々の主導で決定する事。一つ、我々の関与は一切公開しないこと。一つ、アリスを、即刻引き渡すこと。』

!?

『アリスはジオンの活動のために魔界の技術を流出させました、これは重罪に当たります。』

…え!?
どういうこと…?
これって、魔界ってゲンソウキョウのどこかにある本当の場所ってことで、ジオン部のためにアリスさんが技術を流出させたので、それが魔界のルールに触れたってこと!?

「ちょっと待ってください!!アリスさんは、魔界に連れて行かれたらどうなるのですか!?」

『それはまだ分かりません。しかし、ただでは済まないでしょう。』

そんな…どういうことだよこれ…
いや、おかしいだろ、たかが部活動のためにアリスさんが「ただでは済まない」事態に!?
さすがに、それは認められないよ!!
それに、あなたはアリスさんのお母さんだろ!!それでいいのかよ!!

「そんな…母さん?いつもの冗談よね?」

『今の私は、母として話しをしている訳ではありません。』


「そ、そんな…う、ううううう…」



なんだよこれは!!!
とにかく、支援してくれる話を即刻断らないと。

「アリスさんを犠牲にしてまで、支援してもらう必要はありません!」

『若いわね…組織の長として間違った決断だと思わないの?あなたの目的のためには、我々の技術が絶対に必要じゃないの?
 アリス一人の犠牲で多くのものを得ることができるのよ?簡単な算数のはずよ?』

目的!?
ジオン部を作った目的は、後付だけど、オタクが自分をさらけ出せる場所をつくり、幸せにしてあげることだ!
その目的のために、部員であるアリスさんを不幸にしたら本末転倒だろ!
それに、部長として部員を守るのは当たり前だろ!!
「それは違う!!!!俺は…俺達は…仲間を犠牲にすることなんて絶対にしない!!」



『私の提案を無下に断るなんて…あなた?覚悟は出来てるわね?』
いや、だって間違ってるし!話がおかしいし!!

「絶対に、アリスさんは犠牲にしない!アリスさんは絶対に守ってみせる。」
泣き崩れるアリスさんを抱き寄せる。
ああー!!もう話が滅茶苦茶になってきたし、アリスさんのお母さんって怖そうだけど…
だからって、俺のためにアリスさんを犠牲にするわけには絶対にいかないよ!!

『では、これからそちらに行って、あなたを殺しアリスを連れ帰りましょう。』

こ、怖いいいいいい!!
決意が鈍るーーーーー!!
でも、多分大丈夫さ、こっちに来たらルーミアとか、お嬢様とか、妹様とか、博麗の巫女が代わりに戦ってくれるさ!
「やれるものならやってみなさい!!!ハニューは、母さんなんかに負けたりしないわ!!!」

ちょ、アリスさん!?

「ハニュー…二人で母さんを…倒しましょう!!」

げ、げえええええ!?
ちょっと、なに暴走しているんですか!?
お、俺が戦ったら駄目だって!?

これって、アニメとかでよく見る勝利フラグかもしれないけど、主人公補正が無い奴が言うと完全に死亡フラグですよ!?






『あらー、生死を賭けてアリスちゃんを守るのね~。それじゃあ、アリスちゃんを一生守ってもらおうかしらー。』



!?


『試させてもらったわ~。ハニューさん。ごめんなさい。

 あなた方への支援、正式に受けさせてもらうわ。
 細かい点の交渉については、後日、夢子という者に当たらせるわ。
 日程についてはアリスと調整するから、よろしくお願いするわね。
 

 この支援によって、魔界とジオンの双方が繁栄することを、切に願っているわよ。




 有意義な時間だったわ、あなたと肩を並べる日を楽しみにしているわ。
 さよなら…あ、そうそう…今度は個人的にお話ししましょう。』




( ゚д゚)( ゚д゚)ダブルポカーン





side 神綺

『ハニュー?回線が繋がったわ。映像も送れるようにしてあるから。アホ毛の生えているほうが私の母さんだからね…』

アリスちゃん酷いわー
昔は「母さんの髪型可愛くていいな~」って言ってくれたのに…
それをアホだなんて…

育て方を間違えたのかしら?
母さん泣いちゃう…


なーんてことを言っている場合じゃないわね。
今日は真面目にお仕事しないといけないわ。

「初めまして。私が魔界の神でありアリスの母である神綺です。
 あらかわいい。あなたがハニューなの?思っていたより、随分と可愛い子なのね?」

偽の通信障害を演出し、わざと会談時間を遅らせ、相手を焦らした上で、まずは一発。

焦らされ、精神的に圧迫されている状態で、上から物を言われることの無い立場の者が、頭ごなしに可愛いといわれる。
相手を動揺させ、交渉の主導権をこちらに奪うテクニック…

さあ、どんな反応をしてくれるかしら?

『…フッ、レディは人を待たせるものと思ったがな。フッフッフ…自らを魔界の神と称するのか…これは面白い冗談だ…』

!?
紅茶を飲みながら、待っていたですって!?
なにこの子、随分と余裕じゃない…
おまけに、散々待たされたはずなのに、待たせていないと皮肉を言ってくるなんて。
しかも、私が神であることを冗談とまで言う!?

この子、思った以上にできる!?
そういえば、何処となく、政治の世界の闇を歩き…そしてのし上がってきたような雰囲気を感じる…

しかし、それなら尚の事、あなたはいったい何なの?
「フウン…それではあなたは何なの?」


『“ハニュー”ですよ。「はじめまして」』
そんな当たり前のことを、底知れない雰囲気で言ってくるなんて、本当にいったい何なのこの子!?


まずいわ…
相手のペースに飲まれている。
皮肉の一つでも言って、相手のペースを乱さないと。

「へえ、楽園の革命家とか、遙かなる蒼とか二つ名をつけて来るかと思ったけど…」

『俺にはそんなもの必要ない。』

なるほど、ただの三下ではない様ね…

自分は、こんな二つ名や肩書きなど、必要も無いほどの実力者だというのね。
そして、魔界の神という肩書きを言った私をあざ笑ったと。
確かに、二つ名や肩書きをつけて喜んでいるのは、ただの三下だったわね。

私も、長い魔界生活でちっちゃくなったものね…

「先ほどは失礼したわ。それでは交渉を始めましょう。可愛いお嬢さん。」

と、油断させてもう一発。

『お世辞とはいえ、あなたのように綺麗な方に可愛いと言っていただけるとは光栄です。』

「…まあそう…」
フフフ…不意打ちにも一切動揺無し。
これは、準備していたというより、本当に肝が据わっているようね。


『今回は、俺達の活動を支援していただくことになり、ありがとうございます。
 文化活動が乏しい中、私達の文化活動をあなたのような立場の方に理解して頂けるとは感激の極みです。』

「文化活動…面白い言い方をするわね…」
文化活動?ジオンの活動が文化活動?

『どこで誰が聞いているかわかりませんから。文化活動としておいた方がいいかと。
 それに、支援していただくときも、文化活動の支援ということなら、何かとやりやすいでしょう。』

なるほど。
慎重ってだけじゃない。
これは、我々がジオンとの接触を隠したがっていることも、既に読まれていると考えるべきね。

これまでの情報で判明したジオンの力。
そして、先ほどまでの会話から見て…
魔界の交渉相手として、不足は無い。
これは本当に交渉へと進むべきね。

「…それもそうね。では私達の文化活動について話を始めましょうか。

 今回の文化活動の支援を行うに当たり、あなたにいくつか質問があるの?いいかしら?」

『構いません。』

「あなたは、何のためにジオンを作ったの??」

ジオンとの交渉を進めるにあたり、最大の問題。
それはジオンの目的が不明確なこと。
これが解決しない限り、我々のジオンへの態度は決められない。

本来なら、もっと変化球で攻めるべきでしょうけど。
この子相手に下手な変化球は危険。

『虐げられた者達が、本来の姿でいられる場所を確保するため。』

虐げられた者?
それは妖精のこと?
いや、そうじゃない。
アリスちゃんの話では、ジオンには妖精以外も多数参加している…
だからこれは、幻想郷の住人全てを指している言葉。
しかしそれなら、今の幻想郷で十分じゃないかしら?
幻想郷のあり方そのものが、外の世界に虐げられた存在が集まる場所…

「それは…今の幻想郷で十分じゃないの?」

『十分じゃない。』

「そう…十分じゃないの…ではどうする気なの?」
今の幻想郷が彼女にとって不十分なら、いったい何をする気なの?

『このまま仲間を取り込み、組織を拡大する。』

「武力を使って?」
なるほど…
組織を拡大し、幻想郷を乗っ取り、自らの考えた新体制を作るのね。
それなら、ジオンの武力はそのためかしら?

『そんなことはしない。あくまで本人の意思によって、入ってもらう。』



「でも、あなた達の考えを理解せず、力を持って邪魔する奴らも出てくると思うけど?ただの理想論に聞こえるわよ?」
そんな理想論じゃ上手く行かないと思うけど、まさか本気で思っていないわよね?
そんな青い理想論じゃ話にならないわよ?

『あんた馬鹿ぁ?ワケわかんない連中が攻めてきてんのよ?降りかかる火の粉は払いのけるのが当たり前じゃない!』

「フフフ…愚問だったわね。そのあたりはちゃんと分かっているようね。馬鹿にしたわけじゃないの、ただの年寄りの説教よ、ごめんなさい。」
青い理想論者でもない…
ここまでは完璧ね…
それにしても、馬鹿か…フフフ…久しぶりに言われたわね…対等に話せる相手なんて、本当に久しぶりだわ。
このまま、ずっとお話していたいわね。

でも、今は交渉中。

そして、この子は最も危惧すべき点には何も答えていない。

「もう一ついいかしら?組織を拡大させるそうだけど…もしも、幻想郷をジオンが支配したらジオンを使って次は何をする気かしら?」












急に黙り込んだ。
やはりこれは、簡単には言えない内容のようね。
「言えないようね…」



『時が来たらお話しすることができるでしょう。現時点で言えることは…ゲンソウキョウの住人達を救うために使うということだけです。』
時が来たらとはね…
やはり、ジオンの設立にとって幻想郷の支配は通過点でしかない。
さらにその先があるのは間違いないようね。

しかし、こういう言われ方をすると判断に困るわ。
「そう…トップシークレットという訳ね。」

殲滅すべきか、手を結ぶべきか。
彼女が高い手腕を持っていることはわかった。
敵にすると厄介な相手。

それだけなら、手を結ぶべき。
しかし、組織の真の目的が見えない状況では…
態度を決めることが難しい。

ジオンを完全に無視するという手もある。
しかし、実際に話してみて分かった。
例え魔界が手を貸さなくとも、間違いなくこの組織は幻想郷を統一する勢力になる。
そして、魔界は否が応でもその歴史のうねりに巻き込まれる。
無視すれば、魔界にとって重大な損失になる。

こうなってくると、個人として信用できるかどうかを判断基準とするしかない…
少し揺さぶりをかけて見ようかしら…


「そうなの…では支援の具体的な話に入りましょう。さて、あなた方への支援ですが、これによって双方に多大なメリットがあるのは、お互い分っている通りです。
しかし、この支援を実現するためには三つの条件があります。」


『条件とは?』

「一つ、どのような支援をどのような条件で供与するか、我々の主導で決定する事。一つ、我々の関与は一切公開しないこと。一つ、アリスを、即刻引き渡すこと。」

驚いているわね。

「アリスはジオンの活動のために魔界の技術を流出させました、これは重罪に当たります。」

アリスちゃんに偽の罪を被せ、交渉条件に入れる。
さて、アリスちゃんと個人的な友好関係にあるあなたは、どのようにしてこのピンチを切り抜けるのかしら?

『ちょっと待ってください!!アリスさんは、魔界に連れて行かれたらどうなるのですか!?』

「それはまだ分かりません。しかし、ただでは済まないでしょう。」

思った以上に動揺しているわね!?

『そんな…母さん?いつもの冗談よね?』

『今の私は、母として話しをしている訳ではありません。』


「そ、そんな…う、ううううう…」

ごめんなさいアリスちゃん。
あとでいっぱい慰めてあげるから、今は我慢してね。




さあ、ハニュー。
あなたの本性を見せてもらうわ。


『アリスさんを犠牲にしてまで、支援してもらう必要はありません!』

!!
交渉内容の変更ではなく、交渉そのものを断ってきた!?


「若いわね…組織の長として間違った決断だと思わないの?あなたの目的のためには、我々の技術が絶対に必要じゃないの?
 アリス一人の犠牲で多くのものを得ることができるのよ?簡単な算数のはずよ?」

組織の長なら…
目的があって戦争をする準備をしているのなら、どうにかして妥協点を探ると思ったのに…
まさか魔界との交渉を捨て、アリスを取るとは思わなかったわ。

『それは違う!!!!俺は…俺達は…仲間を犠牲にすることなんて絶対にしない!!』


仲間を犠牲にしない…
まさか、組織としてまとまりの無い者達ばかりの幻想郷の住人から、こんな言葉を聞くことになるなんて!!

しかしこの突然の豹変、本気なの?演技なの?

「私の提案を無下に断るなんて…あなた?覚悟は出来てるわね?」


『絶対に、アリスさんは犠牲にしない!アリスさんは絶対に守ってみせる。』

この表情…本気のようね…

しかしこの子、危うい…
あれほどの交渉力を持った人物だったのに…
近しい者が犠牲になることを知った瞬間、ここまで脆く崩れるなんて…

やはり、アリスちゃんからの話にあったように、無理をしているというのは本当のようね。


でも…
だからこそ、もの凄くいいわこの子。

「では、これからそちらに行って、あなたを殺しアリスを連れ帰りましょう。」


『やれるものならやってみなさい!!!ハニューは、母さんなんかに負けたりしないわ!!!』

フフフ…

『ハニュー…二人で母さんを…倒しましょう!!』




まったく…この子最高ね。

今ま出会った高い交渉力を持った奴等は、心の中まで計算高くて、人として信用できない奴らばっかりだけど…
この子は違う。
この子は、個人として信用に値する。

欠点を晒した情の強さ…
しかしこれは強みでもある。

仲間になれば、これほど信頼できる相手はいない。

そしてこの欠点も…
逆に言えば、周りがそれを補ってあげればいいだけ。
例えば、指導者として長い経験を持つ者が助言してあげるとかね…

そうすれば、間違いなくジオンは幻想郷に統一し、新体制を作り出すことができる。
そしてそれは、組織力というこれまでの幻想郷の住人にとって最大の欠点を補い…
外の世界に対抗しうる力へと成長するはず…



私が危惧する世界情勢へと進んだ場合、魔界にとって欠かせない同盟相手となる。




これは決まったわね…



「あらー、生死を賭けてアリスちゃんを守るのね~。それじゃあ、アリスちゃんを一生守ってもらおうかしらー。」

大ちゃんという恋人がいなければ、同盟締結の証としてアリスちゃんを一生お願いしたかったわ、なんてね。
フフフ…
道化を演じるのがこんなに楽しいなんて久しぶりね。


『試させてもらったわ~。ハニューさん。ごめんなさい。

 あなた方への支援、正式に受けさせてもらうわ。
 細かい点の交渉については、後日、夢子という者に当たらせるわ。
 日程についてはアリスと調整するから、よろしくお願いするわね。
 

 この支援によって、魔界とジオンの双方が繁栄することを、切に願っているわよ。




 有意義な時間だったわ、あなたと肩を並べる日を楽しみにしているわ。
 さよなら…あ、そうそう…今度は個人的にお話ししましょう。』


これで魔界の未来も安泰…
とは行かないわね。

これで保険はできた。
しかし、その保険を効かすには、忙しくなるわね。


あーあ。
でも、冗談ではなく、アリスちゃんの相手にちょうど良さそうなのにー
恋人がいるなんてー

政略結婚もありだけど、アリスちゃんの性格なら、きっと負い目を感じちゃうだろうし…



----------


「神綺様!これでよろしかったのですか!?」

夢子ちゃん…

「よかったのよ。ハニューは、予想以上にいい子だったわ。
 ただの冷酷で計算高い指導者だから、魔界の脅威になる前に潰そうと思ったけど………やめたわ。
 アリスちゃんへの対応を見る限り、アリスちゃんが話していた通り、心身を削って幻想郷の平和と安定のために戦っている心優しい指導者というのが真の姿みたいだから、ね。」

「はあ…しかしそれでは指導者としては危ういのでは?優しい心は必要ですが、冷酷な計算が必要なときもあります。
 それに、そのようなタイプは逆に行動が読めないので、突然我々に牙を剥く恐れも捨てきれないのでは?そのような相手の支援をする必要など…」

「そのあたりの危うさは、私がしっかりと支援してあげればいいのよ。そうなれば情に弱いハニューは、簡単に魔界に牙を剥くことはできないでしょう。
 それに、アリスちゃんが予想以上にハニューへの牽制になるから大丈夫だわー」

「つまり、神綺様が指導者としてのハニューの先生になる…いや、まさかハニューを神輿として担ぎ上げ、裏で神綺様が実質的に全てをコントロールする気ですか?」

「私はそこまで悪人じゃないわよ…。さあ、夢子ちゃん。おしゃべりは終わりにして、細かい交渉の準備をお願い。
 盗み聞きしていたのだから、ちゃんと交渉の焦点は分かっているわよね?」

「あ…はい、神綺様。お任せください!
 ①魔界からの支援は全て水面下で行う。また、その支援方法も文化的協力とし、神綺様とアリスとの家族関係でのやり取りという建前をとる。
これにより、支援関係が発覚した場合においても、政治的な逃げ道を確保する。
 ②ジオン側からの技術流出の危険性を鑑み、提供技術においては魔界の主導によって決定する。
 ③技術提供の見返りとして、技術を使用した際のデータ提供を求める。これにより、魔界社会の進歩の促進と、他の世界の情報収集を行う。
 あとは…神綺様がハニューの先生になるという話ですが…」

「建前としてはそれでOKよ。最後のは、特に何かしなくていいわ。あくまで、アリスちゃんを出汁にしたお話という形で当分は進めるわ。
 それと、もっとジオンに協力的な態度で望んでくれて構わないわ。建前が許す限り、協力してあげなさい。」

「は、はあ。」

夢子は納得行かないみたいだけど、それも仕方ないわね。
だって私、二人のあんな姿を見せられたせいで、魔界の神としてではなく、母としてアリスちゃんのためにジオンを支援してあげたくなっちゃったんだもん。
それにハニューの事が、気に入ってしまったのよねー

私も指導者失格ねー



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side 小悪魔

「小悪魔さんの綺麗な姿を見るだけで、酔っ払ってきちゃいましたよ。」

ゾクリ…

そんなに照れた顔で、そんなことを言わないでくださいよ。
興奮してきちゃうじゃないですか…
綺麗だなんて…そんなに私が欲しいんですか?

あ、まずい…
淫魔としての本性が出かけてる…
抑えないと…

「さっきから全然飲んでいないじゃないですか…まだまだこんなにあるから遠慮しないでください!」
今日は淫魔としてではなく、友人としてハニューへのお礼のために来たのよ!!
さあ、さあ!!もっといっぱい飲んで!!



----------



…イマイチ飲みっぷりが悪いですね…


「これ以上出さないで…もうお腹がパンパンです…」

ええ!?
まだ全然飲んでいないじゃないですか!?
それなのに、ソファーにもたれかかるなんて、逆に怪しすぎですよ!!



「どうして飲まないのですか?」
もう、私のお酒が飲めないって、どういうことですか!?

ぷーって
怒っちゃいますよ?

って…
そんなに、怯えた顔をしないでくださいよ。
あくまで、怒ったふりですよー?



ほら、いつまでもそんな怯えた顔をするのなら、こうやってくすぐって…
強引に笑わせちゃいますよ!


こちょこちょ~




あ…



流石、妖精の肌だけあって…
もの凄くいい触り心地…














ゴクリ…




ハッ!?



あ、あれ?
くすぐっていたはずなのに…
いつの間にか、明らかにアレの時の手の動きになってますよーーーーー!?
ま、まずいですよ。段々、淫魔の本性を抑えきれなくなってますよ!?

だいたい、どうしてハニューちゃんも、服の中まで手を入れられているのに抵抗しないのですか!!


「小悪魔さん、折角だけどこれ以上飲んだら完全に酔っ払っちゃうよ…そして酔っ払ったら、俺はこの前の夜の小悪魔さんと同じ状態に…」
ちょっといきなり何を…ってあの日の夜の私と同じ状態にハニューが!?
あの日の夜は、結局最後は私がハニューを求め続ける展開になって…


ああそうか、今のハニューちゃんはギリギリなんだ…
必死に耐える表情をして、私に警告を出すぐらい、心は抵抗しているのに…
こんなに危険な所まで触られているのに…顔を真っ赤にする以外、抵抗しない体…

心は折れていないけど、体は完全に折れちゃったんだ…






あ、駄目…完全にスイッチが入っちゃった…



クスリ…



「フフフ…つまり、私に手を出しちゃうから駄目ってこと?」

ほらほら、もっと正直に言ったらどうなんですか?

「そういうこともあります…」

フフフ…
まったく可愛いですね。
私とパチュリー様の関係を考えて、我慢するなんて…
「また私のことばかり考えてる…もう…本当に馬鹿ね…でもそういうところ、大好きですよ…」
馬鹿な考えですけど、そういういじらしい所、大好きですよ。

だから…
ほら、捕まえた…
今晩はもう離しませんよ…

「今晩だけは、一緒に過ごしたあの夜に戻りませんか?」
さあ、今晩だけ恋人に戻って楽しみましょう?
何も遠慮は要らないですよ。

「飲みすぎだ、もう帰ったほうがいい…」
うそつき…
それなら、どうして私を放さないのですか?



えい!



さあ、押し倒しちゃいましたよ…

「パチュリー様はお嬢様とパジャマパーティの予定なんですよ…だから大丈夫です…」
今晩は誰も邪魔してこない…
二人だけの世界…


さあ、どこから攻めてほしいですか…



「一人分だけですが、食事を持ってまいりました。」



なんて空気を読めない妖精…








「お帰りください。」

!?
違う、『一人分だけですが』ですって!?おまけにこの殺気。こいつ、分かっていて邪魔してきた!
そんな無粋な妖精は…

淫魔の魔力で、ヘロヘロにしちゃいますよー。






!!

まったく効いていない。
この妖精…
実力、精神のあり方ともに、普通の妖精とは全然違う…


間違いなく強い…



はぁ…
「もう、雰囲気が台無しですよ。」

雰囲気もぶち壊れてしまいましたし…
下手に戦って肌が傷ついたりしたら、パチュリー様や「ハニュー」に嫌われてしまいますから。
今日の所は、撤退するしかないようですね。



----------



あーあ…
この前は、据え膳を食べ損ねちゃったなあ…
今から思い出すと、もっと押しを強くして、早めに進めていけば良かった…

!!

って最近、気を抜くと淫魔の思考に流されてばっかり…

そりゃ、淫魔としての自分を受け入れたけど、年がら年中、頭の中が春になったら、常識が吹き飛んで馬鹿になってしまいますよ~




よし、今日は自分が淫魔であることを忘れて、図書館の司書としてのお仕事に没頭しますよ!
















あら珍しい。
こんな図書館の奥で誰が本を読んでいるのかと思ったら。
大ちゃんが本を読んでいるなんて。

「こんな所に一人でいるなんて珍しいですね。いったいどうしたんですか?」

あらら?
ずいぶんと不安そうな顔をしていますが、どうしたんでしょうか?

「実は…ハニューちゃんの体調が悪いみたいだから、何か参考になる本がないかと思って…」

ハニューちゃんの調子が悪い??だから外の世界の医学書『家庭の医学』を読んでいたのですか。
しかし、あのハニューが調子を崩すなんて、ただの病気とは思えないですね…

「…それで、何かわかりましたか?」

「似たような症状のが、さっき見つかったけど、たぶんこれは違うと思うの。」

似たような症状…?

『悪阻(つわり) 妊娠初期に見られる嘔吐や、食欲不振等の不調のこと。またこの時期、酸っぱいものや塩辛いものを好んで食べるようになる者も多い。』

ゑ?

「ハニューちゃん、ここ数日吐いてばっかりだし…ご飯も全然食べたがらないの。それに私に、何度も塩水を持ってきてくれって…
 だからこれかなって思ったんだけど…これって妊娠したときに起きる症状だって書いてあるから、ちょっと違うなって思って…
 赤ちゃんってどうやったら出来るかよく分からないけど、ハニューちゃんはまだ結婚してないから関係ないはずだし…」







えっと…
ハニューちゃんとヤッちゃったのは何日前だったっけ…



な、何かの間違いですよね???

「…どうしたんですか小悪魔さん?顔が青いですよ?」

!!

「イ、イヤ、ナンデモナイデスヨ。」



side 大ちゃん

なんだかアリスさんや周りの人たちが、ハニューちゃんの体調をもの凄く心配しているみたいだから…
二日酔いだっていうのは嘘なのかと思って、ハニューちゃんがお仕事の間にこっそり調べに来たけど…
やっぱり、二日酔いなのかな?

どれだけ調べても、いつもたどり着く先は、二日酔いになっちゃう…



side ハニュー

さて、アリスさんのお母さんとの話が終わったので、次のお仕事?に移ってます。
なんでも、アリスさんと、にとりさんは、紅魔館の図書館を使いたいとのこと。
でも、それが不可能なので、盗み出すとか物騒なことを言っていました。

アリスさんとにとりさんは、紅魔館の人間じゃないから使えないのかなあ…
正直分からないのですが、図書館で司書をしている小悪魔さんに頼みに行くことにしました。
まあ、ちょこっと本を借りるぐらい大丈夫でしょう。








「ア、アラ、ハニューチャンジャナイデスカ?ど、どうしたんですか?」

あれ?小悪魔さんの様子が変ですね。

「小悪魔さんどうしたんですか?様子が変ですよ?」


「あの…何かの間違いだと思いますけど、最近調子が悪いのって…私は何も関係ないですよね?よね?」

いや、思いっきり関係ありますよ。
二回目の二日酔いの原因は、小悪魔さんが俺が嫌だと言っているのに、次々とお酒を出すからじゃないですか!

「何を言っているんですか!俺が嫌だって言ってるのに、小悪魔さんが話を聞かないでお腹がパンパンになるまで次々と出すからこんなことに!!
 本当は、責任とって欲しいぐらいなんですよ!!!!!」

「お…」

お?

「オワタ!!!!アハハハハオーワター!!!淫魔の体ってすごーい、生えるんだ~アハハハハ~」

こ、小悪魔さん!?

小悪魔さんが壊れた!!!
変なことを口走りながら、走り回ってる!?

???俺って何か変なこと言ったりした!?
「小悪魔さん!?しっかりしてください!!どうしたのですか!?
 俺は、別に変なことを言っているのではなくて、まずはちゃんと認知してほしいと言っているだけなんですよ!?」
ちゃんと俺にお酒を飲ましまくったことを認知してくれれば、それでいいと言っているだけですよ!?

「なんの解決にもなってなくてワロタwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwww」

小悪魔さん!?どちらへ!?

















                                             「ディバインバスター!!!」
                                              
                                              ジュ!


ちょ!?
極太ビームが図書館内に走った!?

いったい何なんだ…

そ、そんなことより、早く小悪魔さんを探さないと…







!!

こ、これは!?


小悪魔さんが消し炭に!?
だ、誰がこんなことを…









「モードリリース…」

誰!?






大ちゃん!?
どうしてこんな所に?
あ、その服装可愛いね、まるで『リリカルなの●』のな●はみたいだよ。



「ねえ、小悪魔さん。ちょっと…お話しようか?」


あ、あれ?

何故だか分からないけど、このまま小悪魔さんを放置したら、二度と小悪魔さんに会えないような気がするよ!
「小悪魔さん気をしっかり!!はやく気が付いて!!」




「ハニューちゃん…」

は、はい!?

「小悪魔さんと何があったの…?何故だかわからないけど、返答次第では使い切れなかった魔力をかき集めて…それから収束させて放つか…
 お腹の中に誰かいるか確認しなくちゃいけない気がするの!!」

あひゃ!?

「い、いや…ただお酒を一緒に飲んだんだけど、小悪魔さんが俺を嫌がるのにお酒をどんどん出して…それで二日酔いになって…」


「なんだ!やっぱり二日酔いなんだ!ビックリした…」



は、はあ…




----------


10分ぐらい小悪魔さんが気を失ってしまいましたが、やっと気を取り戻したようです。

「あれ、ハニューちゃん…あれ?私どうして寝ているんですか!?
 何か記憶が曖昧になっていて…私は何を話していたのでしたっけ?」

あれ?もしかして記憶がトンでる!?

「えっと、小悪魔さんが無理に俺にお酒を飲ましたので、俺が二日酔いになったという話をしてて…」

「へ?」

へ?

「そういう話でしたっけ!?」

?そういう話のはずだけど。
「そうですよ、ずっとそういう話をしてましたよ?どうしたんですか?何か夢でも見てたのですか?」

「ア、アハハハは!!なんだ、夢だったんだ!!ビックリした!!!大ちゃんが変なことを言うから、あんな変な夢を見るんだ~アハハ~。」

夢?
ま、まあいいか。
とにかく例の件をお願いをしないと。

「それで、お願いがあるのですが…」

「お願い?」

そうです。お願いです。

「俺達ジオンが自由に図書館を使えるように、なんとかしてくれないかな?」

「えっとそれは…パチュリー様の許可は取れると思います…
 ハニューのおかげで、パチュリー様はもはや私無しでは生きていけない状態ですから…
 でも、下手をするとお嬢様を敵に回しかねないので…」

私無しでは生きていけないって…
随分と進んでいるんだな…
しかし、お嬢様を敵に回すってどういうことだ?



ああなるほど。
確かに図書館はパチュリー様の管轄だが、広い意味では紅魔館を管轄するお嬢様の管轄とも言えるから、お嬢様がNOでパチュリー様がOKと言うような事案が起きたら…
お嬢様とパチュリー様が対立したりと色々とややこしい責任問題になりそうだなあ。
二人に明確な上下関係があれば問題ないのだが…二人は友人だからなあ…揉めそう。例えば、誰が責任を取るんだ?とか…
「確かに、責任を取るのが難しいことになるよね?」

「せ、責任を取る!?」



「どうかしましたか?」

「い、いや何でもないです。」


トコトコ…

うん?大ちゃんどうしたの?
小悪魔さんに近付いて。

「ねえ?どうしてハニューちゃんのお願い、聞いてあげないの?
 ちゃんとお話…聞かせてくれるかな?」


「ひ、ひいいい!?分かりました!やります!やらせてくださいい!!」

何が起きたんだ!?


side 小悪魔


あれ…
私どうして…


確か、私がハニューちゃんに●●●●して妊娠させて…
ハニューちゃんから、本当は責任をとって結婚してほしいと言われて…
その後は、まずは認知してくれという話になって…


私の淫魔ライフが終わったというか、ジオン総帥を妊娠させて無事に済むのかというか…
ハニューちゃんと突然結婚しなくてはいけない事態に、パニックになって…あれ?

「あれ、ハニューちゃん…あれ?私どうして寝ているんですか!?
 何か記憶が曖昧になっていて…私は何を話していたのでしたっけ?」

何かとんでもないことが、あった様な????


「えっと、小悪魔さんが無理に俺にお酒を飲ましたので、俺が二日酔いになったという話をしてて…」

「へ?」

あれれ?
何か話が違う…

「そういう話でしたっけ!?」

「そうですよ、ずっとそういう話をしてましたよ?どうしたんですか?何か夢でも見てたのですか?」

「ア、アハハハは!!なんだ、夢だったんだ!!ビックリした!!!大ちゃんが変なことを言うから、あんな変な夢を見るんだ~アハハ~。」
な、なんだ良かった!!!!!!
そうですよね、そんなに簡単には、妊娠したりしないですよね!!!!




夢で、よかった…

「それで、お願いがあるのですが…」



「お願い?」


「俺達ジオンが自由に図書館を使えるように、なんとかしてくれないかな?」

「えっとそれは…パチュリー様の許可は取れると思います…
 ハニューちゃんのおかげで、パチュリー様はもはや私無しでは生きていけない状態ですから…
 でも、下手をするとお嬢様を敵に回しかねないので…」
それは可能ですし、他ならぬハニューちゃんの頼みなら聞いてあげたいですけど…
使うのがジオンとなると…
お嬢様を敵に回すかもしれない事態はちょっと…


「確かに、責任を取るのが難しいことになるよね?」

Σ(・ω・`)ビクッ

「せ、責任を取る!?」
そ、そんな心臓に悪いこと言わないでください!!

「どうかしましたか?」

「い、いや何でもないです。」
アハハハは…
なんだか、自分でもおかしいと思うぐらいに動揺してしまいますよ!?



「ねえ?どうしてハニューちゃんのお願い、聞いてあげないの?
 ちゃんとお話…聞かせてくれるかな?」

あれ…この笑顔…どこかで……

!!!!!!!

「ひ、ひいいい!?分かりました!やります!やらせてくださいい!!」
どうして私、震えが止まらないの!?
どうして、反論できないの!?
どうして、金色の杖を持って、怖い笑顔でビームを撃ってくる大ちゃんの姿が思い浮かぶのー!?


side 河城 にとり

文明を破壊するナノマシン『月光蝶』…
恐ろしい…兵器だ。



しかし、最も恐ろしかったのは、また語られたハニュー氏の物語だ…

ハニュー氏は私と出会った当初から、モビルスーツザクについてまるで物語りを語るような口調で説明していた。
当初は、一見すると複雑怪奇なモビルスーツザクのコンセプトを私に説明するために、即席で作られた架空の物語だと思っていた。

だが、ハニュー氏の話を聞けば聞くほど、即席にしてはあまりにも細かく、そして長い物語であることに違和感が強くなっていった。
そう、まるで本当に起きた出来事のように思えてきたのだ…

一度違和感を持った後は、その違和感は強くなる一方だった。

なぜ、語られるモビルスーツザクの開発の物語は、整合性ある一方で、混乱があるのか?
それは、実際に開発が行われていたから。そして、実際に起きた混乱も全て語られているからではないのか?

なぜ、開発に無用な人物や、物語があるのか?
それは、実在した人物や事件だからではないのか?

私の頭の中では、違和感を埋める為の仮説が生まれ、そして消えていった。


だが、重大な問題が一つあった。

もしも、モビルスーツザクが実際に開発された兵器だったのなら、それを造った文明はどこにいったのか?
語られる物語は、地球全土…そして宇宙にまで広がった話。
決して、幻想郷のように隠され、現在も存在するが見つけることができない世界の話ではない。
だから、可能性があるのは過去のみ…
しかし、これほどの文明を持った存在が、何も痕跡を残さずに消え去るなんてありえない。

私はこの疑問のために、モビルスーツザクが過去に実在したという仮説は間違いであると考えていた。



しかし、今日語られた物語はその考えを覆す力があった。

文明は月光蝶により消滅し、黒歴史と呼ばれる封印された時代となった…





モビルスーツザクは、本当に過去の文明によって作られた兵器だったのだろうか?
そして、月光蝶は本当に文明を消滅させたのだろうか?

もしこれが事実なら、それを知るハニュー氏はいったい何者なのだ…



side アリス・マーガトロイド

ハニューが私を抱き締めてくれたとき…
もの凄く嬉しかった…

ハニューが頼もしくて…優しくて…



だから、あの時のことが一層不安になる…

「国家解体戦争には使えそうだと思って…」と語った後のあの微笑…

あれはいったい何に対する微笑なの?

国家解体戦争とはいったい何なの?



にとりさんは「ハニュー総帥を信じると決めました。」と言って、聞く気も無いようだけど…


私はとても不安…



side ルーミア

「この話の中で出てくる同人誌は全て架空のものなのだー。これで三行目げっとなのかー。え?空気読めてないのかー?そんこと知らないのだー。」





[6470] 第十九話 かなり真面目に仕事しました。
Name: pzg◆1036bac0 ID:601741ee
Date: 2010/03/10 20:37
第十九話
かなり真面目に仕事しました。

side 十六夜 咲夜

「もう我慢できない!!!!!!!
 いったい何よこれ!!!!!!!!!!
 本当に、こんなことが一流メイドの英才教育なの!?
 絶対に間違っているわよ!!!!!!!!」


「お嬢様に喜ばれるメイドになる為には、絶対に必要なことです!!!」


「こんなことでレミリアが喜ぶとは思えないわよ!!!!!!!
 それに、こんな単純作業なんてもう嫌!!
 気が狂いそうよ!!!」

霊夢に、一流メイドの英才教育と偽って、作業に当たらせていたけど…

「出てくる、刺身に延々とタンポポを乗せる仕事なんて嫌ーーーーー!!」

根を上げるなんて、困ったわね。
どうしようかしら?

「もういやーーーーお家に帰るーーーーー!!」
昨日みたいに虐めて、辞められたりでもしたら、お嬢様の怒りを買うから困るのよね。
だから間違った知識を教えて、お嬢様から嫌われるようにしてやろうと思ったのに…
まさか、ここまで根性が無いなんて。

伊達に、得意なことは『掃除をしているフリ』と言っているわけじゃないようね。




「霊夢には帰る家が無いはずよね?」


妹様!?
まずい、霊夢への虐めが、ばれてしまうわ。

「こ、これは、あくまで「こんな奴がハニューの敵ねえ…。ここは私に任せなさい。」

妹様??


----------


流石、お嬢様と血を分かち合った妹様。
面白ことをお考えになられます。

妹様が提案されたのは接客合戦。

来週の月曜日、紅魔館に訪れるお客様に接客を行い、接客態度が良かった者の名前を書くアンケートに答えてもらう。
そして、そのアンケートで最も名前が多かった者が、接客合戦の勝者となる。

勝者には、妹様が何か一つだけ願いを叶えるという賞品と、勝者が敗者に一つだけ命令できる権利が与えられる。



妹様のお考えでは、接客合戦は霊夢にやる気を出させることが目的だけど…
面白いことになったわ…


霊夢が勝てば、どんな無茶を要求してくるか分からない。
しかし、常識的に考えて私の勝利は間違いない。
だからこそ、妹様は私が勝つと見込んで、こんなに大きな餌を霊夢の前にぶら下げた。

この勝負により、霊夢はやる気を出し。
接客合戦には、私が勝利することにより、無難な願いが望まれることになる。
全てが終わった時、最大の勝利者は妹様。
それは、管理者として、このイベントを楽しめる立場にあるから。

そう妹様は考えているはず。





でも、妹様…
私が無茶な要求をしないと思っているのは大間違いですよ…


霊夢への命令は、既に決まっているわ。
問題は、妹様の賞品の方。


フフフ…
妹様って、顔のつくりが姉妹だけあってお嬢様にそっくり…
毎晩、妹様にお嬢様のコスプレをさせて、瀟洒に愛でるとか…


いや、この際だからもっと欲を出してもいいわね…


side フランドール・スカーレット

一週間後の勝負で、霊夢がどんな力を隠しているか上手く暴けるかしら。

暴けなかったら暴けなかったで、面白い見世物になるから楽しみね。



あ、そうだ。
お姉様には、負けた相手に命令できる件は隠しておかないといけないわ。
お姉様の事だから、それを知ったら咲夜にどんな命令を言わせようとするか…



side 博麗 霊夢

「ほらほら!お客様が来ているのだから、ちゃんと相手してよー」





「いい加減に帰って。」


「もう霊夢のい・け・ずー。せっかく霊夢があの白髪頭に勝てるように、私が練習相手に来てあげているのに~」

(#^ω^)ピキピキピキピキピキピキ
紫…あんたがずっと私の部屋に入り浸ってたら、練習が何も出来ないじゃないの!!!!!


「喉が渇いたー。霊夢が入れたお茶が飲みたーい。おー茶!おー茶!おー茶!おー茶!おー茶!おー茶!おー茶!おー茶!!!」







衝━━━(#゚Д゚)=○)`Д)、;'.・━━━夢!!


side ハニュー

さてと。
ゲンソウキョウ中に、ジオン部を流行らすという新目標もできたし。
今日から、ジオン部の発展に向けて頑張るぞ!!

だから心機一転。
ちゃんと化粧をしたりと、ちょっと大人っぽくしてみました。
これからは、部活だからと手を抜いたりせず、しっかりと取り組まないといけない。

そのために、心だけではなく、外見までも出来る限り大人の女性にして気合を入れました。

本当は、男らしくスーツ姿になりたかった…
でも、この容姿でスーツを着たら、出来の悪いタカラズカになってしまう。





「ご迷惑をおかけしました。」

「やだ~。私のメイド霊夢が、私のメイドさんが~」

ありゃ?
藍さんとストーカーさん!?

どうして紅魔館に?


                                     「やだー帰りたくないーーーーー!!」

                                     「いい加減にしてください!!!」
                 
                                      ズルズルズル…

どうしてこうなった!?
なにやら良く分からないが、ストーカーさんが藍さんに引きずられて行っちゃった…

「ハア…五月蝿いのが帰ったのはいいけど、流石にまずいわね…」

そして博麗の巫女は、いったい何を困っているんだ??


!!


そうだ、こういった困っている時にこそ、助けあげれば俺の点数が大幅にアップです。

「どうしたのですか?助けてあげましょうか?」

「う、は、ハニュー…誰があんたの手助けなんか…」

うわ…
相変わらずの嫌われよう。


「あの~頼まれていた、お風呂用品シャンプーハット(紫色)を納品に来たのですが…」

おっと業者の人が来たぞ!?

「なにこれ…どうすればいいのかしら…
 適当に置いていっていいんじゃない?」


「え?あの…代金は…」

ちょ!?
これは酷い。


「ようこそ紅魔館へ!こんなに遠くまで態々ありがとうございます。私が承りますので、こちらの部屋でお座りになってお待ちくださいね!」ニコッ

「は、ハイ!ありがとうございます。」


バタン…



フウ…
なんとか、営業スマイルで誤魔化せた。




「ちょっと博麗の巫女!!仕事がわからないのは仕方がないけど、適当にやるなんてダメ!!!俺がお手本を見せるから、ちゃんと見て覚えて!!」
まったく。
博麗の巫女は、お客様に溜め口と来たもんだ、どう考えてもお客様を持て成す気持ちが無い。
しかも、仕事が分からないのに、誰にも聞かずに適当にやろうとするし…
おまけに、業者の人も明らかに親の手伝いで初めて紅魔館に来ましたって感じの少年。
危なっかしくて、見てられない。

「今のがそんなにおかしいの!?」

「全然ダメ。まずは、お茶を持っていってあげて。俺は支払い用の書類取ってくるから。」


「わ、わかったよ。                どうして私が、あんたなんかの…」



----------


「お待たせいたしました。」


!!


ボソ…「ちょっと、博麗の巫女!何をやっているんだ!どうして熱いお茶を出しているんだよ!」

「?何を言っているのよ、お茶といえば熱いものでしょ?」

あちゃー。
こりゃ、本当にまだまだ駄目だな。

普通の会社で言う所の、新人研修抜きでいきなり最前線送りみたいなものだから、この展開は予想できたはずなのに。
それに気がつかずに、曖昧な指示を出した俺もまだまだだな。

ボソ…「ごめん、俺の指示が悪かった。俺がお茶を出し直してくるから、博麗の巫女は話し相手でもしてあげて。」


「むーーーーー。仕方ないわね…」


----------


スッ
「はい、どうぞ。」


「あ、ありがとうございます!急いで来たので、喉が渇いてました…」

礼を言い終わると、俺の出したお茶を美味しそうに飲む少年。
やっぱりな。

「申し訳ありません、この子はまだ新人で至らぬ所が多くて…
 さ、遠慮せずにこちらのケーキもどうぞ。」

まったく、明らかに熱そうにしている人に、熱いお茶を出しちゃうなんて。
しかし、この少年…
随分と緊張しているような…
やっぱり、初めて紅魔館に来たという俺の読みは間違い無さそうだな。

となると、世間話から入ったほうがいいかな?

「紅魔館までの道中。大変だったでしょう?」

「は、はい!実は…途中で傘の妖怪に驚かされて…足を擦りむいたりしてしまいました。
 あ、だからといって商品は大丈夫です!傷をつけないようにしっかりと抱えていましたから!」

足を擦りむいた!?
ちょっと俺に見せてみろ。
化膿したりしたら、大変だぞ。

「ちょっと見せてください!」

おいおい。
結構な怪我じゃないか。
この少年…
商品を守ろうとして、逆に派手に転んだな。

若いが、商売人としては、素晴らしい心意気だ。
元社会人として感動したぜ。


----------


結局あの後治療を施して、思い出したように少年と二人でケーキを食べて。
最後に商品と代金のやり取りを済ましました。
ちなみに、怪我は大したことがなったのですが、少年の心意気に感動したのと、博麗の巫女の応対が悪かったので、かなり丁寧に治療してあげました。


何とか無事終わってよかった。
応対ミスがあったから、少年の心証が悪くなければいいのだが。
ちょっと、聞いてみるか。

「初めての紅魔館はどうでしたか?」

「悪魔の館と聞いていたから、どんなに恐ろしい場所かと…
 で、でも…あなたのような…あの、その!」

あの?その?
言葉が不明瞭な奴だな。 ハッキリしない奴は死ぬぞ?
じゃなくてw
それじゃ、何を言っているか分からないぞ?
だいたい、俺はあなたじゃなくて、ハニューという名前が…
ってまだ名乗ってなかったな。

「申し遅れました、わたくしはハニューと申します。
 今後紅魔館で分からないことがあれば、私をお呼びください。
 紅魔館は素晴らしい所ですよ、今後も紅魔館をよろしくお願いしますね。」

「は、ハニューーーーーーーー!?




 あ…        こちらこそ、是非ご贔屓に!
 
 こ、今度納品に来たら、絶対に呼びますから!!!」

タッタッタッタッ…


おいおい、俺の名前ってそんなに驚くほど予想外か!?
やっぱり、適当につけた名前だからなー雰囲気に合わないのかなー







「あんた…凄いわね。ちょっと見直したわ。」

えっ…見直した?

「悔しいけど、超一流じゃないの。まるで、あんたが落ち着いた大人のベテランメイドに見えたわ。」

おおう。
俺もこの一年で成長したのかな?


「それで、ちょっと手伝って欲しいことがあるんだけど。」





----------



なるほど、来週月曜日、メイド長と博麗の巫女で、どちらがどれだけ多くのお客様を満足させるか争うのか。

ルールは簡単。
紅魔館に入る時点で、お客様に記名式のアンケートを渡し、応対が良かったメイドの名前を書いてもらうというもの。
そして、勝者には妹様が願いを叶えてくれるという賞品と、敗者に一つだけ命令ができる権利が与えられるらしい。

因みに、博麗の巫女は勝利したら神社修復を妹様に願い、メイド長には紅魔館の食事を博麗神社に毎日持ってこいと命令する気らしい。


本当は、そんなことを願ってはいないのだろうけど…
博麗の巫女という設定上、そういうことを願わないといけないよな。

しかし、ここで協力的だったという事実が、後々心証を良くすることに繋がることもあるでしょう。
だから、手助けすべきです。



「じゃあ、こっちは作戦を練るから、作戦が決まったら連絡するよ。」

「作戦ですって?そんなことより、まずはしっかりとしたメイドとしての訓練がしたいの!!」

う…
確かに、それは言えているな…

「じゃあ、ルーミアに訓練を手伝うように頼んでみるよ。」


----------





一人になっていろいろと作戦を考えましたが…
これは、予想以上にまずい状態だぞ。
この勝負、完全に出来レースじゃないか。

紅魔館を訪れる人の大半は、日頃出入りしている業者だ。
となると、その人達は何もしなくても、取引の窓口としてメイド長の所に行ってしまう。
もちろん、最近は以前とは違い、各メイド達がかなりの業務をメイド長から委任されている。
しかし、業務を終えた後、挨拶のためにメイド長の所に顔を出す業者はまだまだ多い。


つまり、何もしなかったら博麗の巫女は完全にスルーされてしまうわけだ。
これはひどい。


門の所で業者の人に話しかけるという手もあるが…
すぐにばれて、メイド長まで門に出てきてしまう事態になるだろう。






来るお客さんが、業者じゃなければいいんだが…









そうだ!!

いい方法があった。
しかもこの方法なら俺の新目標。
ゲンソウキョウ中にジオン部を流行らせることにも、プラスになります。

そう考えたら、このタイミングでこの話が出てくるなんて、なんて運が良いんだ。





よし、この勝負。全力で勝ちに行くぞ。







----------







「「「「「お帰りなさいませご主人様!!」」」」」


いい滑り出しでスタートしたぞ!
今日の接客勝負!勝ちに行くぜ!!








思えば、大変な一週間だったなあ…





-----回想-----


そうだ!業者がスルーするなら、こちらを目的に来るお客様を連れてくればいいんだ!


問題は、どうやってお客様を連れてくるかだ。

もちろん、強引に連れてくるなんてダメだ。
さっきの少年が言っていたように、紅魔館は悪魔の住む館と言われ、恐れられているようなので、そんなことをしたら大変な誤解を生んでしまう。

だから、紅魔館にはあくまで自主的に来てもらう。
自主的に来てもらうなら、そこに来るメリットが無ければならない。
例えば、何かのお楽しみが必要だ。

一方で、俺達が提供できるものと言ったら、紅魔館の仕事で使っているスキルなどだ。
事務仕事・掃除・洗濯・食事・催し物とかだ。


こうやって並べると…
後ろ二つが使えるのが分かる。
古代ローマのパンとサーカスのように、これは古典的だが誰にでも通用しやすい手だ。




よし、これで骨子は決まった。
次はこのアイデアを部員に知らせないと。

「ルーミアが近くにいれば、話が早いのだが…」

「何を考えていたのかー?」

本当にいたよ。
何時もの如く、まるで俺の近くに潜んで俺の行動を見張っていたのでは?と思いたくなるぐらいのタイミングだぜ。
まあ、そんなことある訳無いけどw

「一旦部屋に戻ってから部室に行くから、部室に幹部を集めておいて。」


----------


幹部に説明したのは、名付けて、『紅魔館メイドカフェ化作戦』。

俺たちは本物のメイド。
だから、メイドとしての仕事が得意。
つまり、我々の経営資源を有効活用し、最大限の成果を上げるとしたら、メイドカフェが一番良いということです。

交流会と銘打って、俺達がお客様に対してメイドとしてご奉仕する。

そのことにより、次の二つの目標が達成されるはず。
1 ジオン部への理解と評判が向上。
2 新たな部員の確保。

因みに、博麗の巫女の手伝いのことはあえて話さなかった。
ジオン部員には直接関係の無い、俺個人の願望だからね。

博麗の巫女には悪いが、このチャンス。
部長として最大限活かさせてもらいます。





といっても、ここに来て大問題が発生したぞ。
俺って、メイドカフェに行ったことが無かった…

テレビで見た記憶を頼りに、男の人が来たら「お帰りなさいませご主人様。」女の人が来たら「お帰りなさいませお嬢様。」と言うように指示したが…
断片的な記憶しか覚えてない。


適当にやってもいいが、素人の俺が適当に考えたネタだとうまくお客様の心を掴むことができないからな。
頑張って思い出すんだ。
そして分からないところは、しっかりと推理して対応するんだ。
多くの物事は、すべてその背景にある何かによって引き起こされている。
つまり物事には他の何かとの因果関係があり、一部からもその全体を窺い知るヒントが必ずあるものなんだ。



やっていることは、名探偵コ●ンとかと同じことだから大丈夫w

というわけではなく、実際に学問の多くがこんな感じだから、真面目にやればきっと上手く行くはず。





えーと。
確か、俺が見たテレビ番組では、メイドさんとお客さんが会話していたな。
それと、料理とドリンクが楽しめて、時間制になっていたはず…



そういえば、なぜ時間制なんだ?

時間を区切らないと、なんらかの経営上の問題があると考えるべきだな。

時間を区切らないと、ずっと居座る人が出てくるからか?
いや、しかしそれは普通の喫茶店でも起こりえる問題だ。
となると別の問題。
そこに居座ること以外の問題があると考えるべきだ。

そうか、席ではなくメイドさんを拘束し続けるのが問題なんだ。
メイドさんという存在が、メイドカフェの最大の特徴。
それを、ずっと一人のお客に拘束し続けられたら困る。

メイドさんとお話しするのがタダで、料理代だけ取っていたら、料理を注文せずにメイドさんを拘束するお客さんが現れたら、お店は大赤字だし他のお客様から文句が出るだろう。
だから時間制にし、メイドさんとの会話のために居座ってもお金を取るようにしたんだ。

ということは、ここから一つ見えたことがあるぞ。

メイドカフェは、メイドさんとの会話を楽しむ所でもあるわけだ。
そして、一つの席か、一人にメイドさんがそれぞれ張り付いて応対してくれるスタイルになっているのだろう。
時間制で。


うーむ…


あ、そういえばオムライスにケチャップでLOVEとか書いていたな…
しかも、フーフーと息を吹きかけて食べさせてくれるシーンも写っていたような…


なるほど、ここでもう一つの事実と繋がったぞ。


お店の中ではメイドさんが、まるで恋人のようにご主人様にご奉仕してくれるわけか。
ということは、一つの席というより、一人にメイドさんが一人つくスタイルの可能性が高いな。



しかしこれでは一つ問題があるぞ。
恋人のように接してくれるのは嬉しいが、それが好みのメイドさんじゃなかったら…
この経営スタイルだと、どんなメイドさんが相手をしてくれるか大切になる。



ああそうか、それなら指名性にすればいいんだ。
入り口で手の空いているメイドさんが顔を見せて自己紹介したり、プロフィール入りの写真を見てもらったりして、自分の好みのメイドさんを選んでもらえばいいんだ。





なにやら微妙にキャバクラっぽい?
いや、実の事を言うと、キャバクラにも行ったことが無いのでハッキリしないけど…



うん!?

そういえば、俺が考えているのと、そっくりのをどこかで見たことがあるぞ???


遠い昔、友人がやっていたゲームに…



ああそうだ。
夢のクラブ?いや『ド●ームクラブ』というゲームに出てきた光景に近いような…
なんだか、キャバクラっぽいので「このドリームク●ブってキャバクラに行くゲーム?」と聞いたら「これはキャバクラじゃない!」ってもの凄く怒られたよな。


ということは、俺の考えているのもキャバクラとは程遠いということで間違いないだろう。
よかった。

となると、あのドリー●クラブってゲームも、メイドカフェを体験できるゲームなのか????
ああ、そういえば、オムライスに何か絵を書いているシーンがあったな…


あと歌っているシーンもあったような…

うーむ。
メイドカフェで、メイドさんが歌うのは今や当たり前なのか??

でも、このサービスは行けそうな気がする。
歌うのが得意な子がいるし、マク●スとかでも、歌は異なる人々を繋げる力があると言っているからなw


あと他には…

そうだそうだ。
他にも、ポッキーゲームとかやっていたっけ…


って、もの凄く過激なサービスだな。
こんなこともメイドカフェではやっているのか…
しかし、ポッキーゲームはちょっと…








とにかく、こういう所だったのか…
なんというか凄い所だな、確かにブームになったのも分かるな。




「メイドカフェという定義から、既に外れている気がするのだー」
ルーミア、独り言を言わずに、ちょっと静かにしていてね。




あれ?
こうなると、女の人が来たとき、話が変にならね?

そのあたりはどうしていたんだ?

あーそういえば、男の店員もテレビに映っていたような…

そういえば、執事カフェという言葉も聞いたような気がする…
なるほど、男性版もあるわけか。
そうなると、うちに一人エースがいるから大丈夫だな。








とにかく、基本サービスはこの方向で行こう。
指名制度、食事補助(メイドさんの手作り料理・時間制)、会話(時間制)。

他にも、いろいろサービスがあったな…
それも思い出せる限り取り込もう。

そして足りない部分は、俺達が考えたオリジナルで行くしかないな。






次に内装だが…
紅魔館だから、このままでいいか…
ただ、場所は広い方がいいな。
おまけに、厨房があったほうが…

入り口から遠いが、妹様のスペースになる予定のエリアなら使いやすいかもしれない…
あそこは、今は空きスペースだし。
妹様が管理しているのなら、同じジオン部として交渉しやすい。

妹様に場所を貸してもらえるよう話をするか。








では最後に広報戦略だな。
ここが一番大事。

チラシ配りは基本だな。

メイドとして対応する子達に、事前にチラシを配らせよう。
顔が見えたほうが、来る人も安心できるだろう。
重点的に配る場所としては、人口密度が高い人間の里が効率的だな。
行ったこと無いが…

そしてチラシの内容だが…
少年が言っていた様に悪魔の館と言われている場所から、いきなり食事と催し物を行うから来てくださいチラシが来たら怪しすぎる。
だから、名目上は「交流会」ということにしておこう。
交流会に皆様をご招待。
これは俺のゲンソウキョウジオン化の願望も入っているから、事実だしな。これなら怪しくない。
それに、実際にこれで仲良くなったら、その人をジオンに誘ったりするのも良いからな。


あ、そうだ。
あと注意書きを入れておかないと。
聞いた話だと、メイドカフェならぬ、メイド風俗というものもあるらしいから、そういったものと勘違いされると困るからな。
注意書きとして『本店のサービスは、性的サービスを提供するものではありません。』と書いておかないと。


----------


会議で方向性とそれぞれの役割も決まりました。
しかし、アイリスの奴が随分と俺が接客することに反対してきたが、どういうことなんだ?
「ご自分のお立場をお考えになられ「立場を考えればこそ、この提案をしたのです!」
あまりに強硬に反対するので、途中でガンダムUCのオードリー的にネタを入れて沈静化を目論んだのですが…
言ってから、気がついた。
この雰囲気でネタを使うなんて、どう考えても喧嘩売ってます。

案の定、シーンと静まり返ってしまいました。

びびった俺は、俺の指名料を高く設定することと、ポッキーゲームは原則全員禁止(これは妥当か…)等、アイリスの意見を汲んだ提案をして妥協しました。
俺弱すぎw
(因みに、ネタだと思うけど、どさくさに紛れて小悪魔さんが床の全面鏡張りを提案してきましたが、反対大多数で否決されました。)

理由を話してくれたのなら、もう少し対応のやりようがあるのだが…
何故か理由は話してくれないし…

言い難いということは…
やっぱり、俺に問題の原因があるのかなあ。


俺が原因ねえ…


そういえば、俺はあまり周りから好かれて無いよなあ…
同じオタク仲間なら俺のことをキモイとか言わないと思ったけど…
先日の、花見の時に俺を誰が運ぶか押し付けあっていたみたいだし…
やっぱり俺って、見た目がよくないのかなあ。

悲しいことに、それなりに可愛いと思ったんだが…
センスとかが悪いのかなあ…


見た目の悪い俺がトップになる。→普通の指名料で接客すると人の目に晒される機会アップ。→見た目が悪い俺がトップだということで店の評判ダウン。

っていうことをアイリスは言いたかったのか!?


心は男だけど、これはショックだな。

「どーしたのかー?」

ルーミアが心配げに俺を見ている。
あ、そうだった。

「なあルーミア?みんなの期待に応えられるように俺を改造してくれ!!」

密かに男漁りが好きなルーミアなら、魅力的な髪型とかを知っていそうです。

----------

結局、ルーミアに髪と服装を弄ってもらっていたら、途中からアリスさんやら大ちゃんが参加してきて、玩具にされてしまいました。
でも、色々な案を見ることができて勉強になったので、センスがかなり良くなったと思います。

ということで、ルーミアに恒例のお返し♪


何がいいかなー?


せっかくだから、ルーミアも綺麗(可愛く)してあげよう。
さて、どうしてあげようかな?

やっぱり、ルーミアのシンボルともいえる、このリボンを何とかしないとな。

ルーミアのリボン、昔から気になっていたんですよね。
以前、ルーミアの髪の毛を切ったときに、妙にボロボロのリボンだったので変えるように勧めたら「取れないのだー」とのこと。
あまりに可哀想だったので、ハサミで切り落とそうとしたらまったく切れない…
色々試したが、メイド長がストックしているナイフを使って初めて、ほつれがなんとか切れる程度でした。
本当にどうなっているんだこれ。


因みにこの物体の正体だが、この超技術から見て、ゲンソウキョウの管理者がルーミアを使って何かするためのものなんだろうな。



とにかく、ルーミアにとって迷惑な存在であることは間違いない。

ということで、機会があるたびにほつれを切ったりと色々してあげています。
しかし根本的にどうにかしないと、どうにもならないよな。

「ねえルーミア?いつか絶対に、リボンを取ってあげるからね?」

「ハニュー……」

どうした、そんなに複雑な表情をして…
遠慮しなくていいんだぞ?




まあそれはとにかく、あとはひたすら練習して頑張るだけだな!!





っとそうだ。
練習で思い出した…
「博麗の巫女の訓練って上手くいきそう?
 これから準備で時間が足りないぐらい忙しくなると思うけど…」

「任せるのだー。博麗の巫女の最大の欠点は、メイドっぽくない所なのだー
 だから、それを重点的に直す予定なのだー」

ほう…
何か策があるようだな。
流石ルーミア!!
ぼーっとしているように見えて、実はその通りだったということが多いけど、期待しているよ!!



-----回想終わり-----

「「「お帰りなさいませ、ご主人様!!!」」」

いいぞ!いいぞ!
かなりお客が増えてきたぞ!!
外に列も出来はじめたし…これはかなりいけそうな感じです。





「ご主人様!?他のご主人様のご迷惑になります!!順番を守ってください!!」

「僕はハニューに用事があるんだ!お願いだから通してくれ!!」

なにやってるんだ店主!
列に割り込むなよ!!!




「ジャッジメントですの!」
とやりたいところだが、下手にフルボッコにすると悪い噂が立ちかねない。
やっと軌道に乗ったのにその展開はまずい。
よし、ここは一芝居打つか。


side 森近 霖之助

まさか、本当にハニューに助けを求めることになるとは。
情け無い。


ハニューは僕達の結婚に反対する人達がいて、その人達から危害を加えられそうになったらジオンが助けるから頼れと言っていたそうだ。

確かに僕は、半妖で朱鷺子は妖怪。
人間との溝がまったく無いという訳ではない。
時代が時代なら、僕達は人間から退治されていただろう。

だが、今は違う。
僕のお店には人間のお客も来るし、人間の里の中にも妖怪相手に商売をする所まである。

だから、朱鷺子から聞いたハニューの話なんて、僕にはとても信じられなかった。
昨晩までは。


昨晩、僕は朱鷺子がまた「ジオンの人達やハニューが悪そうには見えなかった…」「やっぱりジオンに入ったほうが…」と言い出したので喧嘩をしてしまった。
そして、その喧嘩の反動で逆に朱鷺子が愛おしくなり、二人で寄り添っていた時、それは突然起こった。

誰かの気配がしたかと思うと、強力なビームが僕の家を吹き飛ばしたのだ。

まるで魔理沙のマスタースパークのようなそれは、僕の家を完膚なきまでに叩き壊し、僕と朱鷺子の意識を刈り取った。


二人とも幸いにして無傷だったが。
僕たちは、一晩にして住む家を失ったのだ。

最初は魔理沙が犯人かと思ったが、魔理沙がこんなことをする筈が無い。
いや、する理由が無い。



となると、ハニューの言葉が予言のように思えてくる。
僕達が妖怪でありながら、人間の勢力が強いところで家を構え、そこで夫婦として定住することに反対する者達が実在するのだろう。
そしてその一端が、初めて顕在化したのだ。

今の時代は人と妖の関係が良好。
しかし、歴史的に見た場合、極めて稀な時代だといえる。
僕と朱鷺子の子供は、妖怪の血が濃くなるため、寿命が僕より長くなるだろう。
純粋な妖怪の朱鷺子の方も、僕より長く生きるだろう。
そして、寿命の無いハニュー達妖精は、ずっと生き続けるだろう。

考えすぎだと僕自身も分かっている。
ただ、家を失った今は…
朱鷺子と将来生まれる子供が、僕の死後、人間から狩り立てられる…
それが、避け難い事実のように思えた。


だがそれでも、ジオンに頼るのは気が引ける。
僕は、当座の生活と、未来のためにハニューと交渉することにした。
都合のよい話だが、適度な距離を置いて彼女達の庇護を受けることができれば…



















紅魔館にたどり着いたら、すぐにハニューへの面会を申し込むつもりだったが…
なんだこの人だかりは!?

「朱鷺子、少し待っていてくれないか、ハニューを呼びに言ってくる。」



----------



「ご主人様!?他のご主人様のご迷惑になります!!順番を守ってください!!」
こっちは緊急事態なんだ。
「僕はハニューに用事があるんだ!お願いだから通してくれ!!」


                                 「ハニューちゃんを指名だって!?やっぱり割り込みじゃないか!!」


                                 「ルールは守れ!!!」


何が起きているんだ!?
ハニューに会いにこれだけの人が!?
もしや、本当にハニューは朱鷺子の言ったとおり、善い行いをしている妖精なのか!?


「こちらはご予約のご主人様です~」
ハニュー!?
ご予約!?

「ほら、店主も合わせろ。ジャッジメントですの!ってしちゃうことになるぞ?」

!!

「実はそうなんだ、慌ててごめんなさい!はははは…」

じゃっじめんとですの?????
いったい何が起きているんだ??

----------


「はいご主人様。これから紅茶にミルクを入れますので、止めて欲しい所でジークジオンと言ってくださいね?」

あ、あのハニュー…
僕は君に話が…
それに、どうしていきなりジオンを称えさせられるんだい??

って、そんなにミルクを入れないでくれーーー!!
溢れているじゃないかーーーー!?
「じ、ジーク!ジークジオンだ!!!!」

「もう!ご主人様ったら、もっと元気良くジークジオンって言わなきゃ駄目ですよ?
 貴様!それでもジオンの兵か!?
 なーんて、怒られちゃいますよ?
 じゃ、お食事を作ってきますね!」

「あ、ちょっと待ってくれ!!」
確かに、今は空きっ腹で食事が欲しいが、大事な話が!!
それに、君はいったいどうしちゃったんだ??
口調や雰囲気がいつもと全然違うじゃないか???
変なものでも食べたのかい!?

「どうしました?「ハニューちゃん、7番テーブルのご主人様からご指名です~!」ごめんなさいご主人様。また今度!!」

指名!?
指名って何だ!?
ハニューと話すためには指名しなくてはいけないのか!?

「あのちょっと君?」

「どうしました、ご主人様?」

「ハニューと話がしたいのだが?」

「あ、ご指名ですね。ハニューちゃんはAランクなのでご主人様が10分間独り占めするには、こちらの料金がかかりますがよろしいでしょうか?」

た、高い…

「ちょっと、考えさせてくれ。」







                                      「お帰りなさいませ。お嬢様!!」
                                      「僕は、執事のリグルと申します。どうぞお嬢様…こちらへ「キャー!カッコいい!!」」





リグル君!?どうして男の格好なんかを!?






                                      「ご主人様~。記念撮影の準備が整いました~。文ちゃーん、写真お願いしまーす。」
                                      「あや~、まったく今日は大変ですね~。これじゃ、椛のメイド服だけじゃ割に合いませんね~。」




メイド達と一緒に記念撮影!?



                                       ガシャーン!!
                                      「お兄ちゃんごめん!!!」



チルノ君までメイド姿に!?



                                      「ジークジオン…です…」
                                      「やだ、ご主人様ったら…こんなにミルクが出ちゃいましたよ…」



…あれは…確かこあ君…
ぼ、煩悩退散!!!!



いったい、何が起きているんだ!?
しかし、もの凄い状況だが、皆楽しそうだ…


でも、僕は…


「ご主人様お待たせなのかー」

君はルーミア!

「オムライスなのかー。ハニューからフルコースと聞いているから、楽しむのだー
 でも、膝枕で耳掃除のようないくつかの特殊オプションは、フルコースにはついてないから気をつけるのだー」

フ、フルコース!?

「まず絵を描いてあげるのだー何か好きな絵ある??」


絵?
「特に希望は無いのだが…」



「じゃあ、ルーミアが書きたいも書くのだー。


 はい、こーりんlove。」

る、ルーミア!?
「いきなり好きだなんて!?き、君は自分が何をやっているのか分かっているのかい?」


「フーフー…
 さあ、ルーミアがフーフーして食べさせてあげるのだー」


な、なんだとーー!?
こ、ここは天国か!?
と喜んでいる場合じゃない、僕には朱鷺子が…

「僕には心に決めた相手が…」

「あんまり、お姉さんを困らせるものじゃないのだー。さ、食べなさい。」

い、いや、でも…










「私の歌を聞け!!」


「ミスティアのステージが始まったのだー」

な、なんだこの演出は!?

初めて聞く曲だが、気分が高まってきたぞ!!


side アイリス

誰もが気力・体力・実力共に充実している。

流石に皆の前で「立場を考えればこそ、この提案をしたのです!」と私を一喝することにより、
自らが最前線に出る必要があるほど、この作戦が重大であるとハニュー総帥が示しただけのことはある。

それでも、このようなことをして欲しくなかった。
どうしてもあの時のことを思い出してしまう…



side 稗田 阿求

「しっかりとご奉仕しますから、ぜひ遊びに来てくださいねお嬢様。」

『メイドカフェ@fairyジオン 紅魔館にて一日限りの限定オープン 紅魔館のベテランメイド「ハニュー」が監修した、紅魔館での優雅なひと時をあなたにも!!!
 メイド一同、ご主人様のお帰りをお待ちしております!!!※本店のサービスは、性的サービスを提供するものではありません。』

ハニューに手当てを受けたという少年の話が広まった矢先に、ジオンと人間の里の交流会を謳ったイベントが開催ですか。

先日の異変解決。
そして少年への手当て。
今日のイベント。

偶然を装っていますが、歴史家の私から見れば、巧妙な広報戦略であることは明白です。
現に、例の少年の話が広まっている若い世代は、先を争って紅魔館に向かう有様。

ジオンの広報戦略の目指す方向はまだ分かりませんが、何か悪いことが起きそうですね。

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side ハニュー

お客の入りはかなり順調♪
といっても、うまくいっていない所もあって、店長として一人ひとりの状況をチェックしています。
実は、さっきからそればっかりですけど。
最初は俺もお客様の応対をしていたが、やっぱりメイド達にとって初めての経験ばかりのため、小さなトラブルが続出です。
おかげで、さっきから指名をお断りする事態になってばかりです。


まずはアリスさん…
ここはまったく問題ないな。
元々美人だし、優しい性格だから、指名、再指名共に順調だな。
それに、人形を使っているためか、女性客からの指名も来てオールマイティに大人気で素晴らしい。


次はリグル。
こちらも問題なし。
執事という役回りで、女性客が来たら率先して対応してもらっています。
唯一の男性だから、回転率が凄いことに。

うん?

お客から離れたときに、何故か随分と影が入った顔をしているな…
ちょっと疲れているのか?
こまめに休憩を取るように指示しておこう。


しかし、根本的に執事が足りない…
そうだ!さっき店主がいたな…
使ってみるか…
ロリロリで甘甘な子が大好きな(推定)店主のために、無料でルーミアを提供したのだから、これぐらいは手伝ってもらわないと。


そしてチルノは…
意外と好成績!?
練習の時からミスを連発してたので、出すかどうか悩んでいたのだが…
何故か妙に指名が多い…特にリピーターが…
「しかしお兄ちゃんか…」
これは妖しい雰囲気だな、誰がこんな言葉を覚えさせたんだ?

「私が覚えさせました。アハ♪」


っと小悪魔さん。
これは小悪魔さんが原因ですか…
小悪魔さんって名前の如く小悪魔ですね…ここ一週間で思い知りましたよ…なんといっても、男性の扱いが上手過ぎる。
実は男性相手の接客がミソとなるので、男性の扱いが上手い人がいないかと聞いて回ったら、めーりんさんから小悪魔さんが推薦されました。
流石お嬢様の夜の相手をしているめーりんさんです。
そういう方面の情報収集力が高いこと高いこと。

小悪魔さんが次々と出すテクニックは、元男性の俺から見て恐ろしいレベルのものでした。
どこで手に入れたのかと聞いたら「これは本能なんです。」とのこと。

多分工作員か何かの目的で、小悪魔さんは製造されたということなのでしょう。
ますます恐ろしい。

「ハニューちゃん?どうかしましたか?」

「男性の扱い上手い小悪魔さんがいて、本当に助かるなと…」
敵に回すと怖いということもありますが…
実は縦横無尽の大活躍です。
先ほどから、俺と一緒にクレーム対応をしてくれていたりします。
相手が男の場合、小悪魔さんが対応すると、上手く相手を転がして有耶無耶にしてくれるのでとても楽です。

「またまた~ハニューちゃんだって、私達の仲間になれるぐらい上手いくせに…」

「いや、俺って全然上手く無いから。」
いやね、男の俺が、男性を上手く扱えるわけないから。

「ふーん…。「小悪魔ちゃん、25番テーブルのご主人様から指名が入りました。」もう…また指名?」

頑張ってね(・A・)ノ








他に好成績といえば…

ルーミアと橙ちゃんだな。
橙ちゃんは、メイドとしてのスキルが素人同然だったので心配だったけど、天然ネコ耳というチートを使っているためか、何度も指名するリピーターが続出して凄い指名率だ。
一時期、お母さんの藍さんが錯乱状態で乱入してきて、大変なことになりかけたが、スキマとやらに落ちて今は静かにしています。

ルーミアについては、色々な意味で安定しているので問題なし。
特徴をあえて挙げると、時々頭の中は大人なのでは?と疑いたくなるような表情や仕草を見せるので、そこが人気になっているみたいです。





その他妖精メイド達も順調。
小悪魔さんの熱血指導と、色々なタイプの子を選抜した甲斐があってか、お客さんの受けも最高にいいな。





あと、妙なことになっているのもあるな…
まずは大ちゃん。



「恥ずかしいけど、ハニューちゃんのために頑張る!!」と意気込んでいた大ちゃん。
どうやら、恥ずかしがりながらも健気に頑張る姿勢が受けたらしく、どんどん指名が入ってきました。

ところが、いつの間にか演出用のプロジェクターの一つを使って、『魔法少女リリカル●のは 劇場版』の上映会になっていました。

「レイジングハートキター!」

「淫獣キターwww」

「ユーノ!!俺だー!!代わってくれー!!!」

冥界から来たご主人様の何人かが『魔法少女●リカルなのは』を知っていたらしく、成仏する前にもう一度だけ見たいと大ちゃんに頼んだようです。

予想外の展開に、大ちゃん自身も困惑していますが…
正直なことを言うと、こっちの方が俺の気分は楽です。
大ちゃんが接客しているのを見ると、何故か異様に気になってしまって…




次に博麗の巫女。
ルーミアが考えたメイドの訓練法は、なんとメイド漫画を読ませるという方法でした。
ルーミア曰く「今度のイベントで必要なスキルが凝縮されているのだー」とのこと。

プロのメイドさんと、メイド喫茶のメイドさんはちょっと方向性が違いますからね。
この短期間で育成することを考えると、ルーミアの着眼点はかなりいいと思います。
因みに、メイド漫画は小悪魔さんに頼んで、パチュリー様に取り寄せてもらったそうです。
取り寄せた漫画は多種多様で、通常のコミックではありえない厚さとサイズの本もあったような気もするが…


っと…そんなことはどうでもいい。
問題は、博麗の巫女の行動を読みきれなかったことでしょうかw
本人が「素のままで済むから楽でいいわ。」と言って、ツンデレメイドキャラを採用したのはいいですが…
本当に素のまま過ぎて、クレームばっかりなのですが。
あれはツンデレじゃなくて、ただのツンだと思うが…


仕方ないので、一旦裏に引っ込めました。
博麗の巫女の人気が無いのはあまりよろしくないが…
お客の入りから考えて、メイド長に勝てるのは間違いないから大きな問題じゃないな。







「ハニュー総帥。お客様方が、場の雰囲気に乗りきれていないようなので、予定通り作戦を開始します。」


「よし、開始して。」

そうそう、裏方も頑張ってるな。

裏方といえば、今話しかけてきたアイリス。
個人向け通信と、館内放送を使って指示を飛ばしています。

『全員、二曲目が始まる前に接客相手と共にミスティアの歌を盛り上げろ。』

例えば、いきなり歌を歌われても、なかなか盛り上がれないもの。
でも、一緒に付き添っているメイド達が盛り上がったら…


                                      「ほら一緒にミスチーって!声を掛けてあげて」
                                      「あ…うん…」


                                      「「ミスチー!!!」」


盛り上がりやすいですよね。

他にも、ステージの特殊効果はにとりさん。
そして、ミスティアと一緒にステージに立つのは、プリズムリバー三姉妹。

シトリン他、人間の里でビラ配りと街道警備をしている皆さんも、お疲れ様です。

さらには、忘れてはいけない防音とかステージの光の演出とか道に迷った人を探す担当の三人娘さん。
ご協力ありがとう。

-----回想------

へえ、この三人が俺達に協力したいと言ってやって来た子達ねえ。
どこかで見たような…
そうか、同人誌で見た子達と似ているな。
試してみるか。
                                      ヒソヒソ「こいつ、私達を嵌めた奴じゃないの!?」

「君たちの名前は、サニーミルク、ルナチャイルド、スターサファイアでいいよね?」

「…どうして名前を知ってるの!?」

当たった!!
サニーミルクとやらが驚いているが、それを無視してもっと聞いてみたいです!

「サニーミルクの能力は、光の屈折を操る程度の能力。ルナチャイルドの能力は、音を消す程度の能力。スターサファイアの能力は、動くものの気配を探る程度の能力。
 そして、家は大きな木の中。三人暮らしで、毎日悪戯をして過ごしてる。それとスターサファイアはキノコの盆栽を育てている。間違いないよね?」

「「「ひいいい!?当たってる!?」」」

やったぜ当たったぜ!!!
って三人が固まって震えているじゃないか…
そりゃ、初対面の相手にいきなり、自分の事をペラペラ喋られたら怖いよな。

冗談冗談。
と言いたいが、ここまで当たる冗談は逆に怖い。

「実は、君たちがこちらに来ると聞いて事前に調べておいたんだ。驚かせてごめんね。
 じゃ、俺達の活動のお手伝い、お願いね?」

実は知っていたんだよ。
っていうことにしておけば、あまり怖がらせることも無いでしょう。


-----回想終わり-----

いやー思った以上にしっかりと働いてくれて、助かりました。
因みに、この子達のおかげで、同人誌が結構正しい情報を持っているということが分かりました。


あ、そうだ。
ついでにあの言葉も使ってみるか。

「なあルナチャイルド?」

「な、なによ…」




「しゃぶれよ。」



ぽかんとした顔をしている。
うーむ。

「なあ、おまえのオ●ッコを他の二人が飲みたがったりしたことは無いか?」

「はあ?そんなことあるわけ無いじゃない!!」

「ごめん、冗談だから気にしないで。」

前言撤回、あんまり同人誌の情報も当てになら無いな。
同人誌では、この三人はエロイ関係で、他の二人がルナチャイルドのオシッ●を飲みたがる話だったが…
そんなことは現実には起きていないみたい。
それと、意味が分からないが同人誌で見かけた「しゃぶれよ」という言葉は、何かこの子に関係があるかと思ったんだがなあ。




おっと。
そんな会話をしている間に、二曲目突入か。
よし、俺も最前線に行って盛り上げるか。


side ルナチャイルド

サニーの馬鹿~
何が「ハニューを丸め込んで、幻想郷を揺るがす異変を起こして、私達妖精の地位を最高のものにするのよ」よ。
逆に、ハニューにいいように使われているじゃない。

おまけに、私達の名前、能力、住みか、全て調べつくされてるから逃げることもできないじゃない。

私達が来るのを知ったから、事前に調べておいた?
サニーが思いついたのは、その日の朝なのに…
そんな短期間で私たちの事を調べたの???
それに、どうやってサニーが思いついたことを知ったっていうの???

考えれば考えるほど怖いわよ。

もう、本当にサニーの馬鹿~

「なあルナチャイルド?」

ひ!?ハニュー??
「な、なによ…」

「しゃぶれよ。」

しゃぶれ???
何を?????

「なあ、おまえのオ●ッコを他の二人が飲みたがったりしたことは無いか?」

「はあ?そんなことあるわけ無いじゃない!!」
そんな汚い話、聞いたこと無いわよ。
「ごめん、冗談だから気にしないで。」

いったい何の話よ。
ハニューは私達のことを調べ尽くしているのに、どうしてこんなに変なことを聞いてくるのよ。


!?

まさか、私が知らない事実ってことは…




----------





side 十六夜 昨夜

「今日は、何だか大変なことになってるね。まったく若い奴らにはついていけないよ。」

大変なこと?

「十六夜さんは知らないのかい?おたくの所のメイド達が、紅魔館の端の方で、何か変なお店を開いているみたいだが…」

はあ???





----------

「間もなく、本日限定ユニット『バカルテット』の公演が始まりまーす。立見席をご用意していますので、並んでいるご主人様もお急ぎくださーい。」

ちょっと、なにこの人だかり!?何なのよこれは!??????





「ちょっと、あなた!?何してるの???」


「あ、メイド長!本日こちらは、ジオンの交流会が行われています!」

交流会?
そんなことをやるなんて聞いて無いわよ!?
「誰の許可を得てやってるの?私は聞いて無いわよ?」


「ここは私の専用スペースだって、この前決まったはずだけど?」

!!!妹様!?

「ハニューが私にジオンのために使わせてくれって言ってきたの。そして私は許可をあげた…何も問題ないでしょ?」

くっ…

「せっかくだから、咲夜も楽しんできたら?ほら、次の公演が始まるみたいよ?」



『いち、にー、さん、しー』


----------


「「「「「「ワアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!!!!!!」」」」」」


この盛り上がりに、いったい何の意味があるというの??
何が目的で、こんなことをしているのよ???




「ご機嫌はいかが?メ・イ・ド・長・様?」

霊夢?
どうしてあなたがここに?
あなたは今日、私と接客の勝負をしているはずじゃ!?

「流石、メイド長様ね。私と勝負をしているはずなのに、こんなところで油を売っているなんて…ずいぶんと余裕よね?」


「そういうあなたこそ、どうなのよ?」


「あらあら、いくら白髪頭とはいえ、ボケるにはまだ早いわよ?この数を見てなんとも思わないの?」



ま、まさか!!!

「ここに居る奴らは全員アンケートを持っているわ…




 私の勝ちね!」




「ルール違反よ!!!!」



「いや、違うな。」
この声は…
ハニュー!!


----------

side ハニュー

どんどん盛り上がっていくな。
午前中の、ミスティアがソロで行った公演は、はしゃぐメイド達に釣られて…という感じのご主人様が多かったが…
午後に入ってから、ご主人様達が率先して動くようになったな。
午前中で雰囲気に慣れたご主人様が、後から来たご主人様を引っ張ってくれている。
おまけに、噂が広がり始めたのか、午後になって来店するご主人様がまた一段と増えた。

いい傾向だ。

そして、この段階で限定という心を惹くイベント。
ミスティア、ルーミア、チルノ、リグルによる公演で一気に火がついた感じだな。

まったく、ミスティアの歌唱力には驚かされたよ。
これだけ長時間歌っているのに、全然疲れないみたいだし。明らかに上手い。
しかも、先ほどから歌っている曲。
俺が覚えているアニソンとかを覚えている範囲で教えただけなのに、うまくアレンジして歌っちゃうのだから凄い。
もちろん、それを一緒に仕上げることができるプリズムリバー三姉妹も凄い。
生物兵器としてそういった能力が与えられているのだろうが、それを差し引いても『ゲンソウキョウの歌姫』と言ってもいいぐらいに凄い。

でも、もっと驚かされたのは、他の三人もさまになっている点だよな。

ルーミアは、どういう理由か分からないが、何故かギターが上手く弾けている。
リハーサルの時に驚いて聞いてみたら「長く生きているから、どうにかなるのだー」とのこと。
ルーミアの年齢は知らないが、過去に色々なことをルーミアは経験しているようだ。

リグルは、最初はドラムなんてまったくできそうに無かったが、なんとか見た目だけはそれっぽくなっていた。
なんでも、かなり練習したそうだ。
まったく、お前は真面目でいい奴だな。

でも、周りに合わせるために、女装なんて止めてくれ。
妙に似合っているというか…汗をかきながらドラムを叩く姿が艶めかしいというか…気の迷いが起きそうで困る。


そして最も予想外なのはチルノ。
リハーサルの時は本当に驚いた。
ルーミアは、何故か「ああ、ルーミアなら上手く演奏できるという展開もあるよね。」と納得してしまうが、チルノは違う。
どう考えても、キーボードを上手に演奏するチルノは違和感がありすぎる。

何か種があると思ったら…



ありました。




アリスさんご苦労様です。


アリスさんが、チルノを人形のように操っていました。
チルノ、もの凄く得意げな表情でステージに立っているけど、凄いのはお前じゃないぞ、アリスさんだ。
アリスさんに感謝しなさい。



とまあ、色々あったが大成功でよかった。
最初は、いくらミスティアの歌が上手いといっても、ずっとミスティアだと飽きられるし、限定イベントを午後に行えば、午前の客の一部がリピーターになってくれるかも…
という軽い気持ちで始めたのだが、ここまで人気が出るとは…
四人の役割を見て、某アニメに似ているんじゃね?
と思って某アニメの曲を教えたのも勝因の一つかもしれないが、そもそも四人とも人として魅力があるんだろうなあ。

まったく…
集客数だけを考えるのなら、アイドルマスターのアイドルランクで言う所のランクFぐらいだけど…
お客様の喜び方を見れば、間違いなくお前たちはランクS級だよ。
本当に凄いよ。


















さて、最も懸案事項だった、バカルテットの公演もうまく行きつつあるし…
これなら、俺が楽をしても、お店の運営はきっとうまくいくだろう。
ふう…
休憩に入ろうかな?
 





「ここに居る奴らは全員アンケートを持っているわ…




 私の勝ちね!」





「ルール違反よ!!!!」

と思ったら、危惧していた自体が発生したよ。
もう!

「いや、違うな。」


「ハニュー!?」

メイド長がこの事態に気が付いたら、絶対に文句を言ってくると思っていました。
だから、準備は万全です。
それに、疲れたし、お腹も空いているので、ちゃっちゃと済ましましょう。

「お客を招いてはいけない、誰かの協力を得てはいけない。そんなルールはありませんよね、妹様?」

「そうよ!」

既に、ルールについては妹様に確認済み。
というより、妹様はそこまでルールを考えていなかったわけだが…
そして、場所についても妹様が自由に使えるスペースを同じジオン部のよしみとして使わせてもらっているのだ!!

メイド長、申し訳ないが今日は真面目に勝たせもらうよ?

「待って!お嬢様はこのことを知っているの!?」

「もちろん、お嬢様ならあそこにいますよ。」

                                    「次は私が霊夢を指名す番よ!」
                                    
                                    「ここは、私の紅魔館よ。だから次も私が指名する番よ!!」
                                    
                                    「紫お嬢様!レミリアお嬢様!他のご主人様方にご迷惑なるのでお静かに…」

「お、おぜうさまああああ!?」

自由に妹様が使っていいスペースとはいえ、紅魔館の主であるお嬢様に話を通さないのは流石にまずいと思ったので、事前に話をしておきました。
当初は、口頭で説明しようと思ったのですが、説明し難いので博麗の巫女の接客練習を見せながら説明したことが良かったようです。

最初は乗り気では無い様子のお嬢様でしたが、接客練習を見せるという分かりやすい説明のためか、すぐに許可を出してくれました。
よかったです。

しかしお嬢様…
楽しむのはいいが、朝から入り浸ってずっと博麗の巫女を指名し続けるのは、周りに迷惑がかかるからやめて欲しいなあ…
まあ、お嬢様が来る前は、博麗の巫女はツンデレメイドキャラが失敗して、クレームばっかりで裏に引っ込めていたから…
これはこれでいいか。


って、あれ?
メイド長、なに青い顔をしているんですか?

ああ、そりゃ負けが見えたら辛いよな…
しかも、これじゃお嬢様がメイド長が負ける引き金を引いたように見えるからな。

最高の笑顔で励ましてあげよう。

「メイド長、気にしないでください。お嬢様は、メイド長を負けさせようとして、俺達に許可を出した訳ではありません。
 ただ単に、メイド長のことが眼中に無かっただけですよ。」

メイド長と博麗の巫女の勝負を知らないお嬢様は、ただ単に面白そうなイベントということだけで飛びついたのだと思う。
多分…


「まあ、勝負の事を知っていたら、もう少し対応が…」


 あれ?メイド長!?どこに言ったのですか???


side 十六夜 咲夜

私の事なんて眼中に無い?
お嬢様にとって、私が負けることなんてどうてもいいこと??
私が、霊夢に紅魔館を去れと命令されてもいいと思っているのですか??


そんな私を笑っているのか、笑顔で毒を吐くハニュー…
ムカつく…


でも、お嬢様…
本当に楽しそう…

ハニューの言うことは真実なのかもしれない。






でも、私はここで終われない。
私にとって、お嬢様は人生の全て。

お嬢様が居ない人生なんて考えられない。

だから、私はここに居ると力の限り示す!!
例え、それが醜い足掻きであったとしても!!!

「お立ちのお客様方?こちらが空くまで、あちらでお休みになられたらどうですか?」

ハニューの店に集まったお客であったとしても、私の部屋に招き入れ接待する。

簡単に負けるつもりは無いわ!!


----------

side ハニュー

バカルテットの公演が終わり、再び始まったミスティアのソロもそろそろ終わりだな。
そして、このメイドカフェの終わりも間もなくか…

「短かったけど次で最後の曲になります。こんなに大勢の人達の前で歌えるのが初めてで…凄く嬉しくて楽しくて…
 なのにこんな機会がこれっきりだなんて、皆にこうして会えるのが最後だって思うと、とても悲しくて…」

「ミスチー」「ミスチー」「ミスチー」「ミスチー」「ミスチー」「ミスチー」「ミスチー」「ミスチー」「ミスチー」「ミスチー」「ミスチー」「ミスチー」
「ミスチー」「ミスチー」「ミスチー」「ミスチー」「ミスチー」「ミスチー」「ミスチー」「ミスチー」「ミスチー」「ミスチー」「ミスチー」「ミスチー」
「ミスチー」「ミスチー」「ミスチー」「ミスチー」「ミスチー」「チンチン」「ミスチー」「ミスチー」「ミスチー」「ミスチー」「ミスチー」「ミスチー」
「ミスチー」「ミスチー」「ミスチー」「ミスチー」「ミスチー」「ミスチー」「ミスチー」「ミスチー」「ミスチー」「ミスチー」「ミスチー」「ミスチー」
「ミスチー」「ミスチー」「ミスチー」「ミスチー」「ミスチー」「ミスチー」「ミスチー」「ミスチー」「ミスチー」「ミスチー」「ミスチー」「ミスチー」

「ありがとう…私達ジオンはいつまでも皆と仲良くしていきたいと思っているの。
 だから…次の曲で最後だけど…曲は終わってしまうけど、ジオンと皆の関係はこれから始まるの!!
 これからもジオンをよろしくね!
 最後の曲は…」



最後の曲は、どうして争いは続くのか?という問いかけをしてくる、某ガンダムゲーのOPに使われている曲を歌ってくれます。
ミスティアが俺のリクエストを聞いてくれるというので、古いですが個人的に気に入っていた曲をお願いしました。
といっても、細かい所が覚えていないので、かなりオリジナルに近いですけど…




----------







「皆様!お待たせしました!!集計結果を発表いたします!!!!」

「「「「「うおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!!!」」」」」

最後の曲は何故か大合唱となり、その影響からかご主人様方が全然帰ってくれないので、そのまま勝負の結果発表になってしまいました。
ちなみに、メイド長は最後の最後でかなり追い上げたようです。

メイド長…
何かをやりきったような清々しい顔をしているな…


「中国!勝者は誰なのか明らかよ!!私の票数を言いなさい!!!!」

って!?
博麗の巫女さん、気持ちは分かりますが、自重してください。

「あんなこと言ってますけど、いいですか妹様?」

「いいわよ。」


「それでは、博麗霊夢さんの得票数を発表します。

















 -3票です。」



(・Д・)ハア?

「ちょっと待ちなさい!!!!なんなのよそれは!!!!!」


「ここからは、私が説明するわ。」

妹様!?

「当初は対応の良かったメイドの名前だけを書いてもらう予定だったのよね…
 でも、対応が悪かったメイドを書いている人も出てきたの。
 だから、そういうのはマイナスでカウントさせてもらうことにしたわ。
 因みに霊夢は、+2票と-5票で、合計-3票ね。」

なんだと!?
これは予想外!?


「じゃあ、私の票数は!???」

「咲夜の票数は+29票よ。-票は無し。あの状況でここまで票を伸ばすなんて、流石お姉様自慢のメイドなだけあるわね。
 頑張った咲夜に、労いの言葉でもかけてあげていいんじゃない?お姉様。」

「な、なによフラン。そのぐらい分かってるわよ。

 よくやったわ咲夜。」


「あ、ありがとうございます!!!!
 その言葉だけで…私は…私は…!!!!!!!」

赤い顔をして、そっぽを向きながらメイド長を褒めるお嬢様と、それに感極まるメイド長…
なんだか、何か胸に来る光景だなあ。


ということで、この勝負はメイド長の勝利か。
負けて残念だけど、あの喜びようを見ると、これでもよかったと思えてくるなあ。
しかし、メイド長は何を妹様に願うのかな?


「そうだ!願い!願いよ!!
 妹様、私が勝ったということは、私の願いを聞いてくれるのですよね!!!」









「なに言っているのよ、優勝はあなたじゃないわよ。
 優勝は…






 ミスティア・ローレライ!!!!+223票!!!!!!」


「「「「「おおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!!!」」」」」

なにいいいい!?


「みんなーありがとうー!!!!!!!!」

「ミスチー」「ミスチー」「ミスチー」「ミスチー」「ミスチー」「ミスチー」「ミスチー」「ミスチー」「ミスチー」「ミスチー」「ミスチー」「ミスチー」
「ミスチー」「ミスチー」「ミスチー」「ミスチー」「ミスチー」「ミスチー」「ミスチー」「ミスチー」「ミスチー」「ミスチー」「ミスチー」「ミスチー」
「ミスチー」「ミスチー」「ミスチー」「ミスチー」「ミスチー」「ペニスー」「ミスチー」「ミスチー」「ミスチー」「ミスチー」「ミスチー」「ミスチー」
「ミスチー」「ミスチー」「ミスチー」「ミスチー」「ミスチー」「ミスチー」「ミスチー」「ミスチー」「ミスチー」「ミスチー」「ミスチー」「ミスチー」
「ミスチー」「ミスチー」「ミスチー」「ミスチー」「ミスチー」「ミスチー」「ミスチー」「ミスチー」「ミスチー」「ミスチー」「ミスチー」「ミスチー」

ありがとうと言いながら、舞台に飛び乗るミスティア。
うわ…会場全体が凄いことに!?


----------


あれから、数分間騒ぎが止まりませんでした。
結局、一曲歌ってなんとか騒ぎが止まった所で、結果発表が再開されました。


「やっと収まったわね。
 それじゃあ、優勝者が負けた子、今回の場合は最下位の子に何でも命令できるという話だけど…」

ミスティアは、博麗の巫女に、どんな命令する気だろう。


「ちょっと待ちなさい!!!
 優勝者が負けた子に、何でも命令できるですって!?
 そんな話聞いて無いわよ!!!!





 何でも命令できる!?




 咲夜!!どうして負けたの!!!!!!!!!」

と思ったら、いきなりお嬢様が割り込んできました。

実のことを言うとですね。
お嬢様に勝負の件そのものが知られると、何らかの介入が行われそうなので隠していたんですよね~

「も、申し訳ありませんお嬢様!!」


「まったくもう、大事なときなのに~。
 ここで咲夜が勝ったら、霊夢を一生私のメイド奴隷にするとか…
 一生私のペットになるとか…
 色々命令できたのに~」

おいおい。
博麗の巫女をペットにするとか…










背徳的でエロイ…

まさか、お嬢様もストーカーさんと同類だったとは…


「レミリア!?あんたそんなことを考えてたの!?
 友人の私に同情して、紅魔館に泊めてくれたっていうのは嘘だったの!?」


「うー!?霊夢…これは…冗談よ!!!」

お嬢様…墓穴掘ったな…
あの慌てよう、どう見ても冗談には見えないだろ。

しかし、お嬢様があんなことを考えているとなると、博麗の巫女はもうここにはいられないな。
博麗の巫女はどうなるんだ?

あれ?
ストーカーさんが、優しい笑顔で博麗の巫女に近寄ってきた。

「騙されちゃダメよ。あれがあの吸血鬼の本性よ。霊夢、何があったのか知らないけど、もう一度私の家に来なさい。
 何も遠慮することは無いわ、二人のことを気にしているのかもしれないけど、本心では新しい家族が増えたみたいだとあなたを歓迎しているのよ。
 
 そして私もそう、あなたを本当の家族のように思っているのよ?」
  
「紫…でも私…あなたの家のトイレは壊すし、色々酷いこともしちゃったし…」

「気にしなくていいのよ。家族だって、たまには喧嘩をするものでしょ?
 それに、喧嘩をするほど仲がいいって言うわよね?」

「紫…


 私、あなた達のことを少し誤解していたみたいだわ…」


俺もだよ…
ストーカーさんって、ずっとただの変態淑女だと思っていたけど、結構まともな人じゃないか。
詳しい事情はわからないが、博麗の巫女が仕出かした何かを水に流して、家族として住まないかと言えるなんて、なんて優しい人なんだ!!!
感動した!!!!!!

「ストーカーさん。俺からも、博麗の巫女をお願いします。」

「え?ハニュー!?」
「ストーカーさん???なにそれ…」

「私とあなたが始めて出会ったとき、あなたは博麗の巫女をストーキングしていましたよね。
 だから、あなたは博麗の巫女をストーキングすることが大好きな変態淑女だと思っていました。
 ですので、先日博麗の巫女が気絶した際も、唇を奪う目的で人工呼吸をしようとしているのかと思っていましたが…
 違ったのですね…

 あなたの博麗の巫女への愛がここまで清く、高潔なものだったとは…
 
 まったく、すばらしい!!!
 感動しました!!!!!!!」





「そんな…!?」
あれ?
博麗の巫女が絶句しています。
そうかそうか。
これは、今までストーカーだと思っていた相手が、実は人工呼吸で自分の命を救おうとしていたことに驚いているのですね。







…?

おかしいな、喜ぶべき話なのに、なにやら博麗の巫女が青い顔になってきています。
しまった…
それはとにかく、博麗の巫女は勝負で負けてしまったのだった。
ショックで落ち込んでいるか、変な命令をされないか怯えているのですよね?

これは博麗の巫女の、俺に対する評判をアップするチャンス!
救いの手を差し伸べてあげましょう。
博麗の巫女の耳に口を寄せて…

「これはオフレコですが、勝ったミスティアですけどね…俺はあいつに命令できる立場なんです。つまりですね、あんまり変なことしようとしたら、分かりますよね?
 因みに、ここには人がいっぱい居ますよね?…そんな場所で命令を断る事態になったら、博麗の巫女の信頼も失墜してしまうこともお忘れなく。」

ミスティアが変なことを命令しようとしたら、俺が部長特権でミスティアを説得してあげましょう。
博麗の巫女が変な命令を断ることもできるでしょうが、そんなことをするより俺が命令を変えさせたほうが、博麗の巫女の信用が失墜することもないですからね。

「霊夢どこに行くのよ!?」「霊夢!?」

って博麗の巫女が…


逃亡した!?

「咲夜!!追うわよ!!」「霊夢、まって!!」


そんなに負けて命令されることが嫌だったとは…
いや、でも気持ちは分かるな。

しかし、博麗の巫女が負けるという結果は、俺の責任だな。
謝りたいが、どこに行ってしまったのか…

「最下位の霊夢が逃亡するなんて…どうしようかしら?」

「妹様、妹様。最下位は霊夢さんじゃないですよ。」

「え、じゃあ誰なの?」




「ハニューさんです。」

……………………………………………………………………………………え?

「ハニューさんの得票は、かなりの数でしたが、中盤あたりからマイナス票が続出。結果、-4票で最下位です。」

俺の不人気っぷりヒドスw
ってちょっと待ってーーーー!?
そもそも、俺が対象になってるなんて聞いて無いよーーー!?

「それでは、命令をどうぞ!!」

待って待ってーー!!
まだ心の準備が!!!

「チ●チン…どうしようかなー?




 決めた!!ハニューちゃんはサービスが悪かったのよね?だから何でも良いから皆にサービスしてあげて!!」


サービスとな??
サービスって何をすればいいんだ??




うーん…



「あや~ハニューさんの写真を撮って、それを皆さんに差し上げるというのはどうですか?」

なんだってーー?
サービスとして写真を差し上げるだと!?

サービスで写真ということは、サービスカットということだよな!?
確かに文さんの言うとおり漫画やアニメでは、サービスカットであるヌードシーンは健全な男子へのプレゼントとしては、基本中の基本だが…
いきなり、そんなことを言われも…

「結構いいアイデアだと思ったんですけどねー皆さん喜ぶと思いますよー」

そ、そうだったのか??
いや、俺の裸なんて見て誰が喜ぶのかと…

う…

確かに、文さんの言葉を聞いて、皆さんが期待した目を向けてきています。
し、しかしヌードは…

「それなら、皆さんの希望するサービスをしてあげたらどうですか?」

希望するサービス??

ヌード写真は嫌なので、皆さんの希望するサービスを行います。

それじゃあ、俺達のココにサービスしてもらおうか。全員満足させるまで帰れると思うなよ!

ネチョ



それは、もっとやばいことになる気がする…



「それじゃあ、ハニューが考えている間に、私への願いを聞きましょうか?
 でも、あんまり無茶な要求はダメよ?」

おっと、俺が考えている間に、妹様とミスティアは式典を進めるようですね。

「私、もっと多くの人の前で歌いたい!!だから、こんなお店を人間の里にも作りたいの!!
 妹様お願い!手伝って!!!!」

「わかったわ、その願い叶えてあげる。手助けできることがあったら、何でもいいなさい!!」

なんだと!?
でも、俺にとっては好都合か。

しかし、こうなると俺も気合を入れてサービスしないと…
俺がここで失敗したら、ミスティアの願いに悪影響が出ちゃうからな。


side 紅 美鈴

ハニューさんって結構な得票数でしたね。
でも意見が真っ二つでした。
『接客が最高に良かった。』
『高貴な姿を眺めることができただけでも良かった。』

『せっかく指名しに来たのに、指名キャンセルなんて残念です。』
『トラブル対処で指名お断りなんて…少しでも話がしたかったです。』

どもれこれも、本質的にはハニューさんに対して好意的な票ばかり。
でも、今回はサービスが良くなければならないので、後半のような票はマイナスになっちゃったのですよね~。

店長という立場上、後半はトラブル対処に追われて接客できなかったようですが、接客していたらどういう票になったか見ものでしたね。


本当に、人気者は羨ましいですね。
私なんか、中国と書かれて無効票ばっかりになる自信がありますよ!!!!


あははははははは!!!!!



はあ…




グス…

----------

side ハニュー

この程度で勘弁してください!!!
という気持ちでいっぱいです。


結局、普通の写真で我慢してもらうことにしました。
といっても、ヌード写真がただの写真に変わってしまったのはちょっと可哀想なので、それぞれの好みに合わせたオーダーメードの写真にしました。
具体的には、ご主人様の好みを、応対したメイドからの情報を基に推理して、好みに合うと思われるガンダムキャラの真似をして写真に写ってあげました。
例えば、幼くも凛々しい感じの女性が好きだというご主人様(何故か、異常に多かった。)が撮影室に来たときには、ガンダムUCのオードリーバーンの真似をしました。
自らの信念のために大胆な行動を取りつつ、高貴で品のある姿勢を崩さない彼女を真似るのは大変でしたが…
俺がオードリーを演じていることに気がつき、まるで俺が『やんごとなきお方』であるかのように接してくれるご主人様が多かったので、上手く演じることができたようです。

ちょっと恥ずかしかったですが、ヌード写真に比べれば可愛いものです。

それと、お金払ったのに、俺にキャンセルされて、それのお詫びが写真一枚じゃ納得できない!
という人が後々出てくることもあると思うので、そういう人のために写真に俺の名前を書いておきました。
こうしておけば、この写真が間違いなく今日のイベントに来たという証拠であり、それを部長の俺が承認したということになりますからね。

つまりレシート代わりとして、後ほど返金に応じられるということです。
いくら払ったのか記録に全然無いので正確な額は返金できませんが、少なくとも入場料ぐらいは返金してあげるべきでしょう。

「はい。
 この写真は今日ここに来たという大切な証拠だから、大事にしてくださいね。」


「た、大切にします!!」

さっきから、一生の宝物だとか言う奴がいるが、ちょっと大げさすぎw
きっと俺の哀れっぷり(不人気っぷり)に同情してくれているのでしょう。
いい人達だ…





ふう…
やっと終わった。

今のお客さんで最後かな??

そういえば、お客といえば、手伝いに参加してくれた店主はどうなったんだ?



あ…

あれは店主と…



----------



side 森近 霖之助

やっと終わりか。
しかし、僕にこんな才能があったとは…驚きだよ。
僕の力があれば、幻想郷の女性を全て虜にすることなんて簡単なこと。
と思わず増長しそうだよ。

「こーりんさん、もうお店は終わりなのに、どうしてもこーりんさんを呼べって言うお嬢様が…」

ふむ…
まったく困ったお嬢様だね。
魅力があるというのも困ったものだよ。



「お嬢様。僕を呼んでくれて嬉しいよ、でももうお別れの時間なんだよ…」








「霖之助さん??それは、私と別れるということ????


 グスン…」






























「朱鷺子!!!!これは誤解だ!!!!!
 違うんだ!!!決して朱鷺子のことを忘れていたとかそういうのじゃ無いんだ!!!!!
 そうだ、これはハニューの陰謀なんだ!!!!本当だ!!!!!」

嵌められたーーーーーーーーーー!?
ハニューって本当によい妖精なのかもしれないと思った僕はなんて馬鹿だったんだ!!!!


「ほう…?誰の陰謀だと??」


終わった…

----------

side ハニュー

まったく、店主には手を焼かされる。
店を手伝ってくれたのはいいが、今度は奥さんに誤解されているじゃないか。

「店主、ちょっと代われ。


 朱鷺子さん、安心してください。
 あくまで店主は「食事分を働いて返せ」という俺のお願いを受けて、あのような行動をしていただけなのです。
 本当は、あなた以外の女性の相手をすることを嫌がっていたのですよ。」


「ほ、本当ですか…??
 でも…それなら、ずっとあんなに楽しそうに働かなくてもいいじゃないですか!!」

う…
店主の働きっぷりを見ていたのか…
確かに店主の奴…途中から楽しくて仕方ないって感じだったからなあ…
悲しいかな、男の性か…

確かに、さっき伝えた理由なら、俺が監視していた時は一生懸命働いていてもおかしくないが…
俺が目の前からいなくなったら、やる気が削がれるのが普通だよな。

えーと…
あ、そうだ。
また一芝居打つか。
「店主には手を抜けない理由があったのです。
 実は、店主は手伝うにあたり、諸事情でジオンに入ったのです。
 そのため、他の先輩達から後輩として常に厳しい目が向けられている状態でして…
 もしも、今日限りの手伝いだったら、多少の事は目をつぶるのですが…」

「「えっ!?」」

ちょっと、店主まで驚いたらダメだよ!
ボソ…「朱鷺子さんのために、しっかりと合わせろよ、店主。」


「そ、そうなんだ。本当は嫌だったんだが、立場上、手が抜けなくて…ハハハハハ…」


「本当?本当に本当???」

「そ、そうだよ朱鷺子。本当に本当だ。」











「うん…今回だけは許してあげる…でも次は無いからね!」


ふぅー
何とかなったか。

まったく世話を焼かせるなよ。

「悪かったよ朱鷺子。僕の軽率な行動で心配させてしまったね。」

しかも見せ付けてくれて。
こんな所で抱き合うなよ。
こんな可愛い奥さん(予定)がいるのに、まったく何しに来たんだか…

「もう!本当に心配したんだから。でも、私の勧めたとおり、ジオンに入ってくれたことは嬉しかったな…」

!!
そうかジオンに入りに来たのか。
なんだ、そうならそうと、早く言ってくれよ。
これは、ひょうたんから駒という奴ですか!?


「まったく、店主には勿体無いぐらい可愛い奥さんだな。大切にしてやれよ。
 店主、これからよろしくな!!」



いやーそれにしても、いい感じで終えることができたなあ。
これで明日から、人間の里ではジオンの評判が鰻上りでしょう。
多分「オタク向けの部活だけど、凄く楽しそうだったよ!!」という感じで、無害で楽しい奴等といういい評判が広まっていくんだろうな~


side 森近 霖之助

「まったく、店主には勿体無いぐらい可愛い奥さんだな。大切にしてやれよ。
 店主、これからよろしくな!!」

し、しまったあああああ!?

成り行きでジオンに入ったことになってしまったああああああ???
毒を喰らうなら皿までというが…

し、しかし…
僕をジオンに入れてハニューは何を狙っているんだ!?

「霖之助さん…今日はちゃんとした所で寝られるんですね。うれしい…」


う…

朱鷺子…




朱鷺子のことを考えたら、ハニューに何を要求されても、断るわけにはいかない…
朱鷺子の命も、僕達の生活もハニューの手中…






僕は…
もはやここで頑張るしかないのか…


(大切にしてやれよ。)
そうだ…悔しいがハニューの言うとおり、朱鷺子は大切だ!!
腹を括れ!!そもそも、本気で朱鷺子を守りたいなら、ジオンに入るほうがいいというのは分かりきっていたことじゃないか!

それなのに、僕はハニューが怖いとか、悪いことには手を貸したくないとか、自分のことばっかり考えて…

僕は…

僕は!

僕は!!

----------

side 小悪魔

「チンチン!今更だけど、ハニューちゃんって急に幼く見えたり、急に大人びて見えたりするから面白いわね!」

本当にその通り。
撮影会の時のハニューちゃんは、クルクルとキャラクターが変わるので驚きましたよ…

例えるなら若くして国を率いることになったお姫様のような雰囲気だったのに、次の瞬間にはまるで女王様のような雰囲気に変化したりしていたり…
ハニューちゃんは相手の望む女性像に、自らを合わせているみたいね。

本当に面白いですよ。
だって、これって私達淫魔と同じですもの。

私達淫魔が、男性を虜にできるのは、美貌の力だけではないのですよ。
もう一つの重要な力…
男性が求める女性像を形に出来る力があるからなのよね。

女性が考える可愛いさや美しさは、男性が求めるそれとは違う。
つまり、男性が求める可愛いさや美しさを形にできるのが私達淫魔の特徴であり、武器…


なのに、ハニューちゃんは淫魔でも無いのに、まるで男性が求める可愛いさや美しさを分かっているかのような行動が目立つ…
ハニューちゃんの服装、髪型、仕草…
どれも、男性から見た女性像を形にしたものです。
(だから私も、先日は思わずハニューちゃんを抱きたいと思ってしまったのですけど。)

写真撮影を通して、男性達を魅了しようとする姿は、まるで私達の仲魔の姿を見ているようでした。
以前から気がついていましたけど、目の前でここまでハッキリと見せ付けられると、不思議で仕方ありませんよ。


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side 霧雨 魔理沙

気分が沈む…
どうして私は、誰の心も…

私の事を見てくれていると思ったパチュリーの目には、いつの間にか小悪魔しか写らなくなっていた。
そんな私の心を癒してくれると思った、兄のようなあの人の隣にも…

いやもう止めよう。
こーりんを探すしてどうする。

全てを吹き飛ばしたことを謝る。それで?

私は、本気で慰めてもらえるとでも思っているのか?

…今日は帰って寝よう。


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私の家の前に立っているメイドは誰だ…??




霊夢!?
どうしてこんな所に…!?
それにその格好はいったい!?


ボロボロのメイド服!?

逃げてきた!?

何かを見てしまった!?

汚された!?



…考えすぎだ…
とにかく、助けてあげないと。


「霊夢?おまえ人の家の前で、なにしてるんだ?

 立ち話もなんだからさ、とりあえず中に入ろうぜ。」


ギィ…









「ま、魔理沙ああああああ!!!!」


「霊夢!?おいどうしたんだ、落ち着けって!!!
 
 おい!?馬鹿!!



 そんなに抱きつくなよ!?」



side 八雲 紫

「ハアハア…橙!もう一度、私に向かってご主人様と言うんだ!!」

「はい、ご主人様!!」


「も、萌え死ぬ!!」
ゴロゴロゴロゴロ…


「ちょっと藍、考え事しているから静かにして頂戴。」
さっきから、藍が騒いだり、床を転がったりして、五月蝿くて仕方ないわ。

「紫様。私が五月蝿いのなら、どこか別の場所で考え事してください。」

この子は……
はぁ…

「あなたが、橙の服を脱がしたりしないか、監視するためにもここにいるのよ!!」


「何を言っているんですか紫様!!メイド服を脱がしたら、メイドの橙がただの橙になってしまうじゃないですか!!!」






クパア…

「ちょ、紫様!?何でもかんでもスキマで解決しようとしないでくださーーーーーい…」



はあ、霊夢をどうやって振り向かせようかしら…
恋愛って難しいわね…



あっいけない。
もうこんな時間。



side 西行寺 幽々子

「へえ、ハニューは少なく見積もっても、実力の数百分の一も出してないだって?

 私はそれなのに負けたって言うのかい?」


「ええ、それでも負けたのよ~」


「ハハハハッ!!いいねえ。もの凄くいい!!」

鬼というのは、どうしてこうバトルマニアなのかしら~

「それで、ハニューの正体はいったい何だって言うんだ?」

「残念だけど、皆目検討がつかないのよ。神話にまで遡って調べたのに、まったく手掛かり無し。本当困ったわ~
 それに、一緒に調べようって紫に連絡しようとしても、全然連絡がつかなくて困っているのよ~」

本当に紫は何をしているのかしら。

「それじゃあ、迂闊に手が出せないな。」

「鬼のあなたに言われる台詞じゃないわね。」

「となると、アレは何か絡め手の準備かい?」

この鬼、案外鋭いわね。

「さあ、何のことかしら~??」

「私が知っている範囲でも、お宅の庭師はあまり色気づくタイプには見えなかったが?」

「年頃になれば、色気づくこともあるわよ。女の子ですもの~」



「ま、そういうことにしておくかな?
私は一応ジオンの一員になっているから、今日はこれぐらいにさせてもらうよ。」





一応ね…
あの子鬼…
獅子身中の虫になるつもりかしら?
危ないことをするわね~

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呪いの装備に、豊富な戦闘経験。
そして、『人はよりよく導かれねばならん。指導する絶対者が必要だ』ね…

面白い話が聞けたわね。

ハニューの目的…
もしかしたら、紫が想定したシナリオのうち、最悪のシナリオと同じなのかも…

でも、最悪のシナリオ…
外の世界を征服し、支配下に置くつもりなのかしら…



ますます彼女の正体が分からなくなる。




ハニューに秘められた力。
そして、その目的。

現存する、幻想的な存在が忘れてしまった発想と力。
そう、神話級の神々ではないと釣り合わない程の内容…

でも、神話にも彼女の姿はなかった。
似て非なる者達しかいなかった。


となると、彼女の存在は高度に秘匿されて来たのか…

それとも…








「幽々子様。お夕飯の準備が整いました。」

「妖夢、もう少し可愛げのある表情を出さなきゃダメよ。」


「よ、妖夢が愛情を籠めてお夕飯を作りました~」


恥じらいながらその台詞…
妖夢…恐ろしい子ね~
「ハイ合格。」


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料理の腕は文句なし、器量も良いいし、ちょっと薄めの胸も、まだまだこれからだから問題ないわね~


「あの、幽々子様?伺ってもよろしいですか?」

「どうしたの妖夢?そんなに改まって?」

「そろそろ、私の嫁ぎ先を教えてくれませんか…」


あら?まだひと言もそんなことを言っていないのに、気がついちゃったようね~。

「突然花嫁修業を始めさせられたら、嫌でも私の縁談が進んでいるのはわかります!!」

「あら?やっぱり縁談はいやかしら?」

「このままずっと、幽々子様の元で働きたいという気持ちはあります。
 ですが、幽々子様のためというのなら…」

本当に妖夢はいい子ね。
泣けてくるわ~。

「しかし幽々子様。私が居なくなった後。お食事とか…御一人で大丈夫ですか?」











えっ




「幽々子様?もしや、私が嫁いだ後の自分の生活を考えていなかったのでは…」



ギクッ

「考えていたに決まっているじゃない。そうね~あなたの縁談先はメイドがいっぱい居るから、何人か派遣してもらおうかしら~オホホホ~」


「メイドがいっぱい居る??紅魔館ですか???
 となると、私の縁談の相手は…
 吸血鬼姉妹!?


 あんなお子様の妻に…これでは愛し合うことなんて…」


あら~?さっきまで威勢が良かったのに~??
どんな相手でも私のために愛する覚悟だったようだけど、愛が理解できない精神年齢が相手だと、どうしようも無いから辛いってことかしら?
でも、相手はスカーレット姉妹じゃないのよ~。

「安心しなさい。あなたの縁談の相手は、もっと大人の精神を持っているわよ~
 メイド服姿も凜としているし、素敵な人よ~」

「凛としたメイド服!!
 じ、実は私、以前戦ったときから、あの人の事がずっと気になっていました!」

まあ!なんて素晴らしい偶然!!
妖夢が、嫌いな相手なら可哀想だったけど、気になっている相手だったら話が早いわ~

「そうなの!それなら安心して縁談を進められるわ!!!まさか、妖夢がハニューのことをそんなに気になっていたなんて~」












「短い間でしたがありがとうございました。幽々子様さようなら。」

ちょっと妖夢!?
話が違うわよ!?
どうして荷物をまとめているの~!?

「嫌です!!あんなに腹黒い奴の所にお嫁に行くなんて嫌です!!
 絶対に弄ばれた挙句に殺されます!!!!!!
 それに、あの人の敵になってしまうなんて!!!!」

「あらあら……妖夢…あなた紅魔館のメイド長が好きだったの…うふふふふふ~
 へえ~ああいうのが好みだったんだ~
 そうならそうと、言ってくれればいいのに~」

「みょん!?なんですかその笑顔は!!!!
 誤解しないでください!!これは好きではなく、憧れというか…その!!
 とにかく違います!!!!!」


まったく分かりやすいわねえ。

と何時もの様にからかうだけなら楽でいいけど…
そんな妖夢の気持ちも、今回ばかりは…

「あなたの気持ちはわかりました。
 ですが、この縁談には冥界の運命が掛かっているといっても過言ではありません。
 妖夢…覚悟を決めなさい。」

厳しく接しないといけない。

「…………………わかりました。」
妖夢の顔に明らかな葛藤が見えるわね。


「でも安心しなさい。この縁談はまだ相手に伝えていないの、実は本当に実行に移すかどうかも決まっていないのよ。」

「え!?それは本当ですか!?もう、驚かさないでくださいよ!!!」


ごめんね妖夢。
確かに縁談の話が実行に移すかどうか決まっていないのも事実、でもそれはあなたを安心させる程度の力しかないのも事実なのよ。
状況が悪くなれば、私は間違い無くあなたをハニューに差し出すわ。
そして紫が頼りにならない今、状況は間違いなく悪化しているわ~。


妖夢は、ハニューを腹黒いと言ったけど、組織の上に立つものはすべからず腹黒いものなのよ。
私も含めてね。




!!

この気配…
やっと来たようね。

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side 魂魄 妖夢

「ハニュー対策をしないで、霊夢ばっかり追いかけていたから、今日は来ないと思っていたわ~」

「あら?私は何も考えずに遊んでいたわけじゃないのよ?」

八雲紫。
幽々子様の親友にて、対ハニュー同盟(仮)のもう一つの柱。
ただし、最近は博麗霊夢への求愛行動を優先しているため、ハニュー対策がおざなりになっている。

だったはず…

「博麗の巫女と八雲紫は二つで一つ。この二つが正常に機能しない限り、幻想郷は維持できない。
 そしてこの二つの力が親密なら…幻想郷でこの力に抗うことは不可能。
 ハニューが霊夢へ接近する可能性があったから、予防線を張っていただけよ。」

!!!
なるほど、流石幽々子様の親友だけのことはある。
馬鹿になったように見えて、実はしっかりとハニュー対策を進めていたとは。

「あら~?幻想郷に放ったスパイ幽霊の話だと、博麗霊夢は魔理沙の家に転がり込んだようだけど~??」

「う…


 さっき計画を修正したわ。すぐに取り戻すわ。」


急に歯切れが悪くなりましたね。

「ねえ紫?あなた、昔言っていたわよね。幻想郷の男なんて、全部食ったことがあるって…
 そんな紫にお願いがあるんだけど~」

「ギク…な、なにかしら…?」

全部の男を食った??
しかし、幻想郷内の人間を食べることは、禁じられているはず…

「恋愛経験がない妖夢を教育してあげて欲しいのよ~。特に実技面で。
 私はこっちの方は経験不足…というより覚えてないから、教えるのには限界があるのよ~
 でも、紫なら簡単でしょ?」


「え?


 むむむ、無理よ!!!」


「あら~おかしいわね~
 ねえ紫。もしかしてあなた…」



「…………………………………………
 …………………………………………
 …………………………………………
 …………………………………………
 …………………………………………
 …………………………………………
 …………………………………………
 …………………………………………
 …………………………………………
 …………………………………………」


真っ赤な顔で俯く紫様。
お二人は、いったい何の話をしているのでしょうか?


「妖夢、席を外しなさい。」



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side 西行寺 幽々子



「はあ~。まさか紫にこんな弱点が存在したなんて~。」

「べ、別に恋愛が私の弱点じゃないわよ!!!!」

「うふふ~別に恋愛が弱点なんて言っていないわよ?」

真っ赤な顔で、慌てて否定する紫。
やっぱりそうなのね。
昔から「恋愛なんて経験し過ぎてもうウンザリだわ!!」って紫は言っていたのに、入ってくる情報と合わないから、話を振って見たけど。
まさか、ここまでウブだったとは驚いたわ~

こんな状況じゃなければ、こんなに可愛い紫を見れたことに喜ぶべきなんだけど…

「これから事実だけを言うわ~
 あなたが霊夢に必死になっている隙に、ハニューは勢力拡大。
 あなたが霊夢と距離を一定以上に詰めようとすると、何故か霊夢との関係が悪化する。

 原因や黒幕はとにかく、恋愛というあなたの弱点が、ハニューの有利に繋がっているのは間違いないわ~
 とてもまずい状況よ~」


「大丈夫よ。すでに計算のうちよ。
 ハニューは劇薬だけど、幻想郷を永遠のものにするためには、必要なの。
 私たちは、然るべき時に果実を収穫するだけでいいのよ。」

紫…
あなたは、その高い計算力で先を読むことにより、ごく一部の例外を除いて最後はいつも勝利を掴んできたわ。
だから今回も、あなたには勝利の道が見えているのね…

でも、一つの計算の狂いが、全てを壊すことだってあるのは紫も知っているでしょ?

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side 霧雨 魔理沙


もうとっくに日が昇ってる…
霊夢の奇行に付き合わされてせいで、もうこんな時間か…

「魔理沙…優しいのね…」








「当たり前のことを言うなよ。」

「何も聞かずに、泊めてくれてありがとう。私…何も信じられなくなっちゃった…
 親友だと思っていたレミリアは、メイドを囲って喜んでいるただの変態だったし…
 ちょっとだけ、お母さんみたいだと思った紫も、私の体が目的の変態だったし…
 もしかしたら、仲良くなれるかもって思ったハニューも、実は私を虐めたり、罠に嵌めたりして楽しんでいたなんて…」

何があったのかもっと詳しく聞いてみたいが、こんなに弱気な霊夢を見ると、とても聞けないぜ。
それに、下手なことを言って霊夢に嫌われたくなかったんだろうな。
私も寂がってるってことか…

「なあ霊夢…
 神社が直るまで私の所で暮さないか…」

「…魔理沙!!!!」


side 稗田 阿求

歴史を書き残すものとしては、昨日今日の出来事は大変面白いですね。
不謹慎ですが、喜劇的な展開ともいえます。


ハニューは当初、ジオンという秘密結社を率いて、博麗霊夢と戦った悪人として、名が広まりました。
しかし最近は、異変を解決したことにより、ハニューは実は善人ではないかという異論が出始めていました。
そして、つい一週間ほど前に広まった、ハニューに怪我の手当てをしてもらった少年の話。
その熱っぽく語る少年の様子と相まって、人間の里のハニューへの興味は、過去に無いほど大きくなっていました。

そんな所に転がり込んできたのが、紅魔館でジオンのメイド達が、訪れた者をご主人様として接待してくれる交流会の情報。
この情報は、瞬く間に里を駆け巡っていきました。

まったく、あまりにも基本に忠実かつ、確実な効果が見込める広報戦略で嫌になります。

おっと話が逸れました。

その情報に対する反応は真っ二つに割れました。

紅魔館へと急ぐもの。
警戒し、行動を起こさないものです。

前者は、里の若者。特に若い男が中心になりました。
これは、メイド達の容姿と、そんなメイド達に奉仕されたいという、男の性に負けたのが原因でしょう。

妖精や妖怪は、悔しいことに普通の人間より美人揃いです。
ただ、妖精は幼稚で恋愛に疎く、妖怪は危険が伴うため、普通の人間は人間以外に誘惑されることは、珍しいことでした。

しかし、ジオンの妖精や妖怪は、それらの常識を裏切るような者達ばかりでした。
若い男たちは、ビラを配っていた妖精メイドや妖怪メイド達に簡単に誘惑されてしまったようです。

実際にビラを配っていた妖精メイドや妖怪メイド達は、10代後半から20代前半に見える容姿とスタイルを持ったものが中心(10代前半もいた)でした。
もちろん見た目だけではなく、友好的で大人びた会話をするなど、そこら辺にいる妖精や妖怪とはまったく違う印象を受ける者達ばかりでした。

もちろん、最初は紅魔館に足を運ぶかどうか、迷っている者が多かったようです。
ただし、昼前あたりから紅魔館での状況が伝えられ始めると、それらの者も雪崩を打って紅魔館へと向かいました。

自らの好みのメイドを選ぶことができ、そのメイドが恋人のように接してくれる。
しかもそのサービスの中には、進んでいる外の世界ならいざ知らず、人間の里の女性達では恥ずかしがってあまりしてくれないサービスまであるという。
「性的サービスを提供するものではありません。」という謳い文句が、逆にそう勘違いされるほどのサービスとは何なのか?
という好奇心を掻き立て、噂の流れを加速させたとも聞いています。


外の世界にハニートラップという、女性を使って男を篭絡し、情報を集めるスパイ技術があるそうですが、ジオンの行動も同じ様なものなのでしょうか。


とにかく、多くの若者が骨抜きにされ、ジオンシンパとなってしまいました。



これだけならまだマシだったのですが、問題はこれだけではありませんでした。


紅魔館で酷い目に会わされなかったか?
ジオンシンパになったのは、洗脳された為ではないか?
ジオンシンパとなった者達を心配して行ったそれらの行動は、ジオンシンパとそうで無い者との間に深刻な亀裂を次々と生んでいくことになりました。

特に酷いのは、男女間の関係でした。
ジオンは、ご丁寧に彼女達の写真(彼女達と一緒に撮影した写真)。なかにはサイン入りのハニューの写真を、交流会に参加した者達にお土産として渡していきました。
ジオンシンパにとって、大切な宝物。
しかし、それを大切にする姿を見た彼ら(彼女ら)のパートナーの心境はあえて語る必要は無いでしょう。


何組かの男女が、破局を迎えたと聞いています。


人間の里は滅茶苦茶になってしまいました。
人間の里が繁栄してきた理由、その一つは八雲紫に影から守られていたこと。
そしてもう一つが、問題に対し団結して対処してきたこと。

しかし、昨年の年末に向日葵が空から降り、人間の里が破壊された異変が示すように、一つ目は崩れつつあります。
そして、二つ目もハニューによって亀裂を入れられた。


もしもこの状況でジオンに攻め込まれたら…
人間の里は終わりかもしれませんね。


side 上白沢 慧音

ジオンで出会った少女(少年)達と、人間の里の少女(少年)達を見比べ、人間の里の少女(少年)達に何の魅力も感じなくなったという若者達。
幻想郷の歌姫という少女や、バカルテットという少女達の話題ばかりを話す若者達。
そして、サイン入りのハニューの写真を宝物のように大切にし、それを非難されると激怒する若者達。
ジオンは人間達と仲良くすることを望んでいる、それが分からない大人たちはおかしいと怒る若者達。