オーサー氏は金妍児を教えているころから、シーズン初戦と、一番大きな大会にピークを合わせてきた。「常にパーフェクトの演技なんてできない。仮にいつもノーミスだったとしても、それではスピリットに欠けた演技になってしまう。選手には“マジックモメント”ともいえる瞬間があるから」とオーサー氏。
■柔和な人柄、どんな選手にも合わす
いいスタートを切るために初戦を重視し、その後は「マジックモメント」に向けて演技の“熟成期間”に入る。
こうした指導法に加え、どんな選手にも合わせられるところがオーサー氏のすごいところかもしれない。フィギュア界は、親が選手に対して大きな影響力を持つケースが多く、親に振り回されて疲れ果ててしまうコーチも少なくない。しかし、オーサー氏は柔和な人柄で受け流す。
不可解な採点に対して厳しい態度で審判に詰め寄ることもあるが、基本的にオーサー氏はいつ会っても朗らかだ。こんなに話しかけやすいコーチも珍しい。
■「常に何かを学ぼうと心掛けている」
「常にオープンであることと、毎日、僕は誰かと一緒に仕事をするたびに、何かを学ぼうと心がけている。コーチ業では“学び”が一番重要かもしれない」とオーサー氏。
だから、自分の考えを押しつけることもなく、フェルナンデス、羽生からも常に学ぼうとしている。「ハビ(フェルナンデス)はハビ、ユズ(羽生)はユズ。2人とも全くタイプが違うでしょ。それぞれいいところがある」
フェルナンデスは気分屋なところがあるが、そんなフェルナンデスについてはガールフレンドがリンク内で練習を見るのもOKだし、「寒くない?」と気遣い、雑談もする。選手が心地よいと思える環境は可能な限り、認めるようだ。
一方、羽生は日本人らしく、誰よりも早くリンクに来て最後まで残っている。「ユズは僕にとって、完璧な生徒だよ。礼儀正しいし、一生懸命練習するし、僕たちコーチ陣を尊重してくれる」(オーサー氏)
フェルナンデスには羽生の勤勉さを見習ってほしいようだが、羽生にもフェルナンデスから学んでほしいようだ。「ユズはもうちょっと肩の力を抜いた方がいい」とオーサー氏は笑う。
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