元作業員東電を申告、元請け告発 第一原発被ばく事故 安全法違反容疑で
東京電力福島第一原発事故直後、高い放射線量の下で違法に復旧作業に従事させられたとして東電に対し是正勧告を求める申告、元請け企業「関電工」(本社・東京都)を刑事告発する考えを明らかにしていた、いわき市の元男性作業員(46)は1日までに労働安全衛生法違反の疑いで両社を富岡労基署に訴えた。申請は10月30日付。男性と支援する日本労働弁護団は1日、厚生労働省で記者会見し、過酷な条件の下で作業に就いた実態を赤裸々に語った。弁護団によると、作業員の被ばく事故で東電側の責任を追及するのは初めて。
元男性作業員や弁護団によると、男性は二次下請け企業の社員だった。男性は昨年3月24日、同僚2人と共に元請け企業「関電工」の社員2人と一次下請け企業の社員1人の合わせて6人で、福島第一原発3号機タービン建屋の地下で電源ケーブル敷設作業に当たった。現場監督の関電工社員から高線量の汚染水の水たまりでの作業を指示された。関電工の2人と一次下請け企業の一人の計三人は水たまり内で作業に就き、最大で220ミリシーベルトの被ばくを受けた。男性は作業を拒否した。男性は30~40分間の作業で11ミリシーベルト被ばくしたという。
弁護団は監督を務めた関電工の社員が現場の放射線量や汚染水の状況を慎重に確認しなかった点を挙げ、「作業継続の指示は、事業者が作業員の被ばく線量を可能な限り低く抑えるように求めている労働安全衛生法に違反している」と説明した。作業を発注した東電も「違反行為を防ぐために必要な措置を講じておらず同法に違反する」とした。
記者会見に臨んだ元男性作業員は「告発が原発事故の収束作業に当たる全作業員の安全確保に向けた取り組みの契機になってほしい」と訴えた理由を説明した。弁護団の水口洋介、山添拓両弁護士は「多重下請けで安全対策がおろそかになっているのが現状だ。東電と関電工の責任を追及して、労働環境が改善するよう対応を求めたい」と語った。
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