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【放送芸能】

受信料値下げしたNHK 躍起になって増収策

 最近、預金通帳を見ておやっと思った読者はいなかっただろうか。NHK受信料が十月から値下げされ、先月末には口座引き落としも行われた。値下げ額は口座振替とカード払いで月に百二十円(2カ月払いの月額換算)だが、NHKにとっては大きな減収となる。どんな増収策が進んでいるのか、探ってみた。 (藤浪繁雄、中村信也)

 「総じて受け止めていただき、好意的なご意見でした」。NHKの松本正之会長は一日の定例会見でこう述べた。値下げ後は地上契約が千二百二十五円(口座引き落としなど、月額換算)、衛星契約も含むと二千百七十円(同)。値下げに対する問い合わせなどは、ロンドン五輪後の八月十三日以降で約一万件。中には放送の質の低下や、NHKの経営を心配する声も寄せられたという。

 NHKの収入の柱は、年間六千億円を優に超す受信料収入。二〇一二年度から三カ年のNHK経営計画で、値下げによる減収を計千百六十二億円と見込む。減収分は計八百十億円の増収を目指す「810プロジェクト」などで補うという。プロジェクト名に掲げた目標額の八百十億円は、一二年度に百三十億円、一三年度に二百七十億円、一四年度に四百十億円で達成する計画だ。

 NHK広報局によると、まず、これまでに受信料を払ったことがあるが、今は滞納している視聴者に支払いを求める。さらに全契約の約四割(11年度)で、伸びが期待される衛星契約の獲得に特に力を入れる。毎年約七十万件ずつの増加を目指している。

 プロジェクトは「営業局員だけでなく全役職員全職責が参加する」(松本会長)という位置づけ。広報局によると、職員が大学に出向いて講義の終わった教室で公共放送のあり方を説明したり、各地で番組に関連したイベントを開くなかで受信料への理解を求めたりしている。

 増収策と並行して、あらゆる業務の効率化も行う。例えば受信料の徴収事務では、NHK側が契約者の住所変更を直接、各市町村に確認できるようになる。書類が必要だった衛星契約も、電話一本で済むようになる。

 プロジェクトとは別に、受信料滞納者への支払い督促も進めている。この夏には、テレビを置いているのに受信契約に応じないなどとして、大手ホテルチェーンなど三事業所を相手に、計七億七千万円の支払いを求める裁判を行っている。

◆BSの魅力をアピール

 増収策の目玉が衛星(BS)放送で、BSの魅力をアピールする一つの方法として十月から、ドラマ枠が増えた。NHKは「視聴者ニーズであり、リラックスして楽しんでもらう方法論の一つ」と説明している。その第一弾としてBSプレミアムで「てふてふ荘へようこそ」(土曜午後11時15分)が始まっている。

 昨年四月に総合テレビで始まり、BS番組の最新情報や魅力を紹介している「BSコンシェルジュ」(金曜午後0時20分)はBSプレミアムに加え、BS1でも放送されている。

 BSのドラマを見ると得点がたまる「BSドラマイル」というサービスも、四月から行われている。対象のドラマを視聴すると、一分あたり「一ドラマイル」がもらえ、これをためると番組オリジナルのパソコン用壁紙や、スペシャル動画などの特典と交換できる。

 マイルをもらうには衛星契約をし、BSプレミアムを視聴できることが必要。テレビがインターネットに接続されていて、録画ではなく、リアルタイムで見なければならない。

 

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