HOME


一覧表

欠点を理解

飼育の勧め

野鳥飼育

手乗り教育

繁殖計画

ヨウム

シロビタイムジオウム

ゴシキセイガイインコ

いっしょに遊べる?

シロビタイムジオウム(P)

アルーキバタン

他の小鳥1

新写真

野鳥類の選択と飼育方法
2006/10/31 更新(13回目)
(ほぼ完成、随時追加内容変更予定につき、ご注意願いたい)

野鳥類の選択と飼育方法 写真説明(細ヒゴ太ヒゴ、簡易収容箱、換羽異常

 野鳥系の小鳥を飼育することについては、そのこと自体を好ましくないものとする意見もあるし、法的な問題などもある。種の保存や法律などを厳守し、適法な手続きで入手されることを望むものである。
 また、外国産の野鳥を飼育する場合は、くれぐれも放鳥しないようにしてもらいたい。特に、国産種と亜種関係にある種では国内種との混血もあり得るので、管理には充分注意して飼育してもらいたい。
 ここでは、野鳥飼育に関る法律や条例などの法規については、基本的に触れるつもりはない。あくまで飼鳥としての伝統を守る意味で記載しているが、基本的に密猟を否定しているので、その旨もご理解願いたい。
 近年、中国からの野鳥類の輸入が止まり、多くの種において、新たな個体を入手するチャンスがなくなっているので、今飼育している個体を大事に飼育してもらいたいと願うものである。

 (更新)2005年6月、外来生物法(正式名:特定外来生物による生態系等に係る被害の防止に関する法律)が施行された。内容は名称が示す通り、外来生物の移入・繁殖から国内の生態系を守ろうとするもので、本法に指定された種にあっては、それ以後の輸入が禁止され、それ以前から飼育された個体についても飼育許可が必要になり、繁殖も認められない。更に、政府等により駆除も行われるというので、本法に指定された外国種を国内においては抹殺することが基本的な目標。詳細は環境省のこのページ
 尚、許可を受けた個体については飼育可能であるが、飼育個体数が制限されると同時に個体も飼育者も指定されるので、他に譲ることもできないし、繁殖もできない。2005年6月現在、鳥類では相想鳥とガビチョウ(3種)が指定され、飼育許可の期間は5年。

野鳥類の飼育意義と目的
 洋鳥が高価で少なかった昔は、メジロ、ホウジロ、ウグイス、コマドリ、オオルリなどの国産野鳥が飼鳥の中心だった。これらの小鳥たちは和鳥と呼ばれ、色彩的に優れたものもいるが、基本的には囀り(サエズリ)を楽しむものである。
 ほとんどの場合、囀りは♂がするので、鳴きを目的に飼育する場合は♂でなければならない。通常は♂の方が♀より美しので、この意味からも飼育する個体は♂に限る。また、冒頭で記載した定番の各野鳥には伝統的な好まれる鳴き方があり、それによって良し悪しが決定される。
 主として、色彩を追求して繁殖・改良される洋鳥に対して、伝統的な和鳥は天然個体を捕獲又は巣から採ってきた雛を育てるもので、両者の志向はこの面でも大きな違いがある。

入手方法と選択
 すでに記載した通り、国産種は飼育できないと思ってよいが、ホウジロとメジロは申請によって飼育許可がもらえる場合もあるらしい。しかし、渡りをする鳥種では国産と同種が中国などから輸入されてくる。それらは輸入証明書が添付されているので飼育可能であるが、それを入手する場合はスリエで飼育する種についてはスリエに餌付いているものを入手したい。昆虫(乾燥)やその他の餌で飼育されていたものをスリエに切り替えるのは意外に難しく、場合によっては★にすることもあるので注意してもらいたい。
 尚、外国産の野鳥類でも多くは囀ずるので、無理して国産種(同種)にこだわることはない。特に、ホウジロ科、ツグミ科(亜科)、ヒタキ科(亜科)の小鳥では囀る可能性が充分にある。

輸入証明書の解釈(私見)
 野鳥の捕獲と飼育を禁じる鳥獣保護法や狩猟法は、ほぼ全ての国内の自然界にいる種(鶏など明らかに改良された種を除く?)に適用されているという。
 通常、鳥獣保護法も含めて国内法は「国内の問題」に限定するしかないので、外国の問題についてはワシントン条約(CITES)などの国際協定や条約がない限り論じないのが一般的である。
 問題の鳥獣保護法は「国内にいる野生動物」全体の捕獲・飼育を禁止しているのであって、一部の例外規定なども国内に生息する種に限られ、外国産の種には適用されないはずである。
 しかし、本来は外国産種であっても国内に帰化した種も対象となる。例えば、茨城・筑波市周辺で帰化・繁殖している相想鳥や東京のワカケホンセンインコなどを捕獲すれば違法になる。
 一方、ショップで見かける相想鳥とワカケホンセンインコの両種は帰化種と全く同じ種であるにも関わらず輸入証明書さえ必要なく販売されているのである。
 また、シラコバトのように本来は帰化種であるにも関わらず天然記念物に指定されているものもいるが、この種を原産国から輸入した場合、輸入証明書が必要になるだろうか?と同会に質問したらどんな回答をするだろうか−−明らかに外国産なので必要ないというだろうか、それとも国内種は天然記念物なので必要だというか、迷うところだろう。
 ところで、問題の輸入証明書の発行機関は日本鳥獣商組合連合会という、いわゆる業界団体である。証明書自体の位置付けも「民間団体が自主的に運営、証明している」という解釈であり、あくまで「輸入個体」であることの証明に過ぎないというが、この証明書は事実上の飼育許可書であり、この証明書がなければ外国産種であっても国産種と同種ならば法律違反になる。
 表現を変えると、この証明書がないと輸入野鳥であっても国産種と同種であれば「密猟個体」=違法入手個体になってしまう。
 それでは輸入証明書が必要となる種が明記されているか?の問いに対して同会では「種名は記載されていないが、国産と同じ種についてのみ発行する」といい、具体的には「日本にいる迷鳥(稀な冬鳥及び夏鳥を含む)以外の種は証明する」という回答である。
 結局のところ、通常日本に生息する種でなければ輸入証明書は添付されないし、また必要でもない。
 つまり、輸入証明書は団体が輸入したことを証明することによって法律上の「国外種は対象とできない(しない)」に正当性を与えているのである。見方によっては同法の施行によって発生する業界不利益への”見返り”といえなくもないが、現実的に機能している国産同種を合法飼育するための書類である。

餌づけと餌離れ
 餌づけとは荒鳥(捕獲直後の鳥)をカゴ内で餌を食うようにする又は虫食い種にスリエ(擂餌)を食うようにする技法である。
 捕獲したばかりの荒鳥はバタバタと暴れ、餌を食えずに★になってしまうことも少なくない。そこで、廻りを見えないように風呂敷など薄手(通風性のあるもの)な布でサシコを覆ったり、声桶(コオケ)=桐箱製の外カゴや行燈(アンドン)=障子張りの外カゴなどに入れ、人影が見えないようする。また、鳥は薄暗い環境では落ち着く性質があるので、これらが有効なのである。
 輸入鳥のうち虫食いの種にあっては、餌に虫などが与えられていて擂餌に餌づいていないものもある。これらは擂餌に切替える必要がある。
 先ず、その鳥にあう強さの擂餌を水分を多めにして作り、その上に虫やミミズを乗せ、水は与えない。場合によっては砂糖や蜂蜜などの甘味を加え、食味をつける。すると鳥は虫やミミズを食うついでにスリエを食う。また、喉の渇いた鳥が水欲しさにスリエの水分をすするように飲み、その時にスリエの味を覚えるという仕組みである。
 餌離れとは飼育場所が変るなどの環境変化で餌(スリエ)を食わなくなってしまう現象である。あまり多い現象ではないが、時々擂餌飼育の小鳥であるシジュウカラ、ウグイス、ヒタキ、ツグミ科(亜科)の小型種に多くみられる。
 この場合も餌づけの要領で対応できるが、この現象は病気の場合もありえるので、★になることも少なくない。
 ここで、注意したいのは餌離れと見間違う「ダイエット」である。撒き餌の場合は、食いが落ちたこと自体の確認が難しいが、擂餌の場合は食った量がはっきり分かるだけに心配してしまう。
 この現象は狭いカゴ内での運動不足を解消するためなのか、それとも繁殖するために体を絞るのかは明確ではないが、多くは早春に現われる。特に、動きの少ないオオルリでは、必ずといってもいいほど起こる。場合によると3日ほども続き、飼育者を驚かすが、元気ならば心配する必要ない。ただし、この場合は飲料水を別に与え、水分を摂れるようにしてやる。
 さて、擂餌はそれだけで水分補給できるので、水容れの必要はないという方もいるが、「ダイエット」や擂餌の乾燥・腐敗などの局面を考えると、とにかく擂り得餌付いている個体であるかぎり水容れがあっほうが、ないより安全であることは論議する余地はないだろう。もちろん、私は水入れ設置派である。

飼育カゴ(サシコ)の選択
 野鳥類の多くはサシコと呼ばれる竹製のカゴで飼育する。サシコは尺寸単位で表示され、通常9寸から1尺4寸まで1寸単位で販売されているので、収容する鳥のサイズで選ぶことになる。最大のサシコは1尺7寸のキュウカン鳥カゴであるが、これは伝統としては規格外らしい。
 サシコのサイズは意外なほど重要で、大き過ぎても小さ過ぎてもサエズリなどに影響を与えるため、その鳥種にマッチしたものを選ぶ必要がある。選択にあたっては、荒い(バタバタと暴れるもの)は大き目なサシコに収容するようにすると羽根が痛まない。大人しくなったら規定内の小さ目なサシコでも飼育できるようになる。
 また、竹ヒゴの太いものと細いものがあるが、細いものは鳥を見るのに都合よく、オオルリなど色彩がきれいで見ても楽しめる鳥種には向くが、細い分だけ割れやすく、価格も高いようだ。
 また、細ヒゴのサシコで飼育する場合は人に馴れ大人しくなってからにしたほうが良い。荒い個体はバダバタと暴れ、クチバシをカゴの間に突っ込むものも少なくないが、細ヒゴのほうが太ヒゴに比べクチバシや頭などが痛むので注意したい。
 尚、1尺3寸や1尺2寸には通常のものと細ヒゴを使用した横幅と高さの狭い「ルリ・カゴ」もある。このカゴは主としてオオルリに使用するが、全長17センチ程度の種には都合が良い。特に、美麗種を飼育するにはペストマッチである。

サシコ選択−U(製品の選び方)
 
サシコは竹製のものとプラスチック製のものが市販されている。プラスチック製のものは破損しやすいので、せいぜい水浴び用に留めた方が無難であるが、この使用目的でも落下などで簡単に壊れてしまうので注意が必要となる。どちらにしても、プラスティクなど化学樹脂は紫外線照射時間(経過年数)などによって弾力がなくなり脆くなるので使用しない方が良い。
 やはり、昔ながらの竹製のサシコは強度と耐久性の両面で優れている。また、国産の著名な職人が作ったものは驚くほど高価であるが、狂いがなく使い方しだいでは一生ものになるほどである。
 一方、中国製の安価なものも入荷している。品質は色々あるが、もっとも注意したいのは”糞切り”であり、間隔が広過ぎるものでは肝心な鳥が逃げ出すこともある。
 基本的にこの間隔は極めて重要で、広過ぎれば鳥が「カゴ抜け」してしまうし、狭過ぎると糞が通り抜けせずに付着してしまうのである。
 当然、サシコのサイズが大きくなるほど糞切りの間隔も広くなるので、その意味でも鳥にマッチしたサイズのサシコを選択する必要がある。
 尚、糞切りには補強する目的で縦方向に1本又は2本の竹材を入れたものあるが、掃除するのに邪魔になと同時に糞が付きやすくなるので、補強していないものの方が管理しやすい。

サシコの管理(塗装の勧め)
 竹製のサシコであってもカビたり、時間経過に伴った竹ヒゴの劣化によってすぐに美しさを失ってしまう。そこで、少し面倒だとは思うが塗装する方法がある。
 この処理を施したしたサシコは水切れがよくカビも出にくく、竹ヒゴが退色しないので長期間気分よく使用できる。もちろん、耐用年数も大幅に向上し、通常の使い方なら10年程度はもつし、適当な時期に再度塗装を行えば、さらに耐用年数の延長と美しさを維持することも可能。
 ただし、塗装する前のサシコが水分を含んだものだと気泡やカビの発生など不都合が生じる可能性もあるので、塗装する前に十分乾燥させておく必要がある。具体的な作業は床板と糞切りを外し、それぞれ別々にニス(油性)を薄め液で薄め、さらっとした状態で各部品を洗うように1回目の下塗り作業をする。薄乾きの状態のまま、今度は薄め液を使わずに塗る。最後に、2回目が乾いた状態で3回目を塗るが、極端に厚く塗ると割れの原因になるので、1回毎につき過ぎたニスを拭き取るように刷毛で吸い取りながら薄く塗ることを心がけよう。
 この際、出し入れ口など可動部分は特に薄く塗ると同時に動かしながら塗り、くっついてしまわないようにする。作業が終わったら、2時間も通風性の良い半日陰で乾燥しておけばすぐに使えるほどなのだが、揮発性溶剤の臭いがなくなってから鳥を収容したほうが良いだろう。
 尚、ペンキの種類には@ニスやA耐水ペンキなどがあるが、どちらの場合でも水性より油性の方が遥かに長持ちする。
 この処理をするだけで寿命、強度に優れ、割れの危険や美観を損なわず、しかも水浴びさせた際の乾きも早くなるなど管理が容易になる。この他にもツバキ油を塗ったりする方法もあるが、私は防水ペンキ(油性)専門である。

換羽期の過ごし方(飼育場所と日差し)
 どんな種でも直射日光を避け、薄暗い場所で飼育したほうが安全だと心得ておこう。特に、夏の強い日差しに晒せば★になることもある。また、換羽期に西日に晒すと羽毛がねじれたりして羽根揃いが悪くなり、場合によっては★になる。戸外で通年飼育できる種でも換羽期だけは室内に入れ、隙間風を防いで薄暗い環境で過ごさせたほうが無難。もし、戸外で換羽させる場合でも西日の入らないところで飼育すべきである。
 同時に、晩夏又は秋口にサエズリが減り、羽毛が抜け始めたら、直ちに”強い餌→弱い餌”に変更する。例えばスリエ5分で飼育していたものを3分にすると、早く換羽が終わるが、初心者には難しい選択になる。
 (更新)メジロ以外のスリエ食の種については、通年5分餌又は4分で飼育することをお勧めしたい、私の知人は難しいオオルリやウグイスの換羽を綺麗にあげている。その方の特徴は弱い餌と広いカゴ、そして昆虫(ミールワームなど)を極力与えないことである。一年を通じで同じ餌を与えることが最も確実で安全な方法だと思う。
 この時期の鳥は”病気”と思うくらい大事に飼育してやったほうがよい。もちろん、水浴びは中止した方がよい(鳥自身が水浴びをする場合はよいが、強制水浴びはしない)。この時期を越えると荒かった鳥もずっと大人しくなり飼いやすくなる。

水浴びの励行
 ほとんどの小鳥は水浴びが大好きである。羽根を綺麗にし寄生虫などを寄せ付けない他、新陳代謝を促進させるためにも重要なようだ。水浴びを励行した鳥は羽毛が引き締まり、痩せて見えるが、そのくらいでちょうど良い。春夏秋はもちろんのこと、冬でも暖かい日には軽く水浴びをさせてやろう。
 特に、換羽が終わった秋から春先にかけての水浴びは重要で、これをさせた鳥としない鳥では鳴きが違ってくる。
 ただし、換羽期の間は強制的に水浴びをしてはならない(鳥自身が水浴びをする場合は可)、これだけは守ろう。この時期に強制水浴びをさせた場合は★になることもあるので注意したい。
 尚、ジョウロで水をかける場合は、ビショビショになるまで水をかけずに少し濡れる程度で遠慮しておこう。あまり、長時間水をかけたり、濡らし過ぎると衰弱して★になることがあるので注意したい。
 また、寒い(冷たい)からといってもお湯をかけてはならない。必ず常温の水を使用する。尚、弱い種の場合はカゴに水盤を入れて自主的に水浴びをさせてた方がよい。
 また、水浴びには小鳥を大人しくさせる効果もある。バタバタと暴れる個体に水浴びをさせるとかなり大人しくなるので、乾くまで人の近くに置いておくだけでも、早く慣れる可能性がある。

囀りの理論と日照時間
 
野鳥を飼育する最大の目的は、既に述べたとおり囀り(サエズリ)を聞くためである。ご存知の通り、鳥の囀りは♀に対する♂ディスプレー=繁殖行動。つまり、♂が自分の存在を知らせて♀を呼んだり、他の♂に自分の縄張りを主張したりするためのものである。
 基本的に♂が♀に比べ姿や色彩が美しい種はそれだけでもディスプレーができるので、囀りが悪いのが一般的であるが、囀りと姿の両面で良いものも少なくない。
 人と違い繁殖の季節がある鳥たちにその季節を知らせるのは主として日照時間である。昔から早い時期に鳴かせるために一定時間灯火飼育する技術があるのはそのためである。
 具体的にはウグイスを正月に鳴かせるための技法で、サシコごと行燈(アンドン)と呼ばれる障子を張ったカゴ入れ、11月中旬から徐々に灯火時間を延ばしていき12月中旬には午後7時半くらいまで起こしておくのである。
 この方法を応用すれば春夏に囀りをさせないで秋冬に鳴かせることや夜に鳴かせて昼間寝かせることも可能であるが、健康問題と保温又は冷却も必要になるだけに自然に近い飼育方法のほうが楽である。

渡りのタイプによる飼育指針
 基本的に、野鳥類を飼育する場合はその鳥が次ぎのどのタイプの鳥であるかを知ることが重要である。そのタイプによって寒さ又は暑さを考えて飼育しなければならない。飼育する鳥によっては暑さ又は寒さによって★にしてしまうことがあるので、充分注意して飼育してやって欲しい。
 もっとも、飼育しているうちに飼育環境(気温変化)になれるものも少なくないが、次ぎのタイプ別特徴によって適切な飼育をするとより安全に、且つ永く楽しむことができるハズである。
(1)夏鳥=南方から渡ってくる。(2)冬鳥=北方から渡ってくる。(3)漂鳥=一定地域(国内)の緯度や標高差を季節によって移動する。(4)留鳥=ほぼ一定の地に留まるが標高差を移動する種が多い。
 このうち、夏鳥と冬鳥は緯度経度を越えた移動によって避暑・避寒又は繁殖をする。夏鳥として日本に渡ってくる種は日本で繁殖し、冬鳥は国内では繁殖しない。漂鳥は日本国内の緯度又は標高差の移動で避暑・避寒又は繁殖をする。
 結果として、(1)夏鳥は相対的に寒さに弱く、暑さに強い。(2)冬鳥は寒さに強く、暑さに弱い性質があると思って良い。例えば、夏鳥であるオオルリは冬に戸外で飼育すればほぼ★にさせてしまうことになる。
 一方、留鳥と漂鳥については産地と飼育地によって飼育方法を選ぶ必要があり、前者では飼育地と産地が同一の場合は夏の暑さに注意したほうが良い。これは、ほとんどの場合人が住むのは平野部であるため夏に山で避暑する彼らには暑過ぎるのである。逆に、冬は北風の入らない場所なら戸外でも平気だと思って良い。
 問題は留鳥のうち日本の島にいる固有種である。これらは絶滅危惧種が多く、天然記念物に指定されているものもいるので、説明し難い面もあるが、基本的なことについて記載してみたい。
 基本的に北海道など北方系の島にはこの種の留鳥は存在せず、南方系の島に存在している。島という環境は過ごしやすい性質がある。つまり、夏涼しく、冬暖かいのである。しかも、ほとんどは火山系の島であり標高差もある。そこに住む彼らは留鳥にこそ分類されるが、実際は漂鳥と同じなのである。少ない移動で快適な環境を得られる島に住み着いたのはそのためなのである。近縁種を調べてみれば、その多くが渡り鳥か漂鳥であることが分かるはずだ。
 どのタイプの鳥であっても夏は涼しく、冬は暖かくが飼育の基本だが、それでも冬は室内に入れて飼育すればほとんど問題ないし、種によっては障子や板張りの”アンドンやコオケ”と呼ばれる保温などを目的にした外カゴに入れることも可能だが、夏の暑さを凌ぐのはたいへんである。そう言った意味で比較的飼育しやすいのは冬鳥より夏鳥であろう。
 尚、詳細は下項に記載するが、冬鳥は通常日本では繁殖しないので、囀りを期待して飼育するには不向きでもある。

渡りのタイプによる囀りの現実性(推測)
 国産の留鳥と漂鳥に分類できる鳴き鳥は、春になれば囀りをはじめる。また、日本で夏鳥となる渡り鳥も国内で繁殖するのであるから囀りが期待できる。
 しかし、冬鳥はシベリアなど北方で繁殖し、国内では繁殖しないと思ってよい。よって、暑さを嫌うこれらの種が日本(本州)で囀るかどうかは難しいところである。
 ところで、ショップにはユキホウジロなど暑さを嫌う種も入荷しているようだが、これらに囀りを期待するのは難しく、マヒワなど一般的に囀るといわれている種に限定されると思ったほうが良い。
 また、外国産では北方で繁殖する種より、温帯又は亜熱帯地域の留鳥。また、漂鳥や渡り鳥では温帯地域で繁殖する種を選んだほうが囀りの可能性が高いと思われる。

科(亜科)による飼育概念
 私たちが一般的に鳴き(サエズリ)を楽しむ目的で飼育する野鳥は以下のとおりであるが、その種が含まれる分類学上の”科又は亜科”によって、ほぼ与える餌が決定される。また、渡りの時期などの生態も大凡の予測が可能である。
 ここでは鳴きが目的なので、その科(亜科)だけを記載することにする。また、ツグミ系とヒタキ系については両系を一緒にしてヒタキ科とし、それぞれを亜科とする学説もあるらしいので両方を記載をすることにする。
 尚、スリエを与える鳥については時期によってエサの強さを替える方法があり、その方が鳴きが良くなるという方もいるが、あまり勧められない。
 最も安全な方法は通年同じ強さのスリエを与えることであり、その場合は各鳥種で記載した秋冬のエサを選択することをお勧めする。これは、カゴという限られたスペースで運動不足になる彼らに過度な栄養を与えないためである。

(1)ホオジロ科
 色彩は地味な種が多いが、多くの種は鳴き声がよい。一般に飼育されているこの科の鳥は比較的暑さ寒さに強く丈夫で飼育しやすい。一方、冬鳥や北方系の種も多いので鳴きについては注意する必要がある。
●食性:草などの種子の外、昆虫(その幼虫を含む、以下同様)を摂っている。雛には昆虫を与えて育てる。
●エサ:成鳥はスリエと撒餌(マキエ)のどちらにも対応するが、面倒くさくないのは撒餌なので、私は通年これを与えている。人によっては撒餌を与えると鳴きが落ちるという方もいるが、”鳴き合せ会”に出品するならいざ知らず、それでなければ問題ないだろう。ただし、サエズリの時期にはエゴマやカナリヤシードなどの他ミルワームなどの虫を少々与え、栄養をつけたほうがよい。
尚、雛をサシエで育てる場合はスリエ(3分)を与える。*スリエの場合は春夏は5分又は4分、秋冬4分又は3分。

(2)ツグミ科(亜科)
 種によってサイズの差があり、色彩が鮮やかなものもいる。鳴き鳥として優秀な種が多く外国産種でも鳴きが期待できる。冬鳥もなくはないが、このタイプの渡りをする種でも鳴きが期待できるものが多い。また、一般的に知られている種の多くは夏鳥又は漂鳥が多いので、十分に鳴きが期待できる。
●食性:木の実などの外、昆虫(その幼虫を含む)やミミズなどを摂る。雛には昆虫の他ミミズなどを与えて育てる。
●エサ:成鳥・雛共にスリエで飼育・育成する。スリエの選択は春夏は5分、秋冬4分又は3分(通年4分又は5分でも問題はない)。

(3)ヒタキ科(亜科)
 鳴き鳥としては優秀な種が多いが、完全に近い虫食いの科であり、飼育下では弱く難しい種が多いという。また、寒さに弱いものが目立つ。
●食性=主に昆虫(その幼虫を含む)を摂る。雛には昆虫を与えて育てる。
●餌=成鳥・雛共にスリエで飼育・育成する。スリエの選択は春夏5分、秋冬4分(通年4分又は5分でも問題はない)。

(4)アトリ科
 鳴き鳥としてはさほどではないが、比較的色彩の鮮やかな種が多い。輸入種には冬鳥も多く寒さには強いが、暑さには弱いようであり、鳴きの面では産地に注意したほうがよいだろう。撒餌ですむことから飼育し易く、丈夫な種が多いようだが、暑さだけは注意した方が良い。
●食性=草などの種子の外、昆虫も。雛には昆虫の外種子も与えてるらしい。ちなみに、カナリヤはこの科の鳥である。
●餌=成鳥は撒餌で飼育するが、囀りの時期を除き、カゴ内での運動不足からくる肥満を防止するため、エゴマやカナリアシードは極力少なくする。尚、雛をサシエで育てる場合はスリエや”アワ玉”がいいとも聞く。

(5)メジロ科
 国産種では島にいる亜種もある。綺麗、可愛い、鳴きが良く丈夫と飼鳥としての要件が揃っている。寒さ熱さにも強く申し分ないが、小型種だけに極めて餌切れと水切れに弱いことを理解して飼育してもらいたい。
●食性=花の蜜や果実の外昆虫(その幼虫を含む)を摂る。雛には昆虫を与えて育てる。
●餌=成鳥・雛共にスリエで飼育・育成する。スリエの選択は3分又は2分。バナナ・ふかしイモや果実でも飼育できるが、スリエが無難。

(6)ウグイス科
 この科の鳥も食虫性が強く比較的飼育し難い。鳴き鳥としてこれほど有名なものはないが、この科で飼鳥といえるのはウグイス種だけ。通常飼育できるのは輸入鳥のチョウセンウグイスだが、国産とは亜種関係にあり、囀り方が少々違う。
●食性=主として昆虫を摂る。雛には昆虫を与えて育てる。
●餌=成鳥・雛共にスリエで飼育・育成する。スリエは通年4分又は5分、その他に早い時期に鳴かせるための”灯入”をした場合に7分又は6分という強い餌を使う人もいるが、私はこの強さの擂餌には反対の意見である。むしろ、その場合でも一般的な擂餌の強さを選択したほうが無難。

(7)ヒバリ科
 色彩は地味だが、鳴き声がよい。比較的寒さ暑さに強く丈夫だが、人に馴れ難く暴れるので、差し餌をして雛から育てないとつまらない。その意味では飼育し難く、砂地や原っぱに生息するため頻繁な砂交換をする必要があり、飼育場所を汚す。
●食性:草などの種子の外、昆虫を摂る。雛には昆虫を与えて育てる。
●エサ:成鳥はスリエと撒餌(マキエ)のどちらにも対応するが、一般的にスリエのほうが無難。撒餌を与える場合は、サエズリ時期にミルワームなどの虫を少々与え、栄養をつけたほうがよい。尚、雛をサシエで育てる場合はスリエを与える。*スリエの場合は春夏は5分、秋冬は4分でもいいだろうが、雛には3分。

一般的な種の説明と適合するサシコのサイズ(科別)
(1)ホオジロ科

T.ホオジロ
 タイプ等:国産種は漂鳥又は留鳥。中国(朝鮮半島)産と国産種は亜種関係。「一筆啓上仕り候」などと聞きなされるが、「チリリン」など”鈴”が入るものが良い鳴きと言われ好まれる。
 餌:成鳥はスリエ(4分又5分)又は撒餌、雛の育成はスリエ(3分)
 サイズ:全長17cm
 カゴ:1尺2寸〜1尺3寸(ルリ・カゴ) 標準=1尺2寸
 飼育許可:国産種も申請によって許可の可能性もあるが、県によって許可される場合とされない場合があるようだ。ちなみに、千葉県ではほぼ不可。輸入種は輸入証明書が必要。
 飼育方法:国産・輸入種ともに温暖な地域では冬でも戸外飼育できるが、夜室内にしまい、朝戸外に出して鳴かせるようにするとメリハリのある飼育ができる。換羽期になったら室内に入れ、保温に注意しながら薄暗くして過ごさせる。
 調査報告:過去には中国から輸入されたチョウセン・ホオジロが安価で販売されていた。この種はホオジロの特徴である眼の上下の白い部分が薄茶色な他全体的に淡い羽毛なので簡単に識別できる。しかし、時々国産種と識別できない種もまとまって輸入証明付きで販売されていることがあった。両種を野で繁殖中の個体に見合わせた結果、縄張り争いをしたことから、少なくても国産種との関係が強く、交雑の恐れがある。飼育する方はこのことに注意して飼育してもらいたい。尚、後者の個体は中国産の地域亜種である可能性もあるが、国産種であることも否定できない。
U.ノジコ
 タイプ等:夏鳥。南方で冬を過ごし、春日本に渡来し高地で繁殖するというが、暖かい地域では通年軒下飼育が可能である。日本に渡ってくる種と輸入種は同種。鈴を転がすようにきれいな声でやさしく囀る。ホウジロ科としては比較的虫食性が強いようである。
 餌:成鳥はスリエ(4分又5分)又は撒餌、雛の育成はスリエ(3分)
 サイズ:全長14cm
 カゴ:1尺1寸〜1尺2寸
 飼育許可:輸入証明書が必要
 飼育方法:ホウジロとほぼ同様だが、寒さには多少弱い?
V..ミヤマホオジロ
 タイプ等:冬鳥。通年、戸外飼育が可能。日本に渡ってくる種と輸入種は同種。ヒバリの声を小さくしたような囀りで、なかなか面白い。
 餌:成鳥はスリエ又は撒餌
 サイズ:全長16cm
 カゴ:1尺1寸〜1尺3寸(ルリ・カゴ) 標準=1尺2寸
 飼育許可:輸入証明書が必要
 飼育方法:ホウジロとほぼ同様だが、暑さには多少弱い?

(2)ツグミ科(亜科)
T.コマドリ
 タイプ等:夏鳥として九州から北海道の山間部に渡来する。日本に渡ってくる種と輸入種は同種。名前の通り馬のいななきに似た「ヒン、カラカラ」というような囀り、やや喧しさを感じる声で声量がある。
 餌:成鳥、雛の育成共にスリエ
 サイズ:全長14cm強
 カゴ:1尺1寸〜1尺3寸(ルリ・カゴ) 標準=1尺2寸。
 飼育許可:輸入証明書が必要
 飼育方法:この種は陰性なので、室内で鳴かせるのには都合が良い。体質的には丈夫なのだが、暑さに少々弱いので、夏は涼しく暗いところを選んで飼育し、冬は室内飼育する。姿を楽しむにはオオルリ・カゴなど細ヒゴ製のサシコが良い。
U.コルリ
 タイプ:夏鳥として本州中部以北に渡来する。日本に渡ってくる種と輸入種は同種。オオルリを小型にしたような美しい種で鳴きも良いのだが弱いのが欠点。
 餌:成鳥、雛の育成共にスリエ
 サイズ:全長14cm
 カゴ:1尺〜1尺2寸 標準=1尺1寸
 飼育許可:輸入証明書が必要
 飼育方法:飼育下では最も弱い部類で「コルリ、コロリ」と言われるほど。寒さはもちろん暑さにも弱いので、冬は室内の暖かいところ、夏は涼しいところを選んで飼育するが、初心者には難しい種。姿を楽しむには細ヒゴ製のサシコが良い。
V.ルリビタキ
 タイプ:漂鳥又は留鳥として北海道から本州、四国に分布する。日本の種と中国産の種は同種?らしい。姿、鳴き共に優秀だが、これもコルリほどではないにしてもやや弱く、餌離れすることもあるらしい。
 餌:成鳥、雛の育成共にスリエ
 サイズ:全長14cm
 カゴ:1尺〜1尺2寸 標準=1尺1寸。
 飼育許可:輸入証明書が必要
 飼育方法:冬は室内で飼育したほうが良いだろう。姿を楽しむには細ヒゴ製のサシコが良い。
W.ノビタキ
 タイプ:夏鳥として本州中部以北に渡来する。日本に渡ってくる種と輸入種は同種。亜種もいるらしい。
 餌:成鳥、雛の育成共にスリエ
 サイズ:全長13cm
 カゴ:1尺〜1尺2寸 標準=1尺1寸。
 飼育許可:輸入証明書が必要
 飼育方法:この種は陽性なので、戸外で鳴かせる。寒さにも暑さに強いらしいが、極端な寒暖は心配。冬は室内、夏は涼しいところで飼育する。
X.クロツグミ
 タイプ:夏鳥として九州以北に渡来する。「キョローン、チー」や「チョボー、ツー」などいくつかのパターンを区切りながら大きな声で囀る。日本に渡ってくる種と輸入種は同種。丈夫で飼育しやすい。ツグミ科の大型種も鳴き鳥として優秀な種が多いが、本種は特に優れている。
 餌:成鳥、雛の育成共にスリエ
 サイズ:全長23cm
 カゴ:1尺3寸〜キュウカン・カゴ 標準=1尺4寸。
 飼育許可:輸入証明書が必要
 飼育方法:この種は比較的明るいところを好むようなので、戸外で鳴かせる。寒さ暑さに強いが、極端な寒暖は心配。冬は室内、夏は涼しいところで飼育する。
Y.イソヒヨドリ
 タイプ:漂鳥又は留鳥として本州から九州に分布する。いくつかの亜種を含めてユーラシア大陸の赤道付近に集中している。国産種と外国産の種は同種?らしい。澄んだ大きな声で囀る魅力的な種。
 餌:成鳥、雛の育成共にスリエ(4分又5分)
 サイズ:全長23cm
 カゴ:1尺3寸〜キュウカン・カゴ 標準=1尺4寸。
 飼育許可:輸入証明書が必要
 飼育方法:この種も明るく開けたところを好むようなので、戸外で鳴かせる。寒さにも暑さに強いらしいが、冬季は室内飼育が無難。
Z.ノゴマ
 タイプ:夏鳥として北海道や東北地方北部に渡来する。日本に渡ってくる種と中国からの輸入種は同種。よく通る大きな声で複雑に囀る。喉元の朱色が印象的。
 餌:スリエ(4分又5分)
 サイズ:全長16cm
 カゴ:1尺2寸〜1尺3寸(ルリ・カゴ) 標準=1尺2寸。
 飼育許可:輸入証明書が必要
 飼育方法:この種も陽性らしいので、戸外の比較的明るいところで鳴かせるとよいだろう。暑さに弱いらしいので、夏は涼しくして飼育したほうがいいだろう。
[.オガワコマドリ
 タイプ:外国産種。中国からヨーロッパでは夏鳥、冬は中央アフリカなどに渡る。力強い囀りと評されるとおりCDできく限り良い鳴きだと思う。
 餌:スリエ(4分又5分)
 サイズ:全長15cm
 カゴ:1尺1寸〜1尺3寸(ルリ・カゴ) 標準=1尺2寸
 飼育許可:必要なし
 飼育方法:この種は陽性らしいので、戸外の比較的明るいところで鳴かせるとよいだろう。比較的寒さ熱さに強く丈夫らしいが、冬は室内で飼育したほうが無難であろう。
\.ヨーロッパコマドリ
 タイプ等:外国産種。ヨーロッパなど(ユーラシア大陸の北西部中心)では夏鳥、冬は中央アフリカなどに渡るが、温帯部では留鳥又は漂鳥かもしれない。国産コマドリによく似るが、囀りはまったく違い澄んだ声で美しいと思う。
 餌:スリエ(4分又5分)
 サイズ:全長14cm
 カゴ:1尺〜1尺2寸 標準=1尺1寸。
 飼育許可:必要なし
 飼育方法:日本に渡ってくるコマドリと近縁だろうが、コマドリが森林の暗いところを好むのに対してこの種は明るい場所を好むようなので、戸外の比較的明るいところで鳴かせるといいだろう。比較的寒さ熱さに強く丈夫らしいが、冬は室内で飼育したほうが無難。姿を楽しむには細ヒゴ製のサシコが良い。
].シマゴマ
 タイプ等:外国産種。モンゴルなどでは夏鳥、冬はタイなど南方で過ごす。色は地味。コマドリに似た囀りだが、澄んだ声で上品に聞こえむしろより良いと思う。
 餌:スリエ
 サイズ:全長13cm
 カゴ:1尺〜1尺2寸 標準=1尺1寸。
 飼育許可:必要なし
 飼育方法:この種も陽性だと思われるので、戸外の比較的明るいところで鳴かせる。比較的寒さ熱さに強く丈夫らしいが、冬は室内で飼育したほうが無難。

(3)ヒタキ科(亜科)
T.オオルリ
 タイプ等:夏鳥として北海道から九州に渡来する。鳴き、色彩ともに優れているが、飼育下ではやや弱い。換羽時に失敗することも少なくないようだ。国産種と外国産の種は同種。よく通る澄んだ声が魅力。亜種のチャバラオオルリも輸入されているが、詳細は未調査。
 餌:成鳥、雛の育成共にスリエ(4分又5分)
 サイズ:全長16cm
 カゴ:1尺2寸〜1尺4寸 標準=1尺3寸
 飼育許可:輸入証明書が必要
 飼育方法:半陽性と思われるので、戸外飼育の場合は陽の当たらないところで鳴かせた方が良いと思うが、室内の明るいところのほうが無難。寒さには極めて弱いので、冬は室内でコオケに入れるなど暖かくして飼育しなければならない。姿を楽しむには細ヒゴ製のサシコが良い。
U.キビタキ
 タイプ等:夏鳥として北海道から九州に渡来する。囀り、色彩ともに優れているが、飼育下ではやや弱く、特に換羽期を越すのが難しいらしい。国産種と外国産の種は同種。よく通る澄んだ声が魅力。
 餌:成鳥、雛の育成共にスリエ(4分又5分)
 サイズ:全長14cm
 カゴ:1尺〜1尺2寸 標準=1尺1寸。
 飼育許可:輸入証明書が必要
 飼育方法:森林性だと思われるので、室内や戸外の陽の入りにくい暗いところで鳴かせた方が良いだろう。寒さには弱いらしいので、冬は室内でコオケに入れるなど暖かくして飼育したほうがいい。姿を楽しむには細ヒゴ製のサシコが良い。
V.マミジロ・キビタキ
 タイプ等:外国産種。朝鮮半島と隣接した中国では夏鳥、冬は南方に渡るが、キビタキより西方だという。キビタキによく似ているが、眼の上のマユが白く、喉の赤さも少ないなど識別は容易。キビタキ同様色彩に優れ、よく通る澄んだ囀りだという。
 餌:成鳥、雛の育成共にスリエ(4分又5分)
 サイズ:全長14cm
 カゴ:1尺〜1尺2寸 標準=1尺1寸。
 飼育許可:なし
 飼育方法:多分、キビタキの地域亜種と考えられるので、同じ飼育方法でいいだろう。

(4)アトリ科
T.マヒワ
 タイプ等:冬鳥として全国に渡来する。本科としては囀りが良いほうだろうが、他科の鳴き鳥に比べると少々劣る。国産種と外産種は同種。
 餌:成鳥は撒餌
 サイズ:全長13cm
 カゴ:1尺〜1尺2寸 標準=1尺1寸。
 飼育許可:輸入証明書が必要
 飼育方法:陽性だと思われるので、戸外の明るいところで鳴かせた方が良い。寒さに強く、冬季の戸外でも飼育可能。夏場は涼しいところで飼育してやりたいが、それほど問題はないようだ。
−修正−U.ベニヒワ
 タイプ等:冬鳥、ユーラシア大陸と北米大陸北方の広範囲に生息。日本では少数が冬鳥として北海道から本州北部に渡来する。額から胸の赤さが目を引くが、囀りは期待するほどのものではないらしい。国産種と外国産の種は同種。
 餌:成鳥は撒餌
 サイズ:全長13cm
 カゴ:1尺〜1尺2寸 標準=1尺1寸。
 飼育許可:輸入証明書が必要
 飼育方法:陽性だと思われるので、戸外の明るいところで飼育した方が良い。寒さには強く、冬の戸外で飼育が可能だが、夏は少々心配。
V.ウソ
 タイプ等:留鳥又は漂鳥として本州中部以北に生息。胸の赤さが目を引く姿鑑賞型の鳥で囀りは期待するほどではない。国産種の他アカウソ、ベニバラウソなど外国産(冬鳥として渡来する場合もある)の亜種もいる。
 餌:成鳥は撒餌
 サイズ:全長16cm
 カゴ:1尺2寸〜1尺3寸(ルリ・カゴ) 標準=1尺2寸。
 飼育許可:輸入証明書が必要(国産種と同種以外は不要)
 飼育方法:陽性だと思われるので、戸外の明るいところで飼育した方が良い。寒さには強く、冬の戸外で飼育が可能だが、夏は少々心配。
W.ベニマシコ
 タイプ等:留鳥又は漂鳥として全国に生息。国産と中国産は同種。全体的に赤さが目を引く。囀りもよいという。
 餌:成鳥は撒餌
 サイズ:全長15cm
 カゴ:1尺2寸〜1尺3寸(ルリ・カゴ) 標準=1尺1寸。
 飼育許可:輸入証明書が必要
 飼育方法:陽性だと思われるので、戸外の明るいところで飼育した方が良い。寒さには強く、冬の戸外で飼育が可能だが、夏は少々心配。
X.オオマシコ
 タイプ等:冬鳥、ユーラシア大陸の広範囲に生息。日本では少数が本州中部以北に渡来。全体的に赤さが目を引く。囀りもよいという。
 餌:成鳥は撒餌
 サイズ:全長17cm
 カゴ:1尺2寸〜1尺3寸(ルリ・カゴ) 標準=1尺2寸。
 飼育許可:未調査(輸入証明書が必要?)
 飼育方法:陽性だと思われるので、戸外の明るいところで飼育した方が良い。寒さには強く、冬の戸外で飼育が可能だが、この種も夏は少々心配。
Y.カワラヒワ
 タイプ等:留鳥又は漂鳥として九州以北に生息。国産と中国産は同種。コロコロという独特な可愛い地鳴きだが、囀りもよいという。
 餌:成鳥は撒餌、雛にはスリエ3分又はアワ卵
 サイズ:全長15cm程度
 カゴ:1尺1寸〜1尺2寸 標準=1尺1寸。
 飼育許可:輸入証明書が必要
 飼育方法:陽性だと思われるので、戸外の明るいところで飼育した方が良い。寒さには強く、冬の戸外で飼育が可能だが、夏は涼しいところで飼育してやりたい。
与論であるが、その昔知人がこの種の卵を巣から取ってきてカナリヤに抱卵・育雛させたものを見たことがある。育った♂はカナリヤの囀りをしていた。その時の♀個体が入手できたら繁殖の可能性があったであろう。私はカナリヤを繁殖させていた時だったので残念の極みだった。20年も経った今でもそのことが思い出だされる印象の強い種。この科の鳥はカナリヤを仮母にしたり飛び子が入手できれば飼育下の繁殖ができる可能性が最も高い野鳥類である。
Z.ゴシキヒワ
 タイプ等:外国産種。ユーラシア大陸の西部(ヨーロッパ中心)に生息。大別すると2タイプの地域亜種がいるらしいが、最近輸入される個体は昔のものに比べて色が悪くなったように思う。本格的な囀りは聞いていないが、主として色彩を楽しむ種のような気がする。囀りもいいという方もいるが、鳴かすまでに時間がかかりそうである。最近はこの種とカナリアの雑種も流通し始めたようだ。この種も繁殖させやすいと思ってよいだろう。
 餌:成鳥は撒餌
 サイズ:全長14cm
 カゴ:1尺1寸〜1尺2寸 標準=1尺1寸。
 飼育許可:必要なし
 飼育方法:この種も陽性だと思われるので、戸外の明るいところで飼育した方が良い。産地によって差はあるようだが、熱さ寒さには比較的強く冬の戸外でも飼育が可能。

(5)メジロ科
T.メジロ
 タイプ等:留鳥又は漂鳥として全国に生息。本州産(基亜種)より大きな大島など伊豆七島産のシチトウメジロ、小さな奄美大島周辺の琉球メジロなどの他ダイトウメジロなど国産6亜種がいるといわれ、各亜種によって囀りも少し違うという。囀り、色彩ともに優れた丈夫な種。国産種と中国などから輸入されるチョウセンメジロは別種でサイズが小さいなど識別可能。体の割に大きな囀りが魅力。
 餌:成鳥、雛の育成共にスリエ(2分又は3分)
 サイズ:全長12cm内外
 カゴ:9寸〜1尺
 飼育許可:輸入証明書が必要
 飼育方法:陽性に近いと思われるので、戸外の比較的明るいところで鳴かせた方が良いだろう。暑さ寒さに比較的強いが、夏は涼しい日陰が絶対不可欠、冬は室内で飼育したほうがいいだろう。水浴びは大好きで自ら水盤に入る。
 研究報告:チョウセン・メジロを入手して国産種との関係を調査してみた。この種は国産種との識別は容易なのだが、輸入量が多く安いので、国産種との交雑が心配されるのである。
 多くの国産種と見合わせてみた結果、全く両者は反応を示さなかったので、ほぼ分離された亜種関係にあり交雑の危険性も少ないとみてよいだろう。

(6)ウグイス科
−変更−T.ウグイス
 タイプ等:留鳥又は漂鳥として全国に生息。本州産(基亜種)のほかハシナガ、カラフト、リュウキュウなどの亜種もいる。中国から輸入されるチョウセン・ウグイスは基亜種の国産種より大きく別種。とにかく知らない人はいないほど有名な美しい囀りが魅力。全国的に鳴き合せもある。
 餌:成鳥、雛の育成共にスリエ(4分又は5分)
 サイズ:全長15cm内外
 カゴ:1尺1寸〜1尺2寸
 飼育許可:輸入証明書が必要
 飼育方法:典型的な陰性種で、室内鳴きの代表選手。暑さ寒さにはかなり弱いので、夏は涼しい日陰が絶対不可欠、冬は室内で飼育する。正月に鳴かせるようにするには、前年の11月中旬から日照時間を徐々に延ばし、12月中旬までには午後7時半まで延ばすと同時に”アンドン”又は”コオケ”に入れ暖かくして飼育する。

今後も随時科又は種を増強予定。また、内容変更・追記なども予定しているので、更新内容にご注意ねがいたい。

野鳥類の選択と飼育方法 写真説明

ヨウム

シロビタイムジオウム

ゴシキセイガイインコ

いっしょに遊べる?

シロビタイムジオウム(P)

アルーキバタン

他の小鳥1

新写真

一覧表

欠点を理解

飼育の勧め

野鳥飼育

手乗り教育

繁殖計画