フィリピンバナナを食べよう
韓国のビジネスマンは日本人に対し「『日王への謝罪要求』などは、退任後の逮捕を避けるための李明博大統領のパフォーマンス。政権が変われば日韓関係はよくなる」と言います。
鈴置:それは言い訳に終わるでしょう。韓国の変化は「強大化する隣国の言うことを聞かざるを得ない」という地政学的な要因からきています。今後、大統領がだれになろうと韓国は中国接近を続ける半面、米国とは疎遠になり、日本とは敵対していくことでしょう。
伊藤:中国側につくとしても、日本と敵対する必要もないでしょうに。
鈴置:そうしないと中国に睨まれるからです。中国は「日本か中国か」あるいは「米国か中国か」という踏み絵を韓国に突きつけ始めています。
伊藤:そうですか。やはり、日本は東南アジアとしっかり手を結ぶしかないのですね。今、知り合いに「フィリピンバナナを食べよう」と呼び掛けています。
フィリピンは中国の激しい威嚇にめげず、領海や領土を死守する姿勢を打ち出しています。その報復に中国がフィリピンのバナナの輸入を事実上、止めているのです。
菅直人内閣が失った東南アジアからの信頼
海軍力がないに等しいフィリピンが頑張っているのです。我々ができることは、フィリピンを支援する意志をフィリピン人と世界の人々に示すことです。中国でボイコットされている、フィリピンバナナを日本人が食べる運動を起こせば、最高のメッセージになります。
鈴置:2010年に菅直人内閣が「尖閣」で中国にひれ伏した。あれを見た韓国人は「じゃあ、我が国も日本にもっと強く出て大丈夫」と思って「竹島上陸」や「慰安婦の像」、あるいは「日王への謝罪要求」など日本叩きに転じました。
一方、中国と領土問題を抱える東南アジアの人々は「日本は頼りにならないな」とがっかりしました。
伊藤:本当にそうなのです。絶対に安易に中国に妥協してはなりません。何度も申し上げたように、日本人へのさらなる暴行を誘発するし、東南アジアの人々の日本への敬意を裏切るからです。
伊藤澄夫社長は2004年に出版した著書『モノづくりこそニッポンの砦 中小企業の体験的アジア戦略』でアジアや企業経営、日本の政治に関するユニークな意見を縦横無尽に語っています。購入希望者は伊藤製作所のホームページをご覧下さい。