白鳥事件:有罪の元共産党員、60年後の謝罪

毎日新聞 2012年10月27日 22時12分(最終更新 10月27日 22時41分)

事件を振り返る高安知彦さん=札幌市中央区で2012年10月27日、伊藤直孝撮影
事件を振り返る高安知彦さん=札幌市中央区で2012年10月27日、伊藤直孝撮影

 札幌市で1952年に白鳥一雄警部(当時36歳)が射殺された「白鳥事件」を考える集いが27日、同市中央区であった。事件前の謀議に加わり殺人ほう助罪で57年に有罪判決を受けた元北海道大学生、高安知彦さん(82)=同市西区=が講演、「白鳥事件は政治テロ。殺人事件に変わりはない。幼稚な考えで標的にしてしまい、白鳥警部やご遺族に申し訳ない気持ちでいっぱい」と謝罪した。高安さんが公の場で事件を語るのは初めて。

 高安さんは50年春に北大入学後、共産党に入党し、党が軍事路線を掲げた51年秋に地下組織に参加。白鳥警部については「無届けデモなどで警官隊を指揮し、党員で顔を知らない者はいなかった」と証言した。

 事件から1年半後に逮捕。獄中で党を離れ、党の関与を全面自供し、57年に懲役3年、執行猶予3年の判決が確定した。「一緒に地下活動した仲間は良いやつ。結果的に裏切ることになる。こんなにつらいことがあるかと思った」と話した。

 検察側証人として法廷でかつての仲間と激しい応酬を繰り広げたため「日本のユダ(裏切り者)」との批判も浴び、裁判後は口をつぐんだ。だが「仲間たちはみんな死んだ。生き残った人間として、青春時代の行動に向き合う必要がある」と話し、党の関与を否定したかつての仲間たちには「『党は個人に優先する』が当時の考えで、仕方のないこと」と思いやった。

 集いは、道内の研究者らでつくる「北海道戦後史研究会」の主催。70〜80代を中心に約80人が参加した。【伊藤直孝】

 【ことば】白鳥事件

 1952年1月21日夜、札幌市内で白鳥一雄警部が短銃で撃たれ即死。共産党員3人が殺人や殺人ほう助罪で起訴され、当時の党地区委員長(94年死亡)は懲役20年が確定した。実行役として党員3人が殺人容疑で指名手配されたが中国へ渡り、今年3月までに全員が死亡したとされる。

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