トップページ経済ニュース一覧若者離職率を初公表 業種で大きな開き
ニュース詳細

若者離職率を初公表 業種で大きな開き
10月31日 18時44分

若者離職率を初公表 業種で大きな開き
K10031523711_1210311939_1210311949.mp4

若者が正社員として就職したあと早期に離職することが問題となるなか、厚生労働省は31日、入社から3年以内に離職した人の割合を初めて業種別に公表しました。
このうち、大学卒業で離職した人は、ライフライン産業では10%を下回りましたが、飲食サービス業などでは50%近くに上るなど、業種によって大きな開きがあることが分かりました。

入社したあと3年以内に離職する若者は、ここ数年間いずれの年代でも減る傾向が続いていますが、3年前に入社した人では、高卒でおよそ35%、大卒でおよそ28%に上っています。
専門家は、十分なキャリアを積まずに辞めた場合、正社員としての再就職は難しいと指摘していて、厚生労働省は、業界ごとに改善を求めるため初めて業種別の離職率を公表しました。
それによりますと、3年前に大学を卒業した若者では、最も高い業種は教育、学習支援業と宿泊業、飲食サービス業で、いずれも48%、次いで生活関連サービス業、娯楽業が45%などと、サービス産業で高い傾向が明らかになりました。
一方で、最も低い業種は、鉱業・採石業で6%、次いで電気やガスなどのライフライン産業で7%、製造業が15%となっています。
厚生労働省は、離職率が高い業界に改善を促すとともに、就職を目指す若者に、今回のデータも参考に企業分析などを進めてほしいと呼びかけています。

7・5・3問題

学校を卒業し企業に就職したあとで3年以内に辞める若者の離職率は、平成7年ごろから10年余りにわたって高い水準で推移し、中卒者で7割、高卒者で5割、大卒者で3割に上ったことから「7・5・3問題」などと呼ばれてきました。
離職率は平成16年ごろから減少傾向にあり、3年前の平成21年に卒業した若者の離職率は、中学を卒業した人が64%、高校を卒業した人が35%、大学を卒業した人が28%となっています。
厚生労働省は、「10年ほど前の就職氷河期に就職した若者は、希望の職種に就けず離職率は高かったが、その後、緩やかに景気が回復し、求人が増え、希望の仕事に就いた人も増え、離職率は下がったとみられる。4年前のリーマンショックの影響はこれから出てくるので、再び離職者が増えないか注目している」と話しています。

“定着に努力すること重要”

若者の人材育成に詳しいリクルートコミュニケーションエンジニアリングの船戸孝重さんは、「離職率が低い製造業などは、一人前の技術を身に着けるまで企業が時間をかけて育てていくのに対して、離職率が高い飲食業などのサービス業は、入社直後から現場に出て自分で経験を積んで学ぶということが多い。このため、なかなか成長を実感できず、悩んで辞めてしまうケースが多いのではないか」と分析しています。
そのうえで、「多くの若者がキャリアを積まないまま辞めてしまう状況が続くと、企業にとっては将来、中核となる人材が育たないことになるので、日本の将来にとって危機的な状況だ。企業側も若手社員の定着に努力することが重要だ」と指摘しています。

[関連ニュース]
このページの先頭へ