美代子被告は“おばけ” 取り巻きは“おばけ軍団”住民が恐れる角田ファミリー

2012.10.24


角田美代子被告の自宅マンション=兵庫県尼崎市【拡大】

 兵庫県尼崎市の死体遺棄事件で中心的役割を担ったとみられる角田(すみだ)美代子被告(64)=ドラム缶詰め遺体事件で起訴。悪行の露呈を恐れてか、写真に撮られることを極端に嫌い、意図的に正体を隠そうとしていた可能性がある。取り巻きとの奇妙な集団生活と実態そのものがつかみづらかったことから、事情を知らない近隣住民からは「おばけ」と呼ばれ、気味悪がられていた。

 「あれ、ホンマに本人の写真か? 全然顔が違うけどなぁ…」

 先週末、テレビが一斉に報じた角田被告の近影。これを見た顔見知りは一様に首をひねった。

 「20年ほど前の息子の入学式の時の写真で、本人(角田被告)の名前も記されているんで間違いはないのですが、(いまの姿とは)あまりに似てなく否定する人が多かった。一部の報道機関は公表をためらったほどです」(地元紙記者)

 複数の関係者によると、普段から角田被告は写真を撮られることを極端に嫌がっていた。地元の知人(52)は「飲み屋で一緒になり『みんなで写真撮ろうか』ってなった時も、『私はええ。絶対写さんとってや!』とものすごい剣幕で言われたのを覚えてる」と証言する。

 素性を隠そうとする行動はこれに留まらない。

 赤の他人だった李正則受刑者(38)=ドラム缶詰め遺体事件で実刑確定=をいとことして迎え入れたように、複数の人物と養子縁組を繰り返して戸籍を複雑にし、本籍地も頻繁に変更。自分の名前もコロコロと変えたという。

 「8年ほど前に知り合った時は、旦那さんの姓の『東』(あずま)を名乗っていたけれど、知人からは『スミちゃん』って言われていた。理由を尋ねると『別に』と急に態度を豹変させるから、名前の話題には触れないようにしていた」(飲み仲間の1人)

 息子の妻で義理の娘となった角田瑠衣(るい)被告(27)=別の窃盗事件で起訴=は、元をたどれば角田被告に一家離散に追い込まれた家族の一員。角田被告は、食い物にした他人の家から意に沿う人間を1人、また1人と取り込みファミリーを形成していった。

 そうした疑似一家の生活は周囲には奇異に映り、同じマンションの住人は「正体不明やから、角田被告のことは『おばけ』。取り巻きのことを『おばけ軍団』と呼んどった」。

 事件発覚が遅れたのは、付近住民が独自の絆で結ばれた角田ファミリーによる報復を恐れて警察への情報提供を躊躇したのも一因。地元関係者は「この街には、角田(被告)と同じように人を食い物にする別の者がおるんや。李(受刑者)のワル仲間とか、残党もまだまだ残っとる。下手に関わったら何されるかわからんから、黙っとる連中もおる」と声を潜める。

 事件の全容をつかみづらくさせているのはそうした事情もある。