'12/11/1
井笠鉄道バスが惜別の終礼
経営破綻した井笠鉄道(笠岡市)は31日、バス事業を廃止した。1911年の創業から101年、バス事業に参入した25年からは87年となる歴史に幕を閉じた。本社では、普段は開かない終礼を開催。1日から代替運行する中国バス(福山市)は、契約社員として雇う井笠鉄道の従業員に辞令を交付した。
井笠鉄道は午後5時すぎ、本社で終礼を開いた。関藤篤志社長は従業員18人を前に「先輩が築いた歴史を止めることになり申し訳ない。中国バスなどに行く人には今後の活躍を祈っている」と声を詰まらせながら話した。
中国バス本社では辞令交付式があり、内定している約80人のうち11人が出席。小嶋光信社長は「お年寄りや子どもたち交通弱者の移動手段を守っていこう」と呼び掛けた。
31日、最後の運行を惜しむ利用者も目立った。JR福山駅前のバス停では、福山市の大学4年小白昂志(こはく・たかし)さん(21)が「幼いころよく乗った。寂しい」とバスを写真に収めた。
路線バスの最終便は午後9時40分、JR笠岡駅前をカメラを構えた市民たちに見送られ、井原市のバスセンターに向けて出発した。同センターには10時5分ごろ到着。乗客は名残惜しそうに後にした。
【写真説明】最終便の終点、井原市のバスセンターでバスを降りる乗客(31日午後10時5分)