「好きくない」という表現は、特定の状況に限って使用されるという方針で扱う。
規範的な表現は「好きではない」または「好きじゃない」で、「好きくない」はナ形容詞である「好き」をイ形容詞の活用にあてはめている非規範的な表現だと説明できる。一方、実際の日本人のカジュアルな会話やメールで、この表現を見聞きすることがある。これは、あえて非規範的な表現を使用することによって、目新しさやこなれた感じ、会話参加者にのみ通じる内輪話のような雰囲気を出すことができるからなのだろう。
しかし、就職や進学の面接で非規範的な表現を使うと、学習者が不まじめである印象を与える恐れがある。また、この表現は書き言葉的でないので、ビジネス文書や学術論文等では使うべきではない。
このように、授業では、規範的な表現を提示し、非規範的な表現の作られ方およびその使用の可否の条件を説明したい。(378字)
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