福島 新米の全袋検査や出荷に遅れ11月1日 7時7分
福島県内でことし収穫されたすべてのコメについて、出荷する前に放射性物質を調べる「全袋検査」で、測定機器や人員が足りないことから検査やその後の出荷に遅れが出ていることがNHKの取材で分かり、新米の出荷を急ぎたい農家から態勢の充実を求める声が出ています。
原発事故を受けて福島県は、ことし収穫されるおよそ1200万袋のすべてのコメを対象に、出荷する前に放射性物質を調べる「全袋検査」を実施しています。
検査は、各市町村や農協が地域ごとにつくる36の協議会が行っていますが、NHKがそのすべてに取材したところ、会津地方の一部と郡山市、いわき市を担当する5つの協議会は、今の時点では、検査は年内には完了しない可能性があると答えました。
その理由については測定機器や人員が足りないことを挙げ、検査が終わっていないコメは出荷できずに倉庫に積み上がっている状態だということです。
また、県内の各農協によりますと、検査に時間がかかっているため、ほとんどの農協では原発事故の前と比べて、出荷の開始が最大で1か月近く遅れ、その後の出荷量も少ない状態が続いているということです。
コメは年を越すと「新米」として売ることができなくなることから農家からは検査態勢の充実を求める声が出ています。
このうち、会津美里町のコメ農家で、インターネットで注文を受け付けた新米の発送が大幅に遅れているという新國文英さん(59)は、「安全性は確保してほしいが、新米は12月までなので遅れた分だけ販売量は減ってしまう。現場が困らない仕組みを考えてほしい」と対応に苦慮していました。
これについて福島県は「各地区で行われている全袋検査の全体状況を把握したうえで対応策を検討したい」と話しています。
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