2・26事件:秘書官日記、フィルム化 斎藤實記念館に専門家が寄贈 /岩手
毎日新聞 2012年10月31日 地方版
奥州市立斎藤實(まこと)記念館に所蔵されている「入間野武雄日記」などがマイクロフィルム化され、同館や市に寄贈された。入間野武雄(1890〜1958)は、同市出身で2・26事件で暗殺された斎藤(1858〜1936)が首相を務めた1932〜34年に首相秘書官としてそばに仕えた。東大法学政治学研究科附属近代日本法政史料センター原資料部の佐藤健太郎助教は「近現代史の第一級の研究資料」としている。
佐藤助教の前任で近現代史を研究する小宮京・桃山大専任講師が、同館に所蔵されていた入間野日記を知り、佐藤助教にマイクロフィルム化を働きかけた。
フィルムに収められたのは日記14冊、写真16枚、入間野が斎藤に送った書簡など10通で7巻3セットが作られた。日記は少年時代から始まり、斎藤に仕えた時代やそれ以降にも及ぶもので、2・26事件当時の動きなども記載されている。
斎藤は首相や海軍大臣、内大臣などを務め、活動の幅が広かっただけに、イメージが拡散しやすいとされている。入間野日記について小宮講師は「斎藤に関する資料は多いが、入間野日記の記述は、斎藤の活動の動機や背景を探ることができ、資料的価値が高い」としている。
日記は、小型の手帳に鉛筆書きで細かい字で記されている。佐藤助教は「デジタルデータで保管するより、マイクロフィルムの方がより見やすくなり、目的の記述に至るために前後も閲覧できるなど、利点がある」と話している。
市は市図書館で保管し、研究目的に限定して閲覧を認めるという。【和泉清充】