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一章
第8話
私達は今、パーティーを組んで帰らずの森に来ています。

普通は帰らずの森に行くのは自殺行為なんですよ。

ゴブリンやオークが山ほど住んでいるこの森は、他の時期でも行く人なんていません。

ですが、私はこの森に、しかも繁殖期に来てしまっています。

ギルドからの依頼が無ければ、絶対に来ない筈だったんです。

今年は森の近くの村にゴブリンとオーク達の襲撃が1回しかなかったから、原因を探って来いだそうです。

まだDランクの冒険者になったばかりの私ですが、君は優秀な召喚師だ、なんておだてられて来てしまいました。

はあ~、憂鬱です。

一応、メンバーの皆さんは上級者の方々でレベルが100以上の人ばかりです。

安全は確保されているので、無事に帰れるとは思うのですが・・・。

早く帰って、お風呂に入りたいです。


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皆さんこんにちは、ラキです。

今の俺の顔は逆立った短い赤髪につり上がった眼、軽薄そうな口元と、いかにも遊んでそうなチンピラと言った感じだ。

モンタージュだったかな、あんな風に人の顔を使って作ってみたんだ。

人によってはかっこいいと言ってくれるかな?

俺はもっと優男風の男になりたいんだけどね。

身長は前世と同じ182センチくらいにした。

 さて…頂く物は頂いたので外に出てみたのですが、知らない場所に着いた、行くしかないか・・・・・

見渡す限り森と地平線しか見えない・・・・出て来た山の山頂にある洞窟以外の人口物は船着き場だけだ。

洞窟の反対側に有るかも知れないが。


さっきステータスを見て驚いたよ。

知らずにスキルの条件を満たしたから発現したのかな?

隠しスキルか?

他にも似たようなスキルが発現したし、やっぱ何か条件があるのか。

もう1回見てみよう。


ステータス
名前:ラキ
種族:キメラ
Lv:76(90)
HP:803/803
MP:327/327
物功:596
物防:583
魔功:271
魔防:295
敏捷:426

スキル
キメラ(1)・・・取り込んだモンスターの潜在能力(成長限界)や欲しい能力を得ることができる。

悪食・・・モンスターを取り込む時にHPを一定値回復できる。

スライム操作・・・酸性度を自由に操作できるゲル状のスライムを自在に操る事ができる。ただし、スライムは自分の身体から切り離したらコントロールを失う。

肉体再生(1)・・・身体の一部を欠損しても即座に再生できる。ただし一度の再生にMPを一律5ポイント消費する。

飛翔・・・羽や翼を動かす事によりホバリングが出来る。

影魔法(1)・・・影属性の魔法を使う事ができる。このランクでは中、上級魔法は扱えない。

炎魔法(1)・・・炎属性の魔法を使う事ができる。このランクでは中、上級魔法は扱えない。

光魔法(1)・・・光属性の魔法と治癒魔法を使う事ができる。このランクでは中、上級魔法は扱えない。

EX特殊能力:触手操作、吸収、自己進化

アサシンアタック・・・急所への攻撃が成功すると一撃必殺になる。

直感・・・戦闘時、つねに自身にとって最適な展開を感じ取る能力。これによる第六感はもはや未来予知に近い。また、視覚・聴覚への妨害を半減させる効果を持つ。




いいね。それもだけど、アサシンアタックが気になる。

いつも奇襲ばかりしていたからか?

便利である事には変わらないから、別にいいけどね。

さーて、オークでも探しに行こうかな。










一歩、そうたったの一歩森に踏み込んだだけで、エンカウントした!そして、敵を屠ったらまた現れて・・・・・・倍々に増えて行き、あっという間に数千体ぐらい集まっては狩られるだけですの。そして、生贄のクラスのせいで隠密しても意味が無いという悲しさ・・・・・・・よよよ。

という訳で現在時速60キロくらいで爆走中だ。

「よっ!ほっ!」

[ジャンプし、背中から触手を地面に突き刺して固定し、速度をそのままに急旋回を行う]

「≪ギフト≫」

急旋回した遠心力を利用し、後ろに迫っていた大量の魔物に毒付の斬撃をプレゼントですの!

[ギフト(ドイツ語で毒)を使い、100メートル以内の敵を木々諸共断ち切り・・・・・・・・粉砕した。さらに、粉砕された木々は腐りだして行く。それは、魔物も一部の例外を除いて同じ末路をたどった]

「そしてすぐに、逃走!」

色々、便利なのが入ったが、今は脱兎の如く逃げるのみ・・・・・・・・・・・あれ?


なんで繁殖期のこの森に冒険者がいるんだ?

見た感じ、4人構成のバランス重視だな。

戦士、シーフ、プリーストと・・・あれは女のマジシャンかな。

杖を持ってないけど、オーブのついた手袋をしてるからそうだと思うんだが。

あ、オーブは魔力の通りが良い水晶みたいな魔石だよ。

でも珍しいな。

この森には冒険者と言えども、女は絶対に立ち寄らない筈だろ?

何故だろうか。

少し様子を見てみようか、幸いにもこの森は薄暗いから隠れるにはうってつけだ。




『でも、何で今年に限って襲撃が少なかったんですかね。例年通りなら10回以上はあるはずですよね?』

『ああ、ゴブリンやオークが満足するだけの食料が揃うまでな。』

『なんでそんな所に人が住むんだ?普通逃げるだろ。』

『開拓地なんだよ、ここらは。森には金になる珍しい薬草や貴族が求める上手い肉が豊富にある。だから人が集まるんだよ、リスクを承知でな。村も町と言っていいほどデカかっただろう?そんなのが森の周りに何個もあるんだ。』

『だから、ゴブリンやオークがバカみたいにいるのか。やだね~、欲深い人間ってのは。』

『何言ってんだよ、冒険者はその最たるもんじゃねえか。』

なるほど、つまりは俺がやりすぎたって事か。

ゴブリンが減ったから、襲撃が無くなる。

不思議に思った奴らが様子を見に来ると。

完璧に俺のせいだな。

報告されて、危険が無くなったことを知らされても面倒だな。

欲に目がくらんだ人間が、バカみたいに来るだろう。

消しておいた方が得策か。

それにあのマジシャン・・・魔法の才能も手に入って、一石二鳥だ。

まずはいつも通りに奇襲と行くか。

奴らの先には待ち伏せにちょうどいい場所がある、そこにしよう。




地面に伏せている俺の前を何も知らない冒険者達が通り過ぎる。


「む」

「なんじゃ?」

「来るぞ」

戦士は近場にいたマジシャンを付き飛ばし、自身も後退した。そして、先ほどまで彼等がいた地面を突き破り、多数の触手が表れた。3人の男たちは地面に倒れ込み、いつの間にか展開されていた影の沼に沈み捕食を開始する。

ふふふ、大量。


「ん?」

ヒュオンッ

危なっ!

今のは何だ、ホワイトオウル?

ホーンラビット、ハウンドウルフもいるじゃないか。

いったいどこから出したんだ?

そうかっ、召喚魔法か。

だが待てよ、多重召喚は召喚魔法の最高レベルの筈だぞ?

こいつ才能あるのに、まだこの森に来るほど弱いのか。

普通は宮廷魔導師にもなれるんじゃないのかよ。

なんで冒険者なんだ。

まあいい、この程度なら問題ない。

さっさと死ねっ!

影の槍で召喚されたモンスターを殲滅する。

一撃で倒れたそいつらと、さっき殺した冒険者をキメラ術式で取り込むとそれなりにレベルが上がったようだ。


「≪ファイヤーボール≫」

「っ!」

バックステップで、マジシャンが放った火球を避けて、反撃する。

「なっ!?」

触手はマジシャンの身体に深い傷を負わせた。

「ぐはっ!?」

確かな手ごたえを得たと思う。そして、捕食と追撃として触手を向かわせる。

触手達はマジシャンを触手の牢獄に入れるように螺旋状の球体を形成した。そして、

「た、助け・・・・・ぎゃあああああああああああああああ!!!!!!!」

バリ!バリ!ゴックン!と言う音と共にマジシャンは触手に食べられ、瞬時に溶けて糧となった。
リッチ

これは明らかに悪役的な進化を遂げているな。

モンスターの成長速度に増え続ける成長限界。

立派なチートだな、大器晩成型だが。

普通、モンスターは成長速度が速い代わりに成長限界が低い。

逆に人間は成長速度が遅い代わりに成長限界が高い。

俺はこの世界の法則を無視しているのだ。

きっとレベルが1000に達する頃には無理ゲーの裏ボスと変わらなくなっているだろう。

・・・うんっ、頑張ろう。



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